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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】過渡電圧抑制デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20220523BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220523BHJP
   H01L 29/87 20060101ALI20220523BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20220523BHJP
   H01L 21/8222 20060101ALI20220523BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H01L29/90 Z
H01L29/91 K
H01L27/06 101D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021510014
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2019104395
(87)【国際公開番号】W WO2020043218
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】チェン シーカン
(72)【発明者】
【氏名】グー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン セン
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198190(JP,A)
【文献】特表2003-526200(JP,A)
【文献】特開2002-93919(JP,A)
【文献】特開平6-120437(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106486474(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103354236(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103413807(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102290417(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 21/8222
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の導電型である基板と、
前記基板上に配置され、第1のウェル及び第2のウェルを含む第1の導電型のウェル領域と、
前記基板上に配置された前記第2の導電型である第3のウェルであって、その底部が前記基板まで延び、前記第1の導電型と前記第2の導電型とが互いに反対の導電型である第3のウェルと、
前記第1のウェル内に配置され、前記第2の導電型である第4のウェルと、
前記第1のウェルと前記第2のウェルとの間に配置された第1の分離部分、及び前記第1のウェルと前記第3のウェルとの間に配置された第2の分離部分を備える分離構造であって、前記第1の分離部分が前記第1のウェルと前記第2のウェルとを互いに分離するように構成され、前記第2の分離部分が前記第1のウェルと前記第3のウェルとを互いに分離するように構成されている分離構造と、
第1の導電型であり、前記第2のウェル内に配置された第1のドーピング領域と、
前記第2の導電型であり、前記第3のウェル内に配置された第2のドーピング領域と、
前記第2の導電型であり、前記第4のウェル内に配置された第3のドーピング領域と、
前記第1の導電型であり、前記第4のウェル内に配置された第4のドーピング領域と、
前記第1の導電型であり、前記第4のウェルの内側から前記第4のウェルの外側まで延びる第5のドーピング領域であって、前記第5のドーピング領域のうちで前記第4のウェルの外側にある部分が前記第1のウェル内に位置する第5のドーピング領域と、
前記第2の導電型であり、前記第1のウェル内に配置された第6のドーピング領域と、
前記第2の導電型であり、前記第5のドーピング領域の下方かつ前記第1のウェル内に配置された第7のドーピング領域であって、前記第5のドーピング領域が前記第4のドーピング領域と前記第6のドーピング領域との間に配置され、前記第4のドーピング領域が前記第3のドーピング領域と前記第5のドーピング領域との間に配置された第7のドーピング領域と、
第1の金属接続ワイヤ及び第2の金属接続ワイヤを備え、前記基板上に位置する金属接続ワイヤ層であって、前記第1の金属接続ワイヤが前記第1のドーピング領域及び前記第6のドーピング領域に電気接続されて第1の電位端子としての役割を果たし、前記第2の金属接続ワイヤ層が前記第2のドーピング領域、前記第3のドーピング領域、及び前記第4のドーピング領域に電気接続されて第2の電位端子としての役割を果たす金属接続ワイヤ層と、
を備える、過渡電圧抑制デバイス。
【請求項2】
前記第1の電位端子は、入力/出力端子に電気接続されるように構成され、前記第2の電位端子は、接地に接続されるように構成される、請求項1に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、前記基板上にエピタキシャル層を更に備え、前記第1の導電型のウェル領域は、前記エピタキシャル層内に配置され、前記エピタキシャル層は、前記第2の導電型であり、前記基板は、前記エピタキシャル層のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有する、請求項1に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項4】
前記分離構造は、分離トレンチ内に絶縁材料を充填することによって形成される、請求項1に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項5】
前記第2の分離部分は、前記第3のウェルのウェル深さよりも深いか又はそれに等しいトレンチ深さを有する、請求項4に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項6】
前記第1のドーピング領域は、ダイオードD1のカソード領域として用いられ、前記第2のドーピング領域は、前記ダイオードD1のアノード領域として用いられ、前記第6のドーピング領域は、PNPトランジスタのエミッタ領域として用いられ、前記第5のドーピング領域は、前記PNPトランジスタのベース領域として、及びNPNトランジスタのコレクタ領域及びツェナーダイオードZ1のカソード領域として用いられ、前記第7のドーピング領域は、前記PNPトランジスタのコレクタ領域として、及び前記NPNトランジスタのベース領域及び前記ツェナーダイオードZ1のアノード領域として用いられ、前記第4のドーピング領域は、前記NPNトランジスタのエミッタ領域として用いられ、前記第7のドーピング領域と前記第3のドーピング領域との間に等価寄生抵抗R1が形成され、前記第6のドーピング領域と前記第5のドーピング領域との間に等価ダイオードD2が形成され、前記PNPトランジスタ及び前記NPNトランジスタはシリコン制御整流器と同等である、請求項1に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、前記第5のドーピング領域上に配置された絶縁構造を更に備える、請求項1に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項8】
前記第3のウェルは、5E18cm-3から5E19cm-3までの範囲内のドーピング濃度を有する、請求項1に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項9】
前記第1のウェル及び前記第2のウェルは、1E14cm-3から1E15cm-3までの範囲内のドーピング濃度を有し、前記エピタキシャル層は、1E14cm-3から1E15cm-3までのドーピング濃度を有する、請求項3に記載の過渡電圧抑制デバイス。
【請求項10】
過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法であって、
第2の導電型の基板上にマスク層を形成し、続いてリソグラフィを実施して前記マスク層をエッチングし、第2の導電型のウェル領域のドーピング窓を露出させる段階と、
前記第2の導電型のウェル領域の前記ドーピング窓を通して第2の導電型のイオンで前記基板をドーピングして前記基板の表面上に第2の領域を形成する段階と、
前記第2の領域内にドーピング遮蔽層としての酸化物層を成長させる段階と、
前記マスク層を除去し、前記基板の前記表面のうちで前記ドーピング遮蔽層によって覆われていない区域を第1の導電型のイオンでドーピングして第1の領域を形成する段階であって、前記第1の導電型と前記第2の導電型とが互いに反対の導電型である段階と、
前記ドーピング遮蔽層を除去し、前記第1の領域と前記第2の領域との間の界面から下向きに延びる第2の分離部分と、前記第1の領域を2つの部分に分割する第1の分離部分とを備える分離構造を形成する段階と、
前記第1の領域が拡散して前記第1の分離部分によって互いに離隔された第1のウェルと第2のウェルとを形成し、前記第2の領域が拡散して第3のウェルを形成するように熱ドライブインを実施する段階と、
リソグラフィ及びドーピングを実施することによって第4のウェル、第1のドーピング領域、第2のドーピング領域、第3のドーピング領域、第4のドーピング領域、第5のドーピング領域、第6のドーピング領域、及び第7のドーピング領域をそれぞれ形成する段階と、
前記第1のドーピング領域を前記第6のドーピング領域に電気接続して第1の電位端子として用いられる第1の金属接続ワイヤ、及び前記第2のドーピング領域と前記第3のドーピング領域と前記第4のドーピング領域とを互いに電気接続して第2の電位端子として用いられる第2の金属接続ワイヤを含む金属接続ワイヤ層を前記基板上に形成する段階と、
を含み、
前記第4のウェルは前記第2の導電型であり、前記第1のウェル内に形成され;前記第1のドーピング領域は前記第1の導電型であり、前記第2のウェル内に形成され;前記第2のドーピング領域は前記第2の導電型であり、前記第3のウェル内に形成され;前記第3のドーピング領域は前記第2の導電型であり、前記第4のウェル内に形成され;前記第4のドーピング領域は前記第1の導電型であり、前記第4のウェル内に形成され;前記第5のドーピング領域は前記第1の導電型であり、前記第4のウェルの内側から前記第4のウェルの外側まで延び、前記第5のドーピング領域のうちで前記第4のウェルの外側にある部分は前記第1のウェル内に位置し;前記第6のドーピング領域は前記第2の導電型であり、前記第1のウェル内に形成され;前記第7のドーピング領域は前記第2の導電型であり、前記第5のドーピング領域の下方かつ前記第1のウェル内に形成され;前記第5のドーピング領域は前記第4のドーピング領域と前記第6のドーピング領域との間に形成され、前記第4のドーピング領域は前記第3のドーピング領域と前記第5のドーピング領域との間に形成される、方法。
【請求項11】
前記基板は、底部基板と、その上に配置されたエピタキシャル基板とを備え、前記底部基板は、前記エピタキシャル基板のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有し、前記熱ドライブインを実施する段階において形成された前記第3のウェルは、前記底部基板まで延び、前記第1のウェル及び前記第2のウェルは、前記エピタキシャル基板内に形成され、前記基板上に前記金属接続ワイヤ層を形成する段階は、前記エピタキシャル基板上に前記金属接続ワイヤ層を形成する段階である、請求項10に記載の過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法。
【請求項12】
前記第2の導電型の前記基板上に前記マスク層を形成する段階は、堆積によってシリコン窒化物層を形成する段階である、請求項10に記載の過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法。
【請求項13】
前記第1の導電型はN型であり、前記第2の導電型はP型であり、リソグラフィ及びドーピングを実施することによって前記第4のウェル、前記第1のドーピング領域、前記第2のドーピング領域、前記第3のドーピング領域、前記第4のドーピング領域、前記第5のドーピング領域、前記第6のドーピング領域、及び前記第7のドーピング領域それぞれを形成する段階は、
第1の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施し、イオンを注入し、続いてドライブインを実施して前記第4のウェルを形成する段階と、
第2の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施し、イオンを注入して前記第2のドーピング領域、前記第3のドーピング領域、及び前記第6のドーピング領域を形成する段階と、
第3の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施し、イオンを注入して前記第1のドーピング領域、前記第4のドーピング領域、及び前記第5のドーピング領域を形成する段階と、
第4の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施し、イオンを注入して前記第7のドーピング領域を形成する段階と、
を含む、請求項10に記載の過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法。
【請求項14】
前記第1の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施してイオンを注入する段階が要する注入量は5E12cm-2から5E13cm-2までの範囲内にあり、前記第4の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施してイオンを注入する段階が要する注入量は1E14cm-2から5E14cm-2までであることを特徴とする請求項13に記載の、前記過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法。
【請求項15】
前記分離構造を形成する段階は、リソグラフィ及びエッチングを実施して前記第1の領域と前記第2の領域との間の界面に第2の分離トレンチを形成し、更に前記第1の領域を2つの部分へと分割する第1の分離トレンチを形成し、前記トレンチを絶縁材料で充填する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造の分野、具体的には過渡電圧抑制デバイス及びそれを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械及びシステム全体が予想外の電圧過渡及び電圧サージに見舞われ、それによって半導体デバイスが機械及びシステム全体で焼け又は壊れ、その結果、機械及びシステム全体に損傷が生じることが多い。このことから、PN接合を用いた非常に効果的な保護デバイスとしての過渡電圧抑制器(TVS)が、ESDに対するその高速応答性及び高耐性の理由から様々なI/Oインターフェースに広く用いられている。現在、高精細マルチメディアインターフェース(HDMI)に代表される高速インターフェースの伝送速度は益々高速になり、5Gbpsにまで達している。データの完全性を保証するために、インターフェースに配置されるESD対策コンデンサに対する要件は極めて厳しい。加えて、実際のドライブチップ内のピン数は、数百にものぼる。ピンの各々は、ESDによる脅威に曝される。過度に大きい面積を占有することなく可能な限り多くのI/Oインターフェースを保護するために、TVSの組み込みに対する要件が厳しくなっている。
【0003】
単一のアバランシェダイオードからなる従来のTVSは、一般的には少なくとも数十ピコファラッドである比較的大きいキャパシタンスを有する。このキャパシタンス値は、ESD性能の向上に比例して高くなる。高速インターフェースに対する高キャパシタンス値は、データ完全性に決定的な影響を及ぼすことになる。その解決策は、一般的に、低キャパシタンスを有するダイオードをTVSのアバランシェダイオードに直列に接続して低キャパシタンスを有する一方向TVSを実現することである。
【0004】
従来の過渡電圧抑制デバイスの構造では、チップの表面及び裏面は、接地用の金属電極を導入する必要がある。カプセル化する時に、表面及び裏面上のこれらの電極は、一般的に、複数の金属ワイヤによって短絡されかつ接地に同時に接続される。従って、金属ボンディングワイヤの長さが長くなり、それによって寄生抵抗及びそのインダクタンスの増加につながり、高周波数における動作時のチップ性能が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を踏まえて、新しい構造を有する過渡電圧抑制デバイス及びそれを製造するための方法を実現する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第2の導電型である基板と、基板上に配置され、第1のウェル及び第2のウェルを含む第1の導電型のウェル領域と、基板上に配置された第2の導電型である第3のウェルであって、その底部が基板まで延び、第1の導電型と第2の導電型とが互いに反対の導電型である第3のウェルと、第1のウェル内に配置され、第2の導電型である第4のウェルと、第1のウェルと第2のウェルとの間に配置された第1の分離部分、及び第1のウェルと第3のウェルとの間に配置された第2の分離部分を含む分離構造であって、第1の分離部分が第1のウェルと第2のウェルとを互いに分離するように構成され、第2の分離部分が第1のウェルと第3のウェルとを互いに分離するように構成された分離構造と、第1の導電型であり、第2のウェル内に配置された第1のドーピング領域と、第2の導電型であり、第3のウェル内に配置された第2のドーピング領域と、第2の導電型であり、第4のウェル内に配置された第3のドーピング領域と、第1の導電型であり、第4のウェル内に配置された第4のドーピング領域と、第1の導電型であり、第4のウェルの内側から第4のウェルの外側まで延びる第5のドーピング領域であって、第5のドーピング領域のうちで第4のウェルの外側にある部分が第1のウェル内に位置する第5のドーピング領域と、第2の導電型であり、第1のウェル内に配置された第6のドーピング領域と、第2の導電型であり、第5のドーピング領域の下方かつ第1のウェル内に配置された第7のドーピング領域であって、第5のドーピング領域が第4のドーピング領域と第6のドーピング領域との間に配置され、第4のドーピング領域が第3のドーピング領域と第5のドーピング領域との間に配置された第7のドーピング領域と、第1の金属接続ワイヤ及び第2の金属接続ワイヤを含み、基板上に位置する金属接続ワイヤ層であって、第1の金属接続ワイヤが第1のドーピング領域及び第6のドーピング領域に電気接続されて第1の電位端子として用いられ、第2の金属接続ワイヤ層が第2のドーピング領域、第3のドーピング領域、及び第4のドーピング領域に電気接続されて第2の電位端子として用いられる金属接続ワイヤ層とを含む過渡電圧抑制デバイスが提供される。
【0007】
過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法が提供される。本方法は、第2の導電型の基板上にマスク層を形成し、続いてリソグラフィを実施してマスク層をエッチングし、第2の導電型のウェル領域のドーピング窓を露出させる段階と、第2の導電型のウェル領域のドーピング窓を通して第2の導電型のイオンで基板をドーピングして基板の表面上に第2の領域を形成する段階と、第2の領域内にドーピング遮蔽層としての酸化物層を成長させる段階と、マスク層を除去し、基板の表面のうちでドーピング遮蔽層によって覆われていない区域を第1の導電型のイオンでドーピングして第1の領域を形成する段階であって、第1の導電型と第2の導電型とが互いに反対の導電型である段階と、ドーピング遮蔽層を除去し、第1の領域と第2の領域との間の界面から下向きに延びる第2の分離部分と、第1の領域を2つの部分に分割する第1の分離部分とを含む分離構造を形成する段階と、第1の領域が拡散して第1の分離部分によって互いに離隔された第1のウェルと第2のウェルとを形成し、第2の領域が拡散して第3のウェルを形成するように熱ドライブインを実施する段階と、リソグラフィ及びドーピングを実施することによって第4のウェル、第1のドーピング領域、第2のドーピング領域、第3のドーピング領域、第4のドーピング領域、第5のドーピング領域、第6のドーピング領域、及び第7のドーピング領域をそれぞれ形成する段階と、第1のドーピング領域を第6のドーピング領域に電気接続して第1の電位端子としての役割を果たす第1の金属接続ワイヤ、及び第2のドーピング領域と第3のドーピング領域と第4のドーピング領域とを互いに電気接続して第2の電位端子としての役割を果たす第2の金属接続ワイヤを含む金属接続ワイヤ層を基板上に形成する段階とを含み、第4のウェルは第2の導電型であり、第1のウェル内に形成され、第1のドーピング領域は第1の導電型であり、第2のウェル内に形成され、第2のドーピング領域は第2の導電型であり、第3のウェル内に形成され、第3のドーピング領域は第2の導電型であり、第4のウェル内に形成され、第4のドーピング領域は第1の導電型であり、第4のウェル内に形成され、第5のドーピング領域は第1の導電型であり、第4のウェルの内側から第4のウェルの外側まで延び、第5のドーピング領域のうちで第4のウェルの外側にある部分は第1のウェル内に位置し、第6のドーピング領域は第2の導電型であり、第1のウェル内に形成され、第7のドーピング領域は第2の導電型であり、第5のドーピング領域の下方かつ第1のウェル内に形成され、第5のドーピング領域は第4のドーピング領域と第6のドーピング領域との間に形成され、第4のドーピング領域は第3のドーピング領域と第5のドーピング領域との間に形成されることを特徴とする。
【0009】
本明細書において本開示の実施形態及び/又は実施例をより明白に説明及び例示するために、1又は2以上の図面を参照する場合がある。図面を例示するための追加的な詳細内容又は実施例は、本開示、現時点で説明する実施形態及び/又は実施例、及び現時点で考えられる本開示の最良のモードのうちのいずれかの範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態による過渡電圧抑制デバイスを例示する構造図である。
図2図1の過渡電圧抑制デバイスの等価回路を示す概略図である。
図3】実施形態による過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法のフローチャートである。
図4a図3の方法を用いて製造される過渡電圧抑制デバイスの製造工程の間の断面図である。
図4b図3の方法を用いて製造される過渡電圧抑制デバイスの製造工程の間の断面図である。
図4c図3の方法を用いて製造される過渡電圧抑制デバイスの製造工程の間の断面図である。
図4d図3の方法を用いて製造される過渡電圧抑制デバイスの製造工程の間の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の理解を容易にするために、本開示は、関連する図面に関して詳細に説明することにする。本開示の好ましい実施形態は、添付図面に示される。しかしながら、本開示は、様々な形態で実装することができ、本明細書で説明する実施形態に限定されない。対照的に、これらの実施形態を提示する目的は、本開示の内容をより完全にすることである。
【0012】
別途定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本開示に関わる当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の本開示の詳述で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、本開示を限定することを意図したものではない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、1又は2以上の関連の列記項目のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0013】
要素又は層が、他の要素又は層「の上にある」、「に隣接する」、「に接続される」、又は「に結合される」と記される場合、この要素は、他の要素の上に直接置く、他の要素に直接隣接する、直接接続する、又は直接結合することができ、又は介在する要素又は層が存在することができることを理解されたい。対照的に、要素が、他の要素「の上に直接置かれる」、「に直接隣接する」、「に直接接続される」、又は「に直接結合される」と記sれる場合、介在する要素又は層は存在しない。様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は区分を説明するために「第1」、「第2」、「第3」、及び同様のものを用いる場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は区分がこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又は区分を別の要素、構成要素、領域、層、又は区分から区別するためにのみ用いるものである。従って、本開示の教示から逸脱することなく、第1の要素、構成要素、領域、層、又は区分を、第2の要素、構成要素、領域、層、又は区分によって表すこともできる。
【0014】
本明細書では、図に示す1つの要素又は特徴部と他の要素又は特徴部との間の関係を説明する上で説明の便宜上「下」、「下方」、「下層」、「下部」、「上」、「上方」、及び同様のもの等の空間関係用語を用いる場合がある。これらの空間関係用語は、図に示す向きに加えて、使用時又は動作時のデバイスの異なる向きを含むことを意図したものであることを理解されたい。例えば、図のデバイスが逆さまにされた場合には、他の要素の「下」、「下方」、又は「下部」にあると説明した要素が、他の要素又は特徴部の「上」に向きが定められることになる。従って、例示的な用語である「下」及び「下方」は、「上」と「下」との両方の向きを含むことができる。デバイスは、別途向きを定める(90度だけ又は他の向きに回転する)ことができ、本明細書で用いる空間記述表現は適宜解釈されたい。
【0015】
本明細書で用いる用語の目的は、単に特定の実施形態を説明することあり、本開示の限定と解釈すべきではない。本明細書で用いる場合、文脈が明らかに別の方法で示さない限り、単数形態は、複数形態を含むことが意図される。また、本明細書で用いる場合、「~から構成される」及び/又は「~を備える」という用語は、説明する特徴、完全体、段階、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を決定するが、1又は2以上の他の特徴、完全体、段階、動作、要素、構成要素、及び/又は群の存在又は追加を除外しないことも理解されたい。本明細書で用いる場合、「及び/又は」という用語は、関連の列記項目のあらゆる全ての組み合わせを含む。
【0016】
ここでは、本開示の実施形態は、本開示の理想的な実施形態(及び中間構造)の断面図を参照しながら例示する。そのような方法で、例えば製造工程及び/又は公差に起因する形状変化を予測することができる。従って、本開示の実施形態は、本明細書で例示する領域の特定の形状に限定すべきではなく、これらの実施形態は、例えば製造工程に起因する形状偏差を含む。例えば、四角形として示される注入領域は、通常、その縁部に丸形の又は湾曲した特徴部を有する、及び/又は注入領域から非注入領域への2値変化以外の注入濃度勾配を有する。同様に、幾つかの注入では、注入による埋め込み領域の形成が、注入中に埋め込み領域と通過表面との間の領域を生じる場合がある。従って、図に示す領域は、実質的に例示的なものであり、その形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図したものではなく、さらに本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0017】
本明細書で用いる半導体用語は、当業者によって一般的に用いられる技術用語である。例えば、P型不純物及びN型不純物に関して、高ドーピング濃度を有するP型を表すためにP+型を、中ドーピング濃度を有するP型を表すためにP型を、低ドーピング濃度を有するP型を表すためにP-型を、高ドーピング濃度を有するN型を表すためにN+型を、中ドーピング濃度を有するN型を表すためにN型を、低ドーピング濃度を有するN型を表すためにN-型を簡略的に用いることにする。
【0018】
図1は、基板112と、第1のウェル122と、第2のウェル124と、第3のウェル132と、第4のウェル134と、第1の分離部分172と、第2の分離部分174と、第1のドーピング領域142と、第2のドーピング領域152と、第3のドーピング領域154と、第4のドーピング領域144と、第5のドーピング領域146と、第6のドーピング領域156と、第7のドーピング領域157と、第1の金属接続ワイヤ162と、第2の金属接続ワイヤ164とを含む、過渡電圧抑制デバイスを例示する構造図である。
【0019】
基板112は、第2の導電型である。第1のウェル122、第2のウェル124、及び第3のウェル132は、基板112上に配置される。第3のウェル132の底部は、下向きに基板112まで延びる。第4のウェル134は、ウェル122内に配置される。
【0020】
第1の分離部分172は、第1のウェル122と第2のウェル124との間に配置され、第2の分離部分174は、第1のウェル122と第3のウェル132との間に配置される。第1の分離部分172は、第1のウェル122と第2のウェル124とを互いに分離するように構成され、第2の分離部分174は、第1のウェル122と第3のウェル132とを互いに分離するように構成される。
【0021】
第1のドーピング領域142は第1の導電型であり、第2のウェル124内に配置される。第2のドーピング領域152は第2の導電型であり、第3のウェル132内に配置される。第3のドーピング領域154は第2の導電型であり、第4のウェル134内に配置される。第4のドーピング領域144は第1の導電型であり、第4のウェル134内に配置される。第5のドーピング領域146は第1の導電型であり、第4のウェル134の内側から第4のウェル134の外側まで延び、第5のドーピング領域146のうちで第4のウェル134の外側にある部分は第1のウェル122内に位置する。すなわち、第5のドーピング領域146の一部分は134内に位置し、第5のドーピング領域146のその他の部分は第4のウェル134の外側の第1のウェル122内に位置する。第6のドーピング領域156は第2の導電型であり、第1のウェル122内に配置される。第7のドーピング領域157は第2の導電型であり、第5のドーピング領域146の下方かつ第1のウェル122内に配置される。第5のドーピング領域146は、第4のドーピング領域144と第6のドーピング領域156との間に配置され、第4のドーピング領域144は、第3のドーピング領域154と第5のドーピング領域146との間に配置される。図1に示す実施形態では、第1の導電型はN型であり、第2の導電型はP型である。基板112は高ドーピングP型(P+)基板である。第1のウェル122及び第2のウェル124はNウェルであり、第3のウェル132及び第4のウェル134のウェル領域はPウェルである。他の実施形態では、第1の導電型がP型であり、第2の導電型がN型であることも可能である。
【0022】
基板上には金属接続ワイヤ層が形成される。金属接続ワイヤ層は、第1の金属接続ワイヤ162と第2の金属接続ワイヤ164とを含む。第1の金属接続ワイヤ162は、基板112上に位置し、第1のドーピング領域142及び第6のドーピング領域156に電気接続され、入力/出力端子(I/O端子)に電気接続されるように構成された第1の電位端子としての役割を果たす。第2の金属接続ワイヤ164は、基板112上に位置し、第2のドーピング領域152、第3のドーピング領域154、及び第4のドーピング領域144に電気接続され、接地(GND)のための第2の電位端子としての役割を果たす。
【0023】
図2は、図1に記載の過渡電圧抑制デバイスの等価回路を示す概略図である。第1のドーピング領域142は、ダイオードD1のカソード領域として用いられる。第2のドーピング領域152は、ダイオードD1のアノード領域として用いられる。第6のドーピング領域156は、PNPトランジスタのエミッタ領域として用いられる。第5のドーピング領域146は、PNPトランジスタのベース領域として用いられる(更にNPNトランジスタのコレクタ領域及びツェナーダイオードZ1のカソード領域として用いられる)。第7のドーピング領域157は、PNPトランジスタのコレクタ領域として用いられる(更にNPNトランジスタのベース領域及びツェナーダイオードZ1のアノード領域として用いられる)。第4のドーピング領域144は、NPNトランジスタのエミッタ領域として用いられる。更に、第7のドーピング領域157と第3のドーピング領域154との間に等価寄生抵抗R1が形成され、第6のドーピング領域156と第5のドーピング領域146との間に等価ダイオードD2が形成される。PNPトランジスタ及びNPNトランジスタは、シリコン制御整流器(SCR)と等価である。
【0024】
上述の過渡電圧抑制デバイスは、入力/出力端子I/Oから接地GNDへの回路に対する保護を実現することができる。入力/出力端子I/Oを通して正の瞬間インパルス信号が入力されると、ダイオードD1及びツェナーダイオードZ1が逆バイアスされる。5Vの作動電圧(VDD)の印加の下で利用されるTVS製品では、ツェナーダイオードZ1の耐電圧が、一般的に6Vと7Vとの間に設定される。ダイオードD1の逆破壊耐電圧は非常に高く、その一方でツェナーダイオードZ1の逆破壊耐電圧は比較的低いことから、最初に正のインパルス信号の作用下でPNPトランジスタが起動することになり、PNPトランジスタのコレクタ電流が接地GNDに流れる。しかしながら、正孔電流が流れる区域内における等価寄生抵抗R1の存在に起因して、NPNトランジスタのエミッタとベースとの間に正の電位差が発生することになる。電位差がある一定の値(例えば0.7Vから0.8V)に達すると、NPNトランジスタが起動することになり、この場合PNPトランジスタとNPNトランジスタとで構成されたシリコン制御整流器が完全に起動することになり、漏電性能が高くなる。入力/出力端子I/Oを通して負の瞬間インパルス信号が入力されると、ダイオードD1は順バイアスされ、PNPトランジスタのPN接合部が逆バイアスされることから、信号は最初にダイオードD1を通り、最後に接地GNDに流れる。
【0025】
上述の過渡電圧抑制デバイスによると、第3のウェルは基板に接続されることから、ダイオードD1が順バイアスされる時に、チップの表面上に配置された金属接続ワイヤ層を通して漏洩電流を直接引き出すことができ、それによって、基板の裏面上に配置される補助的な金属引き出し線に起因する寄生抵抗及びインダクタンスがチップ性能に影響を及ぼすのが回避される。更に、シリコン制御整流器の電流性能(大電流を漏洩させる能力)は通常のPINダイオード及びツェナーダイオードのものよりも高いことから、負のインパルスESDの電流性能を桁外れに改善することができる。
【0026】
図1に示す実施形態では、過渡電圧抑制デバイスは、基板112上に配置されたエピタキシャル層114を更に含む。第1のウェル122及び第2のウェル124は、エピタキシャル層114内に配置される。エピタキシャル層114は、第2の導電型のエピタキシャル層である。基板112のドーピング濃度は、エピタキシャル層114のドーピング濃度よりも高い。図1に示す実施形態では、エピタキシャル層114はPエピタキシャル層である。
【0027】
図1に示す実施形態では、第1の導電型のウェル領域(すなわち、第1のウェル122及び第2のウェル124)は深いN型ウェル(DN)であり、第2の導電型のウェル領域(第3のウェル132を含む)は深いP型ウェル(DP)である。
【0028】
図1に示す実施形態では、第1の分離部分172及び第2の分離部分174は、分離トレンチ内に絶縁材料を充填することによって形成された分離構造である。絶縁材料は、二酸化ケイ素、ポリシリコン、又は同様のもの、或いはこれらの組み合わせとすることができる。図1を参照すると、分離構造は、第2の分離部分174として単一トレンチ構造を採用することができる、又は第1の分離部分172として二重トレンチ構造、或いは多トレンチ構造さえも採用することができる。一般的に、2又は3以上のトレンチの分離効果は、単一トレンチのものよりも優れている。
【0029】
一実施形態では、より優れた分離効果を得るために、第2の分離部分174は、第3のウェル126のウェル深さよりも深いか又はそれに等しい。
【0030】
図1に示す実施形態では、第5のドーピング領域146上に絶縁構造が配置される。
【0031】
また、上述の実施形態のうちのいずれか1つの過渡電圧抑制デバイスを製造するために用いることができる、過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法を提供する必要がある。
【0032】
図3は、一実施形態による過渡電圧抑制デバイスを製造するための方法のフローチャートである。方法は、以下の段階を含む。
【0033】
段階S310において、基板上にマスクが形成され、リソグラフィが実施されてマスク層がエッチングされ、第2の導電型のウェル領域のドーピング窓が露出される。
【0034】
図4a及び図4bを参照すると、基板上にマスク層182が形成された後に、マスク層182の表面がフォトレジスト184で被覆される。続いて、フォトレジスト184が露光及び現像されて第2の導電型のウェル領域のドーピング窓のパターンが形成される。次に、マスク層182のうちでフォトレジストによって覆われていない部分がエッチング除去されて第2の導電型のウェル領域のドーピング窓が露出される。
【0035】
図4aに示す実施形態では、基板112上にエピタキシャル層114が更に形成される。基板112のドーピング濃度は、エピタキシャル層114のドーピング濃度よりも高い。マスク層182は、エピタキシャル層114上に形成される。
【0036】
図4aに示す実施形態では、マスク層182はハードマスクである。一実施形態では、ハードマスクはシリコン窒化物層とすることができる。図4aに示す実施形態では、ハードマスクが形成される前に、基板112の表面上に犠牲酸化物層171を形成することもできる。段階S310においてエッチングする時に相応する区域内の犠牲酸化物層171を除去する必要もある。一実施形態では、ハードマスクは、シリコン窒化物を堆積することによって形成することができ、犠牲酸化物層171は、酸化物層を熱成長させることによって形成することができる。
【0037】
一実施形態では、基板112は半導体基板である。基板112の材料は、非ドーピング単結晶シリコン、不純物ドーピング単結晶シリコン、絶縁体上シリコン(SOI)、絶縁体上積層シリコン(SSOI)、絶縁体上積層シリコン-ゲルマニウム(S-SiGeOI)、絶縁体上シリコン-ゲルマニウム(SiGeOI)、絶縁体上ゲルマニウム(SiGeOI)、又は同様のものとすることができる。
【0038】
段階S320において、基板がドーピング窓を通して第2の導電型のイオンでドーピングされて基板表面上に第2の領域が形成される。
【0039】
この実施形態では、第2の領域131は、図4bに示すようにP型不純物のイオンを注入するイオン注入工程によってエピタキシャル層114の表面上に形成される。
【0040】
段階S330において、第2の領域内にドーピング遮蔽層としての役割を果たす酸化物層が成長される。
【0041】
この実施形態では、酸化物層は、フォトレジスト184が除去された後にエピタキシャル層114の表面上に成長される。第2の導電型のウェル領域のドーピング窓の外側の領域はマスク層182(ほとんど酸化されることのない)によって覆われるので、図4cに示すように、ドーピング遮蔽層173は、第2の導電型のウェル領域のドーピング窓内にのみ形成することができる。
【0042】
一実施形態では、段階S330において、エピタキシャル層114の表面上に3000Åから5000Åまでの範囲内の厚みを有する二酸化ケイ素が成長される。
【0043】
段階S340において、マスク層が除去され、基板が第1の導電型のイオンでドーピングされて第1の領域が形成される。
【0044】
この実施形態では、マスク層182が除去された後にN型不純物のイオンがイオン注入工程によって注入される。図4cを参照すると、ドーピング遮蔽層173は第2の導電型のウェル領域のドーピング窓内に形成されることから、第1の領域121は、第2の領域131の外側の区域内にのみ形成することができる。他の実施形態では、第1の領域121は、P型イオンを注入することによって形成することもでき、相応して第2の領域は、N型イオンを注入することによって形成することができることを理解することができよう。
【0045】
段階S350において、ドーピング遮蔽層が除去され、分離構造が形成される。
【0046】
一実施形態では、分離構造は、第1の領域121と第2の領域131との間の界面に形成された第2の分離部分と、第1の領域121を2つの部分に分割する第1の分離部分とを含む。
【0047】
段階S360において、第1の領域及び第2の領域が拡散してウェル領域を形成するように熱ドライブインが実施される。
【0048】
図4dを参照すると、熱ドライブインを実施することによって、第1の領域121は拡散して第1の分離部分172によって互いに離隔された第1のウェル122と第2のウェル124とを形成し、第2の領域131は拡散して第3のウェル132を形成する。図4dに示す実施形態では、第1の分離部分172及び第2の分離部分174は、分離トレンチ内に絶縁材料を充填することによって形成された分離構造である。絶縁材料は、二酸化ケイ素、ポリシリコン、又は同様のもの、或いはこれらの組み合わせとすることができる。図1を参照すると、分離構造は、第2の分離部分174として単一トレンチ構造を採用することができる、又は第1の分離部分172として二重トレンチ構造、或いは多トレンチ構造さえも採用することができる。一般的に、2又は3以上のトレンチの分離効果は、単一トレンチのものよりも優れている。
【0049】
図4dに示す実施形態では、熱ドライブインの実施後、第3のウェル132の底部は基板112まで延びる。
【0050】
段階S370において、第4のウェル及び第1のドーピング領域から第7のドーピング領域までがリソグラフィ及びドーピングの実施によって形成される。
【0051】
図1を参照すると、第1のドーピング領域142は第1の導電型(のドーピング領域)であり、第2のウェル124内に配置され、第2のドーピング領域152は第2の導電型であり、第3のウェル132内に配置され、第3のドーピング領域154は第2の導電型であり、第4のウェル134内に配置され、第4のドーピング領域144は第1の導電型であり、第4のウェル134内に配置され、第5のドーピング領域146は第1の導電型であり、第4のウェル134の内側から第4のウェル134の外側まで延び、第5のドーピング領域146のうちで第4のウェル134の外側にある部分は第1のウェル122内に位置し、すなわち、第5のドーピング領域146の一部分は134内に位置し、第5のドーピング領域146の別の他の部分は第4のウェル134の外側かつ第1のウェル122内に位置し、第6のドーピング領域156は第2の導電型であり、第1のウェル122内に配置され、第7のドーピング領域157は第2の導電型であり、第5のドーピング領域146の下方かつ第1のウェル122内に配置され、第5のドーピング領域146は、第4のドーピング領域144と第6のドーピング領域156との間に配置され、第4のドーピング領域144は、第3のドーピング領域154と第5のドーピング領域146との間に配置される。
【0052】
段階S380において、基板上に金属接続ワイヤ層が形成される。
【0053】
金属接続ワイヤ層は、第1の金属接続ワイヤ162と第2の金属接続ワイヤ164とを含む。第1の金属接続ワイヤ162は、第1のドーピング領域142を第6のドーピング領域156に電気接続し、第1の電位端子としての役割を果たす。第2の金属接続ワイヤ164は、第2のドーピング領域152、第3のドーピング領域154、及び第4のドーピング領域144を互いに電気接続し、第2の電位端子としての役割を果たす。
【0054】
過渡電圧抑制デバイスを製造するための上述の方法は、低キャパシタンスTVSデバイスを形成するために熱ドライブインを採用し、それによって必要とされるエピタキシ数が少なくなり、低コスト及び簡単な工程管理がもたらされ、大量生産に適する。更に、DP(第3のウェル132を含む)及びDN(第1のウェル122及び第2のウェル124を含む)の注入は、一つのフォトマスクのみで実施することができ、このフォトマスクは別のフォトマスクとしての役割を果たすことができる。
【0055】
一実施形態では、第3のウェル132のドーピング濃度は、5E18cm-3から5E19cm-3までである。図1を参照すると、電流を漏洩させるためにダイオードD1が順バイアスされると、電子流は、入力/出力端子I/Oから第1のドーピング領域142、第2のウェル124、エピタキシャル層114、基板112、第3のウェル132、及び第2のドーピング領域132を通って接地GNDへと流れる。第3のウェル132(DP)は基板122(P+)に接続されているので、高い濃度を有する第3のウェル132は、ダイオードD1の直列抵抗を低減する。式P=I2Rから、電力Pが一定のままである場合、抵抗Rが小さいほど大きい電流Iが流れ得ることを理解できるでろう。
【0056】
一実施形態では、エピタキシャル層114は第2のウェル124と基板112との間に配置されるので、ダイオードD1が逆バイアスされる場合、第2のウェル124及びエピタキシャル層114によって形成される逆PN接合部の濃度は低く、それによって十分な空乏化がたらされ、非常に小さい寄生キャパシタンスが生じる。一実施形態では、第1のウェル122及び第2のウェル124のドーピング濃度は1E14cm-3から1E15cm-3までであり、エピタキシャル層114のドーピング濃度は1E14cm-3から1E15cm-3までである。
【0057】
一実施形態では、段階S370は、具体的に以下の段階を含む。
【0058】
すなわち、第1の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフィを実施し、P型イオンを注入し、次にドライブインを実施して第4のウェル134を形成する段階;続いてフォトレジストを除去し、第2の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフを実施し、P型イオンを注入して第2のドーピング領域152、第3のドーピング領域154、及び第6のドーピング領域156を形成する段階;続いてフォトレジストを除去し、第3の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフを実施し、N型イオンを注入して第1のドーピング領域142、第4のドーピング領域144、及び第5のドーピング領域146を形成する段階;続いてフォトレジストを除去し、第4の注入フォトマスクを用いることによってリソグラフを実施し、P型イオンを注入して第7のドーピング領域157を形成する段階である。
【0059】
一実施形態では、段階S380は、リソグラフィ及びエッチングを実施して第1の領域121と第2の領域131との間の界面に第2の分離トレンチを形成し、更に第1の領域121を2つの部分へと分割する第1の分離トレンチを形成する段階、及びこれらのトレンチを絶縁材料で充填する段階を含む。
【0060】
一実施形態では、リソグラフィの前に、段階S350において、最初に二酸化ケイ素の層が堆積される。続いて、分離トレンチに対するエッチング領域が被覆、露光、及び現像によって更に形成され、乾式エッチングが実施されて深いトレンチが形成される。次に、深いトレンチは絶縁材料で充填される。続いて、充填済みの絶縁材料が乾式エッチバックされてウェハの表面が平坦化される。深トレンチ分離技術を用いて、第3のウェル132と第1のウェル122とが互いに完全に分離され、それによって高温でのドライブイン工程において第3のウェル132の非常に高い濃度に起因する横拡散の増加によって引き起こされるチップの所要面積の増加が回避される。
【0061】
一実施形態では、段階S370において、第7のドーピング領域157を形成するためのイオン注入の注入量は1E14cm-2から5E14cm-2までである。第4のウェル134を形成するためのイオン注入の注入量は5E12cm-2から5E13cm-2までである。第7のドーピング領域157に対する注入量は、イオン注入を調節することによって生じる。TVS保護デバイスを様々なグレード(すなわち様々な作動電圧に適する)で実装するためにSCRのトリガー電圧を正確に調節することができる。
【0062】
一実施形態では、段階S370の後で段階S380の前に、本方法は、以下の段階を更に含む。
【0063】
誘電体層が形成される。具体的には、堆積工程を用いることによって層間絶縁体(ILD)を形成することができる。
【0064】
コンタクトビアが形成され、導電性材料がコンタクトビアの中に充填される。具体的には、リソグラフィ実施後に誘電体層をエッチングすることによってコンタクトビアを形成することができる。導電性材料は、金属を含むがそれに限定されない、当業者に公知のあらゆる適切な導電性材料とすることができる。金属は、Ag、Au、Cu、Pd、Pt、Cr、Mo、Ti、Ta、W、及びAlのうちの1又は2以上を含むことができる。一実施形態では、誘電体層は、乾式エッチング工程によってエッチングされる。
【0065】
一実施形態では、段階S380において、金属接続ワイヤ層が誘電体層上に形成される。具体的には、金属層の堆積後に、リソグラフィを実施することができ、金属層をエッチングして金属相互接続ワイヤを形成することができる。一実施形態では、金属層は乾式エッチング工程によってエッチングされる。
【0066】
一実施形態では、金属相互接続ワイヤが形成された後に、本方法は、不活性化層を形成する段階と、リソグラフィを実施して不活性化層をエッチングし、金属電極コンタクトを形成する段階とを更に含む。
【0067】
一実施形態では、層間絶縁体は、熱化学蒸着(熱CVD)工程又は高密プラズマ(HDP)工程によって形成された酸化シリコンのドーピング材料又は非ドーピング材料の層、例えば非ドーピングシリコンガラス(USG)、リンケイ酸ガラス(PSG)、又はホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含む酸化シリコン層とすることができる。加えて、層間絶縁体は、ホウ素又はリンでドーピングされたスピンオンガラス(SOG)、リンでドーピングされたテトラエトキシシラン(PTEOS)、又はホウ素でドーピングされたテトラエトキシシラン(BTEOS)とすることもできる。
【0068】
一実施形態では、堆積済みの層間絶縁体を、それが平坦な表面を有するように平坦化法(例えば化学機械研磨(CMP))によって平坦化することもできる。
【0069】
上述の実施形態は本開示の幾つかの実施構成のみを表しており、本説明は比較的具体的で詳細であるが、それを本開示の範囲に対する限定と解釈すべきではない。当業者は、本開示の設計概念から逸脱することなく幾つかの修正及び改善を加えることができ、これら全てが本開示の保護範囲内に収まることを指摘することができる。従って、本開示の保護範囲は、添付の特許請求によって決定される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d