(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20220524BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220524BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L27/04 D
(21)【出願番号】P 2018119819
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェンゼン
(72)【発明者】
【氏名】武野 紘宜
(72)【発明者】
【氏名】岡本 淳
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-098353(JP,A)
【文献】特開2010-283269(JP,A)
【文献】特開2012-227269(JP,A)
【文献】特開2007-329170(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208888(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
第1のアクティブ領域及び第2のアクティブ領域を備えた第1のスタンダードセルと、
第5のアクティブ領域及び第6のアクティブ領域を備えた第2のスタンダードセルと、
前記半導体基板上に形成された第1の配線と第2の配線との間に電気的に接続された第1のスイッチトランジスタと、前記第1のスイッチトランジスタのゲートに接続され、第3のアクティブ領域及び第4のアクティブ領域を備えた第1のバッファ
と、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続された第2のスイッチトランジスタと、前記第2のスイッチトランジスタのゲートに接続され、第7のアクティブ領域及び第8のアクティブ領域を備えた第2のバッファと、を備えた電源スイッチ回路と、
を有し、
前記第1のバッファと前記第1のスタンダードセルは、平面視で第1の方向に隣接し、
前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記第1のアクティブ領域の配置と前記第3のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、
前記第2の方向において前記第2のアクティブ領域の配置と前記第4のアクティブ領域の配置とが互いに一致し
、
前記電源スイッチ回路は、平面視で前記第1のスタンダードセルと前記第2のスタンダードセルとの間に位置し、
前記第2のバッファと前記第2のスタンダードセルは、平面視で前記第1の方向に隣接し、
前記第2の方向において、前記第5のアクティブ領域の配置と前記第7のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、
前記第2の方向において、前記第6のアクティブ領域の配置と前記第8のアクティブ領域の配置とが互いに一致していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
第1のアクティブ領域及び第2のアクティブ領域を備えた第1のスタンダードセルと、
前記半導体基板上に形成された第1の配線と第2の配線との間に電気的に接続された第1のスイッチトランジスタと、前記第1のスイッチトランジスタのゲートに接続され、第3のアクティブ領域及び第4のアクティブ領域を備えた第1のバッファを備えた電源スイッチ回路と、
を有し、
前記第1のバッファと前記第1のスタンダードセルは、平面視で第1の方向に隣接し、
前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記第1のアクティブ領域の配置と前記第3のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、
前記第2の方向において前記第2のアクティブ領域の配置と前記第4のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、
更に、
平面視で前記第2の方向に配列された、複数の前記第1の配線と、
前記半導体基板上に形成され、前記第1の配線とは異なる電位が供給され、平面視で複数の前記第1の配線の間に配置された、第3の配線と、
前記半導体基板上に形成され、前記第1のスイッチトランジスタのゲート電極に電気的に接続し、前記第3の配線と同じ配線層に形成された第4の配線と、
を有し、
前記第3の配線は、前記電源スイッチ回路と重なる位置において、平面視で前記第2の方向に延在する2つの第1の部分と、前記第1の方向に延在して前記2つの第1の部分を接続し、前記電源スイッチ回路と重ならない位置における部分よりも前記第2の方向にずれて配置される第2の部分と、を有し、
前記第4の配線の少なくとも一部は、平面視で前記2つの第1の部分の間に位置することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板と、
第1のアクティブ領域及び第2のアクティブ領域を備えた第1のスタンダードセルと、
前記半導体基板上に形成された第1の配線と第2の配線との間に電気的に接続された第1のスイッチトランジスタと、前記第1のスイッチトランジスタのゲートに接続され、第3のアクティブ領域及び第4のアクティブ領域を備えた第1のバッファを備えた電源スイッチ回路と、
を有し、
前記第1のバッファと前記第1のスタンダードセルは、平面視で第1の方向に隣接し、
前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記第1のアクティブ領域の配置と前記第3のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、
前記第2の方向において前記第2のアクティブ領域の配置と前記第4のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、
更に、
平面視で前記第2の方向に配列された、複数の前記第1の配線と、
前記半導体基板上に形成され、前記第1の配線とは異なる電位が供給され、平面視で複数の前記第1の配線の間に配置された、第3の配線と、
前記半導体基板上であって前記第3の配線の下の配線層に形成され、平面視で前記第3の配線と重なった位置で、前記第1のスイッチトランジスタのゲート電極に接続する部分を有する第4の配線と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記電源スイッチ回路は、前記第1のバッファに基板電位を供給する第1のウェルタップを有し、
平面視で、前記第1のウェルタップと前記第1のスタンダードセルとの間に前記第1のバッファが配置されていることを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のアクティブ領域と前記第2のアクティブ領域は、平面視で前記第2の方向に並んで配置され、
前記第3のアクティブ領域と前記第4のアクティブ領域は、平面視で前記第2の方向に並んで配置されることを特徴とする請求項1
乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電源スイッチ回路は、前記第2のバッファに基板電位を供給する第2のウェルタップを有し、
平面視で、前記第2のウェルタップと前記第2のスタンダードセルとの間に前記第2のバッファが配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第5のアクティブ領域と前記第6のアクティブ領域は、平面視で前記第2の方向に並んで配置され、
前記第7のアクティブ領域と前記第8のアクティブ領域は、平面視で前記第2の方向に並んで配置されることを特徴とする請求項
1又は6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1のスイッチトランジスタは、平面視で前記第2の方向に並んで位置する第9のアクティブ領域及び第10のアクティブ領域を有し、
前記第2の方向における前記第9のアクティブ領域の寸法は、平面視で前記第2の方向における前記第10のアクティブ領域の寸法と一致していることを特徴とする請求項
2又は3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第4の配線のうち前記第1のスイッチトランジスタの前記ゲート電極と平面視で重なる部分は、前記第2の方向において平面視で前記第9のアクティブ領域と前記第10のアクティブ領域との間に位置することを特徴とする請求項
8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1のアクティブ領域、前記第2のアクティブ領域、前記第3のアクティブ領域および前記第4のアクティブ領域のそれぞれは、前記半導体基板上に形成されたフィンを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には各種回路領域が含まれており、回路領域の一例としてスタンダードセル領域がある。スタンダードセル領域には各種論理回路及び電源スイッチ回路が含まれる。
【0003】
電源スイッチ回路は、例えば供給されるVddの電位の電源配線と論理回路のトランジスタにVVddの電源を供給する配線との間に設けられ、当該トランジスタへのVVddの電源電位の供給のオン/オフを切り替える。電源スイッチ回路を用いることで、論理回路を動作させる必要のないときに電源供給をオフとし、論理回路を構成するトランジスタで生じるリーク電流を抑制し、消費電力の低減が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7142019号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0331472号明細書
【文献】特開2014-072488号公報
【文献】国際公開第2017/208888号
【文献】特開2011-049477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電源スイッチ回路の周辺の論理回路において特性変動が生じ、当該論理回路の特性が所望のスペックを満たさないことがある。
【0006】
本発明の目的は、特性変動が抑制された論理回路を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術に係る半導体装置は、半導体基板と、第1のアクティブ領域及び第2のアクティブ領域を備えた第1のスタンダードセルと、第5のアクティブ領域及び第6のアクティブ領域を備えた第2のスタンダードセルと、前記半導体基板上に形成された第1の配線と第2の配線との間に電気的に接続された第1のスイッチトランジスタと、前記第1のスイッチトランジスタのゲートに接続され、第3のアクティブ領域及び第4のアクティブ領域を備えた第1のバッファと、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続された第2のスイッチトランジスタと、前記第2のスイッチトランジスタのゲートに接続され、第7のアクティブ領域及び第8のアクティブ領域を備えた第2のバッファと、を備えた電源スイッチ回路と、を有する。前記第1のバッファと前記第1のスタンダードセルは、平面視で第1の方向に隣接し、前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記第1のアクティブ領域の配置と前記第3のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、前記第2の方向において前記第2のアクティブ領域の配置と前記第4のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、前記電源スイッチ回路は、平面視で前記第1のスタンダードセルと前記第2のスタンダードセルとの間に位置し、前記第2のバッファと前記第2のスタンダードセルは、平面視で前記第1の方向に隣接し、前記第2の方向において、前記第5のアクティブ領域の配置と前記第7のアクティブ領域の配置とが互いに一致し、前記第2の方向において、前記第6のアクティブ領域の配置と前記第8のアクティブ領域の配置とが互いに一致している。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、論理回路の特性変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置のレイアウトを示す図である。
【
図2】スタンダードセル領域の一部を拡大して示す図である。
【
図3】電源スイッチ回路の構成を示す回路図である。
【
図4A】第1のバッファの構成を示す回路図である。
【
図4B】第2のバッファの構成を示す回路図である。
【
図5】平面視における第1の実施形態におけるウェルの構成を示す図である。
【
図6】平面視における第1の実施形態におけるアクティブ領域と素子分離領域との関係を示す図である。
【
図7】平面視における第1の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
【
図8】平面視における第1の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
【
図9】平面視における第1の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図(その1)である。
【
図11】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図(その2)である。
【
図12】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図(その3)である。
【
図13】平面視における第2の実施形態におけるウェルの構成を示す図である。
【
図14】平面視における第2の実施形態におけるアクティブ領域と素子分離領域との関係を示す図である。
【
図15】平面視における第2の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
【
図16】平面視における第2の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
【
図17】平面視における第2の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
【
図18】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図19】平面視における第3の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
【
図20】平面視における第3の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
【
図21】平面視における第3の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
【
図22】第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図23】平面視における第4の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
【
図24】平面視における第4の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
【
図25】平面視における第4の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
【
図26】第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、従来の半導体装置において論理回路が正常に動作しないことがある理由を解明すべく鋭意検討を行った。この結果、電源スイッチ回路と論理回路が設けられるスタンダードセルとの間で、これらに含まれるアクティブ領域の配置に設計上の相違がある場合に、スタンダードセルのトランジスタに特性変動が生じることがあることが明らかになった。例えば、電源スイッチ回路とスタンダードセルとが並ぶ方向に直交する方向において、アクティブ領域の寸法やアクティブ領域間の距離に設計上のずれがある場合、製造工程中にトランジスタに特性変動が生じることがある。このようなトランジスタの特性変動により、論理回路において期待した特性が得られないことがある。
【0011】
本発明者らは、これらの知見に基づいて更に鋭意検討を行った結果、スタンダードセルに隣接する領域に、スタンダードセルのアクティブ領域と配置が一致するアクティブ領域を設けることが特性変動の抑制に有効であることが明らかになった。以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置のレイアウトを示す図である。
図2は、スタンダードセル領域の一部を拡大して示す図である。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置100は、複数のスタンダードセル領域1及びその周辺に配置された入出力(I/O)セル領域2を含む。
図2に示すように、スタンダードセル領域1には、複数のスタンダードセル11及び複数の電源スイッチ回路12が含まれる。スタンダードセル11には、NAND回路、インバータ回路等の各種論理回路が含まれる。スタンダードセル領域1には、スタンダードセル11に接地電位を供給するVss配線及び電源電位を供給するVVdd配線が配置されている。本実施形態では、Vss配線及びVVdd配線が平面視でX方向に延在し、X方向に直交するY方向にこれらが繰り返し配置されている。スタンダードセル11は、例えば、平面視でVVdd配線とVss配線との間に配置される。
【0014】
ここでは、隣接するVss配線とVVdd配線との間のY方向の距離をハイトとよぶ。スタンダードセル11や電源スイッチ回路12のY方向の寸法が1ハイトである場合、それらをシングルハイトセルとよぶ。また、スタンダードセル11や電源スイッチ回路12のY方向の寸法が2ハイト以上である場合、それらをマルチハイトセルとよび、特に2ハイトである場合、ダブルハイトセルとよぶ。
【0015】
図2に示すレイアウトでは、スタンダードセル領域1に、平面視でX方向に延在する複数のVss配線と、X方向に延在するVVdd配線が交互に配置されている。また、スタンダードセル領域1に配置された電源スイッチ回路12中にVdd配線が配置される。また、スタンダードセル領域1は、X方向に延在するVss配線、VVdd配線及び電源スイッチ回路12中のVdd配線とは異なる配線層に、Y方向に延在する複数のVss配線、複数のVVdd配線及び複数のVdd配線が配置されている。X方向に延在するVss配線は、ビア13を介してY方向に延在するVss配線と接続する。X方向に延在するVVdd配線は、ビア13を介してY方向に延在するVVdd配線と接続する。電源スイッチ回路12中のVdd配線は、ビア13を介してY方向に延在するVdd配線と接続する。なお、電源スイッチ回路12中のVdd配線は、X方向に延在するVss配線及びVVdd配線とは異なる配線層に形成されても良く、同じ配線層に形成されても良い。電源スイッチ回路12は、例えば、Vss配線を跨いで2つのVVdd配線との間に配置される。つまり、この電源スイッチ回路12はダブルハイトセルである。電源スイッチ回路12は、例えば外部から電源電位が供給されるVdd配線を有する。電源スイッチ回路は、Vdd配線の電位をVVdd配線への供給/遮断(オン/オフ)を切り替える。
【0016】
次に、電源スイッチ回路12の構成について説明する。
図3は、電源スイッチ回路の構成を示す回路図である。
【0017】
図3に示すように、電源スイッチ回路12は、Vdd配線とVVdd配線との間に接続された、第1のスイッチトランジスタSW1及び第2のスイッチトランジスタSW2を有する。例えば、第1のスイッチトランジスタSW1及び第2のスイッチトランジスタSW2はPチャネルMOSトランジスタである。電源スイッチ回路12は、第1のスイッチトランジスタSW1のゲートに接続される第1のバッファBU1及び第2のスイッチトランジスタSW2のゲートに接続される第2のバッファBU2を有する。
【0018】
次に、第1のバッファBU1及び第2のバッファBU2の構成について説明する。
図4Aは、第1のバッファの構成を示す回路図である。
図4Bは、第2のバッファの構成を示す回路図である。
【0019】
図4Aに示すように、第1のバッファBU1は、インバータIV1a及びインバータIV1bを有する。インバータIV1aに入力信号IN1が入力され、インバータIV1aの出力が第1のスイッチトランジスタSW1のゲート及びインバータIV1bに入力され、インバータIV1bから出力信号OUT1が出力される。インバータIV1a及びIV1bは、いずれも2つのPチャネルMOSトランジスタ及び2つのNチャネルMOSトランジスタを有する。なお、インバータIV1a及びIV1bの構成は一例であり、例えば、インバータIV1a及びIV1bはそれぞれ、1つのPチャネルトランジスタ及び1つのNチャネルMOSトランジスタを有するものであっても良い。
【0020】
図4Bに示すように、第2のバッファBU2は、インバータIV2a及びインバータIV2bを有する。インバータIV2aに入力信号IN2が入力され、インバータIV2aの出力が第2のスイッチトランジスタSW2のゲート及びインバータIV2bに入力され、インバータIV2bから出力信号OUT2が出力される。インバータIV2a及びIV2bは、いずれも1つのPチャネルMOSトランジスタ及び1つのNチャネルMOSトランジスタを有する。なお、インバータIV2a及びIV2bの構成は一例であり、例えば、インバータIV2a及びIV2bはそれぞれ、2つのPチャネルトランジスタ及び2つのNチャネルMOSトランジスタを有するものであっても良い。
【0021】
詳細は後述するが、PチャネルMOSトランジスタのNウェルには、Vdd配線(電源配線)からウェルタップを介してVddの電源電位が基板電位として供給される。また、NチャネルMOSトランジスタのPウェルには、Vss配線(接地配線)からウェルタップを介してVssの接地電位が基板電位として供給される。
【0022】
本実施形態において、第1のスイッチトランジスタSW1は、第2のスイッチトランジスタSW2よりも駆動能力が小さく、オンしたときに第1のスイッチトランジスタSW1を流れる電流は第2のスイッチトランジスタSW2を流れる電流よりも小さい。従って、第1のスイッチトランジスタSW1をオンとした後で第2のスイッチトランジスタSW2をオンとすることで、VVdd配線に供給される電位の立ち上がりを緩やかなものとすることができる。VVdd配線からスタンダードセルSC51に電源電位が急激に供給された場合、Vdd配線に電源ノイズが生じ、電源電位がVdd配線から供給されるスタンダードセルSC52に誤動作等が生じ得る。しかし、上記のように電位の立ち上がりを緩やかにすることで、このような誤動作等を抑制することができる。
【0023】
次に、第1の実施形態におけるスタンダードセル11及び電源スイッチ回路12のレイアウトについて説明する。
図5は、平面視における第1の実施形態におけるウェルの構成を示す図である。
図6は、平面視における第1の実施形態におけるアクティブ領域と素子分離領域との関係を示す図である。
図7は、平面視における第1の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
図8は、平面視における第1の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
図9は、平面視における第1の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
図10~
図12は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図10は、
図5~
図9中のI-I線に沿った断面図に相当し、
図11は、
図5~
図9中のII-II線に沿った断面図に相当し、
図12は、
図5~
図9中のIII-III線に沿った断面図に相当する。
図5~
図12には、Y方向で隣り合う2本のVVdd配線間の領域を示す。
【0024】
図5等に示すように、X方向でスタンダードセルSC1及びSC2の間に、電源スイッチ回路12が配置されている。また、スタンダードセルSC1と電源スイッチ回路12との間にフィルセルFCが配置されている。電源スイッチ回路12は、第1のスイッチトランジスタSW1用の領域RSW1、第2のスイッチトランジスタSW2用の領域RSW2、第1のウェルタップ用の領域RWT1、第2のウェルタップ用の領域RWT2、第1のバッファBU1用の領域RBU1、第2のバッファBU2用の領域RBU2及びダミーセル用の領域RDを含む。X方向で、領域RBU2がスタンダードセルSC2に隣接し、領域RBU1が領域RBU2に隣接し、領域RWT2及び領域RSW1が領域RBU1に隣接し、領域RSW2が領域RWT2及び領域RSW1に隣接し、領域RWT1及び領域RDが領域RSW2に隣接する。Y方向で、VVdd配線として用いられる2本の配線M1002の中心に、Vss配線として用いられる配線M1001が配置される。本実施形態において、スタンダードセルSC2は第1のスタンダードセルの一例であり、領域RSW1及びRSW2は第1のスイッチトランジスタ用の領域の一例である。また、領域RBU1及びRBU2は第1のバッファ用の領域の一例であり、領域RWT2は第1のウェルタップ用の領域の一例である。
【0025】
図5及び
図10等に示すように、半導体基板101の表面に、Nウェル102N、Pウェル102P1及びPウェル102P2が形成されている。配線M1001の下方において、Nウェル102NはPウェル102P1及びPウェル102P2の間に形成されている。スタンダードセルSC1、フィルセルFC及び領域RWT1はNウェル102N及びPウェル102P1に形成されている。領域RD、領域RSW2及び領域RSW1はNウェル102Nに形成されている。領域RWT2、領域RBU1、領域RBU2及びスタンダードセルSC2はNウェル102N及びPウェル102P2に形成されている。このように、本実施形態では、平面視で、Pウェル102P1及びPウェル102P2がNウェル102Nにより分断されている。
【0026】
図6等に示すように、半導体基板101の表面にはアクティブ領域を画定する素子分離領域103が形成されている。素子分離領域103は、例えばSTI(shallow trench isolation)法により形成されている。本開示においてアクティブ領域とは、素子分離領域により画定された領域であり、アクティブ領域にトランジスタのソース、ドレイン及びチャネルが設けられる。例えば、トランジスタがプレーナ型である場合、アクティブ領域にて半導体基板101の表面が素子分離領域から露出し、トランジスタがフィン型である場合、素子分離領域から突出したフィンがアクティブ領域に形成される。なお、
図6の各アクティブ領域に示されたN及びPの文字は、各アクティブ領域の位置における、ウェルの導電型を意味する。
【0027】
スタンダードセルSC1は、アクティブ領域ASC11、ASC12、ASC13及びASC14を含む。アクティブ領域ASC11、ASC12、ASC13及びASC14は、例えばY方向に配列される。アクティブ領域ASC11及びASC14はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域ASC12及びASC13はPウェル102P1に配置されている。なお、スダンダードセルSC1は、例えばアクティブ領域ASC11及びASC12を有するシングルハイトセルであり、別のスタンダードセルがアクティブ領域ASC13及びASC14を有するものであっても良い。
【0028】
フィルセルFCは、アクティブ領域AFC1、AFC2、AFC3及びAFC4を含む。アクティブ領域AFC1、AFC2、AFC3及びAFC4は、例えばY方向に配列される。アクティブ領域AFC1及びAFC4はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域AFC2及びAFC3はPウェル102P1に配置されている。
【0029】
ウェルタップ用の領域RWT1は、アクティブ領域AWT11及びAWT12を含む。アクティブ領域AWT11はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域AWT12はPウェル102P1に配置されている。
【0030】
ダミーセル用の領域RDは、アクティブ領域ARDを含む。アクティブ領域ARDはNウェル102Nに配置されている。アクティブ領域AWT11及びAWT12と、アクティブ領域ARDとは、例えばY方向に配列される。
【0031】
スイッチトランジスタSW2用の領域RSW2は、アクティブ領域ASW21及びASW22を含む。アクティブ領域ASW21及びASW22はNウェル102Nに形成されている。
【0032】
スイッチトランジスタSW1用の領域RSW1は、アクティブ領域ASW1を含む。アクティブ領域ASW1はNウェル102Nに形成されている。
【0033】
ウェルタップ用の領域RWT2は、アクティブ領域AWT21及びAWT22を含む。アクティブ領域AWT21はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域AWT22はPウェル102P2に配置されている。アクティブ領域AWT21及びAWT22と、アクティブ領域ASW1とは、例えばY方向に配列される。
【0034】
バッファBU1用の領域RBU1は、アクティブ領域ABU11、ABU12、ABU13及びABU14を含む。アクティブ領域ABU11、ABU12、ABU13及びABU14は、例えばY方向に配列される。アクティブ領域ABU11及びABU14はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域ABU12及びABU13はPウェル102P2に配置されている。
【0035】
バッファBU2用の領域RBU2は、アクティブ領域ABU21、ABU22、ABU23及びABU24を含む。アクティブ領域ABU21、ABU22、ABU23及びABU24は、例えばY方向に配列される。アクティブ領域ABU21及びABU24はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域ABU22及びABU23はPウェル102P2に配置されている
【0036】
スタンダードセルSC2は、アクティブ領域ASC21、ASC22、ASC23及びASC24を含む。アクティブ領域ASC21、ASC22、ASC23及びASC24は、例えばY方向に配列される。アクティブ領域ASC21及びASC24はNウェル102Nに配置され、アクティブ領域ASC22及びASC23はPウェル102P2に配置されている。なお、スダンダードセルSC2は、例えばアクティブ領域ASC21及びASC22を有するシングルハイトセルであり、別のスタンダードセルがアクティブ領域ASC23及びASC24を有するものであっても良い。
【0037】
図7及び
図10等に示すように、各アクティブ領域内に、素子分離領域103から突出するフィン110N又はフィン110Pが形成されている。フィン110N中に、Nウェル102Nの少なくとも一部が形成されている。フィン110P中に、Pウェル102Pの少なくとも一部が形成されている。フィン110N及びフィン110PはX方向に延在する。また、各アクティブ領域内に、Y方向に延在するゲート電極112及びダミーゲート電極112dが形成されている。フィン110N又はフィン110Pとゲート電極112又はダミーゲート電極112dとの間にはゲート絶縁膜111が形成されている。また、少なくともトランジスタが形成されるフィン110Nには、PチャネルMOSトランジスタのソース及びドレインとして、P型不純物の不純物領域104Pが形成されている。少なくともトランジスタが形成されるフィン110Pには、NチャネルMOSトランジスタのソース及びドレインとして、N型不純物の不純物領域104Nが形成されている。不純物領域104P又は104N上にローカル配線113が形成されている。このようにして、各アクティブ領域内に、PチャネルMOSトランジスタ又はNチャネルMOSトランジスタが形成されている。なお、
図12に示すように、アクティブ領域AWT21ではフィン110N中に不純物領域104Nが形成され、アクティブ領域AWT22ではフィン110P中に不純物領域104Pが形成される。また、アクティブ領域AWT11ではフィン110N中に不純物領域104Nが形成され、アクティブ領域AWT12ではフィン110P中に不純物領域104Pが形成される(図示せず)。すなわち、ウェルタップ用の領域RWT1及びRWT2のアクティブ領域において、フィンに形成される不純物領域の導電型と、一部が当該フィンに形成されるウェルの導電型とが同一である。
【0038】
ゲート電極112及びローカル配線113の一部は、アクティブ領域間で共有されている。領域RBU1はインバータIV1a用の領域RIV1a及びインバータIV1b用の領域RIV1bを含む。領域RIV1a内では、アクティブ領域ABU11及びABU12間でゲート電極112が共有され、領域RIV1b内では、アクティブ領域ABU13及びABU14間でゲート電極112が共有されている。また、アクティブ領域ABU12及びABU13間でソースに繋がるローカル配線113が共有されている。領域RBU2はインバータIV2a用の領域RIV2a及びインバータIV2b用の領域RIV2bを含む。領域RIV2a内では、アクティブ領域ABU21及びABU22間でゲート電極112が共有され、領域RIV2b内では、アクティブ領域ABU23及びABU24間でゲート電極112が共有されている。また、アクティブ領域ABU22及びABU23間でソースに繋がるローカル配線113が共有されている。
【0039】
ローカル配線113の材料は、例えばタングステン、コバルト又はルテニウムである。ローカル配線113に、例えば、チタン、窒化チタン、ルテニウム又はコバルトの下地膜(図示せず)が形成されていることが好ましい。ローカル配線113の材料がコバルト又はルテニウムの場合、下地膜が形成されていなくてもよい。
【0040】
図10~
図12に示すように、フィン110N及び110P、ゲート電極112並びにダミーゲート電極112dの周囲に層間絶縁膜121が形成され、ローカル配線113の周囲に層間絶縁膜121及び122が形成されている。そして、層間絶縁膜122上に層間絶縁膜123が形成され、層間絶縁膜123内に、
図8等に示す各種配線を含む第1の配線層M1が形成されている。また、層間絶縁膜123上に層間絶縁膜124が形成され、層間絶縁膜124内に、
図9等に示す各種配線を含む第2の配線層M2が形成されている。
【0041】
図8等に示すように、第1の配線層M1は、Vss配線として機能する配線M1001及びVVdd配線として機能する配線M1002を含む。配線M1001は、Pウェル102P1に形成されたアクティブ領域AWT12内のローカル配線113、及びPウェル102P2に形成されたアクティブ領域AWT22内のローカル配線113に接続されている。配線M1001は、アクティブ領域ABU12及びABU13間で共有されるローカル配線113、及びアクティブ領域ABU22及びABU23間で共有されるローカル配線113にも接続されている。配線M1002は、領域RSW1内のドレインに接続される配線M1021、及び領域RSW2内のドレインに接続される配線M1022に接続されている。第1の配線層M1は、領域RSW1内のソースに接続される配線M1025、及び領域RSW2内のソースに接続される配線M1026を含む。
【0042】
第1の配線層M1は、領域RIV1a内のゲートに接続され、インバータIV1aの入力部となる配線M1011、及び領域RIV2a内のゲートに接続され、インバータIV2aの入力部となる配線M1012を含む。また、第1の配線層M1は、アクティブ領域ABU11内のドレイン及びアクティブ領域ABU12内のドレインに接続される配線M1013、並びにアクティブ領域ABU21内のドレイン及びアクティブ領域ABU22内のドレインに接続される配線M1014を含む。配線M1013はインバータIV1aの出力部となり、配線M1014はインバータIV2aの出力部となる。
【0043】
第1の配線層M1は、領域RIV1b内のゲートに接続され、インバータIV1bの入力部となる配線M1015、及び領域RIV2b内のゲートに接続され、インバータIV2bの入力部となる配線M1016を含む。また、第1の配線層M1は、アクティブ領域ABU13内のドレイン及びアクティブ領域ABU14内のドレインに接続される配線M1023、並びにアクティブ領域ABU23内のドレイン及びアクティブ領域ABU24内のドレインに接続される配線M1024を含む。配線M1023はインバータIV1bの出力部となり、配線M1014はインバータIV2bの出力部となる。
【0044】
配線M1013と配線M1015とがローカル配線113の一部を介して互いに接続され、配線M1014と配線M1016とがローカル配線113の一部を介して互いに接続されている。配線M1015は、領域RSW1内のゲートにも接続され、配線M1016は、領域RSW2内のゲートにも接続されている。
【0045】
第1の配線層M1は、アクティブ領域AWT11内のNウェル102Nの上方でソース及びドレインに接続される配線M1031、及び領域WT2内のNウェル102Nの上方でソース及びドレインに接続される配線M1032を含む。配線M1032は、アクティブ領域ABU11内のソース及びアクティブ領域ABU21内のソースにも接続されている。
【0046】
第1の配線層M1は、アクティブ領域ABU14内のソース及びアクティブ領域ABU24内のソースに接続される配線M1017を有する。
【0047】
第1の配線層M1に含まれる配線はビア140を介してローカル配線113に接続される。第1の配線層M1は、例えばバリアメタル膜141及び配線膜142を含む。バリアメタル膜141の材料は、例えばタンタル、窒化タンタル、チタン、ルテニウム又はコバルトであり、配線膜142の材料は、例えば銅である。例えば、第1の配線層M1はビア140を含めて、デュアルダマシン法により形成されている。
【0048】
図9等に示すように、第2の配線層M2は、Vdd配線として機能する配線M2001及びM2002を含む。配線M2001は、アクティブ領域AWT11内の配線M1031及びアクティブ領域AWT21内の配線M1032に接続されている。配線M2001は、アクティブ領域ASW21内の配線M1026にも接続されている。配線M2002は、アクティブ領域SWT1内の配線M1025、並びにアクティブ領域ABU14内のソース及びアクティブ領域ABU24内のソースに接続される配線M1017に接続されている。配線M2002は、アクティブ領域ASW22内の配線M1026にも接続されている。
【0049】
第2の配線層M2に含まれる配線はビア150を介して第1の配線層M1に含まれる配線に接続される。第2の配線層M2は、例えばバリアメタル膜151及び配線膜152を含む。バリアメタル膜151の材料は、例えばタンタル、窒化タンタル、チタン、ルテニウム又はコバルトであり、配線膜152の材料は、例えば銅である。例えば、第2の配線層M2はビア150を含めて、デュアルダマシン法により形成されている。
【0050】
このように構成された第1の実施形態では、配線M2001及びM2002からアクティブ領域AWT11及びAWT21を通じてNウェル102NにVddの電源電位が供給される。また、配線M1001からアクティブ領域AWT12及びAWT22を通じてPウェル102P1及び102P2にVssの接地電位が供給される。これらVddの電源電位及びVssの接地電位は、
図5~
図12に示す領域のX方向、Y方向の外側でも、ウェルが電気的に繋がっているスタンダードセルに供給される。また、配線M1002には、入力信号IN1及びIN2に応じて電源スイッチ回路12を介してVVddの電源電位が供給される。配線M1002は第1の配線の一例であり、配線M2001及びM2002は第2の配線の一例である。
【0051】
本実施形態において、ウェルタップ用の領域RWT2に含まれるアクティブ領域AWT21及びAWT22のY方向の配置は、スタンダードセルSC2に含まれるアクティブ領域ASC21~ASC24のY方向の配置と相違する。具体的には、アクティブ領域ASC21~ASC24のY方向の端の位置が、アクティブ領域AWT21及びAWT22のY方向の端の位置と相違する。また、アクティブ領域ASC21~ASC24のY方向の寸法が、アクティブ領域AWT21、AWT22のY方向の寸法と相違することもある。その一方で、領域RWT2とスタンダードセルSC2との間にバッファ用の領域RBU1及びRBU2が配置されている。アクティブ領域ASC21~ASC24のY方向の配置はそれぞれ、アクティブ領域ABU11~ABU14のY方向の配置と一致し、アクティブ領域ABU21~ABU24のY方向の配置と一致する。すなわち、アクティブ領域ASC21~ASC24はそれぞれ、アクティブ領域ABU11~ABU14との間でY方向の位置及び寸法が一致し、アクティブ領域ABU21~ABU24との間でY方向の位置及び寸法が一致する。例えば、アクティブ領域ASC21~ASC24のフィンのY方向の配置はそれぞれ、アクティブ領域ABU11~ABU14のフィンのY方向の配置と一致し、アクティブ領域ABU21~ABU24のフィンのY方向の配置と一致している。従って、第1の実施形態では、スタンダードセルSC2内のトランジスタは、領域RWT2内のアクティブ領域の配置の相違による影響を受けにくい。このため、第1の実施形態によれば、スタンダードセルSC2の特性変動を抑制することができる。
【0052】
また、バッファ用の領域RBU1及びRBU2に形成されるトランジスタの設計の自由度は、スタンダードセルSC2に形成されるトランジスタの設計の自由度よりも高い。例えば、同一のスタンダードセルは、スタンダードセル領域1のどこに配置しても、特性が所望の範囲内となることを期待して設計されることがある。そのため、電源スイッチ回路12からの距離に応じた特性変動を加味して設計することが容易でない。一方、電源スイッチ回路12に含まれるバッファは、そのバッファ特有の設計をすることができる。すなわち、バッファ用の領域RBU1及びRBU2に形成されるトランジスタは、アクティブ領域の配置が異なるウェルタップ用の領域RWT2からの影響を加味して設計することができる。従って、バッファ用の領域RBU1及びRBU2内のトランジスタは、予め領域RWT2内の影響を加味して設計することができる。
【0053】
なお、本開示での配置の一致とは、厳密に、製造上のばらつきに起因して不一致となったものを排除するものではなく、製造上のばらつきで配置にずれが生じている場合でも、配置が一致しているものとみなすことができる。これは他の実施形態においても同様である。
【0054】
また、アクティブ領域ABU11~ABU14及びABU21~ABU24とアクティブ領域ASC21~ASC24との間で、フィンの数が一致していなくてもよい。例えば、アクティブ領域の一方にてフィンの一部が除去され、他方にてフィンが除去されていない場合でも、素子分離領域により画定された領域同士の配置が一致していればよい。また、アクティブ領域に含まれるフィンの数は特に限定されず、例えば偶数でも奇数でもよい。
【0055】
また、電源スイッチ回路12がダブルハイトセルである必要はなく、例えば、互いに隣接するVss配線とVVdd配線との間に配置されたシングルハイトセルであってもよい。また、電源スイッチ回路12は、Y方向の寸法が3ハイト以上のマルチハイトセルであってもよい。同様に、スタンダードセル11がシングルハイトセルであってもよく、マルチハイトセルであってもよい。電源スイッチ回路12がシングルハイトセルの場合、例えば、スタンダードセルSC2に接するバッファBU2では、アクティブ領域ABU21及びABU22にインバータ2a及びインバータ2bに配置されるものであってもよい。
【0056】
また、ダミーセル用の領域RDがウェルタップ用の領域RWT1に包含され、アクティブ領域ARD内のソース及びドレインに第1の配線層M1を介して配線M2002が接続され、この領域がNウェル用のウェルタップとして用いられてもよい。その場合、アクティブ領域ARDのフィン110N中に形成される不純物領域はN型の導電型を有する。
【0057】
また、本実施形態では、第2のバッファBU2がスタンダードセルSC2に隣接して配置されているが、第1のバッファBU1と第2のバッファBU2との位置を入れ替えても良い。具体的には、平面視で第2のバッファBU2とスタンダードセルSC2との間において、第1のバッファBU1がスタンダードセルSC2と隣接して配置されても良い。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、バッファBU2用の領域RBU2の配置の点で第1の実施形態と相違する。
図13は、平面視における第2の実施形態におけるウェルの構成を示す図である。
図14は、平面視における第2の実施形態におけるアクティブ領域と素子分離領域との関係を示す図である。
図15は、平面視における第2の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
図16は、平面視における第2の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
図17は、平面視における第2の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
図18は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図18は、
図13~
図17中のI-I線に沿った断面図に相当する。
図13~
図18には、Y方向で隣り合う2本のVVdd配線間の領域を示す。
【0059】
図13~
図18に示すように、X方向でスタンダードセルSC1及びSC2の間に、電源スイッチ回路12が配置されている。電源スイッチ回路12は、スイッチトランジスタSW1用の領域RSW1、スイッチトランジスタSW2用の領域RSW2、第1のウェルタップ用の領域RWT1、第2のウェルタップ用の領域RWT2、第1のバッファBU1用の領域RBU1及び第2のバッファBU2用の領域RBU2を含む。平面視で、領域RBU1がスタンダードセルSC2に隣接し、領域RWT2及び領域RSW1が領域RBU1に隣接し、領域RSW2が領域RWT2及び領域RSW1に隣接し、領域RWT1が領域RSW2に隣接し、領域RBU2が領域RWT1に隣接する。領域RWT1は第1の実施形態におけるダミーセル用の領域RDを包含する。平面視で、VVdd配線として用いられる2本の配線M1002の間に、Vss配線として用いられる配線M1001が配置される。
【0060】
ウェルタップ用の領域RWT1は、アクティブ領域AWT11、AWT12及びAWT13を含む。アクティブ領域AWT13は、アクティブ領域ARDと同様に、Nウェル102Nに配置されている。
【0061】
第2の実施形態では、Vdd配線である配線M2002は、配線M1017を介してアクティブ領域ABU14内のソースに電気的に接続され、配線M1018を介してアクティブ領域ABU24内のソースに電気的に接続される。また、Vdd配線である配線M2001は、配線M1032を介してアクティブ領域ABU11内のソースに電気的に接続され、配線M1031を介してアクティブ領域ABU21内のソースに電気的に接続される。配線M1018は、アクティブ領域AWT13内のNウェル102Nの上方に形成されたN型の不純物領域にも電気的に接続される。また、配線M1031は、アクティブ領域AWT11内のNウェル102Nの上方に形成されたN型の不純物領域にも電気的に接続される。なお、アクティブ領域AWT13の代わりに、第1の実施形態のように、ダミーとして用いるアクティブ領域ARDを配置しても良い。
【0062】
配線M2002は、配線M1025、M1026及びM1017だけでなく、アクティブ領域AWT13内の配線M1018にも接続されている。
【0063】
本実施形態において、スタンダードセルSC1は第2のスタンダードセルの一例であり、スタンダードセルSC2は第1のスタンダードセルの一例であり、領域RSW1は第1のスイッチトランジスタ用の領域の一例であり、領域RSW2は第2のスイッチトランジスタ用の領域の一例である。また、領域RBU1は第1のバッファ用の領域の一例であり、領域RBU2は第2のバッファ用の領域の一例であり、領域RWT1は第2のウェルタップ用の領域の一例であり、領域RWT2は第1のウェルタップ用の領域の一例である。配線M1002は第1の配線の一例であり、配線M2001及びM2002は第2の配線の一例である。
【0064】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0065】
このように構成された第2の実施形態では、配線M2001及びM2002からアクティブ領域AWT11、AWT13及びAWT21を通じてNウェル102NにVddの電位が供給される。また、配線M1001からアクティブ領域AWT12及びAWT22を通じてPウェル102P1及び102P2にVssの電位が供給される。これらVddの電源電位及びVssの接地電位は、
図13~
図18に示す領域のX方向、Y方向の外側でも、ウェルが電気的に繋がっているスタンダードセルに供給される。また、配線M1002には、入力信号IN1及びIN2に応じて電源スイッチ回路12を介してVVddの電源電位が供給される。
【0066】
第2の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2の実施形態によれば、フィルセルFCが設けられていないものの、領域RWT1とスタンダードセルSC1との間にバッファ用の領域RBU2が配置されている。アクティブ領域ABU21~ABU24のY方向の配置はそれぞれアクティブ領域ASC11~ASC14のY方向の配置と一致する。すなわち、アクティブ領域ABU21~ABU24はそれぞれ、アクティブ領域ASC11~ASC14との間で、Y方向の位置及び寸法が一致する。例えば、アクティブ領域ABU21~ABU24のフィンのY方向の配置はそれぞれ、アクティブ領域ASC11~ASC14のフィンのY方向の配置と一致している。従って、第2の実施形態では、フィルセルFCが設けられていないものの、スタンダードセルSC1内のトランジスタは、領域RWT1内のアクティブ領域の配置の相違による影響を受けにくい。
【0067】
更に、領域RWT2とスタンダードセルSC2との間にバッファ用の領域RBU1が配置されている。アクティブ領域ASC21~ASC24のY方向の配置はそれぞれ、アクティブ領域ABU11~ABU14のY方向の配置と一致する。すなわち、アクティブ領域ASC21~ASC24はそれぞれ、アクティブ領域ABU11~ABU14との間でY方向の位置及び寸法が一致する。例えば、アクティブ領域ASC21~ASC24のフィンのY方向の配置はそれぞれ、アクティブ領域ABU11~ABU14のフィンのY方向の配置と一致している。従って、スタンダードセルSC2内のトランジスタは、領域RWT2内のアクティブ領域の配置の相違による影響を受けにくい。このため、第1の実施形態と同様に、スタンダードセルSC2の特性変動を抑制することができる。
【0068】
このため、第2の実施形態によれば、第1の実施形態よりも面積を小さくしながらスタンダードセルSC1及びSC2の特性変動を抑制することができる。
【0069】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、領域RSW2に含まれるアクティブ領域ASW21及びASW22の配置の点で第2の実施形態と相違する。
図19は、平面視における第3の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
図20は、平面視における第3の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
図21は、平面視における第3の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
図22は、第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図22は、
図19~
図21中のI-I線に沿った断面図に相当する。
図19~
図22には、Y方向で隣り合う2本のVVdd配線間の領域を示す。
【0070】
図19~
図22に示すように、第3の実施形態では、領域RSW2内のゲートに接続される配線M1016がY方向で2本の配線M1002の中心に位置し、アクティブ領域ASW21のY方向の寸法とアクティブ領域ASW22のY方向の寸法とが互いに一致する。すなわち、配線M1016のうち、領域RSW2内のゲートと平面視で重なる部分は、平面視でアクティブ領域ASW21とASW22との間に位置する。また、これに伴って配線M1001の一部が平面視でアクティブ領域ASW21側に迂回している。具体的には、配線M1001はアクティブ領域ASW21側に屈曲してY方向に延在する2つの部分と、当該Y方向に延在した2つ部分を接続してX方向に延在する部分を有する。当該X方向に延在する部分は、電源スイッチ回路と重ならない位置における配線M1001よりも、平面視でY方向にずれた位置にある。例えば、配線M1016の一部は、平面視で、電源スイッチ回路と重ならない位置の配線M1001のX方向の延長線上に位置し、配線M1001のY方向に延在した2つの部分の間に配置される。なお、領域RSW2において、配線M1001の迂回した部分が、平面視でアクティブ領域ASW21と配線M1016との間に配置されていても良いし、平面視でアクティブ領域ASW21と重なって配置されても良い。
【0071】
他の構成は第2の実施形態と同様である。なお、本実施形態の配線M1016及びM1001の構成を、第1の実施形態に適用しても良い。
【0072】
第3の実施形態によっても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第3の実施形態では、アクティブ領域ASW21のX方向及びY方向の寸法とアクティブ領域ASW22のX方向及びY方向の寸法とが互いに一致している。そのため、アクティブ領域ASW21及びASW22に形成されるフィン110Nの数が一致し、トランジスタの数が一致する。従って、VVddの電位を配線M1002により均一に供給することができる。なお、製造上のばらつきにより寸法に変動が生じたもの場合も、寸法が一致するものとみなすことが出来る。これは他の実施形態においても同様である。
【0073】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、領域RSW2に含まれるゲートがローカル配線113で共通接続されている点で第3の実施形態と相違する。
図23は、平面視における第4の実施形態におけるフィン、ゲート電極及びローカル配線の構成を示す図である。
図24は、平面視における第4の実施形態における第1の配線層とゲート電極及びローカル配線との関係を示す図である。
図25は、平面視における第4の実施形態における第2の配線層と第1の配線層との関係を示す図である。
図26は、第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図26は、
図23~
図25中のI-I線に沿った断面図に相当する。
図23~
図26には、Y方向で隣り合う2本のVVdd配線間の領域を示す。
【0074】
図23~
図26に示すように、第4の実施形態では、領域RSW2内のゲートがローカル配線113の一部により共通接続されている。ローカル配線113のうち、領域RSW2内のゲートと平面視で重なる部分は、平面視でアクティブ領域ASW21とASW22との間に位置する。ローカル配線113はY方向に延在する部分があり、その端は、アクティブ領域AWT13側にある配線M1002と配線M1001との間に位置している。配線M1016は、アクティブ領域AWT13側にある配線M1002と配線M1001との間の位置で、このローカル配線113の一部に接続されている。また、配線M1001は第2の実施形態と同様に、Y方向で2本の配線M1002の中心を直線状にX方向に延在している。
【0075】
他の構成は第3の実施形態と同様である。なお、本実施形態のローカル配線113及び配線M1016の構成を、第1の実施形態に適用しても良い。
【0076】
第4の実施形態によっても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第4の実施形態では、配線M1001が直線状に延在するため、配線M1001に寄生する抵抗を低減することができる。
【0077】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0078】
1:スタンダードセル領域
2:入出力(I/O)セル領域
11:スタンダードセル
12:電源スイッチ回路
100:半導体装置
102P1、102P2:Pウェル
102N:Nウェル
112:ゲート電極
113:ローカル配線
ABU11~ABU14、ABU21~ABU24:バッファ内のアクティブ領域
ASC11~ASC14、ASC21~ASC24:スタンダードセル内のアクティブ領域
ASW1、ASW21~ASW22:スイッチトランジスタ内のアクティブ領域
AWT11~AWT13、AWT21~AWT22:ウェルタップ内のアクティブ領域
BU1、BU2:バッファ
IV1a、IV1b、IV2a、IV2b:インバータ
M1、M2:配線層
M1001、M1002、M2001、M2002:配線
RBU1、RBU2:バッファ用の領域
RIV1a、RIV1b、RIV2a、RIV2b:インバータ用の領域
RSW1、RSW2:スイッチトランジスタ用の領域
RWT1、RWT2:ウェルタップ用の領域
SC1、SC2、SC51、SC52:スタンダードセル
SW1、SW2:スイッチトランジスタ