(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】クローラクレーン
(51)【国際特許分類】
B62D 55/10 20060101AFI20220524BHJP
B66C 23/36 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B62D55/10 B
B66C23/36 A
(21)【出願番号】P 2018103570
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107360(JP,A)
【文献】実開昭56-059487(JP,U)
【文献】特開2003-171088(JP,A)
【文献】特開2017-007777(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011102110(DE,A1)
【文献】特開2004-189219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/10
B66C 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラクレーンであって、
自走可能なクローラ式の下部走行体と、
上下方向に延びる旋回軸回りに旋回可能となるように前記下部走行体上に搭載された上部旋回体と、を備え、
前記下部走行体は、前記上部旋回体が旋回可能となるように当該上部旋回体を下から支えるカーボディと、前記カーボディの右側と左側とに分かれて配置されて前記下部走行体の走行を担う右クローラ装置及び左クローラ装置と、前記カーボディの前端部と前記右クローラ装置と前記左クローラ装置とを相互に連結する前側連結部と、前記カーボディの後端部と前記右クローラ装置と前記左クローラ装置とを相互に連結する後側連結部と、を含み、
前記右クローラ装置は、前記カーボディの右端部に分離可能に連結されて前後方向に延びる右クローラフレームと、その右クローラフレームの周りを囲むように配置され、地面に接地して周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出す右クローラと、を含み、
前記左クローラ装置は、前記カーボディの左端部に分離可能に連結されて前後方向に延びる左クローラフレームと、その左クローラフレームの周りを囲むように配置され、地面に接地して周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出す左クローラと、を含み、
前記右クローラフレームは、前記カーボディの前端よりも前側へ突出する右クローラフレーム前部と、前記カーボディの後端よりも後側へ突出する右クローラフレーム後部と、を有し、
前記左クローラフレームは、前記カーボディの
前端よりも
前側へ突出する左クローラフレーム前部と、前記カーボディの後端よりも後側へ突出する左クローラフレーム後部と、を有し、
前記前側連結部は、前記カーボディの前端部、前記右クローラフレーム前部及び前記左クローラフレーム前部のそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態で前記カーボディの前端部と前記右クローラフレーム前部と前記左クローラフレーム前部とを相互に連結するように構成され、
前記後側連結部は、前記カーボディの後端部、前記右クローラフレーム後部及び前記左クローラフレーム後部のそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態で前記カーボディの後端部と前記右クローラフレーム後部と前記左クローラフレーム後部とを相互に連結するように構成され、
前記前側連結部及び前記後側連結部のそれぞれは、ラチス構造をなすラチス部を少なくともその一部に有
し、
前記前側連結部及び前記後側連結部の前記ラチス部は、左右方向に延びるとともに互いに平行に配列された複数の主材と、その複数の主材の隣り合うもの同士を繋ぐ複数の副材とを有し、
前記複数の主材は、第1上側主材と、その第1上側主材よりも下側に位置する第1下側主材とを含み、
前記複数の副材は、前記第1上側主材と前記第1下側主材との間に当該第1上側主材及び当該第1下側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第1上側主材と当該第1下側主材とを繋ぐ第1上下連結副材を含む、クローラクレーン。
【請求項2】
前記第1下側主材は、前記第1上側主材の下方に配置され、
前記複数の主材は、前記第1上側主材に対して前後方向の一方側に配置された第2上側主材と、前記第1下側主材に対して前記一方側に配置されるとともに前記第2上側主材の下方に配置された第2下側主材とをさらに含み、
前記複数の副材は、前記第2上側主材と前記第2下側主材との間に当該第2上側主材及び当該第2下側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第2上側主材と当該第2下側主材とを繋ぐ第2上下連結副材と、前記第1上側主材と前記第2上側主材との間に当該第1上側主材及び当該第2上側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第1上側主材と当該第2上側主材とを繋ぐ第1前後連結副材と、前記第1下側主材と前記第2下側主材との間に当該第1下側主材と当該第2下側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第1下側主材と当該第2下側主材とを繋ぐ第2前後連結副材とをさらに含む、請求項
1に記載のクローラクレーン。
【請求項3】
前記前側連結部材は、前記右クローラフレーム前部に上下に離間した2箇所において結合するとともに、前記左クローラフレーム前部に上下に離間した2箇所において結合し、
前記後側連結部材は、前記右クローラフレーム後部に上下に離間した2箇所において結合するとともに、前記左クローラフレーム後部に上下に離間した2箇所において結合する、請求項1
又は2に記載のクローラクレーン。
【請求項4】
前記上部旋回体は、前記カーボディ上に搭載される旋回体本体と、その旋回体本体上に設置されて吊り作業を行うためのアタッチメントとを有し、
前記アタッチメントは、前記旋回体本体上に起伏可能に設けられたブームと、前記吊り作業の形態に応じて前記ブームの先端部に着脱されるオプション部材であってラチス構造を有するものとを有し、
前記オプション部材は、当該オプション部材から分離可能な構成部材であって前記前側連結部及び前記後側連結部の前記ラチス部として流用可能となるようにそのラチス部と同じ構造を有するものを含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載のクローラクレーン。
【請求項5】
クローラクレーンであって、
自走可能なクローラ式の下部走行体と、
上下方向に延びる旋回軸回りに旋回可能となるように前記下部走行体上に搭載された上部旋回体と、を備え、
前記下部走行体は、前記上部旋回体が旋回可能となるように当該上部旋回体を下から支えるカーボディと、前記カーボディの右側と左側とに分かれて配置されて前記下部走行体の走行を担う右クローラ装置及び左クローラ装置と、前記カーボディの前端部と前記右クローラ装置と前記左クローラ装置とを相互に連結する前側連結部と、前記カーボディの後端部と前記右クローラ装置と前記左クローラ装置とを相互に連結する後側連結部と、を含み、
前記右クローラ装置は、前記カーボディの右端部に分離可能に連結されて前後方向に延びる右クローラフレームと、その右クローラフレームの周りを囲むように配置され、地面に接地して周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出す右クローラと、を含み、
前記左クローラ装置は、前記カーボディの左端部に分離可能に連結されて前後方向に延びる左クローラフレームと、その左クローラフレームの周りを囲むように配置され、地面に接地して周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出す左クローラと、を含み、
前記右クローラフレームは、前記カーボディの前端よりも前側へ突出する右クローラフレーム前部と、前記カーボディの後端よりも後側へ突出する右クローラフレーム後部と、を有し、
前記左クローラフレームは、前記カーボディの前端よりも前側へ突出する左クローラフレーム前部と、前記カーボディの後端よりも後側へ突出する左クローラフレーム後部と、を有し、
前記前側連結部は、前記カーボディの前端部、前記右クローラフレーム前部及び前記左クローラフレーム前部のそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態で前記カーボディの前端部と前記右クローラフレーム前部と前記左クローラフレーム前部とを相互に連結するように構成され、
前記後側連結部は、前記カーボディの後端部、前記右クローラフレーム後部及び前記左クローラフレーム後部のそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態で前記カーボディの後端部と前記右クローラフレーム後部と前記左クローラフレーム後部とを相互に連結するように構成され、
前記前側連結部及び前記後側連結部のそれぞれは、ラチス構造をなすラチス部を少なくともその一部に有し、
前記前側連結部及び前記後側連結部の前記ラチス部は、左右方向にそれぞれ延びるとともに前後方向において間隔をあけて配列された一対の主材と、その一対の主材の間にそれらの主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該一対の主材同士を繋ぐ複数の副材とを有する、クローラクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クローラ装置により走行するように構成された下部走行体を備えるクローラクレーンが知られている。下記特許文献1には、このようなクローラクレーンの一例が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたクローラクレーンは、下部走行体と、上下方向に延びる旋回軸回りに旋回可能に下部走行体上に搭載された上部旋回体とを備えている。下部走行体は、上部旋回体を下から支える車体と、その車体の左右両側に設けられた一対のクローラ装置とを有する。上部旋回体は、車体上に旋回可能に搭載された旋回フレームと、その旋回フレーム上に搭載されたブームやマストを含む吊り作業用のアタッチメントとを有する。
【0004】
前記各クローラ装置は、前後方向に延びるクローラフレームと、そのクローラフレームの周りを囲むように配置されたクローラとを有し、前記クローラを駆動することによって下部走行体を走行させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような従来のクローラクレーンでは、吊り能力を向上しつつ下部走行体の輸送時の制約をクリアすることが困難であるという問題がある。
【0007】
具体的に、クローラクレーンでは、前後方向への転倒に対する安定度の大きさにより、上部旋回体上のアタッチメントによって吊ることが可能な吊荷重の大きさ、すなわち当該クローラクレーンの吊り能力が決まる。従って、クローラクレーンの吊り能力を向上するためには、当該クローラクレーンの前後方向への転倒に対する安定度を高める必要がある。クローラクレーンの前後方向への転倒は、下部走行体の左右のクローラ装置のうちカーボディから前後に突出した部分が地面に対して踏ん張ることにより阻止されるため、クローラクレーンの吊り能力を向上するためには、クローラクレーンを前後へ転倒させるような力が当該クローラクレーンに作用したときの左右のクローラ装置の前記突出した部分の上下方向への撓み量、具体的には左右のクローラフレームのうちカーボディから前後に突出した部分の上下方向への撓み量を低減する必要がある。例えばカーボディの前後方向の寸法を拡大して左右のクローラフレームの前端と後端により近い位置でそれらのクローラフレームをカーボディに連結すれば、下部走行体の剛性が向上し、左右のクローラフレームのうちカーボディから前後に突出した部分の上下方向への撓み量を低減することが可能であるが、この場合には、下部走行体の輸送時の制約をクリアすることが困難になるという別の問題が生じる。
【0008】
具体的には、クローラクレーンを輸送するときには、下部走行体と上部旋回体とを互いに分離するとともに、その下部走行体と上部旋回体とがそれぞれ複数の構成部材に分解され、その分解された構成部材がトレーラ等の輸送車両に積載されて公道上を輸送される。この時、下部走行体は、カーボディと左右の各クローラ装置とに分解され、その分解された状態で輸送車両に積載されて公道上を輸送されるが、公道上を走行する輸送車両に積載可能な部材の寸法及び重量には制約がある。このため、前記のようにカーボディの前後方向の寸法を拡大した場合には、当該カーボディの寸法が前記制約をクリアできなくなる虞がある。また、その寸法の拡大に伴って当該カーボディの重量が増大し、当該カーボディの重量も前記制約をクリアできなくなる虞がある。
【0009】
本発明の目的は、吊り能力を向上しつつ下部走行体の輸送時の制約をクリアすることが可能なクローラクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により提供されるクローラクレーンは、自走可能なクローラ式の下部走行体と、上下方向に延びる旋回軸回りに旋回可能となるように前記下部走行体上に搭載された上部旋回体と、を備える。前記下部走行体は、前記上部旋回体が旋回可能となるように当該上部旋回体を下から支えるカーボディと、前記カーボディの右側と左側とに分かれて配置されて前記下部走行体の走行を担う右クローラ装置及び左クローラ装置と、前記カーボディの前端部と前記右クローラ装置と前記左クローラ装置とを相互に連結する前側連結部と、前記カーボディの後端部と前記右クローラ装置と前記左クローラ装置とを相互に連結する後側連結部と、を含む。前記右クローラ装置は、前記カーボディの右端部に分離可能に連結されて前後方向に延びる右クローラフレームと、その右クローラフレームの周りを囲むように配置され、地面に接地して周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出す右クローラと、を含む。前記左クローラ装置は、前記カーボディの左端部に分離可能に連結されて前後方向に延びる左クローラフレームと、その左クローラフレームの周りを囲むように配置され、地面に接地して周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出す左クローラと、を含む。前記右クローラフレームは、前記カーボディの前端よりも前側へ突出する右クローラフレーム前部と、前記カーボディの後端よりも後側へ突出する右クローラフレーム後部と、を有する。前記左クローラフレームは、前記カーボディの前端よりも前側へ突出する左クローラフレーム前部と、前記カーボディの後端よりも後側へ突出する左クローラフレーム後部と、を有する。前記前側連結部は、前記カーボディの前端部、前記右クローラフレーム前部及び前記左クローラフレーム前部のそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態で前記カーボディの前端部と前記右クローラフレーム前部と前記左クローラフレーム前部とを相互に連結するように構成されている。前記後側連結部は、前記カーボディの後端部、前記右クローラフレーム後部及び前記左クローラフレーム後部のそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態で前記カーボディの後端部と前記右クローラフレーム後部と前記左クローラフレーム後部とを相互に連結するように構成されている。前記前側連結部及び前記後側連結部のそれぞれは、ラチス構造をなすラチス部を少なくともその一部に有する。
【0011】
このクローラクレーンでは、ラチス部を少なくともその一部に有する前側連結部によりカーボディの前端部と右クローラフレーム前部と左クローラフレーム前部とを相互に連結するとともに、ラチス部を少なくともその一部に有する後側連結部によりカーボディの後端部と右クローラフレーム後部と左クローラフレーム後部とを相互に連結することにより、前側連結部及び後側連結部による重量の増大を抑制しつつ、クローラクレーンの前後方向への転倒に対する安定度を高めてクローラクレーンの吊り能力を向上できる。
【0012】
具体的には、カーボディとは別の前側連結部によりカーボディの前端部とそのカーボディの前端よりも前側へ突出する右クローラフレーム前部及び左クローラフレーム前部とが相互に連結されるとともに、カーボディとは別の後側連結部によりカーボディの後端部とそのカーボディの後端よりも後側へ突出する右クローラフレーム後部及び左クローラフレーム後部とが相互に連結されるため、左右のクローラフレームがカーボディの前端から後端までの間の位置でのみカーボディに連結されている場合に比べて、左右のクローラフレームをそれらのより前端に近い位置及びより後端に近い位置でカーボディに連結できる。このため、右クローラフレーム前部、左クローラフレーム前部、右クローラフレーム後部及び左クローラフレーム後部の上下方向への撓み量を低減でき、クローラクレーンの前後方向への転倒に対する安定度を高めることができる。その結果、クローラクレーンの吊り能力を向上できる。
【0013】
しかも、このクローラクレーンでは、前側連結部は、カーボディの前端部、右クローラフレーム前部及び左クローラフレーム前部のそれぞれに対して分離可能に結合し、後側連結部は、カーボディの後端部、右クローラフレーム後部及び左クローラフレーム後部のそれぞれに対して分離可能に結合し、さらに、右クローラフレームはカーボディの右端部に分離可能に結合しているとともに左クローラフレームはカーボディの左端部に分離可能に結合していることから、下部走行体の輸送時には、前側連結部と後側連結部をカーボディ及び左右のクローラフレームから取り外すとともに左右のクローラフレームをカーボディから取り外してカーボディ単体にすることにより、公道上での輸送時の寸法及び重量の制約をクリアすることが可能である。
【0014】
さらに、このクローラクレーンでは、前側連結部及び後側連結部のそれぞれがラチス構造をなすラチス部を少なくともその一部に有するため、前側連結部及び後側連結部による重量の増大を抑制しつつ、前記のようにクローラクレーンの前後方向への転倒に対する安定度を高めることができる。
【0015】
前記前側連結部及び前記後側連結部の前記ラチス部は、左右方向に延びるとともに互いに平行に配列された複数の主材と、その複数の主材の隣り合うもの同士を繋ぐ複数の副材とを有し、前記複数の主材は、第1上側主材と、その第1上側主材よりも下側に位置する第1下側主材とを含み、前記複数の副材は、前記第1上側主材と前記第1下側主材との間に当該第1上側主材及び当該第1下側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第1上側主材と当該第1下側主材とを繋ぐ第1上下連結副材を含む。
【0016】
こうすれば、前側連結部のラチス部を構成する第1上側主材、第1下側主材及びそれらの主材の間でそれらの主材同士を繋ぐ第1上下連結副材により右クローラフレーム前部及び左クローラフレーム前部の上下方向への撓みに対して有効に対抗可能なラチス構造を形成でき、また、後側連結部のラチス部を構成する第1上側主材、第1下側主材及びそれらの主材の間でそれらの主材同士を繋ぐ第1上下連結副材により右クローラフレーム後部及び右クローラフレーム後部の上下方向への撓みに対して有効に対抗可能なラチス構造を形成できる。このため、右クローラフレーム前部、左クローラフレーム前部、右クローラフレーム後部及び左クローラフレーム後部の上下方向への撓み量を有効に低減できる。
【0017】
前記第1下側主材は、前記第1上側主材の下方に配置され、前記複数の主材は、前記第1上側主材に対して前後方向の一方側に配置された第2上側主材と、前記第1下側主材に対して前記一方側に配置されるとともに前記第2上側主材の下方に配置された第2下側主材とをさらに含み、前記複数の副材は、前記第2上側主材と前記第2下側主材との間に当該第2上側主材及び当該第2下側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第2上側主材と当該第2下側主材とを繋ぐ第2上下連結副材と、前記第1上側主材と前記第2上側主材との間に当該第1上側主材及び当該第2上側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第1上側主材と当該第2上側主材とを繋ぐ第1前後連結副材と、前記第1下側主材と前記第2下側主材との間に当該第1下側主材と当該第2下側主材の長手方向に沿って間隔をあけて並ぶように配置されて当該第1下側主材と当該第2下側主材とを繋ぐ第2前後連結副材とをさらに含むことが好ましい。
【0018】
こうすれば、第1上側主材、第1下側主材、第2上側主材及び第2下側主材が方形の4つの頂点に対応する各位置に配置されるとともに、上下方向において隣り合う第1上側主材と第1下側主材がそれらの間の第1上下連結副材によって繋がれ、上下方向において隣り合う第2上側主材と第2下側主材がそれらの間の第2上下連結副材によって繋がれ、前後方向において隣り合う第1上側主材と第2上側主材がそれらの間の第1前後連結副材によって繋がれ、さらに前後方向において隣り合う第1下側主材と第2下側主材がそれらの間の第2前後連結副材によって繋がれる。このため、前側連結部のラチス部を右クローラフレーム前部及び左クローラフレーム前部の上下方向への撓みに対してより強固に対抗可能な構造にすることができるとともに、後側連結部のラチス部を右クローラフレーム後部及び左クローラフレーム後部の上下方向への撓みに対してより強固に対抗可能な構造にすることができる。その結果、右クローラフレーム前部、左クローラフレーム前部、右クローラフレーム後部及び左クローラフレーム後部の上下方向への撓み量をより低減できる。
【0019】
前記前側連結部材は、前記右クローラフレーム前部に上下に離間した2箇所において結合するとともに、前記左クローラフレーム前部に上下に離間した2箇所において結合し、前記後側連結部材は、前記右クローラフレーム後部に上下に離間した2箇所において結合するとともに、前記左クローラフレーム後部に上下に離間した2箇所において結合することが好ましい。
【0020】
下部走行体には、種々の要因により、当該下部走行体の左右方向の一方側が他方側に対して上側又は下側に変位するような横撓みを生じさせる力が作用する場合がある。これに対し、当該構成によれば、右クローラフレーム前部と左クローラフレーム前部の一方が他方に対して上側又は下側へ変位するような撓みを前側連結部材の当該右クローラフレーム前部に対する2箇所の結合部と当該左クローラフレーム前部に対する2箇所の結合部とにより抑制でき、また、右クローラフレーム後部と右クローラフレーム後部の一方が他方に対して上側又は下側へ変位するような撓みを後側連結部材の当該右クローラフレーム後部に対する2箇所の結合部と当該左クローラフレーム後部に対する2箇所の結合部とにより抑制できるため、前記のような横撓みを抑制できる。
【0021】
前記上部旋回体は、前記カーボディ上に搭載される旋回体本体と、その旋回体本体上に設置されて吊り作業を行うためのアタッチメントとを有し、前記アタッチメントは、前記旋回体本体上に起伏可能に設けられたブームと、前記吊り作業の形態に応じて前記ブームの先端部に着脱されるオプション部材であってラチス構造を有するものとを有し、前記オプション部材は、当該オプション部材から分離可能な構成部材であって前記前側連結部及び前記後側連結部の前記ラチス部として流用可能となるようにそのラチス部と同じ構造を有するものを含むことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、吊り作業の形態に応じてブームの先端部に装着されなかったオプション部材から前記構成部材を分離させて前側連結部及び後側連結部のラチス部として流用することができる。このため、前側連結部及び後側連結部のラチス部を別途用意する必要がなく、部材点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、前側連結部及び後側連結部による重量の増大を抑制しつつ、吊り能力の向上及び下部走行体の輸送時の制約をクリアすることが可能なクローラクレーンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるクレーン仕様のクローラクレーンの側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるラフィング仕様のクローラクレーンの側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による固定ジブ仕様のクローラクレーンの側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるクローラクレーンの下部走行体のみを上方から見た図である。
【
図5】左右のクローラ装置からそれぞれのクローラを取り外した状態で下部走行体を前方から後方へ向かって見た図である。
【
図6】下部走行体の前側連結部の前側ラチス部の長手方向に直交する方向の断面図である。
【
図7】
図4に示した下部走行体のカーボディと右クローラフレームと前側連結部との連結箇所近傍を部分的に拡大して示す図である。
【
図8】前側連結部と右クローラフレームとの連結箇所の斜視図である。
【
図10】本発明の一変形例によるクローラクレーンの下部走行体のみを上方から見た図である。
【
図11】
図10に示した下部走行体のカーボディと右クローラフレームと前側連結部との連結箇所近傍を部分的に拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
本実施形態によるクローラクレーン1は、
図1~
図3に示すように、上部旋回体2と、下部走行体3とを備える。
【0027】
上部旋回体2は、上下方向に延びる旋回軸回りに旋回可能に下部走行体3上に搭載されている。この上部旋回体2は、旋回体本体4と、吊り作業を行うためのアタッチメント5とを備える。
【0028】
旋回体本体4は、下部走行体3上に旋回可能となるように取り付けられている。この旋回体本体4上にアタッチメント5が設置されている。
【0029】
アタッチメント5は、吊り作業の形態に応じて選択されるクローラクレーン1の仕様に応じて種々の形態に変更可能となっている。具体的には、クローラクレーン1は、
図1に示すクレーン仕様と、
図2に示すラフィング仕様と、
図3に示す固定ジブ仕様とを取り得る。
【0030】
図1のクレーン仕様では、アタッチメント5は、ブーム8と、吊具15とを有する。ブーム8は、旋回体本体4に水平軸回りに回動可能に取り付けられた基端部を有し、その基端部を支点として起伏可能に旋回体本体4に設けられている。ブーム8は、旋回体本体4から任意の起伏角度で上方へ延び、その先端部から吊具15が昇降可能に吊り下げられる。吊具15に吊荷が吊られ、その状態でブーム8の起伏及び吊具15の昇降により吊り作業が行われるようになっている。
【0031】
図2のラフィング仕様では、アタッチメント5は、ブーム8と、ラフィングジブ10と、フロントストラット12と、リアストラット14と、吊具15とを有する。
【0032】
このラフィング仕様におけるブーム8の構成は、前記クレーン仕様におけるブーム8と同様である。
【0033】
ラフィングジブ10は、ブーム8の先端部に水平軸回りに回動可能に取り付けられた基端部を有し、その基端部から反対の先端部へ直線的に延びている。当該ラフィングジブ10は、ブーム8の先端部に対して着脱可能となっている。このラフィングジブ10の先端部から吊具15が昇降可能に吊り下げられ、その吊具15に吊荷が吊られるようになっている。
【0034】
当該ラフィングジブ10は、基端ジブ10aと、中間ジブ10bと、先端ジブ10cとを有する。この基端ジブ10a、中間ジブ10b及び先端ジブ10cは、この順番でラフィングジブ10の基端部から先端部へ向かって配列され、その隣り合うもの同士が連結されることにより、ラフィングジブ10を構成している。図示を省略しているが、基端ジブ10a、中間ジブ10b及び先端ジブ10cは、いずれもラチス構造を有する。基端ジブ10aと中間ジブ10bは互いに着脱可能に構成され、中間ジブ10bと先端ジブ10cは互いに着脱可能に構成されている。
【0035】
フロントストラット12は、ラフィングジブ10の後方においてブーム8の先端部に水平軸回りに回動可能に取り付けられた基端部を有し、その基端部から反対の先端部へ直線的に延びている。このフロントストラット12は、ブーム8の先端部に対して着脱可能となっている。当該フロントストラット12の先端部は、ラフィングジブ10の先端部とガイライン16を介して接続される。
【0036】
当該フロントストラット12は、基端ストラット12aと、中間ストラット12bと、先端ストラット12cとを有する。この基端ストラット12a、中間ストラット12b及び先端ストラット12cは、この順番でフロントストラット12の基端部から先端部へ向かって配列され、その隣り合うもの同士が連結されることにより、フロントストラット12を構成している。図示を省略しているが、基端ストラット12a、中間ストラット12b及び先端ストラット12cは、いずれもラチス構造を有する。基端ストラット12aと中間ストラット12bは互いに着脱可能に構成され、中間ストラット12bと先端ストラット12cは互いに着脱可能に構成されている。
【0037】
リアストラット14は、フロントストラット12の後方においてブーム8の先端部に水平軸回りに回動可能に取り付けられた基端部を有し、その基端部から反対の先端部へ直線的に延びている。このリアストラット14は、ブーム8の先端部に対して着脱可能となっている。当該リアストラット14の先端部と前記フロントストラット12の先端部との間には、ジブ起伏用ロープ17が掛け回されている。このジブ起伏用ロープ17は、ブーム8の基端部側へ延びており、このジブ起伏用ロープ17がブーム8の基端部側へ引っ張られることにより、フロントストラット12の先端部がリアストラット14側へ引き寄せられるようにフロントストラット12が回動するとともに、ラフィングジブ10が起立する方向へ回動するようになっている。逆にジブ起伏用ロープ17がリアストラット14側へ送られることにより、フロントストラット12の先端部がリアストラット14から遠ざかるようにフロントストラット12が回動するとともに、ラフィングジブ10が倒伏する方向へ回動するようになっている。
【0038】
当該リアストラット14は、基端ストラット14aと、中間ストラット14bと、先端ストラット14cとを有する。基端ストラット14a、中間ストラット14b及び先端ストラット14cは、この順番でリアストラット14の基端部から先端部へ向かって配列され、その隣り合うもの同士が連結されることにより、リアストラット14を構成している。図示を省略しているが、基端ストラット14a、中間ストラット14b及び先端ストラット14cは、いずれもラチス構造を有する。基端ストラット14aと中間ストラット14bは互いに着脱可能に構成され、中間ストラット14bと先端ストラット14cは互いに着脱可能に構成されている。
【0039】
このラフィング仕様では、リアストラット14が回動され、それに伴ってフロントストラット12が回動されるとともにラフィングジブ10がブーム8の先端部に対して回動するようになっている。このラフィングジブ10の回動、ブーム8の起伏及び吊具15の昇降により吊り作業が行われる。
【0040】
図3の固定ジブ仕様では、アタッチメント5は、ブーム8と、固定ジブ18と、吊具15とを有する。この固定ジブ仕様におけるブーム8の構成は、前記クレーン仕様におけるブーム8と同様である。
【0041】
固定ジブ18は、ブーム8の先端部に取り付けられる基端部を有し、その基端部から反対の先端部へ向かって直線的に延びている。固定ジブ18は、ブーム8の先端部に対して着脱可能となっている。固定ジブ18は、ブーム8の先端部に取り付けられた状態でブーム8の軸方向と概ね同方向に延びている。当該固定ジブ18は、前記ラフィングジブ10のようにブーム8に対して回動可能となっておらず、ブーム8に対する姿勢が固定された状態でブーム8に取り付けられ、ブーム8と一体となって起伏するようになっている。この固定ジブ仕様では、固定ジブ18の先端部から吊具15が昇降可能に吊り下げられ、その吊具15に吊荷が吊られるようになっている。
【0042】
固定ジブ18は、基端ジブ18aと、中間ジブ18bと、先端ジブ18cとを有する。この基端ジブ18a、中間ジブ18b及び先端ジブ18cは、この順番で固定ジブ18の基端部から先端部へ向かって配列され、その隣り合うもの同士が連結されることにより、固定ジブ18を構成している。図示を省略しているが、基端ジブ18a、中間ジブ18b及び先端ジブ18cは、いずれもラチス構造を有する。基端ジブ18aと中間ジブ18bは互いに着脱可能に構成され、中間ジブ18bと先端ジブ18cは互いに着脱可能に構成されている。
【0043】
この固定ジブ仕様では、ブーム8と固定ジブ18の一体としての起伏及び吊具15の昇降により吊り作業が行われる。
【0044】
以上のクレーン仕様、ラフィング仕様及び固定ジブ仕様のうちのいずれかの仕様がクローラクレーン1によって行われる吊り作業の形態に応じて選択され、アタッチメント5がその選択された仕様に応じた形態になるようにブーム8の先端部に着脱されるオプション部材としてのラフィングジブ10、フロントストラット12、リアストラット14及び固定ジブ18が換装される。具体的には、クレーン仕様が選択された場合には、ブーム8の先端部にラフィングジブ10、フロントストラット12、リアストラット14及び固定ジブ18のいずれもが取り付けられない。ラフィング仕様が選択された場合には、ブーム8の先端部に、ラフィングジブ10、フロントストラット12及びリアストラット14が取り付けられ、固定ジブ18は取り付けられない。また、固定ジブ仕様が選択された場合には、ブーム8の先端部に固定ジブ18が取り付けられ、ラフィングジブ10、フロントストラット12及びリアストラット14は取り付けられない。
【0045】
そして、ラフィングジブ10の前記中間ジブ10b、フロントストラット12の中間ストラット12b及びリアストラット14の中間ストラット14bのうちの少なくとも1つは、下部走行体3の後述の前側連結部38及び後側連結部40として流用可能となるようにその前側連結部38及び後側連結部40の構造と同じ構造を有する。また、固定ジブ18の中間ジブ18bも、後述の前側連結部38及び後側連結部40として流用可能となるようにその前側連結部38及び後側連結部40の構造と同じ構造を有する。前記中間ジブ10b、前記中間ストラット12b、前記中間ストラット14b及び前記中間ジブ18bは、本発明におけるオプション部材から分離可能な構成部材の一例である。
【0046】
前記下部走行体3は、クローラ式であり、自走可能に構成されている。この下部走行体3は、
図4に示すように、カーボディ32と、右クローラ装置34と、左クローラ装置36と、前側連結部38と、後側連結部40とを有する。なお、当該下部走行体3に関する「前側」は、当該下部走行体3の走行方向の一方側であって予め当該下部走行体3に設定された前進側を意味し、当該下部走行体3に関する「後側」は、前側に対して反対側を意味する。また、当該下部走行体3に関する「右側」は、当該下部走行体3を後側から前側へ向かって見た場合での右側を意味し、当該下部走行体3に関する「左側」は、当該下部走行体3を後側から前側へ向かって見た場合での左側を意味する。
【0047】
カーボディ32は、下部走行体3の中央に位置し、上部旋回体2が縦軸回りに旋回可能となるように当該上部旋回体2を下から支えるものである。このカーボディ32は、カーボディ本体42と、前取付部43と、後取付部44と、右取付部45と、左取付部46とを有する。
【0048】
カーボディ本体42は、カーボディ32の大半を占めるものであり、上部旋回体2を下から支えるものである。このカーボディ本体42は、左右方向に延びるとともに上下方向に広がっていて前方を向く前端面を有する前端部42aと、前記前端面と平行に配置されていて後方を向く後端面を有する後端部42bとを有する。また、このカーボディ本体42は、前後に二股に分かれて右方へ延びる一対の右側部42cと、前後に二股に分かれて左方へ延びる一対の左側部42dとを有する。一対の右側部42cの右側の先端部がカーボディ本体42の右端部となっており、一対の左側部42cの左側の先端部がカーボディ本体42の左端部となっている。
【0049】
前取付部43は、前側連結部38が取り付けられる部分である。この前取付部43は、カーボディ本体42の前端部42aに設けられている。具体的には、前取付部43は、前端部42aの前端面においてカーボディ本体42の左右方向の中心から右側へ所定距離だけ離れた位置において上下に離れた2箇所と、前端部42aの前端面において前記中心から左側へ前記所定距離と等距離だけ離れた位置において上下に離れた2箇所とにそれぞれ設けられている。なお、
図4では、4箇所の前取付部43のうち上側の前取付部43のみが示されており、下側の前取付部43については表されていない。
【0050】
各前取付部43は、前端部42aの前端面から前方へ突出する板状の部材からなり、その板面が上下方向に沿うように配置されている。各前取付部43には、その前取付部43を左右方向に貫通する貫通穴が設けられている。
【0051】
後取付部44は、後側連結部40が取り付けられる部分である。この後取付部44は、カーボディ本体42の後端部42bに設けられている。具体的には、後取付部44は、後端部42bの後端面において、前記前端面のうちの4箇所に設けられた前取付部43と前後対称となる4箇所に設けられている。なお、
図4では、4箇所の後取付部44のうち上側の後取付部44のみが示されており、下側の後取付部44については表されていない。
【0052】
各後取付部44は、後端部42bの後端面から後方へ突出する板状の部材からなり、前取付部43と同様に構成されている。各後取付部44には、左右方向に貫通する貫通穴が設けられている。
【0053】
右取付部45は、右クローラ装置34の後述する右クローラフレーム52が取り付けられる部分である。この右取付部45は、カーボディ本体42の一対の右側部42cの右端にそれぞれ設けられている。各右取付部45は、対応する右側部42cの右端から右方へ突出する板状の部材からなり、その板面が上下方向に沿うように配置されている。各右取付部45には、その右取付部45を前後方向に貫通する貫通穴が設けられている。
【0054】
左取付部46は、左クローラ装置36の後述する左クローラフレーム68が取り付けられる部分である。この左取付部46は、カーボディ本体42の一対の左側部42dの左端にそれぞれ設けられている。各左取付部46は、対応する左側部42dの左端から左方へ突出する板状の部材からなり、その板面が上下方向に沿うように配置されている。各左取付部46には、その左取付部46を前後方向に貫通する貫通穴が設けられている。
【0055】
右クローラ装置34及び左クローラ装置36は、下部走行体3の走行を担う走行装置である。この右クローラ装置34及び左クローラ装置36は、カーボディ32の右側と左側とに分かれて配置されてそのカーボディ32に対してそれぞれ取り付けられている。
【0056】
右クローラ装置34は、右クローラフレーム52と、右クローラ53と、図略の右クローラ駆動装置とを有する。
【0057】
右クローラフレーム52は、当該右クローラフレーム52に取り付けられた図略の右クローラ駆動装置の駆動輪及び従動輪等を介して右クローラ53を支えるフレームである。当該右クローラフレーム52は、カーボディ32の右端部に分離可能に連結されて前後方向に延びている。当該右クローラフレーム52は、カーボディ32の前端よりも前側へ突出する右クローラフレーム前部52aと、カーボディ32の後端よりも後側へ突出する右クローラフレーム後部52bとを有する。
【0058】
当該右クローラフレーム52は、より具体的には、カーボディ32の右側に配置されて前後方向に直線的に延びる右クローラフレーム本体55と、その右クローラフレーム本体55に設けられた側部結合部56、前部結合部57及び後部結合部58とを有する。
【0059】
右クローラフレーム本体55は、右クローラフレーム52の大半を占めるものである。この右クローラフレーム本体55は、カーボディ本体42の前端部42aよりも前側へ突出して延びる前部55aと、カーボディ本体42の後端部42bよりも後側へ突出して延びる後部55bとを有する。
【0060】
側部結合部56は、カーボディ32の右取付部45に分離可能に結合する部分である。当該側部結合部56が右取付部45に結合することにより、右クローラフレーム52がカーボディ32に連結される。側部結合部56は、右クローラフレーム本体55の前部55aと後部55bとの間の中間部の左側面において前後に間隔をあけた2箇所に設けられている。この2箇所の側部結合部56は、カーボディ32の前後2箇所の右取付部45に対応した位置に配置されている。なお、前側の側部結合部56と後側の側部結合部56の構成は同様である。それらの側部結合部56のうち前側の側部結合部56が代表して
図7に示されている。
【0061】
側部結合部56は、右クローラフレーム本体55の左側面から左方へ突出するとともに右取付部45をそれらの間に受け入れ可能な隙間を前後方向にあけて配置された一対の板体からなる。当該側部結合部56の一対の板体には、前後方向にそれらの板体を貫通する貫通穴がそれぞれ設けられている。この側部結合部56の一対の板体間に前記右取付部45が挿入された状態で当該側部結合部56の一対の板体の貫通穴と前記右取付部45の貫通穴にピン60が挿嵌されることによって、側部結合部56がカーボディ32の右取付部45に結合されている。そして、側部結合部56は、ピン60が当該側部結合部56の貫通穴及び右取付部45の貫通穴から抜脱されることによって、右取付部45から分離可能となる。ピン60は、右クローラフレーム本体55の左側面に設置された油圧シリンダ62のピストンロッドに繋がっており、この油圧シリンダ62がピストンロッドを進退させることによって側部結合部56の貫通穴と右取付部45の貫通穴にピン60が挿脱されるようになっている。
【0062】
前部結合部57は、前側連結部38の後述する右端結合部78に分離可能に結合し、その前側連結部38を介してカーボディ本体42の前端部42a(カーボディ32の前端部)に連結される部分である。この前部結合部57は、右クローラフレーム本体55の前部55aの左側面に設けられている。この前部結合部57は、4つのピン結合部64と、2つの被掛部66とを有する。
【0063】
4つのピン結合部64は、前側連結部38の後述する4つの右端主材結合部90と結合する部分である。この4つのピン結合部64は、前記前部55aの左側面において上下及び前後に間隔をあけた4箇所に分かれて設けられている。各ピン結合部64は、前部55aの左側面から左方へ突出する板状の部材であり、その板面が上下方向に沿うように配置されている。各ピン結合部64には、そのピン結合部64を前後方向に貫通する貫通穴が設けられている。
【0064】
2つの被掛部66は、前側連結部38の後述する2つの右端副材連結部92と結合する部分である。この2つの被掛部66は、前記前部55aの左側面において上下に間隔をあけて設けられている。具体的には、この2つの被掛部66のうちの一方の被掛部66は、前記前部55aの左側面において前記4つのピン結合部64のうちの上側の2つのピン結合部64の間の箇所に設けられ、もう一方の被掛部66は、前記前部55aの左側面において前記4つのピン結合部64のうちの下側の2つのピン結合部64の間の箇所に設けられている。
【0065】
各被掛部66は、
図8及び
図9に示すように、一対の基部66aと、被掛ピン66bとを有する。
【0066】
一対の基部66aは、前記前部55aの左側面から左方へ突出するようにその左側面に設けられ、前後方向に間隔をあけて配置されている。
【0067】
被掛ピン66bは、後述の右端副材連結部92のフック部92aが掛けられる部分である。この被掛ピン66bは、前後方向に延びる丸棒状をなし、前記一対の基部66a間に架設されている。この被掛ピン66bは、その前後両側に配置されたピン結合部64の貫通穴と同心となるように配置されている。
【0068】
後部結合部58(
図4参照)は、後側連結部40の後述する右端結合部98に分離可能に結合し、その後側連結部40を介してカーボディ本体42の後端部42b(カーボディ32の後端部)に連結される部分である。後部結合部58は、右クローラフレーム本体55の後部55bの左側面に設けられている。この後部結合部58は、前記前部結合部57と同様の構成を有する。
【0069】
前記右クローラ53は、右クローラ装置34を右側方から見た状態で右クローラフレーム本体55の周りを囲むように配置されており、地面に接地して右クローラフレーム本体55の周りを周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出すものである。
【0070】
図略の右クローラ駆動装置は、右クローラ53が前記のように周回運動するように当該右クローラ53を駆動する装置である。この右クローラ駆動装置は、右クローラフレーム本体55の前端部と後端部とに分かれて設けられた駆動輪及び従動輪と、その駆動輪を回転させる回転駆動部とを有し、前記駆動輪と前記従動輪に掛けられた右クローラ53を当該駆動輪を回転させることによって前記のように周回運動させるように構成されている。
【0071】
左クローラ装置36は、右クローラ装置34と左右対称となるように構成されている。具体的には、左クローラ装置36は、左クローラフレーム68と、左クローラ69と、図略の左クローラ駆動装置を有する。
【0072】
左クローラフレーム68は、図略の左クローラ駆動装置の駆動輪及び従動輪等を介して左クローラ69を支えるフレームである。当該左クローラフレーム68は、カーボディ32の左端部に分離可能に連結されて前後方向に延びている。当該左クローラフレーム68は、カーボディ32の前端よりも前側へ突出する左クローラフレーム前部68aと、カーボディ32の後端よりも後側へ突出する左クローラフレーム後部68bとを有する。
【0073】
当該左クローラフレーム68は、より具体的には、左クローラフレーム本体70と、側部結合部71と、前部結合部72と、後部結合部73とを有する。この左クローラフレーム本体70、側部結合部71、前部結合部72及び後部結合部73の構成は、前記右クローラフレーム52の右クローラフレーム本体55、側部結合部56、前部結合部57及び後部結合部58を左右反転させた構成となっている。
【0074】
左クローラフレーム本体70は、カーボディ32の前端部よりも前側へ突出して延びる前部70aと、カーボディ32の後端部よりも後側へ突出して延びる後部70bとを有する。
【0075】
側部結合部71は、左クローラフレーム本体70のうち前部70aと後部70bとの間の中間部の右側面において前後に間隔をあけた2箇所に設けられている。この2箇所の側部結合部71がカーボディ32の2箇所の左取付部46と分離可能に結合している。この側部結合部71と左取付部46との結合構造は、右クローラフレーム52の側部結合部56とカーボディ32の右取付部45との結合構造と同様である。
【0076】
前部結合部72は、左クローラフレーム本体70の前部70aの右側面に設けられ、後部結合部73は、左クローラフレーム本体70の後部70bの右側面に設けられている。
【0077】
左クローラ69は、左クローラ装置36を左側方から見た状態で左クローラフレーム本体70の周りを囲むように配置されており、地面に接地して左クローラフレーム本体70の周りを周回運動することにより前方又は後方への推進力を生み出すものである。この左クローラ69は、右クローラ53と同様に構成されている。
【0078】
図略の左クローラ駆動装置は、左クローラ69が前記のように周回運動するように当該左クローラ69を駆動する装置である。この左クローラ駆動装置の構成は、前記右クローラ駆動装置の構成と同様である。
【0079】
前側連結部38は、カーボディ32の前端部、右クローラフレーム前部52a及び左クローラフレーム前部68aのそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態でカーボディ32の前端部と右クローラフレーム前部52aと左クローラフレーム前部68aとを相互に連結するものである。
【0080】
本実施形態では、当該前側連結部38は、クローラクレーン1が前記ラフィング仕様もしくは前記クレーン仕様であるときには、アタッチメント5に使用されない固定ジブ18の一部が当該前側連結部38として流用される一方、クローラクレーン1が前記固定ジブ仕様であるときには、アタッチメント5に使用されないラフィングジブ10、フロントストラット12もしくはリアストラット14の一部が当該前側連結部38として流用される。具体的には、クローラクレーン1が前記ラフィング仕様もしくは前記クレーン仕様であるときには、固定ジブ18から取り外された中間ジブ18bが当該前側連結部38として流用され、クローラクレーン1が前記固定ジブ仕様であるときには、ラフィングジブ10から取り外された中間ジブ10b、フロントストラット12から取り外された中間ストラット12bもしくはリアストラット14から取り外された中間ストラット14bが当該前側連結部38として流用される。
【0081】
換言すれば、固定ジブ18の中間ジブ18bが前側連結部38に流用可能となるように当該前側連結部38と同様に構成されており、また、ラフィングジブ10の中間ジブ10b、フロントストラット12の中間ストラット12b及びリアストラット14の中間ストラット14bの少なくとも1つが前側連結部38に流用可能となるように当該前側連結部38と同様に構成されている。
【0082】
前側連結部38は、前側ラチス部76と、4つの中間結合部77と、右端結合部78と、左端結合部79とを有する。
【0083】
前側ラチス部76は、右クローラフレーム前部52aと左クローラフレーム前部68aとの間に配置されて左右方向に延びている。この前側ラチス部76は、その全体に亘ってラチス構造をなしている。この前側ラチス部76は、左右方向に延びるとともに互いに平行に配列された4本の主材82と、その4本の主材82のうちの隣り合うもの同士を繋ぐ複数の副材84とを有する。
【0084】
4本の主材82は、
図6に示すように、それぞれ中空円筒状のパイプからなり、前側ラチス部76の長手方向(左右方向)に直交する断面において方形の4つの頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。具体的には、4本の主材82は、第1上側主材82aと、第1下側主材82bと、第2上側主材82cと、第2下側主材82dとからなる。
【0085】
第1下側主材82bは、第1上側主材82aの真下にその第1上側主材82aに対して間隔をあけて配置されている。
【0086】
第2上側主材82cは、第1上側主材82aの後方にその第1上側主材82aに対して間隔をあけて配置されている。第2下側主材82dは、第2上側主材82cの真下にその第2上側主材82cに対して間隔をあけて配置されているとともに、第1下側主材82bの後方にその第1下側主材82bに対して間隔をあけて配置されている。
【0087】
複数の副材84は、それぞれ中空円筒状のパイプからなる。この複数の副材84は、第1上下連結副材84aと、第2上下連結副材84bと、第1前後連結副材84cと、第2前後連結副材84dとを含む。
【0088】
第1上下連結副材84aは、第1上側主材82aと第1下側主材82bとの間に配置されてそれらの主材同士を繋ぐものである。
【0089】
第2上下連結副材84bは、第2上側主材82cと第2下側主材82dとの間に配置されてそれらの主材同士を繋ぐものである。
【0090】
第1前後連結副材84cは、第1上側主材82aと第2上側主材82cとの間に配置されてそれらの主材同士を繋ぐものである。
【0091】
第2前後連結副材84dは、第1下側主材82bと第2下側主材82dとの間に配置されてそれらの主材同士を繋ぐものである。
【0092】
また、第1上下連結副材84a、第2上下連結副材84b、第1前後連結副材84c及び第2前後連結副材84dは、それぞれ、2本の直交材85a(
図5及び
図7参照)と、複数の斜材85bとを含む。
【0093】
直交材85aは、当該直交材85aが繋ぐ2本の主材82に対して直交する方向に延びている。この直交材85aは、隣り合う2本の主材82の一端近傍(右端近傍)の部位の間と、その2本の主材82の他端近傍(左端近傍)の部位の間とにそれぞれ配置されている。隣り合う2本の主材82の一端近傍の部位の間に配置された直交材85aは、その一端近傍の部位同士を繋ぎ、その2本の主材82の他端近傍の部位の間に配置された直交材85aは、その他端近傍の部位同士を繋いでいる。
【0094】
斜材85bは、当該斜材85bが繋ぐ2本の主材82に対して斜めに延びるとともに、その2本の主材82を繋ぐ直交材85aに対して斜めに延びている。この斜材85bは、隣り合う2本の主材82の間においてその主材82の一端近傍に配置された直交材85aとその主材82の他端近傍に配置された直交材85aとの間の領域に配置されてそれらの2本の主材82同士を繋いでいる。
【0095】
4つの中間結合部77は、前側連結部38の長手方向(左右方向)の中間部分において、カーボディ32の前端部、具体的には4つの前取付部43と分離可能に結合するものである。4つの中間結合部77のうちの2つの中間結合部77は、前側ラチス部76の第2上側主材82cの後面に設けられており、残りの2つの中間結合部77は、前側ラチス部76の第2下側主材82dの後面に設けられている。第2上側主材82cの後面に設けられた2つの中間結合部77は前側ラチス部76の長手方向の中心から左右に等距離だけ離れた両位置に分かれて配置され、第2下側主材82dの後面に設けられた2つの中間結合部77も同様に前側ラチス部76の長手方向の中心から左右に等距離だけ離れた両位置に分かれて配置されている。4つの中間結合部77の相対的な位置関係は、カーボディ32の4つの前取付部43の相対的な位置関係と対応している。
【0096】
各中間結合部77は、それが設けられた第2上側主材82c又は第2下側主材82dの後面から後方へ突出する一対の板体からなる(
図7参照)。この一対の板体は、それらの板面が上下方向に沿うように配置されている。また、この一対の板体は、左右方向(主材82の長手方向)において当該一対の板体の間にカーボディ32の前取付部43を受け入れることが可能な隙間をあけて配置されている。この一対の板体には、それぞれ、その板体を左右方向に貫通する貫通穴が設けられており、それらの板体の貫通穴は同心となるように配置されている。
【0097】
各中間結合部77は、その中間結合部77の一対の板体間にカーボディ32の対応する前取付部43が挿し込まれた状態でその前取付部43の貫通穴と当該中間結合部77の一対の板体の各々の貫通穴にピン88が挿嵌されることによってその前取付部43に結合されている。そして、ピン88を中間結合部77の一対の板体の貫通穴及び前取付部43の貫通穴から抜脱すれば、中間結合部77を前取付部43から分離することが可能となっている。
【0098】
右端結合部78は、右クローラフレーム52の前部結合部57と分離可能に結合するものである。この右端結合部78は、前側ラチス部76の右端に設けられている。具体的に、この右端結合部78は、4つの右端主材結合部90と、2つの右端副材連結部92とを有する。
【0099】
4つの右端主材結合部90は、前側ラチス部76の4本の主材82の右端にそれぞれ設けられており、右クローラフレーム52の前部結合部57の4つのピン結合部64に結合するものである。この4つの右端主材結合部90は、前部結合部57の4つのピン結合部64と着脱可能となっている。各右端主材結合部90は、対応するピン結合部64を受け入れることが可能な隙間をあけて前後方向に並んで配置された一対の板状部90aを有する。この一対の板状部90aには、その板状部90aを前後方向に貫通する貫通穴がそれぞれ設けられている。この一対の板状部90aにそれぞれ設けられた貫通穴は、同心となるように配置されている。
【0100】
各右端主材結合部90は、その一対の板状部90a間に右クローラフレーム52の前部結合部57のピン結合部64が挿し込まれた状態でそのピン結合部64の貫通穴と当該一対の板状部90aの各々の貫通穴にピン94が挿嵌されることによって前部結合部57のピン結合部64に結合されている。そして、ピン94を一対の板状部90aの貫通穴及び前部結合部57のピン結合部64の貫通穴から抜脱すれば、右端主材結合部90を前部結合部57のピン結合部64から分離することが可能、すなわち右端主材結合部90を右クローラフレーム52から分離することが可能となっている。
【0101】
2つの右端副材連結部92は、右クローラフレーム52の前部結合部57の2つの被掛部66に結合するものである。この2つの右端副材連結部92は、前側ラチス部76の上側の2本の主材82同士を繋ぐ複数の副材84のうち最も右側に配置された副材84としての直交材85aと、その前側ラチス部76の下側の2本の主材82同士を繋ぐ複数の副材84のうち最も右側に配置された副材84としての直交材85aとにそれぞれ設けられている。
【0102】
各右端副材連結部92は、それが設けられた直交材85aから右方へ突出する一対のフック部92aを有する。この一対のフック部92aは、対応する被掛部66の被掛ピン66bに上方から掛けられるものである。この一対のフック部92aは、前後方向において隙間をあけて配置されている。この一対のフック部92aの前後方向の間隔は、当該一対のフック部92aが前記前部結合部57の一対の基部66a間に入り込むことが可能な間隔に設定されている。右端副材連結部92は、その一対のフック部92aが対応する被掛部66の被掛ピン66bに掛けられることにより、当該右端副材連結部92の前後両側に位置する右端主材結合部90の一対の板状部90aの貫通穴が右クローラフレーム52の前部結合部57のピン結合部64の貫通穴と同心となるように構成されている。
【0103】
具体的に、各フック部92aは、その先端近傍に下向きに開放された凹部92b(
図9参照)を有する。この凹部92bは、各フック部92aが被掛ピン66bに掛けられるときに被掛ピン66bを受け入れる部分である。この凹部92bの上側の内面は湾曲しており、各フック部92aが被掛ピン66bに掛けられるときに当該湾曲した内面が被掛ピン66bの外周面と嵌合するようになっている。当該湾曲した内面は、右端主材結合部90の各板状部90aの貫通穴の中心の延長線上に中心を有する円弧状をなしている。この凹部92bの湾曲した内面に被掛ピン66bの外周面が当接することにより、当該凹部92bの湾曲した内面の円弧状の中心と被掛ピン66bの軸心とが一致し、その結果、被掛ピン66bの軸心と同心のピン結合部64の貫通穴と、凹部92bの湾曲した内面の円弧状の中心と同心の右端主材結合部90の各板状部90aの貫通穴とが同心となるように位置合わせされるようになっている。
【0104】
左端結合部79は、左クローラフレーム68の前部結合部72と分離可能に結合するものである。この左端結合部79は、前側ラチス部76の左端に設けられている。この左端結合部79の構成は、前記右端結合部78を左右反転させた構成となっている。当該左端結合部79と左クローラフレーム68の前部結合部72との結合構造は、前記右端結合部78と右クローラフレーム52の前部結合部57との結合構造と同様である。
【0105】
後側連結部40は、カーボディ32の後端部、右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bのそれぞれに対して分離可能に結合し、その結合した状態でカーボディ32の後端部と右クローラフレーム後部52bと左クローラフレーム後部68bとを相互に連結するものである。この後側連結部40の構成は、前側連結部38を前後反転させた構成となっている。当該後側連結部40は、ラチス構造をなす後側ラチス部96と、4つの中間結合部97と、右端結合部98と、左端結合部99とを有する。
【0106】
後側ラチス部96は、右クローラフレーム後部52bと左クローラフレーム後部68bとの間に配置されて左右方向に延びている。この後側ラチス部96は、前記前側ラチス部76の4本の主材82及び複数の副材84と同様に構成された4本の主材100及び複数の副材101を有する。
【0107】
4つの中間結合部97は、後側連結部40の長手方向(左右方向)の中間部分において、カーボディ32の後端部、具体的には4つの後取付部44と分離可能に結合するものである。この4つの中間結合部97のうちの2つの中間結合部97は、後側ラチス部96の前側の上側の主材100の前面に設けられており、残りの2つの中間結合部97は、後側ラチス部材96の前側の下側の主材100の前面に設けられている。この4つの中間結合部97の構成は、前側連結部38の4つの中間結合部77の構成と同様である。また、この4つの中間結合部97と4つの後取付部44との結合構造は、前側連結部38の4つの中間結合部77と4つの前取付部43との結合構造と同様である。
【0108】
右端結合部98は、右クローラフレーム52の後部結合部58と分離可能に結合するものである。この右端結合部98は、前側連結部38の右端結合部78と同様の構成を有し、その前側連結部38の右端結合部78が前側ラチス部76の右端に設けられた構成と同様の構成で後側ラチス部96の右端に設けられている。この右端結合部98と右クローラフレーム52の後部結合部58との結合構造は、前側連結部38の右端結合部78と右クローラフレーム52の前部結合部57との結合構造と同様である。
【0109】
左端結合部99は、左クローラフレーム68の後部結合部73と分離可能に結合するものである。この左端結合部99は、前側連結部38の左端結合部79と同様の構成を有し、その前側連結部38の左端結合部79が前側ラチス部76の左端に設けられた構成と同様の構成で後側ラチス部96の左端に設けられている。この左端結合部99と左クローラフレーム68の後部結合部73との結合構造は、前側連結部38の左端結合部79と左クローラフレーム68の前部結合部72との結合構造と同様である。
【0110】
本実施形態によるクローラクレーン1では、前側ラチス部76を有する前側連結部38によりカーボディ32の前端部と右クローラフレーム前部52aと左クローラフレーム前部68aとを相互に連結するとともに、後側ラチス部96を有する後側連結部40によりカーボディ32の後端部と右クローラフレーム後部52bと左クローラフレーム後部68bとを相互に連結することにより、前側連結部及38及び後側連結部40による重量の増大を抑制しつつ、クローラクレーン1の前後方向への転倒に対する安定度を高めてクローラクレーン1の吊り能力を向上できる。
【0111】
具体的に、本実施形態によるクローラクレーン1では、カーボディ32とは別の前側連結部38によりカーボディ32の前端部とそのカーボディ32の前端よりも前側へ突出する右クローラフレーム前部52a及び左クローラフレーム前部68aとが相互に連結されるとともに、カーボディ32とは別の後側連結部40によりカーボディ32の後端部とそのカーボディの後端よりも後側へ突出する右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bとが相互に連結される。このため、左右のクローラフレームがカーボディの前端から後端までの間の位置でのみカーボディに連結されている場合に比べて、左右のクローラフレーム52,68をそれらのより前端に近い位置及びより後端に近い位置でカーボディ32に連結できる。このため、右クローラフレーム前部52a、左クローラフレーム前部68a、右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bの上下方向への撓み量を低減でき、クローラクレーン1の前後方向への転倒に対する安定度を高めることができる。その結果、クローラクレーン1の吊り能力を向上できる。
【0112】
しかも、本実施形態によるクローラクレーン1では、前側連結部38は、カーボディ32の前端部、右クローラフレーム前部52a及び左クローラフレーム前部68aのそれぞれに対して分離可能に結合し、後側連結部40は、カーボディ32の後端部、右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bのそれぞれに対して分離可能に結合し、さらに、右クローラフレーム52はカーボディ32の右端部に分離可能に結合しているとともに左クローラフレーム68はカーボディ32の左端部に分離可能に結合している。このため、下部走行体3の輸送時には、前側連結部38と後側連結部40をカーボディ32及び左右のクローラフレーム52,68から取り外すとともに左右のクローラフレーム52,68をカーボディ32から取り外してカーボディ32単体にすることにより、公道上での輸送時の寸法及び重量の制約をクリアすることが可能である。
【0113】
また、本実施形態によるクローラクレーン1では、前側連結部38がラチス構造をなす前側ラチス部76を有するとともに、後側連結部40がラチス構造をなす後側ラチス部96を有する。このため、前側連結部38及び後側連結部40による重量の増大を抑制しつつ、前記のようにクローラクレーン1の前後方向への転倒に対する安定度を高めることができる。また、前側連結部38及び後側連結部40による重量の増大を抑制できることにより、右クローラ53及び左クローラ69の接地圧の増大を軽減でき、その接地圧の増大に対する対策、例えばクローラシューの幅の増大や地盤の養生等に要するコストの増大を抑制できるという効果が得られる。
【0114】
また、本実施形態によるクローラクレーン1では、前側ラチス部76を構成する第1上側主材82a、第1下側主材82b及びそれらの主材の間でそれらの主材同士を繋ぐ第1上下連結副材84aと、第2上側主材82c、第2下側主材82d及びそれらの主材の間でそれらの主材同士を繋ぐ第2上下連結副材84bとにより右クローラフレーム前部52a及び左クローラフレーム前部68aの上下方向への撓みに対して有効に対抗可能なラチス構造を形成できる。また、後側ラチス部96でも同様の構成により右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bの上下方向への撓みに対して有効に対抗可能なラチス構造を形成できる。このため、右クローラフレーム前部52a、左クローラフレーム前部68a、右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bの上下方向への撓み量を有効に低減できる。
【0115】
また、本実施形態では、前側連結部材38は、その右端結合部78において上下に離間した2箇所で右クローラフレーム前部52aに結合するとともに、その左端結合部79において上下に離間した2箇所で左クローラフレーム前部68aに結合している。また、後側連結部材40は、その右端結合部98において上下に離間した2箇所で右クローラフレーム後部52bに結合するとともに、その左端結合部99において上下に離間した2箇所で左クローラフレーム後部68bに結合している。
【0116】
下部走行体3には、種々の要因、例えば、上部旋回体2が下部走行体3の前方又は後方を向いているときにはアタッチメント5の吊具15に吊られる吊荷のバランスや地面の傾き、上部旋回体2が下部走行体3の右方又は左方を向いたときの吊荷の荷重などの要因により、当該下部走行体3の左右方向の一方側が他方側に対して上側又は下側に変位するような横撓みを生じさせる力が作用する場合がある。これに対し、本実施形態の構成によれば、右クローラフレーム前部52aと左クローラフレーム前部68aの一方が他方に対して上側又は下側へ変位するような撓みを前側連結部材38の当該右クローラフレーム前部52aに対する上下2箇所の結合部と当該左クローラフレーム前部68aに対する上下2箇所の結合部とにより抑制できる。また、右クローラフレーム後部52bと左クローラフレーム後部68bの一方が他方に対して上側又は下側へ変位するような撓みを後側連結部材40の当該右クローラフレーム後部52bに対する上下2箇所の結合部と当該左クローラフレーム後部68bに対する上下2箇所の結合部とにより抑制できる。このため、前記のような横撓みを抑制できる。
【0117】
また、本実施形態では、第1上側主材82a、第1下側主材82b、第2上側主材82c及び第2下側主材82dが方形の4つの頂点に対応する各位置に配置されるとともに、上下方向において隣り合う第1上側主材82aと第1下側主材82bがそれらの間の第1上下連結副材84aによって繋がれ、上下方向において隣り合う第2上側主材82cと第2下側主材がそれらの間の第2上下連結副材84bによって繋がれ、前後方向において隣り合う第1上側主材82aと第2上側主材82cがそれらの間の第1前後連結副材84cによって繋がれ、さらに前後方向において隣り合う第1下側主材82bと第2下側主材82dがそれらの間の第2前後連結副材84dによって繋がれる。このため、前側ラチス部76を右クローラフレーム前部52a及び左クローラフレーム前部68aの上下方向への撓みに対してより強固に対抗可能な構造にすることができるとともに、後側ラチス部96を右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bの上下方向への撓みに対してより強固に対抗可能な構造にすることができる。その結果、右クローラフレーム前部52a、左クローラフレーム前部68a、右クローラフレーム後部52b及び左クローラフレーム後部68bの上下方向への撓み量をより低減できる。
【0118】
また、本実施形態によるクローラクレーン1では、ラフィングジブ10の中間ジブ10b、フロントストラット12の中間ストラット12b及びリアストラット14の中間ストラット14bのうちの少なくとも1つと、固定ジブ18の中間ジブ18bとが、前側連結部38及び後側連結部40と同様の構造を有する。このため、ラフィングジブ10、フロントストラット12、リアストラット14及び固定ジブ18のうち吊り作業の形態(クローラクレーン1の仕様)によってブーム8の先端部に装着されなかったものから中間ジブ10b、中間ストラット12b、中間ストラット14bもしくは中間ジブ18bを分離して前側連結部38及び後側連結部40として流用することができる。このため、前側連結部38及び後側連結部40を別途用意する必要がなく、部材点数を削減することができる。
【0119】
本発明によるクローラクレーンは、前記のような構成のものに必ずしも限定されない。例えば、本発明によるクローラクレーンに以下のような構成を採用可能である。
【0120】
前側連結部及び後側連結部は、その一部にラチス構造をなさない部分を含んでいてもよい。例えば、前側連結部及び後側連結部は、カーボディウェイトとラチス部とを組み合わせたものからなっていてもよい。
図10及び
図11には、そのような構成の変形例による下部走行体3が示されている。
【0121】
当該変形例による下部走行体3の前側連結部38は、前側カーボディウェイト104と、前右側ラチス部105と、前左側ラチス部106とを有する。
【0122】
前側カーボディウェイト104は、クローラクレーン1の前後方向への転倒に対する安定度を向上するためにカーボディ32の前端部に取り付けられる錘である。この前側カーボディウェイト104は、上方から見て矩形状の金属板からなる。この前側カーボディウェイト104は、カーボディ32の前側で右クローラフレーム前部52aと左クローラフレーム前部68aとの間に配置されている。また、当該前側カーボディウェイト104と右クローラフレーム前部52aとの間及び当該前側カーボディウェイト104と左クローラフレーム前部68aとの間には、それぞれ、左右方向において間隔が設けられている。
【0123】
前側カーボディウェイト104は、その後端部に設けられた4つの中間結合部77を有し、この4つの中間結合部77は、前記実施形態の前側ラチス部76に設けられた4つの中間結合部77と同様に構成されている。当該4つの中間結合部77がカーボディ32の4つの前取付部43に結合することにより、前側カーボディウェイト104がカーボディ32の前端部に取り付けられる。
【0124】
また、前側カーボディウェイト104は、その右端部に設けられた4つのウェイト右結合部107と、その左端部に設けられた4つのウェイト左結合部108とを有する。
【0125】
4つのウェイト右結合部107は、カーボディウェイト104の右端部において上下及び前後に間隔をあけて配置されている。各ウェイト右結合部107は、前後方向に隙間をあけて配置された一対の板状の部材からなる。この各ウェイト右結合部107の一対の板状の部材には、それぞれ、その部材を前後方向に貫通する貫通穴が設けられている。
【0126】
4つのウェイト左結合部108は、前記4つのウェイト右結合部107と左右対称となるように前側カーボディウェイト104の左端部に配置されている。各ウェイト左結合部108の構成は、ウェイト右結合部107の構成と同様である。
【0127】
前右側ラチス部105は、右クローラフレーム前部52aと前側カーボディウェイト104の右端部との間に配置され、その右クローラフレーム前部52aと前側カーボディウェイト104の右端部とを相互に連結するものである。この前右側ラチス部105は、前右側ラチス部本体110と、右端結合部78と、4つの左端結合部111とを有する。
【0128】
前右側ラチス部本体110は、左右方向に延び、その全体に亘ってラチス構造をなしている。具体的には、この前右側ラチス部本体110は、左右方向に延びるとともに前記実施形態の前側ラチス部76の4本の主材82と同様に上下及び前後に間隔をあけて配列された4本の主材112と、その4本の主材112の隣り合うもの同士を繋ぐ複数の副材113とを有する。各主材112及び各副材113は、中空円筒状のパイプからなる。
【0129】
複数の副材113には、直交材113aと、斜材113bとが含まれる。直交材113aは、隣り合う主材112の右端近傍の部位同士又は左端近傍の部位同士を繋ぐものであり、それらの主材112に対して直交する方向に延びている。斜材113bは、隣り合う主材112の右端近傍の部位同士を繋ぐ直交材113aと当該主材112の左端近傍の部位同士を繋ぐ直交材113aとの間において、それらの主材112及び直交材113aに対して斜めに延び、それらの隣り合う主材112同士を繋ぐものである。
【0130】
右端結合部78は、前右側ラチス部本体110の右端部に設けられ、前記実施形態における右端結合部78と同様に構成されて右クローラフレーム52の前部結合部57に分離可能に結合するものである。
【0131】
4つの左端結合部111は、前側カーボディウェイト104の4つのウェイト右結合部107に分離可能に結合するものである。この左結合部111は、前右側ラチス部本体110の4本の主材112の左端にそれぞれ設けられている。各左端結合部111は、対応するウェイト右結合部107の一対の板状の部材同士の間に挿し込まれる板状の部分を有し、当該板状の部分には、その部分を前後方向に貫通する貫通穴が設けられている。この左端結合部111の板状の部分が対応するウェイト右結合部107の一対の板状の部材同士の間に挿し込まれた状態で、当該左端結合部111の貫通穴及びウェイト右結合部107の貫通穴にピン116が挿嵌されることによって当該左端結合部111とウェイト右結合部107とが結合されている。
【0132】
前左側ラチス部106は、左クローラフレーム前部68aと前側カーボディウェイト104の左端部との間に配置され、その左クローラフレーム前部68aと前側カーボディウェイト104の左端部とを相互に連結するものである。この前左側ラチス部106は、前右側ラチス部105と左右対称となるように構成されており、ウェイト右結合部107に対する右側ラチス部105の結合構造と同様の結合構造でウェイト左結合部108に結合しているとともに、右クローラフレーム52の前部結合部57に対する右側ラチス部105の結合構造と同様の結合構造で左クローラフレーム68の前部結合部72に結合している。
【0133】
また、当該変形例による下部走行体3の後側連結部40は、後側カーボディウェイト114と、後右側ラチス部115と、後左側ラチス部116とを有する。
【0134】
後側カーボディウェイト114は、クローラクレーン1の前後方向への転倒に対する安定度を向上するためにカーボディ32の後端部に取り付けられる錘である。この後側カーボディウェイト114の構成は、前側カーボディウェイト104を前後反転させた構成となっている。
【0135】
後右側ラチス部115は、右クローラフレーム後部52bと後側カーボディウェイト114の右端部との間に配置され、その右クローラフレーム後部52bと後側カーボディウェイト114の右端部とを相互に連結するものである。この後右側ラチス部115の構成は、前記前右側ラチス部105の構成と同様である。
【0136】
後左側ラチス部116は、左クローラフレーム後部68bと後側カーボディウェイト114の左端部との間に配置され、その左クローラフレーム後部68bと後側カーボディウェイト114の左端部とを相互に連結するものである。この後左側ラチス部116の構成は、前記前左側ラチス部106の構成と同様である。
【0137】
また、本発明における前側連結部及び後側連結部のラチス部は、吊り作業用のアタッチメントとは別に用意されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 クローラクレーン
2 上部旋回体
3 下部走行体
5 アタッチメント
10 ラフィングジブ(オプション部材)
10b 中間ジブ(構成部材)
12 フロントストラット(オプション部材)
12b 中間ストラット(構成部材)
14 リアストラット(オプション部材)
14b 中間ストラット(構成部材)
18 固定ジブ(オプション部材)
18b 中間ジブ(構成部材)
32 カーボディ
34 右クローラ装置
36 左クローラ装置
38 前側連結部
40 後側連結部
52 右クローラフレーム
53 左クローラフレーム
82 主材
84 副材