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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】面発光レーザ素子、光学装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
H01S5/183
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017003332
(22)【出願日】2017-01-12
(65)【公開番号】P2018113360
(43)【公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(72)【発明者】
【氏名】大西 大
(72)【発明者】
【氏名】山本 匡史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼水 大樹
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/140544(WO,A1)
【文献】特開2015-088548(JP,A)
【文献】特開2004-023087(JP,A)
【文献】特開2007-258600(JP,A)
【文献】特開2014-175552(JP,A)
【文献】特開2011-018855(JP,A)
【文献】特開2009-188155(JP,A)
【文献】特開2008-244060(JP,A)
【文献】特開2008-147620(JP,A)
【文献】特開2007-201398(JP,A)
【文献】特開2005-310917(JP,A)
【文献】特開2005-159272(JP,A)
【文献】特開2005-086170(JP,A)
【文献】特開2004-241422(JP,A)
【文献】特開2004-200649(JP,A)
【文献】特開2003-110196(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105790069(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104767120(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0265415(US,A1)
【文献】C.-H. Jiang, et al.,”Single-Mode Vertical-Cavity-Surface-Emitting-Laser (VCSEL) with Ring Shaped Microcavity and Low Divergence Angle Performance”,2005 Quantum Electronics and Laser Science Conference (QELS),2005年05月22日,p.1026-1028
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型を有する第1DBR層と、
前記第1導電型とは反対の第2導電型を有するとともに、前記第1DBR層の位置する側とは反対側を向くDBR層表面を有する第2DBR層と、
前記第1DBR層および前記第2DBR層の間に位置する活性層と、
前記DBR層表面の一部を覆うように前記第2DBR層に形成された絶縁層と、
前記絶縁層に対して前記第2DBR層とは反対側に積層された表面導電層と、を備え、
前記表面導電層には、前記絶縁層のうち前記DBR層表面を覆う部分の一部を露出させ、且つ、前記第1DBR層の厚さ方向視において前記活性層に重なる第1開口が形成されており、前記第1開口は、前記厚さ方向視において環状を呈しており、
前記DBR層表面から凹み、且つ、前記厚さ方向視において前記第1開口よりも内側に配置されているとともに前記絶縁層によって覆われた第1凹部が形成されており、
前記表面導電層には、前記絶縁層を露出させ、且つ、前記厚さ方向視において前記活性層に重なっている第2開口が形成されており、
前記第1凹部は、前記厚さ方向視において環状を呈し、
前記第2開口は、前記厚さ方向視において前記第1凹部の内側に位置し、且つ前記第1凹部および前記第1開口と互いに平行な環状を呈する、面発光レーザ素子。
【請求項2】
前記表面導電層は、
前記第1開口の外周端縁を規定する第1表面部と、
前記厚さ方向において前記第1表面部および前記第2DBR層の間に位置し、且つ、前記厚さ方向において前記絶縁層を貫通することにより前記第1表面部および前記第2DBR層に導通する第1コンタクト部と、を含む、請求項1に記載の面発光レーザ素子。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記第1DBR層に到達している、請求項1または請求項2に記載の面発光レーザ素子。
【請求項4】
前記第1凹部は、前記第2DBR層によって少なくとも一部が構成された凹部側面を有し、
前記表面導電層は、前記凹部側面に形成された側面部を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
【請求項5】
前記側面部および前記第1開口は、前記厚さ方向視において、互いに平行な環状である、請求項4に記載の面発光レーザ素子。
【請求項6】
前記第1開口は、閉じた環状、あるいは、一部が欠けた環状である、請求項1に記載の面発光レーザ素子。
【請求項7】
前記表面導電層は、前記第1開口の内周端縁を規定する第2表面部を含み、前記第2表面部は、前記厚さ方向視において、前記第1開口を挟んで前記第1表面部から離間しており、
前記第2表面部は、前記側面部に導通している、請求項2を引用する請求項4に記載の面発光レーザ素子。
【請求項8】
前記第2表面部および前記第1開口は、前記厚さ方向視において、互いに平行な環状である、請求項7に記載の面発光レーザ素子。
【請求項9】
前記表面導電層は、
前記第1表面部および前記第2表面部の間に位置し、且つ、前記第1表面部および前記第2表面部に導通する連絡部と、
前記第2表面部および前記第2DBR層の間に位置し、且つ、前記第2表面部および前記第2DBR層に導通する第2コンタクト部と、を含む、請求項7または請求項8に記載の面発光レーザ素子。
【請求項10】
前記第2DBR層内に位置する電流狭窄層を更に備え、前記電流狭窄層には、前記厚さ方向視において前記表面導電層における前記第1開口に重なる開口が形成されており、
前記電流狭窄層における前記開口、および、前記表面導電層における前記第1開口は、前記厚さ方向視において互いに平行な環状である、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
【請求項11】
半導体基板および裏面導電層を更に備え、前記第1DBR層は、前記半導体基板および前記第2DBR層の間に位置しており、前記半導体基板は、前記第1DBR層および前記裏面導電層の間に位置しており、
前記表面導電層は、ワイヤボンディングパッドを含み、前記DBR層表面から凹む第2凹部が形成されており、前記第2凹部は、前記厚さ方向視において、前記ワイヤボンディングパッドおよび前記第1開口の間に位置している、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の面発光レーザ素子と、
前記面発光レーザ素子が配置された搭載基板と、
前記面発光レーザ素子および前記搭載基板にボンディングされたワイヤと、を備える、光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面発光レーザ素子と、光学装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な分野においてレーザダイオードが広く用いられている。レーザダイオードは、p型領域とn型領域に挟まれた発光層(活性層)において誘導放出を引き起こさせ、これにより発生した光が取り出されるものである。
【0003】
より具体的には、高いエネルギーを持った電子が低いエネルギー状態に戻ることにより放出された光を、へき開面等によるミラーを用いて発光層内を反復させ、誘導放出を促進させる。そしてこのような反復により位相の揃った強い光が生成され、レーザ光として取り出される。またPN接合には継続して電流が流されており、レーザ光は継続して取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-028185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した事情のもとで考え出されたものであって、光出射角をより小さくしつつ、光出力をより大きくできる面発光レーザ素子を提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によると、第1導電型を有する第1DBR層と、前記第1導電型とは反対の第2導電型を有する第2DBR層と、前記第1DBR層および前記第2DBR層の間に位置する活性層と、前記第2DBR層に形成された絶縁層と、前記絶縁層に形成された表面導電層と、を備え、前記表面導電層には、前記絶縁層を露出させ、且つ、前記第1DBR層の厚さ方向視において前記活性層に重なる第1開口が形成されており、前記第1開口は、前記厚さ方向視において一方向に沿って延びている、面発光レーザ素子が提供される。
【0007】
本開示の第2の側面によると、本開示の第1の側面によって提供される面発光レーザ素子と、前記面発光レーザ素子が配置された搭載基板と、前記面発光レーザ素子および前記搭載基板にボンディングされたワイヤと、を備える、光学装置が提供される。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態にかかる光学装置の断面図である。
図2】第1実施形態にかかる面発光レーザ素子の斜視図である。
図3】第1実施形態にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図3に示した面発光レーザ素子の部分拡大平面図である。
図6図4のVI-VI線に沿う部分拡大断面図である。
図7】第1実施形態の第1変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
図8】第1実施形態の第1変形例にかかる面発光レーザ素子の断面図である。
図9】第1実施形態の第2変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
図10】第1実施形態の第3変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
図11】第1実施形態の第3変形例にかかる面発光レーザ素子の断面図である。
図12】第1実施形態の第4変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1図6を用いて、本開示の第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態にかかる光学装置の断面図である。
【0013】
同図に示す光学装置B1は、たとえばフォトインタラプタである。光学装置B1は、面発光レーザ素子A10と、受光素子801と、搭載基板802と、ワイヤ803,804と、封止樹脂805と、遮光部806と、を備える。
【0014】
面発光レーザ素子A10および受光素子801は、搭載基板802に配置されている。面発光レーザ素子A10から発せられた光は、対象物(図示略)にて反射し、受光素子801によって受光される。ワイヤ803は面発光レーザ素子A10および搭載基板802にボンディングされている。ワイヤ804は受光素子801および搭載基板802にボンディングされている。遮光部806は、搭載基板802に立設されており、面発光レーザ素子A10および受光素子801の間に配置されている。遮光部806は、面発光レーザ素子A10から発せられた光が受光素子801に直接入射することを防止するためのものである。封止樹脂805は、面発光レーザ素子A10と、受光素子801と、搭載基板802と、ワイヤ803,804と、遮光部806と、を覆っている。
【0015】
なお、光学装置B1は、受光素子801やワイヤ803,804を備えていなくてもよい。
【0016】
図2は、第1実施形態にかかる面発光レーザ素子の斜視図である。図3は、第1実施形態にかかる面発光レーザ素子の平面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図3に示した面発光レーザ素子の部分拡大平面図である。図6は、図4のVI-VI線に沿う部分拡大断面図である。
【0017】
これらの図に示す面発光レーザ素子A10は、レーザダイオードであり、より具体的には、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)型のレーザダイオードである。面発光レーザ素子A10は、たとえば、平面視において、縦が100~300μm、横が100~300μmの矩形状である。面発光レーザ素子A10は、半導体基板11と、第1DBR層12と、第2DBR層13と、活性層15と、絶縁層17と、電流狭窄層18と、表面導電層3と、裏面導電層4と、を備える。
【0018】
半導体基板11は半導体よりなる。半導体基板11を構成する半導体は、たとえば、GaAsである。
【0019】
活性層15は、自然放出および誘導放出によって、980nm帯(以下、「λa」とする)の波長の光を放出する化合物半導体により構成されている。活性層15は、第1DBR層12と第2DBR層13との間に位置している。
【0020】
第1DBR(Distributed Bragg Reflector)層12は半導体基板11に形成されている。第1DBR層12は第1導電型を有する半導体よりなる。本実施形態では第1導電型はn型である。第1DBR層12は、活性層15から発せられる光を効率よく反射させるためのDBRとして構成されている。より具体的には、第1DBR層12は、厚さλa/4のAlGaAs層であってそれぞれ反射率が異なる2層からなるペアを、複数段重ね合わせることにより構成されている。
【0021】
第2DBR層13は第2導電型を有する半導体よりなる。本実施形態では第2導電型はp型である。本実施形態とは異なり、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型であってもよい。第2DBR層13および半導体基板11の間に、第1DBR層12が位置している。第2DBR層13は、活性層15から発せられる光を効率よく反射させるためのDBRとして構成されている。より具体的には、第2DBR層13は、厚さλa/4のAlGaAs層であってそれぞれ反射率が異なる2層からなるペアを、複数段重ね合わせることにより構成されている。
【0022】
第2DBR層13は、DBR層表面131を有する。DBR層表面131は、第1DBR層12の位置する側とは反対側を向く。
【0023】
図4に示すように、電流狭窄層18は、第2DBR層13内に位置している。電流狭窄層18はAlを多く含み、酸化しやすい層からなる。電流狭窄層18は、この酸化しやすい層を酸化することにより形成される。電流狭窄層18は、酸化によって形成される必要は必ずしもなく、その他の方法(たとえばイオン注入)によって形成されてもよい。電流狭窄層18には開口181が形成されている。当該開口を電流が流れる。
【0024】
図4図6に示すように、第2DBR層13には、第1凹部21および第2凹部22が形成されている。
【0025】
第1凹部21は、DBR層表面131から凹んでいる。本実施形態においては、第1凹部21は、第1DBR層12に到達している。第1凹部21は、第1凹部側面21Aおよび第1凹部底面21Bを有する。第1凹部側面21Aは、第2DBR層13によって少なくとも一部が構成されている。本実施形態では、第1凹部側面21Aは、第1DBR層12によって構成された部位を有する。第1凹部側面21Aは、第1DBR層12の厚さ方向Z1視(平面視)において、一周する形状である。第1凹部底面21Bは、図4における上方を向いている。本実施形態では第1凹部底面21Bは円形状であるが、第1凹部底面21Bは円形状に限定されず、その他の形状であってもよい。第1凹部底面21Bは第1凹部側面21Aにつながっている。本実施形態では、第1凹部底面21Bは第1DBR層12によって構成されている。
【0026】
第2凹部22は、DBR層表面131から凹んでいる。本実施形態においては、第2凹部22は、第1DBR層12に到達している。第2凹部22は、第2凹部側面22Aを有する。第2凹部側面22Aは、第2DBR層13によって少なくとも一部が構成されている。本実施形態では、第2凹部側面22Aは、第1DBR層12によって構成された部位を有する。第2凹部側面22Aは、第1凹部側面21Aに囲まれた空間とは反対側を向く面である。第2凹部側面22Aは、第1DBR層12の厚さ方向Z1視(平面視)において、一周する形状である。
【0027】
絶縁層17は第2DBR層13に形成されている。本実施形態では、絶縁層17は、第2DBR層13におけるDBR層表面131と、第1凹部21における第1凹部側面21Aおよび第1凹部底面21Bと、第2凹部22における第2凹部側面22Aと、に形成されている。絶縁層17は、たとえば、SiO2よりなる。
【0028】
表面導電層3は絶縁層17に形成されている。本実施形態では、表面導電層3は、絶縁層17を挟んで、第2DBR層13におけるDBR層表面131と、第1凹部21における第1凹部側面21Aおよび第1凹部底面21Bと、第2凹部22における第2凹部側面22Aと、に形成されている。表面導電層3は導電性の材料(たとえば金属)よりなる。
【0029】
図4図6に示すように、表面導電層3には、第1開口31Aが形成されている。なお、図5では、第1開口31Aを、砂模様を付して示している。
【0030】
第1開口31Aは、絶縁層17を露出させ、且つ、第1DBR層12の厚さ方向Z1視において活性層15に重なっている。第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において一方向に沿って延びている。本実施形態では、第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において環状を呈する。第1開口31Aは、たとえば、閉じた環状、あるいは、一部が欠けた環状である。環状は、円環状、および多角形の環状(三角形の環状や矩形の環状等)を含む。一部が欠けた環状は、ある一箇所が欠けた環状、および、複数箇所が欠けた環状を含む。本実施形態では、第1開口31Aは一部が欠けた円環状(より具体的にはある一箇所が欠けた円環状)である。厚さ方向Z1視において第1開口31Aよりも内側には、第1凹部21が配置されている。図4から理解できるように、第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において電流狭窄層18における開口181に重なっている。表面導電層3における第1開口31Aおよび電流狭窄層18における開口181は、厚さ方向Z1視において同一方向に沿って延びている(図示略)。具体的には、第1開口31Aおよび開口181は、厚さ方向Z1視において、環状を呈するように延びている(図示略)。
【0031】
図4図6に示すように、表面導電層3は、第1表面部331と、第1コンタクト部333と、第2表面部351と、連絡部352と、第2コンタクト部353と、側面部371と、底面部372と、側面部375と、ワイヤボンディングパッド39と、を含む。
【0032】
第1表面部331は、第1開口31Aの一部を規定している。第1コンタクト部333は、第1表面部331および第2DBR層13の間に位置している。第1コンタクト部333は、絶縁層17を貫通している。第1コンタクト部333は、第1表面部331および第2DBR層13に導通している。これにより、電流が、第1コンタクト部333を経由して、第1表面部331と第2DBR層13との間に流れる。
【0033】
第2表面部351は、第1開口31Aの一部を規定している。第2表面部351は、厚さ方向Z1視において、第1開口31Aを挟んで第1表面部331から離間している。図5に示すように、連絡部352は、第1表面部331および第2表面部351の間に位置している。連絡部352は、第1表面部331および第2表面部351に導通している。これにより、第2表面部351が第1表面部331に導通している。本実施形態では、1つの連絡部352のみが形成されているが、複数の連絡部が形成されていてもよい。第2コンタクト部353は、第2表面部351および第2DBR層13の間に位置している。第2コンタクト部353は、絶縁層17を貫通している。第2コンタクト部353は、第2表面部351および第2DBR層13に導通している。これにより、電流が、第2コンタクト部353を経由して第2表面部351と第2DBR層13との間に流れる。
【0034】
本実施形態とは異なり、表面導電層3が連絡部352および第2コンタクト部353を含んでいなくてもよい。
【0035】
側面部371は、第1凹部側面21Aに形成されている。側面部371は、第2表面部351に導通しており、本実施形態ではつながっている。側面部371、第1表面部331、第2表面部351、および第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において、互いに同一である方向に沿って延びている。図5に示すように、本実施形態では、側面部371、第1表面部331、第2表面部351、および第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において、環状を呈するように延びている。
【0036】
底面部372は、第1凹部底面21Bに形成されている。底面部372は側面部371に導通しており、本実施形態ではつながっている。本実施形態では底面部372は円形状である。
【0037】
側面部3757は、第2凹部側面22Aに形成されている。側面部375は第1凹部側面21Aに導通しており、本実施形態ではつながっている。
【0038】
ワイヤボンディングパッド39は、DBR層表面131に形成されている。厚さ方向Z1視において、ワイヤボンディングパッド39および第1開口31Aの間に、第2凹部22が位置している。ワイヤボンディングパッド39は、側面部375を介して、第1表面部331に導通している。本実施形態では更に、ワイヤボンディングパッド39は、側面部375と、第1表面部331と、連絡部352と、を介して、第2表面部351に導通している。ワイヤボンディングパッド39には、ワイヤ803(図1参照)がボンディングされる。
【0039】
裏面導電層4は、半導体基板11の図4における下面に形成されている。裏面導電層4は、導電性の材料(たとえば金属)よりなる。裏面導電層4および第1DBR層12の間に、半導体基板11が位置している。
【0040】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0041】
本実施形態においては、第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において一方向に沿って延びている。発明者らによると、このような構成は、光出射角をより小さくしつつ、光出力をより大きくできることを発見した。この理由の一つとしては、第1開口31Aの下方部分(当該部分は、第1DBR層12と第2DBR層13とに挟まれた活性層15を含む)にて、光が横方向(厚さ方向Z1に直交する方向)に進行できるためであると考えられる。光出射角をより小さくしつつ、光出力をより大きくできると、光学装置B1がたとえばフォトインタラプタである場合、光をより遠く、また、必要とされる部位により多くの光を照射することができるので、光学装置B1の性能をより向上させることが可能となる。
【0042】
本実施形態においては、第1開口31Aは、厚さ方向Z1視において環状を呈する。このような構成によると、活性層15からの光が円環メサ内を周回することができるので、第1開口31Aの下方部分に閉じ込めつつ、当該光を横方向(厚さ方向Z1に直交する方向)に進行させるのに適する。したがって、本実施形態の当該構成によると、光出射角をより小さくしつつ、光出力をより大きくできる。
【0043】
本実施形態においては、第1凹部21は、第2DBR層13によって少なくとも一部が構成された第1凹部側面21Aを有する。表面導電層3は、第1凹部側面21Aに形成された側面部371を含む。このような構成によると、活性層15から放たれた、第1DBR層12と第2DBR層13と活性層15とで構成された部位内の光を、第1凹部21の第1凹部側面21Aあるいは側面部371にて反射させることができる。これにより、当該光が第2DBR層13外に放たれることを防止できる。その結果、より適切に、活性層15からの光を、第2DBR層13のうち第1開口31Aの下方部分に閉じ込めることが可能となる。したがって、本実施形態の当該構成によると、光出射角をより小さくしつつ、光出力をより大きくできる。
【0044】
本実施形態においては、表面導電層3は、連絡部352と第2コンタクト部353とを含む。連絡部352は、第1表面部331および第2表面部351の間に位置し、且つ、第1表面部331および第2表面部351に導通する。第2コンタクト部353は、第2表面部351および第2DBR層13の間に位置し、且つ、第2表面部351および第2DBR層13に導通する。このような構成によると、第1表面部331から第1コンタクト部333を経由して第1DBR層12に向かう電流経路に加え、第2表面部351から第2コンタクト部353を経由して第1DBR層12に向かう電流経路が形成される。これにより、より適切に、活性層15にて光を発生させることが期待できる。
【0045】
<第1実施形態の第1変形例>
図7を用いて、本開示の第1実施形態の第1変形例について説明する。
【0046】
なお、以下の変形例に関する説明では、上記と同一または類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0047】
図7は、第1実施形態の第1変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。図8は、第1実施形態の第1変形例にかかる面発光レーザ素子の断面図である。
【0048】
同図に示した面発光レーザ素子A11は、第1開口31Aが閉じた円環状である点において、面発光レーザ素子A10と異なる。また、面発光レーザ素子A11では、表面導電層3が、連絡部352および第2コンタクト部353を備えていない。
【0049】
<第1実施形態の第2変形例>
図9を用いて、本開示の第1実施形態の第2変形例について説明する。
【0050】
図9は、第1実施形態の第2変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
【0051】
同図に示した面発光レーザ素子A12は、追加開口31Cが形成されている点において、面発光レーザ素子A10と異なる。本変形例では、追加開口31Cは、第1開口31Aと線対称な形状であるが、どのような形状であっても構わない。追加開口31Cは、絶縁層17を露出させ、且つ、第1DBR層12の厚さ方向Z1視において活性層15に重なっている。追加開口31Cは、環状を呈しており、且つ、第1開口31Aにつながっている。
【0052】
面発光レーザ素子A12においては、凹部21C、表面部331C、表面部351C、連絡部352C、側面部371C、底面部372C、および側面部375Cが設けられている。これらは、面発光レーザ素子A10における第1凹部21、第1表面部331、第2表面部351、連絡部352、側面部371、底面部372、および側面部375にそれぞれ対応し、同様の説明をそれぞれ適用できるから本変形例では説明を省略する。
【0053】
本変形例によると、面発光レーザ素子A10に関して述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0054】
本変形例では、活性層15からの光が、第1開口31Aの下方部分と、追加開口31Cの下方の部分との間を相互に行き来することが可能である。当該構成によると、光出射角をより小さくしつつ、光出力を更に大きくできることにつき発明者は知見を得た。本変形例の構成を、面発光レーザ素子A11に記載の構成と組み合わせてもよい。
【0055】
<第1実施形態の第3変形例>
図10図11を用いて、本開示の第1実施形態の第3変形例について説明する。
【0056】
図10は、第1実施形態の第3変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。図11は、第1実施形態の第3変形例にかかる面発光レーザ素子の断面図である。図11は、図6に対応する断面図である。
【0057】
これらの図に示した面発光レーザ素子A13は、第2DBR層13の形状が面発光レーザ素子A10とは異なる。表面導電層3には、第2開口31Bが形成されている。第2開口31Bは、絶縁層17を露出させ、且つ、厚さ方向Z1視において活性層15に重なっている。第2開口31Bは、2つの表面部361によって規定されている。2つの表面部361は連絡部362を介して互いに導通している。また、表面部361および第2DBR層13が、コンタクト部(図示略)を経由して、導通している。第2開口31Bは、厚さ方向Z1視において第1凹部21の内側に位置する。本変形例では、第2開口31Bは、厚さ方向Z1視において環状を呈する。環状の意義については上述した説明を適用することができる。面発光レーザ素子A13では、DBR層表面131から凹む第3凹部23が形成されている。第3凹部23の側面および底面には、表面導電層3における側面部377および底面部378がそれぞれ形成されている。
【0058】
本変形例によると、面発光レーザ素子A10に関して述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0059】
本変形例では、第2DBR層13のうち第2開口31Bの下方の部分が、第2DBR層13のうち第1開口31Aの下方部分と同様の機能を果たすことが期待される。その結果、光出射角をより小さくしつつ、光出力を更に大きくできる。本変形例の構成を、面発光レーザ素子A11あるいは面発光レーザ素子A12に関する構成と組み合わせてもよい。
【0060】
<第1実施形態の第4変形例>
図12を用いて、本開示の第1実施形態の第4変形例について説明する。
【0061】
図12は、第1実施形態の第4変形例にかかる面発光レーザ素子の平面図である。
【0062】
同図に示した面発光レーザ素子A14は、第1開口31Aが環状ではなく、直線(本変形例では横方向に延びる仮想直線であり、図示略)に沿う一方向に沿って延びている点において、面発光レーザ素子A10とは異なる。このような構成によっても、光が横方向(厚さ方向Z1に直交する方向)に進行できるため(本変形例では更に往来できるため)、光出射角をより小さくしつつ、光出力をより大きくすることが可能となる。
【0063】
本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0064】
上述の実施形態および変形例のバリエーションを以下に付記する。
[付記1]
第1導電型を有する第1DBR層と、
前記第1導電型とは反対の第2導電型を有する第2DBR層と、
前記第1DBR層および前記第2DBR層の間に位置する活性層と、
前記第2DBR層に形成された絶縁層と、
前記絶縁層に形成された表面導電層と、を備え、
前記表面導電層には、前記絶縁層を露出させ、且つ、前記第1DBR層の厚さ方向視において前記活性層に重なる第1開口が形成されており、前記第1開口は、前記厚さ方向視において一方向に沿って延びている、面発光レーザ素子。
[付記2]
前記第1開口は、前記厚さ方向視において環状を呈する、付記1に記載の面発光レーザ素子。
[付記3]
前記表面導電層は、
前記第1開口の一部を規定する第1表面部と、
前記第1表面部および前記第2DBR層の間に位置し、且つ、前記第1表面部および前記第2DBR層に導通する第1コンタクト部と、を含む、付記2に記載の面発光レーザ素子。
[付記4]
前記第2DBR層は、前記第1DBR層の位置する側とは反対側を向くDBR層表面を有し、
前記DBR層表面から凹み、且つ、前記厚さ方向視において前記第1開口よりも内側に配置されている第1凹部が形成されている、付記2または付記3に記載の面発光レーザ素子。
[付記5]
前記第1凹部は、前記第1DBR層に到達している、付記4に記載の面発光レーザ素子。
[付記6]
前記第1凹部は、前記第2DBR層によって少なくとも一部が構成された凹部側面を有し、
前記表面導電層は、前記凹部側面に形成された側面部を含む、付記4または付記5に記載の面発光レーザ素子。
[付記7]
前記側面部および前記第1開口は、前記厚さ方向視において、互いに同一である方向に沿って延びている、付記6に記載の面発光レーザ素子。
[付記8]
前記第1開口は、閉じた環状、あるいは、一部が欠けた環状である、付記1に記載の面発光レーザ素子。
[付記9]
前記電極層は、前記第1開口の一部を規定する第2表面部を含み、前記第2表面部は、前記厚さ方向視において、前記第1開口を挟んで前記第1表面部から離間しており、
前記第2表面部は、前記側面部に導通している、付記6に記載の面発光レーザ素子。
[付記10]
前記第2表面部および前記第1開口は、前記厚さ方向視において、互いに同一方向に沿って延びている、付記9に記載の面発光レーザ素子。
[付記11]
前記表面導電層は、
前記第1表面部および前記第2表面部の間に位置し、且つ、前記第1表面部および前記第2表面部に導通する連絡部と、
前記第2表面部および前記第2DBR層の間に位置し、且つ、前記第2表面部および前記第2DBR層に導通する第2コンタクト部と、を含む、付記9または付記10に記載の面発光レーザ素子。
[付記12]
前記表面導電層には、前記絶縁層を露出させ、且つ、前記厚さ方向視において前記活性層に重なっている第2開口が形成されており、
前記第2開口は、前記厚さ方向視において前記第1凹部の内側に位置する、付記4に記載の面発光レーザ素子。
[付記13]
前記第2開口は、前記厚さ方向視において環状を呈する、付記12に記載の面発光レーザ素子。
[付記14]
前記表面導電層には、前記絶縁層を露出させ、且つ、前記第1DBR層の厚さ方向視において前記活性層に重なる追加開口が形成され、
前記追加開口は、環状を呈しており、且つ、前記第1開口につながっている、付記2に記載の面発光レーザ素子。
[付記15]
前記第2DBR層内に位置する電流狭窄層を更に備え、前記電流狭窄層には、前記厚さ方向視において前記表面導電層における前記第1開口に重なる開口が形成されており、
前記電流狭窄層における前記開口、および、前記表面導電層における前記第1開口は、前記厚さ方向視において同一方向に沿って延びている、付記1ないし付記14のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
[付記16]
半導体基板および裏面導電層を更に備え、前記第1DBR層は、前記半導体基板および前記第2DBR層の間に位置しており、前記半導体基板は、前記第1DBR層および前記裏面導電層の間に位置しており、
前記表面導電層は、ワイヤボンディングパッドを含み、前記DBR層表面から凹む第2凹部が形成されており、前記第2凹部は、前記厚さ方向視において、前記ワイヤボンディングパッドおよび前記第1開口の間に位置している、付記1ないし付記15のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
[付記17]
付記1ないし付記16に記載の面発光レーザ素子と、
前記面発光レーザ素子が配置された搭載基板と、
前記面発光レーザ素子および前記搭載基板にボンディングされたワイヤと、を備える、光学装置。
【符号の説明】
【0065】
11 半導体基板
12 第1DBR層
13 第2DBR層
131 DBR層表面
15 活性層
17 絶縁層
18 電流狭窄層
181 開口
21 第1凹部
21A 第1凹部側面
21B 第1凹部底面
21C 凹部
22 第2凹部
22A 第2凹部側面
23 第3凹部
3 表面導電層
31A 第1開口
31B 第2開口
31C 追加開口
331 第1表面部
331C 表面部
333 第1コンタクト部
351 第2表面部
351C 表面部
352 連絡部
352C 連絡部
353 第2コンタクト部
361 表面部
362 連絡部
363 コンタクト部
371 側面部
371C 側面部
372 底面部
372C 底面部
375 側面部
375C 側面部
377 側面部
378 底面部
39 ワイヤボンディングパッド
4 裏面導電層
801 受光素子
802 搭載基板
803 ワイヤ
804 ワイヤ
805 封止樹脂
806 遮光部
A10~A14 面発光レーザ素子
B1 光学装置
Z1 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12