(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/287 20210101AFI20220524BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220524BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20220524BHJP
【FI】
H01M50/287
H01M50/204 401H
H01M50/342 101
(21)【出願番号】P 2020133968
(22)【出願日】2020-08-06
(62)【分割の表示】P 2016207928の分割
【原出願日】2016-10-24
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】▲つる▼田 彰吾
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-277795(JP,A)
【文献】特開2016-110790(JP,A)
【文献】特開2015-195137(JP,A)
【文献】特開2015-195150(JP,A)
【文献】特開2015-159024(JP,A)
【文献】特開2015-201288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/287
H01M 50/204
H01M 50/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
基板、リレー及びヒューズのうちの少なくとも1つを有する電気機器と、
前記蓄電素子及び前記電気機器の間であって、前記蓄電素子と隣り合う位置に配置される第一壁部と、
前記第一壁部から前記電気機器に向かう方向に突出し、かつ、前記第一壁部に沿って環状に配置されて
、前記電気機器側に開口を形成している第二壁部とを備え、
前記電気機器は、
前記第一壁部及び前記第二壁部に対して固定されており、かつ、前記第二壁部との間に隙間が形成された状態で前記開
口を塞ぐように配置されて、前記第一壁部との間に空間を形成し、
前記隙間における前記電気機器と前記第二壁部との間の距離は、前記空間における前記電気機器と前記第一壁部との間の距離よりも小さい
蓄電装置。
【請求項2】
前記蓄電素子は、電極端子を有し、
前記電気機器は、前記蓄電素子の前記電極端子が配置される側に配置されて、前記第一壁部との間に空間を形成する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電素子は、ガス排出弁を有し、
前記電気機器は、前記蓄電素子の前記ガス排出弁が配置される側に配置されて、前記第一壁部との間に空間を形成する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
さらに、前記第一壁部とで前記電気機器を挟む位置に配置され、前記電気機器との間に空間を形成しつつ前記電気機器を覆うカバー部材を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第二壁部は、前記電気機器の前記第一壁部側の面に対向し且つ当該面と当接する面が形成された当接部を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記電気機器と当接する弾性部材を有する
請求項5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記当接部は、前記電気機器を支持する2つの支持部の間に配置される
請求項5または6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記当接部は、前記電気機器の外周に沿って環状に配置される
請求項5~7のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
さらに、前記第一壁部に固定され、前記電気機器を支持する支持部を備える
請求項1~
8のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と電気機器とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と、基板等の電気機器とを備えた構成の蓄電装置が広く知られている。このような蓄電装置において、従来、蓄電素子からの排気を蓄電装置の外方に導く流路を形成し、当該排気の熱が電気機器(基板)に与える影響を低減する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の蓄電装置では、蓄電素子からの熱を蓄電装置の外方に導くことで、当該熱が電気機器に与える影響を低減しているが、当該熱が電気機器に与える影響をさらに低減したいという要望がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蓄電素子からの熱が電気機器に与える影響を低減することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、基板、リレー及びヒューズのうちの少なくとも1つを有する電気機器と、前記蓄電素子及び前記電気機器の間であって、前記蓄電素子と隣り合う位置に配置される第一壁部と、前記第一壁部から前記電気機器に向かう方向に突出し、かつ、前記第一壁部に沿って環状に配置されて、前記第一壁部側には開口を形成することなく前記電気機器側に開口を形成している第二壁部とを備え、前記電気機器は、前記開口を塞ぐように配置されて、前記第一壁部との間に空間を形成し、前記電気機器及び前記第一壁部の並び方向から見て前記電気機器は前記開口の全体を覆い、かつ、前記電気機器と前記第二壁部との間には、隙間が形成されている。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、蓄電素子と電気機器との間に第一壁部が配置されており、第一壁部から突出した第二壁部が形成する開口を電気機器が塞ぐように配置されて、第一壁部との間に空間を形成している。これにより、当該空間内の空気が蓄電素子からの熱で熱せられても、電気機器が当該空間の開口を塞ぐように配置されているため、当該空間内の熱せられた空気が当該空間外へ流出するのを抑制することができる。この結果、当該熱せられた空気が電気機器の表側に回り込むのを抑制することができるため、蓄電素子からの熱が電気機器に与える影響を低減することができる。
【0008】
また、前記電気機器と前記第二壁部との間の距離は、前記電気機器と前記第一壁部との間の距離よりも小さいことにしてもよい。
【0009】
これによれば、電気機器は、第二壁部との間の距離が、第一壁部との間の距離よりも小さくなるように配置されているため、電気機器と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。このため、当該熱せられた空気が電気機器の表側に回り込むのを抑制することができ、蓄電素子からの熱が電気機器に与える影響を低減することができる。
【0010】
また、さらに、前記第一壁部に固定され、前記電気機器を支持する支持部を備えることにしてもよい。
【0011】
これによれば、電気機器を支持する支持部が第一壁部に固定されている構成であるため、第一壁部が、蓄電素子からの熱が電気機器に与える影響を低減する機能と、電気機器を支持する機能との2つの機能を有している。
【0012】
また、前記第二壁部は、前記電気機器の前記第一壁部側の面と当接する当接部を有することにしてもよい。
【0013】
これによれば、第二壁部は、電気機器の第一壁部側の面と当接する当接部を有しているため、当接部において、電気機器と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。このため、当該熱せられた空気が電気機器の表側に回り込むのを抑制することができ、蓄電素子からの熱が電気機器に与える影響を低減することができる。
【0014】
また、前記当接部は、前記電気機器と当接する弾性部材を有することにしてもよい。
【0015】
これによれば、当接部において、電気機器と当接する弾性部材が設けられていることで、電気機器と第二壁部とを密着させることができるため、電気機器と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのをさらに抑制することができる。
【0016】
また、前記当接部は、前記電気機器を支持する2つの支持部の間に配置されることにしてもよい。
【0017】
これによれば、当接部は、電気機器を支持する2つの支持部の間に配置されているため、当該2つの支持部で電気機器を固定することで、当接部において電気機器と第二壁部とを容易に密着させることができる。このため、電気機器と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。
【0018】
また、前記当接部は、前記電気機器の外周に沿って環状に配置されることにしてもよい。
【0019】
これによれば、当接部が、電気機器の外周に沿って環状に配置されているため、電気機器の外周における電気機器と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。
【0020】
なお、本発明は、蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える電気機器への熱影響低減構造(電気機器に対する第一壁部及び第二壁部の構成)としても実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電素子からの熱が電気機器に与える影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る保持部材の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る保持部材、基板及びカバー部材の構成及び位置関係を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る保持部材、基板及びカバー部材を組み付けた場合の構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る保持部材、基板及びカバー部材が組み付けられた状態での構成を示す断面図である。
【
図7】実施の形態の変形例に係る保持部材、基板及びカバー部材が組み付けられた状態での構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及びその変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0024】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体本体と蓋との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
【0025】
(実施の形態)
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電装置1の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0026】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置1は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0027】
ここで、
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、第一外装体11及び第二外装体12からなる外装体10と、外装体10内方に収容される複数の蓄電素子20、複数のバスバー30、70、保持部材40、基板50及びカバー部材60とを備えている。
【0028】
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、複数の蓄電素子20、バスバー30、70、保持部材40、基板50及びカバー部材60等の外方に配置され、これら蓄電素子20等を所定の位置に配置し、衝撃などから保護する。また、外装体10は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁
材料により構成されている。外装体10は、これにより、蓄電素子20等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0029】
ここで、外装体10は、外装体10の蓋体(外蓋)を構成する第一外装体11と、外装体10の本体を構成する第二外装体12とを有している。第一外装体11は、第二外装体12の開口を閉塞する扁平な矩形状の部材であり、正極外部端子13と負極外部端子14とが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子13と負極外部端子14とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。また、第二外装体12は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。
【0030】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、12個の蓄電素子20がX軸方向に配列されている。なお、蓄電素子20の形状や、配列される蓄電素子20の個数は限定されない。また、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0031】
ここで、蓄電素子20は、金属製の容器21を備え、容器21の蓋部分には、金属製の電極端子(正極端子22及び負極端子23)と、ガス排出弁24とが設けられている。ガス排出弁24は、容器21内方にガスが発生して圧力が上昇したときに、当該ガスを排出して圧力を開放する安全弁である。また、容器21の内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0032】
バスバー30は、複数の蓄電素子20上に配置され、複数の蓄電素子20の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。また、バスバー70は、保持部材40上に配置され、バスバー30と正極外部端子13及び負極外部端子14とを電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー30、70は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0033】
本実施の形態では、バスバー30は、蓄電素子20を3個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続する。また、バスバー70は、正極外部端子13側(
図2ではX軸方向プラス側)に配置された蓄電素子群内の3個の蓄電素子20の正極端子22と、正極外部端子13とを接続する。さらに、バスバー70は、負極外部端子14側(
図2ではX軸方向マイナス側)に配置された蓄電素子群内の3個の蓄電素子20の負極端子23と、負極外部端子14とを接続する。
【0034】
基板50は、保持部材40上に載置されて、保持部材40に固定される制御基板である。基板50は、配線等によって複数の蓄電素子20に接続され、当該複数の蓄電素子20の状態を取得し、監視し、制御する。具体的には、基板50は、制御回路(図示せず)が設けられ、複数の蓄電素子20の充電状態や放電状態、電圧値、電流値、温度などの各種情報を取得したり、リレーのオン、オフを制御したり、他の機器と通信を行ったりする。なお、基板50は、電気機器の一例である。この基板50の構成の詳細な説明については、後述する。
【0035】
保持部材40は、基板50及びバスバー70や、その他リレーなどの電装部品、配線類等(図示せず)を保持し、当該基板50及びバスバー70等と他の部材との絶縁、及び、当該基板50及びバスバー70等の位置規制を行うことができる電装品トレーである。ま
た、保持部材40は、外装体10の内方で第一外装体11(外蓋)の下方、かつ、蓄電素子20を上方から覆う位置に配置されているため、外装体10の内蓋の機能も有している。保持部材40は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により形成されている。
【0036】
具体的には、保持部材40は、蓄電素子20及びバスバー30の上方(Z軸方向プラス側)に載置され、蓄電素子20及びバスバー30に対して位置決めされる。また、保持部材40上に、基板50、カバー部材60及びバスバー70等が載置されて位置決めされる。また、保持部材40上に、第一外装体11が配置されて位置決めされる。これにより、基板50が配線等に対して位置決めされて接続され、バスバー70がバスバー30と正極外部端子13及び負極外部端子14とに対して位置決めされて接続される。保持部材40の構成の詳細な説明については、後述する。
【0037】
カバー部材60は、保持部材40上に載置された基板50を覆うように配置されて、基板50を保護する部材である。具体的には、カバー部材60は、基板50の周囲及び上方を覆うように保持部材40上に配置されて、保持部材40に取り付けられる。カバー部材60は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により形成されている。カバー部材60の構成の詳細な説明については、後述する。
【0038】
次に、保持部材40の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る保持部材40の構成を示す斜視図である。
【0039】
同図に示すように、保持部材40は、保持部材本体41と、保持部材壁部42と、基板支持部43と、基板位置決め部44と、カバー部材支持部45とを備えている。本実施の形態では、保持部材40は、保持部材本体41、保持部材壁部42、基板支持部43、基板位置決め部44及びカバー部材支持部45が一体に形成された一体成形品である。なお、これらの部位のうちのいずれかの部位が、別体で形成されていてもかまわない。
【0040】
保持部材本体41は、保持部材40の本体を構成する全体として矩形状かつ平板状の部位である。ここで、保持部材本体41は、中央位置に、第一壁部41aを有している。第一壁部41aは、蓄電素子20及び基板50の間に配置される矩形状かつ平板状の部位である。つまり、第一壁部41aは、基板50に対応する位置に配置された、上面視で(Z軸方向から見て)基板50に対応する形状の部位であり、裏面(Z軸方向マイナス側の面)が複数の蓄電素子20に対向し、表面(Z軸方向プラス側の面)が基板50に対向して配置される。
【0041】
保持部材壁部42は、保持部材本体41の上面から上方(Z軸方向プラス側)に突出した壁である。具体的には、保持部材壁部42は、第一壁部41aの外周の4辺から上方に突出した上面視で矩形状かつ環状の部位であり、基板50の外周を囲うように配置される。また、保持部材壁部42は、段差部42aを有している。段差部42aは、保持部材壁部42の外周部分から内方に向けて突出した段差状(階段状)の部位であり、保持部材壁部42の内周の全周に亘って環状に配置されている。つまり、段差部42aは、保持部材壁部42の内周において1段下がった位置に配置された部位である。
【0042】
ここで、保持部材壁部42は、外周部分の一部が欠けた形状を有しているが、この欠けた部分の周囲に、後述するカバー部材60のカバー部材壁部62が配置される。つまり、保持部材壁部42は、カバー部材壁部62とともに、第一壁部41aから基板50に向かう方向に突出した環状の壁部(以下、第二壁部という)を構成する。このように、当該第二壁部は、第一壁部41aに沿って環状に配置されて、矩形状の開口42bを形成している。
【0043】
基板支持部43は、第一壁部41aに固定され、基板50を支持する部位である。具体的には、基板支持部43は、第一壁部41aの四隅に4つ配置されており、それぞれの基板支持部43には、貫通孔が形成されている。また、基板支持部43は、上面が段差部42aの上面よりも高い位置に配置されており、この基板支持部43の上面に基板50が載置されて固定される。この基板支持部43に基板50が固定される構成の詳細な説明については、後述する。
【0044】
基板位置決め部44は、第一壁部41aに固定され、基板50を位置決めする突起状の部位である。具体的には、基板位置決め部44は、第一壁部41aのY軸方向マイナス側のX軸方向両端に配置された略円柱形状の突起であり、後述の基板50の貫通孔51bに挿入されて、基板50を位置決めする。
【0045】
カバー部材支持部45は、第一壁部41aの外側に配置され、カバー部材60を支持し固定する部位である。具体的には、カバー部材支持部45は、第一壁部41aのX軸方向両外側及びY軸方向両側に4つ配置されており、それぞれのカバー部材支持部45には、貫通孔が形成されている。このカバー部材支持部45の上面にカバー部材60が載置されて固定される。このカバー部材支持部45にカバー部材60が固定される構成の詳細な説明については、後述する。
【0046】
次に、基板50及びカバー部材60の構成、及び、保持部材40、基板50及びカバー部材60が組み付けられる(組み合わせられる)構成について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る保持部材40、基板50及びカバー部材60の構成及び位置関係を示す斜視図である。また、
図5は、本実施の形態に係る保持部材40、基板50及びカバー部材60を組み付けた場合の構成を示す斜視図である。なお、同図の(a)は、保持部材40に基板50を組み付けた場合の構成を示し、同図の(b)は、同図の(a)の構成にカバー部材60を組み付けた場合の構成を示している。
【0047】
まず、
図4に示すように、基板50は、電子部品52が実装された矩形状かつ平板状の実装基板である基板本体51と、基板本体51に取り付けられたコネクタ53とを備えている。コネクタ53は、外部と通信を行ったり、複数の蓄電素子20と接続されて当該蓄電素子20の状態を取得したりするためのコネクタであり、基板本体51のY軸方向マイナス側の上面に取り付けられている。
【0048】
また、同図では、基板本体51の表側に2つの電子部品52が実装されているように図示しているが、基板本体51には、表側に多くの電子部品が実装されている。なお、基板本体51には、裏側にも電子部品が実装されているが、表側の方に多くの、かつ熱の影響を受けやすい電子部品が実装されている。
【0049】
また、基板本体51の四隅の基板支持部43と対応する位置に、4つの貫通孔51aが形成されるとともに、2つの基板位置決め部44と対応する位置に、2つの貫通孔51bが形成されている。この2つの貫通孔51bに2つの基板位置決め部44が挿入されることで基板50が保持部材40に対して位置決めされる。そして、4つの貫通孔51aのそれぞれと4つの基板支持部43の貫通孔のそれぞれとに樹脂製の固定部材81が挿入されて、固定部材81が熱でかしめられることによって、基板50が保持部材40に固定される。
【0050】
この結果、基板50が第一壁部41aの上方かつ保持部材壁部42の内側に配置されて、
図5の(a)に示すように、保持部材40に基板50が組み付けられた状態となる。なお、基板50の保持部材40への固定方法は、熱かしめには限定されず、ネジ締め、嵌合構造または接着剤での固定など、どのようなものであってもかまわない。ただし、熱かしめを行うことで、基板50の貫通孔51aの部分と基板支持部43との密着性及び気密性の向上を図ることができる。
【0051】
図4に戻り、カバー部材60は、カバー部材本体61と、カバー部材壁部62と、カバー部材固定部63とを備えている。本実施の形態では、カバー部材60は、カバー部材本体61、カバー部材壁部62及びカバー部材固定部63が一体に形成された一体成形品である。なお、これらの部位のうちのいずれかの部位が、別体で形成されていてもかまわない。
【0052】
カバー部材本体61は、カバー部材60の本体を構成する全体として矩形状かつ平板状の部位であり、基板50の上面を覆うように、基板50の上方に配置される。
【0053】
カバー部材壁部62は、カバー部材本体61の周囲から下方(Z軸方向マイナス側)に突出した壁である。具体的には、カバー部材壁部62は、カバー部材本体61の外周の3辺(4辺のうちのY軸方向マイナス側の1辺を除く3辺)から下方に突出した部位であり、基板50の周囲に配置される。
【0054】
これにより、上述の通り、カバー部材壁部62は、保持部材壁部42とともに、矩形状の開口42bを形成する環状の第二壁部を構成する。つまり、第二壁部は、保持部材壁部42のみの壁と、カバー部材壁部62のみの壁と、保持部材壁部42及びカバー部材壁部62の二重の壁とを有し、基板50の外周を囲うように配置される。この構成によって、基板50は、第二壁部が形成する開口42bを塞ぐように配置されることとなる。
【0055】
カバー部材固定部63は、カバー部材壁部62のX軸方向両側の壁のY軸方向両端から外方へ突出した矩形状かつ平板状の部位であり、保持部材40のカバー部材支持部45に固定される。具体的には、カバー部材60の四隅に4つのカバー部材固定部63が配置されており、それぞれのカバー部材固定部63には、貫通孔が形成されている。そして、この4つのカバー部材固定部63の貫通孔のそれぞれと4つのカバー部材支持部45の貫通孔のそれぞれとに樹脂製の固定部材82が挿入されて、固定部材82が熱でかしめられることによって、カバー部材60が保持部材40に固定される。
【0056】
この結果、カバー部材壁部62が基板50の周囲に配置されて、
図5の(b)に示すように、保持部材40にカバー部材60が組み付けられた状態となる。なお、カバー部材60の保持部材40への固定方法は、熱かしめには限定されず、ネジ締め、嵌合構造または接着剤での固定など、どのようなものであってもかまわない。
【0057】
次に、保持部材40、基板50及びカバー部材60が組み付けられた状態での構成について、詳細に説明する。
図6は、本実施の形態に係る保持部材40、基板50及びカバー部材60が組み付けられた状態での構成を示す断面図である。具体的には、
図6の(a)は、
図5の(b)に示した構成をVIa-VIa線(固定部材81を通る線)を含むXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示す図である。また、
図6の(b)は、
図5の(b)に示した構成をVIb-VIb線(固定部材82を通る線)を含むXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示す図である。また、
図6の(c)は、
図5の(b)に示した構成をVIc-VIc線(Y軸方向の中央位置を通る線)を含むXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示す図である。なお、
図6の(a)~(c)には、蓄電素子20も図示している。
【0058】
上述の通り、基板50は、第二壁部が形成する開口42bを塞ぐように配置されて、
図6の(a)~(c)に示すように、第一壁部41aとの間に空間S1を形成する。ここで
、基板50は、第二壁部を構成する保持部材壁部42及びカバー部材壁部62と近接して(近傍に)配置される。具体的には、基板50と第二壁部との間の距離は、基板50と第一壁部41aとの間の距離よりも小さい。
【0059】
つまり、
図6の(a)においては、基板50は、X軸方向の両端部が保持部材壁部42と近接して配置され、かつ、X軸方向の両側において保持部材40の基板支持部43に当接して配置されて、空間S1が形成されている。そして、基板50と保持部材壁部42との間の距離D1は、基板50と第一壁部41aとの間の距離D2よりも小さい。
【0060】
また、
図6の(b)においては、基板50は、X軸方向マイナス側の端部が保持部材壁部42と近接して配置され、かつ、X軸方向プラス側の端部がカバー部材壁部62と近接して配置されて、空間S1が形成されている。また、基板50は、X軸方向の両側において、保持部材壁部42の段差部42aに近接して配置されている。そして、基板50と保持部材壁部42との間の距離D3、及び、基板50とカバー部材壁部62との間の距離D4は、基板50と第一壁部41aとの間の距離D5よりも小さい。
【0061】
また、
図6の(c)においては、基板50は、X軸方向マイナス側の端部がカバー部材壁部62と近接して配置され、かつ、X軸方向プラス側の端部が保持部材壁部42と近接して配置されて、空間S1が形成されている。また、基板50は、X軸方向の両側において、保持部材壁部42の段差部42aに近接して配置されている。そして、基板50とカバー部材壁部62との間の距離D6、及び、基板50と保持部材壁部42との間の距離D7は、基板50と第一壁部41aとの間の距離D8よりも小さい。
【0062】
ここで、
図6の(c)は、蓄電素子20のガス排出弁24の位置で切断した場合の断面図を示しており、この場合の基板50と第一壁部41aとの間の距離D8は、
図6の(a)及び(b)における基板50と第一壁部41aとの間の距離D2及びD5よりも小さい。つまり、基板50と第一壁部41aとの間の距離は、蓄電素子20のガス排出弁24の位置に対応する領域で最も小さくなる。そして、基板50と第二壁部との間の距離は、この最小の距離D8よりも小さい。このため、基板50と第二壁部との間の距離は、基板50と第一壁部41aとの間の距離のうち最小の距離よりも小さい。
【0063】
本実施の形態では、基板50と第二壁部との間の距離は、5~10cm程度の幅の基板50に対して、約2mm以下である。なお、基板50と第二壁部との間の距離が一定ではなく、ばらつきがある場合には、基板50と第二壁部との間の最大距離が、基板50と第一壁部41aとの間の最小距離よりも小さいのが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、基板50と第二壁部との間の平均距離または最小距離が、基板50と第一壁部41aとの間の最小距離よりも小さければよい。
【0064】
なお、
図6の(a)~(c)では、X軸方向において、基板50と第二壁部との間の距離が、基板50と第一壁部41aとの間の距離よりも小さいことを説明したが、Y軸方向においても同様である。つまり、基板50の全周において、基板50と第二壁部との間の距離は、基板50と第一壁部41aとの間の距離よりも小さい。なお、基板50の側方に保持部材壁部42の外周部分もカバー部材壁部62も配置されていない場合には、基板50と段差部42aとの間の距離が、基板50と第二壁部との間の距離となる。
【0065】
また、
図6の(a)及び(c)に示すように、蓄電素子20と第一壁部41aとの間には、空間S2が形成される。ここで、
図6の(c)に示すように、空間S2は、蓄電素子20のガス排出弁24の位置に対応する領域では、蓄電素子20と第一壁部41aとの間の距離D9が、空間S1における上記距離D8よりも大きくなっている。これにより、ガス排出弁24から排出される高温のガスの熱を、空間S2で断熱してから空間S1に伝え
ることができる。
【0066】
なお、その他の領域では、空間S2における当該距離は、空間S1における当該距離よりも小さくなっているが、これには限定されず、全ての領域において、空間S2における当該距離は、空間S1における当該距離よりも大きくなっていてもよい。または、
図6の(c)において、空間S2における距離D9が、空間S1における距離D8よりも小さくなっている構成でもかまわない。
【0067】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、蓄電素子20と、電気機器としての基板50との間に第一壁部41aが配置されており、第一壁部41aから突出した第二壁部が形成する開口42bを基板50が塞ぐように配置されて、第一壁部41aとの間に空間S1を形成している。これにより、空間S1内の空気が蓄電素子20からの熱で熱せられても、基板50が開口42bを塞ぐように配置されているため、空間S1内の熱せられた空気が空間S1外へ流出するのを抑制することができる。これにより、当該熱せられた空気が基板50の表側に回り込むのを抑制することができるため、蓄電素子20からの熱が基板50に与える影響を低減することができる。
【0068】
つまり、本実施の形態では、基板50を保護するためのカバー部材60が設けられているため、基板50が開口42bを塞ぐように配置されておらず開口42bが開放されている場合、空間S1内の熱せられた空気が、基板50の表側(Z軸方向プラス側)に容易に回り込んでしまう。この場合、基板50の表側には、熱に影響を受けやすい電子部品52が多数配置されているため、電子部品52に影響を与えるおそれがある。このため、蓄電装置1によれば、電子部品52が多数配置されている基板50の表側へ熱い空気が回り込まないようにできるため、基板50の表側に配置されている電子部品52へ与えられる熱の影響を低減することができる。
【0069】
また、基板50は、第二壁部との間の距離が、第一壁部41aとの間の距離よりも小さくなるように配置されているため、基板50と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。このため、当該熱せられた空気が基板50の表側に回り込むのを抑制することができ、蓄電素子20からの熱が基板50に与える影響を低減することができる。
【0070】
また、基板50を支持する基板支持部43が第一壁部41aに固定されている構成であるため、第一壁部41aが、蓄電素子20からの熱が基板50に与える影響を低減する機能と、基板50を支持する機能との2つの機能を有している。
【0071】
なお、異常時に、蓄電素子20のガス排出弁24からガスが噴出してしまうと、蓄電装置1全体が壊れてしまうおそれがある。しかし、このような異常時の状態でも、蓄電素子20からの熱が基板50に与える影響を低減することで、蓄電素子20の状態を少しでも長く監視したり保護したりして、蓄電装置1を守ることができる。また、蓄電装置1が破壊される前に、通常時から異常時に遷移するタイミング(少しガスが漏れているような状態)でも、正常に基板50を機能させるための熱対策として有用である。
【0072】
(変形例)
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。
図7は、実施の形態の変形例に係る保持部材40、基板50及びカバー部材60が組み付けられた状態での構成を示す断面図である。なお、同図は、
図6の(c)に対応する図である。
【0073】
図7に示すように、本変形例における保持部材壁部42は、段差部42a上に、基板50と当接する弾性部材42cを有している。本変形例のその他の構成は、上記実施の形態
と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
弾性部材42cは、基板50の第一壁部41a側の面と当接(面接触)する弾性を有する部材であり、少なくとも、隣り合う2つの基板支持部43の間に配置されている。本実施の形態では、弾性部材42cは、基板50の外周に沿って環状に配置されている。つまり、弾性部材42cは、環状の段差部42a上に、段差部42aの全体に亘って配置されている。
【0075】
このような構成により、第二壁部は、基板50の第一壁部41a側の面と当接する当接部を有し、当該当接部は、基板50と当接する弾性部材42cを有していることとなる。また、当該当接部は、基板50を支持する2つの基板支持部43の間に配置され、当該当接部は、基板50の外周に沿って環状に配置されていることとなる。
【0076】
なお、弾性部材42cは、段差部42a及び基板50よりも弾性を有する部材で形成されているのが好ましく、例えば、ゴム、スポンジ、または、段差部42a及び基板50よりも弾性係数またはヤング率が低い樹脂などで形成されている。
【0077】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置においても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、第二壁部は、基板50の第一壁部41a側の面と当接する当接部を有しているため、当該当接部において、基板50と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。このため、当該熱せられた空気が基板50の表側に回り込むのを抑制することができ、蓄電素子20からの熱が基板50に与える影響を低減することができる。
【0078】
また、当該当接部において、基板50と当接する弾性部材42cが設けられていることで、基板50と第二壁部とを密着させることができるため、基板50と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのをさらに抑制することができる。
【0079】
また、当該当接部は、基板50を支持する2つの基板支持部43の間に配置されているため、当該2つの基板支持部43で基板50を固定することで、当該当接部において基板50と第二壁部とを容易に密着させることができる。このため、基板50と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。
【0080】
また、当該当接部が、基板50の外周に沿って環状に配置されているため、基板50の外周における基板50と第二壁部との間から、熱せられた空気が流出するのを抑制することができる。
【0081】
なお、弾性部材42cは、基板50の外周の全周に亘って連続して形成されていなくてもよく、断続的に環状に形成されていてもよいし、環状ではなく、基板50の外周の一部だけに形成されていてもよい。
【0082】
また、保持部材壁部42は、弾性部材42cを有するのではなく、段差部42aが基板50に直接当接(面接触)する構成でもかまわない。つまり、第二壁部は、段差部42aを当接部として有している構成でもよい。なお、この場合にも、段差部42aが基板50に当接する位置は、上述の弾性部材42cが基板50に当接する位置と同様である。
【0083】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許
請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0084】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、基板50は、開口42bを塞ぐように、外周が第二壁部と近接して配置されていることとした。しかし、基板50は、外周の一部または全部が第二壁部と当接して配置されて、開口42bを塞いでいてもよい。または、基板50の外周と第二壁部との間の隙間に、上記変形例で示したような弾性部材等の部材が配置されていてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態及びその変形例では、保持部材壁部42及びカバー部材壁部62は、ともに外周部分の一部が欠けた形状を有しており、保持部材壁部42とカバー部材壁部62とで環状の第二壁部を構成していることとした。しかし、保持部材壁部42は、外周部分が欠けることなく、保持部材壁部42のみで環状の第二壁部を構成している構成でもよく、同様に、カバー部材壁部62の外周部分が欠けておらず、カバー部材壁部62のみで第二壁部を構成している構成でもかまわない。または、保持部材壁部42及びカバー部材壁部62ともに、外周部分が欠けることなく、保持部材壁部42及びカバー部材壁部62で二重の壁部を有する環状の第二壁部を構成している構成でもよい。
【0086】
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電装置は、第二壁部の開口を塞ぐように配置される電気機器として、基板50を備えていることとした。しかし、当該電気機器として、リレー、ヒューズやその他の電気機器が設けられている構成でもかまわない。
【0087】
また、上記実施の形態及びその変形例では、基板50と第二壁部との間の距離は、基板50と第一壁部41aとの間の最小距離よりも小さいこととした。しかし、基板50と第二壁部との間の距離は、基板50と第一壁部41aとの間の平均距離または最大距離よりも小さい構成であればよい。また、基板50と第二壁部との間の距離にもばらつきがある場合には、基板50と第二壁部との間の最大距離、平均距離または最小距離が、基板50と第一壁部41aとの間の最小距離、平均距離または最大距離よりも小さければよい。
【0088】
また、上記実施の形態及びその変形例では、基板50の全周において、基板50と第二壁部との間の距離は、基板50と第一壁部41aとの間の距離よりも小さいこととした。しかし、基板50と第二壁部との間の距離が、基板50と第一壁部41aとの間の距離よりも小さくなっていない箇所が一部あってもかまわない。
【0089】
また、上記実施の形態及びその変形例では、保持部材40が、基板50を支持する基板支持部43を有していることとした。しかし、基板50を支持する支持部を有する部材は保持部材40には限定されず、例えば、カバー部材60が、基板50を支持する支持部を有していることにしてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0091】
なお、本発明は、蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える電気機器への熱影響低減構造(電気機器に対する第一壁部41a及び第二壁部の構成)としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 蓄電装置
20 蓄電素子
41a 第一壁部
42 保持部材壁部
42b 開口
42c 弾性部材
43 基板支持部
50 基板
62 カバー部材壁部