(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220523BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G1/137 F
(21)【出願番号】P 2021030580
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(73)【特許権者】
【識別番号】591096369
【氏名又は名称】日立物流ソフトウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 貴嗣
(72)【発明者】
【氏名】森下 裕
(72)【発明者】
【氏名】矢田部 英行
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-87550(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/085769(JP,A1)
【文献】特開2020-37461(JP,A)
【文献】特開平10-236612(JP,A)
【文献】特開2003-104519(JP,A)
【文献】米国特許第8306650(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システムであって、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録する商品管理部と、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力する端末出力部と、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断する判断部と、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更する優先順位変更部と、
を備える作業支援システム。
【請求項2】
前記ピッキング作業の優先順位の変更後のピッキング作業であっても、前記優先順位を変更したピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されていない場合には、当該ピッキングすべき商品の欠品を示す欠品詳細ラベルの発行を通知する通知部と、
をさらに備える請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記欠品詳細ラベルを、商品毎にリスト化した欠品埋め用トータルピッキングリストを作成するリスト作成部と、
をさらに備える請求項2に記載の作業支援システム。
【請求項4】
商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システムが実行する作業支援方法であって、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録するステップと、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力するステップと、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断するステップと、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更するステップと、
を備える作業支援方法。
【請求項5】
商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援するコンピュータに、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録するステップ、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力するステップ、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断するステップ、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流サービスの効率化から、物流倉庫に保管した商品を効率的にピッキングして配送することが求められている。
図1に示すように、通常、物流倉庫には、在庫を保管するリザーブエリアと、出荷のため品番毎に、棚の配置を決めて商品を収納して保管しておき、ピッキング作業者3が効率よく正確にピッキングできるように、棚の配置やスペースが割り当てられたピッキングエリアとがある。
ピッキング作業者3は、受け付けた出荷オーダーに基づいて作成されたピックする商品・個数が記載された紙のピッキングリストをもとに、ピッキング作業を行う。このピッキングリストは、ピッキング作業者3が、ピッキングエリア内での移動をできるだけ抑えるために棚の順序に従って作成される。
例えば、特許文献1では、配送便で配送先のルートを決定し、その配送ルートに適した出荷用ピッキングリストを作成する配送管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ピッキング作業者3が、ピッキングエリアでピッキング作業を行う際、欠品が生じている場合、ピッキング作業に必要な時間や作業工数を減縮させることはできない。
【0005】
物流サービスにおいて、発注から納品までの時間を短縮することにより、荷主が抱える顧客に希望の商品が早く届くようになり、サービス向上に繋がる。また、倉庫管理者は、荷主の要求に応えられるよう、より多くの出荷オーダーを処理したい。しかしながら、より多くの出荷オーダーを処理しようとすると、リザーブエリアからピッキングエリアへの商品補充が間に合わず、欠品が生じるおそれがある。もちろん、倉庫管理者は、出荷個数を予測して、リザーブエリアからピッキングエリアに商品を移動させ、ピッキング時に、欠品がでないよう対策をしているが、ばらつきによる突発的な増加分を吸収できない場合があり、ピッキングエリアで欠品が発生してしまうことがある。
【0006】
紙に記載されたピッキングリストを用いて、ピッキング作業を行う際、ピッキング作業者3は、ピッキングエリアにおいて、商品が無い、商品の数量が足りない場合、所定の商品をピッキングできないため、このピッキングリストに欠品の印をつけて、その他の商品をピッキングする。その後、「品番・・欠品」と表示して、一旦ピッキング作業を終了する。
【0007】
ピッキング作業は、納品先と対応付けられた商品毎に行われている。ここで、商品は、ピッキングエリアの各棚に保管されており、ピッキング作業は、ピッキングエリアにおける商品の保管場所(以下、ロケーションとも称す)に応じて、ピッキング作業者3の移動が極力少なくなるよう、例えば、最短の距離で商品をピックできるように、商品をピッキングする順番が決定されている。ここで、リザーブエリアからピッキングエリアへの商品の補充作業は、ピッキング作業者3とは別の補充作業者が独立して行っている。つまり、この補充作業が、この商品のピッキングまでに間に合えば欠品が生じないが、ピッキング作業者3が、この商品の保管場所でピッキングを行うタイミングと、補充作業者が、この商品の補充を行うタイミングとは独立しているため、欠品が生じてしまうおそれがあった。
【0008】
これを避けるためには、ピッキングエリアへの商品の補充作業を、ピッキングが行われる前に行っておくべきであるが、一般に、出荷オーダーは、前日の夜や当日の朝に緊急で入ることが多く、ピッキング作業と、補充作業とを並行して行うことが避けられないという課題がある。
【0009】
そこで、発明者らは、ピッキング作業において、補充作業を完了するまでの時間及び作業工数を減らす作業支援システム、作業支援方法及びプログラムが必要であることに着目した。
【0010】
そこで、本発明は、ピッキング作業において、未補充の欠品に対して、この補充作業を完了するまでの時間及び作業工数を減らすことが可能な作業支援システム、作業支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システムであって、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録する商品管理部と、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力する端末出力部と、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断する判断部と、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更する優先順位変更部と、
を備える作業支援システムを提供する。
【0012】
本発明によれば、商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システムは、前記商品を、保管場所に保管したことを登録し、ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力し、出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断し、前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ピッキング作業において、未補充の欠品に対して、この補充作業を完了するまでの時間及び作業工数を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来のピッキング作業の概要を説明するための図である。
【
図2】作業支援システム1の概要を説明する図である。
【
図3】作業支援システム1の機能構成を示す図である。
【
図4】作業支援システム1が実行する商品管理処理を示す図である。
【
図5】作業支援システム1が実行する作業工程作成処理を示す図である。
【
図7】作業支援システム1が実行する商品補充処理を示す図である。
【
図8】補充指示表示画面の一例を模式的に示す図である。
【
図9】作業支援システム1が実行するピッキング処理を示す図である。
【
図10】ピッキング指示の一例を模式的に示す図である。
【
図11】作業支援システム1が実行する欠品時処理を示す図である。
【
図12】欠品詳細ラベル発行通知画面の一例を模式的に示す図である。
【
図13】欠品詳細ラベルの一例を模式的に示す図である。
【
図15】欠品埋め用トータルピッキングリストの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0016】
[基本概念/基本構成]
図2は、作業支援システム1の概要を説明するための図である。作業支援システム1は、倉庫における入出庫管理や在庫管理等の機能を担うWMS(Warehouse Management System)10、ピッキング作業者2が使用するピッキング作業者端末20、補充作業者が使用する補充作業者端末30を少なくとも含む商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援するシステムである。
【0017】
作業支援システム1が作業支援を行う場合についての処理ステップについて、
図2に基づいて概要を説明する。
最初に、WMS10は、商品を保管場所に保管したことを登録する(ステップS1)。保管場所は、ピッキングエリアにおける各商品を保管する各棚であり、以下、単にロケーションとも称す。WMS10は、補充作業者端末30から、この商品の商品情報(例えば、商品コード、管理番号等の一次元コードや二次元コードに格納されたものや商品に記載されたもの、商品の個数)と、この商品の保管場所とを取得し、これらを紐付けてデータベースに登録する。
【0018】
ピッキング作業者端末20は、ピッキングすべき商品と、このピッキングすべき商品の登録された保管場所とをピッキング作業に応じて、順次出力する(ステップS2)。WMS10は、出荷オーダーに基づいて、作業工程を作成する。作業工程は、出荷オーダーにおける納品先に関する情報、商品に関する情報等に基づいて作成されるものであり、ピッキング作業者2が、商品をロケーションからピックし、ピックした商品をバケット等に設定された収納スペースに収納する際の順番である。
WMS10は、作成した作業工程のうち、次にピックする商品のロケーション、商品コード、ピック数、商品を収納する収納スペースを、ピッキング作業者端末20に出力し、ピッキング作業者端末20は、これを受信する。
ピッキング作業者端末20は、受信した作業工程を、自身の表示部等に表示することにより、ピッキングすべき商品と、このピッキングすべき商品の登録された保管場所とを出力する。ピッキング作業者2は、この出力内容に従って、ピッキング対象商品及びこの商品のロケーション等を把握し、実際のピッキング作業を行う。
【0019】
WMS10は、出力された次にピッキングすべき商品が、保管場所に保管されているか否かを判断する(ステップS3)。WMS10は、出力した作業工程における次にピッキングすべき商品が、データベースに登録されているか否か、登録されている場合、その個数が、作業工程における次にピッキングすべき個数を満たすか否かを判断する。WMS10は、出力した作業工程における商品の個数と、データベースに登録された保管場所に保管されているこの商品の個数とを比較し、その個数が足りているか否かを判断する。
【0020】
WMS10は、次にピッキングすべき商品が、保管場所に保管されていない場合には、この次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品としてピッキング作業の優先順位を変更する(ステップS4)。WMS10は、その個数が足りていないと判断した場合、この次にピッキングすべき商品を、作業工程の最後へと優先順位を変更する。
【0021】
このような作業支援システム1によれば、ピッキング作業中に欠品が生じている場合であっても、欠品が生じている商品を、ピッキング作業の最後にピックするように変更することになり、ピッキング作業者2が、他の商品をピックする間に、補充作業者が、保管場所に商品を補充することが容易となり、商品の補充を完了するまでの時間及び作業工数を減らすことが可能となる。
【0022】
[機能構成]
図3に基づいて、作業支援システム1の機能構成について説明する。
作業支援システム1は、其々が公衆回線網等のネットワーク9を介して、データ通信可能に接続されたWMS10、ピッキング作業者端末20及び補充作業者端末30を備えるシステムである。
作業支援システム1は、顧客が所持する顧客端末、ピッキング後の商品を検品する検品装置、ピッキング作業を支援する作業支援装置等のその他の端末や装置類等が含まれていても良い。この場合、作業支援システム1は、後述する処理を、WMS10、ピッキング作業者端末20、補充作業者端末30、その他の端末や装置の何れか又は複数の組み合わせにより実行する。
【0023】
WMS10は、倉庫における入出庫や在庫等を管理する管理者(例えば、倉庫事業者等)により管理されるサーバ機能を有するコンピュータやパーソナルコンピュータ等を少なくとも備え、荷の入出庫の指示や在庫状態に関するデータの管理等を行うシステムである。
WMS10は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
【0024】
WMS10は、制御部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備える。
また、WMS10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイスや、商品を保管場所に保管したことを登録する商品管理部11、出力された次にピッキングすべき商品が、保管場所に保管されているか否かを判断する判断部12、次にピッキングすべき商品が、保管場所に保管されてない場合には、この次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品としてピッキング作業の優先順位を変更する優先順位変更部13等を備える。
【0025】
WMS10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、保管商品情報受信モジュール、出荷オーダー取得モジュール、補充指示送信モジュール、補充完了受信モジュール、ピッキング指示送信モジュール、ピッキング作業完了受信モジュール、欠品詳細ラベル発行出力モジュール、欠品トータルピック指示送信モジュールを実現する。
また、WMS10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、商品管理モジュール、リスト作成モジュール、ピッキング順序決定モジュール、バケット選定モジュール、収納スペース割当モジュール、作業工程作成モジュール、作業工程管理モジュール、補充指示作成モジュール、ピッキング作業出力モジュール、未補充判断モジュール、優先順位変更モジュール、ピッキング作業完了判断モジュール、加算モジュール、欠品判断モジュール、欠品詳細ラベル発行モジュール、トータルピッキングリスト作成モジュール、欠品トータルピック指示作成モジュールを実現する。
【0026】
ピッキング作業者端末20は、ピッキング作業を行うピッキング作業者2が所持するスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やスマートグラス等のヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末等である。
【0027】
ピッキング作業者端末20は、端末制御部21として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、入出力部22として、ピッキング作業者2からの入力操作の受付デバイス、データや画像(動画や静止画)等の出力デバイスや、ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力する端末出力部24等を備える。
また、ピッキング作業者端末20は、通信部23として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備える。
【0028】
ピッキング作業者端末20において、端末制御部21が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部22と協働して、ピッキング指示表示モジュール、ピッキング作業完了受付モジュール、欠品トータルピック指示表示モジュールを実現する。
また、ピッキング作業者端末20において、端末制御部21が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部23と協働して、ピッキング指示受信モジュール、ピッキング作業完了送信モジュール、欠品詳細ラベル発行通知モジュール、欠品トータルピック指示受信モジュールを実現する。
【0029】
補充作業者端末30は、補充作業を行う補充作業者が所持するスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やスマートグラス等のヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末等である。
【0030】
補充作業者端末30は、端末制御部31として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、入出力部32として、補充作業者からの入力操作の受付デバイス、データや画像(動画や静止画)等の出力デバイス等を備える。
また、補充作業者端末30は、通信部33として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備える。
【0031】
補充作業者端末30において、端末制御部31が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部32と協働して、保管商品情報取得モジュール、補充指示表示モジュール、補充完了受付モジュールを実現する。
また、補充作業者端末30において、端末制御部31が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部33と協働して、保管商品情報送信モジュール、補充指示受信モジュール、補充完了送信モジュールを実現する。
【0032】
[WMS10と、補充作業者端末30とが実行する商品管理処理]
図4に基づいて、WMS10と、補充作業者端末30とが実行する商品管理処理について説明する。
図4は、WMS10と、補充作業者端末30とが実行する商品管理処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。本商品管理処理は、上述した商品を保管場所に保管したことを登録する処理(ステップS1)の詳細である。
【0033】
保管商品情報取得モジュールは、商品とこの商品の保管場所とを取得する(ステップS10)。保管場所(ロケーション)は、ピッキングエリアにおける各商品を保管する各棚である。補充作業者は、商品をこのロケーションに保管する際、スキャナ等により、この商品の商品情報(商品コード、管理番号等の一次元コードや二次元コードに格納されたものや商品に記載されたもの、商品の個数等)と、保管場所を示すロケーション情報とを読み取る。保管商品情報取得モジュールは、これらを紐付け、保管商品情報として、読み取ったスキャナ等から取得する。
なお、保管商品情報の取得方法は、補充作業者端末30自身が読み取る方法や、補充作業者端末30に保管商品情報の入力を受け付ける方法等、適宜変更可能である。
【0034】
保管商品情報送信モジュールは、取得した保管商品情報を、WMS10に送信し(ステップS11)、保管商品情報受信モジュールは、この保管商品情報を受信する(ステップS12)。
【0035】
商品管理モジュールは、受信した保管商品情報をデータベースに登録する(ステップS13)。商品管理モジュールは、商品情報と、ロケーション情報とを紐付けてデータベースに登録する。一の保管商品情報を受信した場合、一の保管商品情報をデータベースに登録し、複数の保管商品情報を受信した場合、其々の保管商品情報をデータベースに登録する。また、商品管理モジュールは、既に、保管商品情報が登録されている場合、新たに受信した保管商品情報により上書き(商品の個数に関しては、加算する)し、データベースの登録内容を更新する。
【0036】
以上が、商品管理処理である。
作業支援システム1は、本商品管理処理によりデータベースに登録された商品情報と、ロケーション情報とに基づいて、後述する処理における商品の欠品の判断や補充の判断を行うことになる。
【0037】
[WMS10が実行する作業工程作成処理]
図5に基づいて、WMS10が実行する作業工程作成処理について説明する。
図5は、WMS10が実行する作業工程作成処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0038】
初めに、出荷オーダー取得モジュールは、出荷オーダー(納品先伝票情報と商品情報)を取得する(ステップS20)。納品先伝票情報は、納品先の住所、名称、電話番号等の納品先に関する個人情報を含む納品先情報と関係付けられた番号や顧客ID等である。また、商品情報は、商品の名称、商品コード、個数等である。出荷オーダー取得モジュールは、図示していない顧客端末が入力を受け付け、送信した出荷オーダーを受信する又は出荷オーダーの入力を受け付けることにより、一又は複数の出荷オーダーを取得する。
リスト作成モジュールは、取得した出荷オーダーに基づいて、出荷オーダーをまとめたリストを作成する。
【0039】
ピッキング順序決定モジュールは、ピッキング順序を決定する(ステップS21)。ピッキング順序決定モジュールは、出荷オーダーの商品情報における商品コードと、データベースに登録された商品情報における商品コード及びロケーション情報とに基づいて、商品が保管されたロケーションが近い順序で、ピッキング順序を決定する。すなわち、決定されるピッキング順序は、ピッキング作業者2の場所の移動が少なくなるよう考慮されたものである。後述するピッキング処理において、ピッキング順序決定モジュールが決定したピッキング順序に従って、ピッキング作業者2は、ピッキング作業を行う。
【0040】
バケット選定モジュールは、バケットを選定する(ステップS22)。バケットは、ピッキング作業者2がピックした商品を入れるための物品であり、一つの面が開口している矩形の箱である。このバケットを、開口両側から見たとき、左右、上下に升目上の仕切りが形成されており、仕切られた枠により、内部が区分分けされることになる。一の区分(枠)は、ピックされた商品が入る程度のスペースを有している。
仕切られた各区分には、固有の符号等が付与されていることが好ましい。符号は、ピッキング作業者2が商品を収納する際の目印であるとともに、各区分を個別に識別するためのものであり、色彩、図形、番号、記号、文字又はこれらの組み合わせであっても良い。
バケット選定モジュールは、納品先伝票情報における顧客IDと、商品情報における商品コード及び個数とに基づいて、ピッキング作業に適したバケットのバケット情報(例えば、バケットID、バケットの種類、具体的には、サイズ、区分及び座標情報)を選定する。バケット選定モジュールは、バケット情報を選定した結果、バケットを選定することになる。後述するピッキング処理において、ピッキング作業者2は、バケット選定モジュールが選定したバケット情報に該当するバケットを用いて、ピッキング作業を行う。
本実施形態では、縦3×横2の6区分(6納品先)を有する、バケットを用いて説明する。バケットは、各区分に対して、AからFまでの記号が付与されている。
【0041】
収納スペース割当モジュールは、収納スペースの割り当てを決定する(ステップS23)。収納スペース割当モジュールは、選定したバケットの区分毎に、納品先伝票情報における顧客IDを割り当て、さらに、納品先に関係付けられた商品情報における商品コード、個数を割り当てる。収納スペース割当モジュールは、バケットのAからFまでの区分毎に、顧客IDと、商品コード及び個数とを割り当てることにより、ピッキング作業者2がピックする商品の収納スペースを、各区分に割り当てることになる。
【0042】
作業工程作成モジュールは、商品が保管されたロケーションが近い順序に従って、作業工程(作業ID)を作成する(ステップS24)。作業工程作成モジュールは、上述したステップS20の処理により取得した商品情報と、上述したステップS21の処理により決定したピッキング順序と、上述したステップS22の処理により選定したバケットと、上述したステップS23の処理により割り当てられた収納スペースとに基づいて、作業工程(作業ID)を作成する。作業IDは、作業工程に関係づけられた識別子である。作業工程は、作業ID毎に作成されるものであり、一の作業IDに対して、一のバケットのバケット情報と、取得した商品情報(一又は複数のロケーション情報、商品ID及び個数)と、割り当てられた収納スペースとが関係付けられて作成されるものである。
このステップS24の処理により、作業支援システム1は、作業工程に対応する作業IDを生成することになる。また、作業支援システム1は、出荷オーダーのあった複数の商品をピックするピッキング作業の作業工程を作成することになるとともに、商品が保管されたロケーションが近い順序でピッキング作業の作業順序を決定した作業工程を作成することになる。
作業工程作成モジュールは、ピッキング作業者2が、一のロケーションにおいて、割り当てられた区分に、商品を収納し、次のロケーションにおいて、商品を割り当てられた区分に収納するといった、ピッキング作業者2が実際の商品をピックして回る場所の順序、商品をピックする個数及び、商品を収納する区分を、作業工程として作成する。このとき、作業工程作成モジュールは、ピッキング作業者2がピックして回る移動距離が可能な限り短くなるよう、商品が保管されたロケーションが近い順序でピッキング作業の作業順序を決定し、これに従った作業工程を作成する。
【0043】
[作業工程の一例]
作業工程作成モジュールが作成する作業工程について、
図6に基づいて説明する。
図6は、作業工程作成モジュールが作成する作業工程の一例を模式的に示した図である。
図6において、作業工程作成モジュールは、作業ID(本図では、「マルチピックNo.」で表される)と、決定したピッキング順序と、選定したバケットのバケット情報と、取得した商品情報と、ピックすべき数量であるピック数と、割り当てられた収納スペースとが関係付けられた表形式で、作業工程を作成している。本実施形態では、作業ID、バケットID、ロケーション、商品コード、ピック数、収納スペースが其々示されている。
作業IDは、この作業工程に関係付けられて生成されたものである。バケットIDは、ピッキング作業に用いるバケットを示すものである。ロケーションは、商品のピッキングエリアにおける在庫保管場所を示すものであり、ピッキング順序を上から順番に示している(ピッキング作業者2が、C1-46-07-03-02、C1-46-07-03-02、C1-12-04-03-03の順番に実際のピッキング作業を行う)。商品コードは、ピッキングする商品を示すものである。ピック数は、ピッキングする商品の数量を示すものである。収納スペースは、ピッキングした商品を収納するバケットの区分の記号を示すものである。
一の作業IDには、一又は複数のロケーションが関係付けられており、ロケーション毎に、商品コード、ピック数及び収納スペースが関係付けられている。他の作業IDが存在する場合、其々の作業IDも、同様の構成となる。
【0044】
図5に戻り、作業工程作成処理の続きを説明する。
作業工程管理モジュールは、作成した作業工程を記録する(ステップS25)。
【0045】
以上が、作業工程作成処理である。
【0046】
[WMS10と、補充作業者端末30とが実行する商品補充処理]
図7に基づいて、WMS10と、補充作業者端末30とが実行する商品補充処理について説明する。
図7は、WMS10と、補充作業者端末30とが実行する商品補充処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
本商品補充処理は、後述するピッキング処理とは、独立かつ並行して行われる処理である。
【0047】
初めに、補充指示作成モジュールは、商品の補充指示を作成する(ステップS30)。補充指示作成モジュールは、上述したステップS13の処理により、保管商品情報が登録されたデータベースと、上述したステップS25の処理により記録された作業工程とに基づいて、商品の補充が必要であるか否かを判断する。補充指示作成モジュールは、データベースに登録された保管商品情報における商品コード及び個数が、作業工程における商品コード及びピック数を満たすものであるか否かを判断することにより、商品の補充が必要であるか否かを判断する。
補充指示作成モジュールは、各ロケーションに保管された商品に欠品が発生している場合、すなわち、保管商品情報における個数が、作業工程におけるピック数に満たない場合、この商品コードの商品を補充する補充指示を作成する。この補充指示は、補充する商品の商品コード、個数及びロケーション情報が含まれるものである。
【0048】
補充指示送信モジュールは、作成した補充指示を、補充作業者端末30に送信し(ステップS31)、補充指示受信モジュールは、この補充指示を受信する(ステップS32)。
【0049】
補充指示表示モジュールは、商品の補充指示を表示する(ステップS33)。補充作業者は、この表示された補充指示に基づいて、リザーブエリアに移動し、補充指示により指示された商品を取りだし、ピッキングエリアにおけるこの商品の保管場所に、商品を移動させ、商品を補充する。
【0050】
[補充指示表示画面]
補充指示表示モジュールが表示する補充指示について
図8に基づいて説明する。
図8は、補充指示表示モジュールが表示する補充指示の一例を模式的に示す図である。
図8において、補充指示表示モジュールは、受信した補充指示に基づいて、ロケーション(C1-12-04-03-03)、商品コード(AMRN19S352AD94)、数量(1)を表示する。また、補充作業者の入力を受け付けることにより、商品の補充が完了したことをWMS10に出力するアイコン(補充完了)を併せて表示する。
なお、図示していないが、補充指示には、リザーブエリアにおける商品の保管場所等が含まれていても良い。また、補充指示表示モジュールは、複数の商品の補充指示がある場合、其々を表示しても良いし、まとめて表示しても良い。
【0051】
補充作業者が実際に行う補充作業について説明する。
補充作業者は、
図8に示す画面を閲覧し、表示された商品コード及び数量に従って、この商品の在庫が保管されたリザーブエリアの該当場所に移動する。補充作業者は、この場所から、商品を必要な数量取り出す。補充作業者は、表示されたロケーションに従って、ピッキングエリアのロケーションに移動し、このロケーションに該当する棚に、商品を補充する。補充作業者は、商品を補充した際、上述したアイコンへの入力操作を行う。
補充作業者が補充作業を行うことにより、ピッキングエリアの商品の保管場所に商品が保管されることになる。
【0052】
図7に戻り、商品補充処理の続きを説明する。
補充完了受付モジュールは、商品の補充完了を受け付ける(ステップS34)。補充完了受付モジュールは、補充作業者から、上述したアイコンへの入力を受け付ける。
【0053】
補充完了送信モジュールは、商品の補充完了を、WMS10に送信し(ステップS35)、補充完了受信モジュールは、この補充完了を受信する(ステップS36)。送受信が行われる補充完了には、補充された商品の商品コード、ロケーション及び個数が含まれる。
【0054】
商品管理モジュールは、補充された商品の保管商品情報を更新する(ステップS37)。商品管理モジュールは、補充完了における商品コード、ロケーション及び個数に基づいて、上述したステップS13の処理により登録されたデータベースの内容を更新する。商品管理モジュールは、今回受信した補充完了における商品コードと一致する、このデータベースにおける商品コードの個数を、この補充完了における個数に更新する。
商品管理モジュールは、一の商品の補充完了を受信していた場合、この一の商品のデータベースに登録された内容を更新し、複数の商品の補充完了を受信していた場合、其々の商品のデータベースに登録された内容を更新する。
【0055】
以上が、商品補充処理である。
【0056】
[WMS10とピッキング作業者端末20とが実行するピッキング処理]
図9に基づいて、WMS10と、ピッキング作業者端末20とが実行するピッキング処理について説明する。
図9は、WMS10と、ピッキング作業者端末20とが実行するピッキング処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。本ピッキング処理は、商品とこの商品の保管場所とを順次出力する処理(ステップS2)、商品が保管場所に保管されているかの判断処理(ステップS3)、ピッキング作業の優先順位を変更する処理(ステップS4)の処理の詳細である。
【0057】
初めに、ピッキング作業出力モジュールは、作業工程内のN番目のピッキング作業を出力する(ステップS40)。ピッキング作業出力モジュールは、上述したステップS25の処理により記録された作業工程の内、N(Nは、1以上の整数)番目のピッキング作業を出力する。
以下、N=1であり、上述した
図6における作業IDである「マルチピックNo.M20050900051」の1番目のピッキング作業(ロケーション「C1-46-07-03-02」、商品コード「AURF17S283JQ283」、ピック数「1」、収納スペース「A」)を出力するものとして説明する。
【0058】
未補充判断モジュールは、N番目のピッキング作業の商品が未補充であるか否かを判断する(ステップS41)。未補充判断モジュールは、上述したステップS13の処理によりデータベースに登録された保管商品情報や、上述したステップS37の処理により更新された保管商品情報における商品コード及び数量と、今回出力したピッキング作業における商品コード及びピック数とに基づいて、ピッキング作業を行う商品の数量が保管場所に足りているか否かを判断する。
未補充判断モジュールは、N番目のピッキング作業の商品が未補充であると判断した場合(ステップS41 YES)、優先順位変更モジュールは、N番目のピッキング作業の優先順位を最後に変更する(ステップS42)。優先順位変更モジュールは、今回、未補充であると判断したピッキング作業を、作業工程の最後に変更する。すなわち、優先順位変更モジュールは、上述した1番目のピッキング作業を、3番目のピッキング作業(ロケーション「C1-12-04-03-03」、商品コード「AMRN19S352AD94」、ピック数「1」、収納スペース「C」)の次に、優先順位を変更する。未補充判断モジュールは、本処理の終了後、次のピッキング作業の商品が未補充であるか否かを判断することになる。
なお、未補充判断モジュールが複数のピッキング作業において、商品が未補充であると判断する場合、判断した順番に、ピッキング作業の優先順位を最後に変更しても良いし、予め優先順位の変更条件を各商品に設定しておき、この変更条件に従って、優先順位を変更しても良い(例えば、ある商品を必ずピッキング作業の最後に変更する、各商品に重要度を設定しておき、重要度に従って優先順位を変更する)。
【0059】
一方、未補充判断モジュールは、N番目のピッキング作業の商品が未補充ではないと判断した場合(ステップS41 NO)、ピッキング指示送信モジュールは、ピッキング指示をピッキング作業者端末20に送信し(ステップS43)、ピッキング指示受信モジュールは、このピッキング指示を受信する(ステップS44)。
【0060】
ピッキング指示表示モジュールは、ピッキング指示を表示する(ステップS45)。ピッキング指示表示モジュールは、
図10に示す画面を表示する。このとき、ピッキング指示表示モジュールは、ピッキング作業者2が、所定の場所(ロケーション)でピックすべき商品の商品コード及びピック数と、この商品が収納される収納スペースとを区分を特徴付けながら(各区分を色分け等により識別可能に表示)表示する。
【0061】
[ピッキング指示画面]
ピッキング指示表示モジュールが表示するピッキング指示について
図10に基づいて説明する。
図10は、ピッキング指示表示モジュールが表示するピッキング指示の一例を模式的に示す図である。
図10において、ピッキング指示表示モジュールは、受信したピッキング指示に基づいて、ロケーション(C1-46-07-03-02)、商品コード(AURF17S283JQ283)、ピック数(1)、ピックした商品を収納する区分(色分けされたA)を表示する。
【0062】
ピッキング作業者2が実際に行うピッキング作業について説明する。
ピッキング作業者2は、
図10に示す画面を閲覧し、表示されたロケーション、商品コード、ピック数、次ロケーション、収納する区分に従って、ピッキング作業を行う。ピッキング作業者2は、表示されたロケーションに従って、このピックする商品が保管されたロケーション(C1-46-07-03-02)に移動する。ピッキング作業者2は、このロケーションに保管された商品のうち、表示された商品コードの商品(AURF17S283JQ283)を、ピック数(1)に従ってピックする。ピッキング作業者2は、ピックした商品を、表示された区分と一致するバケットの区分(A)に収納する。ピッキング作業者端末20は、ピッキング指示画面に表示された「次へ」のアイコンへ入力操作を受け付けることにより、この商品のピッキング作業が完了したことを示すピッキング作業完了をWMS10に送信することになる。
【0063】
図9に戻り、ピッキング処理の続きを説明する。
ピッキング作業完了受付モジュールは、ピッキング作業の完了を受け付ける(ステップS46)。ピッキング作業完了受付モジュールは、上述した
図10における「次へ」のアイコンへ入力操作を受け付けることにより、ピッキング作業の完了を受け付ける。
なお、ピッキング作業の完了は、それ以外の方法により受け付けても良い。
【0064】
ピッキング作業完了送信モジュールは、ピッキング作業完了を、WMS10に送信し(ステップS47)、ピッキング作業完了受信モジュールは、このピッキング作業完了を受信する(ステップS48)。ピッキング作業完了には、ピックした商品のロケーション、商品コード及びピック数が含まれる。
【0065】
商品管理モジュールは、ピックされた商品の保管商品情報を更新する(ステップS49)。商品管理モジュールは、上述したステップS13の処理によりデータベースに登録された保管商品情報や、上述したステップS37の処理により更新された保管商品情報における商品コードの商品の数量を、ピッキング作業完了に含まれる商品コードの商品のピック数分減算し、この商品の保管商品情報を更新する。
【0066】
ピッキング作業完了判断モジュールは、全てのピッキング作業が完了したか否かを判断する(ステップS50)。ピッキング作業完了判断モジュールは、上述したステップS40の処理により出力された作業工程における全てのピッキング作業が完了したか否かを判断する。ピッキング作業完了判断モジュールは、全てのピッキング作業が完了したと判断した場合(ステップS50 YES)、処理を終了する。
【0067】
一方、ピッキング作業完了判断モジュールは、全てのピッキング作業が完了していないと判断した場合(ステップS50 NO)、加算モジュールは、Nに1を加算し新たなN(N=N+1)とする(ステップS51)。加算モジュールは、上述したステップS40の処理により出力するN番目のピッキング作業の次のピッキング作業をN+1番目のピッキング作業として扱う。N=1である場合、ステップS40の処理により新たなNは、1+1=2の「2」となる。
【0068】
以上が、ピッキング処理である。
本ピッキング処理が完了した際、ピッキング作業者2は、バケットを載置したカートを、検品エリアに移動させる。図示してない検品装置により、検品処理が行われることになる。検品処理については、バケットに収納された商品が正しいものであるか否かを判断するものであり、一般的に行われている処理であれば良い。
【0069】
[WMS10とピッキング作業者端末20とが実行する欠品時処理]
図11に基づいて、WMS10と、ピッキング作業者端末20とが実行する欠品時処理について説明する。
図11は、WMS10と、ピッキング作業者端末20とが実行する欠品時処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
本欠品時処理は、上述したピッキング処理の実行中に行われる処理である。
【0070】
欠品判断モジュールは、優先順位を変更後でも欠品があるか否かを判断する(ステップS60)。欠品判断モジュールは、上述したステップS42の処理により、商品の優先順位をピッキング作業の最後に変更後に、この商品の欠品が解消されたか否かを判断する。欠品判断モジュールは、上述した商品補充処理におけるステップS37の処理により、この商品が補充されたか否か、すなわち、更新後の保管商品情報により、保管する商品の数量が、優先順位を変更された商品のピック数を満たしているか否かを判断することになる。欠品判断モジュールは、優先順位を変更後に欠品がないと判断した場合(ステップS60 NO)、本処理を終了する。
なお、複数の商品で欠品が生じた場合、例えば、商品「A」が欠品で優先順位が最後に変更された後に、商品「B」が欠品で、Bが最後(Aの後)の順番となった場合は、次に「A」がピックすべき商品となった際に、「A」と「B」の優先順位の変更は行われない。
これは、一度、優先順位が最後になった商品は、2回目の優先順位の変更は、行わないと処理することで、AとB双方の通知を行うことが可能となる。
【0071】
一方、欠品判断モジュールは、優先順位を変更後に、欠品があると判断した場合(ステップS60 YES)、欠品詳細ラベル発行出力モジュールは、ピッキング作業者端末20に、欠品詳細ラベルの発行を出力し(ステップS61)、欠品詳細ラベル発行通知モジュールは、この欠品詳細ラベルの発行を受信し、欠品詳細ラベルの発行を通知する(ステップS62)。この欠品詳細ラベルの発行の通知は、ピッキング作業者2が、欠品のあるバケットを、ピッキングエリアにおける仮置き場(仮置き棚)に搬送することを示唆するものである。
欠品詳細ラベル発行通知モジュールは、
図12に示す画面を表示する。このとき、欠品詳細ラベル発行通知モジュールは、欠品詳細ラベルの発行があることを表示することにより、ピッキング作業者2に、欠品詳細ラベルの発行があることを通知する。
【0072】
[欠品詳細ラベル発行通知画面]
欠品詳細ラベル発行通知モジュールが表示する欠品詳細ラベルの発行通知について
図12に基づいて説明する。
図12は、欠品詳細ラベル発行通知モジュールが表示する欠品詳細ラベル発行通知の一例を模式的に示す図である。
図12において、欠品詳細ラベル発行通知モジュールは、欠品詳細ラベルが発行されたピッキング作業の画面に、欠品詳細ラベルの発行があることを重畳させて表示する。
【0073】
図11に戻り、欠品時処理の続きを説明する。
欠品詳細ラベル発行モジュールは、欠品詳細ラベルを発行する(ステップS63)。欠品詳細ラベルは、
図13に示す、欠品が発生した商品のロケーション、商品コード、数量、区分及び仮置き棚の間口等が記載されたものである。欠品詳細ラベル発行モジュールは、ピッキングラベルに記載された一次元コード、二次元コード等に格納された情報を、読み取ったスキャナ等から取得し、この情報に基づいて、欠品詳細ラベルを発行する。
【0074】
[欠品詳細ラベル]
欠品詳細ラベル発行モジュールが発行する欠品詳細ラベルについて
図13に基づいて説明する。
図13は、欠品詳細ラベル発行モジュールが発行する欠品詳細ラベルの一例を模式的に示す図である。
図13において、欠品詳細ラベルは、欠品が発生した商品のロケーション、商品コード、数量、区分及び仮置き棚における間口等を含むものである。ロケーション、商品コード及び数量については、上述した通りである。区分は、欠品理由等が記載されるものであり、仮置き棚の間口は、欠品が発生した商品を収納するバケットを一時的に保管する場所である。
【0075】
[仮置き棚]
バケットを一時的に保管する仮置き棚について
図14に基づいて説明する。
図14は、仮置き棚の一例を模式的に示す図である。
図14において、仮置き棚は、複数の間口(本例では、縦3×横3の9間口)を有し、各間口には、001から009までの番号が付与されている。各間口は、欠品が発生した商品を収納するバケットが一時的に保管され、ピッキング作業者2は、このバケットを、欠品詳細ラベルに記載された間口に、一時的に保管する。
【0076】
ピッキング作業者2がこの欠品詳細ラベルに基づいて行う行動について説明する。
ピッキング作業者2は、この欠品詳細ラベルを閲覧し、欠品詳細ラベルに記載された間口の番号に基づいて、仮置き棚の該当する間口に、この商品を収納するバケットを一時的に保管する。
【0077】
図11に戻り、欠品時処理の続きを説明する。
トータルピッキングリスト作成モジュールは、欠品埋め用トータルピッキングリストを作成する(ステップS63)。欠品埋め用トータルピッキングリストは、複数の欠品詳細ラベルをまとめたものであり、商品毎の表である。欠品埋め用トータルピッキングリストは、商品毎に、この商品を収納する一又は複数のバケットを指定したものでもある。
トータルピッキングリスト作成モジュールは、欠品詳細ラベルにおける、同一商品コードの商品を、一の欠品埋め用トータルピッキングリストにまとめ、
図15に示す欠品埋め用トータルピッキングリストを作成する。
【0078】
[欠品埋め用トータルピッキングリスト]
トータルピッキングリスト作成モジュールが作成する欠品埋め用トータルピッキングリストについて
図15に基づいて説明する。
図15は、トータルピッキングリスト作成モジュールが作成する欠品埋め用トータルピッキングリストの一例を模式的に示す図である。
図15において、欠品埋め用トータルピッキングリストは、荷主名、倉庫名、商品のロケーション、商品コード、数量等が含まれるとともに、欠品が生じた商品を収納するバケットが一時的に保管された仮置き棚の間口及びその数量が含まれる。ピッキング作業者2は、後述する処理により、ピッキング作業者端末20が表示するこの欠品埋め用トータルピッキングリストを閲覧し、欠品が生じているバケットに、商品を収納する。
【0079】
欠品トータルピック指示作成モジュールは、欠品トータルピック指示を作成する(ステップS65)。欠品トータルピック指示作成モジュールは、作成した欠品埋め用トータルピッキングリストに基づいて、欠品埋め用トータルピッキングリストをピッキング作業者端末20に表示させる欠品トータルピック指示を作成する。欠品トータルピック指示作成モジュールは、複数の欠品埋め用トータルピッキングリストが作成されている場合、其々について、欠品トータルピック指示を作成し、一の欠品埋め用トータルピッキングリストのみが作成されている場合、この一の欠品埋め用トータルピッキングリストについて、欠品トータルピック指示を作成する。
【0080】
欠品トータルピック指示送信モジュールは、作成した欠品トータルピック指示を、ピッキング作業者端末20に送信し(ステップS65)、欠品トータルピック指示受信モジュールは、この欠品トータルピック指示を受信する(ステップS66)。
【0081】
欠品トータルピック指示表示モジュールは、受信した欠品トータルピック指示を表示する(ステップS67)。欠品トータルピック指示表示モジュールは、欠品トータルピック指示として、
図15で示した欠品埋め用トータルピッキングリストを表示する。
【0082】
ピッキング作業者2が実際に行うこの欠品トータルピック指示に基づいて行う作業について説明する。
ピッキング作業者2は、表示された欠品トータルピック指示を閲覧し、表示された間口及び数量に従って、商品を収納するバケットが一時的に保管された間口(009)に移動する。ピッキング作業者2は、この間口に保管されたバケットに、表示された商品コードの商品(AMTF20S107AA184)を、表示された数量(1)に従って収納する。ピッキング作業者2は、他の欠品トータルピック指示の内容も同様に、表示された間口に保管されたバケットに、商品コードの商品を数量に従って収納する。ピッキング作業者2は、全ての欠品トータルピック指示に表示された商品の収納が完了すると、バケットを載置したカートを、検品エリアに移動させる。図示してない検品装置により、上述したピッキング処理の終了時と同様に、検品処理が行われることになる。
【0083】
以上が、欠品時処理である。
【0084】
以上のように、本発明では、ピッキング作業において、欠品が発生していたとしても、欠品が発生したピッキング作業の優先順位を最後に変更することにより、他のピッキング作業が行われている間に、商品の補充を行うことが容易となり、欠品が発生した商品を補充完了するまでの、時間及び作業工数を減縮することが可能となる。
【0085】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0087】
(1)商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システムであって、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録する商品管理部(例えば、商品管理部11、商品管理モジュール)と、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力する端末出力部(例えば、端末出力部24、ピッキング指示表示モジュール)と、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断する判断部(例えば、判断部12、未補充判断モジュール)と、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更する優先順位変更部(例えば、優先順位変更部13、優先順位変更モジュール)と、
を備える作業支援システム。
【0088】
(1)の発明によれば、ピッキング作業において、未補充の欠品に対して、この補充作業を完了するまでの時間及び作業工数を減らすことが容易となる。
【0089】
(2)前記ピッキング作業の優先順位の変更後のピッキング作業であっても、前記優先順位を変更したピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されていない場合には、当該ピッキングすべき商品の欠品を示す欠品詳細ラベルの発行を通知する通知部(例えば、欠品詳細ラベル発行出力モジュール、欠品詳細ラベル発行通知モジュール)と、
をさらに備える(1)に記載の作業支援システム。
【0090】
(2)の発明によれば、欠品が生じたバケットの管理が容易となる。
【0091】
(3)前記欠品詳細ラベルを、商品毎にリスト化した欠品埋め用トータルピッキングリストを作成するリスト作成部(例えば、トータルピッキングリスト作成モジュール)と、
をさらに備える(2)に記載の作業支援システム。
【0092】
(3)の発明によれば、一のロケーションにおいてピックした商品を、複数の欠品が生じたバケットに仕分けることが容易となる。
【0093】
(4)商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システムが実行する作業支援方法であって、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録するステップ(例えば、ステップS13)と、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力するステップ(例えば、ステップS45)と、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断するステップ(例えば、ステップS41)と、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更するステップ(例えば、ステップS42)と、
を備える作業支援方法。
【0094】
(5)商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援するコンピュータに、
前記商品を、保管場所に保管したことを登録するステップ(例えば、ステップS13)、
ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力するステップ(例えば、ステップS45)、
出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断するステップ(例えば、ステップS41)、
前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更するステップ(例えば、ステップS42)、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【符号の説明】
【0095】
1 作業支援システム
2,3 ピッキング作業者
9 ネットワーク
10 WMS
11 商品管理部
12 判断部
13 優先順位変更部
20 ピッキング作業者端末
21 端末制御部
22 入出力部
23 通信部
24 端末出力部
30 補充作業者端末
31 端末制御部
32 入出力部
33 通信部
【要約】
【課題】ピッキング作業において、未補充の欠品に対して、この補充作業を完了するまでの時間及び作業工数を減らす。
【解決手段】商品を順次ピッキングするピッキング作業を支援する作業支援システム1は、前記商品を、保管場所に保管したことを登録し、ピッキングすべき商品と、当該ピッキングすべき商品の登録された保管場所とを前記ピッキング作業に応じて、順次出力し、出力された次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されているか否かを判断し、前記次にピッキングすべき商品が、前記保管場所に保管されてない場合には、当該次にピッキングすべき商品を、最後にピッキングする商品として前記ピッキング作業の優先順位を変更する。
【選択図】
図2