(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッドのための低い背部のクラウン質量
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220523BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220523BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114913
(22)【出願日】2020-07-02
(62)【分割の表示】P 2017557360の分割
【原出願日】2016-05-05
【審査請求日】2020-07-29
(32)【優先日】2015-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8753224(US,B1)
【文献】特開2005-130935(JP,A)
【文献】特表2011-511664(JP,A)
【文献】特表2011-528265(JP,A)
【文献】特開2000-014841(JP,A)
【文献】特開2007-151758(JP,A)
【文献】特開2008-104864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 71/00
A63B 71/06
A63B 69/36
G06F 19/00
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記
ゴルフクラブヘッドの外辺部を画定するクラウンを有するゴルフクラブヘッド本体と、
前記クラウンとは反対側のソールと、
ヒール端部とは反対側のトウ端部と、背部端部と、およびホーゼルと、
クラブフェースと、
外側面と、
内側面と、
ヘッド重心と、
前記クラウンの厚みを増加することによって形成されているとともに前記クラウンの前記外側面から突出しており、重量部材重心と、前記クラウンに沿う細長い弓状の形状と、を有する重量部材と、を備え、
前記ヘッド重心は、x軸とy軸とz軸を含む座標系の起点を画定しており、
前記x軸は、前記ヘッド重心を通って前記トウ端部から前記ヒール端部まで延びており、
前記y軸は、前記ヘッド重心を通って前記クラウンから前記ソールまで延びており、
前記z軸は、前記ヘッド重心を通って前記クラブフェースから前記背部端部まで延びており、
前記x軸および前記z軸は、アナログ時計の数字と一致するように構成され、
前記z軸は、前記クラブフェースを通る12時の位置と前記背部端部を通る6時の位置の間に延びており、
前記x軸は、前記トウ端部を通る3時の位置と前記ヒール端部を通る9時の位置の間に延びており、
前記重量部材は、前記クラウンの前記外側面の外辺部の一部の周りに配置されており、
前記重量部材の第1端部が前記クラウンのトウ端部に向けて略3時の位置に配置されており、前記重量部材の第2端部が前記クラウンのヒール端部に向けて配置されており、
前記重量部材の長さは、前記第1端部から前記第2端部まで伸びる前記重量部材の中心線に沿って測定され、
前記重量部材の長さが1.0インチから6.0インチの間の範囲であり、
前記重量部材は、任意の位置の断面で中空ではなく、
前記重量部材は、前記ゴルフクラブヘッド本体と同一の材料で構成されており、
前記重量部材の重量が、35グラムから130グラムの範囲であり、
前記クラウンの前記厚みは、0.10インチと0.30インチの間の範囲の最大高さを有しており、
前記外辺部に対して任意の位置における前記ヘッド重心から前記中
心線までの第1の距離は、前記外辺部に対して任意の位置における前記ヘッド重心から前記クラウンまたは前記ソール上の前記クラブヘッドの前記内側面までの任意の第2の距離よりも大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記重量部材は、
前記x軸
よりも前記背部端
部の側に配置されており、ここで、前記x軸は前記ヘッド重心を通って前記トウ端部から前記ヒール端部まで延びている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記重量部材は、(a)0.25~1.5インチの幅、(b)0.05~0.45インチの突出高さ、(c)1.0~5.5インチの長さ、または(d)これらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記重量部材は複数の重量部材を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記複数の重量部材の各重量部材は、前記クラウンによって画定された前記外辺部の一部に沿って延びる、請求項4に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記重量部材の前記第2端部は、前記クラウンによって画定された前記外辺部に沿って前記6時の位置と前記9時の位置の間の略中間に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記クラウンは、前記クラブフェースから前記背部端部まで延びているクラウン表面湾曲を画定し、前記重量部材は前記クラウン表面湾曲から突出する、請求項1~6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記クラウンおよび前記重量部材は、前記クラブフェースから前記背部端部まで延びている二峰性外形を有するクラウン表面湾曲を画定する、請求項1~7のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記クラウンおよび前記重量部材は、前記クラウンにより画定される前記外辺部の一部において、前記クラブフェースから前記背部端部まで延びている二峰性外形を有するクラウン表面湾曲を画定する、請求項1~8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記重量部材は裁量的な重量から形成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記
ゴルフクラブヘッドは、ドライバ型クラブヘッド、ウッド型クラブヘッド、またはハイブリッド型クラブヘッドである、請求項1~10のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記重量部材は、前記ゴルフクラブヘッドの総重量の15%~55%の範囲の重量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記重量部材は、前記ドライバ型クラブヘッドの総重量の15%~35%の範囲の重量を有する、請求項
11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記重量部材は、前記ウッド型クラブヘッドの総重量の20%~40%の範囲の重量を有する、請求項
11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記重量部材は、前記ハイブリッド型クラブヘッドの総重量の25%~55%の範囲の重量を有する、請求項
11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記重量部材は、前記ドライバ型クラブヘッドでは35g~60gの範囲の重量を有する、請求項
11に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、2015年5月5日出願の米国特許仮出願第62/157,306号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、ゴルフクラブ、より詳細には、重心からの距離をより大きくして重量を位置決めすることによって慣性モーメントを増大させるゴルフクラブヘッドのクラウンにおける裁量的な重量の質量に関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブは、ウッド、ハイブリッド、アイアン、ウェッジ、またはパター等の種々の形をとり、これらのクラブは、一般にヘッドの形状および設計(例えば、ウッドとアイアンの相違)、クラブヘッドの材料、シャフトの材料、クラブの長さ、およびクラブのロフトが異なる。
【0004】
ウッドおよびハイブリッドは一般に、アイアンおよびウェッジよりも長いシャフトおよび小さなロフトを有する。したがって、ウッドまたはハイブリッドで打たれたゴルフボールは、一般にアイアンまたはウェッジで打たれたゴルフボールよりも長い距離を移動する。シャフトが長く、ロフトが小さいほど、ゴルフボールの飛距離は長くなるが、この組み合わせは寛容性が小さくもなる。より長いシャフトでは、ゴルファーが、アドレス時にゴルフボールからより離れて立つ必要がある。これは、ゴルフスイングの間、ゴルフボールにインパクトするようにクラブヘッドをスクエアに戻すのがより困難になる。インパクト時にわずかに開いているかまたはわずかに閉じているゴルフクラブにより、ゴルフボールは所望の標的線で打たれないため、精度が低下する。さらに、より長いシャフトからのより速いスイング速度は、ゴルフクラブフェースの中心、すなわち「スイートスポット」と一貫して接触させるのがより困難になり得る。オフセンターヒットにより、ゴルフボールに対してサイドスピンをより多く与えることになり得る。ウッドおよびハイブリッドの小さなロフトでは、より少ないバックスピンがインパクト時にゴルフボールに与えられ、与えられたサイドスピンはさらに悪化し、望ましくないフックまたはスライスにつながり、さらに精度を低下させる。
【0005】
方向寛容性を改善するために、ゴルフクラブ製造業者は、インパクト時のゴルフクラブの慣性モーメントを増大させるための努力をしてきた。慣性モーメント(または「MOI」)は、角加速度、すなわちねじれへの体の抵抗の尺度である。ゴルフクラブヘッドのMOIが大きくなれば大きくなるほど、ゴルフクラブヘッドはインパクト時のねじれに抵抗し、ゴルフボール精度は、特にオフセンターヒット(すなわちミスショット)に対して改善される。加えて、高MOIゴルフクラブヘッドの高められた安定性により、ゴルフボールは、ねじれの低減に伴うエネルギー損失の低減により、オフセンターヒットに対してボール速度の損失が減る。ゴルフクラブヘッドの高MOIは、さらにオフセンターヒット時のスピン速度の一貫性およびゴルフボールの打ち出し角をさらに高める。
【0006】
ウッドおよびハイブリッドは種々の公知の設計を有するが、特にオフセンターヒット(例えば、ゴルフボールとゴルフクラブフェースのスイートスポット以外の位置との接触)に対する精度を改善するために方向寛容性を向上させる(例えば、左右のばらつきの低減)必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、重量部材を有するゴルフクラブヘッドの実施形態の平面図である。
【
図7】
図7は、ドライバ、フェアウェイウッド、およびハイブリッドを含む
図1のクラブヘッドの例示的クラブヘッドに関連するデータを提供する表である。
【
図8】
図8は、ドライバ、フェアウェイウッド、ハイブリッド、およびアイアンを含む
図1のクラブヘッドの例示的クラブヘッドに関連するデータを提供する別の表である。
【
図9】
図9は、
図8に提示される特定のデータのグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態は、裁量的な重量を他の公知のゴルフクラブヘッドよりもヘッド重心から遠くに配置することによって、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメント(MOI)を増大および/または最大化するクラブヘッド設計を含む。裁量的な重量またはその一部は、クラブヘッドの背部のクラウンによって画定される外辺部の一部の周りに延びる重量部材の形でクラブヘッドクラウンの外側面に配置される。重量部材をクラブヘッドクラウンの外側面に配置することによって、重心と裁量的な重量との間の距離は、クラブヘッドのソールの内側面または外側面に裁量的な重量を配置するクラブヘッドよりも長くなる。したがって、クラブヘッドのMOIが増大されて、方向、軌道、および距離においてより高い寛容性および一貫性を提供する。
【0009】
他の特徴および態様は以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。本開示の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本開示はその適用において、以下の説明に記載されているか、または図面に示されている構成部品の詳細または構成および配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態を支持することが可能であり、種々の方法で実施または実行することができる。特定の実施形態の説明は、本開示の趣旨および範囲内のすべての変形、等価物、および代替物を網羅することを制限すると意図されていないことを理解すべきである。また、本明細書で用いられている表現または用語は、説明のためのものであり、限定としてみなすべきではないと理解すべきである。
【0010】
本明細書に記載される裁量的な重量とは、クラブヘッドの構造的完全性に影響を与えることなく性能を最適化するように移動可能なクラブヘッドの総重量の一部を意味する。
【0011】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等は、類似要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続した順序または古い順を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される実施形態が例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の順序で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。さらに、用語「含む」および「有する」ならびにこれらの任意の活用形は、要素のリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置が必ずしもそれらの要素に限定されていないが、明示的に列挙されていないか、またはかかるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に固有ではない他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を網羅することが意図される。
【0012】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「の上」、「の下」等は、説明目的で使用され、必ずしも永久的な相対位置を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される製造装置、製造方法、および/または製造物品の実施形態が、例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の配向で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。
【0013】
用語「連結する(couple、couples)」、「連結された」、「連結している」等は、広く理解されるべきであり、2つまたはそれ以上の要素を機械的に、または別の方法で接続することを意味する。(機械的なまたは別の方法での)連結は、任意の長さの時間、例えば、永久的、または半永久的、またはほんの一瞬であってもよい。
【0014】
本開示の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本開示はその適用において、以下の説明に記載されているか、または以下の図面に示されている構成部品の構成および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施または実行することができる。
【0015】
考察および理解を容易にするために、また説明のみを目的として、以下の詳細な説明は、フェアウェイウッドであるゴルフクラブヘッド10を示す。フェアウェイウッドは、本明細書で開示したように、MOIおよび方向寛容性を増大させるクラブヘッド10の外側面に配置された裁量的な重量を例示する目的で提供されることを理解すべきである。開示された裁量的な重量の配置は、MOIを増大させるために移動できる裁量的な重量を有する任意の所望のウッド、ハイブリッド、またはその他クラブに使用してもよい。例えば、クラブヘッド10としては、ドライバ、フェアウェイウッド、またはハイブリッドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0016】
図1~
図4は、ゴルフクラブと一緒に使用されるゴルフクラブヘッド10の実施形態を示す。
図1~
図4を概して参照すると、クラブヘッド10は、ヒールまたはヒール端部18の反対側にトウまたはトウ端部14、ソール34とは反対側のクラウン30、背部または後部または背部端部26、およびホーゼル38の中心を通って延びるホーゼル軸36を有する本体12を備える。クラブヘッド10は、背部端部26とは反対側のフェースまたはクラブフェースまたはストライクフェース22と、外側面78と、内側面82と、幾何学的中心を有するクラブフェース22とをさらに備える。
【0017】
図1及び
図4を参照すると、クラウン30は、側面図で見たときにクラウン表面湾曲または外形84を画定し(
図4)、平面図で見たときに外辺部74を画定する(
図1)。クラブヘッド10は、ヘッド重心86と、クラウン30に隣接して配置され、重量部材の重心88を有する重量部材または複数の重量部材70とをさらに備える。
【0018】
図1及び
図4を参照すると、ヘッド重心86は、x軸500、y軸510、およびz軸520を含む座標系の起点を画定する。x軸500は、ヘッド重心86を通ってトウ端部14からヒール端部18まで延び、y軸510はヘッド重心86を通ってクラウン30からソール34まで延び、z軸520は、ヘッド重心86を通ってクラブフェース12から背部26まで延びる。さらに説明すると、x軸500およびz軸520は、アナログ時計の数字と一致するように構成され、z軸520は12時(クラブフェース22を通る「12」)と6時(背部26を通る「6」)の間に延び、x軸500は、3時(トウ端部14を通る「3」)と9時(ヒール端部18を通る「9」)の間に延びる。
【0019】
図示された実施形態では、
図1~
図4を参照すると、重量部材70は、トウ14近傍に位置する第1の端部92と、ヒール18近傍に位置する第2の端部96とを備える。
図1~
図4の図示された実施形態では、重量部材70は、クラウンの外部に、かつクラウンにより画定された外辺部の一部の周りに配置される。重量部材70は幅200および突出高さ204を有する。突出高さ204は、重量部材70の幅200に沿って変化でき、突出高さの外形208を画定する。
【0020】
図示された実施形態では、
図1~
図4を参照して、重量部材70は細長い形状を有し、重量部材70の突出高さの外形208は第1の端部92から第2の端部96まで略一定である。具体的には、重量部材70の突出高さ204は、幅200に沿って変化でき、弓状のまたは曲面形状を画定する。曲面状の突出高さの外形208は、重量部材70の幅200に沿って略中心に配置された最大突出高さ212を有し、最大突出高さ212は、重量部材70の第1の端部92から第2の端部96まで略一定である。
【0021】
その他の実施形態では、重量部材70は、多角形または少なくとも1つの曲面を有する形状が挙げられるがこれに限定されない任意の好適な形状であってもよい。例えば、重量部材70は、円形、三角形、楕円形、台形、または任意の他の形状であってもよい。さらに、重量部材の突出高さの外形208は任意の外形を有することができ、重量部材70の幅200に沿って一定であっても、または任意の容量で変化してもよい。例えば、突出高さの外形208は、最大突出高さ212が、重量部材70の幅200に沿ったどの位置にも配置できるように、線形、二次式、指数関数式、または上述の突出高さの外形208の組み合わせであってもよい。さらに、突出高さの外形208および最大突出高さ212は、重量部材70の第1の端部92から第2の端部96まで変化してよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、幅200は、0.05~2.5インチ(1.27~63.5mm)の範囲であってよい。例えば、幅200は、0.25インチ(6.35mm)~1.5インチ(38.1mm)であってもよく、または幅200は約0.25インチ(6.35mm)超、約0.5インチ(12.7mm)超、約0.66インチ(16.8mm)超、約0.75インチ(19.0mm)超、もしくは約1.0インチ(25.4mm)超であってもよい。さらなる例として、幅200は、約0.3インチ(7.6mm)、0.4インチ(10.2mm)、0.5インチ(12.7mm)、0.6インチ(15.2mm)、0.7インチ(17.8mm)、0.8インチ(20.3mm)、0.9インチ(22.9mm)、または1.0インチ(25.4mm)であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、最大突出高さ212は、0.05インチ(1.27mm)~0.45インチ(11.43mm)の範囲であってもよい。例えば、最大突出高さ212は0.10インチ(2.54mm)~0.30インチ(7.62mm)であってもよく、または最大突出高さは約0.10インチ(2.54mm)、0.15インチ(3.81mm)、0.175インチ(4.45mm)、0.20インチ(5.08mm)、0.225インチ(5.72mm)、0.25インチ(6.35mm)、0.275インチ(6.99mm)、0.30インチ(7.62mm)、もしくは0.35インチ(8.89mm)であってもよい。
【0024】
図5に示す図示した実施形態では、最大突出高さ212は、ソールに配置された重量部材を有する公知のゴルフクラブヘッドの最大突出高さよりも高い。ソール重量部材を有する公知のゴルフクラブヘッドでは、重量部材の重心は典型的にはクラブヘッド内に配置される。重量部材の重心がクラブヘッド外に配置されている、ソール重量部材を有する公知のゴルフクラブヘッドにおいて、最大突出高さは、図示した実施形態において最大突出高さ212よりもかなり低い。
【0025】
図示された実施形態では、
図1~
図4を参照して、重量部材70およびクラウン表面湾曲84は、クラウン30により画定される外辺部74の一部でクラブフェース22から背部端部26まで延びる非線形外形または二峰性外形または二峰性スロープを有する変形クラウン表面湾曲または外形85(
図3に示す)を一緒に画定する。一般に、変形クラウン表面外形85のスロープは、重心86と垂直に位置合わせしたクラウン30の部分(
図3)から重量部材70へと小さくなり、重量部材70の一部に沿って小さくまたは大きくならなくなり、次に外辺部74の一部に隣接しているまたはそこにある背部端部26まで小さくなる。その他の実施形態では、変形クラウン表面外形85は、本明細書に記載されている変形クラウン表面外形85とは異なるように変化してもよい。例えば、変形クラウン表面外形85は、線形、二次式、指数関数式、または上述の変形クラウン表面外形85の組み合わせであってもよい。
【0026】
図示された実施形態では、
図1~
図4を参照すると、重量部材70は、クラウン30の外側面78に隣接して配置され、クラウン表面湾曲84の上方に突出し、もしくはクラウン表面湾曲84から突出し、またはクラウン表面湾曲84の上方に延びる。その他の実施形態では、重量部材70は、クラウン30の内側面82に隣接して配置されてもよく、クラウン表面湾曲84の下方に突出するか、またはクラウン表面湾曲84の下方に延びてもよい。
【0027】
図示された実施形態では、
図1~
図4を参照すると、重量部材70は、クラウン30により画定される外辺部74の一部分に隣接して、その近傍に、またはそれに沿って延びる連続した部分またはバンドである。その他の実施形態では、重量部材70は、クラウン30により画定される外辺部74の一部分に隣接して、その近傍に、またはそれに沿って延びる複数の重量または重量部材70を含んでもよい。さらに、1つもしくは複数の重量部材70はクラウン30の外側面78に配置されてもよく、1つもしくは複数の重量部材70はクラウン30の内側面82に配置されてもよく、または1つもしくは複数の重量部材70はクラウン30の外側面78および内側面82に配置されてもよい。
【0028】
図示された実施形態では、
図1~
図4を参照すると、重量部材70は、重量部材70がトウ端部14とヒール端部18の間に延びるx軸500の背部側26に画定された四分円を通って延びるようにクラウン30に隣接して配置される。重量部材70はさらに、z軸520が重量部材70を6時で二分するようにz軸520と交差している。すなわち、重量部材の重心88は、
図1に示すように平面図で見たときに6時の位置に配置される。その他の実施形態では、重量部材70は、クラブヘッド10の背部26に向かうx軸500の側に画定された四分円の任意の位置に設けられてもよい。別の言い方をすれば、重量部材70は、重量部材の重心88がヒール端部18よりもトウ端部14の近傍に位置するように、3時から6時の四分円内の任意の位置に設けられ、かつ/または重量部材の重心88がトウ端部14よりもヒール端部18の近傍に位置するように、6時から9時の四分円内の任意の位置に設けられてもよい。
【0029】
図1~
図2に示す図示した実施形態は、重量部材70がクラウン30の外側面78に配置され、クラウン30の周りを弓状または曲面状に延びてクラウン30の外辺部74により画定される湾曲と合致していることを示す。重量部材70は、
図1で見たときに外辺部74内のクラウン30に配置される。
【0030】
図1~
図5、特に
図5を参照すると、重量部材の重心88は、クラウン30から垂直距離220において位置する。クラウン30の外辺部74に沿う任意の位置において、中心曲線250がクラウン30から垂直距離220において配置されるように、重量部材70は、重量部材の重心88を通って延び、重量部材70の外形に沿う中心曲線250を含む。
【0031】
多くの実施形態では、重量部材70は、第1の端部92から第2の端部96まで延びる中心線250に沿って測定される長さをさらに含む。多くの実施形態では、長さは0.10~6.0インチ(2.54~152.4mm)の範囲であってよい。例えば、長さは2.5インチ(63.5mm)~5.5インチ(136.7mm)であってもよく、または長さは約0.10インチ(2.54mm)超、約0.50インチ(12.7mm)超、約1.0インチ(25.4mm)超、約1.5インチ(38.1mm)超、約2.0インチ(50.8mm)超、または約2.5インチ(63.5mm)超であってもよい。さらなる例として、長さは、約2.5インチ(63.4mm)、3.0インチ(76.2mm)、3.5インチ(88.9mm)、4.0インチ(101.6mm)、4.5インチ(114.3mm)、または5.0インチ(127mm)であってもよい。
【0032】
図示した実施形態では、重量部材70は、重量部材70からヘッド重心86までの距離を最大化するようにクラウン30の外側面78に配置される。
図4および
図5に示すように、重量部材70は、中心曲線250がクラブヘッド10の外辺部74に対して任意の特定の位置でヘッド重心86から第1の距離D
1だけ延びるように配置される。距離D
1は、クラブヘッド10の外辺部74に沿った位置と共に変化し得る。第1の距離D
1は、クラブヘッド10の外辺部74に対して同じ特定の位置で測定したとき、ヘッド重心86からクラブヘッド10のクラウン30またはソール34上の内側面82または外側面78までの任意の距離よりも長くてよい。例えば、
図4は、第1の距離D
1が、ヘッド重心86からクラブヘッド10のクラウン30の内側面82まで延びる第2の距離D
2およびヘッド重心86からクラブヘッド10のソール34の内側面82まで延びる第3の距離D
3の両方よりも長いことを示しており、D
1、D
2、およびD
3は、外辺部74に沿うほぼ6時の位置で測定される。同じ関係が、クラブヘッド10の外辺部74に沿う任意の他の位置、例えば、5時の位置または7時の位置で測定したときに、距離D
1、D
2、およびD
3にも当てはまり得る。
【0033】
クラブヘッド10は、チタン、スチール、アルミニウム、他の金属、金属合金、複合材料、または任意の材料の組み合わせ等の任意の材料から作製することができる。重量部材70は、クラブヘッド10と同じ材料から作製してもよく、または、重量部材70は、チタン、スチール、アルミニウム、他の金属、金属合金、複合材料、または任意の材料の組み合わせ等のクラブヘッド10とは異なる材料から作製してもよい。重量部材がクラブヘッド10とは異なる材料を含む実施形態では、重量部材70の密度はクラブヘッドの密度よりも大きくてよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、重量部材70の密度はさまざまであってよい。
図12を参照すると、重量部材70は、1つまたは複数の高密度領域90(例えば、重量部材70の残りの領域よりも高い密度を有する重量部材70の領域)を有することができる。例えば、
図12aを参照すると、重量部材は、トウバイアスを達成するために第1の端部92の近傍に高密度領域90を有することができる。さらなる例として、
図12bを参照すると、重量部材は、ヒールバイアスを達成するために第2の端部96の近傍に高密度領域90を有することができる。さらなる例として、
図12cを参照すると、重量部材70は重量部材70の中心の近傍に高密度領域90を有することができる。さらなる例として、
図12dを参照すると、重量部材70は、第1の端部92の近傍の第1の高密度領域90および第2の端部96の近傍の第2の高密度領域を含む複数の高密度領域90を有することができる。他の実施形態では、重量部材70の密度は、重量部材70に沿う任意の位置、複数の位置、または位置の組み合わせにおいてより大きくすることができる。さらに、その他の実施形態では、重量部材70の密度は個々の位置で、または任意の外形に従ってさまざまであってよい。さらに、重量部材が1つまたは複数の高密度領域90を含む実施形態において、重量部材70の残りの領域は、高密度領域90外に重量部材70の質量を低減するためのシェルを備えるかまたは空洞を有することができる。
【0035】
重量部材70は、以下にさらに詳細に説明するように、約5g~約150gの範囲であり得る質量または重量を有する。重量部材70が1つまたは複数の高密度領域90を含む実施形態において、高密度領域90は、重量部材70の質量の少なくとも一部を占める。いくつかの実施形態では、高密度領域90は、重量部材70の質量の大半を占めてよい。例えば、高密度領域90は、重量部材70の質量の約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%を占めてよい。
【0036】
重量部材70は質量または重量を有し、重量部材70の重量は、クラブヘッド10の裁量的な重量の一部であっても、または重量部材70の重量は、クラブヘッド10の裁量的な重量と同じであってもよい。重量部材70の重量がクラブヘッド10の裁量的な重量の一部である場合、残りの裁量的な重量は、クラブヘッド10のクラウン30以外の領域、例えば、ソール34、フェース22、ホーゼル38、または上に列挙した位置の組み合わせに配置されてよい。
【0037】
クラブヘッド10の裁量的な重量の量は、クラブヘッド10の種類によりさまざまである。例えば、裁量的な重量は、クラブヘッド10の総重量および長さによりさまざまであり、5g~150g以上の範囲であってよい。
図7は、例示的なドライバ、フェアウェイウッド、およびハイブリッドについてのクラブヘッド10の総重量、クラブヘッド10の裁量的な重量、クラブヘッド10の総重量の割合としての裁量的な重量、および組み立てたゴルフクラブの長さの範囲を示す表を示す。例えば、裁量的な重量は、ドライバの場合約20~60g(ドライバ型クラブヘッド10の総重量の約15~35%)の範囲であってよく、裁量的な重量は、フェアウェイウッドの場合約45~85g(ウッド型クラブヘッド10の総重量の約20~40%)の範囲であってよく、裁量的な重量はハイブリッドの場合約70~130g(ハイブリッド型クラブヘッド10の総重量の約25~55%)の範囲であってよい。一般に、クラブヘッド10の総重量の割合として測定される裁量的な重量は、クラブヘッド10の重量が増し、またクラブヘッド10の長さが短くなるにつれ増加する。
【0038】
図8~
図9は、ドライバ、フェアウェイウッド、ハイブリッド、およびアイアンを含むゴルフクラブの例示的なセットに関する裁量的な重量、ゴルフクラブの長さ、スイング重量、およびクラブヘッド10の総重量の相互に依存する関係を示す。
図8に示すように、裁量的な質量として列挙された裁量的な重量の量は、ゴルフクラブのスイング重量(D0~D6等のA0(最も軽い)~F9(最も重い)の値が一般に割り当てられた「SWT」)、ゴルフクラブの長さ(すなわち、インチ単位で測定した「クラブ長さ」)、およびクラブヘッド10の重量(g単位で測定した)が変化するにつれ、変化する。開示されたクラブ長さ、ヘッド重量、スイング重量、および裁量的な重量は、例示のために提供され、
図8~
図9で開示されたデータ点よりも多いかまたは少ないさまざまなまたは多様なクラブ長さ、ヘッド重量、スイング重量、および/または裁量的な重量を含んでもよいことを理解すべきである。
【0039】
一般に、クラブヘッド10は、ゴルフのスイングを妨げない範囲でスイング重量を保つためにクラブが長いほど軽くなる。ゴルフクラブが軽すぎるスイング重量を有する場合、クラブの性能は、クラブヘッドの低MOIおよびヘッド重心86の不良な配置により低下する。ゴルフクラブが重すぎるスイング重量を有する場合、クラブはスイングしインパクト時に打つのが難しくなり得る。
【0040】
図8を参照すると、裁量的な重量が、D3である同じ標的スイング重量を有するが、44インチ(112cm)~48インチ(122cm)のさまざまなクラブ長さ、および202.5g(最長の48インチ(122cm)長のドライバの場合)~208.5g(最短の44インチ(112cm)長のドライバの場合)の対応するさまざまなヘッド重量を有する例示的なドライバの群のために提供される。裁量的な重量は、39.5g、すなわちヘッド総重量の約19.5%(最長の48インチ(122cm)長のドライバの場合)以上~45.5g、すなわちヘッド総重量の約21.8%(最短の44インチ(112cm)長のドライバの場合)以上の範囲である。本明細書に記載されているドライバは例示的なドライバであるが、同じ関係が約400cc以上の体積、約5~16°のロフト、および約43インチ以上のクラブ長さを有するドライバにも当てはまり得る。さらに、他の例示的なドライバは、400cc~470cc(400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、または470ccを含む)の範囲の体積、0~20°(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、または20°を含む)の範囲のロフト、および30インチ(76cm)、31インチ(79cm)、32インチ(81cm)、33インチ(84cm)、34インチ(86cm)、35インチ(89cm)、36インチ(91cm)、37インチ(94cm)、38インチ(97cm)、39インチ(99cm)、40インチ(102cm)、41インチ(104cm)、42インチ(107cm)、43インチ(109cm)、44インチ(112cm)、45インチ(114cm)、46インチ(117cm)、47インチ(119cm)、48インチ(122cm)、49インチ(124cm)、または50インチ(127cm)以上のクラブ長さを有してよい。
【0041】
さらに
図8を参照すると、裁量的な重量はさらに、D1の同じ標的スイング重量を有するが、43インチ(ロフトが小さい3-ウッドの場合)~41.5インチ(ロフトが大きい9-ウッド)のさまざまなクラブ長さ、および219g(3-ウッドの場合)~232g(9-ウッドの場合)の対応するさまざまなヘッド重量を有する例示的なフェアウェイウッドの群のために提供される。裁量的な重量は、59g、すなわちヘッド総重量の約26.9%(3-ウッドの場合)以上~72g、すなわちヘッド総重量の約31.0%(9-ウッドの場合)以上の範囲である。本明細書に記載されているフェアウェイウッドは例示的なフェアウェイウッドであるが、同じ関係が約115~300ccの体積、約10~40°のロフト、および約38~44インチ(97~112cm)のクラブ長さを有する任意のフェアウェイウッドにも当てはまり得る。
【0042】
さらに
図8を参照すると、裁量的な重量はさらに、D1の同じ標的スイング重量を有するが、40.75インチ(103.5cm)(ロフトが小さい2-ハイブリッドの場合)~38.75インチ(98.4cm)(ロフトが大きい6-ハイブリッド)のさまざまなクラブ長さ、および230g(2-ハイブリッドの場合)以上~250g(6-ハイブリッドの場合)の対応するさまざまなヘッド重量を有する例示的なハイブリッドの群のために提供される。裁量的な重量は、90g、すなわちヘッド総重量の約39.1%(2-ハイブリッドの場合)以上~110g、すなわちヘッド総重量の約44.0%(6-ハイブリッドの場合)以上の範囲である。本明細書に記載されているハイブリッドは例示的なハイブリッドであるが、同じ関係が約80~140ccの体積、約15~60°のロフト、および約35~42インチ(89~107cm)のクラブ長さを有する任意のハイブリッドにも当てはまり得る。
【0043】
さらに
図8を参照すると、裁量的な重量はさらに、D0の同じ標的スイング重量を有するが、38.875インチ(98.7cm)(ロフトが小さい4-アイアンの場合)~35インチ(88.69cm)(ロフトが大きいウェッジ)のさまざまなクラブ長さ、および239g(4-アイアンの場合)以上~306g(ウェッジの場合)の対応するさまざまなヘッド重量を有する例示的なアイアンの群のために提供される。裁量的な重量は、24g、すなわちヘッド総重量の約10.1%(4-アイアンの場合)以上~43g、すなわちヘッド総重量の約14.1%(ウェッジの場合)以上の範囲である。本明細書に記載されているアイアンは例示的なアイアンであるが、同じ関係が約15~60°のロフトおよび約35~42インチ(88.9~107cm)のクラブ長さを有する任意のアイアンにも当てはまり得る。
【0044】
図9は、従来の標的スイング重量に対して、クラブ長さ(インチ単位)とクラブヘッド10の総重量(g単位)との例示的な関係をグラフで示す。
図8でデータをグラフで示すことにより、本明細書に記載される例示的なゴルフクラブのヘッド重量、クラブ長さ、およびスイング重量(それにより、裁量的な重量)の相互に依存する関係が、データ点と0.9818というR
2の値で示される決定係数との高い相関関係を証拠として示される。
【0045】
本明細書に記載される重量部材70は、ヘッド重心86の位置ならびにy軸510、x軸500、および/またはホーゼル軸36を中心としたクラブヘッド10のMOIに影響を与える。重量部材70の配置によってヘッド重心86ならびにy軸510、x軸500、および/またはホーゼル軸36を中心としたクラブヘッド10のMOIを変更することにより、スイング中、ゴルフボールとのインパクト時、または両方の組み合わせ(すなわち、スイング中およびゴルフボールとのインパクト時)のときのゴルフクラブの性能特性を変えることができる。
【0046】
スイング中、クラブヘッド10は、ホーゼル軸36を中心に回転し、ゴルフボールとのインパクト時にフェース22をスクエアにする。スイング中にフェース22をスクエアにすることにより、所望のボール方向を促す。インパクト時、ヘッド重心86の位置に対するフェース22におけるゴルフボールとの接触位置は、ゴルフボールのスピン、すなわちギア効果に影響を与える。飛んでいる間、ゴルフボールはスピンする、すなわち軸を中心に回転する。ゴルフボールの回転軸は、地面に垂直な垂直軸および地面に平行な水平軸を含む成分に分解できる。垂直軸を中心としたゴルフボールのスピン成分はボール方向に影響を与える。水平軸を中心としたゴルフボールのスピン成分は軌道および距離に影響を与える。ギア効果については、以下の実施例にてさらに詳細に説明される。
【0047】
例えば、x軸500方向にヘッド重心86からずれたフェース22でのゴルフボールのインパクトによって、クラブヘッド10はy軸510を中心に第1の方向に回転し、それによって、垂直軸を中心とした第1の方向とは逆の第2の方向におけるゴルフボールのスピン成分を付与する。垂直軸を中心としたゴルフボールのスピン成分はゴルフボールのフェードまたはドローに影響を与える。同様に、y軸510方向にヘッド重心86からずれたフェース22でのゴルフボールのインパクトによって、クラブヘッド10はx軸500を中心に第3の方向に回転し、それによって、水平軸を中心とした第3の方向とは逆の第4の方向におけるゴルフボールのスピン成分を付与する。水平軸を中心としたゴルフボールのスピン成分はゴルフボールの軌道および距離に影響を与える。
【0048】
典型的には、ゴルフクラブ設計においては、x軸500およびy軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIが増大されることが望ましい。x軸500および/またはy軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIを増大させることにより、x軸500および/またはy軸510それぞれを中心としたクラブヘッド10の回転に対する抵抗が増加し、インパクト時のオフセンターヒットによりクラブヘッドおよびゴルフボールの回転が減少する。x軸500を中心としたクラブヘッド10のMOIを増大させることにより、オフセンターインパクトによってゴルフボールの水平スピン成分が小さくなり、それにより、ボール軌道および距離における寛容性および一貫性が高くなる。y軸500を中心としたクラブヘッド10のMOIを増大させることにより、オフセンターインパクトによってゴルフボールの垂直スピン成分が小さくなり、それにより、ボール方向における寛容性および一貫性が高くなる。軸を中心としたクラブヘッド10のMOIは、重量部材の重心86と軸との間の垂直距離を増加または最大化することによって増大または最大化できる。
【0049】
図4に示す図示された実施形態では、重量部材の重心88とヘッド重心86との間の距離がヘッド重心により近く配置された重量部材を有する公知のクラブヘッドと比べて増加または最大化されるように、重量部材70はクラウン30の外側面78に配置される。具体的には、ヘッド重心により近く配置された重量部材を有する公知のクラブヘッドと比べて、重量部材の重心88とy軸510との間の垂直距離(したがって、y軸510を中心としたクラブヘッド10のMOI)が増加または最大化され、重量部材の重心88とx軸500との間の垂直距離(したがって、x軸500を中心としたクラブヘッド10のMOI)が増加または最大化される。したがって、重量部材70を有するクラブヘッド10は、(y軸を中心としたクラブヘッドのMOIの増大により)方向寛容性および一貫性を増加または最大化させ、(x軸を中心としたクラブヘッドのMOIの増大により)ゴルフボールの軌道および距離の一貫性を増加または最大化させた。
【0050】
クラブヘッド10における重量部材70の位置を使用して、ホーゼル軸36を中心としたクラブヘッド10のMOIに影響を与えることもできる。例えば、重量部材の重心88は、クラブヘッド10のヒール18の近傍に、またはトウ14の近傍に配置されて、ヒールまたはトウバイアスを作り出すことができる。
【0051】
重量部材の重心88がトウ14よりもヒール18の近傍に(すなわち、6時~9時の位置)あるように重量部材70を配置することは、ヘッド重心86をヒール18の方に移動させ、ヘッド重心86からホーゼル軸36までの垂直距離を小さくし、それによりホーゼル軸36を中心としたクラブヘッド10のMOIを小さくする。したがって、クラブヘッド10は、スイング中のホーゼル軸36を中心とした回転に対する抵抗が小さくなり、使用者はインパクト時にフェース22をより容易にスクエアでき、使用者がゴルフボールを開いたフェース22とインパクトさせる傾向を矯正できる。逆に、重量部材の重心88がトウ14よりもヒール18の近傍に(すなわち、3時~6時の位置)あるように重量部材70を配置することは、ヘッド重心86をトウ14の方に移動させ、ヘッド重心86からホーゼル軸36までの垂直距離を大きくし、それによりホーゼル軸36を中心としたクラブヘッド10のMOIを大きくする。したがって、クラブヘッド10は、スイング中のホーゼル軸36を中心とした回転への抵抗が大きくなり、使用者がゴルフボールを閉じたフェース22とインパクトさせる傾向を矯正する。
【0052】
図6を参照すると、概念実証試験を実行して、y軸510を中心とした重量部材70を有するクラブヘッド10のMOIの増大、ひいてはクラブヘッド10の寛容性の増加を実証した。概念実証によって、重量部材70の位置および/または裁量的な重量の位置がクラブヘッド10のヘッド重心86から離れて移動するにつれ、y軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIは増大することが実証される。この結論を示すために、裁量的な重量を同心円または同心バンド102a~dに沿ってヘッド重心86から距離dを離していきながら移動させ、重量部材70の形で再配置した。y軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIは、クラブヘッドのクラウン30において裁量的な重量を再配置せずに計算した(ベースライン)。次に、y軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIをバンド102a、102b、102c、および102dそれぞれに沿って重量部材70の形で再配置された裁量的な重量について個別に計算した。次に、y軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIは、裁量的な重量をまったく再配置しなかった場合(ベースライン、すなわち、重量部材70なし)よりも、バンド102dに沿って裁量的な重量を重量部材70の形で再配置した場合に顕著に増大した(最大約50%増大した)。
【0053】
図13を参照すると、重量部材70を有するクラブヘッド10は、重量部材のない同様のコントロールクラブヘッドと比べて、ゴルフボールの着地位置のばらつきが少ない(楕円形傾向線により示される)ことを示す。
図13に示す結果は、スイング状況(例えば、スイング速度および姿勢)が制御された例示的なフェアウェイウッド型ゴルフクラブを利用した。重量部材70を有するクラブヘッド10のゴルフボールの着地位置のばらつきが小さいことは、クラブヘッド10のMOIの増大の結果である。
【0054】
図示した実施形態では、クラウン30の外側面78における重量部材70の位置により、クラブヘッドの空気力学的利益をもたらすことができる。例えば、クラウン30の外側面78における重量部材70の位置により、空力抵抗の減少、したがってクラブヘッド10の速度上昇をもたらすことができる。クラブヘッド10の速度上昇により、ゴルフボールの飛距離が大きくなり得る。
【0055】
図示した実施形態では、重量部材70は、クラウン30の外側面78に配置されるため、ヘッド重心86は、重量部材70のないクラブヘッド10のヘッド重心86よりも、クラブヘッド10のクラウン30および背部26の近くに配置される。ヘッド重心86がクラブヘッド10のクラウン30寄りに移動することにより、インパクト時のゴルフボールにさらなる望ましくないバックスピンを付与し、これによってゴルフボールの飛距離が減少し得る。記述された影響を弱めるためには、インパクト時のゴルフボールへのバックスピンを減少させるその他の公知の方法が実施されてもよい。例えば、ゴルフボールへのバックスピンの減少はクラブフェース22の表面粗さを増大させることによって達成され得る。一般に、x軸500およびy軸510を中心としたクラブヘッド10のMOIの増大に起因するゴルフボールのさらなる方向および距離の寛容性および一貫性は、クラブヘッド10のクラウン30に対するヘッド重心86の位置による望ましくない影響を上回る。
【0056】
図示した実施形態では、クラウン30の外側面78にある重量部材70の位置により、代替的位置における追加の裁量的な重量または非裁量的な重量の釣り合わせを必要とし得る。例えば、クラブヘッド10の内部または外部構造は、内部または外部幾何形状を加えるか、クラブヘッド10の本体12の材料または幾何形状を変更するか、クラブフェース22の材料または幾何形状を変更するか、または上記変更の任意の組み合わせによって、クラウン30の外側面78における重量部材70の位置を釣り合わせるように調整できる。
【0057】
図11は重量部材70を有するクラブヘッド10の製造方法を示す。本方法は、クラウン30、ソール34、ヒール18、トウ14、背部端部26、およびホーゼル38を有する本体12を提供することと、クラブフェース22を提供することと、重量部材70を提供することと、重量部材70およびクラブフェース22をクラブ本体12に形成または連結することとを含む。いくつかの実施形態では、本体12を提供することは、本体12を鋳造または機械加工することを含む。その他の実施形態では、本体12は、機械加工または3Dプリント等の任意の他の適切な方法を使用して形成することができる。いくつかの実施形態では、クラブフェース22を提供することは、クラブフェース22を機械加工することを含む。その他の実施形態では、クラブフェース22は、鋳造または3Dプリント等の任意の他の適切な方法を使用して形成することができる。いくつかの実施形態では、重量部材70を提供することは、重量部材70を形成するための鋳造、機械加工、3Dプリント、または任意の他の適切な方法を含み得る。
【0058】
本明細書に記載されているクラブヘッド10の製造方法は、単なる例示であり、本明細書にて提案される実施形態に限定されない。本方法は、本明細書に具体的には記述または記載されていない多くの異なる実施形態または実施例で採用されてもよい。いくつかの実施形態では、記載される本方法のプロセスは任意の好適な順序で行われてもよい。その他の実施形態では、プロセスの1つまたは複数は組み合わされても、分けられても、または飛ばされてもよい。
【0059】
重量部材70は、鋳造中に本体12と同時に形成されてもよく、または重量部材70が別個に形成され、クラブヘッド10の本体12に連結されてもよい。重量部材70が鋳造中に本体12と同時に形成される場合、クラウン30の外側面78に設けられた追加の重量により、鋳造プロセス中の溶融材料の流量が増加し、重量部材70を有するクラブヘッド10を形成できる。
【0060】
図10に示すように、クラブヘッド10は、トウ側14に第1のポートまたはゲート106と、ヒール側18に第2のポートまたはゲート110と、クラブヘッド10の後部に第3のポートまたはゲート114とを備える。各ゲート106、110、114により、鋳造中に溶融材料をモールドに導入し、重量部材70を一体的にクラウン30に形成できる。溶融材料の流れの方向は矢印108、112、および116によって示される。第3のゲート114近傍のクラウン30における重量部材70の位置により、重量部材70を収めるのに必要とされる第3のゲート114の開口部の断面積サイズの増加ゆえに鋳型を通る溶融材料の流量が増加する。溶融材料の流量の増加および/または溶融材料がより自由に動く能力の向上は、クラウン30、ソール34、ヒール18、および/またはトウ14へ溶融材料が流れ、鋳型の比較的薄いセクションに到達し、クラブ本体12からスラグおよび/または微粒子を運び出すのを補助する。その他の実施形態では、重量部材70は、クラウン30の鋳造後に別個の部品としてクラウン30に取り付けられるか、または別の方法で固定されてもよいことを理解すべきである。さらに、重量部材70は、鋳造以外のプロセス、例えば、金属射出成形(MIM)、個別の鋳造、鍛造、機械加工、印刷、またはラピッドプロトタイピングを使用して本体12と同時に形成されてもよい。
【0061】
項目1:ゴルフクラブヘッドであって、クラブヘッドの外辺部を画定するクラウン、クラウンとは反対側のソール、ヒール端部とは反対側のトウ端部、背部端部、およびホーゼルを有する本体と、クラブフェースと、外側面と、内側面と、ヘッド重心と、クラウンの外側面または内側面の一方に配置されており、重心を有しており、クラウンに沿う細長い弓状の形状を有する重量部材とを備える、ゴルフクラブヘッド。
【0062】
項目2:重量部材は、x軸の背部端部寄りの側に配置されており、ここで、x軸はヘッド重心を通ってトウ端部からヒール端部まで延びている、項目2に記載のゴルフクラブヘッド。
【0063】
項目3:重量部材は、(a)約0.25~1.5インチの幅、(b)約0.05~0.45インチの突出高さ、(c)約2.5~5.5インチの長さ、または(d)これらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つをさらに含む、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0064】
項目4:重量部材は複数の重量部材を備える、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0065】
項目5:複数の重量部材の各重量部材は、クラウンによって画定された外辺部の一部に沿って延びる、項目4に記載のゴルフクラブヘッド。
【0066】
項目6:複数の重量部材は、クラブヘッドの外側面に配置された少なくとも1つの重量部材と、クラブヘッドの内側面に配置された少なくとも1つの重量部材とを備える、項目4に記載のゴルフクラブヘッド。
【0067】
項目7:クラウンは、クラブフェースから背部端部まで延びているクラウン表面湾曲を画定し、重量部材はクラウン表面湾曲から突出する、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0068】
項目8:クラウンおよび重量部材は、クラブフェースから背部端部まで延びている二峰性外形を有するクラウン表面湾曲を画定する、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0069】
項目9:クラウンおよび重量部材は、クラウンにより画定される外辺部の一部において、クラブフェースから背部端部まで延びている二峰性外形を有するクラウン表面湾曲を画定する、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0070】
項目10:重量部材は裁量的な重量から形成される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0071】
項目11:クラブヘッドは、ドライバ型クラブヘッド、ウッド型クラブヘッド、またはハイブリッド型クラブヘッドである、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0072】
項目12:重量部材は、ゴルフクラブヘッドの総重量の約15%~55%の範囲の重量を有する、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0073】
項目13:重量部材は、ドライバ型クラブヘッドの総重量の約15%~35%の範囲の重量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0074】
項目14:重量部材は、ウッド型クラブヘッドの総重量の約20%~40%の範囲の重量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0075】
項目15:重量部材は、ハイブリッド型クラブヘッドの総重量の約25%~55%の範囲の重量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0076】
項目16:重量部材は、20g~130gの範囲の重量を有する、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0077】
項目17:重量部材は、ドライバ型クラブヘッドでは20g~60gの範囲の重量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0078】
項目18:重量部材は、ウッド型クラブヘッドでは45g~85gの範囲の重量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0079】
項目19:重量部材は、ハイブリッド型クラブヘッドでは70g~130gの範囲の重量を有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0080】
項目20:ゴルフクラブヘッドであって、クラブヘッドの外辺部を画定するクラウン、クラウンとは反対側のソール、ヒール端部とは反対側のトウ端部、背部端部、およびホーゼルを有する本体と、クラブフェースと、外側面と、内側面と、ヘッド重心と、クラウンの外側面または内側面の一方に配置されており、重心を有しており、さらに、外辺部の任意の位置において、クラウンから同じ垂直距離で配置されるように重量部材の重心を通って延びる中心曲線を有する重量部材とを備え、外辺部に対して特定の位置におけるヘッド重心から中心曲線までの第1の距離は、外辺部に対して特定の位置におけるヘッド重心からクラウンまたはソール上のクラブヘッドの内側面または外側面までの任意の第2の距離よりも大きい、ゴルフクラブヘッド。
【0081】
1つまたは複数の請求された要素の置き換えは、再構成を構成するものであり、修復は構成しない。さらに、利益、他の利点、および問題に対する解決法を、特定の実施形態に関して上記に説明した。しかし、利益、利点、問題に対する解決法、および任意の利益、利点、または解決法を生じさせ得るかまたはそれらをより明白にし得るいずれの要素(1つまたは複数)も、そのような利益、利点、解決法、または要素が請求項のいずれかまたはすべてにおいて明示的に述べられていない限り、そのような請求項の重要、必要、または不可欠な特徴または要素として解釈すべきではない。
【0082】
ゴルフのルールは時々変更され得るため(例えば、ゴルフの標準的組織および/または管理機関、例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、全英ゴルフ協会(R&A)等によって、新たな規則が採用され得るか、または古い規則が削除または変更されてもよい)、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品に関連するゴルフ器具は、任意の特定の時期におけるゴルフのルールに適合する場合も、適合しない場合もある。したがって、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品に関連するゴルフ器具は、適合または非適合ゴルフ器具として宣伝され、市場に出され、かつ/または販売される場合がある。本明細書に記載の装置、方法、および製造物品はこの点で限定されない。
【0083】
上記実施例は、ウッド型ゴルフクラブとの関連で説明され得るが、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のゴルフクラブ、例えば、フェアウェイウッド型ゴルフクラブ、ハイブリッド型ゴルフクラブ、アイアン型ゴルフクラブ、ウェッジ型ゴルフクラブ、またはパター型ゴルフクラブにも適用できる。あるいは、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のスポーツ器具、例えば、ホッケー用スティック、テニスラケット、釣竿、スキーポール等にも適用できる。
【0084】
さらに、本明細書に開示される実施形態および制限は、実施形態および/または制限が(1)請求項に明示的に特許請求されておらず、(2)均等論下で請求項の明白な要素および/または制限の潜在的な等価物である場合に、公有の原則下で公衆に供されない。
【0085】
本開示のさまざまな特徴および利点は以下の請求項に記載される。