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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/04 20060101AFI20220523BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220523BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20220523BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220523BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20220523BHJP
   G01R 31/3835 20190101ALI20220523BHJP
【FI】
B60L3/04 D
B60L3/00 S
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/10
G01R31/3835
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019512409
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018011968
(87)【国際公開番号】W WO2018190107
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2017078316
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】西川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】古川 公彦
(72)【発明者】
【氏名】迎 秀嗣
(72)【発明者】
【氏名】乾 真也
(72)【発明者】
【氏名】河本 倫典
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-048281(JP,A)
【文献】特開2011-234506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/04
B60L 3/00
B60L 15/20
B60L 50/60
B60L 58/10
G01R 31/3835
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された蓄電部の電圧を検出し、検出した電圧を自己の回路故障情報とともに出力する第1出力端子、および検出した電圧が異常であるか否かを示す電圧異常信号を出力する第2出力端子を有する電圧検出部であって、前記第1出力端子側の回路および前記第2出力端子側の回路における回路故障を検出する回路故障検出部を含んでいる該電圧検出部と、
前記第1出力端子に接続されており、前記第1出力端子から出力される電圧および回路故障情報を取得する第1監視部と、
前記第2出力端子に接続されており、前記第2出力端子から出力される電圧異常信号を取得する第2監視部であって、該第2監視部が接続線とディスクリートな個別部品によって構成されており、プログラムによる処理を伴わないハードウェアの処理により、取得した異常信号の有無に基づいて電圧異常の有無を判断する該第2監視部と、
前記第1監視部および前記第2監視部からの通知に基いて、前記蓄電部および走行用モータの電気的接続を遮断する走行制御部と、を備え、
前記走行制御部は、前記第1出力端子側の回路および前記第2出力端子側の回路の双方に回路故障が有る場合には、前記蓄電部および前記走行用モータの接続を遮断し、一方に回路故障が有り、他方に回路故障が無く、かつ、前記蓄電部が正常である場合には、前記蓄電部および前記走行用モータを接続状態とすることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
車両に搭載された蓄電部の電圧を検出し、検出した電圧を自己の回路故障情報とともに出力する第1出力端子、および検出した電圧とともに検出した電圧が異常であるか否かを示す電圧異常信号を出力する第2出力端子を有する電圧検出部と、
前記第1出力端子に接続されており、前記第1出力端子から出力される電圧および回路故障情報を取得する第1監視部であって、該第1監視部がマイコンで構成されており、内蔵する記憶回路に記憶したプログラムを実行することによって機能し、ソフトウェアによる処理を行う該第1監視部と、
前記第2出力端子に接続されており、前記第2出力端子から出力される電圧および電圧異常信号を取得する第2監視部であって、該第2監視部が接続線とディスクリートな個別部品によって構成されており、プログラムによる処理を伴わないハードウェアの処理により、取得した電圧が正常範囲内であるかどうかおよび取得した異常信号の有無に基づいて
、回路故障および電圧異常の有無を判断する該第2監視部と、
前記第1監視部および前記第2監視部からの通知に基いて、前記蓄電部および走行用モータの電気的接続を遮断する走行制御部と、を備え、
前記走行制御部は、前記第1出力端子側の回路および前記第2出力端子側の回路の双方に回路故障が有る場合には、前記蓄電部および前記走行用モータの接続を遮断し、一方に回路故障が有り、他方に回路故障が無く、かつ、前記蓄電部が正常である場合には、前記蓄電部および前記走行用モータを接続状態とすることを特徴とする監視システム。
【請求項3】
前記走行制御部は、前記第1出力端子側の回路および前記第2出力端子側の回路のうち一方に回路故障が有り、他方に回路故障が無い場合に、前記走行用モータの運用を制限し、
前記走行制御部は、前記第1出力端子側の回路に回路故障が有り、前記第2出力端子側の回路に回路故障が無い場合よりも、前記第1出力端子側の回路に回路故障が無く、前記第2出力端子側の回路に回路故障が有る場合の方が、前記走行用モータの運用制限が緩やかであることを特徴とする請求項1または2に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された蓄電部を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電セルの電圧を検出する主検出回路および副検出回路、蓄電セルを主検出回路に接続する主検出線、並びに、蓄電セルを副検出回路に接続する副検出線を備える監視装置が開示されている。この監視装置において、主検出線と副検出線は少なくとも一部が電気的に独立するように別配線で構成されている。また、監視装置において、主検出回路は主マイコンによって制御されており、副検出回路は副マイコンによって制御されている。主マイコンは主検出線の断線の有無を判定し、副マイコンは副検出線の断線の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-169883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の監視装置は、主マイコン系統と副マイコン系統とが、蓄電セルに接続する検出線を含めて独立した構成となっており、冗長性は増すものの、回路の複雑性も増し、回路規模が大きくなってしまうという問題点があった。
【0005】
ところで、蓄電セルの電圧検出器に故障が生じた場合であっても、蓄電セル自体は故障しておらず、車両の走行に支障がない場合がある。このような場合には、蓄電セルを十分に監視できていないものの、走行用モータの運用を制限しつつ、車両の走行継続性を高めることが望まれていた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蓄電部を監視する回路規模の増大を抑制しつつ、車両の走行継続性を高めることができる監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の監視システムは、車両に搭載された蓄電部の電圧を検出し、検出した電圧を自己の回路故障情報とともに出力する第1出力端子、および検出した電圧が異常であるか否かを示す電圧異常信号を出力する第2出力端子を有する電圧検出部と、第1出力端子に接続されており、第1出力端子から出力される電圧および回路故障情報を取得する第1監視部と、第2出力端子に接続されており、第2出力端子から出力される電圧異常信号を取得する第2監視部と、第1監視部および第2監視部からの通知に基いて、蓄電部および走行用モータの電気的接続を遮断する走行制御部と、を備え、走行制御部は、第1出力端子側の回路および第2出力端子側の回路の双方に回路故障が有る場合には、蓄電部および走行用モータの接続を遮断し、一方に回路故障が有り、他方に回路故障が無く、かつ、蓄電部が正常である場合には、蓄電部および前記走行用モータを接続状態とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電部を監視する回路規模の増大を抑制しつつ、車両の走行継続性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
図2】電圧検出部の構成を示すブロック図である。
図3】電圧検出部から第1監視部および第2監視部が取得する情報を示す図表である。
図4】走行制御部におけるリレー開閉の論理演算を説明するための模式図である。
図5】監視状況に対応する走行制御部の処置内容を示す図表である。
図6】変形例における電圧および電圧異常に基づく回路故障の判断例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図6を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る監視システム100の構成を示すブロック図である。監視システム100は、監視部1、走行制御部70およびリレー71を備える。走行制御部70は、監視部1から入力される信号に基づいて、リレー71を制御する。また、走行制御部70は、車両に搭載された蓄電部6の状態を監視し、蓄電部6による走行用モータ8の駆動を制御する。蓄電部6は、複数の蓄電セル61(図2参照)、例えばリチウムイオン電池セルが直列接続されて形成される。尚、蓄電セル61は、リチウムイオン電池セルのほか、ニッケル水素電池セル、鉛電池セル、電気二重層キャパシタセル、リチウムイオンキャパシタセル等であってもよい。
【0012】
監視部1は、複数の電圧検出部10、第1監視部20、および第2監視部30を有する。電圧検出部10は、蓄電部6の電圧を検出するとともに、過充電または過放電による異常の有無を検出し、第1監視部20および第2監視部30へ出力する。第1監視部20は、蓄電部6の異常の有無、電圧検出部10における回路故障の有無を走行制御部70へ通知し、第2監視部30は蓄電部6の異常の有無を走行制御部70へ通知する。走行制御部70は、第1監視部20および第2監視部30の通知に基づいて、リレー71を開閉して蓄電部6および走行用モータ8の電気的接続/遮断を制御し、走行用モータ8を駆動する。
【0013】
図2は、電圧検出部10の構成を示すブロック図である。電圧検出部10は、蓄電部6の電圧を検出する電圧検出回路11、異常検出回路12、通信回路13、端子出力回路14および回路故障検出部15を有し、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されている。電圧検出回路11は、複数の蓄電セル61を直列に接続してなる蓄電部6の電圧を、蓄電セル61単位で検出、または隣接する2以上の蓄電セル61をブロックとして、該ブロック単位で検出する。
【0014】
異常検出回路12は、電圧検出回路11で検出した電圧を所定の閾値と比較し、過充電または過放電による異常の有無を検出する。異常検出回路12は、検出する電圧が正常範囲の上限側である過充電閾値より高い場合に過充電による異常であることを検出する。異常検出回路12は、検出する電圧が正常範囲の下限側である過放電閾値より低い場合に過放電による異常であることを検出する。異常検出回路12は、電圧異常信号として、正常な場合にハイレベルを、過充電または過放電が検出された場合にローレベルを出力する。
【0015】
通信回路13は、電圧検出回路11によって検出した電圧、および回路故障検出部15が検出する回路故障情報を第1出力端子16に接続される第1監視部20へ送信する。通信回路13は、例えば、アイソレータを介して第1監視部20と絶縁接続され、シリアル通信によって情報を第1監視部20へ送信する。尚、通信回路13は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)通信方式等に基いて外部と通信するための回路である。
【0016】
端子出力回路14は、異常検出回路12からの電圧異常信号を第2出力端子17へ出力する。第2出力端子17は、電圧異常信号として、正常な場合にハイレベル(5V)を、過充電または過放電が検出された場合にローレベル(0V)を出力する。第2監視部30は、第2出力端子17に接続されており、第2出力端子17から異常検出回路12が出力する電圧異常信号を取得する。
【0017】
回路故障検出部15は、電圧検出部10における各回路の故障を検出している。回路故障検出部15は、電圧検出回路11における、蓄電部6との間の接続線の断線故障、電圧検出回路11の電圧測定精度のエラー、異常検出回路12における、閾値との比較回路のエラー等の回路故障を検出する。また、回路故障検出部15は、通信回路13における通信エラー、端子出力回路14における端子出力エラー等の回路故障を検出する。回路故障検出部15によって検出される回路故障情報は、通信回路13から第1監視部20へ送信される。
【0018】
図3は電圧検出部10から第1監視部20および第2監視部30が取得する情報を示す図表である。第1監視部20は、電圧検出部10との通信によって、電圧検出部10が検出した電圧、および電圧検出部10の回路故障情報を取得する。第1監視部20は、マイコンで構成されており、内蔵する記憶回路に記憶したプログラムを実行することによって機能し、ソフトウェアによる処理を行う。第1監視部20は、電圧検出部10が検出した電圧が正常範囲にあるか否かを自ら判定して監視する。第1監視部20は、第1出力端子16側の回路系、および第2出力端子17側の回路系における回路故障の有無を監視している。第1監視部20は、電圧検出回路11および通信回路13で構成される回路系のいずれかの箇所での回路故障を第1出力端子16から取得する回路故障情報に基いて特定し、第1出力端子16側の回路における回路故障の有無を判定する。第1監視部20は、電圧検出回路11、異常検出回路12および端子出力回路14で構成される回路系のいずれかの箇所での回路故障を第1出力端子16から取得する回路故障情報によって特定し、第2出力端子17側の回路における回路故障の有無を判定する。第1監視部20は、監視結果として、電圧異常、および回路故障の有無を走行制御部70へ通知する。
【0019】
第2監視部30は、電圧検出部10の第2出力端子17から異常検出回路12が出力する電圧異常信号を取得する。第2監視部30は、複数の電圧検出部10から電圧異常信号を取得し、論理和演算回路によって論理和を取り、いずれかの電圧検出部10から電圧異常信号(異常有り)が入力された場合に異常有りとの信号を出力する。第2監視部30は、接続線とディスクリートな個別部品によって構成されており、プログラム処理を伴わないハードウェアによる処理を行う。第2監視部30は、監視結果として、電圧異常の有無を走行制御部70へ通知する。
【0020】
次に監視システムの動作について説明する。
図4は、走行制御部70におけるリレー開閉の論理演算を説明するための模式図である。走行制御部70は、第1監視部20および第2監視部30から通知された蓄電部6の電圧異常の有無、並びに、第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路における回路故障の有無を入力とし、リレー71を開状態にして蓄電部6および走行用モータ8の接続を遮断する。走行制御部70は、第1監視部20および第2監視部30から通知される蓄電部6の電圧異常を論理和によって演算し、リレー71を開状態に制御する。即ち、第1監視部20および第2監視部30のうちいずれか一方、または双方が蓄電部6の電圧異常有りを通知した場合に、走行制御部70はリレー71を開状態に制御する。
【0021】
また、走行制御部70は、第1監視部20から通知される第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路における回路故障を論理積によって演算し、上述の論理和への入力とし、リレー71を開状態に制御する。即ち、第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路の双方に回路故障が有る場合に、走行制御部70はリレー71を開状態に制御する。第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路のいずれか一方のみに回路故障が有る場合には、走行制御部70はリレー71を閉状態に保ち、蓄電部6および走行用モータ8を接続状態とする。これにより、監視システム100は、蓄電部6を監視する回路規模の増大を抑制しつつ、車両の走行継続性を高めることができる。
【0022】
第1監視部20は、電圧検出部10の通信回路13から第1出力端子16を介して出力される各情報(電圧および回路故障情報)を取得している。一方、第2監視部30は、電圧検出部10の端子出力回路14から第2出力端子17に出力される情報(異常電圧信号)を取得している。走行制御部70は、第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路における回路故障の有無を第1監視部20から取得する。
【0023】
図5は、監視状況に対応する走行制御部70の処置内容を示す図表である。走行制御部70は、第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路のいずれか一方のみに回路故障が有る場合には、リレー71を閉状態に保つが、走行用モータ8の運用を制限する。
これにより、監視システム100は、第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路のいずれか一方のみに回路故障が有る場合に、運用制限がかかるものの、車両の走行継続性を高めることができる。
【0024】
図5に示す例では、走行制御部70は、蓄電部6の放電を抑制するために走行用モータ8の出力トルクを制限する。また、走行制御部70は、走行用モータ8の運用時間または走行距離を制限することも考えられる。尚、走行制御部70は、第1出力端子16側および第2出力端子17側の回路の双方に回路故障が有る場合には、リレー71を開状態とし、走行用モータ8の運用を停止する。また、走行制御部70は、第1監視部20および第2監視部30のいずれか一方、または双方が電圧異常有りを通知した場合、リレー71を開状態とし、走行用モータ8の運用を停止する。
【0025】
走行制御部70は、第1出力端子16側の回路に回路故障が無く、第2出力端子17側の回路に回路故障が有る場合に、その逆の場合に比べて、運用制限が緩やかであるようにしてもよい。第1監視部20は、上述のようにマイコンで構成されているため、第2出力端子17側の回路に回路故障が有る場合に、回路故障に対処した処理プログラム等によって監視精度を高めるなど柔軟性を持つ。尚、運用制限が緩やかであるとは、運用制限が厳しい場合に比較して、例えば走行用モータ8の出力トルクを高めに設定でき、走行用モータ8の運用時間または走行距離を長く設定できることである。これにより、監視システム100は、走行用モータ8の運用制限を監視状況に合わせて変更し、より車両の走行継続性を高めることができる。
【0026】
(変形例)
上述の実施形態では、電圧検出部10の異常検出回路12が電圧検出回路11から蓄電部6の電圧を取得して電圧異常を検出する構成としたが、異常検出回路12が、電圧検出回路11とは別系統で蓄電部6の電圧を検出して電圧異常を検出する構成としても良い。
これにより、第1監視部20および第2監視部30の独立性を増すことができる。
【0027】
また、第2監視部30は、電圧異常を走行制御部70へ通知しているが、回路故障を自ら判断して通知することもできる。例えば、第2監視部30は、電圧検出部10から蓄電部6の電圧と電圧異常信号を取得するようにする。図6は、変形例における電圧および電圧異常に基づく回路故障の判断例を示す図表である。
【0028】
第2監視部30は、図6の図表に示すケース#1のように、電圧検出部10から取得した電圧異常信号が異常なしを示し、電圧検出部10から取得した蓄電部6の電圧が正常範囲内である場合には正常であると判断する。第2監視部30は、図6の図表に示すケース#2のように、電圧検出部10から取得した電圧異常信号が異常なしを示し、電圧検出部10から取得した蓄電部6の電圧が正常範囲外である場合には回路故障であると判断する。
【0029】
また第2監視部30は、図6の図表に示すケース#3のように、電圧検出部10から取得した電圧異常信号が異常ありを示し、電圧検出部10から取得した蓄電部6の電圧が正常範囲内である場合には回路故障であると判断する。第2監視部30は、図6の図表に示すケース#4のように、電圧検出部10から取得した電圧異常信号が異常ありを示し、電圧検出部10から取得した蓄電部6の電圧が正常範囲外である場合には電圧異常であると判断する。このような第2監視部30における判断は、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器、および比較演算器等のディスクリートな個別部品によって構成した回路を用い、プログラムによる処理を伴わないハードウェアによって処理することができる。
【0030】
第2監視部30は、判断した回路故障の有無を第2出力端子17側回路の回路故障として走行制御部70へ通知する。走行制御部70は、第2監視部30から通知される第2出力端子17側回路の回路故障の有無を、走行用モータ8の運用制限のための判断に取り入れてもよい。
【0031】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0032】
尚、実施形態は以下の項目によって特定されてもよい。
[項目1]
車両に搭載された蓄電部(6)の電圧を検出し、検出した電圧を自己の回路故障情報とともに出力する第1出力端子(16)、および検出した電圧が異常であるか否かを示す電圧異常信号を出力する第2出力端子(17)を有する電圧検出部(10)と、
前記第1出力端子(16)に接続されており、前記第1出力端子(16)から出力される電圧および回路故障情報を取得する第1監視部(20)と、
前記第2出力端子(17)に接続されており、前記第2出力端子(17)から出力される電圧異常信号を取得する第2監視部(30)と、
前記第1監視部(20)および前記第2監視部(30)からの通知に基いて、前記蓄電部(6)および走行用モータ(8)の電気的接続を遮断する走行制御部(70)と、を備え、
前記走行制御部(70)は、前記第1出力端子(16)側の回路および前記第2出力端子(17)側の回路の双方に回路故障が有る場合には、前記蓄電部(6)および前記走行用モータ(8)の接続を遮断し、一方に回路故障が有り、他方に回路故障が無く、かつ、前記蓄電部(6)が正常である場合には、前記蓄電部(6)および前記走行用モータ(8)を接続状態とすることを特徴とする監視システム(100)。これにより、監視システム(100)は、第1出力端子(16)側の回路および第2出力端子(17)側の回路のいずれか一方のみに回路故障が有る場合に、車両の走行継続性を高めることができる。
[項目2]
前記走行制御部(70)は、前記第1出力端子(16)側の回路および前記第2出力端子(17)側の回路のうち一方に回路故障が有り、他方に回路故障が無い場合に、前記走行用モータ(8)の運用を制限することを特徴とする項目1に記載の監視システム(100)。これにより、監視システム(100)は、走行用モータ(8)の運用を制限するものの、車両の走行継続性を高めることができる。
[項目3]
前記走行制御部(70)は、前記第1出力端子(16)側の回路に回路故障が有り、前記第2出力端子(17)側の回路に回路故障が無い場合よりも、前記第1出力端子(16)側の回路に回路故障が無く、前記第2出力端子(17)側の回路に回路故障が有る場合の方が、前記走行用モータ(8)の運用制限が緩やかであることを特徴とする項目2に記載の監視システム(100)。これによれば、監視システム(100)は、走行用モータ(8)の運用制限を監視状況に合わせて変更し、より車両の走行継続性を高めることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 電圧検出部、 16 第1出力端子、 17 第2出力端子、 20 第1監視部、 30 第2監視部、 6 蓄電部、 70 走行制御部、 8 走行用モータ、 100 監視システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6