(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】互いに対向して配置された2つのプロテーゼのアンカリングシャフトのための接続スリーブ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
A61F2/28
(21)【出願番号】P 2019549480
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 DE2018100291
(87)【国際公開番号】W WO2018177481
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2019-11-21
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591151602
【氏名又は名称】ヴァルデマール・リンク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Waldemar Link GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート・デー・リンク
(72)【発明者】
【氏名】ウド・ボルヒャース
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-515895(JP,A)
【文献】特開2011-136234(JP,A)
【文献】特開2003-250823(JP,A)
【文献】特表2012-500655(JP,A)
【文献】米国特許第05383933(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103598932(CN,A)
【文献】特表2011-521718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0193268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは大腿骨などの細長い骨に互いに対向して配置される2つのプロテーゼのアンカリングシャフトのための接続スリーブであって、
補強スリーブの一端に前記プロテーゼシャフトのうちの1つのための第1収容ブッシュ(1)と、前記補強スリーブの対向する一端に前記プロテーゼシャフトのうちの第2のプロテーゼシャフトのための第2収容ブッシュ(2)と、前記第1収容ブッシュと前記第2収容ブッシュとの間に配置された分離可能、かつずれ不能、かつ相対回転不能に接続可能な連結領域(3)とを備える、接続スリーブにおいて、
前記収容ブッシュ(1、2)は、前記連結領域(3)の方を向いた側に、互いに協働する一対のフォークのそれぞれ1つのフォーク(31、32)を有し、各フォーク(31、32)は、フォーク歯先(33、33’)とフォーク底部(34)とを備え、
前記フォーク底部に嵌合ブロック(4)が配置されており、該嵌合ブロックの側面(44)が前記フォーク(31、32)の内口径に相当する距離を有し、前記側面(44)は、前記フォーク(31、32)の側部面に面状に当接するように形成されており、
少なくとも1つの取付ねじ(5)が前記フォーク(31、32)を横切って配置されていることを特徴とする、接続スリーブ。
【請求項2】
前記嵌合ブロック(4)に、前記取付ねじ(5)のための収容孔(45)が前記フォーク(31、32)の延在方向に対して横向きに、好ましくは2つの収容ブッシュ(1、2)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の接続スリーブ。
【請求項3】
前記嵌合ブロック(4)の前記ラテラル面は、嵌合面としての前記フォーク側部面と相補的に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の接続スリーブ。
【請求項4】
前記ラテラル面の距離は、前記フォーク歯先(33、33’)の前記距離に相当することを特徴とする、請求項3に記載の接続スリーブ。
【請求項5】
前記側面は互いに傾けられており、フォーク(31、32)の方向の距離のほうが小さいことを特徴とする、請求項3または4に記載の接続スリーブ。
【請求項6】
前記フォーク面は、好ましくは前記側面と同じ角度の分だけ相補的に傾けられていることを特徴とする、請求項5に記載の接続スリーブ。
【請求項7】
前記嵌合ブロック(4)における前記収容孔(45)は、前記取付ねじ(5)と遊び嵌めを形成することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【請求項8】
前記フォーク(31、32)における前記収容開口部(35、35’)と前記フォーク底部(34)との前記距離は、前記嵌合ブロック(4)における前記収容孔(45)と前記フォーク底部(34)との距離より大きいことを特徴とする、請求項2~7のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【請求項9】
前記2つの収容ブッシュの前記フォーク(31、32)および/または前記嵌合ブロック(4)は互いに対称に形成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の接続スリープ。
【請求項10】
前記フォーク(31、32)の口径は、前記収容されるべきプロテーゼシャフトの口径より大きく寸法設定されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【請求項11】
前記連結領域における前記口径は、前記収容ブッシュ(1、2)の領域における口径より大きいが、1/4より大きくなく、好ましくは最大で1/10であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【請求項12】
前記フォーク(31、32)と前記嵌合ブロック(4)とは一体に形成されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【請求項13】
フォーク(31、32)ごとに固有の取付ねじ(5)が設けられていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは大腿骨などの細長い骨において互いに対向して配置された2つのプロテーゼのアンカリングシャフトのための接続スリーブに関する。補強スリーブは、それぞれ1つのプロテーゼシャフトに対して2つの収容ブッシュと、該2つの収容ブッシュ間に配置されたずれ不能(schubfest)、かつ相対回動不能な(drehfest)接続のための分離可能な連結領域と、を備えている。
【背景技術】
【0002】
特に細長い骨は両端に関節を備えていることが多い。これは特に、例えば大腿骨または上腕骨などの主な四肢の細長い骨に当てはまる。病気や摩耗といった理由から一方または両方の端部に人工関節、つまり関節内プロテーゼ(Gelenkendoprothesen)が埋め込まれることになる可能性がある。少なからぬ場合において、このことは、まず骨の一端で行われ、他端で同時に行われるか、後の時点に行われるか、または全く行われない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
細長い骨が病気、特に骨欠損にもとづいて、関節内プロテーゼを端部で支持するには弱くなりすぎる場合もある。さらに、遅くとも他端に第2の関節内プロテーゼを埋め込んだ後に不都合なこと(Komplikationen)が起こり得ることが判明した。不都合なこととは、特に、この事例では両端から細長い骨に差し込まれるアンカリングシャフトがそれぞれの端領域(すなわち、シャフトが差し込まれているところ)では骨の補強をもたらすが、2つのアンカリングシャフトのどちらもない中間領域ではそのかぎりでないということであり得る。そのためこの領域は、生物学的にはそれ自体健康であったとしても、アンカリングシャフトによって補強された端領域と比べると比較的弱化される。この場合、医療実践において、不均等な力の分散と、それにより局所的に高められた比較的高い負荷とにより骨折が生じ得ることが分かった。
【0004】
それぞれの端部に関節内プロテーゼのシャフトのための収容ブッシュを1つずつ有し、これらの収容ブッシュ間に固定された(starr)連結部品を有する補強インプラントが知られている(特許文献1)。連結部品は楔コネクタとして形成されている。この楔コネクタは、対称であるが互いに反対方向に配置された2つの楔部品を有し、これらの楔部品の先端がそれぞれもう一方の収容ブッシュにおけるポケット状の切欠部に係合する。それにより、閉じた状態において良好な力の伝達と高い信頼性とを有する分離可能な連結が実現される。しかしそのことには、所望の高い取付信頼性を実現するために、そのような楔コネクタに高い製造精度が要求されるという欠点がある。さらにポケット状の切欠部の作製にかなりのコストがかかるが、得ようとする回動阻止のためには重要である。こうしたすべてのことが、より広範囲に使用するための、および例えば上腕骨(Oberarmknochen)に使用するべく小型化するための制約となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コストがそれほどかからず、かつ比較的小さい実施形態のためにより良く適する改良された補強インプラントを提供するという課題にもとづいている。
【0006】
本発明による解決策は独立請求項の特徴である。有利な展開形態は従属請求項の主題である。
【0007】
本発明によれば、殊に大腿骨などの細長い骨に互いに対向して配置される2つのプロテーゼのアンカリングシャフトのための補強スリーブであって、補強スリーブの一端にプロテーゼシャフトのうちの1つのための第1収容ブッシュと、補強スリーブの対向する一端にプロテーゼシャフトのうちの第2のプロテーゼシャフトのための第2収容ブッシュと、第1収容ブッシュと第2収容ブッシュとの間に配置された分離可能な、およびずれ不能、かつ相対回動不能に接続可能な連結領域と、を備える補強スリーブでは、これらの収容ブッシュが、連結領域の方を向いた側に、互いに協働する一対のフォークのそれぞれ1つのフォークを有し、各フォークは、フォーク歯先とフォーク底部とを備え、フォークの基部(フォーク底部)に嵌合ブロックが配置されており、該嵌合ブロックの側面がフォークの内口径に相当する距離を有し、側面は、フォークの側部面に面状に当接するように形成されており、少なくとも1つの取付ねじがフォークを横切って配置されている。
【0008】
本発明は、連結のためのフォーク型式が公知の楔接続よりも簡単に作成することができ、それでも力の伝達および信頼性に関する諸要求を満たすという知見にもとづいている。特に、望ましくない回動の決定的に重要な(kritisch)防止、すなわち相対回動不能性(Drehfestigkeit)が本発明によるフォーク構造によって良好に、しかも明らかに少ないコストで実現される。本発明は、従来技術からそれぞれ知られているような楔接続の場合とは異なり、フォーク構造には精密な嵌め合いの必要がないことを利用する。基本的に、フォークと嵌合ブロックとの間の遊び嵌め(Spielpassung)で十分であり、過大な遊びは取付ねじによって解消される。したがって本発明は、良好な力の伝達特性、つまり高い相対回動不能性と、製造公差に対する低い要求との組み合わせを簡潔な手法で実現する。このようなことは従来技術に例がない。
【0009】
次に、使用されるいくつかの概念について解説する。
【0010】
フォークとは、少なくとも2つの細長い、かつ平行の歯先のような突出部を有し、これらの2つの突出部がU字のように配置されており、2つの突出部間にフォーク底部を有する型式と解される。この場合、フォーク底部は別の部材によってなってもよく、例えば、場合によってはフォークと一体に形成されていてもよいブロックによってなってもよい。
【0011】
本発明によれば、中間領域における骨の状態に左右されることなく少ないコストで、プロテーゼの2つのアンカリングシャフト間に力の橋渡し(Kraftbruecke)が形成される。この力の橋渡しは機能的に十分に足りるものであり、それにより場合によっては中間領域における骨を切除することができる。したがって本発明は、特に上腕骨などの細い骨の処置にも適している。
【0012】
嵌合ブロックにおいて、厳密には殊に2つの収容ブッシュに、取付ねじのための収容孔がフォークの延在方向に対して横向きに設けられていることが合目的的である。収容孔のこのような配置によって、本発明によるフォークとして形成された連結部の固着(Sicherung)と、その一方で、遊びの合目的的な低減とを取付ねじによって達成することができる。これは特に、収容孔がそれぞれの嵌合ブロックにおける両方の収容ブッシュに設けられている場合である。フォークごとに1つの固有の取付ねじが設けられていることが好ましい。
【0013】
嵌合ブロックのラテラル面がフォーク側部面に対して相補的に形成されていることが好ましい。したがってラテラル面がフォークのための嵌合面として機能し、それにより力の伝達のために好都合な面状の当接が生じる。このことは力の伝達のために一般的に有利であるばかりでなく、望ましくない回動の防止、したがって相対回動不能性を高める。この場合、ラテラル面の距離は、この距離がフォーク歯先の距離に相当するように選択されていることが有利である。
【0014】
嵌合ブロックのラテラル面は互いに傾けて、厳密にはラテラル面がフォークの方向、すなわちフォーク歯先が向く方向の距離のほうが小さくなるように形成されていることが好ましい。それにより横断面で見たとき、これらのラテラル面が円錐形状に延び、それによって嵌め合わせることが容易になり、その一方で遊びをなくすことが実現し易くなる。この場合、フォーク面がラテラル面に対して、厳密には殊にラテラル面と同じ角度の分だけ相補的に傾けられることが有利である。このようにすることで高い力の伝達と相対回動不能性とにとって最適な面全体の角度の一致が得られる。
【0015】
嵌合ブロックにおける収容孔が、これが取付ねじと遊び嵌めをなすように形成されていることが合目的的である。遊び嵌めは、これがより簡単に、かつより少ないコストで作製できるという利点を提供するというのではなく、さらに遊び嵌めはある程度の不正確さを補償するのに適しているという利点を提供する。このようにすることで、取付ねじを締めることによって、それがフォークまたは嵌合ブロックの公差によるものであれ、他の理由によるものであれ寸法偏差(Massabweichung)の補償を実現することができる。
【0016】
場合によっては独立した保護を受けるに値する本発明の特に有利な態様では、フォークにおける収容孔とフォーク底部との距離は、嵌合ブロックにおける収容孔とフォーク底部自体との距離より大きい。このことは、このようにすることで、嵌め合わせたときに、それぞれ対向して配置された嵌合ブロックにおいて係合する2つのフォークがその最終位置に達してから、フォーク底部がそれぞれ対向する嵌合ブロックに当接するという知見にもとづいている。それにより力の伝達が嵌合ブロックにおけるラテラル面を介して行われることが確保されている。それにより、二重の力伝達経路ができ、この二重の伝達経路を介して力が平行にフォーク底部を経由して嵌合ブロックに直接作用し得ることが阻止される。それにより不静定な(statisch unbestimmt)状況を確実に回避できるのでこれは大きい利点である。
【0017】
フォークおよび/または嵌合ブロックは、2つの収容ブッシュにおいて互いに対称に形成されていることが合目的的である。最も好都合な場合には両側で同じ部品を使用することができるので、このことは製造と使用とを簡略化する。それによりとり違えることが不可能になる。
【0018】
フォークの口径(Weite)は、収容されるべきプロテーゼシャフトの口径より大きく寸法設定されていることが好ましい。このようにすることで好都合な力伝達状況が生じる。したがってフォーク歯先に作用するモーメントは、アンカリングシャフト自体に作用するモーメントよりむしろ小さい。それによりフォークとの連結領域における過負荷の危険に、簡単であるが効果的な仕方で対処される。
【0019】
連結領域における口径は、収容ブッシュの領域における口径より大きいことが好ましい。それにより決定的に重要な連結領域において多少大きくした口径が、屈曲不能性(Knickfestigkeit)および相対回動不能性のために好都合なモーメントをより良く支えることを可能にするという利点がもたらされるという事実が考慮される。したがって、アセンブリ全体は比較的コンパクトなままであり、それによりアセンブリ全体が、例えば上腕骨などの薄く細長い骨に埋め込むためにもなお適している。骨の直径に口径を適応させること、殊に略同じ大きさ、または最大10~20%小さく、もしくは大きくすることが合目的的である。
【0020】
フォークと嵌合ブロックとが一体に形成されていることが合目的的である。このことは、より簡単な製造という利点と、アセンブリ全体の全体として小さめの寸法を実現する可能性とを提供する。
【0021】
以下、本発明を実施例にもとづき図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】第1実施例に係る接続スリーブの個々の部品の図である。
【
図4】フォークと嵌合ブロックとの連結領域を示す詳細拡大図である。
【
図5】上腕骨に接続スリーブを埋め込んだ状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による接続スリーブの一実施例が記載される。本発明による接続スリーブは、両端のそれぞれに収容ブッシュ1、2と、これらの収容ブッシュ間に連結領域3とを備えている。この場合、参照符号1で示された収容ブッシュは遠位側に割り当てられるものとし、参照符号2で示された収容ブッシュは近位側に割り当てられるものとする。
【0024】
収容ブッシュ1、2は実質的に同じ構造である。これらの収容ブッシュは、それぞれの収容孔の長さが異なる、および口径が異なるという点でしか違わない。例示的に遠位に配置された収容ブッシュ1をもとにして説明する。この収容ブッシュは、実質的に平滑な外殻を有する中空円筒状の形態であり、好ましくは生体適合性材料、特にチタンまたはコバルトクロムモリブデン(CoCrMo)などの金属から製造されている。外径は、埋め込みが予定されている骨の幅に合わせて調整されている。外径は、ふつう、場合によっては切除された骨の直径と略一致するように選択されることが多い。これは、外径が骨の幅(Breite)に相当するより大きくならないように選択されることを意味する。この実施例において、接続スリーブは、上腕骨(Humerus 9)に埋め込むよう予定されている。
【0025】
収容ブッシュ1は、その内部空間に、軸方向に延びる中空空間10を有している。この中空空間は円筒状孔として形成されているが、別の形状であってもよい(円錐形状、段付き孔など)。中空空間10は、収容ブッシュ1の外側の端面で開口している。収容ブッシュ1の外套には穴列の対がそれぞれ互いに対向して設けられている。表側または裏側に複数の穴15が配置されている(
図2bを参照)のに対して、両ラテラル面では複数の穴16が軸方向にずらして配置されている(
図2aを参照)。その際、穴15、16間のずれは、穴列が穴間隔の約半分だけ互いにずれるように選択されている。このことは
図1に示されている。
【0026】
さらに、収容穴15、16は、これらの収容穴が内部空間10の中心軸線19の方を向くように位置合わせされている。これらの収容穴は、収容空間10に挿入されるエンドプロテーゼのアンカリングシャフトを取り付けるための取付ねじを収容するために用いられる。このために、収容穴15、16は、いもねじ(Madenschraube)として形成された取付ねじ18を収容するべくそれぞれねじ山17、18を備えている(
図3を参照)。
【0027】
近位の収容ブッシュ2は、中空空間20と穴25、26と中心軸線29とを備えて相応に形成されている。繰り返しを避けるために、意味上同じことが言える収容ブッシュ1についての上記の説明を参照されたい。図示された実施例において、収容ブッシュ2は収容ブッシュ1より多少短く形成されている。
【0028】
連結領域3は、近位の収容ブッシュまたは遠位の収容ブッシュ1、2のそれぞれの端面に対向する端にある。2つの収容ブッシュ1、2の各々にはそれぞれ1つのフォーク31、32が配置され、フォークは、互いに正反対に対向するそれぞれ2つのフォーク歯先33、33’を有している。2つのフォーク歯先33、33’は、それぞれ鏡像的に形成されている。これらのフォーク歯先は一端に、それぞれ互いに一直線に並ぶ開口部35、35’を有し、これらの開口部は取付ねじ5を収容するために用いられる。このために開口部35’は、取付ねじ5のボルトにおける雄ねじと協働するように形成された雌ねじを有している。開口部35は貫通穴として形成され、取付ねじ5の頭部を収容するための凹所(Versenkung)を有する。
【0029】
2つのフォーク歯先33、33’はU字形に配置され、これらのフォーク歯先間にはフォーク底部34がある。フォーク底部34にはjそれぞれ1つの嵌合ブロック4が設けられている。この嵌合ブロック4は、図示された実施例のようにそれぞれのフォーク31、32と一体に形成されていてもよい。2つの嵌合ブロック4の各々は収容孔45を有し、この収容孔は、それぞれの収容ブッシュ1、2の長手軸線19または29に対して横向きに形成されている。収容孔は取付ねじ5のシャフトを収容するために用いられる。収容孔43の直径は、取付ねじ5のシャフトとの遊び嵌めが形成されるように選択されている。取付ねじ5のねじ山領域には、ねじ固定のためにそれぞれPEピン(PE-Stift)51を収容可能である。
【0030】
嵌合ブロック4は、互いに対向する2つのラテラル面44を有し、収容孔45はラテラル面でそれぞれ始まり、または終わる。これらのラテラル面44の間隔は2つのフォーク歯先33、33’の間隔に相当する。これらのラテラル面44は、好ましくは互いにわずかに斜めに位置合わせされ、それによりラテラル面は互いに対して、収容孔10、20の方を向いた側に、フォーク歯先33、33’の方を向いた側より多少大きい間隔を有する。間の角度αが約5°であることが合目的的である。
【0031】
したがって、フォーク歯先33、33’は、その内面も同様に円錐形状にわずかに広がっている。これはフォーク歯先の外側の自由端と嵌合ブロック4との距離がフォーク底部34の方向より多少大きいことを意味する。このために間の角度βも同様に嵌合面44の角度αと一致するように選択されることが好ましい。これらの角度が一致することによって、力の伝達のために有利なフォーク歯先33、33’と嵌合ブロック4のラテラル面44との面状の当接が生じる。さらに、これらの角度によってある程度の公差の差異が補償され、それにより絶対的に正確に製造されなくても確実な力結合的接続が生じる。
【0032】
組立ては以下のように行われる。2つのフォーク31、32を互いに対向する位置に配し、その際、一方のフォーク31を他方のフォーク32に対して90°回動させる(
図4を参照)。次いで、フォーク31、32を有する2つの収容ブッシュ1、2を、これらが互いに係合する(
図1を参照)まで互いに向かって動かす。その際、一方のフォーク31のフォーク歯先33、33’が対向するフォーク32の嵌合ブロック4のラテラル面44に当接するとともに、その逆のことが行われる。それにより2つのフォーク31、32の各々の開口部35、35’がそれぞれもう一方のフォーク32、31の嵌合ブロック4の収容孔45と一直線に並ぶ。次いで取付ねじ5のそれぞれ1つが開口部35、35’と収容孔45とに差し込まれて締め込まれる。締め込まれることによってフォーク31、32の内面の円錐形状の形態との協働により、遊びを補償する、確実な、かつ公差に影響されない2つの収容ブッシュ1、2の相互の取付けが実現される。したがって2つの収容ブッシュ1、2間に固定され、相対回動不能な力の伝達が生じる。
【0033】
さらに
図4に関して説明する。そこには嵌合ブロック4における収容孔45の穴中心の距離の寸法がアルファベットのdで示される。さらにフォーク歯先33、33’における開口部35、35’の穴中心の距離の対応する寸法が寸法Dで示される。これらの寸法は、寸法Dが寸法dと等しくなく、多少大きくなるように選択されることが有利である。それによりフォーク31とフォーク32との間の接続が取付ねじ5によって行われ、力が不静定な仕方で嵌合ブロック4の端面を介して伝わらないことが確保される。このようにすることで、公差の相違に対する非感度(Unempfindlichkeit)をさらに高めることが実現される。
【0034】
図5は、上腕骨9に埋め込まれた状態の接続スリーブを示す。遠位に配置された収容ブッシュ1と近位に配置された収容ブッシュ2とが、それらの間にある連結領域3とともに見て取れる。連結領域3における口径が収容ブッシュ1、2の口径よりわずかに増やしてある。図示された実施例において、口径は約10%大きい。このようにすることで、2つの収容ブッシュ1、2間の決定的に重要な連結領域3における、実際の使用において無視できるほどの、かつ生理的適合性の高い(physiologisch gut vertraeglich)拡開により2つの収容ブッシュ1、2の相対する改善された取付けが生じる。