IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミライトの特許一覧

特許7077453異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/10 20140101AFI20220523BHJP
【FI】
H02S50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021079971
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2021-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207894
【氏名又は名称】株式会社ミライト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】新城 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】立道 英俊
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201533(JP,A)
【文献】国際公開第2017/009892(WO,A1)
【文献】特開2019-047583(JP,A)
【文献】特開2017-208980(JP,A)
【文献】特開平09-043303(JP,A)
【文献】特開2015-080399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0247542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0197203(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/00-50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索方法であって、
N個の前記太陽電池モジュールを順次遮光してN個の遮光I-V特性を取得し、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重なる遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重なる遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを互いに同一のI-V特性を有する太陽電池モジュールとして一つの太陽電池モジュール群に分類し、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重ならない遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重ならない遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを、互いに異なるI-V特性を有する太陽電池モジュールとしてそれぞれ異なる太陽電池モジュール群に分類することによって、N個の前記太陽電池モジュールを1以上の太陽電池モジュール群に分類する第1の探索工程と、
前記第1の探索工程で分類された各々の前記太陽電池モジュール群について、他の前記太陽電池モジュール群に属する全ての前記太陽電池モジュールと同一の前記太陽電池モジュール群の中の1つの前記太陽電池モジュールとを遮光して判定用遮光I-V特性を取得し、前記判定用遮光I-V特性を表示する第2の探索工程と、を有することを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索方法。
【請求項2】
N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索装置であって、
前記太陽電池ストリングの両端に接続される可変負荷抵抗と、前記太陽電池ストリングに流れる電流値を測定する電流測定部と、前記太陽電池ストリングの前記可変負荷抵抗との接続部分における電圧値を測定する電圧測定部とを備え、複数の前記太陽電池モジュールから選択した少なくとも1つの前記太陽電池モジュールを、該太陽電池モジュールの導電経路が該太陽電池モジュールを構成する複数のクラスタのそれぞれに設けられたバイパスダイオードを経由した経路となるように遮光した状態における前記太陽電池ストリングの遮光I-V特性を測定可能なI-V特性測定部と、
N個の前記太陽電池モジュールを順次遮光することで前記I-V特性測定部により取得されるN個の遮光I-V特性から、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重なる遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重なる遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを互いに同一のI-V特性を有する太陽電池モジュールとして一つの太陽電池モジュール群に分類し、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重ならない遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重ならない遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを、互いに異なるI-V特性を有する太陽電池モジュールとしてそれぞれ異なる太陽電池モジュール群に分類することによって、N個の前記太陽電池モジュールを1以上の太陽電池モジュール群に分類する分類部と、
前記分類部により分類された各々の前記太陽電池モジュール群について、他の前記太陽電池モジュール群に属する全ての前記太陽電池モジュールと同一の前記太陽電池モジュール群の中の1つの前記太陽電池モジュールとを遮光することで前記I-V特性測定部により取得される判定用遮光I-V特性を表示する表示部と、を有することを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索装置。
【請求項3】
各々の前記太陽電池モジュール群において、前記表示部に表示された前記判定用遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性ではないときに、当該太陽電池モジュール群に属する全ての前記太陽電池モジュールが異常であると判断する判断部を有する、請求項2に記載の異常太陽電池モジュールの探索装置。
【請求項4】
N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索方法であって、
1番目の前記太陽電池モジュールを遮光した状態で基準遮光I-V特性を取得するとともに、1番目以外の前記太陽電池モジュールを順次遮光して(N-1)個の遮光I-V特性を取得し、(N-1)個の前記遮光I-V特性が全て前記基準遮光I-V特性と重なるか否かを判断する第1巡目の探索工程を行い、
前記第1巡目の探索工程において、少なくとも1個の前記遮光I-V特性が前記基準遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、1番目の前記太陽電池モジュールを遮光した状態のまま他の(N-1)個の前記太陽電池モジュールを順次遮光して(N-1)個の遮光I-V特性を取得し、(N-1)個の前記遮光I-V特性が全て互いに重なるか否かを判断する第2巡目の探索工程を行い、
前記第2巡目の探索工程以降、少なくとも1個の前記遮光I-V特性が他の前記遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、遮光した状態のままとする前記太陽電池モジュールを1つずつ増やしながら他の前記太陽電池モジュールを順次遮光して遮光I-V特性を取得し、前記遮光I-V特性が全て互いに重なるか否かを判断する探索工程を繰り返し行うことを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索方法。
【請求項5】
N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索装置であって、
前記太陽電池ストリングの両端に接続される可変負荷抵抗と、前記太陽電池ストリングに流れる電流値を測定する電流測定部と、前記太陽電池ストリングの前記可変負荷抵抗との接続部分における電圧値を測定する電圧測定部とを備え、複数の前記太陽電池モジュールから選択した少なくとも1つの前記太陽電池モジュールを、該太陽電池モジュールの導電経路が該太陽電池モジュールを構成する複数のクラスタのそれぞれに設けられたバイパスダイオードを経由した経路となるように遮光した状態における前記太陽電池ストリングの遮光I-V特性を測定可能なI-V特性測定部と、
1番目の前記太陽電池モジュールを遮光することで前記I-V特性測定部により取得される基準遮光I-V特性に対して、1番目以外の前記太陽電池モジュールを順次遮光する第1巡目の探索工程において前記I-V特性測定部により取得される(N-1)個の遮光I-V特性が全て重なると判断されたときに前記基準遮光I-V特性を表示し、前記第1巡目の探索工程において前記I-V特性測定部により取得される(N-1)個の遮光I-V特性のうちの少なくとも1個の前記遮光I-V特性が前記基準遮光I-V特性に対して重ならないと判断されたときに、1番目の前記太陽電池モジュールを遮光したまま他の(N-1)個の前記太陽電池モジュールを順次遮光する第2巡目の探索工程において前記I-V特性測定部により取得される(N-1)個の遮光I-V特性を表示し、前記第2巡目の探索工程以降、少なくとも1個の前記遮光I-V特性が他の前記遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、遮光した状態のままとする前記太陽電池モジュールを1つずつ増やしながら他の前記太陽電池モジュールを順次遮光することで前記I-V特性測定部により取得される遮光I-V特性を表示する表示部と、を有することを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索装置。
【請求項6】
前記第1巡目の探索工程において前記表示部に表示された前記基準遮光I-V特性が変形を有するときにN個の前記太陽電池モジュールが全て異常であると判断し、前記第2巡目の探索工程において前記表示部に表示された(N-1)個の遮光I-V特性が全て互いに重なったときに1番目の前記太陽電池モジュールのみが異常であると判断し、前記第2巡目の探索工程以降において前記表示部に表示された前記遮光I-V特性が全て互いに重なったときに遮光した状態のままとされた前記太陽電池モジュールの少なくとも何れか1個が異常であると判断する判断部を有する、請求項5に記載の異常太陽電池モジュールの探索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池モジュールを電気的に直列に接続して構成される太陽電池ストリングをパワーコンディショナにより電力系統と連系させた太陽光発電システムにおいて、太陽電池ストリングを構成する複数の太陽電池モジュールから、異常(故障または発電不良等の機能劣化、表面汚れ、破損等)を生じた異常太陽電池モジュールを探索する異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2012年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FIT)の開始を契機として太陽光発電設備の建設が急速に拡大し、大量の太陽電池モジュールが導入されている。しかし、太陽電池モジュールの耐用年数が20年程度とされていることから、今後、発電性能が低下するなどの異常を生じた太陽電池モジュールが多数発生することが懸念される。一方、異常を生じた太陽電池モジュールを早期に発見し、適切なメンテナンスを施すことで、太陽光発電所全体の発電性能低下を緩和し、発電量を長期に亘って良好に維持させるリパワリングが重要になっている。
【0003】
太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールが電気的に直列に接続された太陽電池ストリングを単位として複数組の太陽電池ストリングを具備し、複数組の太陽電池ストリング毎に1つの接続箱に接続され、その接続箱を介してパワーコンディショナ(電力変換装置)により発電電力を送配電事業者の電力系統と連系させるように構成されている。
【0004】
この種の太陽光発電システムにおいては、長期使用などにより太陽電池モジュールが劣化するなどして異常を生じると出力電力が低下することになる。そのため、太陽電池モジュールの異常を検出する手段が必要とされている。太陽電池モジュールは、半導体、金属など、熱膨張率の異なる材質を電気的に接合した構造であるので、日夜ないし季節毎の寒暖の繰り返しによる熱ストレスのため長期的には漸次機能劣化を生じる上、落雷、暴風雨等に際して部材が突発的に破損することもあり、こうした要因によって太陽電池モジュール全体として発電不良に至ることは不可避である。
【0005】
従来、太陽電池ストリングに太陽電池モジュールを接続したままの状態で、劣化などの異常を生じた太陽電池モジュールを判別し得る、太陽電池モジュールの劣化判別方法及び劣化判別装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許登録第6621000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示された従来の太陽電池モジュールの劣化判別方法及び劣化判別装置では、劣化による出力低下などの異常を生じた太陽電池モジュールにおいて、クラスタ単位で発電量の低下を判定することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の太陽電池モジュールの劣化判別方法及び劣化判別装置では、異常を生じた太陽電池モジュールを探索、特定するために、基準I-V特性と遮光I-V特性から太陽電池モジュールの劣化レベルを判定する指標に基づく定量値を抽出するソフトウェアの開発が必要になる。一般に、太陽電池モジュールの発電性能はI-V特性全体の形状変化に現れるので、被検査対象のI-V特性の測定形状と製品仕様として規定されたI-V特性の形状全体を比較することにより当該太陽電池モジュールの異常を判定することが望ましいが、太陽電池ストリングは複数の太陽電池モジュールを電気的に直列に接続して構成されているので、この中から異常を生じた太陽電池モジュールを探索、特定するには、作業効率の観点から、各太陽電池モジュールを太陽電池ストリングから切り離すことなく検査できることが望ましい。しかし、太陽電池ストリングから個々の太陽電池モジュールを切り離すことなく、I-V特性全体の形状から異常太陽電池モジュールを簡易に探索、特定する方法はこれまでなかった。将来はAI技術を活用してI-V特性全体を評価することが期待されるが、現状では実用化されていない。
【0009】
一方、太陽電池モジュールは、多数の太陽電池セルを電気的に直列に接続したセルストリング、セルストリングが発電不良となった場合に発電電流がセルストリングを迂回する経路上に設けられるバイパスダイオード(BPD)を構成部材として含むクラスタを単位として、複数のクラスタが電気的に直列に接続されて構成されているが、これらの太陽電池モジュールの構成部材は様々な要因で故障、機能劣化を生じる。例えば、クラスタの場合、セルの導電線(バスバー)の断線、はんだクラックなどに起因するセルとインターコネクタ間の断線、セルの材質が化学的に変性して生じるクラスタ高抵抗化によってセルストリングの発電能力が著しく低下、または喪失する。また、バイパスダイオードにおいては、被雷等によりバイパスダイオードが破損して短絡状態となるバイパスダイオードショート故障、バイパスダイオードに長時間発電電流が流れることで熱損傷により導電性を消失するバイパスダイオードオープン故障などがある。その他、充填樹脂の劣化・剥離、水浸透による電極腐食など様々な要因がある。
【0010】
これまで太陽電池ストリングから太陽電池モジュールを切り離して、個々の太陽電池モジュール単体に対してI-V特性を測定して当該太陽電池モジュールの発電性能を評価することや、専用の計測装置でバイパスダイオードの故障を発見することが行われてきたが、太陽電池ストリングに発電不良の太陽電池モジュールが存在すると、太陽電池ストリング全体のI-V特性すなわちI-Vカーブの形状が複雑に変化することから、太陽電池モジュールを太陽電池ストリングから切り離すことなく劣化した太陽電池モジュールを検知し、且つ、その構成部材(クラスタ、バイパスダイオード)の故障、機能劣化を簡便な方法、操作によって発見・検知することは困難であった。
【0011】
本発明は、前述の問題点に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは、太陽電池ストリングに太陽電池モジュールを接続したままの状態で、異常を生じた太陽電池モジュールを簡易に探索、特定し得る異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の異常太陽電池モジュールの探索方法は、N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索方法であって、N個の前記太陽電池モジュールを順次遮光してN個の遮光I-V特性を取得し、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重なる遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重なる遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを互いに同一のI-V特性を有する太陽電池モジュールとして一つの太陽電池モジュール群に分類し、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重ならない遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重ならない遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを、互いに異なるI-V特性を有する太陽電池モジュールとしてそれぞれ異なる太陽電池モジュール群に分類することによって、N個の前記太陽電池モジュールを1以上の太陽電池モジュール群に分類する第1の探索工程と、前記第1の探索工程で分類された各々の前記太陽電池モジュール群について、他の前記太陽電池モジュール群に属する全ての前記太陽電池モジュールと同一の前記太陽電池モジュール群の中の1つの前記太陽電池モジュールとを遮光して判定用遮光I-V特性を取得し、前記判定用遮光I-V特性を表示する第2の探索工程と、を有することを特徴とする
【0013】
本発明の異常太陽電池モジュールの探索装置は、N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索装置であって、前記太陽電池ストリングの両端に接続される可変負荷抵抗と、前記太陽電池ストリングに流れる電流値を測定する電流測定部と、前記太陽電池ストリングの前記可変負荷抵抗との接続部分における電圧値を測定する電圧測定部とを備え、複数の前記太陽電池モジュールから選択した少なくとも1つの前記太陽電池モジュールを、該太陽電池モジュールの導電経路が該太陽電池モジュールを構成する複数のクラスタのそれぞれに設けられたバイパスダイオードを経由した経路となるように遮光した状態における前記太陽電池ストリングの遮光I-V特性を測定可能なI-V特性測定部と、N個の前記太陽電池モジュールを順次遮光することで前記I-V特性測定部により取得されるN個の遮光I-V特性から、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重なる遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重なる遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを互いに同一のI-V特性を有する太陽電池モジュールとして一つの太陽電池モジュール群に分類し、前記N個の遮光I-V特性に、互いに重ならない遮光I-V特性が含まれる場合、互いに重ならない遮光I-V特性のそれぞれの取得に際して遮光された前記太陽電池モジュールを、互いに異なるI-V特性を有する太陽電池モジュールとしてそれぞれ異なる太陽電池モジュール群に分類することによって、N個の前記太陽電池モジュールを1以上の太陽電池モジュール群に分類する分類部と、前記分類部により分類された各々の前記太陽電池モジュール群について、他の前記太陽電池モジュール群に属する全ての前記太陽電池モジュールと同一の前記太陽電池モジュール群の中の1つの前記太陽電池モジュールとを遮光することで前記I-V特性測定部により取得される判定用遮光I-V特性を表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の異常太陽電池モジュールの探索装置は、上記構成において、各々の前記太陽電池モジュール群において、前記表示部に表示された前記判定用遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性ではないときに、当該太陽電池モジュール群に属する全ての前記太陽電池モジュールが異常であると判断する判断部を有するのが好ましい。
【0015】
本発明の異常太陽電池モジュールの探索方法は、 N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索方法であって、1番目の前記太陽電池モジュールを遮光した状態で基準遮光I-V特性を取得するとともに、1番目以外の前記太陽電池モジュールを順次遮光して(N-1)個の遮光I-V特性を取得し、(N-1)個の前記遮光I-V特性が全て前記基準遮光I-V特性と重なるか否かを判断する第1巡目の探索工程を行い、前記第1巡目の探索工程において、少なくとも1個の前記遮光I-V特性が前記基準遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、1番目の前記太陽電池モジュールを遮光した状態のまま他の(N-1)個の前記太陽電池モジュールを順次遮光して(N-1)個の遮光I-V特性を取得し、(N-1)個の前記遮光I-V特性が全て互いに重なるか否かを判断する第2巡目の探索工程を行い、前記第2巡目の探索工程以降、少なくとも1個の前記遮光I-V特性が他の前記遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、遮光した状態のままとする前記太陽電池モジュールを1つずつ増やしながら他の前記太陽電池モジュールを順次遮光して遮光I-V特性を取得し、前記遮光I-V特性が全て互いに重なるか否かを判断する探索工程を繰り返し行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の異常太陽電池モジュールの探索装置は、N個の太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池ストリングから異常な前記太陽電池モジュールを探索する、異常太陽電池モジュールの探索装置であって、前記太陽電池ストリングの両端に接続される可変負荷抵抗と、前記太陽電池ストリングに流れる電流値を測定する電流測定部と、前記太陽電池ストリングの前記可変負荷抵抗との接続部分における電圧値を測定する電圧測定部とを備え、複数の前記太陽電池モジュールから選択した少なくとも1つの前記太陽電池モジュールを、該太陽電池モジュールの導電経路が該太陽電池モジュールを構成する複数のクラスタのそれぞれに設けられたバイパスダイオードを経由した経路となるように遮光した状態における前記太陽電池ストリングの遮光I-V特性を測定可能なI-V特性測定部と、1番目の前記太陽電池モジュールを遮光することで前記I-V特性測定部により取得される基準遮光I-V特性に対して、1番目以外の前記太陽電池モジュールを順次遮光する第1巡目の探索工程において前記I-V特性測定部により取得される(N-1)個の遮光I-V特性が全て重なると判断されたときに前記基準遮光I-V特性を表示し、前記第1巡目の探索工程において前記I-V特性測定部により取得される(N-1)個の遮光I-V特性のうちの少なくとも1個の前記遮光I-V特性が前記基準遮光I-V特性に対して重ならないと判断されたときに、1番目の前記太陽電池モジュールを遮光したまま他の(N-1)個の前記太陽電池モジュールを順次遮光する第2巡目の探索工程において前記I-V特性測定部により取得される(N-1)個の遮光I-V特性を表示し、前記第2巡目の探索工程以降、少なくとも1個の前記遮光I-V特性が他の前記遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、遮光した状態のままとする前記太陽電池モジュールを1つずつ増やしながら他の前記太陽電池モジュールを順次遮光することで前記I-V特性測定部により取得される遮光I-V特性を表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の異常太陽電池モジュールの探索装置は、上記構成において、前記第1巡目の探索工程において前記表示部に表示された前記基準遮光I-V特性が変形を有するときにN個の前記太陽電池モジュールが全て異常であると判断し、前記第2巡目の探索工程において前記表示部に表示された(N-1)個の遮光I-V特性が全て互いに重なったときに1番目の前記太陽電池モジュールのみが異常であると判断し、前記第2巡目の探索工程以降において前記表示部に表示された前記遮光I-V特性が全て互いに重なったときに遮光した状態のままとされた前記太陽電池モジュールの少なくとも何れか1個が異常であると判断する判断部を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、太陽電池ストリングに太陽電池モジュールを接続したままの状態で、異常を生じた太陽電池モジュールを簡易に探索、特定し得る異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態である異常太陽電池モジュールの探索装置を測定対象の太陽電池ストリングに接続した状態を示す説明図である。
図2図1に示す太陽電池モジュールの構成を示す説明図である。
図3図1に示す異常太陽電池モジュールの探索装置のブロック図である。
図4】太陽電池ストリングが正常な太陽電池モジュールのみで構成される場合の非遮光I-V特性と、異常太陽電池モジュールを含む場合の非遮光I-V特性とを示す図である。
図5】探索対象の太陽電池モジュールの一部を遮光板により遮光した状態を示す説明図である。
図6】(a)はバイパスダイオードがオープン故障している太陽電池モジュールにおける非遮光状態での電流の流れを示す説明図であり、(b)はバイパスダイオードがオープン故障している太陽電池モジュールにおける遮光状態での電流の流れを示す図である。
図7】シミュレーションした非遮光I-V特性の例を示す特性線図である。
図8】(a)は、正常なI-V特性に対して、1クラスタ電圧分低圧側にシフトするように変形したI-V特性を示す図であり、(b)は、一部の太陽電池モジュールが遮光されることで当該太陽電池モジュールのI-V特性が除外されたときの太陽電池ストリングの遮光I-V特性を示す図である。
図9】巡回遮光探索方法の概要を説明するための図である。
図10】巡回遮光探索方法の概要を説明するための図である。
図11】巡回遮光探索方法の概要を説明するための図である。
図12】巡回遮光探索方法の概要を説明するための図である。
図13】巡回遮光探索方法の概要を説明するための図である。
図14】巡回遮光探索方法の概要を説明するための図である。
図15】実施例1に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第1巡回遮光探索フローの手順を示すフローチャート図である。
図16図15に示すフローチャートの続きのフローチャート図である。
図17図16に示すフローチャートの続きのフローチャート図である。
図18】実施例1に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第2巡回遮光探索フローの手順を示すフローチャート図である。
図19】複数の遮光I-V特性の重なり判定と正常判定の手法を説明するための図である。
図20】実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第1巡回遮光探索フローの手順を示すフローチャート図である。
図21図20に示すフローチャートの続きのフローチャート図である。
図22】実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第2巡回遮光探索フローの手順を示すフローチャート図である。
図23】実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第3巡回遮光探索フローの手順を示すフローチャート図である。
図24図23に示すフローチャートの続きのフローチャート図である。
図25】実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第4巡回遮光探索フローの手順を示すフローチャート図である。
図26】実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法の第1巡回遮光探索フローの変形例の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。
【0021】
図1に示す太陽光発電システム1は、本発明の異常太陽電池モジュールの探索方法を適用可能なものであり、太陽電池アレイ2をインバータからなるパワーコンディショナ(電力変換装置:PCS)3により電力系統に連携させた構成を有している。
【0022】
太陽電池アレイ2は、8個の太陽電池モジュール4が直列に接続された太陽電池ストリング5を一単位とし、4組の太陽電池ストリング5が接続箱6の内部で電気的に並列に接続されることで集電され、接続箱6を介してパワーコンディショナ3に電気的に接続されている。接続箱6は、それぞれの太陽電池ストリング5に対応した4つの断路器6aと、それぞれの断路器6aに対応した逆流防止用ダイオード6bとを備えている。
【0023】
パワーコンディショナ3は、太陽電池アレイ2により発電された直流の発電電流を交流に変換して電力系統に出力するとともに、全ての太陽電池ストリング5の発電電力を最大にするようにMPPT(Maximum Power Point Tracking)方式により電力を制御する。
【0024】
図2に示すように、それぞれの太陽電池モジュール4は、その内部構成として、それぞれ10個の太陽電池セル(発電素子)4aが5個ずつ2列に並べて配置されるとともに電気的に直列に接続されたセルストリング4bと、セルストリング4bを迂回する電流経路上に設けられたバイパスダイオード(BPD)4cと、を含んで構成される3つのクラスタ4dを有し、それぞれのクラスタ4dが互いに電気的に直列に接続された構成となっている。なお、便宜上、図2においては、それぞれのセルストリング4bにおいて1つの太陽電池セル4aにのみ符号を付してある。
【0025】
バイパスダイオード4cは、影や遮蔽物等によってセルストリング4bに不均一に太陽光が照射されるなどして、クラスタ4d内のセルストリング4bの発電量が相対的に低下した部分の両端電圧が同じクラスタ4d内のセルストリング4bの正常に発電している部分によって発生した発電電圧より高くなってバイパスダイオード4cの順方向電圧に等しくなったときに作動し、セルストリング4bを迂回するように発電電流をバイパスさせて、セルストリング4bにホットスポットが発生することを回避するためのものである。したがって、正常な太陽電池モジュール4の全体に均一に太陽光が照射されると、各太陽電池セル4aの発電によって生じる起電力の合計がバイパスダイオード4cの順方向電圧以上となるので、図2中に太線で示すように、発電電流はバイパスダイオード4cを通らずに各セルストリング4bを順に流れる。
【0026】
図1に示す場合では、太陽電池アレイ2は、4つの太陽電池ストリング5を紙面上で縦方向に複数段並列に配置した構成となっているが、太陽電池アレイ2を構成する太陽電池ストリング5の数はパワーコンディショナ3の収容電力と太陽電池ストリング5の開放電圧に応じて適宜設定することができる。また、太陽電池ストリング5は、それぞれ8枚の太陽電池モジュール4を直列に接続した構成とされているが、太陽電池ストリング5を構成する太陽電池モジュール4の数は太陽電池モジュール4単体の開放電圧と太陽電池ストリング5の開放電圧とに応じて適宜設定することができる。さらに、太陽電池モジュール4は、それぞれ10個の太陽電池セル4aを含む3つのクラスタ4dを有する構成とされているが、太陽電池モジュール4を構成するクラスタ4dの数及びクラスタ4dを構成する太陽電池セル4aの数はそれぞれ任意である。
【0027】
上記の太陽光発電システム1において、長期間の使用等によって太陽電池モジュール4が劣化したり、太陽電池モジュール4の表面の汚れや遮蔽物等によって発電不良が生じたりすると、太陽電池アレイ2の出力電力が低下することになるので、太陽電池モジュール4の異常を検出する必要がある。本発明の一実施の形態である異常太陽電池モジュールの探索方法によれば、複数の太陽電池モジュール4が直列に接続された太陽電池ストリング5から対象となる太陽電池モジュール4を切り離すことなく、太陽電池モジュール4を当該太陽電池ストリング5に接続したままの状態で異常を生じた太陽電池モジュール4を探索し、特定することができる。
【0028】
本発明の一実施の形態である異常太陽電池モジュールの探索方法は、例えば、図3に示す構成を有する本発明の一実施の形態である異常太陽電池モジュールの探索装置11を用いて実施することができる。
【0029】
異常を生じた太陽電池モジュール4の探索を行って太陽電池モジュール4の異常判定を行うに際しては、図1に示すように、断路器6aを開くことで異常判定の対象となる太陽電池モジュール4を含む太陽電池ストリング5をパワーコンディショナ3から解列し、当該太陽電池ストリング5に断路器6a及び導電線5a、5bを介して異常太陽電池モジュールの探索装置11を接続して閉ループを構成する。
【0030】
図3に示すように、異常太陽電池モジュールの探索装置11は、太陽電池ストリング5の導電線5a、5bの両端に接続される可変負荷抵抗11aと、太陽電池ストリング5の導電線5a、5bに直列に接続されて太陽電池ストリング5に流れる電流値を測定する電流測定部11bと、太陽電池ストリング5の導電線5a、5bの両端に可変負荷抵抗11aと並列に接続されて可変負荷抵抗11aの両端接続部分における電圧値を測定する電圧測定部11cとを備えている。可変負荷抵抗11aの電圧値は太陽電池ストリング5の両端電圧に等しい。可変負荷抵抗11aは、例えばFET(Field Effect Transistor)などの半導体素子が使用される。
【0031】
異常太陽電池モジュールの探索装置11は、さらに制御部11dを備えている。制御部11dは、例えばCPU(中央演算処理装置)等を備えたマイクロコンピュータにより構成することができる。
【0032】
可変負荷抵抗11aは制御部11dに接続され、負荷抵抗の値を変化させるように制御部11dによりその作動が制御される。また、電流測定部11bと電圧測定部11cもそれぞれ制御部11dに接続され、電流測定部11bが測定した電流値と電圧測定部11cが測定した電圧値はそれぞれ制御部11dに入力される。
【0033】
異常太陽電池モジュールの探索装置11は、I-V特性測定部としての機能を有し、操作部11eから制御部11dに入力される指令をトリガーとして、可変負荷抵抗11aの負荷抵抗の値を変化させながら太陽電池ストリング5の電流値と電圧値とを電流測定部11bと電圧測定部11cにより測定することで、太陽電池ストリング5のI-V特性を測定することができる。
【0034】
例えば、異常太陽電池モジュールの探索装置11は、複数の太陽電池モジュール4を全て遮光しない状態において可変負荷抵抗11aの負荷抵抗の値を変化させながら太陽電池ストリング5の電流値と電圧値とを電流測定部11bと電圧測定部11cにより測定することで、太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性を測定することができる。また、異常太陽電池モジュールの探索装置11は、複数の太陽電池モジュール4から選択した1つまたは複数の太陽電池モジュール4を、太陽電池モジュール4の導電経路がこれらの太陽電池モジュール4を構成する複数のクラスタ4dのそれぞれに設けられたバイパスダイオード4cを経由した経路となるように遮光した状態において、可変負荷抵抗11aの負荷抵抗の値を変化させながら太陽電池ストリング5の電流値と電圧値とを電流測定部11bと電圧測定部11cにより測定することで、太陽電池ストリング5の遮光I-V特性を測定することができる。異常太陽電池モジュールの探索装置11は、上記のように太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性、遮光I-V特性を測定した後、その測定データをデータ記憶部11fに記憶することができる。
【0035】
なお、I-V特性とは、一般に、太陽電池モジュールまたは太陽電池ストリングに接続された可変負荷抵抗の所定の抵抗値に対して太陽電池モジュールまたは太陽電池ストリングに流れる電流とその時の負荷抵抗の両端電圧値とを、抵抗値を変えながら測定して得られる関係のことであり、I-V曲線(I-Vカーブ)とも呼ばれるものである。また、本明細書においては、特に断らない限り、I-V特性とは太陽電池ストリング5のI-V特性とする。
【0036】
制御部11dは、データ記憶部11fに記憶されたI-V特性等の各種データを用いて、以下に説明する太陽電池モジュールの異常判定処理(本実施の形態の異常太陽電池モジュールの探索方法を含む)を実行するとともに、各種データをデータ記憶部11fに記憶することができる。また、異常太陽電池モジュールの探索装置11は、I-V特性(I-Vカーブ)や判定結果等の各種情報を表示する、例えばモニター等の表示部11gと、測定開始等の各種の操作が操作者により入力される上記した操作部11eとを備えている。
【0037】
図1に示すように、異常判定の対象となる太陽電池モジュール4を含む太陽電池ストリング5に異常太陽電池モジュールの探索装置11が接続されると、異常太陽電池モジュールの探索装置11は、複数の太陽電池モジュール4を全て遮光しない状態における太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性を測定することができる。より具体的には、太陽電池ストリング5を構成する全ての太陽電池モジュール4を遮光しない状態で、可変負荷抵抗11aの負荷抵抗を変化させながら太陽電池ストリング5の電流値及び電圧値を電流測定部11bと電圧測定部11cにより測定し、これらの測定結果から遮光しない状態における太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性を測定することができる。
【0038】
<非遮光I-V特性(正常/異常)について>
異常太陽電池モジュールの探索装置11により測定された非遮光時のI-V特性は、制御部11dに送信されて表示部11gに表示される。表示部11gに表示される正常な太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性と異常な太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性の一例を図4に示す。
【0039】
正常な太陽電池モジュール4のみから構成される太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性は、図4に実線で示すように、開放電圧値Vocから低圧側に延びる直線領域と、さらに低圧側へは接線の勾配が緩やかになりながら最大電力動作点を超えてさらに低圧側になると定電流領域を有し、製品毎に様仕によって特定される単一の正常な太陽電池モジュール4のI-V特性のカーブ形状を反映する。一方、異常な太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性は、図4に一点鎖線で示すように、正常な太陽電池モジュール4のみから構成される正常な太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性から変形したカーブ形状となる。
【0040】
図4に示す異常な非遮光I-V特性において、破線で囲んだ領域Aは、太陽電池ストリング5の中に、太陽電池セル4aの発電性能の劣化、太陽電池セル4a間を電気的に接続するインターコネクタの接続不良、太陽光遮蔽物、表面汚れ等によって発電電流経路に高抵抗領域が存在すること等の異常を有することで、バイパスダイオード4cが作動しているクラスタ4dが存在していることを示している。また、破線で囲んだ領域Bは、低圧側に凸変曲した曲線形状となっており、太陽電池ストリング5の中に、相対的に発電効率が低下するという異常を有する太陽電池モジュール4が存在していることを示している。さらに、破線で囲んだ領域Cは、定電流領域において、太陽電池セル4aの漏れ電流の発生等の異常により勾配が生じていることを示している。さらに破線で囲んだ領域Dは、バイパスダイオード4cの動作点Prから低圧側に延びる直線領域において、直列抵抗成分の増大によって傾き(傾斜)が緩やかになる場合もある。このように、異常な非遮光I-V特性は正常な非遮光I-V特性に対して変形したカーブ形状となる。なお、図4において、電流軸(縦軸)は、一般にI-V特性における電流値が日射量に比例して変動することを考慮して、正常な太陽電池モジュール4のみから構成される太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性の電流値と異常な非遮光I-V特性の電流値とを互いに相対値として示した。
【0041】
次に、異常太陽電池モジュールの探索装置11が接続された太陽電池ストリング5を構成する複数の太陽電池モジュール4の中から異常判定の対象となる1つの太陽電池モジュール4を選択し、この太陽電池モジュール4を遮光板で遮光する。そして、異常判定対象となる1つの太陽電池モジュール4が遮光板で遮光された状態における太陽電池ストリング5の遮光I-V特性を異常太陽電池モジュールの探索装置11により測定する。
【0042】
<遮光操作について>
遮光I-V特性の測定においては、選択した1つの太陽電池モジュール4の全面を遮光板により覆うようにすることができるが、当該太陽電池モジュール4の導電経路を、この太陽電池モジュール4を構成する複数のクラスタ4dのそれぞれに設けられたバイパスダイオード4cを経由した経路とすることができれば、図5に示すように、太陽電池モジュール4の一部の領域のみを遮光板20によって遮光するようにしてもよい。本発明において、遮光操作とは、太陽電池モジュール4の導電経路がバイパスダイオード4cを経由した経路となるように太陽電池モジュール4の全部または一部のみを遮光する操作をいうものとする。また、遮光I-V特性とは、この遮光操作を行って取得されたI―V特性をいうものとする。
【0043】
<異常(クラスタ劣化)について>
太陽電池モジュール4のクラスタ4dの劣化(クラスタ劣化)には、クラスタ高抵抗化、クラスタ断線及びバイパスダイオード4cのショート故障がある。
【0044】
クラスタ高抵抗化とは、クラスタ4dが電気的な導通はあるものの高抵抗となっているためにバイパスダイオード4cが作動している劣化状態のことである。この劣化状態においては、太陽電池ストリング5の全体のI-V特性の開放電圧値Vocは、クラスタ劣化がない正常な太陽電池ストリング5の開放電圧値Vocから変化しないが、開放電圧値Vocからバイパスダイオード4cの動作点Prまでの間に直線に近い電圧領域(バイパスダイオード4cの作動しない領域)が生じ、バイパスダイオード4cの動作点Prよりも低圧側においてはI-V特性は立ち上がった形状となる。
【0045】
クラスタ断線とは、クラスタ4dに電気的な導通がなくなったためにバイパスダイオード4cが作動している劣化状態のことである。この劣化状態では、バイパスダイオード4cの順方向電圧をVdとすると、太陽電池ストリング5の全体のI-V特性の開放電圧値Vocは、クラスタ劣化がない正常な太陽電池ストリング5の開放電圧値からVc-Vdだけシフトする。ここで、Vcは、Voc/(1つの太陽電池モジュール4を構成するクラスタ数×太陽電池ストリング5を構成する太陽電池モジュール4の数)で定義されるクラスタ電圧であり、本実施の形態においては、Vc=Voc/(3×8)である。
【0046】
バイパスダイオード4cのショート故障とは、バイパスダイオード4cの整流機能が消失してバイパスダイオード4cが電気的にショートした劣化状態のことである。この劣化状態では、バイパスダイオード4cの順方向電圧Vdは生じないので、I-V特性は、正常な太陽電池ストリング5の開放電圧値VocからVc―Vdだけ低圧側へシフトする。
【0047】
太陽電池ストリング5がクラスタ劣化を含まない場合には、その非遮光I-V特性の開放電圧値Vocの近傍における接線の勾配は、dI/dV=-1/Rs(Rsは太陽電池ストリングの等価回路の直列抵抗成分)で与えられることが知られている。Rsは数年単位の長時間で変化するが、非遮光I-V特性を測定する時間スケール(数百ミリ秒)に比べて十分に長く、非遮光I-V特性の測定中は定数と見做せるので、非遮光I-V特性の形状は開放電圧値Vocの近傍で線形性(直線性)を有する。この非遮光I-V特性の線形性は、クラスタ断線またはバイパスダイオード4cのショート故障のクラスタ劣化を含む太陽電池ストリング5においても、その開放電圧値Vocの近傍で成り立つ。一方、クラスタ4dが高抵抗化したクラスタ劣化の場合は、バイパスダイオード4cの動作点Prから低圧側に延びる領域において、非遮光I-V特性に上記したdI/dV=-1/Rsの関係を満たす線形性(直線性)を有する領域があると見做せる。すなわち、遮光I-V特性は、遮光によるバイパスダイオード4cの作動領域を有するものとなるが、このバイパスダイオード4cの動作点Prから低圧側に延びる線形性を有する領域が線形領域となる。図4に示すように、非遮光I-V特性及び遮光I-V特性が、それぞれバイパスダイオード4cの作動領域を有する場合には、非遮光I-V特性及び遮光I-V特性における線形領域は、バイパスダイオード4cの動作点Prから低圧側に延びる領域であって、上記したdI/dV=1/Rs(Rs:直列抵抗成分)の関係を満たす線形性(直線性)を有する領域のことである。
【0048】
図4に示すように、太陽電池ストリング5の中に、クラスタ劣化に至らない状態での光電変換効率が低下したクラスタ4dが含まれる場合、各クラスタ4dの同電流点に対する電圧の水平加法性により、正常なクラスタの場合と比べて加算電圧が小さくなるので、太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性には、図4のように高電流-高電圧域に、影がかかった場合と同等の低電圧側への変曲点p(凸変曲)が生じる。変曲点pの位置は、光電変換効率の低下が大きいほど非遮光I-V特性の低電流側(高電圧側)になる。
【0049】
バイパスダイオード4cは、影や故障等によって、セルストリング4bに不均一に太陽光が照射されるなどして、クラスタ4dの内部のセルストリング4bの発電量が相対的に低下した部分の両端電圧が同じクラスタ4dの内部のセルストリング4bの正常に発電している部分によって発生した発電電圧より高くなってバイパスダイオード4cの順方向電圧Vdに等しくなったときに作動し、セルストリング4bを迂回するように発電電流をバイパスさせて、セルストリング4bにホットスポットが発生することを回避するためのものである。したがって、正常な太陽電池モジュール4の全体に均一に太陽光が照射されると、各々の太陽電池セル4aの発電によって生じる起電力の合計がバイパスダイオード4cの順方向電圧Vd以上となるので、発電電流はバイパスダイオード4cを通らずに各セルストリング4bを順に流れることになる。
【0050】
<BPD故障における非遮光I-V特性について>
図6(a)に示すように、あるクラスタ4dのバイパスダイオード4cがオープン故障している場合、太陽電池モジュール4を遮光しない非遮光状態では、太陽電池モジュール4のセルストリング4bに劣化がなく、または太陽電池モジュール4に影がかからず表面汚れもない場合、図6(a)中において太線で示すように、発電電流はバイパスダイオード4cを通らずに各セルストリング4bを順に流れるのでバイパスダイオード4cのオープン故障の有無を発見することはできない。
【0051】
一方、図6(b)に示すように、遮光板20によって太陽電池モジュール4の導電経路が該太陽電池モジュール4を構成する複数のクラスタ4dのそれぞれに設けられたバイパスダイオード4cを経由した経路となるように太陽電池モジュール4の一部のみを遮光すると、バイパスダイオード4cが正常に作動したクラスタ4dでは電流はバイパスダイオード4cを経由する経路に迂回するが、バイパスダイオード4cがオープン故障しているクラスタ4dのセルストリング4bには強制的に発電電流が流される。バイパスダイオード4cがオープン故障しているクラスタ4dのセルストリング4bに強制的に発電電流が流されると、その経路上の遮光部分の太陽電池セル4aが抵抗体となって、遮光I-V特性は開放電圧から低圧側に延びる直線となる。
【0052】
図7は、14個の太陽電池モジュール4で構成される太陽電池ストリング5に対して、バイパスダイオード4cのオープン故障もショート故障も含まれない場合の非遮光I-V特性と、バイパスダイオード4cのオープン故障が1カ所(1クラスタ)あって、1つの太陽電池モジュール4を全面遮光した場合の遮光I-V特性とを示すシミュレーションの例である。このシミュレーションでは、開放電圧:36.8V、短絡電流:8.75A、最大出力動作電圧:29.7V、最大出力動作電流:8.17Aの市販のモジュールの数値を用いた。太陽電池ストリング5がクラスタ劣化を含まない場合には、その非遮光I-V特性の開放電圧値Vocの近傍における接線の勾配は、dI/dV=-1/Rs(Rsは太陽電池ストリング5の等価回路の直列抵抗成分)で与えられる。そして、遮光板20によって太陽電池モジュール4の導電経路が該太陽電池モジュール4を構成する全てのクラスタ4dのそれぞれに設けられたバイパスダイオード4cを経由した経路となるように太陽電池モジュール4の一部を遮光すると、バイパスダイオード4cがオープン故障しているクラスタ4dのセルストリング4bには強制的に発電電流が流される。バイパスダイオード4cがオープン故障しているクラスタ4dのセルストリング4bに強制的に発電電流が流されると、その経路上の遮光部分の太陽電池セル4aが抵抗体となるので、上記のRsが増大し、図7に示したように、遮光I-V特性は開放電圧から低圧側に延びる直線となる。特に、太陽電池モジュールを全面遮光すると全電圧領域にわたって開放電圧から低圧側に延びる直線となる。一方、バイパスダイオード4cがショート故障を含む太陽電池モジュール4においては、故障したバイパスダイオード4cが短絡されるので隣接クラスタ4dからの発電電流の逆流が起きる。そのためバイパスダイオード4cのショート故障を含む太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性は、図7に示すように、正常なストリングの非遮光I-V特性に対して開放電圧値Vocが低電圧側にシフトした形状となる。
【0053】
本実施の形態の異常太陽電池モジュールの探索方法は、探索対象となる太陽電池ストリング5を構成する8個の太陽電池モジュール4のうち、少なくとも1つの太陽電池モジュール4を所定のパターンで順次遮光して複数の遮光I-V特性を取得し、これらの遮光I-V特性の形状に基づいて、8個の太陽電池モジュール8の個々の異常を探索し、特定することができる。
【0054】
本実施の形態の異常太陽電池モジュールの探索方法において、探索、特定は、以下の概要ないし関係に基づいて行われる。
【0055】
図8(a)に示すように、太陽電池ストリング5のI-V特性においては、任意の電流値に対してストリング電圧と当該太陽電池ストリング5を構成する各モジュール電圧の間に「モジュール電圧×直列数=ストリング電圧」の加算則が成り立つ。ここで、「モジュール電圧」は、1つの太陽電池モジュール4の電圧値であり、「直列数」は太陽電池ストリング5を構成する太陽電池モジュール4の数であり、「ストリング電圧」は太陽電池ストリング5の電圧値である。すなわち、I-V特性における任意の電流値に対して、太陽電池ストリング5の電圧値は、当該太陽電池ストリング5を構成する個々の太陽電池モジュール4の電圧値の和となる。
【0056】
発電不良を生じた異常な太陽電池モジュール4のI-V特性(I-Vカーブ)の形状は、正常な太陽電池モジュール4のI-V特性(I-Vカーブ)の形状に比べて、電圧軸方向に変形したものとなるので、発電不良を生じた異常な太陽電池モジュール4を含む太陽電池ストリング5のI-V特性(I-Vカーブ)の形状は、正常な太陽電池モジュール4のみを含む太陽電池ストリング5のI-V特性(I-Vカーブ)の形状に比べて、電圧軸方向に変形した形状となる。図8(a)の太い実線で示すI-V特性の場合は、Mod5の太陽電池モジュール4の中の1つのクラスタ4dがクラスタ断線しているため、Mod5の太陽電池モジュール4が正常であった場合のI-V特性に対して1クラスタ電圧分低圧側にシフトするように変形した形状となることを示している。このことは、図4で説明したように、正常な太陽電池モジュール4のみから構成される太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性が、製品毎に仕様によって特定される形状となる正常な単一太陽電池モジュール4の形状を反映し、開放電圧値Vocから低圧側に延びる直線領域と、さらに低圧側へは接線の勾配が緩やかになりながら最大電力動作点を超えてさらに低圧側になると定電流領域を有する形状となるが、図8(a)の太い実線で示すI-V特性においてもこの形状が保持されることを意味する。
【0057】
図8(b)において、Mod2、Mod4、Mo6の太陽電池モジュール4を遮光し、かつMod1、Mod3、Mod5、Mo6の太陽電池モジュール4が正常である場合の太陽電池ストリング5のI-V特性を太い実線で示す。ここで、Mod2の太陽電池モジュール4は1クラスタがクラスタ断線しており、Mod4の太陽電池モジュール4は図4で説明した領域Bを有している。この場合、遮光された太陽電池モジュール4のセルストリング4bの電圧軸方向の特性は太陽電池ストリング5のI-V特性から除外されるので、太陽電池ストリング5の遮光I-V特性は、図8(a)について説明したように、遮光されていない太陽電池モジュール4(Mod1,Mod3、Mod5)のI-V特性の電圧軸方向の和で決まる。このことから、Mod2とMod4の太陽電池モジュール4を共に遮光した上で、残りの4つの太陽電池モジュール4のいずれか1つを順次遮光して得られる太陽電池ストリング5の4つの遮光I-V特性は全て同じ形状になる(遮光I-V特性が重なる)。一方、Mod2の太陽電池モジュール4とMod4の太陽電池モジュール4の少なくとも一方を遮光しない状態で、残りの太陽電池モジュール4の1つを順次遮光して得られる太陽電池ストリング5の遮光I-V特性の中には、必ず他の遮光I-V特性と重ならないものがある。このことから、異常太陽電池モジュール4を全て遮光し、かつ他の正常な太陽電池モジュールの1つを順次遮光して得られる太陽電池ストリング5の全ての遮光I-V特性が正常な太陽電池モジュール4のI-V特性の形状を持って重なる場合に、常に遮光された太陽電池モジュール4のみが異常であると特定することが可能となる。
【0058】
以下、一般に、N個の太陽電池モジュール4で構成される太陽電池ストリング5において、少なくとも一つの太陽電池モジュール4を遮光して得られる太陽電池ストリング5の遮光I-V特性のうち、N個の遮光I-V特性が全て重なるのは、全ての太陽電池モジュール4が全て正常か、もしくは全て同じ異常である場合であること、また、I-V特性が互いに重なるn個の太陽電池モジュール4を固定遮光(遮光した状態に固定)し、(N-n)個の太陽電池モジュール4を巡回遮光(1つずつ順次遮光)して遮光I-V特性を取得し、これらの遮光I-V特性について、正常な太陽電池モジュール4のI-V特性の形状を持って互いに重なるか否かの判断を繰り返すことで、太陽電池ストリング5を構成する全ての太陽電池モジュール4の正常/異常を判定することができることを説明する。
【0059】
図9に示すように、太陽電池ストリング5を構成する複数の太陽電池モジュール4の中に1つだけ異常(領域B、領域D)を有する太陽電池モジュール4(Mod4)が含まれている場合には、太陽電池ストリング5を構成する1つの太陽電池モジュール4を遮光(3クラスタ分)して、当該太陽電池モジュール4の発電を停止(発電電流をBPD経路へ迂回)させ、遮光前後のI-V特性(I-Vカーブ)の形状を比較する。この遮光操作を順次行って互いに遮光I-V特性を重ねると、遮光された太陽電池モジュール4が正常な太陽電池モジュール4である場合は、遮光I-V特性に異常を有する太陽電池モジュール4のI-V特性の形状が反映するため、遮光I-V特性は常に異常(領域B、領域D)を有する形状となる。一方、図10に示すように、異常を有する太陽電池モジュール4(Mod4)が遮光された場合のみ、遮光I-V特性は単に発電電流がBPD経路へ迂回する形状(領域Aのみ)となって遮光I-V特性は互いに重なる。これにより、Mod4の太陽電池モジュール4のみが異常を有するものであると特定することができる。
【0060】
これに対し、図11に示すように、太陽電池ストリング5を構成する太陽電池モジュール4の中に異常を有する太陽電池モジュール4が複数含まれている場合に、1つの太陽電池モジュール4を順次遮光して得られる遮光I-V特性は全て異常を有する形状となる。図11では、2つの異常な太陽電池モジュール4(Mod2、Mod4)のうちMod4のみを遮光しているので、遮光I-V特性は、Mod4のI-V特性は除外され、Mod2の異常(領域B、領域D)を反映した形状となる。これにより、太陽電池ストリング5が複数の異常を有する太陽電池モジュール4を含むと判定することができる。
【0061】
太陽電池ストリング5が複数の異常を有する太陽電池モジュール4を含む場合には、まず1つの太陽電池モジュール4を遮光した状態に固定(固定遮光)し、他の太陽電池モジュール4を順次遮光(巡回遮光)して得られた遮光I-V特性の形状を相互に比較する。
【0062】
図12には、2つの太陽電池モジュール4(Mod2、Mod4)が異常であり、他の太陽電池モジュール4が全て正常であって、Mod6を固定遮光し、巡回遮光としてMod5を遮光した場合を示す。この場合の遮光I-V特性は、Mod2とMod4の異常な太陽電池モジュール4のI-V特性がともに遮光I-V特性に反映される。そして、Mod1からMod5までを順次巡回遮光して得られる遮光I-V特性のうち、Mod2を遮光した場合の遮光I-V特性と、Mod4を遮光した場合の遮光I-V特性と、Mod2、Mod4以外の太陽電池モジュール4を遮光して得られる遮光I-V特性の形状が全て一致するということない。
【0063】
図13には、2つの太陽電池モジュール4(Mod2、Mod4)が異常であり、他の太陽電池モジュール4が全て正常であって、Mod6を固定遮光し、巡回遮光としてMod4を遮光した場合を示す。この場合の遮光I-V特性は、異常なMod4の太陽電池モジュール4のI-V特性が遮光I-V特性から除外され、異常なMod2の太陽電池モジュール4のI-V特性が遮光I-V特性に反映される。そして、Mod1からMod5までを順次巡回遮光して得られる遮光I-V特性のうち、Mod2を遮光した場合の遮光I-V特性と、Mod4を遮光した場合の遮光I-V特性と、Mod2、Mod4以外の太陽電池モジュール4を遮光して得られる遮光I-V特性の形状が全て一致するということない。
【0064】
したがって、図12図13に示す例のように、異常な太陽電池モジュール4が2つあって、固定遮光が正常な太陽電池モジュール4に行われると、他のどの太陽電池モジュール4を遮光しても遮光I-V特性には異常な太陽電池モジュール4のI-V特性の形状が反映し、全ての異常な太陽電池モジュール4を特定することができない。
【0065】
これに対し、図14に示すように、2つの太陽電池モジュール4(Mod2、Mod4)が異常であり、他の太陽電池モジュール4が全て正常であって、固定遮光が異常な太陽電池モジュール4(図14ではMod4)であると、巡回遮光として他方の異常な太陽電池モジュール4(図14ではMod2)を遮光した場合に、異常な太陽電池モジュール4(Mod2、Mod4)のI-V特性はともに遮光I-V特性から除外され、単に発電電流がBPD経路へ迂回した領域Aを有し、BPD動作点Psより低圧側では正常な太陽電池モジュール4のみのI-V特性を電圧軸方向に加算した形状となる。そして、この遮光I-V特性の形状は、正常な太陽電池モジュール4のみを順次巡回遮光して得られる遮光I-V特性全てにおいて一致した形状となる(遮光I-V特性が全て重なる)。これにより、固定遮光された太陽電池モジュール4と巡回遮光として遮光された太陽電池モジュール4のみが異常を有するものであると特定することができる。
【0066】
図11図12図13図14においては、太陽電池ストリング5の中に異常な太陽電池モジュール4が2つある場合に、固定遮光と巡回遮光を組み合わせて異常な太陽電池モジュール4を特定する方法について説明したが、一般に、太陽電池ストリング5がN個の太陽電池モジュール4で構成され、この中のn個の太陽電池モジュール4が異常である場合についても同様に適用することが可能である。即ち、太陽電池ストリング5を構成するN個の太陽電池モジュール4の中に異常な太陽電池モジュール4がn個ある場合、当該異常な太陽電池モジュール4を固定遮光し、他の(N-(n-1))個の太陽電池モジュール4を順次巡回遮光して得られる全ての遮光I-V特性が、発電電流がBPD経路へ迂回した領域Aを有し、BPD動作点Psより低圧側では正常な太陽電池モジュール4のみのI-V特性を電圧軸方向に加算した形状として一致する(遮光I-V特性が重なる)場合に、固定遮光された太陽電池モジュール4のみが異常であると判定することができる。
【0067】
本実施の形態の異常太陽電池モジュールの探索方法の実施例1に係る探索方法は、N個(図1に示す場合では8個)の太陽電池モジュール4が直列に接続された太陽電池ストリング5から異常な太陽電池モジュール4を探索する、異常太陽電池モジュールの探索方法であって、N個の太陽電池モジュール4を順次遮光して取得したN個の遮光I-V特性を、互いに重なるか否かによって1以上の太陽電池モジュール群に分類する第1の探索工程と、第1の探索工程で分類された各々の太陽電池モジュール群について、他の太陽電池モジュール群に属する全ての太陽電池モジュール4と同一の太陽電池モジュール群の中の1つの太陽電池モジュール4とを遮光して判定用遮光I-V特性を取得し、判定用遮光I-V特性を正常な遮光I-V特性とともに表示部11gに表示する第2の探索工程と、を有することを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索方法である。
【0068】
以下に、実施例1に係る異常太陽電池モジュールの探索方法により、図1に示す太陽光発電システム1を構成する太陽電池ストリング5から異常な太陽電池モジュール4を探索、判定する手順について説明する。
【0069】
実施例1に係る異常太陽電池モジュールの探索方法では、まず、図15図17に示す第1巡回遮光探索フローを実施する。
【0070】
第1巡回遮光探索フローでは、ステップS1において、異常な太陽電池モジュール4を探索する対象となる太陽電池ストリング5のN個(8個)の太陽電池モジュール4を1つずつ順次遮光しつつ、異常太陽電池モジュールの探索装置11により当該太陽電池ストリング5の電流値及び電圧値を測定することで、異常太陽電池モジュールの探索装置11がN個の遮光I-V特性を取得する。
【0071】
次に、ステップS2において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、N個の遮光I-V特性を正規化処理する。正規化処理は、第n遮光I-V特性、第m遮光I-V特性(m=1、2・・・N。m≠n)の各々のISC(短絡電流値)をISCn、ISCmとしたとき、第m遮光I-V特性の各電流値をISCn/ISCm倍することにより行うことができる。なお、正規化処理は省略してもよい。
【0072】
次に、ステップS3において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、ステップS1で取得したN個の遮光I-V特性を表示部11gに重畳して表示する。このとき、表示部11gの1つの表示画面に、少なくとも1つの第m遮光I-V特性を第n遮光I-V特性に重畳して表示し、次いで、画面を切り替えて残りの第m遮光I-V特性を第n遮光I-V特性に重畳して表示するようにしてもよい。
【0073】
次に、ステップS4において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、バイパスダイオード4cのオープン故障特性を有するものがあるか否かを判断することで、BPDオープン故障をスクリーニングする。遮光I-V特性が、図7で示したように、バイパスダイオード動作点Psがなく開放電圧から低圧側に延びる直線となること、あるいはさらに遮光領域の面積を変化させた場合に当該直線の傾きが変化することをもってバイパスダイオード4cのオープン故障を有する太陽電池モジュールが存在すると判断する。当該判断は、作業者が表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。制御部11dが自動的に判断する方法については後述する。
【0074】
ステップS4において、作業者が判断する場合には、その判断結果を、操作部11eから制御部11dに入力する。
【0075】
ステップS4において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、バイパスダイオード4cのオープン故障特性を有するものがあると判断された場合には、ステップS5において、オープン故障特性を有する遮光I-V特性に対応する太陽電池モジュール4がBPDオープン故障という異常を有していると判断し、探索を終了する。
【0076】
探索対象となる太陽電池ストリング5に、BPDオープン故障を有する太陽電池モジュール4が含まれていると、巡回遮光操作による他の太陽電池モジュール4の正常/異常の判定を行うことができないので、BPDオープン故障を有する太陽電池モジュール4を正常な太陽電池モジュール4に交換した後、以降の探索を行う。
【0077】
ステップS4において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、バイパスダイオード4cのオープン故障特性を有するものが含まれていないと判断された場合には、ステップS6において、BPDオープン故障を有する太陽電池モジュール4は存在しないと判定し、図16に示すステップS7において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性が全て重なるか否かが判断される。
【0078】
ステップS7における判断は、作業者が表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。制御部11dが自動的に判断する方法については後述する。
【0079】
ステップS7において作業者が判断する場合には、その判断結果を、操作部11eから制御部11dに入力する。
【0080】
ステップS7において制御部11dが判断する場合には、図19に示すように、異常太陽電池モジュールの探索装置11の判断部としての機能を有する制御部11dにおいて、所定の複数の電流値I(k)(k=1、2・・・)に対するn番目と(n+1)番目の遮光I-V特性上の測定点An、An+1(BPD動作点より低圧側)の各々の電圧値Vn(k)、Vn+1(k)が等しい(測定点An、An+1が一致する)場合に、両遮光I-V特性は重なると判定する。ステップS4においてBPDオープン故障があるか否かを自動判断する場合も同様である。
【0081】
ステップS7において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性が全て重なると判断された場合には、ステップS8において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる全ての太陽電池モジュール4が正常または同じ異常を有するものと判定される。
【0082】
次に、ステップS9において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、バイパスダイオード4cの動作点Psがあるか否かを判断する。当該判断は、作業者が表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性において図4で説明したバイパスダイオード4cの動作点Psを有する場合の遮光I-V特性であるか否かを視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。制御部11dが自動的に判断する方法としては、例えば、遮光I-V特性の測定点に対して開放電圧から低圧側にI-V特性の勾配を算出し、当該勾配が変化する点が現れることをもってバイパスダイオード4cの動作点Psが存在すると判定する。
【0083】
ステップS9において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、バイパスダイオード4cの動作点Psがないと判断された場合には、ステップS10において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる全ての太陽電池モジュール4が、3つのクラスタ4d全てがBPDショート故障を生じている異常を有するものと判定し、探索を終了する。
【0084】
一方、ステップS9において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、バイパスダイオード4cの動作点Psがあると判断された場合には、ステップS11において、表示部11gに表示された遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性であるか否かを判断する。当該判断は、作業者が表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性において、図14において説明したように、遮光I-V特性が、発電電流がBPD経路へ迂回した領域Aを有し、BPD動作点Psより低圧側では正常な太陽電池モジュール4のみのI-V特性を電圧軸方向に加算した形状となることを視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0085】
ステップS11における判断は、ステップS7において遮光I-V特性の重畳性を判定した後に行うため、遮光I-V特性における低圧側への凸変曲の有無と定電流領域の勾配の有無で判定することができる。この場合、図19に示すように、正常な太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性の、BPD動作点から低圧側の定電流領域に至る形状は、正常な単一の太陽電池モジュール4の非遮光I-V特性の当該領域と重なることから、データ記憶部11fに正常な単一の太陽電池モジュール4の非遮光I-V特性のデータ点を格納しておき、判定対象となる遮光I-V特性に対して、ステップS6におけるのと同様の手法を適用して、正常/異常判定を行うことができる。
【0086】
ステップS11において、表示部11gに表示された遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性ではないと判断された場合には、ステップS12において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる全ての太陽電池モジュール4が異常を有するものと判定し、探索を終了する。
【0087】
一方、ステップS11において、表示部11gに表示された遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性であると判断された場合には、ステップS13において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる全ての太陽電池モジュール4が正常であると判定し、探索を終了する。
【0088】
ステップS7において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の全てが重なるということではないと判断された場合には、ステップS14において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、重なる遮光I-V特性があるか否かを判断する。当該判断は、作業者が表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。また、当該判断は、ステップS7におけるのと同様の手法を適用して行うことができる。
【0089】
ステップS14において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、重なる遮光I-V特性がないと判断された場合には、図17に示すステップS15において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる全ての太陽電池モジュール4が異なる発電特性を有し、正常な太陽電池モジュール4は最大1個であると判定し、次いで、ステップS16において、(N-1)個の太陽電池モジュール4を順次遮光(1個は非遮光)して遮光I-V特性を取得して表示部11gに表示し、ステップS17において、正常遮光I-V特性となる非遮光の太陽電池モジュール4のみが正常で、他の太陽電池モジュール4は異常と判定して、探索を終了する。非遮光の太陽電池モジュール4が正常であるか否かはステップS7におけるのと同様の手法を適用して行うことができる。
【0090】
一方、ステップS14において、表示部11gに表示されたN個の遮光I-V特性の中に、重なる遮光I-V特性があると判断された場合には、図18に示す第2巡回遮光探索フローへ移行する。
【0091】
第2巡回遮光探索フローを行うに際して、ステップ7により、同じ遮光I-V特性が複数(2以上)あって、太陽電池ストリング5を構成するN個の太陽電池モジュール4のうち、どの太陽電池モジュール4を遮光した場合に太陽電池ストリング5の遮光I-V特性が同じになるかはわかっている。この時、N個の太陽電池モジュール4を順次遮光して得られるN個の遮光I-V特性のうち、遮光I-V特性が重なるためには、当該遮光I-V特性を得る際に遮光した異なる太陽電池モジュール4のI-V特性が全て同じでなければならない。なぜなら、遮光しない太陽電池モジュール4は当該遮光I-V特性間に差をもたらさないからである。従って、遮光I-V特性が重なる場合の遮光された太陽電池モジュール4は全て同じI-V特性を有する太陽電池モジュール群を構成する。すなわち、ステップ7により、N個の遮光I-V特性が互いに重なるか否かによって、N個の太陽電池モジュール4は2以上の同一I-V特性を有する太陽電池モジュール群(以下、単にモジュール群という。)に分類される。当該分類は、作業者が表示部11gに表示された遮光I-V特性を視認して分類してもよく、分類部としての機能を有する制御部11dが自動的に分類してもよい。分類した結果として、太陽電池モジュール4とモジュール群とが対応付けてデータ記憶部11fに記憶される。
【0092】
第2巡回遮光探索フローでは、まず、ステップS18において、第n1群に属するn1個の太陽電池モジュール4以外の(N-n1)個の太陽電池モジュール4を全て固定遮光し、次いで、ステップS19において、第n1群のn1個の太陽電池モジュール4の中の1つの太陽電池モジュール4を遮光して判定用遮光I-V特性を取得し、これを表示部11gに表示する。なお、n1+n2+・・・nk=Nである。
【0093】
次に、ステップS20において、判定用遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性か否かを判定する。当該判定は、ステップ7における遮光I-V特性の重畳性を判定した後に行うため、領域B(低圧側への凸変曲の有無)と領域C(定電流領域の勾配の有無)と領域A(直列抵抗成分の増大の有無)で判定することができる。即ち、第1巡回遮光探索フローにおけるステップ11と同様の方法によって判定することができる。
【0094】
ステップS20において、判定用遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性ではないと判定されたときには、ステップS21において、第n1群に属するn1個の太陽電池モジュール4は全て異常であると判定して、探索を終了する。
【0095】
一方、ステップS20において、判定用遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性であると判定されたときには、ステップS22において、第n1群に属するn1個の太陽電池モジュール4は全て正常であると判定する。
【0096】
ステップS18~ステップ22の処理は、ステップ7で分類したそれぞれのモジュール群に対して同様にして行う。
【0097】
すなわち、第2巡回遮光探索フローにおいては、ステップ7で分類された各々のモジュール群について、他のモジュール群に属する全ての太陽電池モジュール4と同一のモジュール群の中の1つの太陽電池モジュール4とを遮光して、それぞれのモジュール群について判定用遮光I-V特性を取得し、当該判定用遮光I-V特性を正常な遮光I-V特性であるか否かを判定することで、当該モジュール群に属する太陽電池モジュール4が全て異常であるか正常であるかを判定する。当該判定は、作業者が表示部11gに表示された判定用遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判定してもよい。制御部11dが自動的に判定する場合は、第1巡回遮光探索フローにおけるステップ11と同様の方法によって判定することができる。
【0098】
上記した実施例1に係る異常太陽電池モジュールの探索方法によれば、探索対象となる太陽電池ストリング5に、これを構成する複数の太陽電池モジュール4を接続したままの状態で、太陽電池ストリング5を構成する複数の太陽電池モジュール4の中から、異常を生じた太陽電池モジュール4を簡易に探索し、特定することができる。当該探索及び特定は、太陽電池ストリング5を構成する複数の太陽電池モジュール4の中に、異常を生じた太陽電池モジュール4が複数含まれている場合であっても、これら複数の異常を生じた太陽電池モジュール4を、それぞれ特定することができる。
【0099】
本実施の形態の異常太陽電池モジュールの探索方法の実施例2に係る探索方法は、N個(図1に示す場合では8個)の太陽電池モジュール4が直列に接続された太陽電池ストリング5から異常な太陽電池モジュール4を探索する、異常太陽電池モジュールの探索方法であって、1番目の太陽電池モジュール4を遮光した状態で基準遮光I-V特性を取得するとともに、1番目以外の太陽電池モジュール4を順次遮光して(N-1)個の遮光I-V特性を取得し、当該(N-1)個の遮光I-V特性が全て基準遮光I-V特性と重なるか否かを判断する第1巡目の探索工程を行い、第1巡目の探索工程において、少なくとも1個の遮光I-V特性が基準遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、1番目の太陽電池モジュール4を遮光した状態のまま他の(N-1)個の太陽電池モジュール4を順次遮光して(N-1)個の遮光I-V特性を取得し、(N-1)個の遮光I-V特性が全て互いに重なるか否かを判断する第2巡目の探索工程を行い、第2巡目の探索工程以降、少なくとも1個の遮光I-V特性が他の遮光I-V特性と重ならないと判断されたときに、遮光した状態のままとする太陽電池モジュール4を1つずつ増やしながら他の太陽電池モジュール4を順次遮光して遮光I-V特性を取得し、遮光I-V特性が全て互いに重なるか否かを判断する探索工程を繰り返し行うことを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索方法である。
【0100】
以下に、実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法により、図1に示す太陽光発電システム1を構成する太陽電池ストリング5から異常な太陽電池モジュール4を探索、判定する手順について説明する。
【0101】
実施例2に係る異常太陽電池モジュールの探索方法では、まず、図20図21に示す第1巡回遮光探索フローを実施する。
【0102】
第1巡回遮光探索フローでは、ステップS1において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、異常な太陽電池モジュール4を探索する対象となる太陽電池ストリング5(直列した太陽電池モジュール4の数がN)の非遮光I-V特性を取得し、これを表示部11gに表示する。
【0103】
ステップS1において、太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性を表示部11gに表示した後、ステップS2として、当該非遮光I-V特性が正常な遮光I-V特性であるか否かを判断するようにしてもよい。この判断は、作業者が目視で、表示部11gに表示された非遮光I-V特性に視認性がある変形が認められるか否かによって判断することができる。なお、当該判定は省略してもよい。
【0104】
次に、ステップS3において、太陽電池ストリング5を構成する第n番目の太陽電池モジュール4を遮光した上で、異常太陽電池モジュールの探索装置11により当該太陽電池ストリング5の電流値及び電圧値を測定することで、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、第n番目の太陽電池モジュール4を遮光した第n遮光I-V特性(基準遮光I-V特性)を取得する。
【0105】
次に、ステップS4において、太陽電池ストリング5を構成する第n番目の太陽電池モジュール4を除く、(N-1)個の太陽電池モジュール4を順次遮光した上で、遮光した太陽電池モジュール4に対応させて、異常太陽電池モジュールの探索装置11により当該太陽電池ストリング5の電流値及び電圧値を測定することで、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、(N-1)個の第m遮光I-V特性(m=1、2・・・N。m≠n)を取得する。
【0106】
次に、ステップS5において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、第n遮光I-V特性に対して第m遮光I-V特性を正規化処理する。正規化処理は、第n遮光I-V特性、第m遮光I-V特性の各々のISC(短絡電流値)をISCn、ISCmとしたとき、第m遮光I-V特性の各電流値をISCn/ISCm倍することにより行うことができる。なお、正規化処理は省略してもよい。
【0107】
次に、ステップS6において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、ステップS3で取得した第n遮光I-V特性とステップS4で取得した第m遮光I-V特性とを重畳して表示する。このとき、表示部11gの1つの表示画面に、少なくとも1つの第m遮光I-V特性を第n遮光I-V特性に重畳して表示し、次いで、画面を切り替えて残りの第m遮光I-V特性を第n遮光I-V特性に重畳して表示するようにしてもよい。
【0108】
次に、図21に示すステップS7において、全ての第m遮光I-V特性が基準遮光I-V特性である第n遮光I-V特性と重なるか否かが判断される。当該判断は、作業者が表示部11gに表示された第n遮光I-V特性及び第m遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0109】
ステップS7において作業者が判断する場合には、その判断結果を、操作部11eから制御部11dに入力する。
【0110】
ステップS7において制御部11dが判断する場合には、図19に示すように、異常太陽電池モジュールの探索装置11の判断部としての機能を有する制御部11dにおいて、所定の複数の電流値I(k)(k=1、2・・・)に対するn番目と(n+1)番目の遮光I-V特性上の測定点An、An+1(BPD動作点より低圧側)の各々の電圧値Vn(k)、Vn+1(k)が等しい(測定点An、An+1が一致する)場合に、両遮光I-V特性は重なると判定する。
【0111】
ステップS7において、全ての第m遮光I-V特性が基準遮光I-V特性である第n遮光I-V特性と重なると判断された場合には、ステップS8において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる全ての太陽電池モジュール4が正常または同じ異常を有するもの判定される。
【0112】
次に、ステップS9において、第n遮光I-V特性に変形があるか否かが判断され、第n遮光I-V特性に変形がないと判断された場合には、ステップS10において、探索対象となる太陽電池ストリング5を構成する全ての太陽電池モジュール4が正常であると判定し、探索を終了する。ここで、「第n遮光I-V特性に変形がある」とは、図4に示したように、第n遮光I-V特性が領域B、領域C、領域Dの少なくとも一つを有する場合である。一方、ステップS9において、第n遮光I-V特性に変形があると判断された場合には、ステップS11において、探索対象となる太陽電池ストリング5を構成する全ての太陽電池モジュール4が異常であると判定し、探索を終了する。当該判定は、作業者が表示部11gに表示された第n遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0113】
ステップS7において、全ての第m遮光I-V特性が基準遮光I-V特性である第n遮光I-V特性と重なるということではないと判断された場合には、ステップS12において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれるN個の太陽電池モジュール4のうち、少なくとも1個の太陽電池モジュール4が異常であると判定され、図22に示す第2巡回遮光探索フローへ移行する。
【0114】
第2巡回遮光探索フローを行う際には、第1巡回遮光探索フローにより、N個の太陽電池モジュール4のうち、少なくとも1個の太陽電池モジュール4が異常であることがわかっている。
【0115】
第2巡回遮光探索フロー(第2巡目の探索工程)では、まず、ステップS13において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、第n番目の太陽電池モジュール4を遮光した基準遮光I-V特性を取得して表示部11gに表示する。
【0116】
次に、ステップS14において、第n番目の太陽電池モジュール4を遮光した状態のまま、第n番目の太陽電池モジュール4を除く他の(N-1)個の太陽電池モジュール4を1つずつ順次遮光することで、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、(N-1)個の第m遮光I-V特性(m≠n)を取得する。
【0117】
次に、ステップS15において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、基準遮光I-V特性に対して第m遮光I-V特性を正規化処理する。正規化処理は基準遮光I-V特性、第m遮光I-V特性の各々のISC(短絡電流値)をISCn、ISCmとしたとき、第m遮光I-V特性の各電流値をISCn/ISCm倍することにより行うことができる。なお、正規化処理は省略してもよい。
【0118】
次に、ステップS16において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、ステップS13で取得した基準遮光I-V特性と、ステップS14で取得した(N-1)個の第m遮光I-V特性とを表示部11gに重畳して表示する。このとき、表示部11gの1つの表示画面に、少なくとも1つの第m遮光I-V特性を基準遮光I-V特性に重畳して表示し、次いで、画面を切り替えて残りの第m遮光I-V特性を基準遮光I-V特性に重畳して表示するようにしてもよい。
【0119】
次に、ステップS17において、表示部11gに表示された全ての第m遮光I-V特性が互いに重なるか否かが判断される。当該判断は、作業者が表示部11gに表示された(N-1)個の第m遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0120】
ステップS17において作業者が判断する場合には、その判断結果を、操作部11eから制御部11dに入力する。
【0121】
ステップS17において制御部11dが判断する場合には、図19に示すように、異常太陽電池モジュールの探索装置11の判断部としての機能を有する制御部11dにおいて、所定の複数の電流値I(k)(k=1、2・・・)に対するn番目と(n+1)番目の遮光I-V特性上の測定点An、An+1(BPD動作点より低圧側)の各々の電圧値Vn(k)、Vn+1(k)が等しい(測定点An、An+1が一致する)場合に、両遮光I-V特性は重なると判定する。
【0122】
ステップS17において、表示部11gに表示された(N-1)個の第m遮光I-V特性が全て互いに重なると判断された場合には、第n番目以外の(N-1)個の全ての太陽電池モジュール4が同じI-V特性を有すること、即ち、(N-1)個の太陽電池モジュール4が全て正常か、もしくは全く同じ異常の状態であることを意味する。この場合には、ステップ9、ステップ10、ステップ11と同様にして、(N-1)個の太陽電池モジュール4の全てが正常か異常かを判断する。(N-1)個の太陽電池モジュール4の全てが正常である場合は、ステップ7でN個の太陽電池モジュール4のうち少なくとも1個の太陽電池モジュール4が異常と判定しているので、ステップS18において、第n番目の太陽電池モジュール4のみが異常であると判定し、探索を終了する。(N-1)個の太陽電池モジュール4の全てが異常である場合は、第n番目の太陽電池モジュール4が正常であるか異常であるかの判定は、第n番目以外の太陽電池モジュール4を第n番目の太陽電池モジュール4と同様にして第2巡回遮光探索を行うことで正常か異常かを判定することができる。(図示していない)。
【0123】
一方、ステップS17において、表示部11gに表示された(N-1)個の第m遮光I-V特性の全てが互いに重るということではないと判断された場合には、ステップS19において、第n番目の太陽電池モジュール4を除く(N-1)個の太陽電池モジュール4のうち、少なくとも1個の太陽電池モジュール4が異常と判定し、図23に示す第3巡回遮光探索フローへ移行する。
【0124】
第3巡回遮光探索フロー(第3巡目の探索工程)では、まず、ステップS20において、第n番目の太陽電池モジュール4を遮光するとともに、ステップS21において、第n番目の太陽電池モジュール4を固定遮光(第3巡目の探索工程において常に遮光した状態)としたままで第n番目の太陽電池モジュール4を除く第m番目(m=1、2・・・N。m≠n)の太陽電池モジュール4を遮光して、異常太陽電池モジュールの探索装置11が第m基準遮光I-V特性を取得する。
【0125】
次に、ステップS22において、第n番目の太陽電池モジュール4を固定遮光した状態で、第n番目の太陽電池モジュール4と第m番目の太陽電池モジュール4とを除く(N-2)個の太陽電池モジュール4を順次遮光して、異常太陽電池モジュールの探索装置11が第k遮光I-V特性(k≠m、n)を取得する。
【0126】
次に、ステップS23において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、第m基準遮光I-V特性に対して第k遮光I-V特性を正規化処理する。なお、正規化処理は省略してもよい。
【0127】
そして、ステップS24において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、ステップS21で取得した第m基準遮光I-V特性と、ステップS22で取得した(N-2)個の第k遮光I-V特性とを表示部11gに重畳して表示する。このとき、表示部11gの1つの表示画面に、少なくとも1つの第k遮光I-V特性を第m基準遮光I-V特性に重畳して表示し、次いで、画面を切り替えて残りの第k遮光I-V特性を第m基準遮光I-V特性に重畳して表示するようにしてもよい。
【0128】
次に、ステップS25において、表示部11gに表示された全ての第k遮光I-V特性が互いに重なるか否かが判断される。当該判断は、作業者が表示部11gに表示された(N-2)個の第k遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0129】
ステップS25において作業者が判断する場合には、その判断結果を、操作部11eから制御部11dに入力する。
【0130】
ステップS25において制御部11dが判断する場合には、図19に示すように、異常太陽電池モジュールの探索装置11の判断部としての機能を有する制御部11dにおいて、所定の複数の電流値I(k)(k=1、2・・・)に対するn番目と(n+1)番目の遮光I-V特性上の測定点An、An+1(BPD動作点より低圧側)の各々の電圧値Vn(k)、Vn+1(k)が等しい(測定点An、An+1が一致する)場合に、両遮光I-V特性は重なると判定する。
【0131】
ステップS25において、表示部11gに表示された(N-2)個の第k遮光I-V特性が全て互いに重なると判断された場合には、ステップS26において、第n番目の太陽電池モジュール4、第m番目の太陽電池モジュール4のうち、少なくとも一方が異常であると判定し、図25に示す第4巡回遮光探索フローへ移行する。
【0132】
第4巡回遮光探索フロー(第4巡目の探索工程)では、まず、ステップS27において、第n番目の太陽電池モジュール4の固定遮光を解除し、ステップS28において、第n番目の太陽電池モジュール4と第k番目(k≠m、n)の正常な太陽電池モジュール4とを遮光して、異常太陽電池モジュールの探索装置11がnk遮光I-V特性を取得する。
【0133】
次に、ステップS29において、第m番目の太陽電池モジュール4と第k番目の正常な太陽電池モジュール4とを遮光して、異常太陽電池モジュールの探索装置11がmk遮光I-V特性を取得する。
【0134】
次に、ステップS30において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、nk遮光I-V特性に対してmk遮光I-V特性を正規化処理する。なお、正規化処理は省略してもよい。
【0135】
そして、ステップS31において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、ステップS28で取得したnk遮光I-V特性と、ステップS29で取得したmk遮光I-V特性とを表示部11gに重畳して表示する。
【0136】
次に、ステップS32において、表示部11gに表示されたたnk遮光I-V特性とmk遮光I-V特性が互いに重なるか否かが判断される。当該判断は、作業者が表示部11gに表示されたnk遮光I-V特性とmk遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0137】
ステップS32において作業者が判断する場合には、その判断結果を、操作部11eから制御部11dに入力する。
【0138】
ステップS32において制御部11dが判断する場合には、図19に示すように、異常太陽電池モジュールの探索装置11の判断部としての機能を有する制御部11dにおいて、所定の複数の電流値I(k)(k=1、2・・・)に対するn番目と(n+1)番目の遮光I-V特性上の測定点An、An+1(BPD動作点より低圧側)の各々の電圧値Vn(k)、Vn+1(k)が等しい(測定点An、An+1が一致する)場合に、両遮光I-V特性は重なると判定する。
【0139】
ステップS32において、表示部11gに表示されたnk遮光I-V特性とmk遮光I-V特性が互いに重なると判断された場合には、ステップS33において、第n番目の太陽電池モジュール4、第m番目の太陽電池モジュール4の両方が異常であると判定し、探索を終了する。
【0140】
一方、ステップS32において、表示部11gに表示されたnk遮光I-V特性とmk遮光I-V特性が互いに重ならないと判断された場合には、ステップS34において、第n番目の太陽電池モジュール4と第m番目の太陽電池モジュール4のうち、I-V特性が低圧側にシフトした方のみが異常であると判定し、探索を終了する。
【0141】
ステップS25において、表示部11gに表示された(N-2)個の第k遮光I-V特性の全てが互いに重なるということではないと判断された場合には、ステップS35において、第n番目の太陽電池モジュール4及び第m番目の太陽電池モジュール4を除く(N-2)個の第k遮光I-V特性のうち、少なくとも1個が異常であると判定し、以降、遮光した状態のままとする太陽電池モジュール4の数を1つずつ増やしながら他の太陽電池モジュール4を順次遮光して遮光I-V特性を取得し、第4巡回遮光探索フローと同様の手順で異常を有する太陽電池モジュール4の判定を行う。
【0142】
実施例2の第1巡回遮光探索フローは、全て正常な太陽電池モジュール4で構成される太陽電池ストリング5(正常な太陽電池ストリング5)が予めわかっている場合は、図26に示す手順によって代替することができる。
【0143】
すなわち、ステップS1において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、正常な太陽電池ストリングの非遮光I-V特性を取得し、次いでステップS2において、異常太陽電池モジュールの探索装置11が、探索対象となる太陽電池ストリング5の非遮光I-V特性を取得してこれを上記と同様の手法で正規化処理(この処理は省略してもよい。)し、ステップS3において、これらの非遮光I-V特性を表示部11gに重畳して表示する。
【0144】
次に、ステップS4において、表示部11gに重畳して表示された両非遮光I-V特性が重なるか否かが判断される。当該判断は、作業者が表示部11gに表示された両非遮光I-V特性を視認して判断してもよく、判断部としての機能を有する制御部11dが自動的に判断してもよい。
【0145】
ステップS4において、両非遮光I-V特性が重なると判断された場合には、ステップS5において、探索対象となる太陽電池ストリング5には異常を有する太陽電池モジュール4は含まれない(探索対象となる太陽電池ストリング5は正常である)と判定し、探索を終了する。
【0146】
一方、ステップS4において、両非遮光I-V特性が重ならないと判断された場合には、ステップS6において、探索対象となる太陽電池ストリング5に含まれる太陽電池モジュール4のうち、少なくとも1個の太陽電池モジュール4が異常であると判定され、図22に示す第2巡回遮光探索フローへ移行する。
【0147】
以上の通りの構成を有する本実施の形態の異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置11によれば、物理的または化学的指標の測定値を取得することなく、太陽電池ストリングに太陽電池モジュールを接続したままの状態で、既存のI-V特性測定装置を用いてI-V特性の重畳とI-V特性の形状のみで視認性よく、容易に異常を有する太陽電池モジュール4を探索、特定することができる。
【0148】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0149】
1 太陽光発電システム
2 太陽電池アレイ
3 パワーコンディショナ
4 太陽電池モジュール
4a 太陽電池セル
4b セルストリング
4c バイパスダイオード
4d クラスタ
5 太陽電池ストリング
5a 導電線
5b 導電線
6 接続箱
6a 断路器
6b 逆流防止用ダイオード
11 異常太陽電池モジュールの探索装置
11a 可変負荷抵抗
11b 電流測定部
11c 電圧測定部
11d 制御部
11e 操作部
11f データ記憶部
11g 表示部
A 領域
B 領域
C 領域
D 領域
Ps バイパスダイオードの動作点
Voc 開放電圧値
p 変曲点
【要約】
【課題】太陽電池ストリングに太陽電池モジュールを接続したままの状態で、異常を生じた太陽電池モジュールを簡易に探索、特定し得る異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置を提供する。
【解決手段】N個の太陽電池モジュール4を順次遮光して取得したN個の遮光I-V特性を、互いに重なるか否かによって1以上の太陽電池モジュール群に分類する第1の探索工程と、第1の探索工程で分類された各々の太陽電池モジュール群について、他の太陽電池モジュール群に属する全ての太陽電池モジュール4と同一の太陽電池モジュール群の中の1つの太陽電池モジュール4とを遮光して判定用遮光I-V特性を取得し、判定用遮光I-V特性を表示する第2の探索工程と、を有することを特徴とする異常太陽電池モジュールの探索方法及び異常太陽電池モジュールの探索装置11。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26