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  • 特許-モータ、およびインバータ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】モータ、およびインバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220524BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20220524BHJP
   H02K 11/02 20160101ALI20220524BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K11/33
H02K11/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019055408
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020156293
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】高原 祐太
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/030836(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0071970(US,A1)
【文献】特開2009-099304(JP,A)
【文献】特開2015-133237(JP,A)
【文献】特開2018-137243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
H02K 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータと、
複数のコイルを有するステータと、
インバータ装置と前記コイルとを電気的に接続する複数の配線と、
を備え、
前記複数のコイルは、スター結線されて複数相の交流回路を構成し、
前記配線は、
複数の相用配線と、
複数の中性点配線と、
を含み、
前記複数の相用配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記インバータ装置のインバータ本体に電気的に接続され、
前記複数の中性点配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記インバータ装置において中性点を介して互いに電気的に接続され、
一対の前記相用配線と前記中性点配線とが互いに撚り合わされた撚り対線が少なくとも1本設けられ、
前記撚り対線を構成する一対の前記相用配線と前記中性点配線とは、同相の前記コイルに電気的に接続される、モータ。
【請求項2】
前記撚り対線は、複数設けられる、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
複数の前記撚り対線同士は、互いに間隔を空けて配置される、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記インバータ装置をさらに備え、
前記インバータ装置は、
回路基板と、
前記回路基板に設けられる前記インバータ本体と、
を有し、
前記配線は、前記回路基板と前記コイルとを電気的に接続し、
前記中性点は、前記回路基板に設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
モータの複数のコイルに電力を供給するインバータ装置であって、
回路基板と、
前記回路基板に設けられるインバータ本体と、
前記インバータ装置と前記コイルとを電気的に接続する複数の配線と、
を備え、
前記複数のコイルは、スター結線されて複数相の交流回路を構成し、
前記配線は、
複数の相用配線と、
複数の中性点配線と、
を含み、
前記複数の相用配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記インバータ本体に電気的に接続され、
前記複数の中性点配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記回路基板に設けられた中性点を介して互いに電気的に接続され、
一対の前記相用配線と前記中性点配線とが互いに撚り合わされた撚り対線が少なくとも1本設けられ、
前記撚り対線を構成する一対の前記相用配線と前記中性点配線とは、同相の前記コイルに電気的に接続される、インバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、およびインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置からモータに電力が供給される構成が知られる。例えば、特許文献1には、インバータ装置を備える制御システムから三相モータに電力が供給される構成が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-55555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成において、モータのコイルとインバータ装置とを電気的に接続する配線からは電磁ノイズが生じる。そのため、配線から生じる電磁ノイズによって、モータの各部、およびインバータ装置の各部等に誤動作等の不具合が生じる虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、配線から電磁ノイズが生じることを抑制できる構造を有するモータ、およびインバータ装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、複数のコイルを有するステータと、インバータ装置と前記コイルとを電気的に接続する複数の配線と、を備える。前記複数のコイルは、スター結線されて複数相の交流回路を構成する。前記配線は、複数の相用配線と、複数の中性点配線と、を含む。前記複数の相用配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記インバータ装置のインバータ本体に電気的に接続される。前記複数の中性点配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記インバータ装置において中性点を介して互いに電気的に接続される。一対の前記相用配線と前記中性点配線とが互いに撚り合わされた撚り対線が少なくとも1本設けられる。前記撚り対線を構成する一対の前記相用配線と前記中性点配線とは、同相の前記コイルに電気的に接続される。
【0007】
本発明のインバータ装置の一つの態様は、モータの複数のコイルに電力を供給するインバータ装置であって、回路基板と、前記回路基板に設けられるインバータ本体と、前記インバータ装置と前記コイルとを電気的に接続する複数の配線と、を備える。前記複数のコイルは、スター結線されて複数相の交流回路を構成する。前記配線は、複数の相用配線と、複数の中性点配線と、を含む。前記複数の相用配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記インバータ本体に電気的に接続される。前記複数の中性点配線は、一端が各相の前記コイルにそれぞれ電気的に接続され、他端が前記回路基板に設けられた中性点を介して互いに電気的に接続される。一対の前記相用配線と前記中性点配線とが互いに撚り合わされた撚り対線が少なくとも1本設けられる。前記撚り対線を構成する一対の前記相用配線と前記中性点配線とは、同相の前記コイルに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、モータおよびインバータ装置において、配線から電磁ノイズが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のモータの回路構成を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態の撚り対線の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1に示す本実施形態のモータ10は、インナーロータ型のモータである。モータ10は、例えば、スイッチトリラクタンスモータである。図1に示すように、モータ10は、ハウジング11と、ロータ20と、ベアリング51,52と、センサマグネット80と、ステータ30と、ベアリングホルダ40と、インバータ装置60と、複数の配線70aと、を備える。
【0013】
ハウジング11は、ロータ20、ベアリング51,52、センサマグネット80、ステータ30、ベアリングホルダ40、インバータ装置60、および複数の配線70aを内部に収容する。ハウジング11は、下側に底部を有し上側に開口する筒状である。ハウジング11は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。ハウジング11は、下側の底部にベアリング51を保持する。
【0014】
ロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ20は、シャフト21と、ロータコア22と、を有する。シャフト21は、中心軸Jに沿って配置される。シャフト21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト21の上側の端部は、例えば、インバータ装置60の内部に位置する。ロータコア22は、シャフト21の外周面に固定される円環状である。
【0015】
ベアリング51は、シャフト21のうちロータコア22が固定される部分よりも下側に位置する部分を回転可能に支持する。ベアリング52は、シャフト21のうちロータコア22が固定される部分よりも上側に位置する部分を回転可能に支持する。ベアリング51,52は、例えば、ボールベアリングである。
【0016】
センサマグネット80は、シャフト21の上側の端部に固定される。センサマグネット80は、中心軸を中心とする円環状である。センサマグネット80は、例えば、インバータ装置60の内部に位置する。センサマグネット80は、シャフト21に直接固定されてもよいし、他の部材を介して間接的に固定されてもよい。
【0017】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、ロータ20の径方向外側においてロータ20を囲む。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、複数のコイル33と、を有する。ステータコア31は、コアバック31aと、複数のティース31bと、を有する。コアバック31aは、中心軸Jを中心とする円環状である。複数のティース31bは、コアバック31aから径方向内側に延びる。図示は省略するが、複数のティース31bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ティース31bは、例えば、6つ設けられる。
【0018】
複数のコイル33は、インシュレータ32を介して複数のティース31bにそれぞれ装着される。コイル33は、導線がインシュレータ32を介してティース31bに巻き回されて構成される。コイル33は、例えば、6つ設けられる。本実施形態において各コイル33からは、コイル引出線33aが1本ずつ上側に引き出される。すなわち、本実施形態においてコイル引出線33aは、6本設けられる。コイル引出線33aは、コイル33を構成する導線の巻き始め側の端部または巻き終わり側の端部である。
【0019】
本実施形態において各コイル引出線33aは、各コイル33の径方向の同じ側の端部から上側に引き出される。そのため、コイル引出線33aに接続される配線70a同士を撚り合わせやすく、後述する撚り対線70を作りやすい。各コイル引出線33aは、例えば、各コイル33の径方向外側の端部から上側に引き出される。
【0020】
図2に示すように、複数のコイル33は、スター結線されて複数相の交流回路を構成する。本実施形態において複数のコイル33は、三相交流回路を構成する。複数のコイル33は、U相のコイル33Uと、V相のコイル33Vと、W相のコイル33Wと、を含む。コイル33Uとコイル33Vとコイル33Wとには、位相が互いに異なる電流Iが供給される。
【0021】
コイル33Uとコイル33Vとコイル33Wとは、複数ずつ設けられる。複数のコイル33Uは、互いに直列接続される。複数のコイル33Vは、互いに直列接続される。複数のコイル33Wは、互いに直列接続される。コイル33Uとコイル33Vとコイル33Wとは、例えば、2つずつ設けられる。
【0022】
U相、V相、W相の各相における2つのコイル33は、例えば、1本の導線が巻き回されて構成される。各相における2つのコイル33のうち一方のコイル33から引き出されるコイル引出線33aは、2つのコイル33を構成する1本の導線の巻き始め側の端部である。各相における2つのコイル33のうち他方のコイル33から引き出されるコイル引出線33aは、2つのコイル33を構成する1本の導線の巻き終わり側の端部である。
【0023】
図1に示すように、ベアリングホルダ40は、ステータ30の上側に位置する。ベアリングホルダ40は、中心軸Jを中心とする円環状である。ベアリングホルダ40の外周面は、ハウジング11の内周面に固定される。ベアリングホルダ40の内周面には、ベアリング52が保持される。ベアリングホルダ40は、ベアリングホルダ40を軸方向に貫通する貫通孔41を有する。図示は省略するが、貫通孔41は、周方向に沿って複数設けられる。貫通孔41は、例えば、3つ設けられる。各貫通孔41には、配線70aが2本ずつ通される。各貫通孔41には、後述する撚り対線70が1本ずつ通される。
【0024】
インバータ装置60は、複数のコイル33に電力を供給し、モータ10を制御する装置である。インバータ装置60は、ベアリングホルダ40の上側に位置する。インバータ装置60は、例えば、ハウジング11の上側の開口を閉塞する。インバータ装置60は、回路基板61と、インバータ本体62と、磁気センサ63と、を有する。
【0025】
回路基板61は、板面が軸方向を向く板状である。回路基板61は、シャフト21の上側に位置する。インバータ本体62は、回路基板61に設けられる。より詳細には、インバータ本体62は、例えば、回路基板61の上側の面に設けられる。図示は省略するが、インバータ本体62は、複数のトランジスタを有する。
【0026】
磁気センサ63は、回路基板61に設けられる。より詳細には、磁気センサ63は、回路基板61の下側の面に設けられる。磁気センサ63は、センサマグネット80の上側に位置する。磁気センサ63は、センサマグネット80と軸方向に隙間を介して対向する。磁気センサ63は、センサマグネット80の磁界を検出可能である。磁気センサ63によってセンサマグネット80の磁界を検出することで、ロータ20の回転を検出可能である。図示は省略するが、磁気センサ63は、例えば、周方向に沿って複数設けられる。磁気センサ63は、例えば、3つ設けられる。磁気センサ63は、例えば、ホールIC等のホール素子である。なお、磁気センサ63は、磁気抵抗素子であってもよい。
【0027】
複数の配線70aは、インバータ装置60とコイル33とを電気的に接続する。本実施形態において配線70aは、回路基板61とコイル33とを電気的に接続する。配線70aと回路基板61との接続方法、配線70aとコイル33との接続方法は、特に限定されない。配線70aは、例えば、ビニール線である。図2に示すように、本実施形態において配線70aの数は、6本である。本実施形態において複数の配線70aは、複数の相用配線71と、複数の中性点配線72と、を含む。
【0028】
複数の相用配線71は、一端が各相のコイル33にそれぞれ電気的に接続され、他端がインバータ本体62に電気的に接続される。本実施形態において相用配線71の一端は、相用配線71の下側の端部である。本実施形態において相用配線71の他端は、相用配線71の上側の端部である。本実施形態において相用配線71の他端は、回路基板61を介してインバータ本体62に電気的に接続される。本実施形態において相用配線71は、相用配線71Uと相用配線71Vと相用配線71Wとの3本設けられる。
【0029】
複数の中性点配線72は、一端が各相のコイル33にそれぞれ電気的に接続され、他端がインバータ装置60において中性点73を介して互いに電気的に接続される。本実施形態において中性点73は、回路基板61に設けられる。そのため、中性点配線72を回路基板61に接続することで中性点73に接続することができる。これにより、中性点配線72同士を、中性点73を介して容易に接続できる。中性点73は、例えば、回路基板61に設けられた配線パターンである。
【0030】
本実施形態において中性点配線72の一端は、中性点配線72の下側の端部である。本実施形態において中性点配線72の他端は、中性点配線72の上側の端部である。本実施形態において中性点配線72の他端は、中性点73に電気的に接続される。本実施形態において中性点配線72は、中性点配線72Uと中性点配線72Vと中性点配線72Wとの3本設けられる。
【0031】
相用配線71Uの一端および中性点配線72Uの一端は、U相のコイル33Uに電気的に接続される。すなわち、相用配線71Uと中性点配線72Uとは、同相のコイル33Uに電気的に接続される。相用配線71Uの一端は、2つのコイル33Uのうち一方のコイル33Uから引き出されるコイル引出線33aに電気的に接続される。中性点配線72Uの一端は、2つのコイル33Uのうち他方のコイル33Uから引き出されるコイル引出線33aに電気的に接続される。すなわち、本実施形態において相用配線71Uと中性点配線72Uとは、異なるコイル33Uから引き出されるコイル引出線33aにそれぞれ電気的に接続される。相用配線71Uおよび中性点配線72Uには、インバータ本体62からコイル33Uに供給されるU相の交流電流が流れる。
【0032】
相用配線71Vの一端および中性点配線72Vの一端は、V相のコイル33Vに電気的に接続される。すなわち、相用配線71Vと中性点配線72Vとは、同相のコイル33Vに電気的に接続される。相用配線71Vの一端は、2つのコイル33Vのうち一方のコイル33Vから引き出されるコイル引出線33aに電気的に接続される。中性点配線72Vの一端は、2つのコイル33Vのうち他方のコイル33Vから引き出されるコイル引出線33aに電気的に接続される。すなわち、本実施形態において相用配線71Vと中性点配線72Vとは、異なるコイル33Vから引き出されるコイル引出線33aにそれぞれ電気的に接続される。相用配線71Vおよび中性点配線72Vには、インバータ本体62からコイル33Vに供給されるV相の交流電流が流れる。
【0033】
相用配線71Wの一端および中性点配線72Wの一端は、W相のコイル33Wに電気的に接続される。すなわち、相用配線71Wと中性点配線72Wとは、同相のコイル33Wに電気的に接続される。相用配線71Wの一端は、2つのコイル33Wのうち一方のコイル33Wから引き出されるコイル引出線33aに電気的に接続される。中性点配線72Wの一端は、2つのコイル33Wのうち他方のコイル33Wから引き出されるコイル引出線33aに電気的に接続される。すなわち、本実施形態において相用配線71Wと中性点配線72Wとは、異なるコイル33Wから引き出されるコイル引出線33aにそれぞれ電気的に接続される。相用配線71Wおよび中性点配線72Wには、インバータ本体62からコイル33Wに供給されるW相の交流電流が流れる。
【0034】
図1に示すように、モータ10には、2本の配線70aが撚り合わされた撚り対線70が少なくとも1本設けられる。本実施形態において撚り対線70は、複数設けられる。本実施形態において撚り対線70は、軸方向に延びる。より詳細には、撚り対線70は、ステータ30から貫通孔41を介してインバータ装置60まで上側に延びる。
【0035】
撚り対線70の上側の端部は、回路基板61の下側の面に接続される。撚り対線70の下側の端部は、コイル33に接続される。本実施形態において複数の撚り対線70同士は、互いに間隔を空けて配置される。複数の撚り対線70同士は、例えば、軸方向と直交する方向に互いに間隔を空けて配置される。
【0036】
図3に示すように、撚り対線70は、一対の相用配線71と中性点配線72とが互いに撚り合わされて構成される。撚り対線70において相用配線71と中性点配線72とは、撚り対線70が延びる方向、すなわち本実施形態では軸方向に沿って、互いに絡み合う螺旋状に延びる。
【0037】
図2に示すように、本実施形態において撚り対線70は、撚り対線70Uと撚り対線70Vと撚り対線70Wとの3本設けられる。撚り対線70Uは、一対の相用配線71Uと中性点配線72Uとが互いに撚り合わされて構成される。撚り対線70Vは、一対の相用配線71Vと中性点配線72Vとが互いに撚り合わされて構成される。撚り対線70Wは、一対の相用配線71Wと中性点配線72Wとが互いに撚り合わされて構成される。すなわち、撚り対線70を構成する一対の相用配線71と中性点配線72とは、同相のコイル33に電気的に接続される。
【0038】
なお、図2では、一対の相用配線71と中性点配線72とが撚り合わされていない状態において、一対の相用配線71と中性点配線72とを二点鎖線で囲むことで、撚り対線70U,70V,70Wを模式的に示す。
【0039】
インバータ本体62から相用配線71に流れる電流Iは、コイル33を介して、相用配線71が接続されたコイル33と同相のコイル33に接続された中性点配線72へと流れる。また、中性点73を介して中性点配線72に流れる電流Iは、コイル33を介して、中性点配線72が接続されたコイル33と同相のコイル33に接続された相用配線71へと流れる。そのため、インバータ装置60に中性点73を設けて、中性点配線72の他端を中性点73に接続することで、インバータ装置60と同相のコイル33とを繋ぐ相用配線71および中性点配線72に流れる電流の向きを互いに逆向きにできる。
【0040】
具体的には、図3に示すように、例えば、相用配線71に回路基板61側からコイル33側に電流Iが流れる場合、同相のコイル33に接続される中性点配線72には、コイル33側から回路基板61側へと電流Iが流れる。これにより、同相のコイル33に接続された相用配線71と中性点配線72とを撚り合わせて撚り対線70とすることで、相用配線71に流れる電流Iによって生じる磁界と中性点配線72に流れる電流Iによって生じる磁界とが互いに打ち消し合う。したがって、配線70aから電磁ノイズが生じることを抑制できる。
【0041】
配線70aから電磁ノイズが生じることを抑制できることで、モータ10の各部およびインバータ装置60の各部等に誤動作等の不具合が生じることを抑制できる。また、モータ10およびインバータ装置60の外部に配置される機器に誤動作等の不具合が生じることも抑制できる。また、具体的に、例えば、磁気センサ63に対する電磁ノイズの影響を低減できるため、磁気センサ63の検出精度が低下することを抑制できる。
【0042】
本実施形態では、撚り対線70は、複数設けられる。そのため、配線70aから電磁ノイズが生じることをより抑制できる。また、本実施形態では、各相のコイル33にそれぞれ接続される一対の相用配線71と中性点配線72とのすべてが、互いに撚り合わされて撚り対線70を構成する。そのため、配線70aから電磁ノイズが生じることをさらに抑制できる。
【0043】
また、撚り対線70同士をさらに撚り合わせると、配線70a同士の絡み方が複雑化し、各配線70aを流れる電流Iによる磁界同士が打ち消し合いにくくなる場合がある。そのため、撚り対線70同士をさらに撚り合わせると、電磁ノイズの抑制効果が低下する場合がある。
【0044】
これに対して、本実施形態によれば、複数の撚り対線70同士は、互いに間隔を空けて配置される。すなわち、複数の撚り対線70同士は、撚り合わされずに、互いに離れて配置される。そのため、電磁ノイズの抑制効果が低下することを抑制できる。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限られず、以下の構成を採用することもできる。同相のコイルに接続される一対の相用配線と中性点配線とが撚り合わされた撚り対線が1本以上設けられるならば、撚り合わされていない相用配線および中性点配線が設けられてもよい。また、各相のコイルの数は、特に限定されない。各相のコイルは、1つずつ設けられてもよい。この場合、コイルからは2本のコイル引出線が引き出され、2本のコイル引出線を介して同じコイルに対して一対の相用配線と中性点配線とが接続されてもよい。また、各相のコイルは、3つ以上ずつ設けられてもよい。
【0046】
複数のコイルは、スター結線されて複数相の交流回路を構成するならば、二相交流回路を構成してもよいし、四相以上の交流回路を構成してもよい。交流回路の相数と同じ数ずつ、相用配線と中性点配線とが設けられてもよい。配線の種類は、インバータ装置とコイルとを電気的に接続できるならば、特に限定されない。配線は、コイルを構成する導線が引き出されて構成されてもよい。すなわち、上述した実施形態のコイル引出線33aがインバータ装置60まで延びて、インバータ装置60とコイル33とを電気的に接続する配線となってもよい。この場合、例えば、コイル引出線33aの表面は絶縁チューブ等により絶縁される。また、この場合、一対のコイル引出線33aが撚り合わされて撚り対線が構成される。中性点は、インバータ装置に設けられるならば、特に限定されない。中性点は、バスバーであってもよい。
【0047】
上述した実施形態においては、モータ10が複数の配線70aを備える構成としたが、これに限られない。複数の配線は、インバータ装置に備えられてもよい。また、上述した実施形態においては、モータ10がインバータ装置60を備える構成としたが、これに限られない。モータとインバータ装置とは、互いに離れて配置されてもよい。
【0048】
モータの種類は、特に限定されない。モータは、スイッチトリラクタンスモータ以外のモータであってもよい。モータは、アウターロータ型のモータであってもよい。モータの用途は、特に限定されない。モータは、例えば、車両等に搭載されてもよい。
【0049】
なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…モータ、20…ロータ、30…ステータ、33,33U,33V,33W…コイル、60…インバータ装置、61…回路基板、62…インバータ本体、70,70U,70V,70W…撚り対線、70a…配線、71,71U,71V,71W…相用配線、72,72U,72V,72W…中性点配線、73…中性点、J…中心軸
図1
図2
図3