(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】歯磨剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20220524BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220524BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220524BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/73
A61K8/81
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2019521282
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 JP2018020840
(87)【国際公開番号】W WO2018221620
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2017107738
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕之
(72)【発明者】
【氏名】猪谷 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】栗原 奈保
(72)【発明者】
【氏名】川口 徹也
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121089(JP,A)
【文献】特開2016-102076(JP,A)
【文献】特表2012-508741(JP,A)
【文献】特開2015-182983(JP,A)
【文献】特表2014-507440(JP,A)
【文献】特開2014-125440(JP,A)
【文献】特表2011-520925(JP,A)
【文献】特表2011-530608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/90
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド
0.00001~0.01質量%、
(B)キサンタンガム 1.4~2.5質量%
及び
(C)ポリアクリル酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種以上
を含有し、(B)/(C)が質量比として6~20である歯磨剤組成物。
【請求項2】
(C)成分を0.1~0.3質量%含有する請求項1記載の歯磨剤組成物。
【請求項3】
更に、(D)増粘性シリカを0.1~10質量%含有する請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
【請求項4】
更に、(E)界面活性剤を0.1~5質量%含有する請求項1~3のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【請求項5】
(E)界面活性剤が、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤である請求項4記載の歯磨剤組成物。
【請求項6】
(B)及び(C)成分以外の有機粘結剤の含有量が0~0.5質量%である請求項1~5のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続的かつ高い口腔内清浄感を与え、また、使用性も良い歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤組成物を使用して歯を磨く行為は、虫歯、歯周病等の口腔内疾患や口臭の予防目的の他に、口腔内のすっきりとした清浄感を期待して行われることも多い。
歯磨剤組成物には、歯磨き時に冷涼感が得られるよう、メントールやミント油といった香料等の清涼剤やメンチルラクテート等の冷感剤が配合されることがある。近年では、強い冷感を発揮する冷感剤の開発も活発であり、N-置換-p-メンタン-カルボキサミド等が広く知られている。前記の清涼剤や冷感剤は、歯磨き中やすすぎ直後の冷涼感付与に効果があることが認められている。
【0003】
特許文献1~6(特開2014-125440号公報、特開2015-182983号公報、特開2016-102076号公報、特表2014-507440号公報、特表2012-508741号公報、特表2011-520925号公報)には、冷涼化又は清涼化剤のN-置換-p-メンタン-カルボキサミドによって清涼感やサッパリ感が改善した口腔用組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-125440号公報
【文献】特開2015-182983号公報
【文献】特開2016-102076号公報
【文献】特表2014-507440号公報
【文献】特表2012-508741号公報
【文献】特表2011-520925号公報
【文献】特開2012-97057号公報
【文献】特開2009-149540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、口腔内のすっきりとした清浄感を満足させるためには、まだ改善の余地があり、特に持続感においては課題があり十分とは言えなかった。清涼剤や冷感剤の配合量を多くすると、ある程度の冷涼感の向上は可能であるが、口腔内の刺激感や、味等による違和感が強くなり、良好な清浄感とはならないこともあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、持続的かつ高い口腔内清浄感を与え、また、使用性も良い歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定のN-置換-p-メンタン-カルボキサミドを特定量配合した歯磨剤組成物に、キサンタンガムの特定量とポリアクリル酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種以上とを特定割合で併用して配合すると、口腔内清浄感の付与効果が高まりその持続感が向上すること、また、使用性を維持することもできることを知見した。即ち、本発明では、(A)N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミドを0.00001~0.01質量%、(B)キサンタンガムを1.4~2.5質量%、及び(C)ポリアクリル酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、(B)/(C)が質量比として6~20である歯磨剤組成物によって、持続的かつ高い口腔内清浄感を与え、また、歯ブラシに載せやすく違和感もない良好な使用性を保持し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
N-置換-p-メンタン-カルボキサミドによる口腔内への清浄感付与効果は十分ではないが、本発明では、(A)成分に(B)及び(C)成分を組み合わせると、(B)/(C)の質量比が特定範囲内において、歯磨剤として良好な使用性を保持して優れた口腔内清浄感付与効果を奏する。本発明の作用効果は、(A)成分に(B)及び(C)成分の併用系を組み合わせることによってのみ得られる格別な作用効果であり、(A)、(B)又は(C)成分を欠く場合、あるいは(A)、(B)及び(C)成分を含んでいても、(A)及び(B)成分の含有量が不適切であったり、(B)/(C)の質量比が不適切である場合は作用効果が劣る。
後述の比較例にも示すように、(A)成分と共に(C)成分を含み、(B)成分を欠くと、(B)成分や(C)成分と同様に有機粘結剤成分として知られているカルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでいても、口腔内清浄感が劣った(比較例1、5)。更に、(A)成分に代えて、冷涼剤であっても不適切なN-置換-p-メンタンカルボキサミドやメンチルラクテートを使用すると、(B)及び(C)成分を含んでいても口腔内清浄感が持続しなかった(比較例8、9)。また、(A)及び(B)成分を含み、(C)成分を欠くと、無機粘結剤の増粘性シリカを含んでいても歯ブラシに載せ難く、使用性を保って口腔内清浄感を改善できなかった(比較例10)。
更に詳述すると、本発明は、歯磨き後の口腔内の優れた清浄感、特に清浄感の持続には、適切な清浄感付与成分の選択のみならず、歯磨剤組成も深く関係するとの観点から検討を行った。その結果、清浄感付与剤として(A)成分を特定量で使用し、これに、歯磨剤成分として、粘結剤である(B)成分を特定量以上使用するとともに(C)成分を特定割合で併用した粘結剤系を組み合わせることで、上記した特異的かつ格別な作用効果を得ることができた。この場合、(A)成分に(B)成分を特定量配合することによる泡質が関与して(A)成分の持つ冷涼感が増強し、これによって持続的かつ優れた口腔内清浄感を与え、更に(C)成分を配合することによって、(A)及び(B)成分の併用系で歯ブラシにも載せやすい良好な使用性を保つこともできたと推測される。
【0009】
なお、特許文献7、8(特開2012-97057号公報、特開2009-149540号公報)は、キサンタンガムの使用による歯磨組成物の使用中の泡性能や口腔内分散性の改善であり、すすぎ後の口腔内清浄感について言及もない。特許文献1~6、更には特許文献7、8から、本発明の(A)成分に(B)及び(C)成分を特定量及び割合で組み合わせることによる持続的かつ優れた口腔内清浄感の付与は予測できない。
【0010】
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド 0.00001~0.01質量%、
(B)キサンタンガム 1.4~2.5質量%
及び
(C)ポリアクリル酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種以上
を含有し、(B)/(C)が質量比として6~20である歯磨剤組成物。
〔2〕
(C)成分を0.1~0.3質量%含有する〔1〕に記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
更に、(D)増粘性シリカを0.1~10質量%含有する〔1〕又は〔2〕に記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
更に、(E)界面活性剤を0.1~5質量%含有する〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
(E)界面活性剤が、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤である〔4〕に記載の歯磨剤組成物。
〔6〕
(B)及び(C)成分以外の有機粘結剤の含有量が0~0.5質量%である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、持続的かつ高い口腔内清浄感を与え、また、使用性も良い歯磨剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の歯磨剤組成物は、(A)N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、(B)キサンタンガム、及び(C)ポリアクリル酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種以上を含有し、(B)/(C)の質量比が特定割合であることを特徴とする。
【0013】
(A)N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミドは、口腔内清浄感の付与作用を奏する。
(A)成分の配合量は、組成物全体の0.00001~0.01%(質量%、以下同様)であり、好ましくは0.0001~0.005%である。配合量が0.00001%に満たないと口腔内清浄感が劣る。0.01%を超えると、口腔内の違和感や刺激感が強くなることがある。
【0014】
(B)キサンタンガムの配合量は、組成物全体の1.4~2.5%であり、好ましくは1.6~2.0%である。配合量が1.4%に満たないと、口腔内清浄感が劣る。2.5%を超えると、口腔内清浄感が低下する。
【0015】
(C)成分は、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムであり、いずれかを単独で用いても、効果発現の点で両者を併用してもよい。
(C)成分の配合量は、後述の(B)/(C)が適切となるよう設定されるが、組成物全体の0.1~0.3%が好ましい。0.1%以上であると、歯ブラシへの載せやすさが十分に良く、0.3%以下であると、曳糸性を十分良好に維持できる。
【0016】
本発明では、(B)及び(C)成分の量比が特定範囲内であると、歯ブラシへの載せやすさを良好に保って持続的かつ優れた口腔内清浄感を付与できる。
この場合、(B)成分と(C)成分との配合割合を示す(B)/(C)は、質量比として6~20であり、好ましくは6~15、より好ましくは6~10である。(B)/(C)の質量比が6に満たないと、歯ブラシへの載せやすさが劣り、また、口腔内清浄感が低下することがあり、20を超えると、歯ブラシへの載せやすさが劣る。
【0017】
本発明では、更に、無機粘結剤として(D)増粘性シリカを配合することが好ましい。(D)増粘性シリカを配合すると、(B)キサンタンガムの増量に起因する曳糸性の悪化がより抑えられ、歯ブラシへの載せやすさがより向上する。
【0018】
(D)増粘性シリカを配合する場合、その配合量は組成物全体の0.1~10%が好ましく、より好ましくは0.5~8%、更に好ましくは1~8%である。多く配合し過ぎると、歯ブラシへの載せやすさが劣る場合がある。
【0019】
本発明では、更に、(B)及び(C)成分(キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウム)以外の有機粘結剤は配合しなくてもよいが、本発明の効果を妨げない範囲であれば配合することもできる。
具体的には、(B)及び(C)成分以外の有機粘結剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、カーボポール、アルギン酸プロピレングリコール等が挙げられる。これら有機粘結剤を配合する場合、その配合量は、0.5%以下であることが好ましい。配合せず0%であってもよい。
【0020】
本発明では、更に、(E)界面活性剤を配合することが好ましく、(E)界面活性剤を配合すると、発泡性が適度に高まることによって口腔内清浄感がより向上する。
【0021】
(E)界面活性剤としては、特にアニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩等のN-アシルタウリン塩、アシルサルコシン塩、N-アシル-L-グルタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。中でも、泡立ち、泡質の良さの点で、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩である。前記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。
【0022】
アルキル硫酸塩は、アルキル基の炭素数が好ましくは12~14であり、具体的には、アルキル硫酸塩としてラウリル硫酸ナトリウム、ミリストイル硫酸ナトリウムが挙げられる。
α-オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が14~16のα-オレフィンスルホン酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を用いることができ、中でも炭素数14のα-オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。これらは口腔用製剤に使用可能な市販品を入手することができ、例えばライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の商品名「KリポランPJ-400CJ」を使用し得る。
【0023】
(E)界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1~5%が好ましく、より好ましくは0.5~2.5%、更に好ましくは1.0~2.0%である。
なお、(E)界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤、両性活性剤等を組成物全体の5%以下の範囲で配合してもよい。アニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を併用して配合する場合は、本発明の効果を妨げない範囲で用いることが好ましく、アニオン性界面活性剤以外の上記界面活性剤の配合量は組成物全体の4.5%以下、特に3%以下が好ましく、また、配合せず0%であってもよい。
【0024】
本発明の歯磨剤組成物は、ペースト状、液体等の液状などの形態にして、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の様々な剤型にすることが可能であるが、好ましくは練歯磨であり、また、通常の方法で調製できる。更に、上記成分に加えて、通常、歯磨剤組成物に使用されている公知成分を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合できる。配合できる任意成分としては、研磨剤、湿潤剤、甘味剤、防腐剤、pH調整剤、香料、薬効成分等が挙げられる。
【0025】
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤;沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のシリカ系研磨剤;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ハイドロキシアパタイトが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。これらの中では、特に沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のケイ酸塩を主成分とするシリカ系研磨剤や炭酸カルシウム系研磨剤、とりわけ沈降性シリカ等のシリカ系研磨剤が好ましい。
【0026】
研磨剤、特に沈降性シリカは、粒径が1~40μmである研磨粒子が好ましく、また更に、BET比表面積は1gあたり80~250平方メートルであることが好ましい。前記粒径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)による測定値である。
このようなシリカ系研磨剤としては、市販品を使用でき、例えば、HUBER社製のZeodent124、Zeodent113、Rhodia社製のTIXOSIL 73、TIXOSIL 63、Degussa社製のSident 3、Sident 20、多木化学(株)製のジルコノシリケート、アルミノシリケート等が挙げられる。
【0027】
また、研磨剤は顆粒状であってもよく、研磨性を有する成分として、顆粒を配合できる。顆粒としては、水不溶性粉体を顆粒状に形成させた粒子であり、シリカゲルを破砕した顆粒や粒状化に結合剤を用いた造粒物でもよい。
研磨剤の配合量は、組成物全体の8~70%、特に10~50%が好ましい。
【0028】
湿潤剤としては、ソルビット、キシリット等の糖アルコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが挙げられる。配合量は通常、組成物全体の5~50%、特に20~45%である。
【0029】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸等の有機酸やその塩類;塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機化合物が挙げられる。
【0030】
香料としては、公知の口腔用香料、例えばメントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等が挙げられる。
【0031】
薬効成分としては、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸塩等の抗炎症剤;塩化ナトリウム、ビタミン類、アラントイン類等の細胞賦活剤;イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤;銅クロロフィル、グルコン酸銅等の水溶性銅化合物;ゼオライト等の歯石予防剤;ビタミンE等の血行促進剤;アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類を配合できる。なお、薬効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0032】
更に、任意成分として、雲母チタン、酸化チタン、ベントナイト等の無機化合物;結晶性セルロース等のセルロース系の有機粉末;寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子化合物;ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン末、ポリエチレン末等の合成高分子化合物又はそれらの共重合体;カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、シリコーン、天然ゴムなどを、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0034】
[実施例、比較例]
表1~3に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を常法によって調製して通常のラミネートチューブ容器に充填した。これらをサンプルとして用い、下記方法で評価した。結果を表1~3に併記した。
【0035】
評価方法
被験者4名によって評価を行った。
歯ブラシ(クリニカアドバンテージ歯ブラシ、4列コンパクトふつうタイプ、ライオン(株)製)にサンプルの歯磨剤組成物1gを載せ、3分間歯磨きを行った。
口腔内清浄感については、歯磨きして口腔内を水ですすぎ、直後と、すすぎ後30分間経過後の口腔内清浄感を、それぞれ下記の評点基準で判定した。なお、ここで、口腔内清浄感とは、口腔内の汚れが落ちたと感じるすっきりとした感覚である。
歯磨き中の口腔内の違和感(味の悪さや刺激感に起因する違和感)については、下記の評点基準で判定した。
歯ブラシへの載せやすさについては、チューブ容器からサンプルを歯ブラシ上に押し出した際の載せやすさを下記の評点基準で判定した。サンプルの物性により曳糸したり、サンプルの保形性が高すぎて歯ブラシから落ちそうになったりするかについて判定し、これらがないものを載せやすいと判断した。
これら判定結果は、それぞれ平均値を求めて下記に示す評価基準に基づいて評価した。
【0036】
<口腔内清浄感(すすぎ直後、すすぎ後30分間経過後)>
評点基準
5:非常に感じた
4:感じた
3:やや感じた
2:どちらともいえない
1:感じなかった
評価基準
◎:4人の平均点が4点以上
○:4人の平均点が3点以上4点未満
△:4人の平均点が2点以上3点未満
×:4人の平均点が2点未満
【0037】
<口腔内の違和感>
評点基準
5:感じなかった
4:どちらともいえない
3:やや感じた
2:感じた
1:強く感じた
評価基準
◎:4人の平均点が4.5点以上
○:4人の平均点が4点以上4.5点未満
△:4人の平均点が2点以上4点未満
×:4人の平均点が2点未満
【0038】
<歯ブラシへの載せやすさ>
評点基準
5:非常に載せやすい
4:載せやすい
3:どちらともいえない
2:載せにくい
1:非常に載せにくい
評価基準
◎:4人の平均点が4点以上
○:4人の平均点が3点以上4点未満
△:4人の平均点が2点以上3点未満
×:4人の平均点が2点未満
【0039】
使用原料の詳細を下記に示す。
(A)N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチル
シクロヘキサンカルボキサミド:エバクール180(ジボダンジャパ
ン(株)製)
メンチルラクテート(比較品):フレスコラットML(シムライズ(株)製)
N-エチル-p-メンタンカルボキサミド(比較品):WS-3(登録商標、ジボダンジャパン(株)製)
(B)キサンタンガム:モナートガムDA(CPケルコ社製)
(C)ポリアクリル酸ナトリウム:レオジック260H(東亞合成(株)製)
(C)アルギン酸ナトリウム:キミカアルギン((株)キミカ社製)
カルボキシメチルセルロースナトリウム(比較品):CMC1260(ダイセルファインケム(株)製)
ポリビニルピロリドン(比較品):ルビスコールK30(BASF社製)
(D)増粘性シリカ:Carplex#67(DSLジャパン社製)
(E)ラウリル硫酸ナトリウム:Texapon(BASF社製)
【0040】
【0041】
【0042】