(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】浴槽水循環型吐水装置又はそれを備えた浴槽装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/20 20060101AFI20220524BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A47K3/20
A47K3/00 E
(21)【出願番号】P 2018038165
(22)【出願日】2018-03-05
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智久
(72)【発明者】
【氏名】松本 将剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 隆弘
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-126057(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0106533(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の湯水を取り込み、取り込んだ前記湯水を浴槽の水面よりも上方から浴槽内へ吐出させる浴槽水循環型吐水装置であって、
前記湯水を浴槽内へ吐出させる吐水孔が設けられた吐水部と、
浴槽内の湯水を前記吐水部へ供給する供給部と、
前記供給部による前記
浴槽内の湯水の供給動作を制御する制御部と、
前記
浴槽内の湯水の温度を検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が
、43度以下の所定の温度である第1温度より高い温度であった場合には、前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量を、前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が
前記第1温度であった場合に前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量以下の熱量になるように制御を行う自動制御機能を有することを特徴とする浴槽水循環型吐水装置。
【請求項2】
前記自動制御機能は、
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合には、記吐水孔から前記湯水を第1の流量で吐出可能とし、
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度より高い温度である第2温度であった場合には、前記吐水孔から前記湯水を前記第1の流量以下の流量である第2の流量で吐出可能とす
る請求項1に記載の浴槽水循環型吐水装置。
【請求項3】
前記自動制御機能は、
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合には、前記吐水孔から前記湯水を第1の流量で吐出可能とし、
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度より高い温度である第2温度であった場合には、前記吐水孔からの前記湯水の吐出を禁止す
る請求項1に記載の浴槽水循環型吐水装置。
【請求項4】
前記制御部は、水道水を前記吐水部へ供給するように制御可能であり、
前記自動制御機能は、
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合には、前記吐水孔から前記湯水を吐出可能とし、
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度より高い温度である第2温度であった場合には、前記水道水及び前記湯水を前記吐水孔から吐水可能とす
る請求項1に記載の浴槽水循環型吐水装置。
【請求項5】
前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第2温度であった場合に、前記吐水孔から吐水される前記水道水及び前記湯水のうち前記湯水の流量は、前記検出部によって検出された前記
浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合に、前記吐水孔から吐水される前記湯水の流量より、少なくなるように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の浴槽水循環型吐水装置。
【請求項6】
浴槽と、前記浴槽内に使用者が設定した温度の湯水を給水する給水部と、前記浴槽内の湯水を取り込み、取り込んだ前記湯水を前記浴槽の水面よりも上方から前記浴槽内へ吐出させる浴槽水循環型吐水装置と、を備えた浴槽装置であって、
前記浴槽水循環型吐水装置は、前記湯水を浴槽内へ吐出させる吐水孔が設けられた吐水部と、
前記浴槽内の湯水を前記吐水部へ供給する供給部と、
前記供給部による前記
浴槽内の湯水の供給動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、使用者が設定した前記
浴槽内の湯水の温度が
、43度以下の所定の温度である第1温度より高い温度であった場合には、前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量が、使用者が設定した前記
浴槽内の湯水の温度が
前記第1温度であった場合に前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量以下の熱量となるように制御を行う自動制御機能を有することを特徴とする浴槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内の湯水を取り込み、取り込んだ前記湯水を浴槽の水面よりも上方から浴槽内へ吐出させる浴槽水循環型吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽内の湯水を取り込み、浴槽の水面よりも上方から、浴槽内に居る入浴者の首に向かって取り込んだ湯水を吐出する浴槽水循環型吐水装置は知られている。人間の首には、皮膚表面から比較的近い位置に頸動脈や頸静脈などの太い血管が複数通っているため、このような浴槽水循環型吐水装置によって浴槽の水面より上方に出ている入浴者の首を暖めることで、入浴者の身体を早期に暖めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、浴槽内の湯水の温度は、入浴者の好みによって、例えば高めに設定されることがある。このような高い温度の湯水を、浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の首に吐出させてしまうと、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまう。その結果、頸動脈や頸静脈などの太い血管が急激かつ必要以上に暖められてしまい、入浴者が早期に逆上せてしまい、快適な入浴を長時間楽しめない、といった問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、浴槽内に居る入浴者の首に向かって取り込んだ湯水を吐出することができる浴槽水循環型吐水装置であって、浴槽内の湯水の温度が高い場合であっても入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制できる浴槽水循環型吐水装置又はそれを備えた浴槽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、浴槽内の湯水を取り込み、取り込んだ前記湯水を浴槽の水面よりも上方から浴槽内へ吐出させる浴槽水循環型吐水装置であって、前記湯水を浴槽内へ吐出させる吐水孔が設けられた吐水部と、浴槽内の湯水を前記吐水部へ供給する供給部と、前記供給部による前記浴槽内の湯水の供給動作を制御する制御部と、前記浴槽内の湯水の温度を検出する検出部と、を備え、前記制御部は、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が、43度以下の所定の温度である第1温度より高い温度であった場合には、前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量を、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合に前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量以下の熱量になるように制御を行う自動制御機能を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、検出部によって検出された湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合には、吐水孔から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が少なくなるように制御を行うため、高い温度の湯水を浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の肩に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制でき、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0007】
本発明において、好ましくは、前記自動制御機能は、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合には、記吐水孔から前記湯水を第1の流量で吐出可能とし、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度より高い温度である第2温度であった場合には、前記吐水孔から前記湯水を前記第1の流量以下の流量である第2の流量で吐出可能とする。
このように構成された本発明においては、検出部によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合には吐水孔から湯水を第1の流量で吐出可能とし、湯水の温度が第1温度より高い温度である第2温度であった場合には吐水孔から湯水を第1の流量以下の流量である第2の流量で吐出可能とするため、高い温度の湯水を浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0008】
本発明において、好ましくは、前記自動制御機能は、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合には、前記吐水孔から前記湯水を第1の流量で吐出可能とし、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度より高い温度である第2温度であった場合には、前記吐水孔からの前記湯水の吐出を禁止する。
このように構成された本発明においては、検出部によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合には吐水孔から湯水を第1の流量で吐出可能とし、湯水の温度が第1温度より高い温度である第2温度であった場合には吐水孔からの湯水の吐出を禁止するため、高い温度の湯水を浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0009】
本発明において、好ましくは、記制御部は、水道水を前記吐水部へ供給するように制御可能であり、前記自動制御機能は、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合には、前記吐水孔から前記湯水を吐出可能とし、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度より高い温度である第2温度であった場合には、前記水道水及び前記湯水を前記吐水孔から吐水可能とする。
このように構成された本発明においては、検出部によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合には吐水孔から湯水を吐出可能とし、湯水の温度が第1温度より高い温度である第2温度であった場合には水道水及び湯水を吐水孔から吐水可能とするため、高い温度の湯水を浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第2温度であった場合に、前記吐水孔から吐水される前記水道水及び前記湯水のうち前記湯水の流量は、前記検出部によって検出された前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合に、前記吐水孔から吐水される前記湯水の流量より、少なくなるように構成された。
このように構成された本発明においては、高い温度の湯水を浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の首に吐出した際に入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制するために、吐水孔から水道水を湯水に混ぜて吐出させた場合にも、吐水孔から吐出される全体の水の流量が上昇してしまうことで流速が上昇してしまうことを抑制できる。
したがって、吐水孔から水道水を湯水に混ぜて吐出させた場合にも、設計者が狙った入浴者の首の位置に水が当たらなくなってしまうことを抑制でき、入浴者は首への打たせ湯効果を受けることができるため、快適な入浴を楽しめるようになる。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明は、浴槽と、前記浴槽内に使用者が設定した温度の湯水を給水する給水部と、前記浴槽内の湯水を取り込み、取り込んだ前記湯水を前記浴槽の水面よりも上方から前記浴槽内へ吐出させる浴槽水循環型吐水装置と、を備えた浴槽装置であって、前記浴槽水循環型吐水装置は、前記湯水を浴槽内へ吐出させる吐水孔が設けられた吐水部と、前記浴槽内の湯水を前記吐水部へ供給する供給部と、前記供給部による前記浴槽内の湯水の供給動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、使用者が設定した前記浴槽内の湯水の温度が、43度以下の所定の温度である第1温度より高い温度であった場合には、前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量が、使用者が設定した前記浴槽内の湯水の温度が前記第1温度であった場合に前記吐水孔から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量以下の熱量となるように制御を行う自動制御機能を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、使用者が設定した湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合には、吐水孔から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が少なくなるように制御を行うため、高い温度の湯水を浴槽水循環型吐水装置によって入浴者の肩に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制でき、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の浴槽水循環型吐水装置又はそれを備えた浴槽装置によれば、浴槽内に居る入浴者の首に向かって取り込んだ湯水を吐出することができる浴槽水循環型吐水装置であって、浴槽内の湯水の温度が高い場合であっても入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽装置を示す概略斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って見た概略断面図である。
【
図5】
図3に示す本発明の実施形態による浴槽用吐水装置を拡大して紙面の左右を反転した状態で示す部分拡大断面図である。
【
図6】
図3のVI-VI線に沿って見た断面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿って見た断面図である。
【
図8】
図5のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【
図9】本発明の実施形態による浴槽用吐水装置を正面から見た正面図である。
【
図10】本発明の実施形態による浴槽用吐水装置の貯留室に流入した水が、傾斜部及び絞り流路を通って吐水口部から吐水される様子を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態による浴槽用吐水装置が設けられた浴槽内に座っている使用者に対し、吐水口部からの吐水が行われている様子を示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の他の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の他の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の他の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の実施形態による浴槽装置における、検出部によって検出された浴槽内の水と吐水口部から吐出される水の熱量の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽装置を説明する。
図1は本発明の実施形態による浴槽用吐水装置が適用される浴槽装置を示す概略斜視図であり、
図2は
図1の上面図であり、
図3は
図2のIII-III線に沿って見た概略断面図であり、
図4は
図1の側面図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置(浴槽水循環型吐水装置)1が適用される浴槽装置3は、浴槽2と、使用者Hが操作部30(後述)を操作することによって、浴槽2内へ湯水を供給させる給水部10と、を備える。浴槽用吐水装置1は、浴槽2に設置されている。浴槽2は、給水部10から供給された水(湯を含む)を貯留する。なお、本実施形態において、浴槽用吐水装置1の後述する吐水部5の吐水口部(吐水孔)4が設けられる側を前方向、これと反対側の貯留室36が設けられる側を後方向、吐水口部4を正面から見た状態で右側を右方向、左側を左方向という。給水部10が浴槽2内へ供給する水の温度は、使用者Hが操作部30(後述)を操作することによって、設定される。
【0016】
浴槽2は、底部2aと、使用者Hの背中が接する短辺側の縦壁2bと、浴槽2の長辺側の側壁2dと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。上端部2cは、浴槽内に座っている使用者Hの上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さとして設定されている。側壁2dには第1取水口6及び第2取水口22が形成されている。
浴槽2は、浴槽2の壁面の上部を水平方向で弧状に形成したいわゆるラウンドタイプの浴槽である。なお、浴槽2は、浴槽2の壁面の上部を水平方向で円弧状に形成したいわゆるクレイドルタイプの浴槽、円形の浴槽、又は縦壁2bが長辺を形成するようなワイドタイプの浴槽であってもよい。
【0017】
図3に示すように、浴槽用吐水装置1は、供給管から供給される水を浴槽2内に吐水させる。浴槽用吐水装置1は、浴槽2の上端部2cの内側縁部分に配置されている。浴槽用吐水装置1には、水を浴槽2内に向けて水平向き且つ帯状に吐水させる吐水部5の吐水口部4が形成されている。
【0018】
図3及び
図4に示すように、浴槽装置3は、さらに、第1取水口6から延びる第1流路8と、第1流路8上に設けられ且つ浴槽2内の水を吸引して下流側に圧送するポンプ(供給部)10と、第1流路8の下流端で水の流れを制御する三方弁12と、三方弁12から吐水口部4側に延びる第2流路14と、三方弁12から第2流路14と別に延びる第3流路16と、第3流路16から供給された水を浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部18と、第2流路14の下流部分に設けられるジェットポンプユニット20と、第2取水口22からジェットポンプユニット20まで延びる第4流路24と、ジェットポンプユニット20から垂直上方に延びる上昇管26と、ポンプ10及び三方弁12を制御する制御部28と、浴槽2内の水の温度を検出する湯温センサ(検出部)9と、使用者Hが操作する操作部30と、を備えている。検出部9は、制御部28により制御されるようになっている。なお、この検出部9は、浴槽2の内壁において、吐水装置1が設置されている壁面側ではなく、第1取水口6又は第2取水口22が形成されている壁面側に形成されていることが、より好ましい。
【0019】
ポンプ10は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により駆動制御されるようになっている。
【0020】
三方弁12は、第1流路8から供給される水を、第2流路14、及び第3流路16のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給することができる。三方弁12は、流量の分配割合を自由に変更することができる。三方弁12は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により電気的に開閉制御されるようになっている。第2流路14は、三方弁12からジェットポンプユニット20まで延びる流路を形成している。
【0021】
制御部28は、浴室の壁面(図示せず)の裏側に取付けられている。制御部28は、ポンプ10、三方弁12、操作部30等と、電気的に接続され、上述の各部分を操作できるようになっている。制御部28は、操作部30からの操作信号を受けて又は記憶されたプログラム等に従って各機器の制御を行う。制御部28は、浴槽用吐水装置1を適切に制御することができるようなメモリ等の記憶装置(図示せず)及び演算装置(図示せず)を備えている。
【0022】
操作部30は、使用者Hが浴槽用吐水装置1のON、OFFを操作できるように設けられ、浴室内の壁面に取付けられている。使用者Hが操作部30を操作した情報が電気信号により操作部30から制御部28に送られる。
【0023】
ジェットポンプユニット20は、ジェットポンプ作用により引き込まれる水が貯留されるチャンバー部32と、第2流路14の下流端に配置されたジェットノズル34と、を備えている。浴槽用吐水装置1はジェットポンプユニット20を採用することにより比較的小型のポンプ10を使用して吐水口部4から大流量の肩湯吐水を行うことができる。
【0024】
チャンバー部32は、箱型の貯水室を形成し、第4流路24の下流端がチャンバー部32に接続されている。チャンバー部32は、浴槽2と連通されている。チャンバー部32の底部には、ジェットノズル34が垂直上方に向けて取りつけられている。チャンバー部32の上面においては、このジェットノズル34と対向する位置に開口が形成され、この開口から上昇管26が上方に延びている。
【0025】
ジェットノズル34は、ポンプ10から供給された水をチャンバー部32を通して上昇管26内に向けて噴射する。ジェットノズル34は、チャンバー部32を通るように水を噴射するので、チャンバー部32内から水を引き込むジェットポンプ作用を誘発させる。ジェットノズル34は、その内部の流路の径を、ジェットノズル34の上流側の第2流路14の径よりも絞るように形成されている。従って、ポンプ10により圧送された水は、ジェットノズル34内でさらに加速され、ジェットノズル34から高速の水流として噴出される。ジェットノズル34から噴射された高速の噴流は、チャンバー部32内の水を引き込むことによりその流量が増大され且つ流速が減少する。
上昇管26は、チャンバー部32から垂直上方に延びる円管状の流路を形成している。
【0026】
次に、
図5乃至
図9を参照して、浴槽用吐水装置1について説明する。
図5は
図3に示す本発明の実施形態による浴槽用吐水装置を拡大して紙面の左右を反転した状態で示す部分拡大断面図であり、
図6は
図3のVI-VI線に沿って見た断面図であり、
図7は
図6のVII-VII線に沿って見た断面図であり、
図8は
図5のVIII-VIII線に沿って見た断面図であり、
図9は本発明の実施形態による浴槽用吐水装置を正面から見た正面図である。
【0027】
浴槽用吐水装置1は、上昇管26から流入した水を、一時的に貯留するとともに自身の内部に広げる貯留室36と、貯留室36と絞り流路38との間に設けられる傾斜部42と、左右方向に延びる幅広形状に形成された吐水部5の吐水口部4と、貯留室36よりも絞られた流路を形成し且つ吐水口部4まで延びる絞り流路38とを有している。
【0028】
貯留室36は、上昇管26の下流端に接続されている。貯留室36は、その内部が左右方向に延びて形成されている。貯留室36は、上面視で、側壁36eの前方側が左右方向に広がるように形成されている。貯留室36の側壁36eは、後方側から前方側に向かうにつれ徐々に前方向きに湾曲するように形成されている。貯留室36は、左右方向に広がる流路を形成しており、貯留室36において水を減速させ且つ一時的に貯留するとともに、水を左右方向に広げるようになっている。
【0029】
貯留室36には、上昇管26の接続部と傾斜部42との間にリブ44が設けられている。このリブ44は、上昇管26の接続部の近傍に配置される。リブ44は、天井面36dから下方に突出する凸部を形成し且つ対向する底面36bとの間の流路断面積を小さくするように形成されている。リブ44は、貯留室36の右側の側壁36eから左側の側壁まで貯留室36内を左右方向に横断するように形成される。なお、リブ44が、側壁36eの近傍領域においてのみ形成されていてもよい。
【0030】
リブ44により、流路断面積が小さくされ、貯留室36に流入して減速された水流を再び加速させ、貯留室36の側壁36eに沿って流れる水が側壁36eの湾曲面から剥離することにより渦流を形成することを抑制する。リブ44と貯留室36の底面36bとの間の流路断面積が、左右方向にほぼ均一に狭くなっているので、水が左右方向においてほぼ均一に前方向きに加速される。リブ44は、下流側の絞り流路38に流入する水の流量を左右方向でほぼ均一にするような左右流量均一手段を形成している。
【0031】
傾斜部42は、貯留室36と絞り流路38との間の底面において、貯留室36から絞り流路38に向かって上昇する傾斜面を形成している。傾斜部42は、左右方向に同じ形状で形成され、いずれの位置においても前後方向の長さ及び傾斜角度が一定に形成されている。傾斜部42は、上下方向の流路断面積を、前方側に向かうにつれて徐々に小さくするように形成されている。よって、傾斜部42は、水の流れを乱すことを抑制しながら徐々に加速させることができる。
【0032】
貯留室36との接続部分である傾斜部42の上流端42aが、吐水口部4の左右端部分4bを結ぶ仮想線Aと平行に延びるように形成されている。絞り流路38との接続部分である傾斜部42の下流端42b(及び絞り流路38の入口38b)も、吐水口部4の左右端部分4bを結ぶ仮想線Aと平行に延びるように形成されている。傾斜部42の上流端42aから絞り流路38の中央部分38cを通り吐水口部4までの前後方向の長さL2は、上流端42aから絞り流路38の左右端部分38dを通り吐水口部4までの前後方向の長さL1よりも短く形成されている。
【0033】
吐水口部4は、浴槽2の上端部2c上で内側且つ水平向きの開口を形成し、左右方向に幅広の水流を浴槽内に座っている状態の使用者の首や肩方向に向けて吐水させる肩湯吐水を行うようになっている。吐水口部4は、上面視で、この吐水口部4の左右方向の中央部分4aが左右端部分4bよりも後方に位置するように湾曲して形成されている。吐水口部4は、上面視で弧状の縦壁2bに沿うように弧状に形成されている。また、吐水口部4は、正面視で、長方形の開口を形成している。吐水口部4の開口の幅は、使用者の肩幅程度に形成され、その開口の高さは数ミリ程度に形成され、吐水口部4から膜状の吐水がなされるようになっている。
【0034】
次に、
図5乃至
図9により、絞り流路38について詳細に説明する。
絞り流路38は、傾斜部42と吐水口部4との間に形成されている。絞り流路38は、流路の高さが貯留室36及び傾斜部42内の流路の高さよりも低く形成されている。さらに、絞り流路38は、流入した水を加速させるように、貯留室36の流路断面積及び傾斜部42の流路断面積より小さい流路断面積を有する。絞り流路38の底面38aは、ほぼ平坦に形成されている。絞り流路38、傾斜部42及び貯留室36の底面には、水の残留を抑制する水抜き用の溝部40が形成されている。
【0035】
絞り流路38は、上面視で、入口38bが直線状に形成され、出口(吐水口部4)の左右方向の中央部分38cが左右端部分38dよりも後方に位置するように湾曲して形成されている。絞り流路38は、中央部分38cを通過する水の流速の低下を、中央部分38cよりも左右端側の左右端部分38dを通過する水の流速の低下よりも小さくさせる流速調整手段を備えている。絞り流路38の流速調整手段は、絞り流路38の中央部分38cの長さX2を、左右端部分38dの長さX1より短くすることにより形成される。長さX2は、中央部分38cの入口38bから吐水口部4までの長さである。長さX1は、左右端部分38dの入口38bから吐水口部4までの長さである。なお、絞り流路38は、入口38bから吐水口部4までの流路の高さH1を一定に形成している。さらに、絞り流路38の流速調整手段においては、絞り流路38の中央部分38cから左右端部分38dまでの流路の高さH1が一定に形成されている。これにより、流路の高さを変更することなく、中央部分38cを通過する水の圧力損失を、左右端部分38dを通過する水の圧力損失よりも小さくさせることができる。よって、吐水口部4の高さを中央部分38cから左右端部分38dまで一定の高さとすることで、幅広の膜状に吐出された水の膜厚が乱れてしまって吐出された膜状の水が左右に分断されてしまうことを抑制しながらも、吐水口部4の中央部分38cから吐水される水の流速を、吐水口部4の左右端部分38dから吐水される水の流速よりも大きくすることができる。なお、高さH1が一定には、中央部分38cの高さと左右端部分38dの高さとの差が所定範囲内となるほぼ一定の場合、例えば、中央部分38cの高さが、左右端部分38dの高さの90%~110%の高さとなる場合も含まれる。
【0036】
図8に示すように、絞り流路38の入口38bは、長方形形状に形成され、中央部分38cから左右端部分38dまで流路の高さH1が一定に形成されている。また、
図9に示すように、絞り流路38の出口である吐水口部4も、正面視で長方形形状に形成され、中央部分38c(中央部分4a)から左右端部分38d(左右端部分4b)まで流路の高さH2が一定に形成されている。吐水口部4の流路の高さH2は絞り流路38の流路の高さH1よりもわずかに低く絞られている。なお、吐水口部4の流路の高さH2は絞り流路38の流路の高さH1と同じにされてもよい。なお、高さH2が一定には、中央部分4aの高さと左右端部分4bの高さとの差が所定範囲内となるほぼ一定の場合、例えば、中央部分4aの高さが、左右端部分4bの高さの90%~110%の高さとなる場合も含まれる。
【0037】
次に、
図10及び
図11により、浴槽用吐水装置1による吐水口部4からの吐水の動作(作用)を説明する。
使用者Hの操作部30の操作により制御部28はポンプ10を駆動させる。ポンプ10は、浴槽2内の水を第1流路8から吸引し、下流側の第2流路14に圧送する。水は、第2流路14からジェットノズル34に供給され、ジェットノズル34から噴射された湯水がジェットポンプ作用によりチャンバー部32内の水を引き込みながら上昇管26を上昇し、貯留室36内に流入する。
【0038】
図10に示すように、上昇管26から貯留室36内に流入した水は、矢印F1に示すように、貯留室36において減速されるとともに左右方向に広がるように流れる。この水は、側壁36eの湾曲した面から剥離する等して渦流を形成する前に、リブ44と底面36bとの間に流入する。このとき、リブ44と底面36bとの間の流路断面積が、狭くなっているので、水が、矢印F2に示すように、加速される。F2はリブ44の下部を流れるため点線により示す。このとき、リブ44と底面36bとの間の流路断面積は、左右方向においてほぼ均一に狭くなっているので、水が左右方向のいずれの位置においてもほぼ均一に加速される。このとき、リブ44は各水流のベクトルを維持したまま加速させている。従って、水が加速されることにより、渦流を形成してしまうことを抑制することができるとともに、左右方向においてほぼ均一に整流された流れを形成することができる。
【0039】
リブ44を通過した水は、矢印F3に示すように、貯留室36内で再減速されるとともにさらに左右方向に広がるように流れる。このとき、水は、渦流を形成してしまうほどに乱れることは抑制され、左右方向のいずれの位置においてもほぼ均一に整流された流れを維持することができる。
【0040】
傾斜部42は、流路断面積を、前方側に向かうにつれて徐々に小さくするように形成されている。よって、左右方向に広がった水は、矢印F4に示すように、傾斜部42において再び徐々に加速される。また、貯留室36と傾斜部42との接続部分である傾斜部42の上流端42aが、吐水口部4の左右端部分4bを結ぶ仮想線Aと平行に延びるように形成されている。よって、水が乱れを抑制し且つ水流のベクトルを維持したまま上流端42aから傾斜部42に流入される。従って、水が仮想線Aに対して比較的均等に広がるように流れることができる。また、絞り流路38と傾斜部42との接続部分である傾斜部42の下流端42b(及び絞り流路38の入口38b)が、仮想線Aと平行に延びるように形成されている。よって、水が乱れを抑制し且つ水流のベクトルを維持したまま下流端42bから絞り流路38に流入される。従って、水が仮想線Aに対して比較的均等に広がるように流れることができる。よって、水の流れが、傾斜部42において、乱されることを抑制しながら徐々に加速され、左右方向にほぼ均一に整流された流れを維持した状態で絞り流路38に流入される。
本実施形態のような傾斜部42の構造によれば、後述する比較例のように傾斜部42の上流端42aや下流端42bが吐水口部4の形状に対応して湾曲して形成されている場合のように湾曲した傾斜部42に沿って水流のベクトルが曲がり左右均一な吐水が行えなくなることを防ぐことができる。
なお、「平行」には、絞り流路38と傾斜部42との接続部分が、仮想線Aに対して比較的小さい角度範囲内で傾斜するほぼ平行な場合、例えば、絞り流路38と傾斜部42との接続部分が、仮想線Aに対して-5度~5度の角度で傾斜する場合も含まれる。同様に、「平行」には、貯留室36と傾斜部42との接続部分が、仮想線Aに対して比較的小さい角度範囲内で傾斜するほぼ平行な場合、例えば、貯留室36と傾斜部42との接続部分が、仮想線Aに対して-5度~5度の角度で傾斜する場合も含まれる。
【0041】
傾斜部42から流入した水は、絞り流路38においてさらに加速される。水は、矢印F5に示すように、絞り流路38の入口38bから、流入したときのほぼ均一に整流された流れ方向を維持した状態で吐水口部4まで流れる。このように絞り流路38は、基本的には水を加速する機能を有するが、例えば底面38a(
図5参照)や天井面等の流路の壁面の抵抗による圧力損失により、絞り流路38を通過する水は流速が所定量低下される。
図6に示すように、絞り流路38の流速調整手段により、絞り流路38の中央部分38cを通過する水の圧力損失を、左右端部分38dを通過する水の圧力損失よりも小さくさせることができる。よって、中央部分38cを通過する水の流速の低下が、左右端部分38dを通過する水の流速の低下よりも小さくされている。よって、吐水口部4の中央部分4aから吐水される水の流速を、左右端部分4bから吐水される水の流速よりも大きくすることができる。
【0042】
図10において矢印F6で示し、さらに、
図11にも示すように、吐水口部4から吐水された水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した帯状(水膜状)の流水の流れとして空中に放物線を描いて下方に流下する。吐水口部4の中央部分4aから吐水される水の飛距離は、吐水口部4の左右端部分4bから吐水される水の飛距離よりも大きくされる。よって、浴槽2内に座った姿勢の使用者Hの肩、背中等の上半身への着水範囲Bは左右方向に直線状に形成された範囲となる。着水範囲Bは左右方向においてほぼ同じ高さとなり、左右方向において比較的均一となる。使用者Hに対して線状の吐水がなされるため、吐水された水を使用者Hに効率的に着水させることができ、また使用者Hに比較的均一な浴び心地を与えることができ、使用者Hの浴び心地を向上させることができる。
【0043】
上述した本発明の実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、絞り流路38は、絞り流路38の中央部分38cを通過する水の流速の低下を、左右端部分38dを通過する水の流速の低下よりも小さくさせるような流速調整手段を備えているので、吐水口部4の中央部分4aから吐水される水の流速を、吐水口部4の左右端部分4bから吐水される水の流速よりも大きくすることができる。よって、吐水口部4の中央部分4aから吐水される水を、左右端部分4bから吐水される水よりも前方の位置に吐水することができる。従って、本発明によれば、吐水口部4の開口部分の中央部分4aが左右端部分4bよりも後方に位置するように吐水口部4が湾曲して形成されていても、使用者の肩付近に向けて吐水される水流の吐水形状が湾曲されにくく且つ線状にされることができ、使用者の浴び心地を向上させることができる。
また、本発明によれば、貯留室36に流入した水は貯留室36において左右方向に広げられた後に、流速調整手段を備える絞り流路38を通過する。これにより、左右方向に幅広の吐水の水流が形成されやすくなると共にこの水流の吐水形状が湾曲されにくく且つ線状にされることができ、使用者の浴び心地を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、絞り流路38の流速調整手段は、絞り流路38の中央部分38cの前後方向の長さX2を、左右端部分38dの前後方向の長さX1より短くすることにより形成される。これにより、絞り流路38の中央部分38cを通過する水の圧力損失を、左右端部分38dを通過する水の圧力損失よりも小さくさせることができる。よって、吐水口部4の中央部分4aから吐水される水の流速を、吐水口部4の左右端部分4bから吐水される水の流速よりも大きくすることができる。従って、本発明によれば、吐水口部4の開口部分の中央部分4aが左右端部分4bよりも後方に位置するように吐水口部4が湾曲して形成されていても、比較的簡単な構成により、使用者の肩付近に向けて吐水される水流の吐水形状が湾曲されにくくすることができる。
【0045】
さらに、本発明の実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、吐水口部4は、中央部分4aから左右端部分4bまでの流路の高さを一定にすることにより形成される。これにより、吐水口部4の中央部分4aを通過する水の圧力損失を、左右端部分4bを通過する水の圧力損失よりも小さくさせることができる。よって、本発明によれば、吐水口部4の高さを中央部分4aから左右端部分4bまで一定の高さすることで、幅広の膜状に吐出された水の膜厚が乱れてしまって吐出された膜状の水が左右に分断されてしまうことを抑制しながらも、吐水口部4の中央部分4aから吐水される水の流速を、吐水口部4の左右端部分4bから吐水される水の流速よりも大きくすることができる。
【0046】
さらに、本発明の実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、傾斜部42は、絞り流路38に向かう水が加速され且つ乱流を発生させることを抑制する。さらに、この傾斜部42と絞り流路38との接続部分が、吐水口部4の左右端部分4bを結ぶ仮想線Aと平行に延びるように形成されている。従って、絞り流路38に、中央部分38cを通過する水の流速の低下を、左右端部分38dを通過する水の流速の低下よりも小さくさせるような流速調整手段が形成されている場合においても、傾斜部42から絞り流路38に流入する水が、仮想線Aに対して比較的均等に広がるように流れることができる。よって、本発明によれば、傾斜部42から絞り流路38に流れる水が、水の流速の低下が小さい中央部分38cの流れに引かれて、縮流を生じさせてしまうことを抑制できる。これにより、使用者Hの肩付近に向けて吐水される水流の吐水形状が乱れることを抑制できる。
【0047】
さらに、本発明の実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、傾斜部42によって、絞り流路38に向かう水が加速され且つ乱流を発生させることを抑制する。さらに、貯留室36と傾斜部42との接続部分が、吐水口部4の左右端部分4bを結ぶ仮想線Aと平行に延びるように形成されている。従って、絞り流路38に、中央部分38cを通過する水の流速の低下を、左右端部分38dを通過する水の流速の低下よりも小さくさせるような流速調整手段が形成されている場合においても、貯留室36から傾斜部42に流れる水が、仮想線Aに対して比較的均等に広がるように流れることができる。よって、本発明によれば、傾斜部42から絞り流路38に流入する水が、比較的均等に広がるように流れ、水の流速の低下が小さい中央部分38cの流れに引かれて、縮流を生じさせてしまうことを抑制できる。これにより、使用者Hの肩付近に向けて吐水される水流の吐水形状が乱れることを抑制できる。
【0048】
図12は、本発明の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【0049】
操作部30を使用者Hが操作すると(S100)、制御部28は、ポンプ10を動作させ、吐水部5の吐水口部4から浴槽2内の湯水を吐水させる(S102)。この際、検出部9は、浴槽2内の湯水の温度を検出する(S104)。
【0050】
検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が第1温度より高い温度、例えば43度より高い温度であった場合、制御部28は、ポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させる(S106)。この設定値とは、例えば、「検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が、第1温度以下の温度、例えば43度以下の温度であった場合の、ポンプ10の回転数」である。なお、検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が第1温度以下の温度であった場合は、制御部28はポンプ10の回転数を維持し続ける。制御部28がポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させると、吐水部5の吐水口部4から吐水される浴槽2内の湯水の水量および流速が、減少する(S108)。そして、制御部28は、本一連の制御動作を終了させる(S110)。
なお、第1温度は、設計者によって制御部28に予め設定された温度である。また、本制御動作を、所定時間毎、例えば10分に1度、行うように自動制御されるものであっても良い。また、本制御動作を、操作部30を使用者Hが操作する度に、自動的に行うようなものであっても良い。
【0051】
本発明の実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1の温度であった場合には、吐水部5の吐水口部4から湯水を第1の流量で吐出可能としている。詳述すると、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1の温度以下の温度であった場合には、吐水部5の吐水口部4からの湯水の流量を変化させずに吐出可能としている。そして、湯水の温度が43度より高い温度である、第1温度より高い温度である第2温度、であった場合には、吐水部5の吐水口部4から湯水を第1の流量より少ない流量である第2の流量で吐出可能とする。このため、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0052】
図13は、本発明の他の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【0053】
操作部30を使用者Hが操作すると(S200)、制御部28は、ポンプ10を動作させ、吐水部5の吐水口部4から浴槽2内の湯水を吐水させる(S202)。この際、検出部9は、浴槽2内の湯水の温度を検出する(S204)。
【0054】
検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が第1温度より高い温度、例えば43度より高い温度であった場合、制御部28は、ポンプ10の回転を停止させるように動作させる(S206)。この設定値とは、例えば、「検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が、第1温度以下の温度、例えば43度以下の温度であった場合の、ポンプ10の回転数」である。なお、検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が第1温度以下の温度であった場合は、制御部28はポンプ10の回転数を維持し続ける。制御部28がポンプ10の回転が停止させると、吐水部5の吐水口部4からの浴槽2内の湯水の吐出も停止する(S208)。そして、制御部28は、本一連の制御動作を終了させる(S210)。
なお、第1温度は、設計者によって制御部28に予め設定された温度である。また、本制御動作を、所定時間毎、例えば10分に1度、行うように自動制御されるものであっても良い。また、本制御動作を、操作部30を使用者Hが操作する度に、自動的に行うようなものであっても良い。
【0055】
本実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1温度であった場合には吐水部5の吐水口部4から湯水を第1の流量で吐出可能としている。詳述すると、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1の温度以下の温度であった場合には、吐水部5の吐水口部4からの湯水の流量を変化させずに吐出可能としている。そして、湯水の温度が43度より高い温度である、第1温度より高い温度である第2温度、であった場合には吐水部5の吐水口部4からの湯水の吐出を禁止する。このため、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0056】
図14は、本発明の他の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【0057】
操作部30を使用者Hが操作すると(S300)、制御部28は、ポンプ10を動作させ、吐水部5の吐水口部4から浴槽2内の湯水を吐水させる(S302)。この際、検出部9は、浴槽2内の湯水の温度を検出する(S304)。
【0058】
検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が第1温度より高い温度、例えば43度より高い温度であった場合、制御部28は、ポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させる(S306)。この設定値とは、例えば、「検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が、第1温度以下の温度、例えば43度以下の温度であった場合の、ポンプ10の回転数」である。なお、検出部9が検出した浴槽2内の湯水の温度が第1温度以下の温度であった場合は、制御部28はポンプ10の回転数を維持し続ける。制御部28がポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させると、吐水部5の吐水口部4から吐水される浴槽2内の湯水の水量および流速が、減少する(S308)。なお、第1温度は、設計者によって制御部28に予め設定された温度である。
【0059】
制御部28がポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させ、吐水部5の吐水口部4から吐水される浴槽2内の湯水の水量および流速が減少すると、制御部28は、ジェットポンプユニット20のチャンバー部32と図示しない給水管とを繋ぐ経路を開閉するための電磁弁(図示なし)を開く制御を実行する(S310)。その結果、チャンバー部32内に、給水管から水道水が流入される。吐水部5の吐水口部4からは、浴槽2内の湯水と水道水とが混ざって吐出されるため、浴槽2内の湯水より低い温度の湯水が吐出される(S312)。そして、制御部28は、本一連の制御動作を終了させる(S314)。
【0060】
本実施形態において、電磁弁は、開弁されてから所定時間、例えば3分経過した後、自動的に閉じるように制御されても良い。このことにより、必要以上に浴槽2内の水位が上昇してしまうことを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態において説明した通り、電磁弁は、吐水部5より上流側に設置されることが好ましい。このことにより、吐水部5の吐水口部4に水が流れるまでに、浴槽2内の湯水と水道水とがよく混ざることになり、吐出される湯水の温度が均一化されやすくなる。
【0062】
本実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1温度であった場合には吐水部5の吐水口部4から浴槽2内の湯水を吐出可能としている。詳述すると、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1の温度以下の温度であった場合には、吐水部5の吐水口部4からの湯水の流量を変化させずに吐出可能としている。そして、湯水の温度が43度より高い温度である、第1温度より高い温度である第2温度、であった場合には、水道水及び湯水を吐水口部4から吐水可能とする。このため、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0063】
また、本実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、検出部9によって検出された湯水の温度が43度より高い温度である、第1温度より高い温度である第2温度、であった場合に、水道水及び浴槽2内からの湯水のうち浴槽2内からの湯水の流量は、検出部9によって検出された湯水の温度が43度である第1温度であった場合にポンプ10から供給される浴槽2内からの湯水の流量より、少なくなるように構成されている。したがって、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の首に吐出した際に入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制するために、吐水口部4から水道水を浴槽2内からの浴槽2内からの湯水に混ぜて吐出させた場合にも、吐水口部4から吐出される全体の水の流量が上昇してしまうことで流速が上昇してしまうことを抑制できる。したがって、吐水口部4から水道水を浴槽2内からの湯水に混ぜて吐出させた場合にも、設計者が狙った入浴者の首の位置に水が当たらなくなってしまうことを抑制でき、入浴者は首への打たせ湯効果を受けることができるため、快適な入浴を楽しめるようになる。
【0064】
本実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、検出部9によって検出された湯水の温度が43度より高い温度である、第1温度より高い温度である第2温度であった場合に、水道水及び湯水を吐水口部4から吐水可能とする。また、入浴者の体温、例えば37度に湯温が近づくと水道水からの給水を止める制御を行っても良い。これによって、水道水を加えて浴槽2内の温度が下がってしまい入浴者の体温より低い温度となることを防ぎ、入浴者が快適な温度で長時間入浴を楽しめるようになる。
【0065】
以上説明した通り、本発明の実施形態においては、浴槽2内の湯水を取り込み、取り込んだ湯水を浴槽2の水面よりも上方から浴槽2内へ吐出させる浴槽用吐水装置1であって、湯水を浴槽2内へ吐出させる吐水口部4が設けられた吐水部5と、浴槽2内の湯水を吐水部5へ供給するポンプ10と、ポンプ10による湯水の供給動作を制御する制御部28と、湯水の温度を検出する検出部9と、を備え、制御部28は検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合には、吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が、検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合に吐水口部4から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量より、少なくなるように制御を行う自動制御機能を有する。このことを表したグラフが、
図16である。即ち、制御部28は検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合には、吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が、検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合に吐水口部4から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量Q1より、小さい熱量Q2になるように制御を行う。なお、制御部28は検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合に、吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が、検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合に吐水口部4から吐水される前記湯水の単位時間当たりの合計熱量Q1と同じ熱量になるように制御を行うものであっても、良い。
このことにより、検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合には、吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が少なくなるように制御を行うため、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の肩に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制でき、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0066】
本発明は、
図12~14に示した制御動作に限らず、例えば、検出部9によって検出された湯水の温度が43度より高い温度である、第1温度より高い温度である第2温度であった場合に、吐水部5へ送水する浴槽2内の水の導水経路を、ヒートシンク機能を有する経路を通るように切り替える制御を行うものであっても良い。ヒートシンク機能を有する経路とは、例えば、検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合に吐水部5へ送水する浴槽2内の水の導水経路よりも、放熱性が高い素材で形成された管路である。また、ヒートシンク機能を有する経路とは、例えば、検出部9によって検出された湯水の温度が第1温度であった場合に吐水部5へ送水する浴槽2内の水の導水経路よりも、長い管路である。
【0067】
図15は、本発明の他の実施形態による浴槽装置における、制御動作を示すフローチャートである。
【0068】
操作部30を使用者Hが操作すると(S400)、制御部28は、ポンプ10を動作させ、吐水部5の吐水口部4から浴槽2内の湯水を吐水させる(S402)。
【0069】
この際、浴槽2内の湯水の設定温度(例えば給湯時の温度)が第1温度より高い温度、例えば43度より高い温度であった場合、制御部28は、ポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させる(S404およびS406)。なお、浴槽2内の湯水の設定温度が第1温度以下の温度であった場合は、制御部28はポンプ10の回転数を維持し続ける。この設定値とは、例えば、「浴槽2内の湯水の設定温度が第1温度以下、例えば43度以下であった場合の、ポンプ10の回転数」である。制御部28がポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させると、吐水部5の吐水口部4から吐水される浴槽2内の湯水の水量および流速が、減少する(S108)。そして、制御部28は、本一連の制御動作を終了させる(S110)。なお、本制御動作を、操作部30を使用者Hが操作する度に、自動的に行うようなものであっても良い。
【0070】
図15に示した制御動作では、浴槽2内の湯水の設定温度(例えば給湯時の温度)が第1温度より高い温度、例えば43度より高い温度であった場合、制御部28は、ポンプ10の回転数を設定値より低くなるように動作させるものであったが、本発明はそれに限らない。例えば、浴槽2内の湯水の設定温度(例えば給湯時の温度)をトリガーに、
図13や
図14のような、ポンプ10の動作停止や、水道水混入を行っても良い。また、例えば、浴槽2内の湯水の設定温度(例えば給湯時の温度)をトリガーに、吐水部5へ送水する浴槽2内の水の導水経路を、ヒートシンク機能を有する経路を通るように切り替える制御を行うものであっても良い。なお、ヒートシンク機能を有する経路は、上述したような経路を指す。
【0071】
本実施形態による浴槽用吐水装置1によれば、
図12~
図14で示した制御動作と同様に、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の首に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制できるといった効果を奏するものである。したがって、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制でき、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0072】
以上説明した通り、本発明の実施形態においては、浴槽2と、浴槽内に使用者が設定した温度の湯水を給水する給水部10と、浴槽2内の湯水を取り込み、取り込んだ湯水を浴槽2の水面よりも上方から浴槽2内へ吐出させる浴槽用吐水装置1と、を備えた浴槽装置3であって、浴槽用吐水装置1は、湯水を浴槽2内へ吐出させる吐水口部4が設けられた吐水部5と、浴槽2内の湯水を吐水部5へ供給するポンプ10と、ポンプ10による湯水の供給動作を制御する制御部28と、を有し、制御部28は、使用者が設定した湯水の温度が第1温度より高い温度であった場合には、吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量を、使用者が設定した湯水の温度が第1温度であった場合に吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量より、少なくなるように制御を行う自動制御機能を有する。このことにより、使用者が設定した湯水の温度が第1温度以上であった場合には、吐水口部4から吐水される湯水の単位時間当たりの合計熱量が少なくなるように制御を行うため、高い温度の湯水を浴槽用吐水装置1によって入浴者の肩に吐出した際にも、入浴者の首が急激かつ必要以上に暖められてしまうことを抑制でき、入浴者が早期に逆上せてしまうことを抑制できる。したがって、入浴者はより快適な入浴を楽しめるようになる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴槽装置3や浴槽用吐水装置1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0074】
1 浴槽用吐水装置(浴槽水循環型吐水装置)
2 浴槽
3 浴槽装置
4 吐水口部(吐水孔)
5 吐水部
9 検出部
10 給水部
36 貯留室
38 絞り流路
38c 中央部分
38d 左右端部分
42 傾斜部
42a 上流端
42b 下流端