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特許7077899撮影制御装置、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】撮影制御装置、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220524BHJP
   H05G 1/60 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 320Z
H05G1/60 L
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018181247
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020048864
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 貴久
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172782(JP,A)
【文献】国際公開第2013/038896(WO,A1)
【文献】特開2009-119133(JP,A)
【文献】特開2018-033578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0224342(US,A1)
【文献】特開2015-136566(JP,A)
【文献】特開2013-081579(JP,A)
【文献】特開2009-017380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線による動画撮影において、放射線画像撮影装置から呼吸を解析するための複数の放射線画像を取得する取得手段と、
前記複数の放射線画像を出力する出力手段と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段が異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作手段と、を備え
前記判定手段が異常ありと判定した場合、前記異常時動作手段は、放射線発生装置による放射線の照射を停止させ、且つ、前記出力手段は、前記異常ありと判定される迄に取得した複数の放射線画像を含む動画を他のシステムへ出力することを特徴とする撮影制御装置。
【請求項2】
他のシステムは、前記動画に基づき呼吸を解析する解析診断ワークステーションであること、を特徴とする請求項に記載の撮影制御装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記動画を表示する表示手段を含むこと、を特徴とする請求項又はに記載の撮影制御装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記放射線画像に基づいて放射線未照射又は線量不足の有無を判定することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
【請求項5】
放射線による動画撮影において、放射線画像撮影装置から呼吸を解析するための複数の放射線画像を取得する取得手段と、
前記複数の放射線画像を出力する出力手段と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段が異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作手段と、を備え、
前記判定手段は、前記放射線画像に基づいて放射線未照射又は線量不足の有無を判定することを特徴とする撮影制御装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記放射線画像における所定画素の画素値に基づいて放射線未照射又は線量不足の有無を判定することを特徴とする請求項4又は5に記載の撮影制御装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記放射線画像に基づいて被写体の体動の有無を判定することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
【請求項8】
前記異常時動作手段は、前記判定手段が異常ありと判定した場合、当該異常ありと判定されたタイミングで生成された前記放射線画像を削除することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
【請求項9】
前記異常時動作手段は、前記判定手段が異常ありと判定した場合、当該異常ありと判定されたタイミングで生成された前記放射線画像を前記出力手段に出力させないことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
【請求項10】
前記取得手段が取得した前記放射線画像を解析する解析手段を備え、
前記異常時動作手段は、前記判定手段が異常ありと判定した場合、当該異常ありと判定されたタイミングで生成された前記放射線画像の前記解析手段による解析を行わないことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
【請求項11】
撮影予定枚数又は撮影予定期間を放射線発生装置に設定することが可能な設定手段と、
ユーザーが前記放射線発生装置に行っている放射線の照射指示の有無を監視することが可能な監視手段と、を備え、
前記判定手段は、照射指示無しとなったタイミングが、これまでに撮影された前記放射線画像の枚数が前記撮影予定枚数に達する前であるか否か、又は撮影が開始されてからの時間が前記撮影予定期間に達する前であるか否かに基づいてユーザーによる撮影指示の中断の有無を判定することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
【請求項12】
放射線による動画撮影において、放射線画像撮影装置から呼吸を解析するための複数の放射線画像を取得する取得手段と、
前記複数の放射線画像を出力する出力手段と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段が異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作手段と、
撮影予定枚数又は撮影予定期間を放射線発生装置に設定することが可能な設定手段と、
ユーザーが前記放射線発生装置に行っている放射線の照射指示の有無を監視することが可能な監視手段と、
を備え、
前記判定手段は、照射指示無しとなったタイミングが、これまでに撮影された前記放射線画像の枚数が前記撮影予定枚数に達する前であるか否か、又は撮影が開始されてからの時間が前記撮影予定期間に達する前であるか否かに基づいてユーザーによる撮影指示の中断の有無を判定することを特徴とする撮影制御装置。
【請求項13】
前記異常時動作手段は、前記判定手段が異常ありと判定した場合、前記取得手段が最後に取得した前記放射線画像を削除することを特徴とする請求項11又は12に記載の撮影制御装置。
【請求項14】
放射線による動画撮影において、受けた放射線の線量に応じた電荷を生成する放射線検出素子を備えた放射線検出手段と、
前記放射線検出素子に蓄積された電荷を読み出し、呼吸を解析するための複数の放射線画像を生成する撮影手段と、
前記複数の放射線画像を出力する出力手段と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段が異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作手段と、を備え
前記判定手段が異常ありと判定した場合、前記異常時動作手段は、放射線発生装置による放射線の照射を停止させ、且つ、前記出力手段は、前記異常ありと判定される迄に取得した複数の放射線画像を含む動画を他のシステムへ出力することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項15】
前記異常時動作手段は、前記判定手段が異常ありと判定した場合、当該異常ありと判定されたタイミングで蓄積された電荷に基づく前記放射線画像を削除することを特徴とする請求項14に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項16】
前記異常時動作手段は、前記判定手段が異常ありと判定した場合、当該異常ありと判定されたタイミングで蓄積された電荷に基づく前記放射線画像を生成させないことを特徴とする請求項14に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項17】
放射線画像を生成する放射線画像撮影装置と、
請求項1~13のいずれか一項に記載の撮影制御装置と、を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項18】
コンピューターに、
放射線による動画撮影において、放射線画像撮影装置から呼吸を解析するための複数の放射線画像を取得する取得処理と、
前記複数の放射線画像を出力する出力処理と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定処理と、
前記判定処理で異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作処理と、
を実行させ
前記判定処理が異常ありと判定した場合、前記異常時動作処理は、放射線発生装置による放射線の照射を停止させ、且つ、前記出力処理は、前記異常ありと判定される迄に取得した複数の放射線画像を含む動画を他のシステムへ出力することを特徴とする撮影制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影制御装置、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を発生させる放射線発生装置と、受けた放射線の線量に応じた放射線画像を生成する放射線画像撮影装置と、を備えた放射線画像撮影システムにおいては、静止画の撮影だけでなく、放射線の照射と放射線画像の生成を高速で繰り返し行う動画撮影(シリアル撮影ともいう)を行うことが可能なものが開発されてきている。動画撮影で得られた動画は、解析診断ワークステーションに転送され、呼吸、血流等の解析に用いられる(特許文献1,2参照)。
ところで、動画撮影を行うためには、放射線発生装置が放射線を発生させるタイミングと放射線画像撮影装置が放射線画像を生成するタイミングとの同期をとる必要がある。これらの同期をとる方法には、例えば放射線発生装置と放射線画像撮影装置との間での制御信号のやり取り等がある。(特許文献3参照)。
【0003】
また、動画撮影においては、放射線発生装置に放射線照射を指示する制御信号が入力されるタイミングと、放射線発生装置が制御信号の入力に応じて放射線照射を開始するタイミングとがずれてしまう(放射線照射が遅延する)ことがある。このタイミングのずれは、動画の品質に影響を及ぼしてしまうことがあった。
こうした課題に鑑み、近年、放射線発生装置からの信号に基づいて放射線の照射を指示する制御信号が放射線発生装置へ出力された出力タイミングを取得し、放射線画像撮影装置が読み出した出力値及び読み出しに要した時間に基づいて放射線発生装置が放射線を発生させた動作タイミングを取得し、取得した出力タイミング及び動作タイミングに基づいて放射線発生装置の動作の遅延時間を求め、求めた遅延時間に基づいて放射線画像撮影装置を制御する(例えば制御信号の出力タイミングを早める)技術が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014‐147844号公報
【文献】特開2018‐068400号公報
【文献】特開2017‐018705号公報
【文献】特許第5597055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動画撮影中に発生し得る問題には、上記特許文献4に記載された放射線照射の遅延の他に、例えば放射線発生装置又は放射線画像撮影装置の性能やこれらの連携方式に起因して発生する、放射線未照射や低線量の(撮影前に指定した線量より低い)曝射といった問題もある。
因みに、こうした未照射や低線量の問題は、ユーザーが誤って曝射スイッチを途中で解放してしまうことによっても発生し得る。
放射線が照射されずに生成された未露光画像又は低線量の放射線が照射されて生成された低露光画像が動画を構成するフレームとして混入すると、解析の精度が低下してしまうため、場合によっては同じ条件で動画の撮影をやり直すこととなる。
【0006】
また、動画撮影は、撮影時間が静止画撮影よりも長時間(例えば十数秒以上)に亘る。このため、動画撮影においては、撮影の間、被写体が静止状態を維持することができなくなって動いてしまう(体動が発生する)ことがある。
動画の撮影後、ユーザーは、動画を再生して、上述した問題に起因する異常画像の有無をチェックする。その際に異常画像が見つかった場合は、同じ条件で動画の撮影をやり直すこととなる。
撮影をやり直すと、被写体は一回の動画撮影分だけ余計に被曝することになってしまう。
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、放射線の照射と放射線画像の生成を高速で繰り返し行う動画撮影において、異常が発生した場合の被写体の被曝量を従来よりも抑えられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の撮影制御装置は、
放射線による動画撮影において、放射線画像撮影装置から呼吸を解析するための複数の放射線画像を取得する取得手段と、
前記複数の放射線画像を出力する出力手段と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段が異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作手段と、を備え
前記判定手段が異常ありと判定した場合、前記異常時動作手段は、放射線発生装置による放射線の照射を停止させ、且つ、前記出力手段は、前記異常ありと判定される迄に取得した複数の放射線画像を含む動画を他のシステムへ出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
放射線による動画撮影において、受けた放射線の線量に応じた電荷を生成する放射線検出素子を備えた放射線検出手段と、
前記放射線検出素子に蓄積された電荷を読み出し、呼吸を解析するための複数の放射線画像を生成する撮影手段と、
前記複数の放射線画像を出力する出力手段と、
前記動画撮影中に、当該動画撮影中に生じた異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段が異常ありと判定した場合、所定の異常時動作を行う異常時動作手段と、を備え
前記判定手段が異常ありと判定した場合、前記異常時動作手段は、放射線発生装置による放射線の照射を停止させ、且つ、前記出力手段は、前記異常ありと判定される迄に取得した複数の放射線画像を含む動画を他のシステムへ出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放射線の照射と放射線画像の生成を高速で繰り返し行う動画撮影において、異常が発生した場合の被写体の被曝量を従来よりも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態(第二~第四実施形態)に係る放射線画像撮影システムを表すブロック図である。
図2図1の放射線画像撮影システムが備える放射線発生装置の構成を表すブロック図である。
図3図1の放射線画像撮影システムが備える放射線画像撮影装置の構成を表すブロック図である。
図4】第一実施形態に係る放射線画像撮影システムが備えるコンソールの構成を表すブロック図である。
図5図1の放射線画像撮影システムを用いて動画撮影を行う際の放射線発生装置及び放射線画像撮影装置の動作を表すタイミングチャートである。
図6】第一実施形態に係る放射線画像撮影システムを用いて動画撮影を行う際のコンソールの動作を表すフローチャートである。
図7】第二実施形態に係る放射線画像撮影システムを用いて動画撮影を行う際のコンソールの動作を表すフローチャートである。
図8】第三実施形態に係る放射線画像撮影システムを用いて動画撮影を行う際のコンソールの動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について、図1~6を参照しながら詳細に説明する。
ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0013】
〔放射線画像撮影システム〕
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成について説明する。図1は放射線画像撮影システム100の構成を表すブロック図である。なお、図1の括弧書きで示された符号は、後述する第二~第四実施形態のものである。
【0014】
本実施形態の放射線画像撮影システム(以下システム100)は、図1に示したように、放射線発生装置(以下、発生装置1)と、放射線画像撮影装置(以下、撮影装置2)と、コンソール3と、を備えている。
また、システム100は画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:以下PACS110)、解析診断ワークステーション(WS)120等と通信ネットワークを介して通信することが可能となっている。
【0015】
なお、システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:以下HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:以下RIS)、汎用クライアント端末等と通信可能となっていてもよい。
また、システム100は、上記の他、無線通信用のアクセスポイント4や、撮影装置2の充電やデータの送受信を行うためのクレードル5、撮影装置2を支持する立位撮影用の撮影台6Aと臥位撮影用の撮影台6Bの少なくとも一方を備えていてもよい。
また、図1には、システム100が施設内(撮影室、操作室)に設置された場合を例示したが、回診車等に組み込まれた移動可能な構成としてもよい。
【0016】
発生装置1は、ジェネレーター11と、曝射スイッチ12と、放射線源(管球)13と、を備え、撮影装置2へ放射線を照射することが可能に構成されている。
また、発生装置1は、撮影装置2やコンソール3と有線又は無線で通信可能となっている。
なお、発生装置1は、上記の他、放射線発生コントローラー14や、インターフェースユニット15等を備えていてもよい。
また、図1には、曝射スイッチ12を放射線発生コントローラー14に接続した場合を例示したが、曝射スイッチ12はジェネレーター11に直接接続されていてもよい(図2参照)。
また、放射線発生コントローラー14は、コンソール3と一体になっていてもよい。
この発生装置1の詳細については後述する。
【0017】
撮影装置2は、受けた放射線の線量に応じた放射線画像を生成することが可能に構成されている。
また、撮影装置2は、コンソール3と有線又は無線で通信可能となっている。
なお、図1には、撮影装置2として、パネル状をした可搬型(カセッテ型)のものを例示したが、撮影装置2は、施設内や撮影台6A,6Bに据え付けられていてもよいし、パネル以外の形状をしていてもよい。
この撮影装置2の詳細については後述する。
【0018】
コンソール3は、本発明における撮影制御装置をなすものであり、PCや携帯端末、あるいは専用の装置によって構成されている。
また、コンソール3は、発生装置1や撮影装置2等と有線又は無線で通信可能となっている。
なお、コンソール3に撮影制御装置としての機能を持たせるのではなく、撮影制御装置をコンソールから独立した装置として構成してもよい。
このコンソール3の詳細については後述する。
【0019】
〔放射線発生装置〕
次に、上記システム100が備える発生装置1の詳細について説明する。図2は、発生装置1の構成を表すブロック図である。
【0020】
発生装置1は、図1,2に示したように、ジェネレーター11と、曝射スイッチ12と、放射線源13と、を備えている。
【0021】
ジェネレーター11は、発生側制御部11aと、通信部11bと、発生側記憶部11cと、高電圧発生部11dと、を備えている。
【0022】
発生側制御部11aは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。そして、CPUが、他の装置(コンソール3等)からの制御信号等に基づいて、発生側記憶部11cに記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、発生装置1の各部の動作を統括的に制御するようになっている。
【0023】
通信部11bは、ネットワークインターフェース等で構成され、他の装置(撮影装置2やコンソール3)との間で各種制御信号や、放射線画像のデータを含む各種データ等を送受信することが可能となっている。
【0024】
発生側記憶部11cは、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、及び当該処理プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
【0025】
高電圧発生部11dは、設定された撮影条件(例えば静止画撮影、動画撮影等の撮影方法や、撮影対象部位、体格等の被検体に関する条件、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積(mAs値)、フレームレート(fps)、撮影予定枚数又は撮影予定期間等の放射線の照射に関する条件)に応じた電圧を放射線源13へ印加するようになっている。
【0026】
曝射スイッチ12は、二段階操作が可能に構成されている。
放射線源13は、高電圧発生部11dから電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線(例えばX線等)を発生させるようになっている。
【0027】
このように構成されたジェネレーター11の発生側制御部11aは、曝射スイッチ12の一段目が操作されると、通信部11bを介して撮影装置2へ出力している照射準備(Prepare)信号をONにし、一段目の操作が解除されると照射準備信号をOFFにするようになっている。
また、発生側制御部11aは、曝射スイッチ12の二段目が操作されると、通信部11bを介して撮影装置2へ出力している照射確認(Exposure)信号をONにし、二段目の操作が解除されると照射確認信号をOFFにするようになっている。
【0028】
また、発生側制御部11aは、照射確認信号をONにしている状態で、通信部11bを介して撮影装置2から入力されている蓄積可能(Ready)信号がONになると、高電圧発生部11dに放射線源13へ所定の電圧を印加させるようになっている。これにより、放射線源13が所定線量の放射線を発生させることとなる。
静止画撮影の場合は、照射確認信号をONにしている間に蓄積可能信号が一回だけONにされるのに対し、動画撮影の場合は、照射確認信号をONにしている間に蓄積可能信号のON/OFFが所定周期(例えば15fps)で繰り返される。このため、高電圧発生部11dによる電圧の印加(放射線源13からの放射線の発生)も所定周期で繰り返されることになる。
【0029】
〔放射線画像撮影装置〕
次に、上記システム100が備える撮影装置2の詳細について説明する。図3は撮影装置2の構成を表すブロック図である。なお、図3の括弧書きで示された符号は、後述する第四実施形態のものである。
【0030】
撮影装置2は、図3に示したように、撮影側制御部21、放射線検出部22、読出し部23、通信部24、撮影側記憶部25、撮影装置2の各部を接続するバス26を備えて構成されている。
【0031】
撮影側制御部21は、CPU、RAM等を備えている。そして、CPUが、他の装置(コンソール3等)からの制御信号等に基づいて、撮影側記憶部25に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、撮影装置2の各部の動作を統括的に制御するようになっている。
【0032】
放射線検出部22は、受けた放射線の線量に応じた電荷を生成する放射線検出素子、及び放射線検出素子と読出し部23との間のON/OFFを切り替えるスイッチ素子が二次元状(マトリクス状)に複数配列された基板を有している。
なお、放射線検出部22は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線をシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるもの(いわゆる間接型)であってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線から直接電荷を発生させるもの(いわゆる直接型)であってもよい。
【0033】
読出し部23は、各放射線検出素子から放出された電荷の量を信号値として読出し、得られた複数の信号値に基づいて放射線画像を生成することが可能に構成されている。
【0034】
通信部24は、ネットワークインターフェース等で構成され、他の装置(発生装置1やコンソール3)との間で各種制御信号や、放射線画像のデータを含む各種データを送受信することが可能となっている。
【0035】
撮影側記憶部25は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、撮影側制御部21が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、撮影側記憶部25は、読出し部23が生成した画像データを含む各種データを記憶することが可能となっている。
【0036】
このように構成された撮影装置2の撮影側制御部21は、通信部24を介して発生装置1から入力されている照射確認信号がONになったことに基づいて、蓄積可能信号をONにし、所定時間経過後にOFFにするようになっている。
静止画撮影の場合は、発生装置1から入力されている照射確認信号がONになっている間に蓄積可能信号のON/OFFを一回だけ行うのに対し、動画撮影の場合は、照射確認信号がONになっている間に蓄積可能信号のON/OFFを所定周期(例えば15回/秒)で繰り返すようになっている。
また、撮影側制御部21は、照射確認信号がOFFになったことに基づいて、蓄積可能信号をONにする動作を停止するようになっている。
【0037】
また、撮影側制御部21は、蓄積可能信号をONにする度に放射線検出部22の各スイッチ素子をOFFにして、各放射線検出素子を電荷の蓄積が可能な状態とし、蓄積可能信号がOFFにする度に放射線検出部22の各スイッチ素子をONにして、放射線検出素子に蓄積されていた電荷を読出し部23へ放出するようになっている。
動画撮影の場合、撮影側制御部21は、蓄積可能信号のON/OFFを所定周期で繰り返するため、放射線検出素子への電荷の蓄積及び放射線検出素子に蓄積された電荷の読み出し(放射線画像の生成)も所定周期で繰り返すこととなる。すなわち、撮影装置2の撮影側制御部21、放射線検出部22及び読出し部23は、本発明における撮影手段をなす。
以下、動画撮影で生成された動画を構成する各放射線画像をフレーム画像と称する場合がある。
【0038】
〔コンソール〕
次に、上記システム100が備えるコンソール3の詳細について説明する。図4はコンソール3の構成を表すブロック図である。なお、図4の括弧書きで示された符号は、後述する第二,第三実施形態のものである。
【0039】
コンソール3は、図4に示したように、制御部31、通信部32、記憶部33、表示部34、操作部35、コンソール3の各部を接続するバス36を備えて構成されている。
【0040】
制御部31は、CPU、RAM等を備えている。そして、CPUが、他の装置(発生装置1や撮影装置2)からの制御信号や操作部35の操作に基づいて、記憶部33に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、コンソール3の各部の動作を統括的に制御する。
【0041】
通信部32は、ネットワークインターフェース等で構成され、他のシステム(PACS110やHIS、RIS等)や他の装置(発生装置1や撮影装置2)との間で各種制御信号や、放射線画像のデータを含む各種データ等を送受信することが可能となっている。
【0042】
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部31が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、記憶部33は、撮影装置2から受信した放射線画像のデータを記憶することが可能となっている。
【0043】
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、放射線画像や、操作部35からの入力指示、各種データ等を表示する。
【0044】
操作部35は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。
また、操作部35は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0045】
このように構成された本実施形態に係るコンソールの制御部31は、他のシステム(RIS等)から取得した撮影オーダーやユーザーが操作部35に行った操作に基づいて、撮影条件(例えば静止画撮影、動画撮影等の撮影方法や、撮影対象部位、体格等の被検体に関する条件、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積(mAs値)、フレームレート(fps)、撮影予定枚数又は撮影予定期間等の放射線の照射に関する条件)を設定する機能を有している。
このような機能を有する本実施形態に係る制御部31は、本発明における設定手段をなす。
【0046】
また、制御部31は、撮影装置2から通信部32を介して放射線画像のデータを取得する機能を有している。
本実施形態においては、動画撮影の場合、撮影装置2が生成する複数のフレーム画像のデータを、撮影装置2が転送し次第、順次取得するようになっている。
すなわち、制御部31は、本発明における取得手段をなす。
【0047】
また、制御部31は、取得した放射線画像を出力部から出力させる機能を有している。
通信部32を出力部としている場合には、放射線画像のデータを、通信部32を介して他のシステム(PACS110や解析診断WS120等)へ送信する。
一方、表示部34を出力部としている場合には、放射線画像を表示部34に表示させる。
【0048】
また、制御部31は、取得した放射線画像の撮影時に生じた異常の有無を判定する機能を有している。
動画撮影の場合、複数のフレーム画像を順次取得することになるため、フレーム画像を取得する度に判定を繰り返し行うこととなる。
本実施形態においては、異常の有無として、下記(1)又は(2)の判定を行う。
(1)フレーム画像における所定画素の画素値に基づいて放射線未照射又は線量不足の有無を判定する。
(2)フレーム画像に基づいて被写体の体動の有無を判定する。
【0049】
(1)の判定を行う場合には、例えば、画素値が所定値未満であれば放射線未照射又は線量不足であると判断し、所定値以上であれば放射線未照射でも線量不足でもないと判断する。
判断に用いる画素値を抽出する画素は、フレームの中央部から一つ選択してもよいし、フレームの複数領域(例えばフレームを右上、左上、右下、左下の4領域)からそれぞれ一つずつ選択してもよい。
その他、フレームの一本の行もしくは列を構成する複数の画素を選択してもよいし、複数の行及び列に跨る複数の画素を選択してもよい。
画素を複数選択する場合は、各画素の画素値の平均値や中央値を判断に用いるのが好ましい。
【0050】
(2)の判定では、例えば、フレーム画像における被写体の特定部位の移動量が所定値を以上であった、あるいはフレーム画像における被写体の輪郭がフレーム画像の縁に達した場合に体動があったと判断し、特定部位の移動量が所定値未満であった、あるいは輪郭がフレーム画像の縁に達していないと判断した場合に体動は無かったと判断する。
以上のような機能を有する制御部31は、本発明における判定手段をなす。
【0051】
また、制御部31は、異常ありと判定した場合に、所定の異常時動作を行う機能を有している。
本実施形態においては、異常時動作として、発生装置1が撮影装置2へ放射線を照射するための制御を停止させるようになっている。具体的には、撮影装置2による蓄積可能信号を繰り返しONにする動作を停止させる。
なお、異常時動作として、曝射スイッチ12の2段目が操作されても、発生装置1が照射確認信号をONにしないようにしてもよい。
以上のような機能を有する制御部31は、本発明における異常時動作手段をなす。
【0052】
〔撮影の流れ〕
次に、上記システム100を用いた動画撮影の流れについて説明する。図5はシステム100を用いて動画撮影を行う際の発生装置1及び撮影装置2の動作を表すタイミングチャート、図6はシステム100を用いて動画撮影を行う際のコンソール3の動作を表すフローチャートである。
【0053】
まず、ユーザーが撮影準備を行う。具体的には、被写体の配置や、撮影条件の設定(動画撮影の選択、動画撮影用の管電圧、管電流、フレームレート、撮影予定枚数又は撮影予定期間の入力等)を行う。
撮影準備の完了後、ユーザーが発生装置1の曝射スイッチ12の一段目を操作する。すると、図5に示したように、発生装置1が撮影装置2へ出力している照射準備信号をONにする(t1)。
その後、ユーザーが曝射スイッチ12の二段目を操作する。すると、発生装置1が撮影装置2へ出力している照射確認信号をONにする(t2)。
【0054】
照射確認信号がONにされると、撮影装置2が発生装置1へ出力している蓄積可能信号をONにする(t3)。
また、このとき、撮影装置2がスイッチ素子をOFFにし、放射線検出素子に電荷の蓄積が可能な状態とする。
その後、発生装置1が撮影装置2へ放射線を照射する(t4)。すると、撮影装置2が照射された放射線に応じた電荷を各放射線検出素子に蓄積する。
その後、撮影装置2が発生装置1へ出力している蓄積可能信号をOFFにする(t5)。すると、撮影装置2が各放射線検出素子に蓄積していた電荷を読み出してフレーム画像を生成する。そして、撮影装置2がフレーム画像をコンソール3へ転送する。
【0055】
その後、図6に示したように、コンソール3がフレーム画像を取得し(ステップS1)、当該フレーム画像の撮影時に生じた異常の有無を判定する(ステップS2)。ここで、コンソール3が異常なしと判定した場合(ステップS2;No)は、判定対象のフレーム画像のフレーム番号が撮影予定枚数と等しい(ステップS3;Yes)と判定するまでは、ステップS1へ戻る。
一方、ステップS2において、コンソール3が異常ありと判定した場合(ステップS2;Yes)は、撮影装置2による蓄積可能信号をONにする動作を停止させ(ステップS4)、取得したフレーム画像で構成された動画を出力する(ステップS5)。そして、放射線の照射中断を発生装置1へ通知する。
【0056】
コンソール3が上述したような制御を行うことにより、先のフレームで異常が検出されない限りは、図5に示したように、撮影装置2による蓄積可能信号のON(t6、t9、t12・・)、発生装置1による放射線照射(t7、t10、t13・・)及び撮影装置2によるフレーム画像の生成が撮影予定枚数のフレーム画像が生成されるまで繰り返し行われる。
一方、先のフレームで異常が検出された場合には、発生装置1及び撮影装置2は、以降の動作を直ちに停止する。
【0057】
その後、ユーザーが発生装置1の曝射スイッチ12の二段目の操作を解除する。すると、図5に示したように、発生装置1が撮影装置2へ出力している照射確認信号をOFFにする(t15)。
その後、ユーザーが曝射スイッチ12の一段目の操作を解除する。すると、発生装置1が撮影装置2へ出力している照射準備信号をOFFにする(t16)。
【0058】
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100が備えるコンソール3は、フレーム画像を所定周期で繰り返し生成する撮影装置2から複数の放射線画像を取得し、取得した放射線画像の撮影時に生じた異常の有無を判定し、異常ありと判定した場合に、発生装置1が撮影装置2へ放射線を照射するための制御を停止させるようになっている。
【0059】
従来は、撮影予定枚数の撮影を終えた後、動画を解析し、それをユーザーが確認することで異常の有無を判定していたため、撮影に失敗し再撮影を行うこととなった場合、被写体が再撮影終了までに被曝する放射線の線量は、失敗なく撮影を終えることができた場合の2倍となってしまっていた。しかし、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100を用いた撮影では、照射許可が停止されると、撮影はその場で終了となるため、再撮影を行った場合であっても、被写体が再撮影終了までに被曝する放射線の線量は、撮影予定枚数から撮影中止時の撮影枚数を差し引いた枚数のフレームを撮影するのに必要な線量の分だけ少なくなる。
このため、動画撮影において、異常が発生した場合の被写体の被曝量を従来よりも抑えることができる。
【0060】
また、解析には長時間(例えば数十分)を要するため、再撮影が必要か否かを判断するころには、被写体が撮影場所から遠く離れてしまうことが多い。このため、いざ再撮影が必要になると、再度撮影場所まで移動しなければならず、大きな負担となっていた。
しかし、本実施形態に係るシステム100Aを用いた撮影では、被写体が撮影場所を離れる前に再撮影の必要か否かを判断できるため、こうした被写体の負担の増加を防ぐことができる。
【0061】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。ここでは、第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
本実施形態の放射線画像撮影システム(以下システム100A)は、コンソール3Aの動作が、第一実施形態に係るシステム100と異なっている。
なお、コンソール3A以外の構成は、第一実施形態と同様である。
このため、本実施形態に係るコンソール3Aは、制御部31が実行する処理(記憶部33Aに記憶されているプログラム)が第一実施形態のものと異なっている。
【0063】
具体的には、コンソール3Aの制御部31は、第一実施形態と同様に、異常ありと判定した場合に、所定の異常時動作を行う(本発明における異常時動作手段として機能する)ようになっている。
しかし、本実施形態においては、異常時動作として、下記(1)又は(2)を行うようになっている。
(1)異常ありと判定されたタイミングで生成されたフレーム画像を出力部に出力させない。
(2)異常ありと判定されたタイミングで生成されたフレーム画像を削除する。
なお、制御部31が実行するその他の処理は、第一実施形態と同様である。
【0064】
すなわち、本実施形態においては、図7に示したように、ステップS1の後のステップS2において、コンソール3が異常ありと判定した場合(ステップS2;Yes)は、フレーム画像を削除する又はフレーム画像を出力部に出力させない処理(ステップS4A)を行ってからステップS3の処理(判定対象のフレーム画像のフレーム番号が撮影予定枚数と等しいか否かの判定)を行う。
コンソール3Aがこのような制御を行うことにより、撮影装置2による蓄積可能信号のON(t6、t9、t12・・)、発生装置1による放射線照射(t7、t10、t13・・)及び撮影装置2によるフレーム画像の生成が、異常が検出されてもされなくても撮影予定枚数のフレーム画像が生成されるまで繰り返し行われる。しかし、異常ありと判定されたフレーム画像が動画として表示されなくなる。
【0065】
なお、コンソール3に、取得した放射線画像を解析する本発明における解析手段としての機能を備えるようにしてもよい。
その場合、異常ありと判定した場合の異常時動作として、異常ありと判定されたタイミングで生成された放射線画像の解析を行わないという動作も可能となる。
また、本実施形態においては、動画を解析診断WS120へ転送するまでにフレーム画像の削除等が行われていればよいため、必ずしも上記第一実施形態のように撮影装置2がフレーム画像を転送し次第、フレーム画像の取得及び異常有無の判定を行う必要は無く、時間を置いてからこれらの動作を行うようにしてもよい。
【0066】
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100Aが備えるコンソール3Aは、フレーム画像を所定周期で繰り返し生成する撮影装置2から複数の放射線画像を取得し、取得した放射線画像の撮影時に生じた異常の有無を判定し、異常ありと判定した場合に、当該異常ありと判定されたタイミングで生成されたフレーム画像を削除する、又は当該フレーム画像を出力部に出力させないようになっている。
【0067】
撮影した動画の中に放射線未照射や低線量の画像が混入すると、解析を行うことが困難になる、あるいは解析できてもその精度が下がってしまうという問題があった。
しかし、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100Aを用いた撮影では、得られた動画の中から、放射線未照射や低線量の画像だけを省くことで、残ったフレームを用いて正確に解析を行うことができる。その結果、再撮影を行う必要がなくなる。
このため、第一実施形態と同様、動画撮影において、異常が発生した場合の被写体の被曝量を従来よりも抑えることができる。
【0068】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について説明する。ここでは、第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
本実施形態の放射線画像撮影システム(以下システム100B)は、コンソール3Bの動作が、第一実施形態に係るシステム100と異なっている。
なお、コンソール3B以外の構成は、第一実施形態と同様である。
このため、本実施形態に係るコンソール3Bは、制御部31が実行する処理(記憶部33Bに記憶されているプログラム)が第一実施形態のものと異なっている。
【0070】
具体的には、制御部31は、ユーザーが発生装置1に行っている放射線の照射指示の有無を監視する機能を有している。
具体的には、発生装置1が撮影装置2へ入力している照射確認信号がONになっているか否かを監視する(本発明における監視手段として機能する)ようになっている。
【0071】
また、制御部31は、第一実施形態と同様に、異常ありと判定した場合に、所定の異常時動作を行う(本発明における異常時動作手段として機能する)ようになっている。
【0072】
また、制御部31は、第一実施形態と同様に、放射線画像を取得する度に、当該放射線画像の撮影時に生じた異常の有無を判定する、本発明における判断機能として機能するものとなっている。しかし、本実施形態においては、異常の有無として、照射指示無しとなったタイミングが、これまでに撮影された放射線画像の枚数が撮影予定枚数に達する前であるか否か、又は撮影が開始されてからの時間が撮影予定期間に達する前であるか否かに基づいてユーザーによる撮影指示の中断の有無を判定するようになっている。
【0073】
また、制御部31は、第一実施形態と同様に、異常ありと判定した場合に、所定の異常時動作を行う(本発明における異常時動作手段として機能する)ようになっている。しかし、本実施形態においては、異常時動作として、最後に取得した放射線画像を削除するようになっている。
なお、制御部31が実行するその他の処理は、第一実施形態と同様である。
【0074】
すなわち、本実施形態においては、図8に示したように、ステップS1の後にステップS3の処理(判定対象のフレーム画像のフレーム番号が撮影予定枚数と等しいか否かの判定)を行う。ここで、コンソール3Bが、判定対象のフレーム画像のフレーム番号が撮影予定枚数と等しくない(フレーム番号が撮影予定枚数より小さい)と判断した場合(ステップS3;No)、発生装置1が撮影装置2へ入力している照射確認信号がONになっているか否かを判断する(ステップS2A)。ここで、照射指示信号がONになっていないと判断した場合(ステップS2A;No)は、撮影した最終フレームを削除する(ステップS4B)。
コンソール3Bがこのような制御を行うことにより、撮影の途中で曝射スイッチの二段目の操作が解除された場合、異常ありと判定された、すなわち撮影された最後のフレームフレーム画像が動画として表示されなくなる。
【0075】
以上説明してきたように、システム100Bが備えるコンソール3Bは、撮影予定枚数又は撮影予定期間を発生装置1に設定し、ユーザーが発生装置1に行っている放射線の照射指示の有無を監視し、照射指示無しとなったタイミングが、これまでに撮影されたフレーム画像の枚数が撮影予定枚数に達する前であるか否か、又は撮影が開始されてからの時間が撮影予定期間に達する前であるか否かに基づいてユーザーによる撮影指示の中断の有無を判定するようになっている。
【0076】
撮影途中でユーザーが曝射スイッチ12を離してしまい、撮影された複数のフレームのうち最後のフレームが放射線未照射や低線量の画像となってしまう場合がある。こうした画像が混入すると、解析を行うことが困難になる、あるいは解析できてもその精度が下がってしまうという問題があった。
しかし、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100Aを用いた撮影では、得られた動画の中から、放射線未照射や低線量の画像となっている可能性の高い最終フレームだけを省くことで、残ったフレームを用いて正確に解析を行うことができる。その結果、再撮影を行う必要がなくなる。
このため、第一,第二実施形態と同様、動画撮影において、異常が発生した場合の被写体の被曝量を従来よりも抑えることができる。
【0077】
<第四実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について説明する。ここでは、第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
第一実施形態のシステム100は、コンソール3が本発明における撮影制御装置をなすものであったが、本実施形態の放射線画像撮影システム(以下システム100C)は、コンソール3Cが撮影制御装置としての機能を有しておらず、その機能を放射線画像撮影装置(以下撮影装置2A)が代わりに有している。
このため、本実施形態に係る撮影装置2Aは、撮影側制御部21が実行する処理(撮影側記憶部25Aに記憶されているプログラム)が第一実施形態のものと異なっている。
【0079】
具体的には、撮影装置2Aの撮影側制御部21は、読み出し部23が電荷を読み出す度に、当該読出しにより生成される電荷の蓄積時に生じた異常の有無を判定する(本発明における判定手段として機能する)ようになっている。
また、撮影側制御部21は、異常ありと判定した場合に、所定の異常時動作を行う(本発明における異常時動作手段として機能する)ようになっている。
具体的には、上記第一~第三実施形態で説明した各種異常時動作のうちのいずれかを、自身(撮影装置2A)、発生装置1又はコンソール3に行わせる。
【0080】
なお、本実施形態のように、異常の有無を撮影装置2Aで判定する場合、フレーム画像を生成する前に異常の有無を判定することができるため、異常ありと判定した場合に、例えば当該異常ありと判定されたタイミングで蓄積された電荷に基づく放射線画像を生成させないようにしてもよい。
また、撮影装置2Aの画像生成機能を利用して、異常ありと判定したフレーム画像をその前又は後のフレーム画像を用いて補間するようにしてもよい。
【0081】
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100Cが備える撮影装置2Aは、受けた放射線の線量に応じた電荷を生成する放射線検出素子が、二次元状に複数配列された放射線検出部22を備え、放射線検出素子への電荷の蓄積及び放射線検出素子に蓄積された電荷の読み出しを所定周期で交互に繰り返し、読み出した電荷の蓄積時に生じた異常の有無を判定し、異常ありと判定した場合に、上記第一~第三実施形態で説明した異常時動作のうちのいずれかを行うようになっている。
このため、第一~第三実施形態と同様、動画撮影において、異常が発生した場合の被写体の被曝量を従来よりも抑えることができる。
【符号の説明】
【0082】
100,100A,100B,100C 放射線画像撮影システム
1 放射線発生装置
11 ジェネレーター
11a 発生側制御部
11b 通信部
11c 発生側記憶部
11d 高電圧発生部
12 曝射スイッチ
13 放射線源
14 放射線発生コントローラー
15 インターフェースユニット
2,2A 放射線画像撮影装置
21 撮影側制御部
22 放射線検出部
23 読出し部
24 通信部
25,25A 撮影側記憶部
26 バス
3,3A,3B コンソール(撮影制御装置)
3C コンソール
31 制御部
32 通信部
33,33A,33B 記憶部
34 表示部
35 操作部
36 バス
4 アクセスポイント
5 クレードル
6A,6B 撮影台
110 病院情報システム
120 放射線科情報システム
130 画像保存通信システム
140 解析診断ワークステーション
150 クライアント端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8