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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】液体容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 39/08 20060101AFI20220524BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20220524BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B65D39/08
A47J41/02 104A
A47J41/00 304A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018103575
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019206376
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 真治
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-027425(JP,U)
【文献】実開昭51-012067(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050845(US,A1)
【文献】特開2006-124012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/08
A47J 41/02
A47J 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を格納可能な容器本体と、
前記容器本体の容器口に螺子構造を介して着脱可能で、前記容器本体に対する締め付けを緩めることで前記容器本体から液体を吐出させることが可能な栓体と、
前記栓体が前記容器本体に締め切られる締切位置から前記容器本体と分離する分離位置へ回動される途上の中間箇所で前記栓体に係止力を作用させるストッパ構造と、が備えられ
前記ストッパ構造は、前記栓体が前記容器本体から液体を最大に吐出させることが可能な最大吐出位置で、前記栓体を前記容器本体に位置保持させることが可能であり、
前記ストッパ構造には、前記容器本体及び前記栓体のいずれか一方に設けられる係合突起と、前記容器本体及び前記栓体のいずれか他方に設けられ、前記容器本体に対する前記栓体の回動力により前記係合突起を係脱する係合ストッパと、が備えられ、
前記係合ストッパは、山型に隆起した第1凸部と前記第1凸部に対して嵌入した嵌入凹部と前記嵌入凹部に対して山型に隆起した第2凸部とを栓体の回動方向に沿って並べて有し、前記係合突起を前記嵌入凹部に嵌り込ませることで前記栓体の位置保持が可能に構成され、前記第1凸部と前記嵌入凹部と前記第2凸部とがなだらかな曲面状に繋がるように形成されている液体容器。
【請求項2】
前記螺子構造は、前記栓体が前記締切位置から前記分離位置まで回動する角度範囲が、360度以下に設定されている請求項に記載の液体容器。
【請求項3】
前記螺子構造が、複数条螺子で構成されている請求項1または2に記載の液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の液体を入れることが可能な液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術が、例えば、下記特許文献1に記載されている。同文献に記載の液体容器には、液体を格納可能な容器本体と、容器本体の容器口に螺子構造を介して着脱可能で、容器本体に対する締め付けを緩めた状態で容器本体から液体を吐出させることが可能な栓体と、が備えられている。
【0003】
このような液体容器は、部品点数の少ないシンプルな構造であるため、洗浄等のお手入れを行い易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平2-48366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の液体容器では、使用者が容器本体から液体を吐出させるべく開栓操作を行う際に、容器本体に対して栓体を緩め過ぎると、栓体を取り外すつもりがないのに、容器本体から栓体が外れて脱落してしまうことがあった。
【0006】
上記実情に鑑み、開栓操作時における栓体の意図しない脱落を防止可能な液体容器が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体容器は、
液体を格納可能な容器本体と、
前記容器本体の容器口に螺子構造を介して着脱可能で、前記容器本体に対する締め付けを緩めることで前記容器本体から液体を吐出させることが可能な栓体と、
前記栓体が前記容器本体に締め切られる締切位置から前記容器本体と分離する分離位置へ回動される途上の中間箇所で前記栓体に係止力を作用させるストッパ構造と、が備えられ
前記ストッパ構造は、前記栓体が前記容器本体から液体を最大に吐出させることが可能な最大吐出位置で、前記栓体を前記容器本体に位置保持させることが可能であり、
前記ストッパ構造には、前記容器本体及び前記栓体のいずれか一方に設けられる係合突起と、前記容器本体及び前記栓体のいずれか他方に設けられ、前記容器本体に対する前記栓体の回動力により前記係合突起を係脱する係合ストッパと、が備えられ、
前記係合ストッパは、山型に隆起した第1凸部と前記第1凸部に対して嵌入した嵌入凹部と前記嵌入凹部に対して山型に隆起した第2凸部とを栓体の回動方向に沿って並べて有し、前記係合突起を前記嵌入凹部に嵌り込ませることで前記栓体の位置保持が可能に構成され、前記第1凸部と前記嵌入凹部と前記第2凸部とがなだらかな曲面状に繋がるように形成されているものである。
【0008】
本発明によると、液体を容器本体から吐出させるために栓体を開栓方向に回動させて緩めてゆくと、栓体が容器本体から脱落する前に、ストッパ構造による係止力が栓体に作用し、使用者がその係止力を操作感覚として感じることができる。さらに、係止力の作用する箇所から開栓方向にある程度の回動しろ(螺合しろ)が確保されているため、使用者が係止力に抗して栓体を開栓方向に回動させた際に、栓体がいきなり脱落することが防止される。
このように、本発明であれば、開栓操作時における栓体の意図しない脱落を防止可能な液体容器を構成できるようになる。
【0010】
さらに、本発明によれば、栓体を緩め操作していく際に使用者がクリック感のような操作感覚を感じた箇所が、容器本体から液体を最大に吐出させることができる最大吐出位置となる。これにより、液体を吐出させる際に栓体の位置合わせが簡単になり、栓体を緩める操作を開始してから所望量の液体の吐出を完了できるまでの時間が短縮され、使い勝手に優れたものとなる。
【0012】
さらに、本発明によれば、ストッパ構造は、容器本体と栓体との相対回動を利用して係合ストッパに係合突起を係合させることにより、栓体と容器本体との間に係止力を作用させるものとなる。このため、簡素な構造で、意図しない栓体の脱落を好適に防止できる。
【0013】
上記構成において、
前記螺子構造は、前記栓体が前記締切位置から前記分離位置まで回動する角度範囲が、360度以下に設定されていると好適である。
【0014】
本構成によれば、本体に対して栓体を捻る操作を1、2回程度行うだけで、栓体を容器本体から分離させることが可能となる。これにより、使用者は洗浄等のお手入れ時に少ない手間で分解作業を行うことができる。さらに、螺子構造の巻き数が少なくなる分、容器本体の高さを低く抑えることが可能になり、コンパクトな構造を実現できる。
【0015】
上記構成において、
前記螺子構造が、複数条螺子で構成されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、1条螺子に比べて回転角度に対する螺進距離が増えるため、螺子構造の巻き数が少なくても、容器本体に対して栓体を十分にねじ込むことができる。このため、容器本体と栓体との間の止水性が良好になると共に、栓体を緩める操作を行う際に容器本体からの液体の吐出を確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コップを除いた状態の液体容器を示す側面図である。
図2】栓体を示す側面図である。
図3】容器本体の容器口付近の箇所を示す側面視の断面図である。
図4】容器本体の一部を示す上面図である。
図5】栓体が締切位置にある状態の液体容器の一部を示す上面視の部分断面図である。
図6】栓体が当接位置にある状態の液体容器の一部を示す上面視の部分断面図である。
図7】栓体が係合位置にある状態の液体容器の一部を示す上面視の部分断面図である。
図8】栓体が脱出位置にある状態の液体容器の一部を示す上面視の部分断面図である。
図9】栓体が分離位置にある状態の液体容器の一部を示す上面視の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1等に示すように、液体容器には、飲料等の液体を格納可能な容器本体1と、容器本体1の断面円形状の容器口2に螺子構造3を介して着脱可能な栓体4と、容器本体1に着脱可能で液体を入れることが可能なコップ(図示せず)が備えられている。液体容器は、容器本体1に対して栓体4を完全に取り外すことなく、容器本体1内の液体を吐出させることが可能になっている。つまり、液体容器は、いわゆるスクリューキャップのタイプのものとなっている。また、液体容器には、栓体4が容器本体1に締め切られる締切位置P1(図5参照)から容器本体1と分離する分離位置P5(図9参照)へ回動される途上の中間箇所で栓体4に係止力を作用させるストッパ構造5が備えられている。
【0019】
〔容器本体について〕
図3等に示すように、容器本体1には、液体を貯留可能な第1部材6、第1部材6の外側に組み合わされる第2部材7等が備えられている。
【0020】
第1部材6は、ステンレス等の金属製であると好ましい。第1部材6は、有底筒状の内壁8と有底筒状の外壁9とを空間を隔てて組み合わせた二重壁構造となっており、断熱性に優れたものになっている。この内壁8と外壁9との間の空間(二重壁構造の内部)は、真空であることが好ましい。
【0021】
第1部材6には、液体を格納可能な液体格納部10、液体格納部10の上側に連設されて液体格納部10の内径よりも縮径された縮径部11、縮径部11の上側に連設されて縮径部11よりも拡径された口側部12が備えられている。
【0022】
第2部材7は、樹脂製であると好ましい。第2部材7には、外壁9を外囲する外囲部13、外囲部13の上側に延設され、第1部材6の口側部12に嵌合される肩部14等が備えられている。
【0023】
肩部14の外側面には、容器本体1に着脱可能に取り付けられるコップ(図示せず)の内面に設けられる内螺子(図示せず)を螺合するための外螺子15が設けられている。
【0024】
〔栓体について〕
図2に示すように、栓体4には、容器口2の内径よりも径が大きな頭部16、頭部16の下端から連設されて頭部16よりも径が小さな本体部17、本体部17の下端に嵌装して設けられる環状のゴム等の弾性体で構成されるシールパッキン18等が備えられている。頭部16は、栓体4を回動操作する際の操作部となっている。頭部16と本体部17とは、樹脂製で、一体的に形成されている。
【0025】
図3図5図9に示すように、本体部17には、栓体4の軸方向に沿って、幅広で縦長の凹部である通液凹部19が一対設けられている。各通液凹部19は、栓体4を中心として互いに180度反対となる箇所に設けられている。栓体4は、容器本体1に対して回動する回動経路の途中において通液凹部19を通じて容器本体1から液体を吐出させることが可能になっている。
【0026】
図3に示すように、シールパッキン18は、容器本体1の縮径部11の形状に対応した形状に形成されている。シールパッキン18は、ゴム等の弾性変形しうる部材で構成されている。容器本体1に対して栓体4を閉栓方向D2の回転方向に捻り操作して締め込むことで、本体部17と縮径部11とにシールパッキン18が挟まれて弾性変形する。これにより、容器口2からの液体の漏出を防ぐことができる。
【0027】
栓体4は、容器本体1に対して締め切られた締切位置P1(図5参照)から、開栓方向D1に回動させることで、当接位置P2(図6参照)、保持位置P3(図7参照)、逸脱位置P4(図8参照)を経由して、容器本体1から分離する分離位置P5(図9参照)へと回動することで、容器本体1から取り外すことが可能になっている。
【0028】
〔螺子構造について〕
図2図3等に示すように、螺子構造3には、容器本体1側に形成される第1螺子部20と、栓体4側に形成され、第1螺子部20に螺合する第2螺子部21と、が備えられている。螺子構造3は、2条螺子(「複数条螺子」の一例)で構成されている。
【0029】
図2図4等に示すように、容器本体1側の第1螺子部20は、容器本体1の上端部の内面(肩部14の内面)に設けられている。第1螺子部20には、第1螺条部22と、第1螺条部22の螺旋延長上に位置する第2螺条部23と、が一対ずつ備えられている。一方の第1螺条部22及び第2螺条部23は、他方の第1螺条部22及び第2螺条部23に対して、容器本体1の中心に対して180度反対側に設けられている。一方の第1螺条部22の下方に、他方の第2螺条部23が位置している。一方の第1螺条部22の下方が、他方の第2螺条部23よりも周方向の長さが長くなっている。第1螺条部22と第2螺条部23とは同一螺旋上に形成されているが、連続しておらず、第1螺条部22と第2螺条部23との間には、それぞれ、螺子のない螺子欠如部24が形成されている。螺子欠如部24は、一対で設けられている。各螺子欠如部24は、容器本体1の中心に対して互いに180度反対となる箇所に設けられている。第1螺子部20では、第1螺条部22の始端から第2螺条部23の終端に至るまで1周以下の約270度の角度となっている。
【0030】
図2図5図9に示すように、栓体4側の第2螺子部21は、栓体4における本体部17の上部の外側面に設けられている。第2螺子部21には、上側螺条部25と、上側螺条部25の下方に形成される下側螺条部26と、が一対備えられている。一方の上側螺条部25及び下側螺条部26は、他方の上側螺条部25及び下側螺条部26に対して、栓体4の中心に対して180度反対側に設けられている。一方の上側螺条部25は一方の下側螺条部26の下方に位置し、他方の上側螺条部25は他方の下側螺条部26の下方に位置している。一方の上側螺条部25の始端位置は、一方の下側螺条部26の始端位置に略揃えられている。一方の上側螺条部25及び下側螺条部26と、他方の上側螺条部25及び下側螺条部26と、の間に、螺子が無く中心側に向けて窪んだ通液凹部19が形成されている。通液凹部19は、一対で設けられている。各通液凹部19は、栓体4の中心に対して互いに180度反対となる箇所に設けられている。
【0031】
図2図3図5図9から理解されるように、螺子構造3の螺合は、栓体4側の上側螺条部25と下側螺条部26との間に容器本体1側の第1螺条部22が挟み込まれ、栓体4の閉栓方向D2への回動に伴って、容器本体1側の第1螺子部20における栓体4側の上側螺条部25と下側螺条部26との間に挟み込まれる部分が、第1螺条部22から第1螺条部22の螺旋の延長上にある第2螺条部23に遷移するような態様で行われる。
【0032】
図7等に示すように、栓体4側の通液凹部19の周方向の幅は、容器本体1側の螺子欠如部24の周方向の幅と略同じになるように形成されている。通液凹部19及び螺子欠如部24が周方向に重複した際に形成される流路の角度範囲は、約30~40度程度に設定すると、吐出量を十分に確保できるため好ましい。
【0033】
図7等から理解されるように、容器本体1を傾けた際に液体を吐出させる側の流出路となる通液凹部19及び螺子欠如部24に対して180度反対側に位置する通液凹部19及び螺子欠如部24は、容器本体1内に外気を取り込む吸気路として機能するようになっている。このため、液体の吐出時の脈動が防止されるようになっている。
【0034】
図5図9に示すように、螺子構造3は、栓体4が締切位置P1から分離位置P5まで回動する角度範囲が、360度(1周)以下の約270度に設定されている。説明を加えると、栓体4が締切位置P1から分離位置P5までに至る角度範囲は、360度(1周)以下の約270度に設定されている。
【0035】
〔ストッパ構造について〕
図6図7に示すように、ストッパ構造5は、螺子構造3の螺合経路の途中で栓体4に係止力を作用させることが可能になっている。ストッパ構造5には、栓体4側に設けられる係合突起27と、容器本体1側に設けられる係合ストッパ28と、が備えられている。係合ストッパ28は、容器本体1に対する栓体4の回動力により係合突起27を係脱することが可能になっている。係合ストッパ28には、上面視で山型の湾曲形状の第1凸部29、上面視で山型の湾曲形状の湾曲形状の第2凸部30、及び、第1凸部29と第2凸部30との間に位置して径方向外側に窪んだ嵌入凹部31と、が設けられている。
【0036】
図2図6図9に示すように、栓体4側の係合突起27は、本体部17の外面から外側に向けて隆起した箇所になっている。つまり、係合突起27の外径は、本体部17の無螺子箇所の外径よりも大きくなっている。係合突起27は、上側螺条部25と下側螺条部26との上下に挟まれた箇所に形成されている。係合突起27は、通液凹部19の近傍であって、上側螺条部25と下側螺条部26の開栓方向D1の端部付近に設けられている。係合突起27は、一対で設けられている。各係合突起27は、栓体4の中心に対して互いに180度反対となる箇所に設けられている。
【0037】
図3図9に示すように、容器本体1側の係合ストッパ28は、樹脂製の第2部材7の内周面に設けられている。係合ストッパ28における第1凸部29及び第2凸部30の内径は、それぞれ、栓体4側の係合突起27の外径よりも少し大きくなっている。第2凸部30の内径は、第1凸部29の内径よりも大きくなっている。一方、係合ストッパ28における嵌入凹部31の内径は、栓体4側の係合突起27の外径と同じかそれよりも大きくなっている。つまり、容器本体1の容器口2内で栓体4を回動させると、第1凸部29と第2凸部30に係合突起27が当接し、係合突起27が第1凸部29または第2凸部30を乗り越えると嵌入凹部31内に係合突起27が位置保持される寸法関係となっている。
【0038】
〔過締防止構造について〕
図3等に示すように、液体容器には、容器本体1に対して栓体4を締め込み過ぎることを防止する過締防止構造32が備えられている。過締防止構造32には、栓体4側に設けられる切欠部33と、容器本体1側に設けられ、切欠部33に干渉する規制片(図示せず)と、が備えられている。切欠部33は、下側螺条部26における閉栓方向D2の端部に設けられている。図5に示すように、容器本体1に対して栓体4を締め込んで栓体4を締切位置P1にすると、栓体4の切欠部33に容器本体1側の規制片(図示せず)が干渉し、栓体4が締切位置P1以上に閉栓方向D2に回動しないようになっている。これにより、栓体4の締め込み過ぎによるシールパッキン18等の損耗が抑えられる。
【0039】
〔栓体の開栓時の動作について〕
図5に示すように、容器本体1に対して栓体4を締め込んで栓体4を締切位置P1にすると、図2図3から理解されるように、栓体4の本体部17と容器本体1の縮径部11との間に挟まれる押圧力でシールパッキン18が弾性変形し、栓体4と容器本体1との間が止水状態に好適に保たれる。
【0040】
栓体4を締切位置P1から開栓方向D1に第1角度R1(例えば、約80度)だけ回動させると、栓体4のシールパッキン18が容器本体1の縮径部11から離間し、止水状態が解除される。
【0041】
さらに、その栓体4を止水状態が解除される解除位置から開栓方向D1に第2角度R2(例えば、約30度。締切位置P1から約110度)だけ回動させると、栓体4の通液凹部19が容器本体1側の螺子欠如部24と周方向に重複を開始し始める。
【0042】
さらに、その栓体4をその重複開始位置から開栓方向D1に第3角度R3(例えば、約30度。締切位置P1から約140度)だけ回動させると、図6に示すように、栓体4側の係合突起27が第1凸部29に当接する当接位置P2になる。係合突起27が第1凸部29に当たることで、使用者は抵抗感を感じることができる。この当接位置P2では、シールパッキン18による止水状態が解除されており、栓体4の通液凹部19と容器本体1の螺子欠如部24とが周方向において部分的に重複しているため、この状態でも、栓体4の通液凹部19と容器本体1側の螺子欠如部24とによって形成される流出路を通じて、容器本体1内の液体を吐出させることが可能となっている。
【0043】
そして、栓体4を当接位置P2からさらに、力を加えながら、開栓方向D1にわずかな第4角度R4(例えば、約10度。締切位置P1から約150度)だけ回転操作すると、図7に示すように、栓体4が、係合突起27が第1凸部29を乗り越えて嵌入凹部31に嵌り込んだ保持位置P3となる。保持位置P3は、栓体4の回動方向において、締切位置P1と分離位置P5との間の中央付近の回動角度に設定されている。保持位置P3では、栓体4側の係合突起27が第1凸部29と第2凸部30とに、挟み込まれているので、容器本体1に対して栓体4が位置保持される。保持位置P3では、栓体4の通液凹部19と容器本体1の螺子欠如部24とが周方向において大部分が重複しており、吐出量が最大の状態の「最大吐出位置」となる。つまり、ストッパ構造5は、栓体4が容器本体1から液体を最大に吐出させることが可能な「最大吐出位置」で、栓体4を容器本体1に位置保持させることが可能になっている。この「最大吐出位置」は、締切位置P1から180度以下(半周)以下の角度となっているので、締切位置P1から捻り操作を1回行うだけで、「最大吐出位置」とすることができる。
【0044】
そして、栓体4を保持位置P3からさらに、力を加えながら、栓体4を開栓方向D1にわずかな第5角度R5(例えば、約10度。締切位置P1から約160度)だけ回転操作すると、図8に示すように、栓体4は、係合突起27が第2凸部30を乗り越えた逸脱位置P4となる。この逸脱位置P4では、第1螺子部20と第2螺子部21の螺合状態はまだ解除されていない。
【0045】
そして、逸脱位置P4からさらに、栓体4を開栓方向D1に第6角度R6(例えば、約100度。締切位置P1から約270度)だけ回転操作すると、図9に示すように、栓体4は、分離位置P5となる。つまり、当接位置P2や保持位置P3から分離位置P5に開栓方向D1へ回動させるにあたっては栓体4の回動しろ(螺合しろ)がある程度確保されている。分離位置P5では、第1螺子部20と第2螺子部21の螺合状態が解除され、栓体4が容器本体1から分離する。これにより、栓体4を容器本体1から取り外すことができる。
【0046】
一方で、栓体4を容器本体1に取り付ける場合には、上記と逆の操作を行う。具体的には、図9に示す分離位置P5で容器本体1に栓体4を螺合させて、容器本体1に対して栓体4を閉栓方向D2に回動操作し、力を加えて、係合突起27を第2凸部30と第1凸部29を乗り越えさせ(図8に示す逸脱位置P4、図7に示す保持位置P3、図6に示す当接位置P2を経由して)、最終的に、図5に示す締切位置P1まで締め込むようにする。この際、過締防止構造32を設けていることにより、栓体4を容器本体1に締め込み過ぎることがない。
【0047】
以上のように、容器本体1と栓体4との間に、開栓操作時の栓体4の脱落を防止可能なストッパ構造5を備えたので、意図しない栓体4の脱落が生じることを好適に防止できる。
【0048】
さらに、ストッパ構造5で栓体4の脱落防止が図られることから螺子構造3の巻き数を少なく設定してあるので、栓体4を少ない操作で取り外せて容器本体1や栓体4についてお手入れを行い易く、かつ、容器本体1の高さを低く抑えたコンパクトな液体容器を構成できる。
【0049】
以下、本実施形態に変更を施した他の実施形態について説明する。各実施形態は、矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることが可能である。なお、本発明の範囲は、各実施形態に示した内容に限定されるものではない。
【0050】
(1)上記実施形態では、当接位置P2においてシールパッキン18による止水状態が解除されているものを例示したが、これに限られない。例えば、当接位置P2において、シールパッキン18による止水状態が維持されるようにしてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、ストッパ構造5による係止力が作用する保持位置P3が、容器口2及び通液凹部19を通じて容器本体1から液体を最大に吐出する「最大吐出位置」となるように設定されているものを例示したがこれに限られない。保持位置P3が、「最大吐出位置」から外れた箇所に設定されていてもよい。この場合、保持位置P3は、容器本体1から液体を吐出可能な吐出範囲内に設定されていることが好ましい。
【0052】
(3)上記実施形態では、栓体4が締切位置P1から分離位置P5まで回動する角度範囲が約270度に設定されているものを例示しているが、これに限られない。例えば、この角度範囲は、例えば、約180度~約360度以下の値に設定されていていれば好ましい。これにより、栓体4の少ない捻り操作で分解手入れを行うことができる。一方、例えば、この角度範囲が、約360度を超える値に設定されていてもよい。栓体4の保持位置P3や「最大吐出位置」等は、締切位置P1と分離位置P5との間の角度範囲に応じて、適切な位置に設定するとよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、係合ストッパ28が、第2部材7に設けられているものを例示しているが、これに限られない。例えば、第2部材7を廃止して、第1部材6を上方に延長し、その延長部分の内周面に、係合ストッパ28を設けるようにしてもよい。
【0054】
(5)上記実施形態では、ストッパ構造5において、係合突起27が栓体4に設けられ、係合突起27に係脱可能な係合ストッパ28が容器本体1に設けられているものを例示しているが、これに限られない。例えば、係合突起27が容器本体1に設けられ、係合突起27に係脱可能な係合ストッパ28が栓体4に設けられていてもよい。つまり、ストッパ構造5には、容器本体1及び栓体4のいずれか一方に設けられる係合突起27と、容器本体1及び栓体4のいずれか他方に設けられ、容器本体1に対する栓体4の回動力により係合突起27を係脱する係合ストッパ28と、が備えられていればよい。
【0055】
(6)上記実施形態では、過締防止構造32が設けられているものを例示しているが、これに限られず、このような過締防止構造32が設けなくてもよい。
【0056】
(7)上記実施形態では、容器本体1の二重壁構造の内部が真空になっているものを例示したが、これに限られない。例えば、容器本体1の二重壁構造の内部が真空引きされておらず、内壁8と外壁9との間に断熱材を別途挟み込んで断熱性能を高めた構造であってもよい。
【0057】
(8)上記実施形態では、螺子構造3が2条螺子で構成されているものを例示しているが、これに限られない。例えば、螺子構造3が3条以上の複数条螺子で構成されていてもよい。また、例えば、螺子構造3が1条螺子で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 :容器本体
2 :容器口
3 :螺子構造
4 :栓体
5 :ストッパ構造
27 :係合突起
28 :係合ストッパ
P1 :締切位置
P3 :保持位置(最大吐出位置)
P5 :分離位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9