(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】エピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/44 20060101AFI20220523BHJP
B29C 39/26 20060101ALI20220523BHJP
B29C 39/02 20060101ALI20220523BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B29C39/44
B29C39/26
B29C39/02
B29C39/24
(21)【出願番号】P 2020562685
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2019004797
(87)【国際公開番号】W WO2019221411
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0055092
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0137351
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】チャン ドンギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンソプ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/108280(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/129460(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/44
B29C 39/26
B29C 39/02
B29C 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周がシーリングされた一対のモールドの間に形成されたキャビティの内部にエピスルフィド系光学材料用モノマー組成物を注入する方法であって、
(a)固相の屈折率1.650~1.820、粘度15~900cps(25℃)のエピスルフィド系光学材料用モノマー組成物を準備する段階と;
(b)前記モノマー組成物を前記キャビティ内に大部分注入する段階と;
(c)前記(b)段階に続いてモノマー組成物をキャビティ内に注入しながらビジョン認識システムを用いて流面を感知し、設定された最終注入地点に流面が感知されるとモノマー組成物の注入を終了する段階と;
を含
み、
前記ビジョン認識システムはモールドの輪郭と前記モールドに注入されるモノマー溶液の流面を撮影するものであり、モールドが注入位置にセッティングされた状態を感知するために、前記モールド輪郭の一部に位置する第1領域と、前記モールドの外側に位置した第2領域を設定することを特徴とする、
エピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項2】
前記ビジョン認識システムは、コントローラが、前記第1領域でモールドの輪郭が感知されると、設定された第1注入圧力でモノマー溶液の大部分をモールド内に注入した後、次いで、前記第1注入圧力よりも低い圧力で残量のモノマー溶液を注入しながら第2領域で流面が感知されるとモノマー溶液の注入を終了することを特徴とする、請求項
1に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項3】
前記第1及び第2領域ではモールドの輪郭及びモノマー溶液の流面を画素数の変化によって感知することを特徴とする、請求項
1又は
2に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項4】
前記第1領域には円弧状に仮想輪郭が表示され、前記第1領域でモールド輪郭の感知時に、撮影されたモールドの輪郭が前記仮想輪郭に一致するように撮影位置調整がなされ、前記第1領域の位置変化にしたがって第2領域の位置が共に移動して流面変化を感知することを特徴とする、請求項
1又は
2に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項5】
前記第1領域は、モールドの外周においてモールドのX方向情報及びY方向情報の両方を有する位置に設定されることを特徴とする、請求項
1又は
2に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項6】
前記モノマー組成物をモールド内に第1注入圧力で注入する段階では、モールド内キャビティ容積の70%~99%を注入することを特徴とする、請求項
2に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項7】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、1個以上のエピスルフィド基を持つ化合物を含むことを特徴とする、請求項
1又は2に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項8】
前記エピスルフィド基を持つ化合物は、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオエチルチオメチル)-1,4-ジチアン及び2-(2-β-エピチオプロピルチオエチルチオ)-1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項
7に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項9】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、ポリチオール化合物、硫黄、ポリイソシアネート化合物のいずれか1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項
7に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項10】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、内部離型剤をさらに含むことを特徴とする、請求項
7に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【請求項11】
前記モノマー組成物の注入が-5℃~50℃の温度範囲で行われることを特徴とする、請求項
7に記載のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周がシーリングされた一対のモールドの間に形成されたキャビティの内部にエピスルフィド系モノマー溶液を注入して光学材料を製造する方法に関し、より詳細には、エピスルフィド系モノマー溶液を前記キャビティ内に注入しながらビジョン認識システムを用いて短時間で定量注入可能にしたエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学材料において、プラスチックレンズはラスレンズに比べて軽く、破れ難く、加工性が良いという長所から、最近ではガラスレンズよりもプラスチックレンズを多く使用する趨勢である。かかるプラスチックレンズは、モノマー(monomer)という高分子化合物をモールドに注入して固めた後、適当な後加工を経て製造される。すなわち、レンズ形状の空いた注入空間(キャビティ)を持つモールドにモノマー溶液を注入する方式で製造される。
【0003】
これに関する従来技術として特許文献1の‘メガネレンズ製造用モールドの移動距離セッティング装置’が開示されている。
【0004】
前記特許文献1は、メガネレンズ製造用ガラスモールドの隔離距離を正確に決定するためにモールドチャックを用いてガラスモールドを互いに離隔して配置させた状態で、ガラスモールドの外周面にテープを接着し、テーピング作業の完了したガラスモールドにモノマー溶液を手作業で注入する方式が紹介されている。
【0005】
ところが、特許文献1に開示のような、ガラスモールド内にモノマーを手作業で注入する技術は、完全に注入者の熟練度に依存するため、熟練度によって不良が発生することがあり、作業効率が低下する問題があった。特に、モノマーを毎度一定量で精密注入することには高度の熟練が必要であり、未熟練者による場合にはモールドの内部に気泡ができる問題がある。
【0006】
その上、液状のモノマーは人体に有害な揮発性気体を発生するため、長時間作業する場合、作業者の健康に悪い影響を及ぼすことがある。
【0007】
エピスルフィド系光学材料は、高屈折率ながらも高アッべ数を有する優れた性質がある。韓国登録特許第10-0681218号ではエピスルフィド系プラスチックレンズを提案している。しかし、このようにエピスルフィド系モノマーだけで重合した光学材料は引張強度、圧縮強度、着色性、ハード接着力、生産性などの面で問題があり、これを解決するために2種類の互いに異なる性質の樹脂を共重合する方法、すなわち、エピスルフィド化合物とポリチオール化合物又はここにポリイソシアネート化合物を共に共重合する方法が韓国特許登録第10-0417985号、日本特許公開平11-352302号などで提案された。生産費の節減は、このようなエピスルフィド系光学素材を含む光学レンズ分野において主な関心事の一つである。人の手を経ずに自動生産設備内で自動注入が可能であれば、生産性の向上はもとより、生産過程における人体有害性の問題も解消できるが、多くの試みにもかかわらずまだ注入自動化には達していない実情である。その原因としてモノマー組成物の高い粘度、組成別の粘度及び可使時間の差異も挙げられている。
【0008】
特許文献2(韓国登録特許第10-1383132号)には‘メガネレンズ用モノマー自動注入装備及びこれを用いたメガネレンズ生産方法’が開示されている。特許文献2では、一対のモールドが形成するキャビティの内部にモノマー溶液を注入する段階でレンズモールドの位置を感知する変位センサー(レーザーセンサー)を使用することによってレンズモールドの位置を把握し、第2移動部によってレンズモールドに満たされる原料のレベルを感知しており、注入ノズルのモノマー注入量は注入量調節部によって調節するが、モノマーが一定レベルに到達すると、モノマーが注入される量を1段階である5mmと2段階である10mmに調節するようになっている。
【0009】
しかし、特許文献2のように変位センサーを用いて原料(モノマー組成物)のレベルを感知する場合、モノマー組成物は水に比べて粘性が高いため、レベルの変化が水平的な変化ではなく2次元的な左右対称形のほう物線状をなすことになり、実時間でレベルを正確に感知することが困難である問題点があった。このため、注入量の段階的調節にもかかわらず正確な量で注入することが難しくなって注入量が不足又は過剰になり、製品不良につながったり或いは溢れ出たモノマー組成物によって注入装備が汚染することがあった。
【0010】
また、特許文献3(日本登録特許第3707189号)の‘プラスチック製品の製造方法及び製造装置’では、プラスチックレンズ製造過程で成型用モールドにプラスチック原液を注入する工程を自動化するための方法であって、キャビティ内側の第1及び第2壁部間の幅を計測して第1流量及び第1期間を設定し、キャビティに第1流量で第1期間、プラスチック原液を注入する第1工程と、第1工程に続いてキャビティに第1流量よりも少ない第2流量でプラスチック原液を注入する第2工程を有することを特徴とし、所定の時間だけ大流量で原液を注入し、その後、注入終了に向かっては少流量で原液を注入することによって、注入時間を短縮すると共に漏れ量を少なくできるようにしている。
【0011】
しかしながら、特許文献3による注入方法ではキャビティ内の空間的な特性を勘案してプラスチック原料の注入量と注入時間を段階的に減少させることによって、注入時間を短縮し、漏れ量を少なくできるようにしているが、モノマーをモールドに注入するとき、粘性の高いモノマー溶液の流面変化特性を勘案していないため、依然として漏れ不良が発生し、定量注入がし難いという短所がある。
【0012】
特許文献4(日本公開特許第2008-80766号)の‘プラスチックレンズの成型方法’では、あたかも酒杯を傾けて酒を注ぐような方式で液状成型材料をモールド内に注入するとき、内部に極力泡を残さずに充填させることができるように、初期には注入口が上方正中から一側にややずれた状態にして注入を開始し、ある程度注入が進んだところでモールドを回転させて(傾けて)注入口を上方正中に位置させて原料モノマーを充填するようにしたプラスチックレンズの成型方法が開示されている。
【0013】
しかしながら、特許文献4は泡を残留させずに原料を注入するには好適な方法であるが、依然として原料を正確な量だけ注入することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】大韓民国登録実用新案第20-0236704号
【文献】大韓民国登録特許第10-1383132号
【文献】日本登録特許第3707189号
【文献】日本特開2008-80766号
【文献】大韓民国登録特許第10-0417985号
【文献】日本特開平11-352302号
【文献】大韓民国登録特許第10-0681218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のような多数の先行技術において光学材料用モノマーをモールドに自動注入するための方法を提示しているが、それらはいずれも、モノマーを溢れたり不足することなく正確な量で注入するには困難があった。また、それぞれのモノマーごとに硬化速度及び硬化時間、粘性、流面が異なるだけでなく、同じ系列のモノマーであっても組成による差異があるため、単純に注入量や速度を段階的に調節する機械的な方法ではモノマー別の差異に対応できず、正確な注入がし難いという問題があった。
【0016】
本発明は上記の問題を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、注入量不足や注入量過剰無しでエピスルフィド系光学材料用モノマー組成物をモールドに正確に注入できるエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法を提供することである。
【0017】
特に、本発明は、エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物をモールドのキャビティに2段階に分けて注入しながら、一段階目で大部分を注入し、続いて二段階目ではビジョン認識システムを用いてエピスルフィド系モノマー溶液の流面を感知し、最終注入地点に流面が感知されると注入を中止することによって、注入する時間を短縮できると共に、モノマー溶液があふれたり不足することなく定量注入できるエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために本発明は、
【0019】
外周がシーリングされた一対のモールドの間に形成されたキャビティの内部にエピスルフィド系光学材料用モノマー組成物を注入する方法であって、
【0020】
(a)固相の屈折率1.650~1.820、粘度15~900cps(25℃)のエピスルフィド系光学材料用モノマー組成物を準備する段階;
【0021】
(b)前記モノマー組成物を前記キャビティ内に大部分注入する段階;
【0022】
(c)前記(b)段階に続いてモノマー組成物をキャビティ内に注入しながらビジョン認識システムを用いて流面を感知し、設定された最終注入地点に流面が感知されるとモノマー組成物の注入を終了する段階;を含む、エピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法を提供する。
【0023】
前記段階(b)は、あらかじめ設定された重量又は体積で前記モノマー組成物を前記キャビティ内に注入したり、或いはビジョン認識システムを用いてモールド内にあらかじめ設定された領域まで注入することができる。
【0024】
前記ビジョン認識システムは、モールドの輪郭と前記モールドに注入されるモノマー溶液の流面を撮影するものであり、モールドが注入位置にセッティングされた状態を感知するために、前記モールド輪郭の一部に位置する第1領域と、前記モールドの外側に位置した第2領域を設定することができる。
【0025】
上記のように第1及び第2領域が設定されたビジョン認識システムは、好ましくは、コントローラが、前記第1領域でモールドの輪郭が感知されると、設定された第1注入圧力でモノマー溶液の大部分をモールド内に注入した後、次いで、前記第1注入圧力よりも低い圧力で残量のモノマー溶液を注入しながら第2領域で流面が感知されるとモノマー溶液の注入を終了する。
【0026】
前記第1及び第2領域ではモールドの輪郭及びモノマー溶液の流面を好ましくは画素数の変化によって感知する。
【0027】
本発明の好ましい実施例において、前記第1領域には円弧状に仮想輪郭が表示され、前記第1領域でモールド輪郭の感知時に、撮影されたモールドの輪郭が前記仮想輪郭に一致するように撮影位置調整がなされ、前記第1領域の位置変化にしたがって第2領域の位置が共に移動して流面変化を感知する。
【0028】
好ましい実施例において、前記第1領域は、モールドの外周において対角線方向、すなわち、モールドのX方向情報及びY方向情報をともに有する位置を意味するものであり、モールドを注入位置に安置時にモールドの位置変化を把握するための部分であり、前記第1領域は第2領域の位置移動の基準となり、第1領域ではモールドが注入位置に着座するとモールドの輪郭を直ちに感知する。
【0029】
好ましい実施例において、前記第2領域は、モールド内のキャビティに気泡無しにモノマー溶液を完全に満たすために、モールドのモノマー注入口から近い位置の外部に設定されており、概してモールド輪郭から1~2mm以内の位置に設置される。
【0030】
好ましい実施例において、前記コントローラは、シリンジに一次注入されたモノマー溶液をモールド内に注入する時、モノマー溶液の70%~99%を高い圧力、すなわち、速い速度で注入し、その残量を低い圧力で徐々に注入するようにシリンジ駆動部を制御する。
【0031】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は1個以上のエピスルフィド基を持つ化合物を含む。
【0032】
好ましくは、前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、ポリチオール化合物、硫黄、ポリイソシアネート化合物のいずれか1種以上をさらに含む。
【0033】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は必要によって内部離型剤をさらに含むことができる。
【0034】
好ましくは、前記モノマー組成物の注入は、-5℃~50℃の温度範囲で行われる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、エピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド内への注入時、ビジョン認識システムを用いて流面を確認しながら最終注入地点に到達するところで自動で注入を中止するので、モノマー溶液が不足することもあふれることもなく定量注入が可能である。
【0036】
また、単純に機械的に注入量や速度を調節するのではなく、残量注入時にビジョン認識システムを用いて流面を確認しながら注入するので、モノマー別の粘性の差異、流面形状の差異に関係なく定量注入が可能である。
【0037】
また、モールド内のキャビティにまず速く大部分のモノマーを注入する段階を備えることによってモノマーの注入時間を短縮できるので、あらかじめ把握した可使時間内に注入が完了するように設定することが容易であり、したがって、モノマー別の硬化速度及び硬化時間の差異に関係なく硬化前に最適の状態で定量注入が可能である。
【0038】
本発明によれば、注入量の不足や過剰による不良無しで高品質のエピスルフィド系レンズを自動注入によって生産できるので、生産性を大きく向上させることができ、人件費の節減によって生産費が低減でき、且つ作業者がモノマーに直接露出される問題及びモノマー組成物の過度な注入による装備の異常動作や故障が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施例によるレンズ製造過程を概略的に示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例によるモノマー自動注入方法の構成図である。
【
図3】
図2でモノマー溶液がシリンジ内に一次吸い込まれた状態を示す図である。
【
図4】
図3でモノマー溶液がモールド内に注入されている状態を示す図である。
【
図5】
図4でモノマー溶液がモールド内に充満された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法を好ましい実施例によって段階別に説明する。
【0041】
本発明のエピスルフィド系光学材料用モノマーのモールド自動注入方法は、
【0042】
(a)固相の屈折率1.650~1.820、粘度15~900cps(25℃)のエピスルフィド系光学材料用モノマー組成物を準備する段階;
【0043】
(b)前記モノマー組成物を外周がシーリングされた一対のモールドの間に形成されたキャビティの内部に大部分注入する段階;
【0044】
(c)前記(b)段階に続いてモノマー組成物をキャビティ内に注入しながらビジョン認識システムを用いて流面を感知し、設定された最終注入地点に流面が感知されるとモノマー組成物の注入を終了する段階;を含む。
【0045】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、1個以上のエピスルフィド基を持つ化合物を含む光学材料用組成物をいずれも含む意味である。本発明において‘モノマー溶液’は、前記モノマー組成物が流動性を持つ液状状態のときを指す。
【0046】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、高相の屈折率1.650~1.820、25℃で粘度が15~900cpsである。より好ましくは、25℃で粘度が20~500cpsである。
【0047】
前記エピスルフィド基を持つ化合物は、例えば、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、2,3-エポキシプロピル(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、2,3-エポキシプロピル(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、1,3及び1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3及び1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]メタン、2,2-ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]スルフィドなどの脂環族骨格を有するエピスルフィド化合物;1,3及び1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2-ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィン、4,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ビフェニルなどの芳香族骨格を有するエピスルフィド化合物;2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオエチルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオエチル)-1,4-ジチアン、2,3,5-トリ(β-エピチオプロピルチオエチル)-1,4-ジチアンなどのジチアン鎖骨格を有するエピスルフィド化合物;2-(2-β-エピチオプロピルチオエチルチオ)-1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス[(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオ]-3-(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、テトラキス(β-エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1-トリス(β-エピチオプロピルチオメチル)プロパン、ビス-(β-エピチオプロピル)スルフィドなどの脂肪族骨格を有するエピスルフィド化合物などを挙げることかできる。その他にも、エピスルフィド化合物として、エピスルフィド基を持つ化合物の塩素置換体、ブロム置換体などのハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、又はポリチオールとのプレポリマー型変性体なども使用することができる。
【0048】
前記エピスルフィド基を持つ化合物として、好ましくは、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、2,3-エポキシプロピル(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、2,3-エポキシプロピル(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、1,3及び1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3及び1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオエチルチオメチル)-1,4-ジチアン、2-(2-β-エピチオプロピルチオエチルチオ)-1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパンのいずれか1種以上を使用することができる。
【0049】
好ましい一実施例において、前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は、ポリチオール化合物、硫黄、ポリイソシアネート化合物のいずれか1種以上をさらに含む。
【0050】
前記ポリチオール化合物は、特に限定されず、1個以上のチオール基を持つ化合物であれば1種又は2種以上を混合して使用することができる。好ましくは、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1-チオール、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン;2-(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1,3-ジチオール、2-(2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロピルチオ)エタンチオール、ビス(2,3-ジメルカプトプロパニル)スルフィド、ビス(2,3-ジメルカプトプロパニル)ジスルフィド、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,2-ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピルチオ)エタン、ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピル)ジスルフィド、2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-2-メルカプト-3-[3-メルカプト-2-(2-メルカプトエチルチオ)-プロピルチオ]プロピルチオ-プロパン-1-チオール、2,2-ビス-(3-メルカプト-プロピオニルオキシメチル)-ブチルエステル、2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-(2-(2-[3-メルカプト-2-(2-メルカプトエチルチオ)-プロピルチオ]エチルチオ)エチルチオ)プロパン-1-チオール、(4R,11S)-4,11-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12-テトラチアテトラデカン-1,14-ジチオール、(S)-3-((R-2,3-ジメルカプトプロピル)チオ)プロパン-1,2-ジチオール、(4R,14R)-4,14-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12,15-ペンタチアヘプタン-1,17-ジチオール、(S)-3-((R-3-メルカプト-2-((2-メルカプトエチル)チオ)プロピル)チオ)プロピル)チオ)-2-((2-メルカプトエチル)チオ)プロパン-1-チオール、3,3’-ジチオビス(プロパン-1,2-ジチオール)、(7R,11S)-7,11-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12,15-ペンタチアヘプタデカン-1,17-ジチオール、(7R,12S)-7,12-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,10,13,16-ヘキサチアオクタデカン-1,18-ジチオール、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ビスペンタエリトリトール-エーテル-ヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン及び2-(2,2-ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)-1,3-ジチアンから選ばれる1種以上を使用することができる。その他にも、1個以上のチオール基を持つ化合物であれば1種又は2種以上を混合して使用することができる。また、ポリチオール化合物にイソシアネート、エピスルフィド化合物、ジエタン化合物、又は樹脂改質剤として不飽和結合を持つ化合物との予備重合から得られた重合変性体も使用可能である。
【0051】
前記ポリチオール化合物は、より好ましくは、2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1-チオール(GST)、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン(FSH)、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン(FSH)、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン(FSH)のいずれか一つ以上である。
【0052】
ポリチオールは、好ましくは、前記モノマー組成物中に1~15重量%含まれ、より好ましくは4~13重量%、さらに好ましくは5~11重量%含まれ得る。
【0053】
前記ポリイソシアネート化合物は、特に限定されず、1個以上のイソシアネート基及び/又はイソチオシアネート基を持つ化合物を使用することができる。例えば、2,2-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテルなどの脂肪族イソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,2-ジメチルジシクロヘキシルメタンイソシアネートなどの脂環族イソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート(XDI)、ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートプロピル)ベンゼン、ビス(イソシアネートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートメチル)ナフタレン、ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ビベンジル-4,4’-ジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)エチレン、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート化合物;ビス(イソシアネートエチル)スルフィド、ビス(イソシアネートプロピル)スルフィド、ビス(イソシアネートヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアネートメチル)スルホン、ビス(イソシアネートメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアネートプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアネートメチルチオ)メタン、ビス(イソシアネートエチルチオ)メタン、ビス(イソシアネートエチルチオ)エタン、ビス(イソシアネートメチルチオ)エタン、1,5-ジイソシアネート-2-イソシアネートメチル-3-チアペンタンなどの含硫黄脂肪族イソシアネート化合物;ジフェニルスルフィド-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジイソシアネートジベンジルチオエーテル、ビス(4-イソシアネートメチルベンゼン)スルフィド、4,4-メトキシベンゼンチオエチレングリコール-3,3-ジイソシアネート、ジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジスルフィド-6,6’-ジイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシジフェニルジスルフィド-3,3’-ジイソシアネートなどの含硫黄芳香族イソシアネート化合物;2,5-ジイソシアネートチオフェン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)チオフェン、2,5-ジイソシアネートテトラヒドロチオフェン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4-ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアネート-1,4-ジチアン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソシアネート-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアネートメチル)-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアネートメチル)-2-メチル-1,3-ジチオランなどの含硫黄複素環イソシアネート化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物が使用可能である。その他にも、1個以上のイソシアネート基及び/又はイソチオシアネート基を持つ化合物であれば1種又は2種以上を混合使用することができる。また、これらのイソシアネート化合物の塩素置換体、ブロム置換体などのハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコール或いはチオールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、或いはダイマー化、トライマー化反応生成物なども使用可能である。
【0054】
ポリイソシアネート化合物として、好ましくは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、3,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、3,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、4,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンから選ばれる1種以上を使用することができる。
【0055】
前記モノマー組成物は硫黄をさらに含むことができる。硫黄をさらに含む場合、屈折率を1.71以上に高めることができる。前記硫黄は、好ましくは、純度98%以上である。98%未満の場合、不純物の影響で光学材料の透明度が低下することがある。硫黄の純度はより好ましくは99.0%以上であり、特に好ましくは、99.5%以上である。通常、商業的に入手可能な硫黄は形状又は精製法によって区別されるが、微粉硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、結晶硫黄、昇華硫黄などがある。本発明では、純度98%以上であれば如何なる硫黄も使用可能である。好ましくは、光学材料用組成物の製造時に、溶解し易い微細粒子の微粉硫黄を使用することができる。モノマー組成物中の硫黄の含有量は、好ましくは組成物の全重量の1~40重量%であり、より好ましくは2~30重量%、最も好ましくは3~22重量%である。
【0056】
前記エピスルフィド系光学材料用モノマー組成物は重合触媒をさらに含むことができる。重合触媒は、好ましくは、アミン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、ホスフィン化合物から選ばれる1種以上を使用する。より好ましくは、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩,ホスフィン化合物から選ばれる1種以上を使用することができる。第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、1-n-ドデシルピリジニウムクロリドなどを使用することができる。第4級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミドなどを使用することができる。ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィンなどを使用することができる。特に好ましくは、前記重合触媒は第4級ホスホニウム塩であり、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミドのいずれか一つを含む。これらの重合触媒は単独で使用したり、或いは2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
前記エピスルフィド系光学材料用組成物は、重合調節剤としてスズハロゲン化合物をさらに含むことができる。前記スズハロゲン化合物は、好ましくは、ジブチルスズジクロリド、ジメチルスズジクロリドのいずれか一つ又はここにモノメチルスズトリクロリドが少量含まれたものを使用することができる。より好ましくは、モノメチルスズトリクロリドは0.1~3.5重量%で含まれ得る。エピスルフィド系光学材料用組成物は、重合硬化させる時に反応が速く進行して組成物の粘度が急激に上昇することがある。前記重合調節剤は反応速度を調節することによって粘度の急激な上昇を抑制できるので、前記重合調節剤の使用によって上記のような問題を解決することができる。前記重合調節剤は、モノマー組成物の全重量の0.01~5重量%で使用することが好ましい。この重合調節剤の使用によって重合速度を調節して粘度の急激な上昇を抑制できるだけでなく、その結果として重合収率が高くなり、気泡の発生もなくなる。
【0058】
前記エピスルフィド系光学材料用組成物中に硫黄を含む場合、プレポリマーを形成した後に重合することが好ましいが、このとき、プレポリマーの形成を円滑にするために、好ましくは重合調節剤としてアルキルイミダゾールをさらに含むことができる。前記アルキルイミダゾールは、特に好ましくは2-メルカプト-1-メチルイミダゾールを含む。2-メルカプト-1-メチルイミダゾールは、好ましくは純度98%以上のものを使用する。モノマー組成物中に好ましくは0.01~5重量%含まれ、より好ましくは0.1~3重量%、より好ましくは0.15~1重量%含まれ得る。
【0059】
また、前記モノマー組成物は、内部離型剤をさらに含むことができる。鋳型重合前に組成物中に内部離型剤を添加することによって、重合後の異型性を大きく向上させることができる。内部離型剤としてはリン酸エステル化合物、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アルキル第4級アンモニウム塩などをそれぞれ単独で又は2種以上共に使用することができる。内部離型剤は、好ましくは重合性組成物中に0.001~10重量%で含まれる。
【0060】
フッ素系非イオン界面活性剤は、分子内にペルフルオロアルキル基を持つ化合物であり、ユニダインDS-401(商標)(日本、ダイキン工業株式会社)、ユニダインDS-403(商標)(日本、ダイキン工業株式会社)、エフトップEF 122A(商標)(日本、新秋田化成株式会社)、エフトップEF 126(商標)(日本、新秋田化成株式会社)、エフトップEF 301(商標)(日本、新秋田化成株式会社)などがある。
【0061】
シリコン系非イオン界面活性剤は、分子内にジメチルポリシロキサン基を持つ化合物であり、米国ダウ社製のQ2-120A(商標)などがある。
【0062】
アルキル第4級アンモニウム塩は、通常、陽イオン界面活性剤として知られているものであり、ハロゲン塩、リン酸塩、硫酸塩などがあり、このうち、クロリド型の例として、トリメチルセチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、トリエチルデシルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ジメチルシクロヘキシルデシルアンモニウムクロリドなどがある。
【0063】
好ましくは、内部離型剤としてリン酸エステル化合物を使用することができる。リン酸エステル化合物は、ホスホラスペントキシド(P2O5)に2~3モルのアルコール化合物を付加して製造するが、この時、使用するアルコールの種類にしたがって様々な形態のリン酸エステル化合物が得られる。その代表には、脂肪族アルコールにエチレンオキシド或いはプロピレンオキシドが付加されたり、或いはノニルフェニル基などにエチレンオキシド或いはプロピレンオキシドが付加された種類などがある。本発明の重合性組成物に、エチレンオキシド或いはプロピレンオキシドが付加されたリン酸エステル化合物が内部離型剤として含まれる場合、異型性が良く、品質に優れた光学材料が得られるので好ましい。本発明の組成物は、内部離型剤として、好ましくは、4-PENPP[ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート(エチレンオキシドが5モル付加されたもの5重量%、4モル付加されたもの80重量%、3モル付加されたもの10重量%、1モル付加されたもの5重量%)]、8-PENPP[ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート(エチレンオキシド9モル付加されたもの3重量%、8モル付加されたもの80重量%、9モル付加されたもの5重量%、7モル付加されたもの6重量%、6モル付加されたもの6重量%)]、12-PENPP[ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート(エチレンオキシド13モル付加されたもの3重量%、12モル付加されたもの80重量%、11モル付加されたもの8重量%、9モル付加されたもの3重量%、4モル付加されたもの6重量%)]、16-PENPP[ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート(エチレンオキシドが17モル付加されたもの3重量%、16モル付加されたもの79重量%、15モル付加されたもの10重量%、14モル付加されたもの4重量%、13モル付加されたもの4重量%)]、20-PENPP[ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート(エチレンオキシドが21モル付加されたもの6重量%、20モル付加されたもの76重量%、19モル付加されたもの7重量%、18モル付加されたもの6重量%、17モル付加されたもの5重量%)]、4-PPNPP[ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテルホスフェート(プロピレンオキシドが5モル付加されたもの5重量%、4モル付加されたもの80重量%、3モル付加されたもの10重量%、1モル付加されたもの5重量%)]、8-PPNPP[ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテルホスフェート(プロピレンオキシド9モル付加されたもの3重量%、8モル付加されたもの80重量%、9モル付加されたもの5重量%、7モル付加されたもの6重量%、6モル付加されたもの6重量%)]、12-PPNPP[ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテルホスフェート(プロピレンオキシド13モル付加されたもの3重量%、12モル付加されたもの80重量%、11モル付加されたもの8重量%、9モル付加されたもの3重量%、4モル付加されたもの6重量%)]、16-PPNPP[ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテルホスフェート(プロピレンオキシド17モル付加されたもの3重量%、16モル付加されたもの79重量%、15モル付加されたもの10重量%、14モル付加されたもの4重量%、13モル付加されたもの4重量%)]、20-PPNPP[ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテルホスフェート(プロピレンオキシドが21モル付加されたもの6重量%、20モル付加されたもの76重量%、19モル付加されたもの7重量%、18モル付加されたもの6重量%、17モル付加されたもの5重量%)]及びZelec UN(商標)から選ばれる1種以上を使用する。このようなリン酸エステル化合物のハロゲン化合物置換体をはじめとする各種置換体を同様の目的で使用できる。
【0064】
前記モノマー組成物は、好ましくは光学材料の光学的な物性を向上させるために、耐衝撃性、比重及びモノマー粘度などを調節する目的でオレフィン化合物を反応性樹脂改質剤としてさらに含むことができる。樹脂改質剤として添加できるオレフィン化合物としては、例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、1,1-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)メタン、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、フェニルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート、キシリレンジチオールジアクリレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプトエチルスルフィドジメタクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、及びアリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネ-ト、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ-トなどのアリル化合物及びスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9-ジビニルスピロビ(m-ジオキサン)などのビニル化合物などがあり、使用可能な化合物がこれらの例示化合物に制限されるわけではない。これらのオレフィン化合物は、単独、又は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0065】
前記モノマー組成物は、その他に、必要によって、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、有機染料、無機顔料、充填剤、密着性向上剤などの様々な添加剤を通常の方法によってさらに含むことができる。
【0066】
前記モノマー組成物の注入は、-5℃~50℃の温度範囲で行われることが好ましい。適切な温度内で注入が行われることによって、可使時間を適切に維持でき、また円滑な重合反応で脈理及び白濁のない高品質の光学材料を得ることができる。より好ましくは、注入時の温度を-5℃~30℃にできる。特に好ましくは-5℃~15℃の範囲にしたとき、最も優れた品質の高屈折エピスルフィド系光学レンズが製造できた。
【0067】
前記段階(b)は、あらかじめ設定された重量又は体積で前記モノマー組成物を前記キャビティ内に注入したり、或いはビジョン認識システムを用いてモールド内にあらかじめ設定された領域まで注入することができる。前記段階(c)は、ビジョン認識システムを用いて流面を感知し、設定された最終注入地点に流面が感知されるとモノマー組成物の注入を終了する。
【0068】
以下、前記段階(b)及び(c)の好ましい実施例を添付の図面によって説明する。
【0069】
まず、
図1に示すように、レンズなどの光学材料を製造するためにモノマー溶液をモールド内に自動で注入する方法は、モールドのローディング(S10)、テーピング(S20)、テープ開放(S30)、モノマー注入(S40)、テープ閉鎖(S50)及びモールドアンローディング(S60)段階を含み、後続工程としてモノマーの硬化後にモールドから分離する工程を経ることでレンズを完成する。このような工程は既存の方法と基本的に同一である。
【0070】
本実施例では、原料タンクのモノマーをモールドのキャビティに注入しながらビジョン認識システムを用いて流面を感知し、設定された最終注入地点に流面が感知されるとモノマー溶液の注入を中止する具体的な方法を提示しており、
図2~
図5に示すように、モノマー溶液タンク10のモノマー溶液Sを、モールドMのキャビティに合わせて容量調節可能なシリンジ20内に一次に吸入した後、前記シリンジ20内に注入されたモノマー溶液SをモールドM内に二次に大部分の量を高速で注入し、注入圧力を下げて残量を注入しながら、最終的にビジョン認識システムを用いてモノマー溶液SがモールドMの内部に充満されたか確認した後、注入を終了する。
【0071】
本実施例において前記ビジョン認識システムは、
図2~
図5から分かるように、モールドMの輪郭と前記モールドMのキャビティ内に注入されるモノマー溶液Sの流面L1を撮影するものであり、モールドMが注入位置にセッティングされた状態を感知するための前記モールドM輪郭の一部の第1領域A1と、前記モールドMの注入口の外側に位置した第2領域A2が設定されている。
【0072】
一方、コントローラCは、前記ビジョン認識システムで撮影されたイメージ信号、すなわち、
図2に示すように、前記第1領域A1でモールドMの輪郭が感知されるとモールドMが注入位置に着座したと認識するが、この時、撮影されたモールドMの輪郭と第1領域A1に円弧状に表示された仮想輪郭Lとが一致するかどうか判断し、一致しない場合にはビジョン認識システムを微細調整、すなわち、ビジョンカメラの位置を調整してモールドMの輪郭に前記仮想輪郭Lを一致させる撮影位置調整段階を行う。
【0073】
上記の撮影位置調整段階では第1領域A1の位置が調整されると同時に第2領域の位置が第1領域A1と共に等距離移動するので、注入装置内でモールドMの着座位置が少しずつ変化するにもかかわらず、ビジョン認識システムでは同じ位置の第2領域A2を撮影してモノマー溶液の流面変化を感知するようになる。
【0074】
また、コントローラCはビジョン認識システムで撮影されたイメージを分析し、モールドMの種類によってキャビティ容量の把握及び注入位置セッティングの有無を感知し、シリンジ20の駆動部22及びバルブVの開閉動作を制御することによって、
図3に示すように、モノマー溶液Sをシリンジ20内に一次に吸入する量と二次にモールドMに注入する時点、注入圧力及び終了時点を制御し、ビジョン認識システムの微細位置も調整する。
【0075】
また、前記コントローラCは、タッチパッドやキーボードのような外部入力手段によってモールドMとモノマー溶液Sの種類にしたがって注入圧力を別々にセッティングし、新しい種類のモールドやモノマー溶液の使用時には、反復的なテストを経て入手したデータを保存し、最適の注入圧力を見出してセッティングできるようになっている。
【0076】
本実施例において、前記駆動部22は、不図示のモーターの動力によってプランジャー23が進退作動をしてシリンジ20内にモノマー溶液を吸い込んだり、或いは吸い込まれたモノマー溶液をモールドMに注入するように構成されているが、本発明はこれに限定されず、駆動部22の駆動方式は公知の様々な方式を用いることができる。
【0077】
上記のような構成でモノマー溶液をモールド内に注入する好ましい実施例を説明すると、次の通りである。
【0078】
まず、一次に、
図3に示すように、供給されるモールドMの種類にしたがってモールドMのキャビティ容量に一致するようにシリンジ20にモノマー溶液Sを吸い込むが、この時、原料タンク10とシリンジ20との間に設置されたバルブVは開放状態を維持し、ノズル21の部分は、不図示の内蔵型チェックバルブによって外部からの空気流入が遮断された状態でシリンジ20の上部の駆動部22が動作してシリンジ20内にモノマー溶液Sを定量だけ満たす。
【0079】
一方、前記バルブVはコントローラCによって開閉動作が制御されるようにしてもよく、チェックバルブを用いて、シリンジ20の駆動部22が吸入動作をする場合には開放され、排出動作、すなわち、モールド側への注入時には自動で閉鎖されるようにしてもよいことは勿論である。
【0080】
次に、二次に、
図4に示すように、ビジョン認識システムによって撮影されたイメージにおいて第1領域A1にモールドMの輪郭が感知されると、これを仮想輪郭Lと一致するようにカメラの位置を微細調整し、これによってモールドMが注入位置に着座したと把握し、駆動部22が上記の一次とは反対方向に駆動してシリンジ20内のモノマー溶液Sがノズル21を通じてモールドM内に注入されるが、この時、前記バルブVは閉鎖された状態を維持し、ノズル21に設けられたチェックバルブは開放された状態で、前記駆動部22の駆動はあらかじめ設定された量のモノマー溶液Sだけを注入する。あらかじめ設定された量は、シリンジ20に一次注入された量の70%~99%となるように、より好ましくは90%~98%となるように設定されている。
【0081】
前記段階でモノマー溶液Sの注入圧力は、モノマー溶液の粘度やモールド内のキャビティ厚などに基づいてモノマー溶液に気泡が発生しない範囲内では最高の圧力で注入することによって注入時間の短縮を図るようなものにする。
【0082】
最後に、上記のように駆動部22の駆動によってシリンジ20内のモノマー溶液Sの大部分がモールドM内に注入された後には、駆動部22の駆動速度を相対的に遅くして注意して残量の注入を行うが、この時には、
図5に示すように、ビジョン認識システムによって注入口Iの外側に位置した第2領域A2でモノマー溶液Sの流面が感知されることを確認するまで注入し、表面張力によってモールドMの注入口Iの約1~2mmの外側に位置した第2領域A2でモノマー溶液Sの流面が感知されるとシリンジ駆動部22の動作を中止させることでモノマー溶液Sの注入を完了し、後続工程として、開放したシーリングテープTを再び巻いて注入口Iを閉鎖した後、モールドのアンローディング過程を経る。これでモールドMへのモノマー溶液Sの注入が完了する。
【0083】
上記のような過程を通じて第1領域A1におけるモールドMの輪郭が仮想輪郭Lに一致すると、供給されたモールドの種類にしたがってあらかじめ設定された第1注入圧力でモノマー溶液Sの大部分をモールドM内に注入し、その後、前記第1注入圧力よりも相対的に低い圧力で残量の注入を進行してモールドMの外側に位置した第2領域A2に流面L1が現れるか否か確認し、流面L1が現れるとモノマー溶液の注入を終了し、流面が現れない場合には、第2領域A2に流面が現れるまでモノマー溶液を微細な圧力で注入する。
【0084】
一方、前記第1領域及び第2領域では、モールドの輪郭又はモノマー溶液の流面を画素数の変化によって感知するが、モールドの輪郭とモノマー溶液の流面は、空気とモールド及びモノマー溶液間の密度差によってその境界部分が線形の陰影として見られ、これによって各領域で撮影される線形の陰影が形成する画素数によってモールドの輪郭及びモノマー溶液の流面が形成されることが分かる。
【0085】
本実施例において、前記領域A1,A2で感知されるモールドMの輪郭及びモノマー溶液の流面の厚さが概して一定であるので、検出される画素数もほぼ一定であるが、周辺装置部が全て速く動作中であり、設備の周辺に人及びその他装置の移動があり、これによってモールドやモノマー溶液に奇妙な現象として反射されて誤検出される場合があるため、検出される画素数の変化量と陰影の進行方向に対しても感知して各種ノイズによる誤検出を防止可能にする。
【0086】
本実施例において、前記第1注入圧力で注入されるモノマー溶液の量は、全注入量の70%~99%が適正であるが、本発明はこれに限定されず、モールドの種類とモノマー溶液の粘度にしたがって一次注入量は多少異なるように設定してもよいことは勿論である。前記第1注入圧力で注入されるモノマー溶液の量は、より好ましくは全注入量の90%~98%である。
【0087】
上述した本発明の実施例によるモノマー溶液自動注入方法によれば、初期にはモールド内に速い速度、すなわち、高い圧力で最短時間でモノマー溶液の大部分を注入し、その後、第2領域でモノマー溶液の流面が感知されるまで相対的に遅い速度でモールド内のキャビティが充満するように残量を注入することによって、モノマー溶液の注入にかかる時間を短縮しながらも溢れないように正確な量を注入できるので、工程時間の短縮による生産性の向上と共に均一な品質のレンズの製造が可能な利点があり、モノマー注入量の不足や過剰による不良発生及び製造装置の誤動作も防止できる利点がある。
【0088】
上記のような本発明の好ましい実施例によれば、まず、粘性を持つモノマー溶液の大部分をモールド内のキャビティに高い圧力で速く注入した後、最終段階でビジョン認識システムを用いて注入圧力を下げて残量を徐々に注入して充満させるので、注入容量を超える恐れがない。また、モールド内にモノマー溶液の大部分を短時間で注入した後、ビジョン認識システムを用いて第2領域においてモノマー溶液が感知されると注入を終了するので、気泡の残留もなく、モノマー溶液の注入量が溢れることも足りないこともなく正確に定量注入されるので、均一な品質のレンズが生産でき、モノマーの注入時間が短縮できるので、モノマー注入作業の効率性を極大化することができる。これによって、モノマー溶液の注入量不足による不良を防止するとともに、モノマー溶液の過度な注入によって発生する装備の異常動作や故障を予防することができる。
【符号の説明】
【0089】
C:コントローラ
I:注入口
L:仮想輪郭
L1:流面
M:モールド
A1,A2:感知領域
S:モノマー溶液
T:シーリングテープ
V:バルブ
10:原料タンク
20:シリンジ
21:ノズル
22:駆動部
23:プランジャー