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特許7078098移動型放射線撮影装置、プログラム、方法、制御装置及び放射線撮影システム
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  • 特許-移動型放射線撮影装置、プログラム、方法、制御装置及び放射線撮影システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】移動型放射線撮影装置、プログラム、方法、制御装置及び放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 310
A61B6/00 320Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020206610
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糠信 武志
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007851(JP,A)
【文献】特開2012-110399(JP,A)
【文献】特開2003-290184(JP,A)
【文献】特開2020-039526(JP,A)
【文献】特開2016-112322(JP,A)
【文献】特開2011-152154(JP,A)
【文献】特開2005-312775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影を行う移動型放射線撮影装置であって、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにする制御部を有しており、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする移動型放射線撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影条件の設定が可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項3】
前記撮影条件は照射電流と照射時間とであること、
を特徴とする請求項2に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項4】
前記撮影条件はmAs値を含むこと、
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項5】
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値を下回る前記撮影条件の入力が行われた場合、設定不可である旨を報知する報知部を有すること、
を特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項6】
前記放射線を照射するための放射線源を有すること、
を特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項7】
床面から前記放射線源までの距離の最大値は200cm以下となっていること、
を特徴とする請求項に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項8】
前記制御部は、撮影条件に基づいて前記放射線源を制御すること、
を特徴とする請求項又は請求項に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影条件の設定を不可とすること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項10】
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、前記静止画撮影の単一フレームのmAs値の下限値よりも小さいこと、
を特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項11】
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影を行う移動型放射線撮影装置を制御するプログラムであって、
コンピューターに、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにさせ、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とするプログラム。
【請求項12】
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影を行う移動型放射線撮影装置を制御する方法であって、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにさせるステップを有しており、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする方法。
【請求項13】
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影のための放射線照射を行う放射線照射装置の制御装置であって、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにする制御部を有しており、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする放射線照射装置の制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の制御装置と、放射線を照射するための放射線源とを有すること、
を特徴とする放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型放射線撮影装置、プログラム、方法、制御装置及び放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線検出器、放射線照射装置等を有する放射線撮影システムを用いて放射線撮影を行うためには、放射線照射装置の放射線源に通電する管電流の値と放射線の照射時間の値の積であるmAs値を放射線撮影システムに設定する必要がある。
従来の放射線撮影システムは、例えば特許文献1に記載されているように、操作パネルにユーザー(放射線技師等)が行った操作に応じて(手動で)mAs値を設定するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-70866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影が行われるようになった。
動態撮影における被ばく線量の目安は、フレーム数が異なるものの、静止画撮影の被ばくガイドライン(DRLs)に沿ったものとなっていることが望ましい。動態撮影をDRLsに沿って行うためには、1フレームあたりの線量を、静止画の線量と比べて大幅に小さくする必要がある。
一方、被ばく線量は、放射線源と放射線検出器との距離(SID)が大きいと減少し、SIDが小さいと増加することが知られている。このため、動態撮影においては、SIDをできるだけ大きくとることが望ましい。
しかし、臥位撮影や、回診車を用いた撮影では、撮影室で行う立位撮影ほどのSIDを確保することが困難である。例えばSIDが100cmしか確保できないと、SIDを180cm(撮影室で立位撮影する際の標準的なSID)に設定した場合に比べて、被ばく線量が3倍以上増加し、DRLs大きく超えてしまう可能性が高くなる。
【0005】
また、放射線を照射するための放射線源(管球)は、多量の放射線を発生させると、ヒートユニット値が上限値に達し、それ以降の放射線の照射を行うことができなくなってしまうことがある。
特に回診車の放射線源(管球)のヒートユニット値の上限は、一般的に、撮影室の放射線源のヒートユニット値の上限よりも小さい。
このため、回診車を用いて、撮影室で撮影するときと同じ撮影条件で動態撮影を行うと、放射線源の発熱により、撮影室で撮影するときよりも早い段階でヒートユニット値が上限に達し、それ以降の撮影を行うことが出来なくなってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、放射線源と放射線検出器との距離や放射線源のヒートユニット値の上限に制限がある場合であっても、放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影を、適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る移動型放射線撮影装置は、
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影を行う移動型放射線撮影装置であって、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにする制御部を有しており、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影を行う移動型放射線撮影装置を制御するプログラムであって、
コンピューターに、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにさせ、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る方法は、
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影を行う移動型放射線撮影装置を制御する方法であって、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにさせるステップを有しており、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る制御装置は、
放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影、及び放射線による単一フレームからなる静止画を得るための静止画撮影のための放射線照射を行う放射線照射装置の制御装置であって、
前記動態撮影の場合には前記動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を可能にし、前記静止画撮影の場合には前記静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影を行えないようにする制御部を有しており、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あり、
前記動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、撮影部位、管電圧、放射線源から前記放射線を検出する放射線検出器まで距離、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて決定されること、
を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る放射線撮影システムは、
上記制御装置と、前記放射線を照射するための放射線源とを有すること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射線源と放射線検出器との距離や放射線源のヒートユニット値の上限に制限がある場合であっても、放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影を、適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムを示すブロック図である。
図2図1の放射線撮影システムの一の構成例を示す側面図である。
図3図1の放射線撮影システムの他の構成例を示す側面図である。
図4図1~3の放射線撮影システムが有する撮影制御装置(照射装置制御コンソール)を表すブロック図である。
図5図4の撮影制御装置が実行する撮影準備処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
ただし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態の説明や図面に例示したものに限定されるものではない。
【0015】
<1.放射線撮影システムの構成>
初めに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。図1はシステム100を表すブロック図、図2はシステム100の一の構成例を示す側面図、図3はシステム100の他の構成例を示す側面図、図4はシステム100が有する照射装置制御コンソール31のブロック図、図5図4の撮影制御装置が実行する撮影準備処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
システム100は、例えば図2に示すように、放射線照射装置(以下照射装置1)と、放射線検出器(以下、検出器2)と、コンソール3と、を有する。
また、本実施形態に係るシステム100は、照射指示スイッチ(以下スイッチ4)と、付加装置5と、を更に有する。
なお、システム100は、通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)や、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)と通信可能となっていてもよい。
【0017】
〔1-1.放射線照射装置〕
照射装置1は、放射線照射を行うためのものである。
照射装置1は、放射線制御装置11と、放射線源12と、を有する。
【0018】
放射線制御装置11は、制御部111と、高電圧発生部112と、を有する。
各部111,112は、電気的に接続されている。
【0019】
制御部111は、後述する照射装置制御コンソール31の制御部311(設定部:詳細後述)で設定した撮影条件に基づいて放射線源12を制御するものである。
具体的には、制御部111は、照射装置制御コンソール31から入力されている照射準備信号がONになったことに基づいて、その高電圧発生部112及び付加装置5へ出力している照射準備信号をONにするようになっている。
また、制御部111は、照射装置制御コンソール31から入力されている放射線Rの照射を指示する照射指示信号がONになったことに基づいて、付加装置5へ出力している照射指示信号をONにするとともに、照射装置制御コンソール31により設定された撮影条件に応じた照射信号を高電圧発生部112へ送信するようになっている。
【0020】
高電圧発生部112は、制御部111から入力されている照射準備信号がONになったことに基づいて、照射準備出力を放射線源12へ出力するようになっている。
また、高電圧発生部112は、制御部111から照射信号を受信したことに基づいて、予め設定された管電圧を照射出力として放射線源12に印加し、予め設定された量の照射電流(管電流)を放射線源12に供給するようになっている。
【0021】
放射線源12(管球)は、放射線Rを照射するためのものである。
本実施形態に係る放射線源12は、高電圧発生部112から予め設定された量の照射電流の供給を受けることで放射線R(例えばX線)を発生させるようになっている。
【0022】
このように構成された照射装置1は、照射装置制御コンソール31(後述する照射指示スイッチ4)から入力される信号に基づいて、予め設定された撮影条件に応じた放射線Rを発生させるようになっている。
静止画を生成する場合には、放射線Rの照射を、1回のスイッチ4の押下につき1回だけ行う。
動態画像を生成する場合には、放射線Rの照射を、スイッチ4が押下されている間、付加装置5から照射タイミング信号を受信する度に繰り返す。
【0023】
〔1-2.放射線検出器〕
検出器2は、被検者Sの撮影部位が写った放射線画像のデジタルデータを生成するものである。
本実施形態に係る検出器2は、可搬型のFPD(Flat Panel Detector)となっている。
具体的には、本実施形態に係る検出器2は、図示を省略するが、放射線Rを受けることで線量に応じた光を発生させるシンチレーター、光を受けることで光の強度に応じた電荷を発生させる半導体素子及び電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子が二次元状(マトリクス状)に配列されたセンサー基板、各スイッチ素子のON/OFFを切り替える走査部、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読み出し部、各部を制御し、読み出し部が読み出した複数の信号値から放射線画像を生成する制御部、生成した放射線画像、各種信号等を他の装置(照射装置1、コンソール3等)へ送信したり他の装置から各種情報、各種信号等を受信したりする通信部等を備えている。
【0024】
そして、検出器2は、照射装置1から放射線Rが照射されるタイミングと同期して、電荷の蓄積・放出、信号値の読出しを行うことにより、静止画又は動態画像を生成するようになっている。
静止画を生成する場合には、静止画の生成を、1回のスイッチ4の押下につき1回だけ行う。
動態画像を生成する場合には、動態画像を構成するフレームの生成を、スイッチ4が押下されている間、付加装置5から撮影タイミング信号を受信する度に繰り返す。
そして、検出器2は、必要に応じて、生成した放射線画像のデータをコンソール3に送信する。
【0025】
なお、検出器2は、シンチレーターを備えず、半導体素子が放射線Rを直接電荷に変換するようになっていてもよい
また、検出器2は、照射装置1と一体になったもの(例えば、CT(Computed Tomography)装置等)であってもよい。
【0026】
〔1-3.コンソール〕
コンソール3は、図2に示したように、照射装置制御コンソール31と、検出器制御コンソール32と、を有する。
各コンソール31,32は、PCや、専用の装置で構成されている。
なお、照射装置制御コンソール31と検出器制御コンソール32とは一つの装置にまとめられていてもよい。
【0027】
(1-3-1.照射装置制御コンソール)
本実施形態に係る照射装置制御コンソール31は、制御装置を兼ねている。
この照射装置制御コンソール31の詳細については後述する。
【0028】
(1-3-2.検出器制御コンソール)
検出器制御コンソール32は、主に検出器2を制御するものである。
また、検出器制御コンソール32は、被検者情報(被検者名、性別、年齢、体格)や撮影条件を検出器2に設定することが可能となっている。
また、検出器制御コンソール32は、検出器2に設定した被検者情報及び撮影条件を照射装置制御コンソール31に送信することが可能となっている。
また、検出器制御コンソール32は、付加装置5の動作(照射タイミング信号及び撮影タイミング信号を出力する周期、回数等)を付加装置5に設定することが可能となっている。
【0029】
なお、検出器制御コンソール32は、設定された蓄積時間に応じて設定するフレームレートを変更するようになっていてもよいし、変更しなくても(蓄積時間に関係なく一定に保っても)よい。
また、検出器制御コンソール32は、照射装置1へ設定する撮影条件を設定できるようになっていてもよい。
また、検出器制御コンソール32は、照射装置制御コンソール31に入力された撮影条件等を受信するようになっていてもよい。
【0030】
〔1-4.照射指示スイッチ〕
スイッチ4は、撮影者が放射線照射を指示するためのものである。
本実施形態におけるスイッチ4は、二段階操作が可能に構成されている。具体的には、一段目が押下されると照射装置制御コンソール31へ出力する照射準備信号をONにし、二段目が押下されると照射装置制御コンソール31へ出力する照射指示信号をONするようになっている。
なお、図1には、スイッチ4が照射装置制御コンソール31に接続され、スイッチ4が出力した照射準備信号や照射指示信号が、照射装置制御コンソール31を介して制御部111へ入力される構成を例示したが、スイッチ4を制御部111へ接続し、照射準備信号や照射指示信号が制御部111へ直接入力されるようになっていてもよい。
【0031】
〔1-5.付加装置〕
付加装置5は、制御部51と、図示しない通信部と、を有する。
【0032】
制御部51は、CPU、RAM等で付加装置5の各部の動作を統括的に制御するようになっている。
この場合、図示しない記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行することとなる。
【0033】
通信部は、スイッチ4が出力した照射準備信号を、制御部111(照射装置)を介して取得するようになっている。
また、通信部は、スイッチ4が出力した照射指示信号を、制御部111(照射装置)を介して取得するようになっている。
また、通信部は、検出器2から撮影開始信号が入力されるようになっている。
この撮影開始信号は、検出器2が撮影可能な状態になるとONになり、撮影不可の状態になるとOFFになる信号である。
また、通信部は、照射タイミング信号を、設定されたフレームレート(例えば1秒間に15回)で繰り返し制御部111へ出力することが可能となっている。
【0034】
このように構成された付加装置5は、通信部を介して制御部111から取得した照射指示信号及び通信部を介して検出器2から入力された撮影開始信号に基づいて、放射線Rの照射を指示する照射タイミング信号を所定周期で繰り返し通信部を介して制御部111へ出力することが可能となっている。
【0035】
また、付加装置5は、放射線画像の撮影タイミングを指示する撮影タイミング信号を、照射タイミング信号を出力するタイミングに基づいて通信部から検出器2へ出力させるようになっている。
本実施形態に係る付加装置5は、撮影タイミング信号を、照射タイミング信号と同じ周期で繰り返し出力するようになっている。
また、付加装置5は、照射タイミング信号及び撮影タイミング信号を、所定回数出力するまで、又は最初に出力してから所定時間が経過するまで、繰り返し出力するようになっている。
【0036】
〔1-6.放射線撮影システムの動作〕
このように構成されたシステム100は、まず、コンソール3が撮影条件を設定する。その後、ユーザーによって照射指示スイッチ4が押下されると、照射装置1及び検出器2が放射線撮影を開始する。
静止画を得るための撮影では、検出器2が、予め設定された蓄積時間だけ蓄積状態へ切り替わり、その後読み出し状態へ切り替わる。
一方、照射装置1が、検出器2が蓄積状態になっている間に、所定の線量の放射線Rを、所定の照射時間、被検者S及びその背後の検出器2へ照射する。
そして、検出器2が単一のフレームからなる静止画を生成する。
【0037】
動態画像を得るための撮影では、検出器2が、予め設定された蓄積時間だけ蓄積状態へ切り替わってから読み出し状態へ切り替わる一連の動作を、予め設定されたフレームレートで繰り返す。
一方、照射装置1が、検出器2が蓄積状態に切り替わるたびに(予め設定されたフレームレートで)、所定の線量及び所定の照射時間のパルス状の放射線Rを、被検者S及びその背後の検出器2へ繰り返し照射する。
照射装置1及び検出器2は、こうした動作を、検出器2が予め設定された最大フレーム数のフレームを生成するまで、又は予め設定された撮影時間が経過するまで繰り返す。
そして、検出器2が複数フレームからなる動態画像を生成する。
【0038】
このように、本実施形態に係るシステム100は、静止画を得るための撮影と、動態画像を得るための撮影と、を行うことが可能である。
以下、静止画を得るための撮影を静止画撮影と称することがある。
また、動態画像を得るための撮影を動態撮影と称することがある。
【0039】
〔1-7.放射線撮影システムの構成例〕
また、本実施形態に係るシステム100は、移動型放射線撮影装置(回診車)を構成している。
移動型放射線撮影装置は、上記構成1~5の他、例えば図2に示すように、筐体6と、アーム7と、を有している。
本実施形態に係る移動型撮影装置は、車輪8を更に有している。
【0040】
筐体6は、放射線制御装置11、コンソール3及び付加装置5を格納している。
また、筐体6の上部には、コンソール3の表示部314が配置されている。
また、筐体6の外側に、照射指示スイッチ4が配置されている。
【0041】
本実施形態に係るアーム7は、筐体6から上方の先端に延びる第一アーム71と、第一アーム71から前方に延び鉛直方向にスライド可能な第二アーム72と、を有する。
第二アーム72の先端部は、放射線源12を支持している。
床面F(車輪の下端が接する面)から放射線源12までの距離Dの最大値(第二アーム72が第一アーム71の上端に位置するときの値)は200cm以下となっている。
この移動型放射線撮影装置を用いて放射線撮影を行う際、検出器2は、床面Fと放射線源12との間に配置されることになる。このため、放射線源12から検出器2までの距離(SID)が、撮影室での撮影を行う場合に比べて制限される(200cmよりさらに小さく)ことになる。
例えば、ベッドBの上に検出器2を配置する場合、SIDは100cm程度となる場合もある。
【0042】
なお、アーム7は、第一アーム71に対し第二アーム72をスライドさせるのではなく、例えば全体を伸縮させる、筐体に軸支された基端部を中心に全体を回動させる、又は中間部において屈伸させることにより放射線源12の高さを変更できるようになっていてもよい。
また、移動型放射線撮影装置は、車輪8以外の手段によって移動可能となっていてもよい。例えば、移動型放射線撮影装置は、人が持ち運べる程度、あるいは市販の台車等に搭載可能な程度に軽量化されていてもよいし、筐体6の底面が滑らかで床面Fに対し摺動するようになっていてもよい。
【0043】
また、システム100は、例えば図3に示すような、放射線源12が、部屋の天井に、垂下するように据え付けられ、放射線Rを下方に照射する(臥位撮影を行う)ことが可能となるように構成されていてもよい。
このシステム100を用いて臥位撮影を行う際、検出器2は、撮影台9の上に配置されることになる。このため、SIDが、立位撮影を行う場合に比べて制限されることになる。
【0044】
〔1-8.放射線撮影システムその他〕
以上説明してきたシステム100は、放射線Rを側方に照射する(立位撮影を行う)ことが可能となっていてもよい。
また、システム100は、動態撮影のみを行うようになっていてもよい。
また、システム100は、検出器2が生成した動態画像を、自身に接続された表示装置にリアルタイムで表示させる(例えば、透視を行う)ようになっていてもよい。
また、システム100は、放射線制御装置11と付加装置5とが一体になっていてもよい。
【0045】
<2.照射装置制御コンソール>
次に、上記システム100のコンソール3が有する照射装置制御コンソール31の詳細について説明する。
図4は照射装置制御コンソール31を表すブロック図、図5は照射装置制御コンソール31が実行する撮影準備処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
〔2-1.構成〕
照射装置制御コンソール31は、図5に示すように、制御部311と、通信部312と、記憶部313と、表示部314と、操作部315と、を有する。
【0047】
制御部311は、CPU、RAM等により構成されている。
そして、制御部311のCPUは、記憶部313に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理(後述する撮影準備処理等)を実行し、照射装置制御コンソール31各部の動作を集中制御するようになっている。
【0048】
通信部312は、有線通信モジュール又は無線通信モジュール等で構成され、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(照射装置1や検出器2等)との間で各種信号や各種データを有線又は無線で送受信することが可能となっている。
【0049】
記憶部313は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部313は、制御部311が各種処理を実行する(システム100(移動型放射線撮影装置)を制御する)ためのプログラム、プログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、本実施形態に係る記憶部313は、放射線画像の画像データを保存可能となっている。
なお、画像データは、記憶部313とは別に設けられた保存手段に保存されるようになっていてもよい。
【0050】
表示部314は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部311から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や各種情報等を表示するようになっている。
なお、表示部314は、検出器制御コンソール32から入力される表示信号の指示に従って表示を行うようになっていてもよい。
【0051】
操作部315は、ユーザーが操作可能に構成されている。
操作部315には、例えば、キーボード(カーソルキー、数字入力キー、各種機能キー等)、ポインティングデバイス(マウス等)、表示部314の表面に積層されたタッチパネル等が含まれる。
そして、操作部315は、ユーザーによってなされた操作に基づく制御信号を制御部311に出力するようになっている。
なお、操作部315は、ユーザーによってなされた操作に基づく制御信号を検出器制御コンソール32に出力するようになっていてもよい。
【0052】
また、検出器制御コンソール32が表示部を有する場合、照射装置制御コンソール31は、表示部314を有していなくてもよい。そして、制御部311が出力した表示信号に基づく画面を、検出器制御コンソール32の表示部に表示されるようになっていてもよい。
また、検出器制御コンソール32が操作部を有する場合、照射装置制御コンソール31は、操作部315を有していなくてもよい。そして、検出器制御コンソール32の操作部になされた操作に応じた制御信号が、制御部311に入力されるようになっていてもよい。
また、照射装置制御コンソール31と検出器制御コンソール32の両方が表示部及び操作部をそれぞれ有していてもよい。
【0053】
〔2-2.動作〕
このように構成された照射装置制御コンソール31の制御部311は、所定条件が成立したことを契機として、例えば図5に示すような撮影準備処理を実行する。
所定条件には、例えば、照射装置制御コンソール31の電源がONにされたこと、他の装置から所定の制御信号を受信したこと、操作部315に所定操作がなされたこと等が含まれる。
【0054】
この撮影準備処理において、制御部311は、まず、取得処理を実行する(ステップS1)。
この取得処理において、制御部311は、検出器制御コンソール32から一部の撮影条件(放射線画像の種類(静止画、動態画像)、フレームレート、撮影部位、SID、最大フレーム数、付加フィルターの有無、グリッドの有無等の一部又は全て)の情報を取得する。
なお、制御部311は、上記一部の撮影条件のうちの少なくともいずれかの条件を、検出器制御コンソール32から取得するのではなく、直接(操作部315になされた操作に応じた条件を)受け付けるようになっていてもよい。
【0055】
一部の撮影部位の情報を取得した後、制御部311は、受付処理を実行する(ステップS2)。
この受付処理において、制御部311は、残りの撮影条件の入力を受け付ける(操作部315での入力操作を有効にする)。
残りの撮影条件は、照射電流と照射時間とである。
残りの撮影条件の入力を受け付けている間、ユーザーが操作部315を操作すると、制御部311は、操作部315になされた操作に応じて照射電流及び照射時間のうちの少なくともいずれかの条件をデフォルト値から変更する。
例えば、放射線画像の種類として動態画像が選択されフレームレートが15fpsとされている場合、入力可能な照射電流は80~250mAの範囲内、照射時間は1~8msの範囲内の範囲内となっている。
【0056】
照射電流(mA)と照射時間(s)の積はmAs値となる。
すなわち、この受付処理において、制御部311は、mAs値に関連する撮影条件を受け付ける。
静止画撮影を行う場合、制御部311は、静止画撮影の単一フレームのmAs値に関連する撮影条件を受け付け、動態撮影を行う場合、制御部311は、動態撮影の1フレームのmAs値に関連する撮影条件を受け付けることになる。
静止画撮影の単一フレームのmAs値の下限値及び動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は固定である。
本実施形態に係る照射装置制御コンソール31において入力可能な静止画撮影の単一フレームのmAs値の下限値は0.1mAsであり、動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は0.03mAsである。
すなわち、照射装置制御コンソール31が入力可能な動態撮影の1フレームのmAs値の下限値は、静止画撮影の単一フレームのmAs値の下限値よりも小さい。
例えば、放射線画像の種類として動態画像が選択されている場合であって、入力された照射電流が80mA、照射時間が1ms(0.001s)の場合、1フレームのmAs値は=80×0.001=0.08mAsとなり、0.1mAs未満となる。
【0057】
なお、この受付処理において、制御部311は、照射電流及び照射時間のデフォルト値を表示部314に表示させるようになっていてもよい。
また、入力を受け付ける残りの撮影条件は、管電圧を含んでいてもよい。
また、入力を受け付ける残りの撮影条件は、mAs値を含んでいてもよい。すなわち、制御部311は、照射電流及び照射時間の入力をそれぞれ受け付けるのではなく、直接mAs値の入力を受け付けるようになっていてもよい。
また、その場合、制御部311は、mAs値及び照射電流、又はmAs値及び照射時間の入力を受け付けるようになっていてもよい。
【0058】
また、この受付処理において、制御部311は、動態撮影の1フレームのmAs値の下限値を、フレームレート、撮影部位、管電圧、SID、最大フレーム数、付加フィルターの有無及びグリッドの有無の少なくとも1つに基づいて予め(自動的に)決定しておくようになっていてもよい。
また、これらの撮影条件のうちの少なくとも一つに基づいて、これから行う動態撮影の1フレームのmAs値(下限値超)を(自動的に)決定するようになっていてもよい。
【0059】
また、動態撮影の1フレームのmAs値の下限値が複数あってもよい。
その場合、この受付処理において、制御部311は、取得した一部の撮影条件(撮影部位、フレームレート等)に応じて下限値を切り替えるようになっていてもよい。
【0060】
残りの撮影条件の入力を受け付けた後、制御部311は、判断処理を実行する(ステップS3)。
この判断処理において、制御部311は、mAs値の下限値を下回る撮影条件の入力が行われたか否かを判断する。
【0061】
この判断処理において、静止画撮影の単一フレームのmAs値の下限値を下回る撮影条件の入力が行われたと判断した場合、又は動態撮影の1フレームのmAs値の下限値を下回る撮影条件の入力が行われたと判断した場合(ステップS3:Yes)、制御部311は、ステップS2の処理へ戻る。
これにより、制御部311は、静止画撮影の単一フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影条件の設定、又は動態撮影の1フレームのmAs値が0.03mAs未満となる撮影条件の設定を不可とする。
なお、この判断処理において、mAs値の下限値を下回る撮影条件の入力が行われたと判断した場合(ステップS3:Yes)、制御部311は、ステップS2の処理へ戻るのではなく、撮影準備処理を終了するようになっていてもよい。
【0062】
一方、判断処理において、静止画撮影の単一フレームのmAs値の下限値(0.1mAs)を下回る撮影条件の入力が行われていないと判断した場合、又は動態撮影の1フレームのmAs値(0.03mAs)の下限値を下回る撮影条件の入力が行われていないと判断した場合(ステップS3:No)、制御部311は、設定処理を実行する(ステップS4)。
この設定処理において、制御部311は、入力処理において受け付けた条件を確定した撮影条件として設定する。
具体的には、制御部311は、通信部312に、確定した撮影条件を放射線制御装置11へ送信させる。確定した撮影条件の検出器2への影響がない場合、制御部311は、検出器制御コンソール32へ送信させず、影響がある場合は送信させる。
確定した撮影条件を受信した検出器制御コンソール32は、それを付加装置5へ送信する。そして、確定した撮影条件を受信した付加装置5は、それを検出器2へ送信する。
確定した撮影条件を受信した各装置(照射装置1、検出器2等)は、受信した撮影条件で動作するようになる。
【0063】
なお、上記判断処理において、mAs値の下限値を下回る撮影条件の入力が行われたと判断した場合(ステップS3:Yes)、制御部311は、ステップS2の処理へ戻る前、戻っている間、及び戻った後のステップS2の処理の実行中のうちの少なくともいずれかの期間に、報知処理を実行するようになっていてもよい。
この報知処理において、制御部311は、入力された撮影条件が設定不可である旨を報知する。
本実施形態に係る報知処理において、制御部311は、設定不可である旨の文字や画像を表示部314表示させることにより報知する。
なお、制御部311は、設定不可である旨の音声を図示しないスピーカーに出力させることにより、又は設定不可である旨の態様(色、点滅等)でランプを発光させることにより報知するようになっていてもよい。
この報知処理を実行するようにすれば、制御部311及び表示部314等は報知部として機能することとなる。
【0064】
以上説明してきた撮影準備処理を実行することにより、制御部311は、静止画撮影の単一フレームのmAs値に関連する撮影条件又は動態撮影の1フレームのmAs値に関連する撮影条件を設定することになる。
また、受付処理においてユーザーが入力する照射電流及び照射時間によっては、制御部311は、動態撮影の1フレームのmAs値が0mAs超0.1mAs未満(0<mAs≦0.1)となる撮影条件の設定が可能となる。
すなわち、制御部311は設定部として機能する。
また、この撮影準備処理を実行することは、方法における撮影条件の設定を可能にさせるステップに相当する。
【0065】
<3.作用・効果>
被ばく線量(単位Gy)は、下記式(1)で表される。
被ばく線量=管電圧と総濾過の係数×mAs×(1/入射表面距離)^2・・(1)
例えば、撮影室において、下記の撮影条件で胸部の動態撮影を正面から行う場合、上記式(1)によると、この撮影における被ばく線量は約0.28mGyとなり、被ばくガイドライン(以下、DRLs)の0.3mGyを満たす。
撮影条件:SID:200cm、管電圧:80kV、mAs値:0.31mAs、フレームレート15fps、撮影時間:8秒、付加フィルター:Cu0.2mm+Al0.1mm
【0066】
一方、回診(又は臥位撮影)の撮影では、一般に、SIDが撮影室で撮影を行う場合に比べて短くなる。
例えば、SIDのみを100cmに縮めて(SID以外の撮影条件は上記撮影室での撮影の場合と同様)、胸部の動態撮影を正面から行うと、被ばく線量は約1.12mGyとなり、DRLsの0.3mGyを大きく超えてしまう。
【0067】
しかし、上記システム100(照射装置制御コンソール)は、動態撮影の1フレームのmAs値が0.1mAs未満となる撮影条件の設定が可能な設定部(制御部311)を有している。
このため、SIDを100cmに設定しても、mAs値を例えば0.09mAsに下げて(SID及びmAs値以外の撮影条件は上記撮影室での撮影の場合と同様)、胸部の動態撮影を正面から行うと、被ばく線量は約0.27mGyとなり、DRLsの0.3mGyを満たす。
【0068】
また、DRLsにおいて被ばく線量が最も低く規定されている部位は手首であり、その被ばく線量は0.1mGy(胸部の3分の1)となっている。
このため、手首の撮影においては、上記撮影条件であっても、DRLsを超えてしまうことになる。
しかし、上記システム100によれば、mAs値を例えば0.03mAsに下げて(SID及びmAs値以外の撮影条件は上記撮影室での撮影の場合と同様)、手首の動態撮影を行うと、被ばく線量は約0.09mGyとなり、DRLsの0.1mGyを満たすことができる。
【0069】
このため、上記システム100(照射装置制御コンソール)によれば、SIDや放射線源12のヒートユニット値の上限に制限がある場合であっても、動態撮影を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
100 放射線撮影システム(移動型放射線撮影装置)
1 放射線照射装置
11 放射線制御装置
111 制御部
112 高電圧発生部
12 放射線源
2 放射線検出器
3 コンソール
31 照射装置制御コンソール
311 制御部(設定部)
312 通信部
313 記憶部
314 表示部
315 操作部
32 検出器制御コンソール
4 照射指示スイッチ
5 付加装置
51 制御部
6 筐体
7 アーム
71 第一アーム
72 第二アーム
8 車輪
9 撮影台
B ベッド
D 床面から放射線源までの距離
F 床面
N 通信ネットワーク
R 放射線
S 被検者
【要約】
【課題】放射線を照射するための放射線源と放射線を検出する放射線検出器との距離(SID)や放射線源のヒートユニット値の上限に制限がある場合であっても、放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影を、適切に行えるようにする。
【解決手段】移動型放射線撮影装置(放射線撮影システム100)は、放射線による複数フレームからなる動態画像を得るための動態撮影を行う移動可能に構成されたものであって、動態撮影の1フレームのmAs値が0.03mAs以上0.1mAs未満となる撮影条件(照射電流及び照射時間、又はmAs値)の設定が可能な設定部(制御部311)を有する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5