(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】カメラ装置、ガス漏洩検査システム、ガス漏洩検査方法、及び、ガス漏洩検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/02 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
G01M3/02 M
(21)【出願番号】P 2020519483
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2019010998
(87)【国際公開番号】W WO2019220761
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2018094867
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】浅野 基広
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】都築 斉一
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋一
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0074035(US,A1)
【文献】特開2017-118467(JP,A)
【文献】特許第6125823(JP,B2)
【文献】特許第4663496(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 - 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外画像を基にしたガス検知に使用されるカメラ装置であって、
前記赤外画像を撮影する撮像素子と、
前記撮像素子を冷却する冷却部と、
前記冷却部の稼働時間を計測する計測部と、
GPS信号を受信する受信部と、
前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する取得部と、
前記カメラ装置の識別情報を記憶する記憶部と、
前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する第1生成部と、
前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する通信部と、
前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する第2生成部と、
前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する第3生成部と、を備える、カメラ装置。
【請求項2】
前記画像を含むガス検査レポートデータを生成する第4生成部をさらに備える、請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記撮像素子が撮影した前記赤外画像に対して、漏洩しているガスを示す像が見やすくなる画像処理をして前記画像を生成する画像処理部をさらに備える、請求項1又は2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記第2生成部は、前記稼働期間に含まれ、前記撮像素子が前記赤外画像を撮影している撮影期間中に、前記受信部が受信した前記GPS信号を用いて取得された前記現在時刻及び前記現在位置と、前記撮影期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含む前記撮影情報を生成し、
前記第2生成部は、前記撮影期間中に前記受信部が前記GPS信号を受信できないとき、直近に生成された前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置を、前記撮影情報に含める、請求項1~3のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記撮影情報が紐付けられた前記画像と、前記撮影情報と、前記保存情報と、を出力する出力部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項6】
同じ前記識別情報を含む前記撮影情報と前記保存情報とについて、前記撮影情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置と、前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置とを用いて、前記カメラ装置の移動速度を演算する演算部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記移動速度が異常か否かを判定する判定部をさらに備える、請求項6に記載のカメラ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のカメラ装置と、前記サーバ装置と、を備えるガス漏洩検査システムであって、
前記サーバ装置は、前記撮影情報が紐付けられた前記画像と、前記撮影情報と、前記保存情報と、を出力する第2出力部を備える、ガス漏洩検査システム。
【請求項9】
前記サーバ装置は、同じ前記識別情報を含む前記撮影情報と前記保存情報とについて、前記撮影情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置と、前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置とを用いて、前記カメラ装置の移動速度を演算する第2演算部をさらに備える、請求項8に記載のガス漏洩検査システム。
【請求項10】
前記サーバ装置は、前記移動速度が異常か否かを判定する第2判定部をさらに備える、請求項9に記載のガス漏洩検査システム。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載のカメラ装置と、前記サーバ装置と、前記サーバ装置と通信可能な情報処理装置と、を備えるガス漏洩検査システムであって、
前記情報処理装置は、前記撮影情報が紐付けられた前記画像と、前記撮影情報と、前記保存情報と、を出力する第3出力部を備える、ガス漏洩検査システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、同じ前記識別情報を含む前記撮影情報と前記保存情報とについて、前記撮影情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置と、前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置とを用いて、前記カメラ装置の移動速度を演算する第3演算部をさらに備える、請求項11に記載のガス漏洩検査システム。
【請求項13】
前記情報処理装置は、前記移動速度が異常か否かを判定する第3判定部をさらに備える、請求項12に記載のガス漏洩検査システム。
【請求項14】
赤外画像を撮影する撮像素子と、前記撮像素子を冷却する冷却部と、前記冷却部の稼働時間を計測する計測部と、GPS信号を受信する受信部と、前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する取得部と、前記カメラ装置の識別情報を記憶する記憶部と、を備えるカメラ装置を用いたガス漏洩検査方法であって、
第1生成部が、前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する第1生成ステップと、
通信部が、前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する通信ステップと、
第2生成部が、前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する第2生成ステップと、
第3生成部が、前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する第3生成ステップと、を備える、ガス漏洩検査方法。
【請求項15】
赤外画像を撮影する撮像素子と、前記撮像素子を冷却する冷却部と、前記冷却部の稼働時間を計測する計測部と、GPS信号を受信する受信部と、前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する取得部と、前記カメラ装置の識別情報を記憶する記憶部と、を備えるカメラ装置を用いたガス漏洩検査のプログラムであって、
前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する第1生成ステップと、
前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する通信ステップと、
前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する第2生成ステップと、
前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する第3生成ステップと、をコンピュータに実行させる、ガス漏洩検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外画像を基にしてガス漏洩を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象となるガス(例えば、メタン)が吸収する光の波長帯に感度を持つ設計がされた赤外線カメラを利用したガス漏洩検査が知られている。検査者が赤外線カメラを携帯して、監視対象(例えば、ガス井戸)がある場所に訪れて、ガス漏洩を検査することがある。この検査において、赤外線カメラによって撮影された画像、撮影場所及び撮影日時等は、検査データとして記録される。検査データは、検査者以外の第三者によってチェックされるので、検査データの信頼性を確保しなければならない。なお、検査者は、赤外線カメラで監視対象の赤外画像を撮影する者なので、検査者は、撮影者と言い換えることができる。
【0003】
ガス漏洩検査の検査データの信頼性を向上させる技術として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1は、住戸のガス配管の容積及びガス漏洩量を測定して、該ガス配管の容積及びガス漏洩量を示す測定値データを気密・漏洩検査報告書に記載し、その後、前記測定値データの真贋を判定する必要が生じた時に、前記住戸のガス配管の容積を再度計測し、該容積計測値データと前記容積測定値データを比較することにより、該測定値データの真贋を判定することを特徴とするガス配管気密・漏洩検査データ真贋判定方法を開示している。
【0004】
ガス漏洩検査の検査データではないが、作業現場で計測された各種計測データの信頼性を向上させる技術として、例えば、特許文献2に開示された技術がある。特許文献2は、外部データ入出力部、位置情報検出部、日付及び時間検出部、演算処理部、記憶部より構成する電子機器であり、前記外部データ入出力部から入力されたデータを演算処理部へ送り前記位置情報検出部、日付及び時間検出部より検出した位置情報(緯度及び経度)、日付及び時間情報を付加し改竄が不可能な所定の方法で処理を行い保存部に保存することにより本装置へ外部よりデータを入力した場所(緯度及び経度)、日付、時間を認証することを特徴とする位置認証装置を開示している。
【0005】
検査データの信頼性を向上させる技術が提案されているが、赤外線カメラを利用したガス漏洩検査においても、検査データの信頼性を向上させる技術が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-58037号公報
【文献】特開2004-85239号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、赤外線カメラを利用したガス漏洩検査において、検査データの信頼性を向上させることができるカメラ装置、ガス漏洩検査システム、ガス漏洩検査方法、及び、ガス漏洩検査プログラムを提供することである。
【0008】
上述した目的を実現するために、本発明の一側面を反映したカメラ装置は、赤外画像を基にしたガス検知に使用されるカメラ装置であって、撮像素子、冷却部、計測部、受信部、取得部、記憶部、第1生成部、通信部、第2生成部及び第3生成部を備える。前記撮像素子は、前記赤外画像を撮影する。前記冷却部は、前記撮像素子を冷却する。前記計測部は、前記冷却部の稼働時間を計測する。前記受信部は、GPS信号を受信する。前記取得部は、前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する。前記記憶部は、前記カメラ装置の識別情報を記憶する。前記第1生成部は、前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する。前記通信部は、前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する。前記第2生成部は、前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する。前記第3生成部は、前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する。
【0009】
発明の1又は複数の実施形態により与えられる利点及び特徴は以下に与えられる詳細な説明及び添付図面から十分に理解される。これら詳細な説明及び添付図面は、例としてのみ与えられるものであり本発明の限定の定義として意図されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】実施形態に係るガス検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図1B】
図1Aに示す本体部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係るガス漏洩検査システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】保存情報が生成されるタイミングと撮影情報が生成されるタイミングの第1例を説明する説明図である。
【
図4】保存情報が生成されるタイミングと撮影情報が生成されるタイミングの第2例を説明する説明図である。
【
図5】保存情報が生成されるタイミングと撮影情報が生成されるタイミングの第3例を説明する説明図である。
【
図6】保存情報が生成されるタイミングと撮影情報が生成されるタイミングの第4例を説明する説明図である。
【
図7】第1例で使われる保存情報の雛形の例を説明する説明図である。
【
図8】第1例で使われる撮影情報の雛形の例を説明する説明図である。
【
図9】第4例で使われる撮影情報の雛形の例を説明する説明図である。
【
図10】実施形態に係るガス検知装置が保存情報を生成し、保存情報をサーバ装置にアップロードする一連の処理を説明するフローチャートである。
【
図11】実施形態に係るガス検知装置の撮影に関する動作を説明するフローチャートである。
【
図12】保存情報の一覧表の例の一部を説明する説明図である。
【
図13】ガス検査レポートデータの例を説明する説明図である。
【
図15】ガス検知装置の移動速度が異常か否かを判定する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の1又は複数の実施形態が説明される。しかし、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。
【0012】
各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し(例えば、稼働期間T1)、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す(例えば、稼働期間T1-1,T1-2)。
図1Aは、実施形態に係るガス検知装置1の構成を示すブロック図である。ガス検知装置1は、カメラ装置の一例であり、赤外線カメラ2と本体部3とを備える。ガス検知装置1は、ポータブル化されており、検査者は、ガス漏れの監視対象(例えば、ガスタンクの設備)がある場所に、ガス検知装置1を携帯することができる。
【0013】
赤外線カメラ2は、ガス漏れの監視対象について、赤外画像の動画を撮影し、動画を示す動画データMDを生成する。時系列に撮像された複数の赤外画像であればよく、動画に限定されない。赤外線カメラ2は、光学系4、フィルター5、二次元イメージセンサー6、信号処理部7、入出力ポート8、冷却部9及び計測部10を備える。
【0014】
光学系4は、ガス漏れの監視対象の赤外画像を二次元イメージセンサー6上で結像させる。フィルター5は、光学系4と二次元イメージセンサー6との間に配置され、光学系4を通過した光のうち、特定波長の赤外線のみを通過させる。赤外の波長帯のうち、フィルター5を通過させる波長帯は、検知するガスの種類に依存する。例えばメタンの場合、3.2~3.4μmの波長帯を通過させるフィルター5が用いられる。二次元イメージセンサー6(撮像素子の一例)は、例えば、冷却型インジウムアンチモン(InSb)イメージセンサーであり、フィルター5を通過した赤外線を受光する。信号処理部7は、二次元イメージセンサー6から出力されたアナログ信号を、デジタル信号に変換し、公知の画像処理をする。このデジタル信号が、動画データMDとなる。入出力ポート8は、本体部3との通信に用いられるインターフェース回路であり、動画データMDを本体部3へ送信する。
【0015】
冷却部9は、二次元イメージセンサー6を冷却する冷却機(冷凍機)である。冷却部9は、例えば、スターリングクーラーであり、冷却温度は、例えば、極低温である。赤外線カメラ2が、冷却部9と、冷却部9の稼働時間を計測する計測部10とを備えていればよいので、冷却部9は、スターリングクーラーに限定されず、冷却温度は、極低温に限定されない。
【0016】
計測部10は、冷却部9の稼働時間(運転時間)を計測するタイマー(ストップウオッチ)である。赤外線カメラ2の電源のオン期間が、冷却部9の稼働期間となる。計測部10は、赤外線カメラ2の電源がオフにされても、計測した稼働時間をリセットせず、次に、赤外線カメラ2の電源がオンされたとき、前回のオン期間の稼働時間から稼働時間の計測を開始する。すなわち、計測部10は、稼働時間の累積値(総稼働時間)を計測する。
【0017】
冷却部9の稼働期間の開始と終了は、赤外線カメラ2の電源のオンとオフに限定されない。例えば、冷却部9のスイッチが赤外線カメラ2に設けられており、スイッチのオンにより冷却部9は稼働を開始し、スイッチのオフにより、冷却部9は稼働を終了するようにしてもよい。
【0018】
計測部10が計測した稼働時間のリセットは、冷却部9のメーカのみができるようにされている。例えば、冷却部9のID及びパスワードが計測部10に入力されなければ、稼働時間のリセットができない。
【0019】
計測部10は、計測している稼働時間を示す稼働時間情報I1を所定のタイミングで入出力ポート8へ送る。入出力ポート8は、稼働時間情報I1を本体部3へ送信する。所定のタイミングとは、後で説明する保存情報I2及び撮影情報I3が生成されるタイミングである。
【0020】
本体部3は、機能ブロックとして、制御処理部11と、入出力ポート12と、通信部13と、取得部14と、識別情報記憶部15と、保存情報生成部16と、撮影情報生成部17と、画像生成部18と、画像処理部19と、画像記憶部20と、レポート生成部21と、速度演算部22と、異常判定部23と、表示制御部24と、ディスプレイ25と、入力部26と、を備えるコンピュータ装置である。本体部3と赤外線カメラ2とは、一体でもよいし(本体部3と赤外線カメラ2とが同じ筐体に収容されている)、本体部3と赤外線カメラ2とが別々であり、これらが無線又は有線で通信可能にされていてもよい。
【0021】
制御処理部11は、本体部3の各部(入出力ポート12、通信部13、取得部14、識別情報記憶部15、保存情報生成部16、撮影情報生成部17、画像生成部18、画像処理部19、画像記憶部20、レポート生成部21、速度演算部22、異常判定部23、表示制御部24、ディスプレイ25、入力部26)を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するための装置である。
【0022】
入出力ポート12は、赤外線カメラ2との通信に用いられるインターフェース回路である。入出力ポート12は、入出力ポート8から送信されてきた動画データMD、稼働時間情報I1を受信する。
【0023】
通信部13は、ガス検知装置1が外部と有線通信及び無線通信する通信インターフェースである。通信部13は、ネットワーク(例えば、インターネット)と接続可能である。通信部13は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されたGPS信号を受信する。ガス検知装置1は、GPS信号を受信する受信部(受信機)を、通信部13と別に備えてもよい。
【0024】
取得部14は、通信部13が受信したGPS信号を用いて現在時刻及びガス検知装置1(カメラ装置)の現在位置を取得する。詳しくは、取得部14は、通信部13が受信したGPS信号に含まれる現在時刻を取得し、このGPS信号を用いて、ガス検知装置1の現在位置を測定する。取得部14は、所定のタイミングで、現在時刻、及び、ガス検知装置1の現在位置を取得する。
【0025】
識別情報記憶部15は、ガス検知装置1の識別情報I4を記憶する。識別情報I4は、例えば、ガス検知装置1の製造番号である。識別情報記憶部15は、HDD、フラッシュメモリ等によって実現される。
【0026】
保存情報生成部16は、保存情報I2を生成する。保存情報I2は、冷却部9の稼働期間中に取得部14が取得した現在時刻及び現在位置と、上記稼働期間中に(言い換えれば、上記稼働期間と同じ期間中に)計測部10が計測した稼働時間と、識別情報記憶部15に記憶されているガス検知装置1の識別情報I4と、を含む。保存情報I2は、ガス検知装置1の外部にあるサーバ装置200(
図2)で保存される。通信部13は、保存情報I2をサーバ装置200へ送信する。
【0027】
撮影情報生成部17は、撮影情報I3を生成する。撮影情報I3は、上記稼働期間中に(上記稼働期間と同じ期間中に)取得部14が取得した現在時刻及び現在位置と、上記稼働期間中に(上記稼働期間と同じ期間中に)計測部10が計測した稼働時間と、識別情報記憶部15に記憶されているガス検知装置1の識別情報I4と、を含む。
【0028】
撮影情報生成部17が撮影情報I3を生成するタイミングと保存情報生成部16が保存情報I2を生成するタイミングとが同じである場合、撮影情報I3に含まれる現在時刻、現在位置、稼働時間と、保存情報I2に含まれる現在時刻、現在位置、稼働時間とは同じとなる。これらのタイミングが異なる場合、撮影情報I3に含まれる現在時刻、稼働時間と、保存情報I2に含まれる現在時刻、稼働時間とは、異なる。これらのタイミングが異なっていても、ガス検知装置1が移動していなければ、撮影情報I3に含まれる現在位置と保存情報I2に含まれる現在位置とは同じとなる。
【0029】
画像生成部18は、撮影情報I3と紐付けられた画像Imを、上記稼働期間中に(上記稼働期間と同じ期間中に)二次元イメージセンサー6が撮像した赤外画像を基にして生成する。画像Imは、静止画でもよいし、動画でもよい。画像生成部18は、二次元イメージセンサー6が撮像した赤外画像に対して、撮影情報I3を紐付ける処理をすることにより、撮影情報I3が紐付けられた画像Imを生成してもよいし、後述する画像処理部19が赤外画像を処理して生成した画像に対して、撮影情報I3を紐付ける処理をすることにより、撮影情報I3が紐付けられた画像Imを生成してもよい。実施形態では後者を例にして説明する。撮影情報I3に含まれる現在時刻、現在位置、稼働時間は、赤外画像が撮影された時点の現在時刻、現在位置、稼働時間の目安となる。
【0030】
画像Imと撮影情報I3とを紐付けるとは、例えば、画像Imに撮影情報I3を付加してもよいし、画像Imと撮影情報I3とを一つのフォルダに格納してもよい。実施形態では、画像Imに撮影情報I3を付加する例で説明する。
【0031】
画像処理部19は、二次元イメージセンサー6が撮影して赤外画像に対して、漏洩しているガスを示す像が見やすくなる画像処理をする。この画像処理は、公知技術を適用することができる。例えば、この公知技術は、国際公開WO2017/073430に開示されている。この国際公開された技術は、本発明者が発明した技術であり、具体的には、ガス漏れの監視対象を複数の時刻で撮影した赤外画像に対して画像処理をするガス検知用画像処理装置であって、漏れたガスによる温度変化を示す第1の周波数成分データよりも周波数が低く、前記監視対象の背景の温度変化を示す第2の周波数成分データを、前記赤外画像を示す画像データから除く処理をする画像処理部を備えるガス検知用画像処理装置を開示している。
【0032】
また、本発明者が発明した技術ではないが、例えば、特開2012-58093号公報は、検査対象領域におけるガス漏れを検出するガス漏れ検出装置において、検査対象領域を撮影する赤外線カメラと、赤外線カメラにより撮影された赤外画像を処理する画像処理部と、を有し、画像処理部は、時系列に並べられた複数の赤外画像からガス漏れによる動的なゆらぎを抽出するゆらぎ抽出部を有する、ことを特徴とするガス漏れ検出装置を開示している。
【0033】
画像記憶部20は、画像生成部18が生成した画像Imを記憶する。画像Imには、この画像Imに関する撮影情報I3が付加されている(紐付けられている)。撮影情報I3が付加された画像Imは、サーバ装置200(
図2)でも保存される。このため、通信部13は、撮影情報I3が付加された画像Imをサーバ装置200へ送信する。なお、サーバ装置200が、撮影情報I3が付加された画像Imを保存しない態様も可能である。この態様では、通信部13は、撮影情報I3が付加された画像Imをサーバ装置200へ送信しない。
【0034】
レポート生成部21、速度演算部22及び異常判定部23については、後で説明する。
【0035】
表示制御部24は、動画データMDで示される動画、画像処理部19で処理がされた動画を、ディスプレイ25に表示させる。さらに、表示制御部24は、画像Imと、画像Imに付加された撮影情報I3と、撮影情報I3と関連する保存情報I2と、をディスプレイ25に表示させる。撮影情報I3と関連する保存情報I2とは、撮影情報I3に含まれる識別情報I4と同じ識別情報I4を含み、かつ、撮影情報I3に含まれる現在時刻と同じ現在時刻(同じ現在時刻がなければ、直近の現在時刻)を含む保存情報I2である。
【0036】
表示制御部24及びディスプレイ25は、出力部として機能する。出力部は、画像Imと、画像Imに付加された撮影情報I3と、撮影情報I3と関連する保存情報I2と、を出力する。プリンタを出力部にしてもよい。
【0037】
入力部26は、ガス検知装置1を操作したり、ガス検知装置1にデータを入力したりする装置である。
【0038】
図1Bは、
図1Aに示す本体部3のハードウェア構成を示すブロック図である。本体部3は、CPU3a、RAM3b、ROM3c、HDD3d、入出力インターフェース3e、通信インターフェース3f、液晶ディスプレイ3g、タッチパネル等3h、及び、これらを接続するバス3iを備える。入出力インターフェース3eは、入出力ポート12を実現するハードウェアである。通信インターフェース3fは、通信部13を実現するハードウェアである。液晶ディスプレイ3gは、ディスプレイ25を実現するハードウェアである。液晶ディスプレイ3gの替わりに、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence display)、プラズマディスプレイ等でもよい。タッチパネル等3hは、入力部26を実現するハードウェアである。タッチパネル等3hには、ハードキーが含まれる。
【0039】
HDD3dには、制御処理部11、取得部14、保存情報生成部16、撮影情報生成部17、画像生成部18、画像処理部19、レポート生成部21、速度演算部22、異常判定部23、及び、表示制御部24について、これらの機能ブロックをそれぞれ実現するためのプログラム、及び、各種データ(例えば、動画データMD)が格納されている。画像処理部19、表示制御部24を例にして説明する。画像処理部19を実現するプログラムは、動画データMDを取得し、動画データMDに上記画像処理をする処理プログラムである。表示制御部24を実現するプログラムは、動画データMDで示される動画をディスプレイ25に表示させたり、画像処理部19によって上記画像処理がされた動画をディスプレイ25に表示させたり、画像Im、撮影情報I3及び保存情報I2をディスプレイ25に表示させたりする表示制御プログラムである。
【0040】
これらのプログラムは、HDD3dに予め記憶されているが、これに限定されない。例えば、これらのプログラムを記録している記録媒体(例えば、磁気ディスク、光学ディスクのような外部記録媒体)が用意されており、この記録媒体に記憶されているプログラムがHDD3dに記憶されてもよい。また、これらのプログラムは、本体部3とネットワーク接続されたサーバ(例えば、
図2に示すサーバ装置200)に格納されており、ネットワークを介して、これらのプログラムがHDD3dに送られ、HDD3dに記憶されてもよい。これらのプログラムは、HDD3dの替わりにROM3cに記憶してもよい。本体部3は、HDD3dの替わりに、フラッシュメモリを備え、これらのプログラムはフラッシュメモリに記憶してもよい。
【0041】
これらのプログラムは、一つのHDDに記憶されていてもよいし、複数のHDDに分散して記憶されていてもよい。後者について、具体例で説明する。制御処理部11及び表示制御部24のそれぞれを実現するプログラムは、第1のHDDに記憶され、取得部14、保存情報生成部16、撮影情報生成部17、画像生成部18、速度演算部22及び異常判定部23のそれぞれを実現するプログラムは、第2のHDDに記憶され、画像処理部19を実現するプログラムは第3のHDDに記憶され、レポート生成部21を実現するプログラムは、第4のHDDに記憶されていてもよい。各HDDを有する各サーバどうしが、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して接続されていてもよい。又は、少なくとも一つのHDDが、USBポートなどに接続された外付けHDDでもよいし、ネットワーク対応のHDD(NAS:Network Attached Storage)でもよい。
【0042】
CPU3aは、ハードウェアプロセッサの一例であり、これらのプログラムを、HDD3dから読み出してRAM3bに展開させ、展開されたプログラムを実行することによって、制御処理部11、取得部14、保存情報生成部16、撮影情報生成部17、画像生成部18、画像処理部19、レポート生成部21、速度演算部22、異常判定部23、及び、表示制御部24が実現される。但し、これらの機能ブロックについて、各機能の一部又は全部は、CPU3aによる処理に替えて、又は、これと共に、DSP(Digital Signal Processor)による処理によって実現されてもよい。又、同様に、各機能の一部又は全部は、ソフトウェアによる処理に替えて、又は、これと共に、専用のハードウェア回路による処理によって実現されてもよい。
【0043】
これらのプログラムは、要素の定義を用いて表現される。取得部14及び取得プログラムを例にして説明する。取得部14は、GPS信号を用いて現在時刻及びガス検知装置1の現在位置を取得する。取得プログラムは、GPS信号を用いて現在時刻及びガス検知装置1の現在位置を取得するプログラムである。
【0044】
CPU3aによって実行されるこれらのプログラムのフローチャートが、後で説明する
図10、
図11である。
【0045】
図2は、実施形態に係るガス漏洩検査システムGSの構成を示すブロック図である。ガス漏洩検査システムGSは、ネットワークNW(例えば、インターネット)に接続可能なガス検知装置1と、ネットワークNWに接続可能なサーバ装置200と、ネットワークNWに接続可能な情報処理装置300と、を備える。
図2に示されるガス検知装置1及び情報処理装置300は、それぞれ一台であるが、複数台でもよい。
【0046】
サーバ装置200は、ガス検知装置1及び情報処理装置300と通信可能な装置である。サーバ装置200は、機能ブロックとして、制御処理部201と、保存情報記憶部202と、画像記憶部203と、レポート記憶部204と、速度演算部205と、異常判定部206と 表示制御部207と、ディスプレイ208と、入力部209と、を備えるコンピュータ装置である。
【0047】
制御処理部201は、サーバ装置200の各部(保存情報記憶部202、画像記憶部203、レポート記憶部204、速度演算部205、異常判定部206、表示制御部207、ディスプレイ208、入力部209)を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するための装置である。制御処理部201は、例えば、CPU、RAM、ROM、及び、HDD等のハードウェア、並びに、制御処理部201の機能を実行するためのプログラムおよびデータ等によって実現される。制御処理部201の機能の一部又は全部は、CPUによる処理に替えて、又は、これと共に、DSPによる処理によって実現されてもよい。又、制御処理部201の機能の一部又は全部は、ソフトウェアによる処理に替えて、又は、これと共に、専用のハードウェア回路による処理によって実現されてもよい。以上説明したことは、速度演算部205、異常判定部206、表示制御部207についても同様のことが言え、情報処理装置300に含まれる制御処理部301、速度演算部302、異常判定部303及び表示制御部304についても同様のことが言える。
【0048】
保存情報記憶部202は、ガス検知装置1から送信されてきた保存情報I2を記憶する。ガス検知装置1が複数ある場合、保存情報記憶部202は、ガス検知装置1の識別情報別に、保存情報I2を記憶する。保存情報記憶部202は、HDD、フラッシュメモリ等によって実現される。次に説明する画像記憶部203、レポート記憶部204についても同様である。
【0049】
画像記憶部203は、ガス検知装置1から送信されてきた、撮影情報I3が付加された画像Im(撮影情報I3が紐付けられた画像Im)を記憶する。ガス検知装置1が複数ある場合、画像記憶部203は、ガス検知装置1の識別情報別に、撮影情報I3が付加された画像Imを記憶する。なお、サーバ装置200が、撮影情報I3が付加された画像Imを保存しない態様の場合、サーバ装置200は、画像記憶部203を備えていない。
【0050】
レポート記憶部204、速度演算部205及び異常判定部206は、後で説明する。
【0051】
表示制御部207は、ガス検知装置1の表示制御部24と同様に、画像Imと、この画像Imに付加された撮影情報I3と、この撮影情報I3と関連する保存情報I2と、をディスプレイ208に表示させる。ディスプレイ208は、例えば、液晶ディスプレイによって実現される。
【0052】
表示制御部207及びディスプレイ208は、第2出力部として機能する。第2出力部は、画像Imと、画像Imに付加された撮影情報I3と、撮影情報I3と関連する保存情報I2と、を出力する。プリンタを第2出力部にしてもよい。
【0053】
入力部209は、サーバ装置200を操作したり、サーバ装置200にデータを入力したりする装置である。入力部209は、タッチパネル、キーボード、マウス等によって実現される。
【0054】
情報処理装置300は、ガス検知装置1及びサーバ装置200と通信可能な装置である。サーバ装置200は、機能ブロックとして、制御処理部301と、速度演算部302と、異常判定部303と、表示制御部304と、ディスプレイ305と、入力部306と、を備えるコンピュータ装置である。具体的には、情報処理装置300は、パソコン、スマートフォン、タブレット端末等である。
【0055】
制御処理部301は、情報処理装置300の各部(速度演算部302、異常判定部303、表示制御部304、ディスプレイ305、入力部306)を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するための装置である。
【0056】
速度演算部302及び異常判定部303は、後で説明する。
【0057】
表示制御部304は、ガス検知装置1の表示制御部24と同様に、画像Imと、画像Imに付加された撮影情報I3と、撮影情報I3と関連する保存情報I2と、をディスプレイ305に表示させる。ディスプレイ305は、例えば、液晶ディスプレイによって実現される。
【0058】
表示制御部304及びディスプレイ305は、第3出力部として機能する。第3出力部は、画像Imと、画像Imに付加された撮影情報I3と、撮影情報I3と関連する保存情報I2と、を出力する。プリンタを第3出力部にしてもよい。
【0059】
入力部306は、情報処理装置300を操作したり、情報処理装置300にデータを入力したりする装置である。入力部306は、タッチパネル、キーボード、マウス等によって実現される。
【0060】
図1Aに示す保存情報生成部16によって保存情報I2が生成されるタイミングと撮影情報生成部17によって撮影情報I3が生成されるタイミングについて、第1例~第4例がある。
図3は、第1例を説明する説明図である。
図4は、第2例を説明する説明図である。
図5は、第3例を説明する説明図である。
図6は、第4例を説明する説明図である。
【0061】
図1A、
図3~
図6を参照して、冷却部9の状態、動画撮影、現在時刻及び現在位置の取得タイミングが、時間軸に沿って示されている。冷却部9の状態には、冷却部9の稼働期間T1と非稼働期間T2とがある。稼働期間T1と非稼働期間T2とが交互に発生する。動画撮影は、ガス検知装置1を用いて撮影される監視対象の動画(画像Im)である。1回の稼働期間中に、動画が1回又は複数回撮影される。図中の矩形領域が撮影期間T3を示している。現在時刻及び現在位置の取得タイミングT4は、取得部14がGPS信号を用いて現在時刻及び現在位置を取得するタイミングである。なお、保存情報I2及び撮影情報I3に含まれる冷却部9の稼働時間は、取得タイミングT4の時点で、計測部10が計測した値である。計測部10は、この値を示す稼働時間情報I1を本体部3に送信する。これにより、保存情報生成部16及び撮影情報生成部17は、稼働時間を取得することができる。
【0062】
図1A及び
図3を参照して、第1例では、動画の撮影期間T3中に現在時刻及び現在位置が取得された取得タイミングT4で、保存情報I2及び撮影情報I3が生成される。詳しく説明する。取得部14は、動画の撮影開始時に、現在時刻及び現在位置を取得し、かつ、計測部10から稼働時間を取得する。動画の撮影期間が10分を超えるとき、取得部14は、10分間隔で、現在時刻及び現在位置を取得し、かつ、計測部10から稼働時間を取得する。10分は例であり、これに限定されない。
【0063】
保存情報生成部16は、動画の撮影期間T3中に、取得部14が現在時刻、現在位置及び稼働時間を取得する毎に、保存情報I2を生成する。ここでは、5分の撮影期間T3-1に含まれる取得タイミングT4-1で保存情報I2が生成され、25分の撮影期間T3-2に含まれる取得タイミングT4-2,T4-3,T4-4のそれぞれで保存情報I2が生成され、15分の撮影期間T3-3に含まれる取得タイミングT4-5,T4-6のそれぞれで保存情報I2が生成される。
【0064】
撮影情報生成部17は、動画の撮影開始時に現在時刻、現在位置及び稼働時間が取得されたタイミングで、この動画に付加する撮影情報I3を生成する。ここでは、5分の撮影期間T3-1に含まれる取得タイミングT4-1で撮影情報I3が生成され、25分の撮影期間T3-2に含まれる取得タイミングT4-2で撮影情報I3が生成され、15分の撮影期間T3-3に含まれる取得タイミングT4-5で撮影情報I3が生成される。
【0065】
図7は、第1例で使われる保存情報I2の雛形の例を説明する説明図である。
図8は、第1例で使われる撮影情報I3の雛形の例を説明する説明図である。
図7及び
図8を参照して、第1例では、保存情報I2を構成する項目と撮影情報I3を構成する項目とは同じである。項目401は、現在時刻を示し、欄401aは、取得された現在時刻を示す。項目402は、現在位置を示し、欄402a,402bは、取得された現在位置を示す。現在位置は、緯度と経度とで示される。
【0066】
項目403は、冷却部9の稼働時間を示し、欄403aは、取得された稼働時間を示す。項目404は、冷却部9の修理交換回数を示し、欄404aは、取得された修理交換回数を示す。修理交換回数は、
図1Aに示す計測部10に記録されている。計測部10は、冷却部9が修理交換される毎に、稼働時間をゼロにリセットし、かつ、修理交換回数をカウントする。計測部10は、稼働時間情報I1に修理交換回数を含める。これにより、保存情報生成部16及び撮影情報生成部17は、修理交換回数を取得できる。なお、計測部10が冷却部9の修理交換回数をカウントしないタイプもある。このタイプにおいて、計測部10は、冷却部9が修理交換されても、稼働時間をリセットせず、交換前の稼働時間から稼働時間を計測を開始する。このタイプの場合、修理交換回数の項目404及び欄404aは不要となる。
【0067】
欄405は、識別情報I4を示し、欄405aは、取得された識別情報I4を示す。保存情報生成部16及び撮影情報生成部17は、識別情報記憶部15に予め記憶されている識別情報I4を読み出すことにより、識別情報I4を取得する。
【0068】
図1A及び
図4を参照して、第2例では、冷却部9の稼働期間T1中に、現在時刻及び現在位置が取得された取得タイミングT4で保存情報I2が生成され、動画の撮影開始時に、現在時刻及び現在位置が取得された取得タイミングT4で撮影情報I3が生成される。詳しく説明する。取得部14は、冷却部9の稼働開始時に、現在時刻及び現在位置を取得し、かつ、計測部10から稼働時間を取得する。その後、取得部14は、冷却部9の稼働期間中、10分間隔で、現在時刻及び現在位置を取得し、かつ、計測部10から稼働時間を取得する。10分は例であり、これに限定されない。保存情報生成部16は、冷却部9の稼働期間T1中に、取得部14が現在時刻、現在位置及び稼働時間を取得する毎に、保存情報I2を生成する。ここでは、稼働期間T1-1に含まれる取得タイミングT4-11~T4-14のそれぞれで保存情報I2が生成され、稼働期間T1-2に含まれる取得タイミングT4-15~T4-18のそれぞれで保存情報I2が生成される。
【0069】
取得部14は、動画の撮影開始時に、現在時刻及び現在位置を取得し、計測部10から稼働時間を取得する。撮影情報生成部17は、このタイミングで、この動画に付加する撮影情報I3を生成する。ここでは、5分の撮影期間T3-1に含まれる取得タイミングT4-19で撮影情報I3が生成され、25分の撮影期間T3-2に含まれる取得タイミングT4-20で撮影情報I3が生成され、15分の撮影期間T3-3に含まれる取得タイミングT4-21で撮影情報I3が生成される。
【0070】
第2例で使われる保存情報I2の雛形は、
図7に示す第1例で使われる保存情報I2の雛形と同じである。第2例で使われる撮影情報I3の雛形は、
図8に示す第1例で使われる撮影情報I3の雛形と同じである。なお、第1例と同様に、保存情報I2及び撮影情報I3には、冷却部9の修理交換回数が含まれる。
【0071】
第2例において、保存情報I2と撮影情報I3とは、別々の取得タイミングT4の下で、生成される。このため、撮影情報I3に含まれる現在時刻が保存情報I2に含まれる現在時刻と一致せず、撮影情報I3に含まれる稼働時間が保存情報I2に含まれる稼働時間と一致しない。しかしながら、保存情報I2が生成される取得タイミングT4-11~T4-18の中に、撮影情報I3が生成される取得タイミングT4-19~T4-21と近いタイミングがある(例えば、取得タイミングT4-19は、取得タイミングT4-11と近い)。従って、検査データの不正の発見は可能である。
【0072】
図1A及び
図5を参照して、第3例は、
図4に示す第2例の変形であり、通信部13がGPS信号の受信に失敗したとき、所定時間経過後(例えば、2分経過後)、通信部13は、GPS信号の受信をトライする。第3例で使われる保存情報I2の雛形は、
図7に示す第1例で使われる保存情報I2の雛形と同じである。第3例で使われる撮影情報I3の雛形は、
図8に示す第1例で使われる撮影情報I3の雛形と同じである。
【0073】
図1A及び
図6を参照して、第4例は、
図5に示す第3例の変形であり、通信部13が撮影期間T3中にGPS信号を受信できなかったとき、撮影情報生成部17は、直近に生成された保存情報I2(直近データ)を基にして、撮影情報I3を生成する。ここでは、15分の撮影期間T3-3中に、通信部13がGPS信号を受信できなかったので、撮影情報生成部17は、取得タイミングT4-56で取得された現在時刻及び現在位置を用いて生成された保存情報I2(直近データ)を基にして、撮影情報I3を生成する。
【0074】
第4例で使われる保存情報I2の雛形は、
図7に示す第1例で使われる保存情報I2の雛形と同じである。第4例で使われる撮影情報I3の雛形は、
図8に示す第1例で使われる撮影情報I3の雛形と異なる。
図9は、第4例で使われる撮影情報I3の雛形の例を説明する説明図である。項目406及び欄406aが追加されている。項目406は、経過時間を示し、欄406aは、撮影情報生成部17が算出した経過時間を示す。経過時間は、直近の保存情報I2の生成に用いられた現在時刻及び現在位置の取得タイミングT4(ここでは取得タイミングT4-56)から経過した時間である。経過時間の終点は、GPS信号の受信ができなかった撮影期間T3(ここでは撮影期間T3-3)の開始である。経過時間を見ることにより、GPS信号の受信ができなかった撮影期間T3と現在時刻とのズレが分かる。
【0075】
動画の撮影期間T3が短いとき、この撮影期間T3中に通信部13がGPS信号を受信できないことがある。撮影情報I3に含まれる現在時刻及び現在位置は、検査データの不正発見の手がかりの一つである。そこで、撮影情報生成部17は、撮影期間T3中に、通信部13がGPS信号を受信できないとき、直近に生成された保存情報I2(直近データ)に含まれる現在時刻及び現在位置を、撮影情報I3に含める。これにより、撮影情報I3に現在時刻及び現在位置を必ず含めることができる。よって、撮影情報I3が現在時刻及び現在位置を含まないとき、検査データをチェックする第三者は、検査データが不正と判断することができる。
【0076】
図2を参照して、ガス検知装置1は、保存情報I2を生成し、保存情報I2をサーバ装置200にアップロードする。
図10は、これを説明するフローチャートである。保存情報I2を生成するタイミングは、
図4に示す第2例とする。第2例では、ガス検知装置1による動画の撮影と関係なく、保存情報I2が生成される。
【0077】
図1A、
図2及び
図10を参照して、検査者がガス検知装置1の電源をオンしたとき、冷却部9は稼働を開始し、制御処理部11は、通信部13に10分間隔でGPS信号を受信させる制御をする(ステップS1)。保存情報生成部16は、通信部13がGPS信号を受信したときに、現在時刻、現在位置、稼働時間、修理交換回数、及び、識別情報I4を取得する(ステップS2)。保存情報生成部16は、取得したこれらの情報(現在時刻、現在位置、稼働時間、修理交換回数、及び、識別情報I4)を用いて、保存情報I2を生成する(ステップS3)。受信部がGPS信号を受信する毎に、ステップS2の処理とステップS3の処理とが繰り返される(ステップS4)。
【0078】
制御処理部11は、通信部13がサーバ装置200とネットワークNWを用いた通信が可能になったとき、保存情報生成部16がこれまでに生成した保存情報I2を、通信部13に送信させる(ステップS5)。サーバ装置200は、ネットワークNWを経由して送信されてきた保存情報I2を受信し、制御処理部201は、受信された保存情報I2を保存情報記憶部202に記憶させる。
【0079】
ステップS5では、通信部13が複数の保存情報I2をまとめてサーバ装置200へ送信しているが、これに限定されない。通信部13は、保存情報I2が生成される毎に、保存情報I2をサーバ装置200に送信してもよい。
【0080】
図1Aに示すガス検知装置1の撮影に関する動作を説明する。
図11は、これを説明するフローチャートである。画像Imは、動画とする。画像Imに付加する撮影情報I3(画像Imに紐付ける撮影情報I3)を生成するタイミングは、
図4に示す第2例とする。
【0081】
図1A及び
図11を参照して、冷却部9が稼働期間中において、検査者が入力部26に含まれる録画開始キーを操作する。これにより、赤外線カメラ2は、赤外画像の動画の撮影を開始する(ステップS11)。入出力ポート8は、この動画の動画データMDを入出力ポート12へ送る。画像処理部19は、送られてきた動画データMDに対して、上記画像処理をする。
【0082】
制御処理部11は、赤外線カメラ2が動画の撮影を開始したとき、通信部13にGPS信号を受信させる制御をする(ステップS12)。撮影情報生成部17は、通信部13がGPS信号を受信したときに、現在時刻、現在位置、稼働時間、修理交換回数、及び、識別情報I4を取得する(ステップS13)。撮影情報生成部17は、取得したこれらの情報(現在時刻、現在位置、稼働時間、修理交換回数、及び、識別情報I4)を用いて、撮影情報I3を生成する(ステップ14)。
【0083】
検査者が入力部26に含まれる録画停止キーを操作する。これにより、赤外線カメラ2は、赤外画像の動画の撮影を終了する(ステップS15)。画像生成部18は、動画の撮影が終了したとき、この撮影期間の動画ファイルを作成する。動画ファイルに含まれる動画(画像Im)は、画像処理部19が画像処理をした動画である。なお、画像処理がされない場合、赤外画像の動画である。
【0084】
動画ファイルに含まれるメタデータには、テキストを埋め込むことができる(静止画ファイルについても同様である)。画像生成部18は、ステップS14で生成された撮影情報I3をテキストとしてメタデータに埋め込む処理をする。これにより、撮影情報I3が付加された動画(画像Im)が生成される(ステップS16)。画像生成部18は、撮影情報I3を暗号化処理してメタデータに埋め込む処理をすることが好ましい。画像生成部18は、撮影情報I3が付加された動画(画像Im)を、画像記憶部20に記憶させる(ステップS17)。
【0085】
制御処理部11は、通信部13がサーバ装置200とネットワークNWを用いた通信が可能になったとき、ステップS16で生成された、撮影情報I3が付加された動画を、通信部13に送信させる(ステップS18)。サーバ装置200は、ネットワークNWを経由して送信されてきた、撮影情報I3が付加された動画を受信し、制御処理部201は、撮影情報I3が付加された動画(画像Im)を、画像記憶部203に記憶させる。
【0086】
図2に示す保存情報記憶部202に記憶されている保存情報I2の閲覧について説明する。保存情報記憶部202は、ガス検知装置1から収集された多数の保存情報I2を記憶している。表示制御部207は、保存情報記憶部202に記憶されている多数の保存情報I2を、一覧表TBに変換し、一覧表TBをディスプレイ208に表示させることができる。
図12は、一覧表TBの例の一部を説明する説明図である。識別情報I4「00000231」で特定されるガス検知装置1の一覧表TBの一部である。一覧表TBの項目は、
図7に示す保存情報I2の項目のうち、識別情報I4の項目405以外の項目である。すなわち、一覧表TBは、冷却部9の稼働時間、冷却部9の修理交換回数、現在時刻、現在位置のそれぞれの項目を有する。
【0087】
図2及び
図12を参照して、検査データをチェックする第三者は、一覧表TBを見て、上記識別情報I4で特定されるガス検知装置1の使用状況を確認することができる。検査データは、画像Im、画像Imの撮影場所、撮影日時等である。撮影場所は、撮影情報I3に含まれる現在位置である。撮影日時は、撮影情報I3に含まれる現在時刻である。2018年3月20日15時43分52秒を現在時刻として含む保存情報I2があり、この次に、2018年3月23日8時10分32秒を現在時刻として含む保存情報I2がある。従って、この期間、ガス検知装置1は使用されていなかったことが分かる。
【0088】
現在位置の項目で示される欄がクリックされると、表示制御部207は、この欄で示される現在位置を示す地図をディスプレイ208に表示させてもよい。
【0089】
表示制御部207は、画像記憶部203に記憶されている画像Imと画像Imに付加された撮影情報I3をディスプレイ208に表示させることができる。検査データをチェックする第三者は、一覧表TBと、上記識別情報I4で特定されるガス検知装置1によって撮影された画像Im(動画)に付加された撮影情報I3とを、比べることにより、この画像Imが本当に、その時刻、その位置で撮影されたか否かを判断することができる。例えば、撮影情報I3に含まれる現在時刻が、2018年3月21日の時間帯の場合、一覧表TBによれば、この日は、ガス検知装置1が使用されていない。従って、この画像Imを含む検査データは、不正と見なされる。
【0090】
また、例えば、撮影情報I3に含まれる現在時刻が、2018年3月23日8時の時間帯とする。一覧表TBにおいて、これに対応するのは、2018年3月23日8時10分32秒を現在時刻として含む保存情報I2である。しかし、この撮影情報I3に含まれる現在位置と、この保存情報I2に含まれる現在位置とが大きく離れている場合(例えば、200km)、この画像Imを含む検査データは、不正と見なされる。
【0091】
画像Imには、必ず撮影情報I3が付加されるので、撮影情報I3が付加されていない画像Imを含む検査データは、不正と見なされる。
【0092】
以上のように、実施形態によれば、検査データをチェックする第三者は、画像Imを含む検査データの不正を発見できるので、画像Imを含む検査データの信頼性を向上させることができる。また、この第三者は、一覧表TBを見てガス検知装置1の使用状況を確認することができる。
【0093】
保存情報I2及び撮影情報I3は、冷却部9の稼働時間を含むので、ガス検知装置1が手元になくても、冷却部9の稼働時間の確認が可能となる。
【0094】
検査データをチェックする第三者は、一覧表TB、画像Im及び撮影情報I3を、サーバ装置200以外の装置(情報処理装置300、ガス検知装置1)でも見ることができる。情報処理装置300の場合、サーバ装置200は、保存情報記憶部202に記憶されている保存情報I2と、画像記憶部203に記憶されている画像Im及び撮影情報I3とを、ネットワークNWを経由して、情報処理装置300に送信する。表示制御部304は、送信されてきた保存情報I2を一覧表TBに変換し、一覧表TBをディスプレイ305に表示させ、送信されてきた画像Im及び撮影情報I3をディスプレイ305に表示させたりする。
【0095】
ガス検知装置1の場合、サーバ装置200は、保存情報記憶部202に記憶されている保存情報I2を、ネットワークNWを経由して、ガス検知装置1に送信する。
図1Aに示す表示制御部24は、送信されてきた保存情報I2を一覧表TBに変換し、一覧表TBをディスプレイ25に表示させ、画像記憶部20に記憶されている画像Im及び撮影情報I3をディスプレイ25に表示させたりする。
【0096】
図1Aに示すレポート生成部21について説明する。レポート生成部21は、ガス検査レポートデータRPを生成する。検査者が、ガス漏れの監視対象に対して、ガス漏れの有無を検査し、ガス漏れの有無を視覚的に示す証拠を含むガス検査レポートデータRPが作成されることがある。レポート生成部21は、画像Imを含むガス検査レポートデータRPを生成する。
図13は、ガス検査レポートデータRPの例を説明する説明図である。ガス検査レポートデータRPは、所定の項目欄(例えば、日時欄、場所欄、検査者欄、天候欄、風速欄)を含み、画像Imが貼り付けられている。ガス検査レポートデータRPは、さらに、撮影情報I3と保存情報I2とを比較できる比較情報I5とリンクしている。比較情報I5の詳細は後で説明する。
【0097】
図1A及び
図13を参照して、検査者は、ガス検査レポートデータRPに貼り付ける画像Imを入力部26を操作して選択する。ガス検査レポートデータRPが電子データの場合、画像Imは、動画でもよいし、静止画でもよい。ガス検査レポートデータRPが紙の場合、画像Imは、静止画である。静止画の場合、検査者は、入力部26を操作して、動画のフレームの中からガス検査レポートデータRPに貼り付ける静止画を選択する。
【0098】
検査者が入力部26を操作して、レポートを生成する命令を入力したとき、レポート生成部21は、ガス検査レポートデータRPを生成する。詳しく説明する。
【0099】
取得部14は、レポートの生成命令が入力されたとき、GPS信号を用いて現在時刻及び現在位置を取得し、取得した現在時刻をガス検査レポートデータRPの日時欄に入力し、取得した現在位置を場所欄に入力する。
【0100】
ガス検知装置1は、ログイン機能を有する。レポート生成部21は、レポートの生成命令が入力された時点で、ログインしているユーザーの氏名を、検査者欄に入力する。
【0101】
ガス検知装置1は、現在位置の天気情報を取得する機能を有する。ガス検知装置1は、レポートの生成命令が入力されたとき、その機能を利用して、現在位置の天気情報を取得する。レポート生成部21は、この天気情報を天気欄に入力する。
【0102】
ガス検知装置1は、風速計(不図示)と接続可能にされている。検査者は、風速計をガス検知装置1に接続する。レポート生成部21は、風速計が計測した風速値を、風速欄に入力する。
【0103】
レポート生成部21は、検査者によって選択された画像Imを、ガス検査レポートデータRPの所定位置に貼り付ける。
【0104】
レポート生成部21は、以上のようにして、ガス検査レポートデータRPを生成する。表示制御部24は、ガス検査レポートデータRPをディスプレイ25に表示させる。検査者は、ディスプレイ25を見て、ガス検査レポートデータRPの内容を確認することができる。
【0105】
図1A、
図2及び
図13を参照して、検査者は、ガス検査レポートデータRPを電子データの形式で提出する場合、検査者は、入力部26を操作して、ガス検査レポートデータRPの送信命令を入力する。制御処理部11は、サーバ装置200を宛先として、通信部13にガス検査レポートデータRPを送信させる。ガス検査レポートデータRPは、ネットワークNWを経由して、サーバ装置200に送られる。制御処理部201は、送られてきたガス検査レポートデータRPをレポート記憶部204に記憶させる。
【0106】
ガス検査レポートデータRPのチェック者(例えば、検査データをチェックする第三者)は、入力部209を操作して、ガス検査レポートデータRPの表示命令を入力する。これにより、表示制御部207は、レポート記憶部204に記憶されているガス検査レポートデータRPをディスプレイ208に表示させる。
【0107】
ガス検査レポートデータRPのチェック者が、入力部209を操作して、「比較情報」の文字をクリックすると、表示制御部207は、比較情報I5を生成し、生成した比較情報I5をディスプレイ208に表示させる。
図14は、比較情報I5の例を説明する説明図である。比較情報I5は、ガス検査レポートデータRPに貼り付けられた画像Imと、この画像Imの撮影情報I3と、この撮影情報I3に含まれる現在時刻と同じ又は近い現在時刻を含む複数の保存情報I2と、を備える。ガス検査レポートデータRPのチェック者は、比較情報I5を見ることにより、画像Imを含む検査データが不正か否かを判断することができる。比較情報I5がサーバ装置200のディスプレイ208で表示される例で説明したが、比較情報I5がガス検知装置1のディスプレイ25で表示されてもよいし、情報処理装置300のディスプレイ305で表示されてもよい。
【0108】
ガス検査レポートデータRPが紙形式の場合、ガス検査レポートデータRPは、比較情報I5のリンク先を示す情報(例えば、URL)を含む。この情報は文字、記号で表示してもよいし、二次元コードで表示してもよい。
【0109】
図2に示す速度演算部205(第2演算部)及び異常判定部206(第2判定部)について説明する。これらにより、ガス検知装置1の移動速度が異常か否かが判定される。ガス検知装置1の移動速度が大きいとき(例えば、時速100km)、ガス検知装置1が使用中(冷却部9が稼働中)でなく、ガス検知装置1が移動中と考えられる。ガス検知装置1が使用中に(例えば、撮影情報I3に含まれる稼働時間と保存情報I2に含まれる稼働時間とが近い場合、ガス検知装置1が使用中と推定される)、ガス検知装置1の移動速度が大きい場合、ガス検査レポートデータRPのチェック者(検査データをチェックする第三者)は、検査データが不正と判断することができる。
【0110】
図15は、ガス検知装置1の移動速度が異常か否かを判定する処理を説明するフローチャートである。
図2、
図14及び
図15を参照して、ガス検査レポートデータRPのチェック者は、比較情報I5がディスプレイ208に表示された状態で、入力部209を操作して、移動速度を求める命令を入力する(ステップS21)。
【0111】
速度演算部205は、撮影情報I3に含まれる識別情報I4と同じ識別情報I4を含む保存情報I2の中から、撮影情報I3に含まれる現在時刻と直近の現在時刻を含む保存情報I2を特定する(ステップS22)。直近としたのは、これにより、ガス検知装置1が使用中と推定できるからである。撮影情報I3は、
図14に示す撮影情報I3である。2018年3月29日10時10分20秒を現在時刻として含む保存情報I2が特定される。
【0112】
速度演算部205は、ステップS22で特定した保存情報I2に含まれる現在時刻、現在位置と、撮影情報I3に含まれる現在時刻、現在位置とを用いて、ガス検知装置1の移動速度を演算する(ステップS23)。
【0113】
異常判定部206は、ステップS23で演算された移動速度が異常か否かを判定する(ステップS24)。例えば、異常判定部206は、移動速度が所定のしきい値を超えていれば、移動速度が異常と判定し、移動速度が所定のしきい値以下であれば、移動速度が異常でないと判定する。
【0114】
異常判定部206が移動速度が異常でないと判定したとき(ステップS24でNo)、表示制御部207は、移動速度が異常でないことをディスプレイ208に表示させる(ステップS25)。異常判定部206が移動速度が異常と判定したとき(ステップS24でYes)、表示制御部207は、移動速度が異常であることをディスプレイ208に表示させる(ステップS26)。
【0115】
異常判定部206を備えない態様も可能である。この態様の場合、表示制御部207は、ステップS23で演算された移動速度をディスプレイ208に表示させる。ガス検査レポートRPのチェック者は、ディスプレイ208に表示された移動速度を見て、この移動速度が異常か否かを判断する。
【0116】
ガス検知装置1の移動速度の演算と異常判定とは、サーバ装置200以外の装置(情報処理装置300、ガス検知装置1)でも実行することができる。情報処理装置300の場合、速度演算部302(第3演算部)が速度演算部205と同じ機能を有し、異常判定部303(第3判定部)が異常判定部206と同じ機能を有する。ガス検知装置1の場合、速度演算部22(演算部)が速度演算装置205と同じ機能を有し、異常判定部23(判定部)が異常判定部206と同じ機能を有する。
【0117】
(実施形態の纏め)
第1態様に係るカメラ装置は、赤外画像を基にしたガス検知に使用されるカメラ装置であって、前記赤外画像を撮影する撮像素子と、前記撮像素子を冷却する冷却部と、前記冷却部の稼働時間を計測する計測部と、GPS信号を受信する受信部と、前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する取得部と、前記カメラ装置の識別情報を記憶する記憶部と、前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する第1生成部と、前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する通信部と、前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する第2生成部と、前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する第3生成部と、を備える。
【0118】
冷却部の稼働の開始・停止がカメラ装置の電源のオン・オフと連動しているとき、カメラ装置の電源のオン期間が、冷却部の稼働期間となる。冷却部を稼働させるスイッチがカメラ装置の電源スイッチと別にカメラ装置に設けられているとき、冷却部を稼働させるスイッチのオン期間が冷却部の稼働期間となる。
【0119】
第1生成部が、保存情報に含める現在時刻、現在位置、稼働時間、識別情報を取得するタイミングと、第2生成部が、撮影情報に含める現在時刻、現在位置、稼働時間、識別情報を取得するタイミングとは、同じでもよいし、異なっていてもよい。実施形態で説明するように様々な例がある。
【0120】
ガス検知用の赤外線カメラには、撮像素子を冷却するタイプと、撮像素子を冷却しないタイプとがある。冷却タイプは、非冷却タイプより高感度撮影を実現することができる。本発明の第1態様に係るカメラ装置は、冷却タイプを前提とする。冷却タイプは、撮像素子を冷却する冷却部を備えている。冷却部の稼働時間が長くなるに従って、冷却性能が低下するので、冷却部は、稼働時間が所定時間(例えば、1万5千時間)に達した時点で交換する必要がある。このため、計測部が、冷却部の稼働時間を計測している。
【0121】
稼働時間が上記所定時間に達したことを正確に計測する必要があるので、計測部が計測している稼働時間は、検査者(撮影者、カメラ装置の使用者)が書き換えることができないようにされている。保存情報は、サーバ装置に保存されているので、検査者は、保存情報を書き換えることが困難である。従って、保存情報に含まれる稼働時間は、信頼性が極めて高い。
【0122】
稼働時間は、撮影情報と保存情報とに含められているので、検査データ(画像、この画像の撮影時刻、撮影位置等)をチェックする第三者は、それを手がかりの一つにして、不正(例えば、去年の検査データを今年の検査データにする)を発見することができる。従って、第1態様に係るカメラ装置によれば、検査データの信頼性を向上させることができる。
【0123】
上記構成において、前記画像を含むガス検査レポートデータを生成する第4生成部をさらに備える。
【0124】
検査者が、ガス漏れの監視対象に対して、ガス漏れの有無を検査し、ガス漏れの有無を視覚的に示す証拠を含むガス検査レポートデータが作成されることがある。この構成によれば、検査者がカメラ装置を用いて撮影した赤外画像を基にして生成された画像をガス検査レポートデータに含めることができる。
【0125】
上記構成において、前記撮像素子が撮影した前記赤外画像に対して、漏洩しているガスを示す像が見やすくなる画像処理をして前記画像を生成する画像処理部をさらに備える。
【0126】
赤外画像では、漏洩しているガスを示す像(ガス像)が見にくいことがある。画像処理部は、赤外画像に対して、漏洩しているガスを示す像が見やすくなる画像処理をする。この構成によれば、この画像処理がされた画像を検査データの画像(撮影情報が紐付けられた画像)にすることができる。また、この構成によれば、この画像処理がされた画像をガス検査レポートデータに含めることができる。
【0127】
上記構成において、前記第2生成部は、前記稼働期間に含まれ、前記撮像素子が前記赤外画像を撮影している撮影期間中に、前記受信部が受信した前記GPS信号を用いて取得された前記現在時刻及び前記現在位置と、前記撮影期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含む前記撮影情報を生成し、前記第2生成部は、前記撮影期間中に前記受信部が前記GPS信号を受信できないとき、直近に生成された前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置を、前記撮影情報に含める。
【0128】
取得部は、撮影期間中に受信されたGPS信号を用いて、撮影情報に含められる現在時刻及び現在位置を取得する。赤外画像の撮影期間は、冷却部の稼働期間内であり、稼働期間よりも短い。このため、撮影期間中に、受信部がGPS信号を受信できない可能性がある(例えば、15秒の動画の撮影期間中に、受信部がGPS信号を受信することができなかった)。撮影情報に含まれる現在時刻及び現在位置は、検査データの不正発見の手がかりの一つである。そこで、第2生成部は、撮影期間中に受信部がGPS信号を受信できないとき、直近に生成された保存情報に含まれる現在時刻及び現在位置を、撮影情報に含める。これにより、撮影情報に現在時刻及び現在位置を必ず含めることができる。よって、撮影情報が現在時刻及び現在位置を含まないとき、検査データをチェックする第三者は、検査データが不正と判断することができる。
【0129】
上記構成において、前記撮影情報が紐付けられた前記画像と、前記撮影情報と、前記保存情報と、を出力する出力部をさらに備える。
【0130】
この構成によれば、検査データをチェックする第三者は、カメラ装置を用いて、検査データのチェック及び不正チェックをすることができる。
【0131】
上記構成において、同じ前記識別情報を含む前記撮影情報と前記保存情報とについて、前記撮影情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置と、前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置とを用いて、前記カメラ装置の移動速度を演算する演算部をさらに備える。
【0132】
カメラ装置の移動速度が大きいとき(例えば、時速100km)、カメラ装置が使用中(冷却部が稼働中)でなく、カメラ装置が移動中と考えられる。カメラ装置が使用中に(例えば、撮影情報に含まれる稼働時間と保存情報に含まれる稼働時間とが近い場合、カメラ装置が使用中と推定される)、カメラ装置の移動速度が大きい場合、検査データをチェックする第三者は、検査データが不正と判断することができる。
【0133】
上記構成において、前記移動速度が異常か否かを判定する判定部をさらに備える。
【0134】
この構成によれば、カメラ装置の移動速度が異常か否かを判定することができる。判定部は、例えば、移動速度が予め定められたしきい値を超えているとき、移動速度が異常と判定し、移動速度がしきい値以下のとき、移動速度が異常でないと判定する。
【0135】
第2態様に係るガス漏洩検査システムは、前記カメラ装置と、前記サーバ装置と、を備えるガス漏洩検査システムであって、前記サーバ装置は、前記撮影情報が紐付けられた前記画像と、前記撮影情報と、前記保存情報と、を出力する第2出力部を備える。
【0136】
第2態様に係るガス漏洩検査システムによれば、検査データをチェックする第三者は、サーバ装置を用いて、検査データのチェック及び不正チェックをすることができる。
【0137】
上記構成において、前記サーバ装置は、同じ前記識別情報を含む前記撮影情報と前記保存情報とについて、前記撮影情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置と、前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置とを用いて、前記カメラ装置の移動速度を演算する第2演算部をさらに備える。
【0138】
この構成によれば、カメラ装置の移動速度をサーバ装置で求めることができる。
【0139】
上記構成において、前記サーバ装置は、前記移動速度が異常か否かを判定する第2判定部をさらに備える。
【0140】
この構成によれば、カメラ装置の移動速度が異常か否かをサーバ装置が判定することができる。
【0141】
第3態様に係るガス漏洩検査システムは、前記カメラ装置と、前記サーバ装置と、前記サーバ装置と通信可能な情報処理装置と、を備えるガス漏洩検査システムであって、前記情報処理装置は、前記撮影情報が紐付けられた前記画像と、前記撮影情報と、前記保存情報と、を出力する第3出力部を備える。
【0142】
第3態様に係るガス漏洩検査システムによれば、検査データをチェックする第三者は、情報処理装置を用いて、検査データのチェック及び不正チェックをすることができる。
【0143】
上記構成において、前記情報処理装置は、同じ前記識別情報を含む前記撮影情報と前記保存情報とについて、前記撮影情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置と、前記保存情報に含まれる前記現在時刻及び前記現在位置とを用いて、前記カメラ装置の移動速度を演算する第3演算部をさらに備える。
【0144】
この構成によれば、カメラ装置の移動速度を情報処理装置で求めることができる。
【0145】
上記構成において、前記情報処理装置は、前記移動速度が異常か否かを判定する第3判定部をさらに備える。
【0146】
この構成によれば、カメラ装置の移動速度が異常か否かを情報処理装置が判定することができる。
【0147】
第4態様に係るガス漏洩検査方法は、赤外画像を撮影する撮像素子と、前記撮像素子を冷却する冷却部と、前記冷却部の稼働時間を計測する計測部と、GPS信号を受信する受信部と、前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する取得部と、前記カメラ装置の識別情報を記憶する記憶部と、を備えるカメラ装置を用いたガス漏洩検査方法であって、第1生成部が、前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する第1生成ステップと、通信部が、前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する通信ステップと、第2生成部が、前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する第2生成ステップと、第3生成部が、前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する第3生成ステップと、を備える。
【0148】
第4態様に係るガス漏洩検査方法は、第1態様に係るカメラ装置を方法の観点から規定しており、第1態様に係るカメラ装置と同様の作用効果を有する。
【0149】
第5態様に係るガス漏洩検査プログラムは、赤外画像を撮影する撮像素子と、前記撮像素子を冷却する冷却部と、前記冷却部の稼働時間を計測する計測部と、GPS信号を受信する受信部と、前記GPS信号を用いて現在時刻及び前記カメラ装置の現在位置を取得する取得部と、前記カメラ装置の識別情報を記憶する記憶部と、を備えるカメラ装置を用いたガス漏洩検査のプログラムであって、前記冷却部の稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、サーバ装置で保存される保存情報を生成する第1生成ステップと、前記保存情報を前記サーバ装置へ送信する通信ステップと、前記稼働期間中に前記取得部が取得した前記現在時刻及び前記現在位置と、前記稼働期間中に前記計測部が計測した前記稼働時間と、前記記憶部に記憶されている前記識別情報と、を含み、画像と紐付けられる撮影情報を生成する第2生成ステップと、前記撮影情報が紐付けられた前記画像を、前記稼働期間中に前記撮像素子が撮影した前記赤外画像を基にして生成する第3生成ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0150】
第5態様に係るガス漏洩検査プログラムは、第1態様に係るカメラ装置をプログラムの観点から規定しており、第1態様に係るカメラ装置と同様の作用効果を有する。
【0151】
本発明の実施形態が詳細に図示され、かつ、説明されたが、それは単なる図例及び実例であって限定ではない。本発明の範囲は、添付されたクレームの文言によって解釈されるべきである。
【0152】
2018年5月16日に提出された日本国特許出願特願2018-094867は、その全体の開示が、その全体において参照によりここに組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明によれば、カメラ装置、ガス漏洩検査システム、ガス漏洩検査方法、及び、ガス漏洩検査プログラムを提供することができる。