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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20220524BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220524BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220524BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220524BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B41J29/393 101
B41J29/38 204
G03G21/00 370
G03G21/00 378
G03G21/00 380
G03G21/00 384
G03G21/00 386
B41J2/01 305
B41J2/01 451
H04N1/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018131284
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020006627
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】東 由美子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和俊
(72)【発明者】
【氏名】納冨 辰大
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 爽香
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-121882(JP,A)
【文献】特開2004-106239(JP,A)
【文献】特開2015-227050(JP,A)
【文献】特開2016-215452(JP,A)
【文献】特開2016-010873(JP,A)
【文献】特開2013-170071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0190769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する対象のメディアの物性を計測する計測部と、
前記メディアに対して画像を形成する画像形成動作部と、
前記画像形成動作部の動作を制御する動作制御部と、
前記計測部による計測結果に基づいて、前記メディアの種別の候補を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された候補の中から一つを特定する入力操作を受け付ける操作受付部と、
を備え、
前記動作制御部は、前記抽出部により抽出された候補の組み合わせに応じて定められた識別画像を前記画像形成動作部により前記メディアに形成させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記動作制御部は、抽出された候補が複数ある場合に、前記識別画像を前記画像形成動作部により形成させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記計測部は、坪量に係る計測値を取得可能であり、
前記抽出部は、取得された坪量を含む前記物性の情報に基づいて、前記メディアの種別の候補を抽出する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記識別画像には、前記メディアの両面に形成される画像が含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
表示部を備え、
前記動作制御部は、
前記抽出部により抽出された前記候補を前記表示部に表示させ、
前記操作受付部により前記識別画像を形成させる命令に係る入力操作が受け付けられた場合に、当該識別画像を前記画像形成動作部により形成させる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記抽出部により前記候補が抽出された後に、前記命令に係る入力操作を受けずに前記識別画像を前記画像形成動作部により形成させるか否かに係る設定を記憶する記憶部を備え、
前記動作制御部は、抽出された候補が複数ある場合に、前記設定に応じて前記入力操作を待たずに前記識別画像の形成を行うか否かを決定することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
表示部を備え、
前記動作制御部は、前記画像形成動作部により前記識別画像を形成させる場合に、前記候補の間での前記識別画像における識別方法に係る情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記抽出部は、前記計測部による計測データに基づいて、複数のメディアの種別ごとに点数評価を行い、得られた点数に応じて前記候補を抽出することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メディア(記録メディア)に対して色材を付与して画像を形成する画像形成装置がある。色材としては、トナーやインクなどが広く用いられている。メディアとしては、紙媒体が含まれる。紙媒体にも、普通紙や上質紙を始めとして、種々の紙厚、メディア表面の平滑度や坪量のものが存在し、形成画像の用途に応じて適宜選択されて用いられている。
【0003】
このような種々のメディアに対して画像を形成する場合、メディアの物性に応じて色材の量などの種々のパラメーターを調整することで、所望の画像が出力されるように最適化される。パラメーターの調整を画像形成装置のオペレーターが手動で行うと、手間がかかり、また、最適化されるまでに繰り返し画像形成が必要となることで、メディアの使用量が増えるという問題がある。
【0004】
これに対し、特許文献1には、予め複数のメディア種別とパラメーター設定との対応関係を保持し、メディアの物性を計測する簡易なメディアセンサーを備えて用紙の種別を絞り込み、当該絞り込まれた候補の中からユーザーに選択させることで、ユーザーの手間を低減させる技術が開示されている。また、インクジェット記録装置において、種々の太さや向きの線分を含むテスト画像を記録させ、これらの線分のにじみの度合を読み取って、線分の種別とにじみの度合との組み合わせに応じてメディア種別を判別する技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-44039号公報
【文献】特開2016-215452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多様なメディアの中から一種類を特定しようとすると、全ての種別のメディアの判別が可能なテスト画像を形成するのに必要なメディアや色材の使用量が増加して無駄になるという課題がある。一方で、ユーザーがメディアの種別を把握していないと、たとえ選択肢が絞られていたとしても結局正しい選択を行うことができないので、手間と知識が必要となるという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、より効率的かつ確実にメディア種別を判別することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
画像を形成する対象のメディアの物性を計測する計測部と、
前記メディアに対して画像を形成する画像形成動作部と、
前記画像形成動作部の動作を制御する動作制御部と、
前記計測部による計測結果に基づいて、前記メディアの種別の候補を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された候補の中から一つを特定する入力操作を受け付ける操作受付部と、
を備え、
前記動作制御部は、前記抽出部により抽出された候補の組み合わせに応じて定められた識別画像を前記画像形成動作部により前記メディアに形成させる
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、
前記動作制御部は、抽出された候補が複数ある場合に、前記識別画像を前記画像形成動作部により形成させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記計測部は、坪量に係る計測値を取得可能であり、
前記抽出部は、取得された坪量を含む前記物性の情報に基づいて、前記メディアの種別の候補を抽出する
ことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記識別画像には、前記メディアの両面に形成される画像が含まれることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
表示部を備え、
前記動作制御部は、
前記抽出部により抽出された前記候補を前記表示部に表示させ、
前記操作受付部により前記識別画像を形成させる命令に係る入力操作が受け付けられた場合に、当該識別画像を前記画像形成動作部により形成させる
ことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像形成装置において、
前記抽出部により前記候補が抽出された後に、前記命令に係る入力操作を受けずに前記識別画像を前記画像形成動作部により形成させるか否かに係る設定を記憶する記憶部を備え、
前記動作制御部は、抽出された候補が複数ある場合に、前記設定に応じて前記入力操作を待たずに前記識別画像の形成を行うか否かを決定することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
表示部を備え、
前記動作制御部は、前記画像形成動作部により前記識別画像を形成させる場合に、前記候補の間での前記識別画像における識別方法に係る情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記抽出部は、前記計測部による計測データに基づいて、複数のメディアの種別ごとに点数評価を行い、得られた点数に応じて前記候補を抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従うと、より効率的かつ確実にメディア種別を判別することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】識別対象情報の例を示す図表である。
図4】識別画像の例を示す図である。
図5】表示部の表示画面における表示内容の例を示す図である。
図6】表示部の表示画面における表示内容の例を示す図である。
図7】記録設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8】画像設定処理で呼び出されるメディア計測処理の制御手順を示すフローチャートである。
図9】他の実施形態の画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図10】記録設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1の全体構成を示す概略図である。
【0019】
画像形成装置1は、メディアMに色材を付与して画像を形成するものであり、例えば、電子写真方式でメディアMにトナーを付着、定着させる画像形成装置である。画像形成装置1は、メディア供給部11と、メディア検出部12と、物性計測部13(計測部)と、画像形成動作部14と、制御部15(図2参照)と、搬送部16と、排出トレイ18などを備える。
【0020】
メディア供給部11は、トレイなどを有して画像形成対象とされるメディアM(記録媒体)を保持し、制御部15の制御に応じて適宜なタイミングでメディアMを搬送ルートRに送り出す。搬送部16がこの搬送ルートRに沿ってメディアMを設定速度で移動させる。搬送部16は、メディアMを挟持して進めるローラーや、このローラーを回転動作させる回転モーターなどを有する。また、搬送部16は、一方の面に画像が形成されたメディアMの表裏を反転させて再度画像形成させるための反転部を有する。
【0021】
メディア検出部12は、搬送部16による搬送ルートR上を移動するメディアMを所定位置、ここでは、画像形成動作部14による画像形成位置の所定距離手前の位置で検知する。メディア検出部12としては、例えば、メディアMにより光が遮られることでメディアMの有無を検知したり、あるいは、メディアMの有無による反射光の検出強度の変化に応じてメディアMの当該所定位置への到達を検知したりする光センサー(フォトダイオードなど)などが用いられる。このメディアMの先頭がメディア検出部12により検出されたタイミングと搬送部16による搬送速度とに基づいて、画像形成動作部14による画像形成タイミングが制御されて、メディアM上の適切な位置に画像が形成される。
【0022】
物性計測部13は、メディアMの物性に係る物理量を計測する。計測対象の(取得可能な)物性としては、特には限られないが、例えば、厚さ、坪量及び表面の平滑度などが含まれる。計測方法は、特には限られないが、例えば、厚さは、メディアMの厚さに応じて当該厚さ方向に移動可能な2つのローラーの軸間間隔を検出する変位ローラーにより計測される。また、平滑度は、例えば、照射された光(例えば、赤外光と所定の波長の可視光とを混合したもの)の正反射光と散乱反射光の強度及び/又はその強度比率を出力する反射センサーを用いて、当該強度比率に基づいて求められる。また、上記照射された光のメディアMの透過光量と上述の厚さなどの計測値に基づいて、坪量が算出される。また、坪量の算出には、直接メディアMの重量を計測する重量センサーの結果が用いられてもよい。
【0023】
物性計測部13によるこれらの計測動作は、メディアMの移動を所定距離ごとに一時停止させながらメディアMの複数個所で行われ、得られた複数の値の平均など、演算処理された結果が最終的に物性値として用いられる。
【0024】
物性計測部13は、画像形成装置1が内蔵しているものに限られず、必要に応じて外部から取り付け配置及び動作可能なものであってもよい。この場合、画像形成装置1の内部には、物性計測部13への電力供給及び信号の送受信に係る配線の接続部が設けられていてもよい。
【0025】
画像形成動作部14は、トナーやインクなどの色材をメディアMに付着、定着させることで、当該メディアMに対して画像を形成する画像形成エンジン(プリントエンジン)を有する。画像形成動作部14は、特には限られないが、ここでは電子写真方式により、CMYK4色などのトナー像を感光体上に形成(現像)し、これをメディアMに、ここでは、転写体を介して転写したカラー画像の画像形成を行う。
【0026】
メディア供給部11から送出されて、搬送ルートRを移動したメディアMは、排出トレイ18に排出される。また、排出トレイ18の前に、裁断やソートなどの各種後処理を行う後処理装置などが接続されていてもよい。
【0027】
図2は、本実施形態の画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、上述のメディア検出部12、物性計測部13及び画像形成動作部14に加えて、制御部15(動作制御部、抽出部)と、搬送駆動部16aと、記憶部17と、通信部41と、操作受付部42と、表示部43などを備える。
【0028】
制御部15は、画像形成装置1の各種動作を統括制御する。制御部15は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を備える。制御部15は、記憶部17に格納された制御プログラムを読み出してCPUが実行することで、画像形成動作部14による画像形成動作やそのキャリブレーション及び設定などの制御を行う。また、制御部15は、後述のように、記録設定処理を実行することで、画像を形成する対象のメディアMの種別の候補を抽出、特定し、当該特定の結果に基づいて画像形成動作に係る設定を行う。
【0029】
搬送駆動部16aは、制御部15の制御に基づいて搬送部16のモーターの回転動作や、メディア供給部11における供給動作を行わせる駆動信号を出力し、メディアMの搬送動作の有無や搬送速度の調整などを行う。
【0030】
記憶部17は、制御部15が実行するプログラム、当該プログラムなどで利用される設定データや画像形成動作部14により形成される対象の画像に係る画像データなどを記憶する。記憶部17には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶媒体が用いられる。また、記憶部17は、RAMを備え、当該RAMは、一部のデータを一時的に記憶、処理するのに用いられてもよい。
【0031】
記憶部17には、設定データとして、メディア種別情報171、テストパターン情報172及び画像形成設定情報173が記憶されている。
【0032】
メディア種別情報171は、予め画像形成の対象とされ得るメディアの種別をその特性情報と関連付けたリストを含む。対象とされるメディアとしては、例えば、普通紙、上質紙、グロス紙、マット紙、光沢紙などが挙げられる。また、同種類のメディアに対して複数種類の厚さのものが定められていてもよい。これらの各メディア種別に対し、各々、厚さ、平滑度や坪量などの特性値が対応付けられている。
【0033】
テストパターン情報172は、上記複数種類のメディアのうち、特性値が類似していて判別が難しいものについて、当該メディア上に形成されることで相違点が識別可能となるパターン画像(識別画像)の画像データと、当該画像データにより識別対象とされるメディア種別のリスト情報(組み合わせに係る情報)とを含む。パターン画像は、特性値が類似するメディア間でのみ識別可能であればよく、物性値に基づいて判別可能な他のメディア種別が考慮される必要はない。特性値が類似するメディアは、多くの場合2種類であるが、3種類以上が含まれてもよい。また、パターン画像は、単一の画像である必要はなく、2種類以上の画像の組み合わせあってもよいが、必要最小限の画像数でよい。例えば、3種類の候補がある場合に、1つ目のテストパターンが正常であれば、1つ目の候補のメディア種別であり、2つ目のテストパターンが正常であれば、2つ目の候補のメディア種別であり、1つ目及び2つ目のテストパターンがいずれも正常に形成されなければ、3つ目の候補のメディア種別であると判別可能に画像を形成してもよい。
【0034】
通信部41は、所定の通信規格に基づいて外部の通信機器との間で行う通信の制御を行う。通信規格としては、例えば、LAN(Local Area Network)による通信などが用いられ、通信部41は、LANによる通信制御を行うためのネットワークカードなどを備える。
【0035】
操作受付部42は、ユーザーなど外部からの入力操作を受け付けて、受付内容を入力信号として制御部15に出力する。操作受付部42は、例えば、表示部43の表示画面と重ねて設けられたタッチパネルや、押しボタンスイッチなどを有する。入力信号には、押しボタンスイッチの押下操作、タッチパネルへの接触動作や接触位置の情報が含まれる。
【0036】
表示部43は、制御部15の制御に基づいて表示画面に表示を行わせる。表示内容には、画像形成動作に係るステータスや、ユーザーからの入力操作を受け付けるための設定メニューなどが含まれる。表示画面としては、特には限られないが、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイなどが挙げられる。また、表示部43は、LEDランプなどを有し、電力供給状態やエラー状態の報知を行ってもよい。
【0037】
次に、本実施形態の画像形成装置1における画像形成に係る設定動作について説明する。
【0038】
画像形成装置1で画像を形成する場合、形成される対象のメディアの種別ごとに色材のメディアへの浸透、定着の度合や広がり(にじみ)の度合など、形成される画像の特性が異なる。したがって、同一の画像データに基づく画像を形成する場合であっても、適正な色材の付与量、コントラスト、線の太さや定着温度など種々の条件を変更する必要がある。画像データに基づく最適な画像を形成するために、画像形成装置1では、メディアMの種別ごとに好ましい画像処理や画像形成動作の設定に変更される。
【0039】
画像形成装置1では、物性計測部13による計測結果に基づいて、上述の複数のメディアMの種別の中からある程度絞り込むことができる。しかしながら、物性計測部13により計測可能な範囲では、計測された物性値によっては、1つのメディア種別を特定するのは難しい場合がある。本実施形態の画像形成装置1では、物性が計測されたメディアMに対して所定のテスト画像を形成させて、ユーザーにより読み取らせ、当該テスト画像の読取結果に基づいて、絞られている種別候補の中からメディアMの種別を特定させる。特定対象となるメディアMの種別には、物性計測では判別されにくいと予め想定される複数(主に2種類)のメディア種別の組み合わせが含まれる。テスト画像には、当該テスト画像の形成結果により、このような組み合わせに係るメディア種別を容易に判別可能とするような画像が含まれる。
【0040】
図3は、識別対象情報の例を示す図表である。
識別対象情報では、種別1のメディア種別と、種別2のメディア種別とが物性値のみでは識別がされづらく、これらの組み合わせが候補として抽出された場合に、テストパターン画像A1を識別画像として用いられる旨が示されている。ここでは、例えば、テストパターン画像A1が種別1のメディアM上に形成された場合には、正常に画像が記録され、種別2のメディアM上に形成された場合には、特定の画質異常(低下)が生じるように、あるいはその反対に、定められてよい。後述のように、識別対象情報には、この特定の画質異常(低下)の具体的な内容をユーザーに対して表示して示すための識別情報T1が対応付けられて記憶されている。
【0041】
図4は、識別画像の例を示す図である。
図4(a)は、図3のテストパターンAに対応するテストパターン画像である。上段に所定の文字列が形成され、中段にべた塗り領域が形成されている。中段位置は、上段位置に対して定着ローラーの一周期分後に対応する位置である。メディアMを定着ローラーから剥離させやすくするための離型剤が定着ローラーに固着すると、メディアMの種別によっては、定着ローラーの次の周期において、当該定着ローラー上に残存する離型剤の影響で、図4(b)に示すように、前周期の画像形成パターンに対応する形状で画質の光沢むら(光沢メモリー)が顕著に生じる場合がある。ここでは、この光沢メモリーの発生度合に応じてメディアMを識別する。
【0042】
また、テストパターンB(識別画像)として、ここでは、図4(c)、(d)に示すように、メディアMの両面に青色のべた塗り画像が形成される。このような画像では、適切な設定がなされていないと、特に裏面側のべた塗り画像に濃度むらが生じやすくなる。ここでは、メディアcに対してメディアaに対する設定でテストパターンBが形成されると、裏面側の濃度むらが無視できない程度に生じることによりいずれのメディア種別であるかが識別可能となる。
【0043】
メディアa及びメディアc以外の他のメディアに対してメディアaに対する設定でこのようなテストパターン画像を形成した場合、当該他のメディアにとって適正な設定から大きく外れることにより、画像の定着が適切になされず、搬送ルートRの周囲にトナーが飛散、付着するなどで汚れて、以降のメディアにこの汚れが付着するといった問題が生じる場合がある。識別対象のメディアMに対してのみこのテストパターン画像が形成されることで、画像形成装置1に悪影響を与えずに容易に必要なメディア種別の識別を行うことができる。
【0044】
図5及び図6は、物性計測部13の検出動作により複数のメディア種別の候補が抽出された場合に、表示部43の表示画面に行われる表示内容の例を示す図である。
【0045】
ここでは、例えば、図5(a)に示すように、取得された物性値により、坪量が80gsmのグロス紙とマット紙とがメディア種別の候補として抽出された場合の表示例を示している。表示画面には、これら抽出された候補(メディア種A、B)の選択ボタンB1、B2が表示される。また、表示画面には、これに併せて「確認印刷」を要求するボタンB3が表示される。このボタンB3にタッチする入力操作が検出されると、抽出された候補に対応するテストパターン画像がメディアMに画像形成される。
【0046】
図5(b)に示すように、ユーザーは、形成されたテストパターン画像を目視で判断して、いずれのメディア種別であるか(メディア種別に近いか)を判断し、リスト表示された候補の選択ボタンB1、B2のいずれかにタッチする入力操作を行う。そして、さらに、選択を「適用」ボタンB4にタッチすることで、選択内容が確定される。なお、テストパターンの画像を出力して確認するまでもなくユーザーがメディアMの種別を認識している場合には、「確認印刷」ボタンB3にタッチせずに、いずれかの候補を選択する動作を行えばよい。
【0047】
確認印刷の結果、どのような状態であればどちらの画像を選択すればよいかをユーザーが認識するには、ヘルプボタンB5にタッチされればよい。これにより、図6に示すように、メディア種別情報171に含まれる識別情報に基づく識別方法を示す説明が、ここではポップアップ画面D1内に表示される。ポップアップ画面D1内の「閉じる」と表示されたボタンB6にタッチされることで、ポップアップ画面D1が消去されてもとの表示に戻る。
【0048】
図7は、本実施形態の画像形成装置1で実行される記録設定処理の制御部15による制御手順を示すフローチャートである。
この記録設定処理は、操作受付部42が所定の入力操作を受け付けることで開始される。
【0049】
記録設定処理が開始されると、制御部15は、メディア計測処理を呼び出して実行する(ステップS101)。制御部15は、計測結果に基づいて、メディア種別のリストから候補を抽出する(ステップS102)。この抽出に係る処理は、計測データに基づいて定量的に(点数評価を行うことで)行われ得る。例えば、制御部15は、物性に係る各計測値や計測値に基づく所定の算出値ごとに、予め保持されている各メディアMの種別における基準値とのずれ具合を示す数値を算出する。このずれ具合を示す数値は、基準値ごとに正規化されたうえで、各々加算される。そして、制御部15は、評価対象とされる複数種類の計測値や算出値のずれ度の加算値(点数)が基準値より小さい(所定の条件を満たす)ものを候補として抽出する。この場合、所定の条件を満たすものの数は限られないので、最初から1つが抽出される場合や、3つ以上が抽出される場合が生じ得る。
【0050】
制御部15は、候補が複数種類であるか否かを判別する(ステップS103)。複数種類ではない(一種類である)と判別された場合には(ステップS103で“NO”)、制御部15は、抽出された候補をメディア種別として特定する(ステップS112)。そして、制御部15は、記録設定処理を終了する。
【0051】
候補が複数種類であると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、制御部15は、表示部43に制御信号を出力して、上述のように抽出された複数の候補及び確認印刷の要求ボタンなどを含むユーザー選択画面を表示させる(ステップS104)。制御部15は、テスト画像出力要求(識別画像を形成させる命令)に係る入力操作が操作受付部42により取得された(受け付けられた)か否かを判別する(ステップS105)。取得されていないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS108に移行する。
【0052】
テスト画像出力要求が取得された(受け付けられた)と判別された場合には(ステップS105で“YES”)、制御部15は、識別対象情報を参照して、抽出されている複数の候補の組み合わせに応じて予め定められているテストパターンを選択する(ステップS106)。制御部15は、画像形成動作部14に制御信号を出力して、当該テストパターンをメディアMに画像形成させる(ステップS107)。このとき、画像形成に係る動作設定は、候補のいずれかで最適になるように定められてよい。それから、制御部15の処理は、ステップS108に移行する。
【0053】
ステップS108の処理に移行すると、制御部15は、ヘルプ表示を要求する入力操作が検出されたか否かを判別する(ステップS108)。検出されたと判別された場合には(ステップS108で“YES”)、抽出されている複数の候補の組み合わせに応じて予め定められているテストパターンに対応する識別方法に係る識別情報T1が参照されて、その内容(識別方法に係る情報)を表示部43に表示させる制御信号を表示部43に出力する(ステップS109)。それから、制御部15の処理は、ステップS110に移行する。ステップS108の判別処理で、ヘルプ表示を要求する入力操作が検出されていないと判別された場合には(ステップS108で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS110に移行する。
【0054】
ステップS110の処理に移行すると、制御部15は、抽出された候補のうちいずれかを選択、確定(特定)する入力操作があったか否かを判別する(ステップS110)。選択、確定入力操作がないと判別された場合には(ステップS110で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS105に戻る。選択、確定入力操作があったと判別された場合には(ステップS110で“YES”)、制御部15は、メディア種別を選択された候補に設定し、当該設定に応じた画像形成動作に係る設定を行う(ステップS111)。そして、制御部15は、記録設定処理を終了する。
【0055】
図8は、画像設定処理で呼び出されるメディア計測処理の制御部15による制御手順を示すフローチャートである。
【0056】
メディア計測処理が呼び出されると、制御部15は、物性計測部13の初期設定を行う(ステップS201)。制御部15は、初期設定が正常になされたか否かを判別する(ステップS202)。初期設定が正常になされていないと判別された場合には(ステップS202で“NO”)、制御部15は、設定がNGであった点が基準以上あるか、又は正常になされなかった回数が基準回数以上であるか否かを判別する(ステップS203)。NGであった点が基準以上ではなく、かつ正常になされなかった回数が基準回数以上でもない(未満である)場合には(ステップS203で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS201に戻る。
【0057】
NGであった点が基準以上であるか、又は正常に初期設定がなされなかった回数が基準回数以上であった場合には(ステップS203で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS215に移行する。
【0058】
ステップS202の判別処理で、初期設定が正常になされたと判別された場合には(ステップS202で“YES”)、制御部15は、搬送駆動部16aに制御信号を出力し、搬送部16によりメディア供給部11から設定対象のメディアMの搬送動作を開始させる(ステップS204)。制御部15は、メディア検出部12がメディアMを検出したか否かを判別する(ステップS205)。検出していないと判別された場合には(ステップS205で“NO”)、制御部15は、ステップS205の処理を繰り返す。
【0059】
メディア検出部12がメディアMを検出したと判別された場合には(ステップS205で“YES”)、制御部15は、メディアMが所定距離搬送されたタイミングで搬送動作を一時停止させる(ステップS206)。制御部15は、メディアMの所定の点(例えば、5点)を押圧して固定する(ステップS207)。制御部15は、物性計測部13を動作させ、計測結果に基づいてメディアMの厚さ、メディアMの平滑度、及びメディアMの坪量を測定する(ステップS208)。
【0060】
制御部15は、測定回数に「1」を加算する(ステップS209)。制御部15は、測定回数が規定回数以上であるか否かを判別する(ステップS210)。測定回数が規定回数以上ではない(未満である)と判別された場合には(ステップS210で“NO”)、制御部15は、搬送駆動部16aに搬送部16の動作を再開させる(ステップS211)。それから、制御部15の処理は、ステップS206に戻る。
【0061】
測定回数が規定回数以上であると判別された場合には(ステップS210で“YES”)、制御部15は、規定回数の計測結果に基づいて、メディアMの厚さを算出する(ステップS212)。また、制御部15は、メディアMの平滑度を算出し(ステップS213)、メディアMの坪量を算出する(ステップS214)。これらの算出は、単純に、規定回数の計測値の平均値であってもよいし、計測値の最大値及び最小値を除いた平均値などであってもよい。あるいは、算出される代表値として、規定回数の計測値の中央値などが用いられてもよい。それから、制御部15の処理は、ステップS215に移行する。
【0062】
ステップS203、S214の処理からステップS215の処理に移行すると、制御部15は、搬送駆動部16aにより搬送部16による搬送動作を再開させる(ステップS215)。それから、制御部15は、メディア計測処理を終了して処理を記録設定処理に戻す。
【0063】
図9は、他の実施形態の画像形成装置1aの機能構成を示すブロック図である。この画像形成装置1aは、記憶部17にテスト画像出力設定174(設定)がさらに記憶されている点を除いて上記実施の形態の画像形成装置1と同一であり、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
テスト画像出力設定174は、物性計測部13による計測値に基づいて抽出された候補が複数ある場合に、上述のように、テストパターンの画像を形成するのに所定の入力操作の検出を必要とするか否か(入力操作を待たずに識別画像を形成させるか否か)を予め定める設定である。すなわち、制御部15は、抽出された候補が複数ある場合には、このテスト画像出力設定174に基づいて、テストパターンの出力命令に係る入力操作がなくても、候補の組み合わせに応じたテストパターンの画像を自動形成するか否かを決定する。この設定は、操作受付部42が所定の入力操作を受け付けることでなされてもよいし、通信部41を介して外部から設定が取得されてもよい。
【0065】
図10は、この実施形態の画像形成装置1aで実行される記録設定処理の制御部15による制御手順を示すフローチャートである。
この記録設定処理は、図7に示した記録設定処理に対してステップS121の処理が追加され、ステップS104、S105の処理の位置が変更されている。図7図10とで同一の処理内容については同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0066】
ステップS103の判別処理で、抽出された候補が複数あると判別された場合(ステップS103で“YES”)、制御部15は、テスト画像を続けて自動で出力する設定がなされているか否かを判別する(ステップS121)。自動で出力する設定がなされていると判別された場合には(ステップS121で“YES”)、制御部15は、ステップS106、S107の処理を実行してテストパターンの画像形成を行った後、処理をステップS104に移行させる。自動で出力する設定がなされていない(自動で出力しない設定がなされている場合を含む)と判別された場合には(ステップS121で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS104に移行する。ステップS104の処理の後、制御部15の処理は、ステップS108に移行する。
【0067】
ステップS110の判別処理で、候補からいずれかを選択して確定する入力操作がなされたと判別された場合には(ステップS110で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS111に移行する。選択、確定に係る入力操作がなされていないと判別された場合には(ステップS110で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS105に移行する。
【0068】
ステップS105の判別処理で、テスト画像の出力要求が受け付けられたと判別された場合には(ステップS105で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS106に戻る。なお、ステップS106の処理に戻った後に、ステップS104の処理が既に実行されている場合には、制御部15は、このステップS104の処理を再度行わずに省略してもよい。テスト画像の出力要求が受け付けられていないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS108に戻る。
【0069】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、画像を形成する対象のメディアMの物性を計測する物性計測部13と、このメディアMに対して画像を形成する画像形成動作部14と、制御部15と、操作受付部42とを備える。制御部15は、動作制御部として、画像形成動作部14の動作を制御し、抽出部として、物性計測部13による計測結果に基づいて、メディアMの種別の候補を抽出する。操作受付部42は、抽出された候補の中から一つを特定する入力操作を受け付ける。また、制御部15は、動作制御部として、抽出された候補の組み合わせに応じて定められた画像パターンの画像を画像形成動作部14によりメディアMに形成させる。
このように、物性計測で絞られた候補が識別可能に、必要な画像パターンが選択されて画像形成されるので、必要以上の色材やメディアの消費を抑制することができる。また、ユーザーによる判断基準が少なく(特に、多くの場合には1つに)なり、明確かつ単純になるので、ユーザーの手間も低減させることができる。また、本来のメディアMの特性から大きく外れた設定でのテスト画像の形成がなされる可能性を低減させるので、色材の定着が不十分で画像形成装置1の内部を汚すといったトラブルを抑制することができる。よって、この画像形成装置1では、より効率的かつ確実にメディア種別を判別することができる。
【0070】
また、制御部15は、動作制御部として、抽出された候補が複数ある場合に、当該複数の候補に応じて選択されたテストパターンの画像(識別画像)を画像形成動作部14により形成させる。すなわち、候補が1つであるか否かを判別し、1つの場合にはテストパターン画像を形成しない。このように、制御部15は、物性計測に基づいて必ずしも複数の候補を抽出する必要はなく、1種類に確実に特定可能な場合には、わざわざ以降の処理を行わないように制御することができる。
【0071】
また、物性計測部13は、坪量に係る計測値を取得可能であり、制御部15は、抽出部として、取得された坪量を含む物性の情報に基づいて、メディアの種別の候補を抽出する。
このように、形成画像に直接かかわるメディアMの表面物性のみならず、メディアMの材質やコーティングなどに応じて定まる坪量を取得対象の計測値に加えることで、より確実にメディアMの候補抽出を行うことができる。
【0072】
また、メディア種別の特定に用いられるテストパターンの画像には、メディアMの両面に形成される画像が含まれる。すなわち、抽出された候補のメディアMによっては、一方の面と他方の面とでの画像形成の特性の相違や、一方の面への画像形成による他方の面への影響などを考慮可能とすることで、より適切にメディアMの種別を特定することができるので、より柔軟かつ効率よくメディア種別の特定を行うことができる。
【0073】
また、画像形成装置1は、表示部43を備える。制御部15は、動作制御部として、抽出部として抽出した候補を表示部43に表示させ、操作受付部42によりテストパターンの画像を形成させる命令に係る入力操作が受け付けられた場合に、当該テストパターンの画像を画像形成動作部14により形成させる。
すなわち、画像形成装置1では、物性計測部13により物性の計測が行われた後、一度抽出された候補を表示部43に表示させてユーザーが特定判断可能かを確認する。ユーザーが特定可能であれば、わざわざテストパターンの画像を形成する必要はないので、手間の軽減を図ることができる。また、後処理装置などの接続状況によっては、テストパターンが形成されたメディアMを直接ユーザーが取り出し可能とするために、装置の調整が必要な場合などがあり得るので、即座にテストパターンの画像を形成させるのではなく、ユーザーの承認を得てから画像を形成させることとしてもよい。これにより、より利便性を向上させることができる。
【0074】
また、画像形成装置1は、制御部15(抽出部)により候補が抽出された後に、テストパターンの画像形成命令に係る入力操作を受けずに当該テストパターンの画像を画像形成動作部14により形成させるか否かに係る設定(テスト画像出力設定174)を記憶する記憶部17を備える。制御部15は、動作制御部として、抽出された候補が複数ある場合に、テスト画像出力設定174に応じて入力操作を待たずにテストパターンの画像の形成を行うか否かを決定する。
すなわち、予め設定を行っておけば、毎回ユーザーが承認せずともテストパターンの画像を出力可能としておくことで、ユーザーの手間を削減することができる。
【0075】
また、制御部15は、動作制御部として、画像形成動作部14によりテストパターンの画像を形成させる場合に、候補の間での上述のテストパターンにおける識別方法に係る情報(識別情報T1の内容)を表示部43に表示させる。
すなわち、ユーザーがメディア種別の特定方法を把握していなくても、容易に特定方法を知得することができる。そして、上述のように、予め物性計測により候補が絞られているのでほとんどの場合で2択であり、また、出力されるテストパターンも当該候補の組み合わせに応じて限定されているので、テストパターンにおける確認の必要のある部分やその内容も限られる。したがって、ユーザーが特定方法を理解するのに苦労するようなことはほぼ想定されないので、ユーザーに余計な手間をかけさせない。
【0076】
また、制御部15は、抽出部として、物性計測部13による計測データに基づいて、複数のメディアの種別ごとに点数評価を行い、得られた点数に応じてメディア種別の候補を抽出する。すなわち、より可能性の高いメディア種別から優先的に容易に候補を選ぶことができる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、条件を満たす候補の数が特定されないものとして説明したが、点数が小さいものから最低2つを選択することとしてもよく、この場合には、抽出の結果を受けて必ずユーザーによる選択操作が必要となり、また、当該2つの候補から特定するための識別画像が出力(又は出力可能と)される。
【0078】
また、上記実施の形態では、点数評価に基づいて機械的に候補を抽出したが、点数が上位のメディアMがメディア種別情報171内で物性による識別が難しい組み合わせであるとしてリストされている場合には、実際に算出された点差に係らずこれら複数の候補の組を抽出して表示させることとしてもよい。さらに、定量評価を用いるまでもなく、各評価項目について○×評価のみで、該当する可能性の低いメディアMを単純に除外していってもよい。
【0079】
また、上記実施の形態で示した物性計測の内容は例示であり、これらに限られない。例えば、メディアMの表面を測色して、表面の白色度を評価してもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、操作受付部42が受け付けた入力操作に基づいてメディアMを特定することとしたが、通信部41を介して外部の電子機器に表示内容を出力し、当該電子機器で入力された操作に基づく特定信号を通信部41が受信することで、メディアMが特定されてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、搬送部16がメディアMの反転部を有し、自動でメディアを反転させて両面に画像形成を行うことを可能としたが、ユーザーが片面に画像形成されて出力されたメディアMを反転させてメディア供給トレイなどに設置して、当該メディアMの裏面側に対して画像形成動作を行うこととしてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、メディアMの選択画面とは別に識別情報T1の内容を表示部43により表示可能としたが、はじめから具体的な選択内容が選択肢として表示されてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、電子写真方式による画像形成装置を例に挙げて説明したが、メディアMに対してインクを吐出させて画像を形成するインクジェット方式といった他の画像形成方式の画像形成装置であってもよい。
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、制御内容や順番などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1、1a 画像形成装置
11 メディア供給部
12 メディア検出部
13 物性計測部
14 画像形成動作部
15 制御部
16 搬送部
16a 搬送駆動部
17 記憶部
171 メディア種別情報
172 テストパターン情報
173 画像形成設定情報
174 テスト画像出力設定
18 排出トレイ
41 通信部
42 操作受付部
43 表示部
M メディア
R 搬送ルート
T1 識別情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10