(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】波長可変光源、及び波長制御方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0687 20060101AFI20220524BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20220524BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20220524BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20220524BHJP
H01S 5/14 20060101ALI20220524BHJP
H04B 10/572 20130101ALI20220524BHJP
【FI】
H01S5/0687
G02B6/12 341
G02B6/125 301
H01S5/026 618
H01S5/14
H04B10/572
(21)【出願番号】P 2017033741
(22)【出願日】2017-02-24
【審査請求日】2019-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100192636
【氏名又は名称】加藤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-159191(JP,A)
【文献】特開2015-068854(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01850170(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/194349(WO,A1)
【文献】特開2016-072464(JP,A)
【文献】国際公開第2016/010528(WO,A1)
【文献】特開2015-060961(JP,A)
【文献】特開2015-002210(JP,A)
【文献】国際公開第2014/118836(WO,A1)
【文献】特開2013-089961(JP,A)
【文献】特表2011-513711(JP,A)
【文献】特開2011-003591(JP,A)
【文献】特開2007-121232(JP,A)
【文献】特開2005-274507(JP,A)
【文献】特開2000-323784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0064542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0021308(US,A1)
【文献】特開2018-129338(JP,A)
【文献】特開2018-110158(JP,A)
【文献】特開2017-216384(JP,A)
【文献】Seok-Hwan Jeong, et al.,“Novel Optical 90° Hybrid Consisting of a Paired Interference Based 2×4 MMI Coupler, a Phase Shifter and a 2×2 MMI Coupler”,Journal of Lightwave Technology,2010年02月17日,Vol.28,No.9,p.1323-1331
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
G01J 1/00 - 11/00
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/42 - 6/43
G02F 1/00 - 1/125
H04B 10/00 - 10/90
H04J 14/00 - 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出力される光の一部が入力される波長モニタと、
前記波長モニタの出力に基づいて前記光源から出力される光の波長を制御するコントローラと、
を有し、
前記波長モニタは、波長に対して周期的に変化する透過スペクトルを有し位相が互いに90°ずれた4つの成分を出力する波長フィルタと、前記波長フィルタの4つの出力光を検出する複数の受光素子を有し、
前記コントローラは、前記複数の受光素子により検出された前記4つの出力光のモニタ値の総和に対する、いずれか1つの光出力のモニタ値または2つの光出力の和を表すモニタ値の比を計算し、前記比が指定波長での前記透過スペクトルのスペクトル値に近づくように前記光源の波長を調節し、
前記コントローラは、前記いずれか1つの光出力のモニタ値または前記2つの光出力の和を表すモニタ値のうち、前記指定波長において前記透過スペクトルの変化率が最も大きくなるモニタ値を選択して前記比を計算することを特徴とする波長可変光源。
【請求項2】
前記コントローラは、前記波長モニタから前記4つの出力光の電流値を個別に受け取って前記比を計算することを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項3】
前記コントローラは、前記4つの出力光のうち2つの出力光のモニタ値を第1電流値及び第2電流値として受け取り、他の2つの出力光のモニタ値を合わせたものを第3電流値として受け取って前記比を計算することを特徴とする請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項4】
光源の波長を制御する波長制御方法において、
前記光源から出力される光の一部を、波長に対して周期的に変化する透過スペクトルを有する波長フィルタに入力して、位相が互いに90°ずれた4つの出力光を生成し、
前記4つの出力光を検出してモニタ値を取得し、
コントローラで前記4つの出力光のモニタ値の総和に対する、1つの出力光のモニタ値または2つの出力光の和を表すモニタ値の比を計算し、
前記比が指定波長で前記透過スペクトルのスペクトル値に近づくように前記光源の波長を制御し、
前記コントローラは、前記1つの出力光のモニタ値または前記2つの出力光の和を表すモニタ値のうち、前記指定波長において前記透過スペクトルの変化率が最も大きくなるモニタ値を選択して前記比を計算する、
ことを特徴とする波長制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信で用いられる波長可変光源と光源モジュール、及び波長制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の光通信を実現するため、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)の技術が採用されつつある。WDMでは、異なる波長の光を発振する波長可変光源(TLS:Tunable Light Source)が用いられる。波長可変光源には、波長制御のための波長モニタが設けられている。波長モニタは、一般的に、周期的な透過スペクトルをもつ波長フィルタとフォトダイオード(PD)で実現される。このような波長フィルタとして遅延干渉計が用いられている(たとえば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
図1は、従来の波長可変光源の構成を示す。半導体光増幅器(SOA1)から出力された光を共振器フィルタに通すことで、特定波長の光が選択的に増幅される。増幅された光の一部をタップ1で取り出し、タップ2で2つに分岐する。分岐された光の一方は波長フィルタに入力され、他方は半導体光増幅器(SOA2)で増幅されて出力光となる。出力光の一部は、パワーモニタ用のフォトダイオードPDmで受光される。波長フィルタは3dBカプラと、長さの異なる2本の導波路と、90°ハイブリッド(光ミキサ)を有し、90°ハイブリッドから出力される位相が90°ずれた2つの光をPD1、PD2で受光する。
【0004】
波長モニタのPD1とPD2で検出された電流をそれぞれI1、I2とし、パワーモニタ用のフォトダイオードPDmで検出された電流をImonとすると、電流比I1/ImonとI2/Imonのスペクトル(波長フィルタの透過スペクトル)は
図2のようになる。各波長グリッドに波長を精度良く合わせるためには、フィルタのスロープが大きいほうが微分利得が大きく感度がよい。グリッドごとに、電流比I1/ImonとI2/Imonのうちスロープの大きいほうを選択して、電流比が狙いの値になるように、共振器フィルタのヒータ電流を調整して、波長を制御する。
【0005】
図1の構成では、パワーモニタ用のPDmの受光強度が半導体光増幅器SOA2の状態に依存することにより、波長モニタで十分な精度を得ることができない。そこで、
図3のように、波長モニタへの入力光の一部をタップ3で取り出し、追加の波長モニタ用のフォトダイオードPDmWで受光し、受光した光を参照光とする構成がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2015/0085292号明細書
【文献】国際公開第2016/010528号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図3の構成ではタップ3が新たに必要となり、PD1とPD2での受光量が減る。波長モニタ用の受光量を確保するためにタップ2の分岐比率を調整すると、SOA2側での出力光の強度が小さくなってしまう。また、タップ3の分岐比は波長に依存するため、パワーモニタ用のフォトダイオードPDmWで必要な受光量を得るために、タップ3からPDmW側への分岐割合が最小となる波長を基準にしてタップ比を設計する。タップ3からPDmWへの分岐割合が最大となる波長では、そのぶんPD1とPD2での受光量が減るので、タップ2から波長フィルタへの分岐比を上げなければならない。その結果、損失が増大して出力光のパワーが減少する。また、タップ3の分岐比が波長に依存すると、制御波長ずれの問題も生じ波長フィルタが安定しない。
【0008】
本発明は、低損失かつ安定した動作の波長モニタを有する波長可変光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様では、波長可変光源は、
光源と、
前記光源から出力される光の一部が入力される波長モニタと、
前記波長モニタの出力に基づいて前記光源から出力される光の波長を制御するコントローラと、を有し、
前記波長モニタは、周期的に変化する透過スペクトルを有し位相が互いに90°ずれた4つの成分を出力する波長フィルタと、前記波長フィルタの4つの出力光を検出する複数の受光素子を有し、
前記コントローラは、前記4つの出力光の中のひとつを選択して、選択された出力光のモニタ値の前記4つの出力光のモニタ値の総和に対する比を計算し、前記比が指定波長での目標値に近づくように前記光源の波長を調節する。
【発明の効果】
【0010】
低損失で安定した動作の波長モニタを有する波長可変光源が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】温度依存性を低減した従来の波長モニタの概略図である。
【
図2】PD電流の出力パワーモニタ用のPDm電流に対する比率のスペクトルを示す図である。
【
図3】従来の波長モニタの別の構成を示す図である。
【
図5】4つのPD出力電流から計算される波長フィルタの透過スペクトルを示す図である。
【
図7】SOI基板にGePDを作り込んだ断面図である。
【
図8】回路基板上へのパッケージ、中継基板、及びLSIの配置例を示す図である。
【
図12】光源モジュールを用いた波長可変光源の構成例を示す図である。
【
図13】光源モジュールを用いた波長可変光源の別の構成例を示す図である。
【
図14】TLSコントローラの機能ブロック図である。
【
図15】TLSコントローラで実行される波長制御のフローチャートである。
【
図16】波長可変光源を用いた光トランシーバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図4は、実施形態の波長可変光源101の概略構成図である。波長可変光源101は、光源モジュール10と、光源モジュール10を制御するTLS(Tunable Light Source:波長可変光源)コントローラ500を有する。光源モジュール10は、光源20と、波長モニタ15を有し、これらがひとつのパッケージ90内に配置されている。光源20の出力光の波長は、波長モニタ15の出力に基づいて、TLSコントローラ500によって制御される。
【0013】
光源20と波長モニタ15の少なくとも一部は、ひとつの基板13の上に設けられている。基板13は、この例ではSOI(Silicon on Insulator)基板である。波長モニタ15は、基板13に形成された波長フィルタ150と、波長フィルタ150の出力に接続される4つの受光素子31(PD1)、32(PD2)、33(PD3)、及び34(PD4)を有する。
【0014】
光源20は、半導体光増幅器11(SOA1)と、共振器フィルタ14と、これらの間に延びる光導波路131を含む。半導体光増幅器11は、基板13に形成されたテラスまたは窪みに配置されていてもよいし、パッケージ90内で基板13の端面に隣接して配置されていてもよい。
【0015】
半導体光増幅器11の、光導波路131との結合面と反対側の端面に高反射膜111が形成されている。共振器フィルタ14の、光導波路131と反対側の端部にミラーまたは反射器141が形成されている。共振器フィルタ14は外部共振器として機能し、高反射膜111と反射器141の間を往復して増幅された特定波長の光が、タップ1で光導波路132に結合する。共振器フィルタ14は、たとえば1つまたは複数のリング型導波路を配置したリングフィルタであり、リングの周長、屈折率等で共振周波数が決まる。
【0016】
光導波路132を伝搬する光の一部は、タップ2で光導波路133に分岐され、半導体光増幅器12(SOA2)で増幅される。増幅された光の一部は、ビームスプリッタ17で分岐されてパワーモニタ21(PDm)で検出され、TLSコントローラ500によるSOA2のフィードバック制御に用いられる。
図4では図示の簡略化のため、パワーモニタ21とTLSコントローラ500の間の結線は省略されている。ビームスプリッタ17を透過した光は光源モジュール10の出力光となる。
【0017】
タップ2で光導波路132をそのまま伝搬する光は、波長フィルタ150への入力光となる。波長フィルタ150は、入力光を2つに分岐する分岐部151と、分岐部151から延びる長さの異なる光導波路152及び153と、光導波路152及び153を伝搬した光を干渉させて位相が互いに90°異なる光を出力する光ミキサ154を有する。分岐部151は、たとえば3dBカプラであり、等分された光が入力光から3dB減衰して出力される。光ミキサ154は、4つの出力導波路156a、156b、156c、156dを有する90°ハイブリッド光ミキサであり、出力導波路156a~156dが、それぞれ対応する受光素子31(PD1)、32(PD2)、33(PD3)、及び34(PD4)に光学的に接続されている。出力導波路156a~156dからの出力光はレンズ、ミラー等の光学素子により対応する受光素子31~34に入射されてもよい。あるいは、出力導波路156a~156dの端部にスポットサイズコンバータを形成して光ファイバにより対応する受光素子31~34に導かれてもよい。
【0018】
この構成では、波長フィルタ150の前段に、光モニタ用のタップまたは分岐部を設けなくてもよいので、波長フィルタ150に入力される光の損失を抑制することができる。また、共振器フィルタ14、光導波路131、132、133、波長フィルタ150が基板13上にモノリシックに形成されており、タップ数を増やさずに、コンパクトな構成となっている。
【0019】
光ミキサ154からの4つの出力光は、それぞれ受光素子31(PD1)、32(PD2)、33(PD3)、34(PD4)で受光される。受光素子31、32、33、34で検出された電流値は、TLSコントローラ500に入力され、波長制御に用いられる。
【0020】
TLSコントローラ500は、プロセッサ510とメモリ520を有し、PD1~PD4で検出された電流値を用いて、光源20の波長制御のための電流を調整する。具体的には、受光素子31で検出された電流値をI1、受光素子32で検出された電流値をI2、受光素子33で検出された電流値をI3、受光素子34で検出された電流値をI4とし、4つの電流値I1~I4の和を分母として、各PD出力を規格化する。4つの電流値のうちの1つまたは複数を選択して、(I1+I2+I3+I4)に対する電流比を計算し、電流比の計算値がターゲットの値になるように、共振器フィルタ14に印加される波長制御用の電流レベルを制御する。
【0021】
図5は、受光素子31、32、33、34から出力される電流値を用いた波長フィルタ150の透過スペクトルを示す。横軸は波長[nm]、縦軸は規格化された光電流レベルである。スペクトルAは、電流比I1/(I1+I2+I3+I4)のスペクトル、スペクトルBは、電流比I2/(I1+I2+I3+I4)のスペクトルである。スペクトルCは、受光素子33(PD3)と受光素子34(PD4)からの出力電流の合計を分子とする電流比(I3+I4)/(I1+I2+I3+I4)のスペクトルである。
【0022】
図5のグリッドは、50GHzの固定グリッドであるが、どの波長においても、必ず1つ以上のスペクトルで傾き、すなわちモニタ電流の変化率が十分に大きくなる。1つの電流値を選択して(I1+I2+I3+I4)で規格化する場合は、目的とする波長帯でゼロまたはピークにならないスペクトルの電流比を用いる。たとえば、1550~1552nmの帯域で波長多重通信を行うシステムでは、あらかじめ電流I2を選択してスペクトルBを用いてもよい。2以上の電流値を選択して、それぞれを電流値の総和(I1+I2+I3+I4)で規格化する場合は、目的とする波長で最も傾き(スロープ)が大きいスペクトルの電流比を用いて、光源20の波長を制御する。たとえば、PD1の出力とPD2の出力を選択して、I1/(I1+I2+I3+I4)とI2/(I1+I2+I3+I4)を計算する。目的とする波長が1550.919nmである場合、傾きの大きいスペクトルBの電流比を用いて制御を行う。スペクトルAは、目的の波長1550.919nmでピークにあり、波長が変化したときの電流比の変化が小さく、波長制御の精度が不十分になるからである。
【0023】
4つの受光素子31,32,33,34の出力電流の和を分母とすることで、互いに90°位相の異なる光の受光量の和で規格化され、どの出力電流を選択する場合でも、すべての波長で安定して正弦波スペクトルをとることができる。
【0024】
TLSコントローラ500は、モニタされた電流比がターゲットの比率となるように、共振器フィルタ14の共振周波数を調整する。たとえば、波長1550.919nmでスペクトルBを用いる場合、電流比[I2/(I1+I2+I3+I4)]が0.25となるように、共振器フィルタ14の屈折率を制御するための印加電流を調整する。
【0025】
受光素子31、32、33、34で検出された電流に基づく電流比は、TLSコントローラ500のプロセッサ510で算出される。TLSコントローラ500は、あらかじめ(出荷前に)測定された波長フィルタ150の透過スペクトル情報をメモリ520に保持している。運用時に波長が指定されると、メモリ520を参照して、指定波長で最も傾きが大きくなる電流比の種類を特定する。運用中は、プロセッサ510で受光素子31、32、33、34の出力値から電流比を計算し、計算値が指定された波長での目標比率に近づくように共振器フィルタ14の共振波長を制御する。
【0026】
図2の従来の構成では、波長フィルタを通過しない(すなわち周期的に変化しない)モニタ電流Imonに対する電流比を用いていたが、実施形態では、波長フィルタ150を通過した周期的に変化するモニタ電流の総和を分母として規格化する。波長制御にどの出力電流が選択される場合でも、すべての波長で安定して正弦波スペクトルをとることができる。
【0027】
この構成では、波長フィルタ150への入力(すなわちタップ2の出力)が変動した場合でも、受光素子31(PD1)、32(PD2)、33(PD3)、34(PD4)の受光電流から計算される比率は変動しないので、安定した波長モニタリングが実現できる。また、タップ2で分岐された光をすべて用いてモニタできるので、波長モニタ15側での光損失を抑制できる。
【0028】
なお、以下で説明するように、パッケージ90内に個別の受光素子31~34を配置するかわりに、基板13に受光素子を作りこんでもよい。その場合は、部品点数と実装コストを低減することができる。
【0029】
<変形例1>
図6は、
図4の光源モジュール10の変形例1として、光源モジュール10Aを示す。光源モジュール10Aの波長モニタ15Aは、基板13Aに作り込まれたゲルマニウム・フォトダイオード(GePD1~GePD4)を受光素子231~234として有する。
【0030】
基板13Aは、たとえばSOI基板であり、光ミキサ154からの出力導波路156a~156dが、対応するGePD1~GePD4に接続されている。ゲルマニウム・フォトダイオードは800nm~1700nmの波長に対応可能であり、たとえば1500nm帯の光通信に好適に使用することができる。また、Geフォトダイオードを基板13に作り込むことで、受光素子を微細化し、かつ結合損失を小さくすることができる。
基板13Aに作り込まれたGePD1~GePD4から光電流を取り出してTLSコントローラ500へ供給するのに、中継基板40を用いる。GePD1~GePD4の出力はワイヤボンディング75a~75dにより、中継基板40の表面に形成されている接続パッドに電気的に接続されている。GePD1~GePD4の出力電流I1~I4は、中継基板40の接続端子からTLSコントローラ500に入力される。
【0031】
図7は、基板13AにGePDを作り込んだ構成例を示す断面図である。SOI基板はシリコン基板81上の埋め込み酸化膜82の上にシリコン層を成長させた基板である。埋め込み酸化膜82上のシリコン層をシリコンフォトニクス技術で所望の形状に加工して、光導波路を形成することができる。
【0032】
波長フィルタ150の光ミキサ154から延びる出力導波路156は、不純物を含まない真性半導体であり、クラッド層83に覆われた出力導波路156がGePD230に接続されている。GePD230は、この例ではPINダイオードであり、p型不純物が添加されたシリコン(p-Si)層236と、真正ゲルマニウム(i-Ge)層237と、n型不純物が添加されたゲルマニウム(n-Ge)層238がこの順に積層されている。n-Ge層238上にトップ電極239が配置され、p-Si層236にボトム電極235が接続されている。GePD230には逆バイアスがかけられており、出力導波路156からp-Si層236に入射した光がi-Ge層237で吸収されると、電子がn―Ge層238に向かって走行し、光電流がGePD230から出力される。
【0033】
図8は、回路基板70に搭載された光源モジュール10Aの概略図である。光導波路130が形成された基板13Aは、パッケージ90内でキャリア91上に支持されている。キャリア91には、出力光モニタのためのビームスプリッタ17と受光素子(PD)21も搭載されている。光導波路130は、
図6に示す光導波路131~133と波長フィルタ150を含み、波長フィルタ150の出力導波路156(
図7参照)にGePD230が接続されている。
【0034】
GePD230から出力される光電流は、たとえばボトム電極235に接続されたワイヤボンディング75と中継基板40によって、TLSコントローラ500に供給される。中継基板40には貫通ビアが形成されており、GePD230から出力された光電流は、貫通ビアを介して、中継基板40の裏面のリード端子41から取り出される。
【0035】
回路基板70には、パッケージ90とLSI60がはんだバンプ42により搭載されている。TSLコントローラ500は、LSI60の一部に含まれる論理回路として構成されていてもよいし、LSI60と別チップとして回路基板70に実装されていてもよい。パッケージ90のリード端子41から取り出された光電流は、回路基板70に形成されている配線により、TSLコントローラ500に入力され、光源モジュール10Aの出力波長の制御に用いられる。この構成により、光源モジュール10Aの波長モニタ15の構成をコンパクトにして、かつ損失を低減することができる。
【0036】
図8の例では、基板13Aと中継基板40がワイヤボンディング75で接続されているが、この構成に限定されない。基板13Aはマイクロバンプにより中継基板40の上に搭載されていてもよい。この場合は、GePD1~GePD4の出力電流は、基板13Aに形成された貫通ビアとマイクロバンプを介して、中継基板40に入力され、中継基板40の貫通ビアとリード端子41により、パッケージ90から出力される。
【0037】
<変形例2>
図9は、変形例2として、光源モジュール10Bを示す。光源モジュール10Bは、
図6の光源モジュール10Aと同様に、受光素子231~234として、ゲルマニウム・フォトダイオード(GePD1~GePD4)が基板13Aに作り込まれている。
【0038】
図6との相違点は、光源モジュール10BからTLSコントローラ500に3つの電流値が供給される。たとえば、GePD1からの出力電流I1、GePD2からの出力電流I2、及びGePD3とGePD4の出力電流を合わせたもの(I3+I4)、が供給される。
【0039】
基板13Aに形成された光導波路の回路構成自体は
図6と同じであり、GePD1~GPD4の各々がワイヤボンディング75a~75で中継基板40に接続されている。GePD3の出力電流I3と、GePD4の出力電流I4は、中継基板40で合流されて、TLSコントローラ500に供給される。合流される電流はI3とI4に限定されず、光ミキサ143の4つの出力光を検出した電流のうちの任意の2つを合流し、他の2つを単独出力としてもよい。
【0040】
図9の構成は、
図6の構成と比較して、パッケージ90のリード端子41(
図8参照)の数を減らすことができる。リード端子41の数を減らせるということは、パッケージ90と回路基板70の間だけでなく、回路基板70とLSI60の間の接続の数も減らせることを意味する。したがって、実装や基板設計の負担を軽減できるという効果を奏する。
【0041】
パッケージ90のリード端子41の数を減らしても、TLSコントローラ500の動作には影響しない。TLSコントローラ500は、GePD1~GePD4からの出力電流の総和として、I1、I2,及び(I3+I4)の値を用いて、1または2以上の電流値を規格化する。選択された電流値の電流総和(I1+I2+I3+I4)に対する比を計算し、ターゲットの電流比と比較して波長制御を行う。したがって、SOA2側での出力光パワーの減衰と波長モニタ15側での光損失の双方を防止し、低損失かつ安定した波長制御が行われる。
【0042】
<変形例3>
図10は、変形例3として、光源モジュール10Cを示す。光源モジュール10Cは、変形例1及び変形例2と同様に、基板13Bに作り込まれたゲルマニウム・フォトダイオード(GePD1~GePD4)を受光素子231~234として有する。
【0043】
変形例2と同様に、TLSコントローラ500に供給される出力電流は、GePD1からの出力電流I1、GePD2からの出力電流I2、及びGePD3とGePD4の出力電流を合わせたもの(I3+I4)である。
【0044】
変形例2と異なるのは、2つの電流の合流が基板13Bで行われ、基板13Bと中継基板40を接続するワイヤボンディングの数が低減されている点である。GePD1の出力電流は、ワイヤボンディング75aによって中継基板40に接続される。GePD2の出力電流は、ワイヤボンディング75bによって中継基板40に接続される。GePD3の出力電流と、GePD4の出力電流は、基板13Bにて合流され、合算された交流電流値としてワイヤボンディング75cにより中継基板40に接続されている。
【0045】
図10の構成は、基板13B上にシリコンフォトニクス技術で光導波路や波長フィルタ150を形成するのと同じ工程で、容易に電流合流パスを形成することができる。基板13Bと中継基板40との間のワイヤボンディング75の数を減らすことができ、パッケージ90のリード端子41(
図8参照)の数を低減することができる。ワイヤボンディングを用いないで、中継基板40の上に基板13Aを積層する場合にも、基板13Aと中継基板40との間の接続の数を減らすことができる。したがって、実装と基板設計の負担を軽減することができる。
【0046】
<変形例4>
図11は、変形例4として、光源モジュール10Dを示す。光源モジュール10Dは、波長モニタ15Cにおいて、基板13Cに作りこまれた3つのゲルマニウム・フォトダイオード(GePD1~GePD3)を受光素子231、232、335として用いる。
【0047】
波長フィルタ150の光ミキサ154の4つの出力導波路のうち、出力導波路156aはGePD1に接続されている。出力導波路156bはGePD2に接続されている。出力導波路156cと156dは、GePD3に接続されている。出力導波路156cを伝搬する光と出力導波路156dを伝搬する光は、位相が90°異なるので、互いに干渉することなくGePD3に入力される。GePD3からの出力電流は、出力導波路156cを伝搬した光による光電流I3と、出力導波路156dを伝搬した光による光電流I4を合わせたものとなる。なお、2つの出力光を受光する受光素子は出力導波路156cと156dに接続される受光素子234(GePD3)に限定されない。出力導波路156aと156bをひとつの受光素子に接続し、他の2つの出力導波路をそれぞれ個別の受光素子で受光してもよい。あるいは、出力導波路156bと156cをひとつの受光素子に接続し、他の2つの出力導波路をそれぞれ個別の受光素子で受光してもよい。
【0048】
図11の構成は、シリコンフォトニクス技術により取り出される光電流の数を低減し、かつ、光ミキサ154の4つの出力光の電流値の総和を得ることができる。基板13Cと中継基板40の間の接続数、及びパッケージ90と回路基板70との間の接続数を低減することができ、実装と基板設計の負担が軽減する。基板13Cに形成される受光素子の数を減らした場合でも、TLSコントローラ500は、波長フィルタ150の4つの出力光の電流値の総和を用いて規格化することができるので、タップ2から波長モニタ15Cに入力される光のパワーが変動した場合でも、低損失で安定した波長制御を行うことができる。
【0049】
<制御構成>
図12は、波長可変光源101Aの制御ブロック図である。波長可変光源101Aは、光源モジュール10(または光源モジュール10A~10Dのいずれか)と、TLSコントローラ500Aを有する。TLSコントローラ500Aは、光源モジュール10の波長を制御する波長制御部514と、光源モジュール10の出力光のパワー(または強度)を制御する出力パワー制御部516を有する。
【0050】
光源モジュール10(または光源モジュール10A~10D)は、波長フィルタ150から出力される互いに90°位相の異なる光の受光量を表わす電流I1、I2、I3、I4を波長制御部514に供給する。
図12では、変形例2~4で説明した光源モジュール10B~10Cの構成に基づいて、3つのモニタ出力として電流I1、I2、I3、I4が波長制御部514に供給されている。1つめのモニタ出力として電流I1、2つめのモニタ出力として電流I2、3つ目のモニタ出力として電流I3とI4を合わせたものが波長制御部514に供給されているが、この例に限定されないことは上述したとおりである。電流の合算はI3とI4に限定されず、波長フィルタ150の4つの出力光のうちの任意の2つの出力光に対応する電流値を合算して、波長制御部514に供給してもよい。あるいは、電流I1、I2、I3、I4を4つのモニタ出力としてTLSコントローラ500Aの波長制御部514に供給してもよい。
【0051】
波長制御部514は、電流I1~I4の中から1または2以上の電流値を選択し、選択された電流値の各々、または合算値について、電流I1~I4の総和で規格化した電流比を計算する。2以上の電流値を選択する場合は、指定波長で電流比のスペクトルの傾きが最も大きくなる電流比を用いる。波長制御部514は、計算された電流比がその指定波長でのターゲットの電流比に近づくように、光源モジュール10の波長を制御する。具体的には光源モジュール10の共振波長を制御するための共振器電流を制御する。
【0052】
光源モジュール10は、パワーモニタ21(
図4を参照)で出力光のパワーをモニタしており、パワーモニタ21で検出された電流を、TLSコントローラ500Aの出力パワー制御部516に供給する。TLSコントローラ500Aの出力パワー制御部516は、パワーモニタ21のモニタ結果に基づいて、SOA1に注入される電流と、SOA2に注入される電流を制御する。
【0053】
この構成により、波長可変光源101Aにおいて、光源モジュール10の出力光の波長と、出力パワーが制御される。
【0054】
図13は、波長可変光源101Bの制御ブロック図である。波長可変光源101Bは、光源モジュール10(または光源モジュール10A~10Dのいずれか)と、TLSコントローラ500Bを有する。
【0055】
図12と同様に、光源モジュール10の波長フィルタ150から出力される互いに位相が90°位相の異なる光の受光量を表わす電流I1、I2、I3、I4が、TLSコントローラ500Bの波長制御部514に供給される。
【0056】
出力パワー制御部516は、光源20のSOA1を制御するSOA1制御部516-1と、出力光増幅のためのSOA2を制御するSOA2制御部516-1を有する。
図12と異なる点は、波長制御のための電流比の分子として選択される電流値(
図13ではI1)がSOA1制御部516-1にも入力され、光源20の出力パワーまたは利得の制御に用いられる点である。SOA制御部516-1は、波長モニタ15から受け取った電流I1に基づいてSOA1に注入される電流レベルを制御する。
【0057】
パワーモニタ21(
図4を参照)の出力電流はSOA2制御部516-2に供給され、SOA2の利得の制御、たとえばSOA2に注入される電流レベルの制御に用いられる。この構成により、波長可変光源101Aにおいて、光源モジュール10の出力光の波長と出力パワーが制御される。波長制御のためのモニタ電流の一部を用いて、光源モジュール10の出力光と独立して、光源20の出射光パワーを制御することができるので、光源モジュール10の光パワー制御をより正確に行うことができる。
【0058】
図14は、TLSコントローラ500の機能ブロック図である。TLSコントローラ500のプロセッサ510は、モニタ情報取得部511と、比計算部512と、比較部513と、波長制御部514と、指定波長入力部515と、出力パワー制御部516とを有する。TSLコントローラ500のメモリ520はスペクトル情報記憶部521を有する。
【0059】
スペクトル情報記憶部421に記憶されるスペクトル情報は、出荷前にあらかじめ測定された波長フィルタ150の透過スペクトルを示す情報であり、たとえば
図5のような電流比スペクトルである。あるいは、
図5のスペクトルから、波長グリッドごとに、最も変化率(傾き)が大きくなる電流比スペクトルの種類と、その波長での目標比率を対応づけたテーブル情報であってもよい。
【0060】
光源モジュール10に設定される波長が指定波長入力部515に入力されると、波長制御が行われる。モニタ情報取得部511は、モニタ用の受光素子31、32、33、34(または231、232、233、234)から出力される電流値を取得する。4つの電流値が個別に取得されてもよいし、4つのうちの2つの電流値が1つにまとめられてトータルで3つの電流値が取得されてもよい。比計算部512は、スペクトル情報記憶部521を参照して、指定された波長で計算すべき電流比を特定し、モニタ情報取得部511で取得された電流値から、指定波長での電流比を計算する。たとえば、指定波長が1548.112nmのときは、電流スペクトルAに従って電流値I1を選択し、4つの電流値の総和に対する比率として、I1/(I1+I2+I3+I4)を計算する。
【0061】
比較部513は、電流比の計算値と目標値を比較し、比較結果を波長制御部514に出力する。1548.112nmであれば、比較部513は、計算値と目標比0.2との差分を波長制御部514に出力する。波長制御部514は、比較結果に応じて光源20の波長を制御する。たとえば、計算された電流比が0.2よりも小さい場合は、共振器フィルタ14の共振波長を長波長側にシフトさせるために、共振器フィルタ14のヒータに印加される電流を大きくする。
【0062】
図15は、TLSコントローラ500で実行される波長制御のフローチャートである。指定波長が入力されると(S11)、指定された波長を実現するための電流を共振器フィルタ14に入力する(S12)。スペクトル情報記憶部521に記憶されたスペクトル情報を参照して、指定された波長において最も傾きが大きい電流比のスペクトル(たとえばI2/I1+I2+I3+I4)を選択する(S13)。
【0063】
波長モニタ15から4つの受光素子(PD1~PD4)で検出された電流値を取得し、選択された電流比を計算する(S14)。電流比の計算値が、目標とする比の値(Rtarget)と同じか否かを判断する(S15)。計算値が許容誤差の範囲内で目標値Rtargetと一致すれば(S15でYES)、その波長にロックされる(S17)。この場合、ステップS12で共振器フィルタ14のヒータに印加されている電流値が維持される。電流比の計算値が目標値Rtargetと異なる場合は(S15でNO)、共振器フィルタ14に入力する電流を調整して(S16)、目標の波長が得られるまでステップS14~S16を繰り返す。電流調整の方向は、比率の計算値と目標値との差分の符号(プラスまたはマイナス)によって決めることができる。電流調整のステップサイズは適切に設定することができる。この制御方法により、低損失かつ安定した波長モニタに基づく高精度の波長制御が実現する。
【0064】
図15は、光源モジュール10を用いた光トランシーバ1の概略図である。光トランシーバ1は、光送信器2と、光受信器6と、TLSコントローラ500と、DSP50を有する。TLSコントローラ500は、光送信器2の内部に配置されてもよい。
【0065】
光送信器2は、光源モジュール10と、変調器3と、変調器ドライバ4を有する。光源モジュール10とTLSコントローラ500は、波長可変光源101を形成する。光源モジュール10の波長は、TLSコントローラ500の制御により用いられる波長に制御されている。光源モジュール10から出力される所定波長の光は、変調器3に入力される。変調器3に、データ信号に基づいて変調器ドライバ4で生成された駆動信号が入力され、光源モジュール10から出力された光が変調される。変調を受けた所定波長の光は光信号として出力される。
【0066】
DSP50は、光送信器2の変調器ドライバ4に入力されるデータ信号を生成する。また、光受信器6から出力される電流信号をデジタル信号に変換して、データ信号を復調する。
【0067】
実施形態の構成により、波長可変光源において、低損失で安定した波長モニタが実現する。上述した実施形態は一例であり、種々の変形が可能である。光源20は外部共振器型に限定されず、回折格子で波長を選択する内部共振器レーザであってもよい。波長フィルタ150の遅延導波路(光導波路153)は、U字形に限定されずW字形に湾曲していてもよい。90°ハイブリッドとしては、適切な多モード干渉導波路(MMI)または複数の多モード干渉導波路の組み合わせで実現することができる。
図4の例では、共振器フィルタ14、光導波路131、132、133、波長フィルタ150がSOI基板上にモノリシックに形成されているが、InP等の化合物半導体基板上にモノリシックに形成されてもよい。この場合は、作り込みの受光素子として、InPのフォトダイオードを形成してもよい。また、選択された出力光の4つの出力導波路の出力光の総和に対する比は電流比に限定されず、電圧比であってもよいし、パワー比であってもよい。
【0068】
以上の説明に対し、以下の付記を呈示する。
(付記1)
光源と、
前記光源から出力される光の一部が入力される波長モニタと、
前記波長モニタの出力に基づいて前記光源から出力される光の波長を制御するコントローラと、
を有し、
前記波長モニタは、周期的に変化する透過スペクトルを有し位相が互いに90°ずれた4つの成分を出力する波長フィルタと、前記波長フィルタの4つの出力光を検出する複数の受光素子を有し、 前記コントローラは、前記4つの出力光の中のひとつを選択して、選択された出力光のモニタ値の前記4つの出力光のモニタ値の総和に対する比を計算し、前記比が指定波長での目標値に近づくように前記光源の波長を調節することを特徴とする波長可変光源。
(付記2)
前記コントローラは、前記4つの出力光のうち、前記指定波長において出力の変化率が最も大きくなる出力光を選択して前記比を計算することを特徴とする付記1に記載の波長可変光源。
(付記3)
前記4つの出力光のうちの1以上の出力光の各々について、あらかじめ前記総和に対する前記比の変化をスペクトル情報として記憶するメモリ、
をさらに有し、
前記コントローラは、前記メモリを参照して、前記指定波長において変化率が最も大きくなるスペクトルの出力光を選択することを特徴とする付記2に記載の波長可変光源。
(付記4)
前記コントローラは、前記波長モニタから前記4つの出力光の電流値を個別に受け取って前記比を計算することを特徴とする付記1~3のいずれかに記載の波長可変光源。
(付記5)
前記コントローラは、前記4つの出力光のうち2つの出力光のモニタ値を第1電流値、及び第2電流値として受け取り、他の2つの出力光のモニタ値を合わせたものを第3電流値として受け取って前記比を計算することを特徴とする付記1~3のいずれかに記載の波長可変光源。
(付記6)
前記コントローラは、選択された前記出力光のモニタ値を用いて、前記光源の利得を調整することを特徴とする付記1~5のいずれかに記載の波長可変光源。
(付記7)
光源と、
前記光源から出力される光の一部をモニタしてモニタ値を出力する波長モニタと、
を有し、
前記波長モニタは、周期的に変化する透過スペクトルを有し位相が互いに90°ずれた4つの成分を出力する波長フィルタと、前記波長フィルタの4つの出力光を検出して出力する複数の受光素子とを有することを特徴とする光源モジュール。
(付記8)
前記波長フィルタは、4つの出力導波路を有し、
前記波長モニタは、前記4つの出力導波路の各々に接続される4つの受光素子を有し、
前記4つの受光素子で検出された電流値が前記波長モニタのモニタ出力となることを特徴とする付記7に記載の光源モジュール。
(付記9)
前記波長フィルタは、4つの出力導波路を有し、
前記波長モニタは、前記4つの出力導波路の各々に接続される4つの受光素子を有し、
前記4つの受光素子のうち2つの受光素子で個別に検出された電流値が前記波長モニタの第1モニタ出力と第2モニタ出力となり、他の2つの受光素子で検出された電流値を合わせた値が第3モニタ出力となることを特徴とする付記7に記載の光源モジュール。
(付記10)
前記波長フィルタは、4つの出力導波路を有し、
前記波長モニタは、前記4つの出力導波路のうち2つの出力導波路に接続される2つの受光素子と、他の2つの出力導波路に共通に接続される1つの受光素子、を有することを特徴とする付記7に記載の光源モジュール。
(付記11)
前記波長フィルタと前記受光素子は第1基板上にモノリシックに形成されており、
前記受光素子の出力は、少なくとも3つのモニタ出力として第2基板を介して外部に出力されることを特徴とする付記7~10のいずれかに記載の光源モジュール。
(付記12)
前記光源の波長は、前記4つの出力導波路のうちの1つの出力導波路のモニタ値の、前記4つの出力導波路のモニタ値の総和に対する比が、指定波長における目標値になるように制御されることを特徴とする付記7~11のいずれかに記載の光源モジュール。
(付記13)
光源の波長を制御する波長制御方法において、
前記光源から出力される光の一部を、周期的に変化する透過スペクトルを有する波長フィルタに入力して、位相が互いに90°ずれた4つの出力光を生成し、
前記4つの出力光を検出してモニタ値を取得し、
コントローラで前記4つの出力光の中のひとつを選択して、選択された出力光のモニタ値の、前記4つの出力光のモニタ値の総和に対する比を計算し、
前記比が指定波長での目標値に近づくように前記光源の波長を制御する、
ことを特徴とする波長制御方法。
(付記14)
前記コントローラにて、前記4つの出力光のうち前記指定波長において出力の変化率が最も大きくなる出力光を選択して前記比を計算することを特徴とする付記13に記載の波長制御方法。
(付記15)
前記コントローラに前記4つの出力光の検出値を表わす3以上のモニタ値が入力され、前記3以上のモニタ値に基づいて前記比が計算されることを特徴とする付記14に記載の波長制御方法。
【符号の説明】
【0069】
1 光トランシーバ
10,10A~10D 光源モジュール
11 半導体光増幅器(SOA1)
12 半導体光増幅器(SOA2)
13、13A~13C 基板
14 共振器フィルタ
15、15A~15C 波長モニタ
20 光源
32~34、232~234 受光素子
90 パッケージ
101、101A、101B 波長可変光源
131、132、133、152、153 光導波路
150 波長フィルタ
156、156a~156d 出力導波路
500 TLSコントローラ
510 プロセッサ
512 比計算部
513 比較部
514 波長制御部
515 指定波長入力部
516 出力パワー制御部
516-1 SOA1制御部
516-2 SOA2制御部
520 メモリ
521 スペクトル情報記憶部