(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】画像検査装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
G01N21/892 A
(21)【出願番号】P 2018006563
(22)【出願日】2018-01-18
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】三村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】大木 亮
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-249565(JP,A)
【文献】特開2013-123812(JP,A)
【文献】特開2004-094438(JP,A)
【文献】特開2013-124868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0070040(US,A1)
【文献】特表2013-517494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G06T 3/00-3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の被検査面を撮像した撮像画像と、マスター画像との比較に基づいて被検査面の画像の欠陥を判定する画像検査装置において、
前記撮像画像とマスター画像を取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記撮像画像と前記マスター画像から、所定面積の領域における画像の領域情報を取得し、
領域毎に、前記領域情報に対する画像の位置合わせの処理手法を複数の処理手法の中から決定し、
比較前の処理として、少なくとも、決定された前記位置合わせの手法によって前記領域情報に対する位置合わせの処理
と、
前記領域情報における前記撮像画像および前記マスター画像の一方または両方の画像の画像上の情報に基づいて
前記領域情報に対する前記位置合わせ以外の画像処理の手法を複数の手法の中から決定して
画像処理を実行し、
比較前の処理が行われた撮像画像およびマスター画像の比較を行い、比較結果に基づいて前記撮像画像に欠陥があるかの欠陥判定を行う画像検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記領域情報に対し、前
記画像処理の手法の実行の有無と画像処理の手法を複数の手法の中から決定し、前記画像処理の手法の実行を行う場合、比較前の処理として、前記位置合わせの処理と前記画像処理とを実行する請求項1記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像処理の手法として、少なくとも解像度変換の手法を選択する請求項2記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記比較前の処理として、前記位置合わせと前記解像度変換の処理の順番を決定する請求項3記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記領域情報において、前記撮像画像および前記マスター画像の一方または両方の画像から、
前記画像上の情報を抽出し、
前記画像上の情報に基づいて、比較前の処理における手法を選択する請求項1~4のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、前記領域におけるエッジ情報を抽出する請求項5記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記制御部では、前記エッジ情報に、少なくともエッジの強度情報を含む請求項6記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、前記領域の特定画素の出現回数分布であるヒストグラム情報を抽出する請求項5~7のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記ヒストグラム情報には、少なくとも特定の画素値の画素数が含まれている請求項8記載の画像検査装置
【請求項10】
前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、前記領域における所定の周波数以上の高周波成分領域の情報を抽出する請求項5~9のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記高周波成分領域の情報には、少なくとも特定の周波数以上の領域の面積が含まれている請求項10記載の画像検査装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、領域情報の画像特徴量情報を抽出する請求項5~11のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記特徴量情報として、少なくとも領域内の特徴量の平均値、合計値、分散、標準偏差のいずれか1つを用いる請求項12記載の画像検査装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記特徴量として、SIFT、Harris、Haar-like、HOGのいずれか1を用いる請求項13に記載の画像検査装置。
【請求項15】
記録媒体の画像を形成する画像形成部と、請求項1~
14のいずれか1項に記載の画像検査装置を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷物の画像の欠陥の判定を行うことができる画像検査装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、画像データに基づいて用紙に画像を形成して印刷物を出力しており、この出力物の検査を行う方法が知られている。この検査では、印刷物の画像を撮像し、撮像した撮像画像と、事前に用意された正解画像とを比較し、その差分を抽出して撮像画像に欠陥があるかを判定する。正解画像としては、検品でOKとなった印刷物のスキャン画像や印刷に用いられたRIP画像などを用いることができる。
【0003】
検査の際には、撮像画像と正解画像との差分を抽出する前に、両方の画像の位置合わせを行っているが、下記のような問題点が発生している。
・位置合わせがずれることにより、差分が大きくなり欠陥と誤検知してしまう。
・解像度変換の影響で、画像自体の画素のバラつきが大きくなり、位置が合っても、差分が大きくなり誤検知する。
これらの問題を防ぐため、特許文献1に示すように、画像のエッジ部分の欠陥の閾値を高くし、誤検知を防ぐ方法が提案されている。または、特許文献2のように、画像の特徴点を抽出する高精度の位置合わせを行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-55852号公報
【文献】特開2014-00996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で提案されている方法では、エッジ付近の欠陥に対する感度を下げてしまうという問題点が生じる。さらに、特許文献2で提案されている方法では、画像全体に処理を掛けており処理速度が遅くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に対して、処理速度を落とさずに高精度の検査を行うことができる画像検査装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像検査装置のうち、第1の形態は、
印刷物の被検査面を撮像した撮像画像と、マスター画像との比較に基づいて被検査面の画像の欠陥を判定する画像検査装置において、
前記撮像画像とマスター画像を取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記撮像画像と前記マスター画像から、所定面積の領域における画像の領域情報を取得し、
領域毎に、前記領域情報に対する画像の位置合わせの処理手法を複数の処理手法の中から決定し、
比較前の処理として、少なくとも、決定された前記位置合わせの手法によって前記領域情報に対する位置合わせの処理と、前記領域情報における前記撮像画像および前記マスター画像の一方または両方の画像の画像上の情報に基づいて前記領域情報に対する前記位置合わせ以外の画像処理の手法を複数の手法の中から決定して画像処理を実行し、
比較前の処理が行われた撮像画像およびマスター画像の比較を行い、比較結果に基づいて前記撮像画像に欠陥があるかの欠陥判定を行う。
【0008】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記領域情報に対し、前記画像処理の手法の実行の有無と画像処理の手法を複数の手法の中から決定し、前記画像処理の手法の実行を行う場合、比較前の処理として、前記位置合わせの処理と前記画像処理とを実行する。
【0009】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像処理の手法として、少なくとも解像度変換の手法を選択する。
【0010】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記比較前の処理として、前記位置合わせと前記解像度変換の処理の順番を決定する。
【0011】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記領域情報において、前記撮像画像および前記マスター画像の一方または両方の画像から、前記画像上の情報を抽出し、
前記画像上の情報に基づいて、比較前の処理における手法を選択する。
【0012】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、前記領域におけるエッジ情報を抽出する。
【0013】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部では、前記エッジ情報に、少なくともエッジの強度情報を含む。
【0014】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、前記領域の特定画素の出現回数分布であるヒストグラム情報を抽出する。
【0015】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記ヒストグラム情報には、少なくとも特定の画素値の画素数が含まれている
【0016】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、前記領域における所定の周波数以上の高周波成分領域の情報を抽出する。
【0017】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記高周波成分領域の情報には、少なくとも特定の周波数以上の領域の面積が含まれている。
【0018】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像上の情報の抽出に際し、領域情報の画像特徴量情報を抽出する。
【0019】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記特徴量情報として、少なくとも領域内の特徴量の平均値、合計値、分散、標準偏差のいずれか1つを用いる。
【0020】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記特徴量として、SIFT、Harris、Haar-like、HOGのいずれか1を用いる。
【0021】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記領域情報の取得に際し、前記マスター画像における領域毎のRIP情報を取得し、
前記RIP情報に基づいて、比較前の処理の手法を選択する。
【0022】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記RIP情報の取得に際し、RIPのタグ情報を用いる。
【0023】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記撮像画像と前記マスター画像に対し操作者が指定する領域の情報を取得することを可能にし、
指定された領域の情報に基づいて、比較前の処理の手法を選択する。
【0024】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、操作者が指定する領域の前記情報において、重点的に検査すべき注目領域の指定を可能にし、前記注目領域の情報を手法の選択に用いる。
【0025】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、操作者が指定する領域の前記情報において、検査における処理時間の目標の指定を可能にし、目標の処理時間の情報を手法の選択に用いる。
【0026】
本発明の画像形成システムのうち、第1の形態は、記録媒体の画像を形成する画像形成部と、前記形態のいずれかの画像検査装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、印刷物の画像の検査を行う際に、所定面積の領域毎に、位置合わせ手法を決定して画像の比較を行うことができ、処理速度をできるだけ落とさずに、高精度の検査を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態の機械的構成の概略を示す図である。
【
図3】同じく、画像上の情報としてエッジ情報を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図4】同じく、画像上の情報としてヒストグラム情報を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図5】同じく、画像上の情報として特徴量を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図6】同じく、画像上の情報として周波数成分の情報を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図7】同じく、RIP情報を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図8】同じく、操作者情報を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図9】同じく、処理時間入力情報を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【
図10】同じく、解像度変換と位置合わせの順番による画像の差異を説明する図である。
【
図11】従来の画像の検査手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
画像形成システム1は、
図1に示すように、画像形成を行う画像形成装置10を有しており、画像形成装置10の前段に給紙装置40が接続されている。画像形成装置10の後段には、読取装置20が接続されており、読取装置20の後段に後処理装置30が接続されている。各装置および装置本体は、電気的および機械的に接続されており、各装置間での通信および用紙の搬送が可能になっている。
【0030】
なお、この実施形態では、画像形成装置10、給紙装置40、読取装置20および後処理装置30によって画像形成システム1が構成されているものとしたが、画像形成装置10のみや、画像形成装置10に他の装置を加えて画像形成システムが構成されるものでもよく、読取装置20のみによって画像形成システムが構成されるものであってもよい。
また、画像形成装置10は、本発明の画像検査装置に相当するものとしてもよく、読取装置20などを含めて画像検査装置を構成するものとしてもよい。さらに、読取装置20において画像の検査などを行う場合は、読取装置20が画像検査装置を構成するものとしてもよい。
【0031】
給紙装置40は、複数の給紙段を備えており、各給紙段には用紙が収納されている。給紙段に収納されている用紙は、後段に設置されている画像形成装置10に供給可能となっている。用紙は、記録媒体に相当する。なお、記録媒体の材質は紙に限定されるものではなく、布やプラスチックなどからなるものであってもよい。本発明の印刷物は、記録媒体に画像が形成されて出力されたものである。
【0032】
画像形成装置10は、筐体内の下部側に、複数の給紙トレイを備えた本体給紙部12が配置されている。本体給紙部12では、各給紙トレイに用紙が収納されている。用紙は、本発明の記録媒体に相当し、その材質は紙に限定されるものではなく、布やプラスチックからなるものであってもよい。
画像形成装置10の筐体内には、搬送路13が設けられており、給紙装置40または本体給紙部12から供給される用紙が搬送路13に沿って下流側に搬送される。
【0033】
搬送路13の途中付近には、用紙に画像を形成する画像形成部11が設けられている。
画像形成部11は、各色用(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)用の感光体11aを有しており、感光体11aの周囲には、図示しない帯電器、LD(レーザダイオード)、現像器、クリーニング部等が備えられている。また、画像形成部11は、各色用の感光体11aと接触する位置に、中間転写ベルト11bを有している。中間転写ベルト11bは、その途中に設けられた二次転写部11cにおいて搬送路13上の用紙と接触する。また、搬送路13では、二次転写部11cよりも下流側の位置に、定着ローラー11eを含む定着器11dが備えられている。
【0034】
用紙に画像を形成する場合は、帯電器によって感光体11aが一様に帯電された後に、感光体11aに対しLD(レーザダイオード)などからレーザー光が照射されて、感光体11a上に潜像が形成される。感光体11a上の潜像は、現像器によって現像されてトナー像となり、感光体11a上のトナー像は中間転写ベルト11bに転写され、中間転写ベルト11b上の画像は、二次転写部11cにおいて用紙に転写される。画像が形成され、搬送路13に沿って搬送される用紙は、定着器11dによって画像の定着が行われる。
なお、この実施形態では、画像形成部11は、カラーで画像形成を行うものとして説明したが、本発明としては、画像形成部11は、ブラックなどモノクロで画像形成を行うものであってもよい。
なお、画像形成部11の前後に反転搬送路を設け、用紙の反転搬送を行うことで、用紙の両面に対する画像形成を可能としてもよい。
【0035】
また、画像形成装置10は、筐体の上部に操作部140が備えられている。操作部140は、タッチパネルを供えたLCD141と、テンキー等の操作キー群とを有しており、情報の表示および操作入力の受付が可能となっている。操作部140は、表示部および操作部を兼ねている。
なお、この実施形態では、操作部140は、操作部と表示部とが一体となっているが、操作部と表示部とが一体となっていないものでもよく、例えば、操作部をマウスやタブレット、端末等によって構成してもよい。また、LCD141は移動可能となっているものであってもよい。
【0036】
また、画像形成装置10の筐体の上部には、操作部140が位置しない場所に、自動原稿給送装置(ADF)18が備えられている。自動原稿給送装置(ADF)18は、原稿載置台にセットされた原稿を自動で給送するものであり、自動原稿給送装置(ADF)18で給送される原稿は、
図2で示されるスキャナー部130によって読み取られる。
なお、原稿の読み取りは図示しないプラテンガラス上で行うことも可能である。
また、スキャナー部130では、画像形成システム1から出力された印刷物をセットして読み取りを行うことも可能である。例えば、印刷用画像や調整用画像が形成された用紙をセットして読み取りを行い、読取画像、すなわち撮像画像を取得することができる。この場合、スキャナー部130は、画像読取部に相当する。
【0037】
また、画像形成装置10は、画像制御部100を有している。画像制御部100は、画像形成システム1全体を制御するものであり、CPUやメモリなどによって構成される。なお、画像制御部100は、画像形成装置の筺体外に設けられるものであってもよい。CPU上で動作するプログラムには、本発明の制御部で実行されるプログラムが含まれている。
【0038】
読取装置20は、搬送路23を有しており、画像形成装置10から導入される用紙が搬送路23に沿って搬送される。搬送路23の下流側は、後段の後処理装置30に接続されている。
搬送路23の途中付近には、搬送路23で搬送される用紙の下面の画像の読み取りを行う画像読取部24と、用紙の上面の画像の読み取りを行う画像読取部25が備えられており、画像読取部24は画像読取部25よりも上流側に位置している。
【0039】
画像読取部24、25は、CCDセンサーやCMOSセンサー等のラインセンサーよって構成することができ、搬送路23で搬送される用紙の画像を、搬送方向と交差する方向全体に亘って読み取りを行うことができる。画像読取部24または画像読取部25で読み取られた読取結果は撮像画像として、読取装置20に備える読取制御部200に一旦送られ、読取制御部200から画像制御部100に送信される。画像制御部100では、撮像画像とマスター画像との比較に基づいて欠陥があるかの判定を行うことができる。撮像画像は、用紙の片面を読み込んだものでもよく、また、用紙の両面を読み込んだものでもよい。この例では、画像制御部100は、本発明の制御部として機能する。
【0040】
なお、この実施形態では、二つの画像読取部で用紙の表裏の画像を読み取ることを可能としているが、画像読取部の数は特に限定されない。画像読取部は一つでもよく、画像読取部の前後に反転搬送路を設け、用紙の反転搬送を行うことで一つの画像読取部で用紙の表裏の画像を読み取るものとしてもよい。
【0041】
この実施形態では、読取結果を画像制御部100に送信して画像制御部100において画像に欠陥があるかの判定を行うことを可能にしているが、読取装置20に備える読取制御部200において画像に欠陥があるかの判定を行うものとしてもよい。判定結果は画像制御部100に送信することができる。この場合には、読取制御部200は、本発明の制御部として機能することになる。
【0042】
後処理装置30は、搬送路33を有しており、読取装置20から導入される用紙を下流側に搬送する。搬送路33の中途には図示しない後処理部が備えられている。後処理部は、所定の後処理を実行することが可能であり、例えば、ステープル処理、パンチ処理が可能であるほか、折りを含む後処理、例えば、内三つ折り、中綴じ、Z折り、観音折り、四つ折り等の処理を行うことが可能である。後処理部は複数の後処理を行うものであってもよい。
【0043】
また、搬送路33はその途中で搬送路34が分岐している。搬送路33は第1排紙部31に接続されており、搬送路34は第2排紙部32に接続されている。
後処理が行われた用紙は第1排紙部31に排紙され、後処理が行われていない用紙は第2排紙部32へ排紙される。また、用紙上の画像に欠陥があると判定された場合は、画像に欠陥がある用紙を通常とは異なる排紙先へ排紙するものとしてもよい。
後処理を行わない用紙を第2排紙部32に排紙するようにしてもよい。
【0044】
また、画像形成システム1は、読取装置20を備えているが、読取装置20は、画像形成装置の筺体内に備えられていてもよく、さらに、画像形成装置と読取装置とが機械的に接続されていないものであってもよい。本発明の画像形成システムとしては、画像読取部を有するものであってもよく、また、画像読取部を有していないものであってもよい。さらに、本発明の画像形成システムは、画像形成部を備えるものとしてもよく、また、画像形成部を備えていないものを画像形成システムとしてもよい。
【0045】
次に、画像形成システム1の電気的構成を、
図2に基づいて説明する。
画像形成システム1は、画像形成装置10において、主要な構成として、デジタルコピアと、画像処理部(プリント&スキャナーコントローラー)160とを有している。デジタルコピアは、制御ブロック110、スキャナー部130、操作部140およびプリンター部150を有している。画像処理部(プリント&スキャナーコントローラー)160は、外部装置との間で入出力される画像データを処理する。
【0046】
制御ブロック110は、PCIバス112を有している。PCIバス112には、デジタルコピア内のDRAM制御IC111が接続され、DRAM制御IC111には、画像制御CPU113が接続されている。また、PCIバス112には、コントローラーIC118を介してHDD119が接続されている。
画像制御CPU113には、不揮発メモリ115が接続されている。不揮発メモリ115やHDD119には、画像制御CPU113で実行されるプログラムや、機械設定情報等の設定データ、プロセス制御パラメーター等が格納されている。
【0047】
不揮発メモリ115やHDD119には、さらに、用紙を読み取った読取結果に基づいて用紙の外縁を認識する手順や、用紙の向かい合う2辺が平行であるか判定する手順や閾値、読取画像上における濃度変化を求める手順などを実行するためのプログラムやパラメーターが格納されている。また、不揮発メモリ115やHDD119には、用紙プロファイルが記録されており、用紙プロファイルには、用紙の種類に関連付けられた用紙サイズや坪量等の情報が記録されている。なお、これらのプログラムやパラメーターは、持ち運び可能なリムーバブル記憶媒体に格納されていてもよい。
【0048】
画像制御CPU113は、プログラムの実行によって画像形成システム1の全体の状態を把握し、画像形成システム1全体の制御を行うことが可能であり、用紙の搬送、画像形成等の動作や、画像形成用の画像データの処理などの制御を行うことができる。この実施形態では、画像制御CPU113および画像制御CPU113で動作するプログラムは、画像制御部100を構成しており、この実施形態では画像制御部100は、本発明の制御部として機能する。なお、プログラムは、不揮発メモリ115以外にHDD119などに格納されているものとしてもよく、また、持ち運び可能な記憶媒体に格納されていてもよい。
画像制御部100は、撮像画像に基づいて画像の欠陥の判定を行う。その詳細については後述する。
【0049】
さらに、画像制御CPU113には、スキャナー部130のスキャナー制御部132がシリアル通信可能に接続されている。
スキャナー部130は、CCD131と、スキャナー制御部132とを備えている。CCD131は用紙上の画像を光学的に読み取ることができる。スキャナー制御部132は、スキャナー部130の全体を制御するものであり、CCD131による画像の読み取りなどを制御する。スキャナー制御部132は、画像制御CPU113とシリアル通信可能に接続されており、画像制御CPU113による制御を受ける。なお、スキャナー制御部132は、CPUやCPUを動作させるプログラムなどによって構成することができる。
CCD131で読み取った画像データは、DRAM制御IC111を介して読み取り処理部116に送信され、読み取り処理部116において所定の補正等の処理がなされる。
【0050】
操作部140は、タッチパネル式のLCD141と、操作部制御部142とを備えている。LCD141では、各種の情報の表示および操作入力を行うことが可能となっている。なお、操作入力は、操作キー等によって行うこともできる。
操作部140では、画像形成装置10における設定や動作指令などが可能となっている。さらに、操作部140では、機械状態、画像形成条件の設定等が可能になっており、例えば、定着温度や定着圧接力の設定を行うことができる。また、操作部140では、用紙上のシワを検出した場合に通知を行うようにしてもよい。
【0051】
操作部140では、LCD141や操作キーを通じた操作入力により、画像形成装置10、読取装置20、後処理装置30などに対する各種の設定を行うことが可能である。制御部では、設定に基づいて、画像形成や用紙の搬送、ジョブの出力開始、画像欠陥の判定、後処理等の動作を制御することができる。
操作部制御部142は、操作部140の全体を制御する。操作部制御部142は画像制御CPU113とシリアル通信可能に接続されており、操作部140は画像制御CPU113からの指令を受けて操作部140の制御を行う。操作部制御部142は、CPUやCPUを動作させるプログラムなどによって構成することができる。
【0052】
DRAM制御IC111には、画像メモリ(DRAM)120が接続されている。画像メモリ(DRAM)120は、圧縮メモリ121とページメモリ122とから構成されており、スキャナー部130で取得した画像データや、外部の装置からネットワーク2を通して取得した画像データをジョブデータとして格納することができ、画像メモリ(DRAM)120には、印刷するジョブの画像データを格納することができる。
【0053】
画像メモリ(DRAM)120は、圧縮メモリ121とページメモリ122とを有している。圧縮メモリ121には、圧縮された画像データが格納され、ページメモリ122には、画像形成用の非圧縮のページ画像データが一時的に格納される。
また、画像メモリ(DRAM)120には、上記DRAM制御IC111の制御によって、複数のジョブに関する画像データを保存することができ、さらにはジョブの設定情報や予約されたジョブの画像データなどを保存することができる。なお、これらのデータは、HDD119に格納することもできる。
【0054】
DRAM制御IC111には、圧縮/伸長IC117が接続されている。圧縮/伸長IC117では、画像データの圧縮や、圧縮された画像データを伸長することができる。
DRAM制御IC111には、さらに、書き込み処理部123が接続されている。書き込み処理部123は、LD154Aにおける画像形成動作に用いるためのデータ処理を行う。
【0055】
画像制御CPU113には、LAN制御部127が接続されており、LAN制御部127には、LANインターフェース128が接続されている。LANインターフェース128には、ネットワーク2やその他のネットワークなどを接続することができ、LANインターフェース128を介して外部の装置との間でデータの送受信を行うことができる。
【0056】
また、PCIバス112には、画像処理部(プリント&スキャナーコントローラー)160のDRAM制御IC161が接続されている。
画像処理部(プリント&スキャナーコントローラー)160では、DRAM制御IC161に、DRAMからなる画像メモリ162が接続されており、DRAM制御IC161には、コントローラー制御部163が接続されている。さらに、DRAM制御IC161にLAN制御部164が接続されており、LAN制御部164にLANインターフェース165が接続されている。LANインターフェース165は、ネットワーク2に接続されている。
また、画像制御CPU113には、LAN制御部170が接続されており、LAN制御部170には、LANインターフェース171が接続されている。LANインターフェース171は、ネットワーク2に接続されている。
【0057】
さらに、画像制御CPU113には、プリンター部150のプリンター制御部151が接続されている。プリンター制御部151は、CPUや記憶部等によって構成されており、画像制御CPU113の指令を受けてプリンター部150の全体を制御し、LD154Aによる画像形成動作を制御する。LD154Aは、各色用のLDを総称するものである。また、プリンター制御部151は、画像形成部11や、搬送路23を含む搬送部を制御することができる。
さらに、プリンター制御部151には、読取装置20の読取制御部200が制御可能に接続されている。
【0058】
読取制御部200は、前述したように読取装置20全体を制御しており、その制御において画像読取部24、25の読み取りを制御する。読取制御部200では、読取結果である撮像画像の情報を画像制御部100に送信して、画像制御部100で画像に欠陥があるかの判定を行うようにすることができるが、前述したように、読取制御部200で読取結果を取得して画像に欠陥が発生しているかの判定を行うようにしてもよい。判定の手法は、画像制御部100で行う場合と同様にすることができる。この場合には、読取制御部200は、本発明の制御部に相当することになる。
【0059】
ネットワーク2には、外部装置3などが接続されている。画像形成システム1では、ネットワーク2を通じて、外部装置3などとの間でデータの送受信を行うことができる。なお、ネットワーク2は、LANの他にWAN、電話回線などとして使用されるものであってもよく、無線、有線を問わない。
外部装置3は、外部装置3全体を制御する外部装置制御部300を有している。外部装置制御部300は、CPUやCPUを動作させるプログラム、記憶部などによって構成することができる。また、外部装置3は、情報を表示可能な外部操作部310を有している。
【0060】
なお、外部装置3は、端末や画像形成システム1を管理する装置として使用することも可能である。外部装置3を、端末として使用する場合、ネットワーク2を介してLANインターフェース165に接続される。外部装置3を、画像形成システム1を管理する装置として使用する場合、ネットワーク2を介して、LANインターフェース171に接続される。
【0061】
なお、外部装置3で画像形成システム1を管理する場合、外部装置制御部300は、画像形成システム1を管理する管理制御部として機能する。
外部装置3を管理装置として使用する場合、外部操作部310には、管理情報や、画像の欠陥判定の表示などを行うことができ、また、所望により操作入力を可能にする。この場合、外部操作部310は、本発明の操作部として使用することができる。
外部装置3は、画像形成システムを管理する場合、画像形成システムを直接制御してもよく、また、画像形成システムに制御内容の指示を行い、この指示内容によって画像形成装置の制御部において制御が行われるようにしてもよい。
【0062】
外部装置3では、用紙の読取結果である撮像画像を取得して、画像の欠陥があるかの判定するものとしてもよい。この場合は、外部装置3は、画像形成システム1を構成するものとして機能し、外部装置制御部300は、本発明の制御部として機能する。したがって、外部装置3を本発明の画像検査装置として用いるものであってもよい。
これらの外部装置制御部300で動作するプログラムは、制御部で実行されるプログラムに相当する。外部操作部310は、本発明の操作部として用いることができる。
【0063】
次に、画像形成システム1の基本的動作について説明する。
先ず、画像形成システム1において画像データを蓄積する手順について説明する。
スキャナー部130で原稿の画像を読み取り、画像データを生成する場合、スキャナー部130に原稿を載置し、CCD131により原稿の画像を光学的に読み取る。この際は、画像制御CPU113から指令を受けたスキャナー制御部132がCCD131の動作制御を行う。
【0064】
CCD131で読み取られた画像は、読み取り処理部116に送られ、読み取り処理部116において所定のデータ処理がなされる。データ処理された画像データは、圧縮/伸長IC117に送出され、圧縮/伸長IC117において所定の方法によって圧縮され、DRAM制御IC111を介して圧縮メモリ121やHDD119に格納される。
圧縮メモリ121やHDD119に格納された画像データは、画像制御CPU113によってジョブとして管理することができる。画像データをジョブとして管理する場合は、画像メモリ(DRAM)120およびHDD119において、印刷条件が画像データと関連付けて格納される。
なお、印刷画像データと印刷条件とは、両者が関連付けられていれば、それぞれが異なる記憶媒体に格納されるものであってもよい。印刷条件は、操作部140を通してユーザーが設定したり、初期設定や動作状況に自動的に設定されたりする。
【0065】
一方、画像データを外部から取得する場合、例えば、外部装置3などからネットワーク2を通して画像データを取得する場合は、画像処理部(プリント&スキャナーコントローラー)160のLANインターフェース165を介して画像データを受信する。受信した画像データは、LANインターフェース165、LAN制御部164、DRAM制御IC161を介して画像メモリ162に格納される。
その後、画像メモリ162に格納された画像データは、DRAM制御IC161、PCIバス112、DRAM制御IC111を介してページメモリ122に一旦格納される。
なお、画像データがページ記述データである場合、コントローラー制御部163によって画像データのRIP処理を行うことで、画像データをラスターイメージとすることができる。
【0066】
ページメモリ122に格納された印刷データは、DRAM制御IC111を介して圧縮/伸長IC117に順次送られて圧縮処理され、DRAM制御IC111を介して圧縮メモリ121に格納される。また、HDD119に格納する場合、印刷データは、DRAM制御IC111、コントローラーIC118を介してHDD119に格納される。これら印刷データは、上記と同様に画像制御CPU113による管理がなされる。画像メモリ(DRAM)120およびHDD119は、画像データを保存する記憶部となる。
【0067】
画像形成システム1を複写機として使用する場合は、操作部140上で設定された印刷条件(プリントモード)等の情報を画像制御CPU113に通知し、画像制御CPU113で設定情報を作成する。作成された設定情報は画像制御CPU113内のRAMに格納することができる。
画像形成システム1をプリンターとして用いる場合、印刷条件は、外部装置3内のプリンタドライバで設定することができる。ここで設定された印刷条件は、画像と同様に、外部装置3→ LAN IF165→ 画像メモリ162→ DRAM制御IC161(コントローラー)→ DRAM制御IC111(本体)→ ページメモリ122と転送され、ページメモリ122に格納される。
【0068】
画像形成システム1で画像出力を行う場合、すなわち複写機やプリンターとして使用する場合、圧縮メモリ121や不揮発メモリ115、HDD119などに格納された画像データを、DRAM制御IC111を介して圧縮/伸長IC117に送出し、画像データを伸長する。伸長された画像データはDRAM制御IC111を介して書き込み処理部123へ送出され、書き込み処理部123にて、設定された印刷条件に従って繰り返しLD154Aに展開し、LD154Aによって画像データに基づいて各感光体への書き込みが行われる。感光体11aに書き込まれた画像は、その後、現像、転写、定着等を経て、用紙上に定着される。
画像形成装置10で出力された用紙は、読取装置20に送られる。読取を行う設定がされている場合は、画像読取部24、25の一方または両方で用紙の読み取りが行われ、画像制御部100に撮像画像が送信される。
読み取りが行われた用紙は、後処理装置30に送られ、後処理設定に応じてそのまま排紙、または後処理がなされて排紙される。
【0069】
次に、制御部における画像の欠陥判定について詳細に説明する。
用紙の撮像画像とマスター画像とにおいて、所定面積の領域における領域情報を取得する。通常は、画像全体において、領域毎の領域情報を取得する。この領域毎に、領域情報における撮像画像とマスター画像の位置合わせの手法を決定し、必要に応じて、画像処理の手法を決定する。これらの手法は、画像上の情報やRIP情報、さらにはユーザーの指定などによって決定される。なお、マスター画像は、検品でOKとなった印刷物のスキャン画像や印刷に用いられたRIP画像などを用いることができ、一般に正解画像と称される画像が用いられる。
制御部では、画像上の情報などに応じて決定される位置合わせの手法や画像処理の手法は、記憶部などから読み出すことができる。すなわち、予め記憶部に、画像上の情報やRIP情報と手法の内容とを関連付けて格納しておくことができる。手法の決定では、高精度か、高速処理であるかの観点で関連付けを行うことができる。
【0070】
印刷画像の検査で、一番問題となる箇所は画像のエッジである。エッジ付近では、「位置ズレ」、「エッジ付近のボケ」、「撮像時の色収差」などの問題により誤検知が発生しやすい。その上、一般的に印刷検査装置は早い処理速度が求められるため低解像度に解像度変換してから処理を行っており、前述の問題がさらに顕著に発生する。このため、従来は、一般的にエッジ付近は欠陥と判定する閾値を上げ誤検知を出しにくくするが、閾値を上げるためエッジ付近の欠陥に対する感度が落ちる。本実施形態では、エッジ付近の欠陥に対する感度を維持しつつ処理速度を落とさないように、領域ごとに精度が高い位置合わせすべきか、それとも高速な手法を選択するかを判定することを可能にしている。
【0071】
例えば、判定の基準としては、エッジが多い、記載内容に文字が多い(エッジが多い)、ユーザーが重点的に見て欲しい範囲(位置指定、印刷物が名刺であるなど人目につきやすいなど)が挙げられる。これらの場合は、高速な処理よりも高精度な処理が必要になる。この際にどの基準を選択するかは任意であり、本発明としては特に限定されない。これら以外では、高速な処理を求めるようにしてもよい。
【0072】
高精細な位置合わせの手法として、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などが挙げられる。高速な位置合わせの手法として、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合、位置合わせしないなどの手法が挙げられる。高速な位置合わせでは、白紙の領域は、位置合わせを行わないものとしてもよい。
【0073】
位置合わせ以外の画像処理方法としては、解像度変換や色変換などが挙げられる。高精細な画像処理の手法としては、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの解像度変換の手法が挙げられる。また、高速な画像処理の手法として、最近傍などの解像度変化の手法が挙げられる。なお、本発明では、画像処理方法として解像度変換や色変換を行わないものであってもよい。
また、画像位置合わせと、解像度変換との順番を、高精度な処理か高速の処理かで変更するようにしてもよい。高精度な処理を行う場合は、位置合わせをしてから解像度の変換を行い、高速な処理を行う場合は、解像度変換してから位置合わせを行うようにしてもよい。
なお、上記では、高精細な処理と、高速な処理の2つに分けて基準を設けるものとしたが、さらに、細かく区分けを設けるものとしてもよく、区分け数が特に限定されるものではない。
【0074】
本発明の実施形態の説明に先立って、従来技術における判定手順を
図11のフローチャートに基づいて説明する。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs100)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs101)。マスター画像の読み込みは、記憶部などに格納されている正解画像の情報を読み込むことにより行うことができる。正解画像としては、検品された読取画像やRIP画像を用いることができる。
【0075】
撮像画像とマスター画像の解像度を相対的に低い解像度に変換する(ステップs102)。変換する解像度は、処理速度などを考慮して予め定めておく。本発明としては特定の解像度に限定されるものではない。
解像度の変換後、画像の位置合わせを行い(ステップs103)、画像のエッジの抽出を行う(ステップs104)。次いで、判定箇所がエッジ近辺であるかを判定し(ステップs105)、エッジ近辺である場合(ステップs105、Yes)は、低感度欠陥検出を行い(ステップs106)、エッジ近辺でない場合(ステップs105、No)は、通常欠陥検出を行い(ステップs107)、それぞれの欠陥後、手順を終了する。
上記手順では、エッジ付近の欠陥に対する感度が下がってしまい、適切な精度で判定を行うことができない。
【0076】
次に、本発明の一実施形態による判定手順を
図3のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は制御部の制御によって実行される。
なお、本実施形態では、所定面積の領域毎に、主に、位置合わせなどの画像処理の手法を"処理時間がかかるが、精度が高い"もしくは、"処理時間は短いが、精度が低い"のどちらを選択していくか判定することに特徴を有している。
この実施形態では、判定基準の最大のポイントは、画像上の情報であるエッジの有無である。印刷検査装置で誤検知が発生しやすい箇所は、エッジ近辺である。この箇所の誤検知が置きやすい原因の位置ズレ及び線のボケ具合の影響である。したがって、エッジが沢山ある領域で、誤検知を抑えるためには高精度な位置合わせが必要となり、無い領域は精度が低くてもよい。なお、本発明としては、エッジの近辺を重視した検査方法に限定されるものではない。
【0077】
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs1)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs2)。マスター画像としては、検品された読取画像やRIP画像を用いることができる。
【0078】
次に、本実施形態では、画像上の情報としてエッジ情報の抽出を行い(ステップs3)、領域内のエッジが多いかの判定を行う(ステップs4)。
エッジが多いかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域における領域情報を抽出し、領域情報毎に判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではなく、領域によって異なる大きさや領域の形を定めるものとしてもよい。
エッジが多いか、すなわちエッジの強度は、一定以上の大きさを有するエッジが、領域内のどのくらいの面積を占めているのかで判定することができる。例えば、判断基準を定めて、判定基準よりも面積が大きければエッジが多いと判定し、面積が判定基準以下であればエッジが多くないと判定することができる。
【0079】
領域内のエッジが多い場合(ステップs4、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs5)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。以降の手順も同様である。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs6)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs9において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。差分には閾値を定めてそれを超えるかなどによって欠陥があるかの判定を行うことができるが、欠陥の判定方法は本発明としては特に限定されるものではない。また、領域によって異なる判定方法を採用するものとしてもよい。以降も同様である。
【0080】
ステップs4で領域内のエッジが多いものではない場合(ステップs4、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs7)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。以降の手順も同様である。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs8)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。以降の手順も同様である。
なお、簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。その後、ステップs9において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。この実施形態では、従来方式では感度が落ちていたエッジ部分も高感度に検知できる。また、欠陥に対する感度を落とさずに、処理速度も維持できる。
【0081】
上記の例では、画像上の情報としてエッジ情報を用いたが、その他の例としては、画像上の情報としてヒストグラム情報を用いることができる。以下、その手順を
図4のフローチャートに基づいて説明する。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs10)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs11)。マスター画像としては、検品された読取画像やRIP画像を用いることができる。
【0082】
次に、本実施形態では、画像上の情報としてヒストグラム情報の抽出を行い(ステップs12)、領域内に黒領域が多いかの判定を行う(ステップs13)。ヒストグラム情報の抽出では、領域内に特定の画素がどのくらいの面積を占めているかで判定する。例えば、白紙に印刷の場合ではヒストグラムでどの程度印刷されているのか推定できる。
この実施形態では、黒領域に着目してヒストグラム情報の抽出を行う。
黒領域が多いかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域における領域情報を抽出し、領域情報毎に判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではないことは前記と同様である。
【0083】
領域内の黒領域が多い場合(ステップs13、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs14)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs15)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs18において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。
【0084】
ステップs13で領域内の黒領域が多いものではない場合(ステップs13、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs16)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs17)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。
簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。
その後、ステップs18において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。
【0085】
次に、画像上の情報として画像の特徴量を抽出する場合について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は、制御部の制御によって実行される。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs20)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs21)。
【0086】
次に、画像上の情報として特徴量を抽出し(ステップs22)、領域内に特徴点が多いかの判定を行う(ステップs23)。例えば特徴量については、エッジが少ない領域では、特徴が少ないのでその量でエッジの有無の判定を行うことができる。
特徴量が多いかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域における特徴情報を抽出し、領域情報毎に判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではないことは前記と同様である。
【0087】
領域内の特徴点が多い場合(ステップs23、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs24)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs25)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs28において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。
【0088】
ステップs23で領域内の特徴点が多いものではない場合(ステップs23、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs26)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs27)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。
簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。
その後、ステップs28において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。
【0089】
次に、画像上の情報として、画像の周波数成分を抽出する場合について、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs30)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs31)。マスター画像としては、検品された読取画像やRIP画像を用いることができる。
【0090】
次に、本実施形態では、画像上の情報として周波数成分の情報抽出を行い(ステップs32)、領域内に高周波成分が多いかの判定を行う(ステップs33)。高周波成分としては予め所定の周波数の基準を定めておき、この基準を超えるものを高周波成分とすることができる。所定の周波数は適宜決定することができ、本発明としては特定の周波数に限定されるものではない。
高周波成分を抽出するのは、画像をフーリエ変換し、所定周波数の高周波成分が一定以上含まれている場合、それは画像内にエッジが多いということになるからである。一定以上かは予め適宜決定することができ、本発明としては一定量が特定のものに限定されるものではない。
高周波成分が多いかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域における周波数成分を抽出し、領域情報毎に判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではないことは前記と同様である。
【0091】
領域内の高周波成分が多い場合(ステップs33、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs34)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs35)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs38において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。
【0092】
ステップs33で高周波成分が多いものではない場合(ステップs33、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs36)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs37)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。
簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。
その後、ステップs38において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。
【0093】
次に、画像上の情報としてRIP情報を抽出する場合について、
図7のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は、制御部の制御によって実行される。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs40)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs41)。
【0094】
次に、画像上の情報としてRIP情報を抽出し(ステップs42)、領域内に図および文書が多いかの判定を行う(ステップs43)。RIPのタグ情報から、その領域にエッジが多いかどうか判定することができる。例えば、その領域に文章があったら文字が多いためエッジが多いことになる。図および文書が多いかは、例えば、面積比などによって判定することができる。
【0095】
領域内に図・文書が多いかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域におけるRIP情報を抽出し、領域情報毎に判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではないことは前記と同様である。
【0096】
領域内の図・文書が多い場合(ステップs43、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs44)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs45)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs48において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。
【0097】
ステップs43で領域内の図・文書が多いものではない場合(ステップs43、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs46)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs47)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。
簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。
その後、ステップs48において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。
【0098】
次に、位置合わせや画像処理の手法を操作者(ユーザー)の情報に基づいて決定、実行する手順を
図8のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は制御部の制御によって実行される。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs50)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs51)。
【0099】
次に、操作者情報を取得し(ステップs52)、重点箇所かの判定を行う(ステップs53)。操作者情報は、操作者が操作部などを介して指定を行うことができ、重点箇所であるかの指定を行うことができる。また、ジョブの情報として予め重点情報が設定されているものであってもよい。例えば、操作者が汚れを出したくない領域を囲うなどして領域情報として記載し、その部分に対して、誤検知が出ないまた欠陥を見逃さないように、その部分は精度が高い位置合わせを行うように指定することができる。
【0100】
重点箇所であるかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域において重点箇所であるかの判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではないことは前記と同様である。
【0101】
重点箇所である場合(ステップs53、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs54)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs55)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs58において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。
【0102】
ステップs53で重点箇所でない場合(ステップs53、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs56)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs57)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。
簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。
その後、ステップs58において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。
【0103】
次に、操作者が処理時間を決めて処理を行う手順を
図9のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は、制御部の制御によって実行される。
処理開始に伴って、画像が形成されて出力された印刷物である用紙の画像を画像読取部に読み取り、撮像画像として制御部に送信する(ステップs60)。次いで、制御部ではマスター画像を読み込む(ステップs61)。
【0104】
次に、所定の領域に対する操作者による処理時間の入力を取得する(ステップs62)。処理時間は、上限として入力されるが入力時期は特に限定されるものではなく、予め入力されているものであってもよい。処理時間は操作部を介して操作者が入力することができる。
次いで、画像からエッジ情報を抽出し(ステップs63)、処理時間に収まるようにエッジが多い領域から処理されるように重点検査箇所を設定する(ステップs64)。
【0105】
重点検査箇所であるかの判定では、前記撮像画像およびマスター画像において、所定領域において重点箇所であるかの判定を行う。なお、所定領域における大きさなどは特に限定されるものではないことは前記と同様である。
【0106】
重点検査箇所である場合(ステップs65、Yes)、高精細の位置合わせの手法を選択して実行する(ステップs66)。高精細の位置合わせとして、例えば、サブピクセルの位置合わせ、回転・伸縮補正などを行う。位置合わせ後、位置合わせ以外の画像処理方法の手法として高度な低解像度変換を決定して実行する(ステップs67)。高度な低解像度変換としては、例えば、バイリニア、バイキュービック、解像度を落とさないなどの処理を行う。高精度な処理を行う場合は、位置合わせしてから解像度の変換を行っている。
その後、ステップs70において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。欠陥検出は、領域毎に、上記処理を行った撮像画像とマスター画像の比較を行って差分を求め、その差分に基づいて欠陥があるかの判定を行う。
【0107】
ステップs65で重点検査箇所でない場合(ステップs65、No)、位置合わせ以外の画像処理の手法として、簡易(高速)な低解像度変換を決定して実行する(ステップs68)。簡易(高速)な低解像度変換としては、最近傍などの手法を用いることができる。その後、位置合わせの手法として、簡易(高速)な位置合わせを決定し、実行する(ステップs69)。簡易(高速)な位置合わせとしては、ピクセルの位置合わせ、XY移動のみ、同一色の場合位置合わせしない、白紙の領域は位置合わせしない、などの手法を用いることができる。
簡易(高速)な処理を行う場合、解像度の変換を行ってから位置合わせを行っている。
その後、ステップs70において、欠陥検出を行い、検出後、手順を終了する。
【0108】
次に、画像の位置合わせ処理と位置合わせ以外の画像処理、ここでは解像度変換の処理の順番について説明する。
前記したように、高精度の処理を行う場合は、画像の位置合わせを行った後で、解像度変換を行い、簡易(高速)な処理を行う場合は、解像度変換を行った後で、画像の位置合わせを行っている。この例を
図10に示す。なお、この例では、マスター画像は参照画像として示されている。
左側の画像は検査用の画像処理が行われる前の画像であり、中央の例は、解像度変換をした後で、画像の位置合わせをした例であり、右側の画像は、画像の位置合わせをした後で解像度変化を行ったものである。中央の画像は、処理後の画像の鮮明度が損なわれており、右側の画像の方が画像の鮮明度が高い。しかし、中央の処理時間よりも右側の処理時間の方が長くなっている。したがって、精度と速度を考慮して順番を決定することができる。高精度の処理を行う場合や簡易な処理を行う場合でも、位置合わせと解像度の変換の順番を変えた処理を行うものとしてもよい。
【0109】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲が上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは、上記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 画像形成システム
2 ネットワーク
3 外部装置
10 画像形成装置
11 画像形成部
13 搬送路
20 読取装置
24 画像読取部
25 画像読取部
100 画像制御部
115 不揮発メモリ
119 HDD
140 操作部
200 読取制御部
300 外部装置制御部
310 外部操作部