(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】プレートチェンジャおよびそれを備えるクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20220524BHJP
G01N 30/24 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
G01N35/04 C
G01N35/04 H
G01N30/24 E
(21)【出願番号】P 2020554743
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2018040905
(87)【国際公開番号】W WO2020090121
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】今枝 航大
(72)【発明者】
【氏名】沢田 拓也
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/176621(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168076(WO,A1)
【文献】特開平06-024510(JP,A)
【文献】特開2011-110067(JP,A)
【文献】特開平05-162812(JP,A)
【文献】特開昭63-218080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
G01N 30/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートサンプラに対するサンプルプレートの供給および回収を行うプレートチェンジャであって、
サンプルプレートを収容する筐体と、
サンプルプレートを支持する1または複数の第1の棚板と、
前記筐体内で前記1または複数の第1の棚板を異なる高さにそれぞれ支持する1または複数の板支持部と、
各板支持部上に第1の棚板が支持されているか否かを検出する第1の検出部とを備え、
各第1の棚板は、前記1または複数の板支持部のいずれかに支持可能かつ取り外し可能に構成された、プレートチェンジャ。
【請求項2】
前記第1の検出部は、前記1または複数の板支持部にそれぞれ対応して設けられる1または複数の棚板検出部を含み、
各棚板検出部は、
第1の状態と第2の状態との間で移行可能に構成された第1の可動部材と、
前記第1の可動部材が前記第1および第2の状態のいずれの状態にあるのかを検出する第1のセンサとを含み、
前記第1の可動部材は、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときに第1の状態となり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されるときに第2の状態となるように設けられた、請求項1記載のプレートチェンジャ。
【請求項3】
前記第1のセンサは、予め定められた第1の検出領域に光を出射するとともに前記第1の検出領域からの光を受光し、受光量に応じた信号を出力する光センサであり、
前記第1の可動部材は、前記第1のセンサから出射される光を遮光可能な第1の遮光体を有し、前記第1および第2の状態のうち一方の状態にあるときに当該第1の遮光体が前記第1の検出領域に位置し、前記第1および第2の状態のうち他方の状態にあるときに当該第1の遮光体が前記第1の検出領域外に位置するように設けられた、請求項2記載のプレートチェンジャ。
【請求項4】
前記第1の可動部材は、予め定められた第1の回転軸の周りで回転することにより前記第1の状態および第2の状態に移行可能であり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときに前記第1の棚板に当接しないことにより前記第1の状態で保持され、対応する板支持部に第1の棚板が支持されるときに当該第1の棚板に当接することにより前記第2の状態で保持される、請求項3記載のプレートチェンジャ。
【請求項5】
前記1または複数の板支持部に支持された前記1または複数の第1の棚板の各々にサンプルプレートが載置されているか否かを検出する第2の検出部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレートチェンジャ。
【請求項6】
前記第2の検出部は、前記1または複数の板支持部にそれぞれ対応して設けられる1または複数の第1のプレート検出部を含み、
各第1のプレート検出部は、
第3の状態と第4の状態との間で移行可能に構成された第2の可動部材と、
前記第2の可動部材が前記第3および第4の状態のいずれの状態にあるのかを検出する第2のセンサとを含み、
前記第2の可動部材は、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときおよび対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されないときに第3の状態となり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されるときに第4の状態となるように設けられた、請求項5記載のプレートチェンジャ。
【請求項7】
前記第2のセンサは、予め定められた第2の検出領域に光を出射するとともに前記第2の検出領域からの光を受光し、受光量に応じた信号を出力する光センサであり、
前記第2の可動部材は、前記第2のセンサから出射される光を遮光可能な第2の遮光体を有し、前記第3および第4の状態のうち一方の状態にあるときに当該第2の遮光体が前記第2の検出領域に位置し、前記第3および第4の状態のうち他方の状態にあるときに当該第2の遮光体が前記第2の検出領域外に位置するように設けられた、請求項6記載のプレートチェンジャ。
【請求項8】
各第1の棚板には、当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されることにより変形する弾性部材が設けられ、
前記第2の可動部材は、予め定められた第2の回転軸の周りで回転することにより前記第3の状態および第4の状態に移行可能であり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときおよび対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されないときに前記弾性部材に当接しないことにより前記第3の状態で保持され、対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されるときに当該第1の棚板に設けられた変形した弾性部材に当接することにより前記第4の状態で保持される、請求項7記載のプレートチェンジャ。
【請求項9】
前記筐体内で前記1または複数の板支持部とは異なる高さに固定されかつサンプルプレートを支持する1または複数の第2の棚板をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレートチェンジャ。
【請求項10】
前記1または複数の第2の棚板の各々にサンプルプレートが載置されているか否かを検出する第3の検出部をさらに備える、請求項9記載のプレートチェンジャ。
【請求項11】
前記第3の検出部は、前記1または複数の第2の棚板にそれぞれ対応して設けられる1または複数の第2のプレート検出部を含み、
各第2のプレート検出部は、
第5の状態と第6の状態との間で移行可能に構成された第3の可動部材と、
前記第3の可動部材が前記第5および第6の状態のいずれの状態にあるのかを検出する第3のセンサとを含み、
前記第3の可動部材は、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されないときに第5の状態となり、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されるときに第6の状態となるように設けられた、請求項10記載のプレートチェンジャ。
【請求項12】
前記第3のセンサは、予め定められた第3の検出領域に光を出射するとともに前記第3の検出領域からの光を受光し、受光量に応じた信号を出力する光センサであり、
前記第3の可動部材は、前記第3のセンサから出射される光を遮光可能な第3の遮光体を有し、前記第5および第6の状態のうち一方の状態にあるときに当該第3の遮光体が前記第3の検出領域に位置し、前記第5および第6の状態のうち他方の状態にあるときに当該第3の遮光体が前記第3の検出領域外に位置するように設けられた、請求項11記載のプレートチェンジャ。
【請求項13】
前記第3の可動部材は、予め定められた第3の回転軸の周りで回転することにより前記第5の状態および第6の状態に移行可能であり、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されないときに前記サンプルプレートに当接しないことにより前記第5の状態で保持され、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されるときに当該サンプルプレートに当接することにより前記第6の状態で保持される、請求項12記載のプレートチェンジャ。
【請求項14】
前記第1の検出部による検出結果を提示する提示部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレートチェンジャ。
【請求項15】
オートサンプラと、
前記1~4のいずれか一項に記載のプレートチェンジャとを備えるクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートサンプラに対してサンプルプレートの供給および回収を行うプレートチェンジャおよびそれを備えるクロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ等の分析装置に用いられるオートサンプラにおいては、例えば予め定められた位置にサンプルプレートが位置決めされる。サンプルプレートは、複数のサンプルバイアルまたは複数のサンプル自体を保持するプレートである。この状態で、サンプルプレートに保持されるサンプルが分析装置の分析流路に注入される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
オートサンプラに付随する装置として、サンプルプレートをオートサンプラに自動供給するためのプレートチェンジャがある。プレートチェンジャは、プレート保管庫およびプレート搬送装置を有する。プレート保管庫は、複数のサンプルプレートを収容する。プレート搬送装置は、プレート保管庫とオートサンプラとの間でサンプルプレートを搬送する。
【文献】特開2016-70695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレート保管庫においては、例えば複数のサンプルプレートがそれぞれ載置される複数の棚板が上下方向に一定間隔をおいて並ぶように設けられる。しかしながら、プレート保管庫に収容される複数のサンプルプレートは同一の高さ(上下方向のサイズ)を有するとは限らない。そのため、複数の棚板の間隔は、最大高さを有するサンプルプレートが載置可能となるように設定される。したがって、プレート保管庫に収容可能なサンプルプレートの数は、プレート保管庫の上下方向の寸法および最大高さを有するサンプルプレートの寸法により制限される。
【0005】
一方、プレート保管庫においては、より多数のサンプルプレートが収容されることにより分析作業の効率化が図られる。そこで、使用される複数のサンプルプレートの高さが小さい場合には、新たな棚板を追加することにより多数のサンプルプレートを収容することが可能となる。この場合、プレート保管庫内の各棚板の位置を正確に把握していないと、サンプルプレートの正確な搬送ができない。
【0006】
本発明の目的は、棚板の数が可変でかつ各棚板の位置が容易に把握され得るプレートチェンジャおよびそれを備えるクロマトグラフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一局面に従うプレートチェンジャは、オートサンプラに対するサンプルプレートの供給および回収を行うプレートチェンジャであって、サンプルプレートを収容する筐体と、サンプルプレートを支持する1または複数の第1の棚板と、筐体内で1または複数の第1の棚板を異なる高さにそれぞれ支持する1または複数の板支持部と、各板支持部上に第1の棚板が支持されているか否かを検出する第1の検出部とを備え、各第1の棚板は、1または複数の板支持部のいずれかに支持可能かつ取り外し可能に構成されている。
【0008】
そのプレートチェンジャにおいては、使用者は、筐体内の1または複数の板支持部のいずれかに第1の棚板を支持させることができる。また、使用者は、筐体内の1または複数の板支持部のいずれかに支持される第1の棚板を取り外すことができる。このように、筐体内の第1の棚板の数が可変であることにより、使用者は、使用されるサンプルプレートの上下方向の寸法および筐体の上下方向の寸法に応じて筐体の内部空間を有効に利用することができる。
【0009】
各板支持部上に第1の棚板が支持されているか否かがそれぞれ検出される。それにより、筐体内の第1の棚板の位置を正確に把握することが可能になる。したがって、プレートチェンジャにおけるサンプルプレートの搬送の信頼性が向上する。
【0010】
(2)第1の検出部は、1または複数の板支持部にそれぞれ対応して設けられる1または複数の棚板検出部を含み、各棚板検出部は、第1の状態と第2の状態との間で移行可能に構成された第1の可動部材と、第1の可動部材が第1および第2の状態のいずれの状態にあるのかを検出する第1のセンサとを含み、第1の可動部材は、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときに第1の状態となり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されるときに第2の状態となるように設けられてもよい。
【0011】
この場合、簡単な構成で各板支持部に第1の棚板が支持されているか否かを検出することができる。
【0012】
(3)第1のセンサは、予め定められた第1の検出領域に光を出射するとともに第1の検出領域からの光を受光し、受光量に応じた信号を出力する光センサであり、第1の可動部材は、第1のセンサから出射される光を遮光可能な第1の遮光体を有し、第1および第2の状態のうち一方の状態にあるときに当該第1の遮光体が第1の検出領域に位置し、第1および第2の状態のうち他方の状態にあるときに当該第1の遮光体が第1の検出領域外に位置するように設けられてもよい。
【0013】
この場合、第1のセンサから出力される信号に基づいて第1の可動部材が第1および第2の状態のいずれの状態にあるのかを容易かつ正確に検出することが可能になる。
【0014】
(4)第1の可動部材は、予め定められた第1の回転軸の周りで回転することにより第1の状態および第2の状態に移行可能であり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときに第1の棚板に当接しないことにより第1の状態で保持され、対応する板支持部に第1の棚板が支持されるときに当該第1の棚板に当接することにより第2の状態で保持されてもよい。
【0015】
この場合、第1の可動部材は、対応する板支持部に第1の棚板が載置されることおよび対応する板支持部から第1の棚板が取り除かれることに連動して、第1の状態と第2の状態との間で移行する。したがって、各板支持部に第1の棚板が支持されているか否かの検出の信頼性が向上する。
【0016】
(5)プレートチェンジャは、1または複数の板支持部に支持された1または複数の第1の棚板の各々にサンプルプレートが載置されているか否かを検出する第2の検出部をさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、各第1の棚板上にサンプルプレートが載置されているか否かが検出される。それにより、筐体内の1または複数のサンプルプレートの収容状態を正確に把握することが可能になる。
【0018】
(6)第2の検出部は、1または複数の板支持部にそれぞれ対応して設けられる1または複数の第1のプレート検出部を含み、各第1のプレート検出部は、第3の状態と第4の状態との間で移行可能に構成された第2の可動部材と、第2の可動部材が第3および第4の状態のいずれの状態にあるのかを検出する第2のセンサとを含み、第2の可動部材は、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときおよび対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されないときに第3の状態となり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されるときに第4の状態となるように設けられてもよい。
【0019】
この場合、簡単な構成で各第1の棚板上にサンプルプレートが支持されているか否かを検出することができる。
【0020】
(7)第2のセンサは、予め定められた第2の検出領域に光を出射するとともに第2の検出領域からの光を受光し、受光量に応じた信号を出力する光センサであり、第2の可動部材は、第2のセンサから出射される光を遮光可能な第2の遮光体を有し、第3および第4の状態のうち一方の状態にあるときに当該第2の遮光体が第2の検出領域に位置し、第3および第4の状態のうち他方の状態にあるときに当該第2の遮光体が第2の検出領域外に位置するように設けられてもよい。
【0021】
この場合、第2のセンサから出力される信号に基づいて第2の可動部材が第3および第4の状態のいずれの状態にあるのかを容易かつ正確に検出することが可能になる。
【0022】
(8)各第1の棚板には、当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されることにより変形する弾性部材が設けられ、第2の可動部材は、予め定められた第2の回転軸の周りで回転することにより第3の状態および第4の状態に移行可能であり、対応する板支持部に第1の棚板が支持されないときおよび対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されないときに弾性部材に当接しないことにより第3の状態で保持され、対応する板支持部に第1の棚板が支持されかつ当該第1の棚板にサンプルプレートが支持されるときに当該第1の棚板に設けられた変形した弾性部材に当接することにより第4の状態で保持されてもよい。
【0023】
この場合、第2の可動部材は、対応する板支持部上の第1の棚板にサンプルプレートが載置されることおよび対応する板支持部上の第1の棚板からサンプルプレートが取り除かれることに連動して、第3の状態と第4の状態との間で移行する。したがって、各第1の棚板にサンプルプレートが支持されているか否かの検出の信頼性が向上する。
【0024】
(9)プレートチェンジャは、筐体内で1または複数の板支持部とは異なる高さに固定されかつサンプルプレートを支持する1または複数の第2の棚板をさらに備えてもよい。
【0025】
この場合、使用者は、筐体内の1または複数の板支持部に第1の棚板を支持させることなく、1または複数の第2の棚板上にサンプルプレートを載置することができる。また、1または複数の第2の棚板は、筐体内に固定されている。したがって、筐体内の1または複数の第2の棚板の位置を正確に把握することが可能になる。
【0026】
(10)プレートチェンジャは、1または複数の第2の棚板の各々にサンプルプレートが載置されているか否かを検出する第3の検出部をさらに備えてもよい。
【0027】
この場合、各第2の棚板上にサンプルプレートが載置されているか否かが検出される。それにより、筐体内の1または複数のサンプルプレートの収容状態を正確に把握することが可能になる。
【0028】
(11)第3の検出部は、1または複数の第2の棚板にそれぞれ対応して設けられる1または複数の第2のプレート検出部を含み、各第2のプレート検出部は、第5の状態と第6の状態との間で移行可能に構成された第3の可動部材と、第3の可動部材が第5および第6の状態のいずれの状態にあるのかを検出する第3のセンサとを含み、第3の可動部材は、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されないときに第5の状態となり、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されるときに第6の状態となるように設けられてもよい。
【0029】
この場合、簡単な構成で各第2の棚板上にサンプルプレートが支持されているか否かを検出することができる。
【0030】
(12)第3のセンサは、予め定められた第3の検出領域に光を出射するとともに第3の検出領域からの光を受光し、受光量に応じた信号を出力する光センサであり、第3の可動部材は、第3のセンサから出射される光を遮光可能な第3の遮光体を有し、第5および第6の状態のうち一方の状態にあるときに当該第3の遮光体が第3の検出領域に位置し、第5および第6の状態のうち他方の状態にあるときに当該第3の遮光体が第3の検出領域外に位置するように設けられてもよい。
【0031】
この場合、第3のセンサから出力される信号に基づいて第3の可動部材が第5および第6の状態のいずれの状態にあるのかを容易かつ正確に検出することが可能になる。
【0032】
(13)第3の可動部材は、予め定められた第3の回転軸の周りで回転することにより第5の状態および第6の状態に移行可能であり、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されないときにサンプルプレートに当接しないことにより第5の状態で保持され、対応する第2の棚板にサンプルプレートが支持されるときに当該サンプルプレートに当接することにより第6の状態で保持されてもよい。
【0033】
この場合、第2の可動部材は、対応する第2の棚板にサンプルプレートが載置されることおよび対応する第2の棚板からサンプルプレートが取り除かれることに連動して、第5の状態と第6の状態との間で移行する。したがって、各第2の棚板にサンプルプレートが支持されているか否かの検出の信頼性が向上する。
【0034】
(14)プレートチェンジャは、第1の検出部による検出結果を提示する提示部をさらに備えてもよい。
【0035】
この場合、使用者は、提示される検出結果に基づいて筐体内の第1の棚板の位置を容易かつ正確に把握することが可能になる。
【0036】
(15)本発明の他の局面に従うクロマトグラフは、オートサンプラと、上記のプレートチェンジャとを備える。
【0037】
そのクロマトグラフは、上記のプレートチェンジャを備える。上記のプレートチェンジャにおいては、筐体の内部空間が有効に利用されることにより、より多数のサンプルプレートが筐体内に収容される。したがって、分析作業の効率化が図られる。また、上記のプレートチェンジャにおいては、第1の棚板の位置が正確に把握されるので、オートサンプラに対するサンプルプレートの供給および回収の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、棚板の数が可変でかつ各棚板の位置が容易に把握され得るプレートチェンジャおよびそれを備えるクロマトグラフが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は本発明の一実施の形態に係る液体クロマトグラフの一例を示す模式的外観図である。
【
図3】
図3は
図2の2段目および3段目の固定棚板およびそれらの近傍部分を示すプレート保管庫の一部拡大正面図である。
【
図5】
図5はプレート検出部の機能を説明するための模式的側面図である。
【
図8】
図8は
図3の棚板検出部およびプレート検出部の模式的斜視図である。
【
図9】
図9は棚板検出部の機能を説明するための模式的側面図である。
【
図10】
図10はプレート検出部の機能を説明するための模式的側面図である。
【
図11】
図11はプレートチェンジャの制御系を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施の形態に係るプレートチェンジャおよびそれを備えるクロマトグラフについて図面を参照しつつ説明する。以下では、クロマトグラフの一例として、液体クロマトグラフを説明する。
【0041】
[1]液体クロマトグラフの概略構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る液体クロマトグラフの一例を示す模式的外観図である。
図1に示すように、液体クロマトグラフ1は、制御ユニット2、送液ユニット3、オートサンプラ4、検出ユニット5、カラムオーブンユニット6およびプレートチェンジャ10を含む。
【0042】
プレートチェンジャ10は、オートサンプラ4に対するサンプルプレートの供給および回収を行う。プレートチェンジャ10の詳細は後述する。送液ユニット3は、図示しない移動相容器に貯留された移動相をカラムオーブンユニット6内に設けられるカラムに供給する。オートサンプラ4は、分析対象となる複数のサンプルが保持されたサンプルプレートをプレートチェンジャ10から受け取る。また、オートサンプラ4は、サンプルプレートに保持されたサンプルを送液ユニット3からカラムに供給される移動相中に注入する。さらに、オートサンプラ4は、使用済みのサンプルプレートをプレートチェンジャ10に渡す。
【0043】
カラムオーブンユニット6は、カラムを含み、当該カラムおよびその周辺の空間を略一定の温度に保持する。検出ユニット5は、カラムにより分離されたサンプルの各成分を検出する。検出ユニット5を通過した移動相は、図示しない廃液容器に送られる。制御ユニット2は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリを含み、液体クロマトグラフ1を構成する各部の動作を制御する。
【0044】
図1の例では、検出ユニット5、オートサンプラ4、送液ユニット3および制御ユニット2は、この順で下から上に向かって積層配置されている。積層された検出ユニット5、オートサンプラ4、送液ユニット3および制御ユニット2を挟んで並ぶように、プレートチェンジャ10およびカラムオーブンユニット6が配置されている。
【0045】
[2]プレートチェンジャ10
図2は、
図1のプレートチェンジャ10の外観斜視図である。
図2に示すように、プレートチェンジャ10は、主としてプレート保管庫100およびプレート搬送部190を備える。プレート保管庫100およびプレート搬送部190は、略直方体形状を有するとともに上下方向に延びるように形成され、互いに隣り合う状態で接続されている。
【0046】
本実施の形態に係るプレートチェンジャ10に関して、水平面内でプレート搬送部190からプレート保管庫100に向く方向をプレートチェンジャ10の前方と呼び、その逆の方向をプレートチェンジャ10の後方と呼ぶ。また、プレートチェンジャ10の中心部からプレートチェンジャ10の前方を見た状態で当該中心部から左に向く方向をプレートチェンジャ10の左方と呼び、その逆の方向をプレートチェンジャ10の右方と呼ぶ。
【0047】
プレート保管庫100は、左側壁101、右側壁102、天井103および複数(本例では7つ)の固定棚板20を有する。左側壁101および右側壁102は、上下方向に延びる矩形の板部材であり、左右方向において互いに対向するよう平行に設けられている。以下の説明では、左側壁101および右側壁102の互いに対向する面をそれぞれ左側壁101および右側壁102の内面と呼ぶ。天井103は、左側壁101の上端部と右側壁102の上端部とを連結する。
【0048】
複数の固定棚板20は、矩形の板部材で構成され、上下方向に予め定められた間隔を置いて並ぶように左側壁101と右側壁102との間に設けられている。各固定棚板20は、左側壁101と右側壁102とを連結するとともに固定されている。また、各固定棚板20は、
図1のオートサンプラ4において使用されるべきサンプルプレートspを支持することが可能に構成されている。最下端に設けられる固定棚板20は、プレート保管庫100の床を兼ねる。なお、プレート保管庫100には、最下端の固定棚板20とは別体で床が設けられてもよい。
【0049】
プレート保管庫100は、前端部に前部開口111を有するとともに、当該前部開口111を開閉する扉109を有する。扉109は、上下方向に延びる回転軸の周りで回転可能に右側壁102に取り付けられている。さらに、プレート保管庫100は、後端部に後部開口112を有する。
【0050】
使用者は、扉109を開いた状態で、
図2に白抜きの矢印で示すように、前部開口111を通して複数の固定棚板20上にサンプルプレートspを載置することができる。また、使用者は、複数の固定棚板20のいずれかの上に載置されたサンプルプレートspを前部開口111を通して取り出すことができる。
【0051】
プレート搬送部190は、搬送ロボット190R(
図11)を備える。搬送ロボット190Rは、後部開口112を通してプレート保管庫100内のサンプルプレートspを取り出し、
図1のオートサンプラ4へ搬送する。それにより、オートサンプラ4にサンプルプレートspが供給する。
【0052】
また、搬送ロボット190Rは、オートサンプラ4内のサンプルプレートspを取り出し、後部開口112を通してプレート保管庫100内へ搬送する。それにより、プレートチェンジャ10にサンプルプレートspが回収される。プレート搬送部190の左側部には、オートサンプラ4に対してサンプルプレートspの供給および回収を行うための開口部191が形成されている。
【0053】
ここで、
図1のオートサンプラ4において使用されるサンプルプレートspは、複数のサンプルバイアルまたは複数のサンプル自体を保持するプレートであり、複数種類存在する。これらの複数種類のサンプルプレートspは、それぞれ固有の高さ(上下方向のサイズ)を有する。例えばサンプルバイアルを保持するサンプルプレートspは、比較的大きい高さ(上下方向のサイズ)を有する。一方、サンプル自体を保持するサンプルプレートspは、比較的小さい高さ(上下方向のサイズ)を有する。
【0054】
そのため、複数の固定棚板20間の間隔は、最大高さを有するサンプルプレートspの高さよりも大きくなるように設定される。この場合、比較的小さい高さを有するサンプルプレートspが固定棚板20上に載置されると、当該サンプルプレートspと上の固定棚板20との間に余剰空間が形成される。
【0055】
そこで、本実施の形態に係るプレートチェンジャ10は、サンプルプレートspを支持する新たな棚板を補助棚板30として複数の固定棚板20の間に追加することが可能に構成されている。
図2の例では、1段目および2段目の固定棚板20の間に1つの補助棚板30が取り付けられるとともに、2段目および3段目の固定棚板20の間に1つの補助棚板30が取り付けられている。それにより、1段目および2段目の固定棚板20間に2つのサンプルプレートspが収容されるとともに、2段目および3段目の固定棚板20間に2つのサンプルプレートspが収容されている。
【0056】
図3は、
図2の2段目および3段目の固定棚板20およびそれらの近傍部分を示すプレート保管庫100の一部拡大正面図である。
図3では、扉109の図示が省略されている。
図3に示すように、上下方向において互いに対向する2つの固定棚板20の間には、当該2つの固定棚板20の中間位置で補助棚板30を支持する左右一対の板支持部130が設けられている。
【0057】
左の板支持部130は、左側壁101の内面から一定距離右方に突出するようにかつプレート保管庫100の前端部から後方に延びるように設けられている。右の板支持部130は右側壁102の内面から一定距離左方に突出するようにかつプレート保管庫100の前端部から後方に延びるように設けられている。左右の板支持部130は互いに対向する。
【0058】
補助棚板30は、略矩形の板部材で構成され、一対の板支持部130上に支持可能かつ取り外し可能に構成されている。使用者は、前部開口111から左右一対の板支持部130とそれらの上方の固定棚板20との間の空間に補助棚板30を水平姿勢で挿入することにより、補助棚板30の両側部(後述する
図6の一対の被支持部32)を一対の板支持部130上に容易に載置することができる。また、使用者は、一対の板支持部130上に支持された補助棚板30を前部開口111から容易に取り出すことができる。
【0059】
図2のプレート保管庫100においては、7つの固定棚板20の上方の位置で7つの補助棚板30がそれぞれ支持可能かつ取り外し可能となっている。そのため、プレート保管庫100は、最大14個のサンプルプレートspを収容することが可能である。
【0060】
図3に示すように、プレート保管庫100内には、複数対の板支持部130上に補助棚板30が支持されているか否かを検出するための複数の棚板検出部D1が設けられている。また、複数対の板支持部130上に支持された補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されているか否かを検出するための複数のプレート検出部D2が設けられている。さらに、複数の固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されているか否かを検出するための複数のプレート検出部D3が設けられている。
【0061】
複数の棚板検出部D1は、左側壁101に設けられる複数の板支持部130にそれぞれ対応する。また、複数のプレート検出部D2は、左側壁101に設けられる複数の板支持部130にそれぞれ対応する。さらに、複数のプレート検出部D3は、複数の固定棚板20にそれぞれ対応する。以下、棚板検出部D1、プレート検出部D2,D3および補助棚板30についての詳細を説明する。
【0062】
[3]プレート検出部D3の詳細
各プレート検出部D3は、対応する固定棚板20の下方に位置するように左側壁101の内面に取り付けられる。
図4は
図3のプレート検出部D3の模式的斜視図であり、
図5はプレート検出部D3の機能を説明するための模式的側面図である。
【0063】
図4に示すように、プレート検出部D3は、支持軸122、回転部材123および光センサSS3を含む。支持軸122は、対応する固定棚板20の下方で左側壁101の内面から右方に一定距離水平に延びる。回転部材123は、一端部123aおよび他端部123bを有する長尺状の板部材である。回転部材123の中央部は、当該回転部材123が基本的に前後方向に延びるようにかつ支持軸122の周りで回転可能となるように、支持軸122に取り付けられている。この状態で、一端部123aは他端部123bの前方に位置する。
【0064】
回転部材123の中央部から一端部123aまでの前半部は、直線状に延びている。回転部材123の一端部123aは、左側壁101の内面に向かって左方に屈曲している。その先端部には、遮光体124が設けられている。回転部材123の中央部から他端部123bまでの後半部は、回転部材123が支持軸122に取り付けられた状態で斜め上方に向かって屈曲している。
【0065】
また、回転部材123は、前半部の重量が後半部の重量よりも大きくなるように形成されている。そのため、回転部材123には、負荷が与えられない状態で、前半部が下降するとともに後半部が上昇するように、一方向に向く回転力が発生する。
【0066】
固定棚板20には、対応するプレート検出部D3の回転部材123の前半部が水平に保持された状態で、回転部材123の他端部123bを当該固定棚板20の下方の空間から上方の空間へ案内する開口部21が形成されている。
【0067】
光センサSS3は、投光部saおよび受光部sbを有する透過型のフォトインタラプタであり、対応する固定棚板20の下方かつ支持軸122の前方の位置で左側壁101の内面に取り付けられている。光センサSS3の受光部sbは、投光部saから出射される光を受光可能に構成されるとともに、受光量に応じた信号を出力するように構成されている。光センサSS3の投光部saおよび受光部sbは、回転部材123が支持軸122を基準として回転する際の遮光体124の移動経路を挟むように、前後方向に間隔をおいて並ぶ。なお、光センサSS3として反射型のフォトインタラプタが用いられてもよい。
【0068】
上記のプレート検出部D3においては、固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されない状態で、
図5(a)に示すように、遮光体124が投光部saおよび受光部sb間に位置しかつ回転部材123の後半部が固定棚板20に当接する。この場合、光センサSS3において投光部saから受光部sbに向けて出射される光が遮光体124により遮断された状態で、回転部材123の一方向の回転が規制される。
【0069】
一方、プレート検出部D3においては、固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されると、
図5(b)に示すように、回転部材123の他端部123bがサンプルプレートspの下面により下方に押圧される。それにより、回転部材123が回転し、回転部材123の他端部123bが固定棚板20の上面と同じ高さまで下降するとともに、遮光体124が光センサSS3の上方の位置まで移動する。それにより、光センサSS3において、投光部saから出射される光が受光部sbに入射する。
【0070】
図1のプレートチェンジャ10には、当該プレートチェンジャ10内の各部の動作を制御する制御部11(
図11)が設けられている。上記の構成によれば、光センサSS3の受光部sbは、対応する固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されない場合に、投光部saからの光を受光しない。それにより、当該受光部sbは、対応する固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されていないことの検出結果として、予め定められたしきい値以下の受光量を示す受光信号を制御部11(
図11)に出力する。一方、光センサSS3の受光部sbは、対応する固定棚板20上にサンプルプレートspが載置された場合に、投光部saからの光を受光する。それにより、当該受光部sbは、対応する固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されていることの検出結果として、上記のしきい値よりも大きい受光量を示す受光信号を制御部11(
図11)に出力する。
【0071】
[4]補助棚板30の詳細
図2および
図3の補助棚板30の詳細について説明する。
図6は
図2および
図3の補助棚板30の模式的平面図であり、
図7は
図6のA-A線断面図である。
【0072】
図6に示すように、補助棚板30は、プレート支持部31および一対の被支持部32を有する。プレート支持部31は、複数種類のサンプルプレートspを支持可能な矩形状を有する。一対の被支持部32は、
図3の一対の板支持部130にそれぞれ対応する形状を有し、プレート支持部31の一端部から中央部にかけて両側部から両側方に一定幅で突出するように形成されている。一対の被支持部32は、当該補助棚板30がプレート保管庫100内に設けられる場合に一対の板支持部130(
図3参照)により支持される。プレート支持部31および一対の被支持部32は一体成形されている。
【0073】
プレート支持部31には、一方の被支持部32(
図3の左側壁101に設けられる板支持部130に対応する被支持部32)に隣り合うように開口部33が形成されている。開口部33の近傍におけるプレート支持部31の下面には、板ばね34が設けられている。
【0074】
図7に示すように、板ばね34は、上面および下面を有し、高い弾性を有する金属性の帯状部材で構成される。本例の板ばね34は、上面同士が向かい合うように折り曲げられた2つの谷折り部34b,34dと、下面同士が向かい合うように折り曲げられた1つの山折り部34cとを有する。谷折り部34b、山折り部34cおよび谷折り部34dは、この順で板ばね34の一端部34aから他端部34eの間に間隔をおいて並ぶ。
【0075】
補助棚板30を上方から見て谷折り部34bおよび山折り部34cが開口部33内に位置するようにかつ他端部34eがプレート支持部31の下面に接触するように、板ばね34の一端部34aがプレート支持部31の下面に接合されている。この状態で、板ばね34の山折り部34cは、プレート支持部31の上面よりも上方に突出している。板ばね34の他端部34eは、プレート支持部31の下面には接合されていない。
【0076】
図7に点線で示すように、プレート支持部31上にサンプルプレートspが載置されると、板ばね34の山折り部34cがサンプルプレートspにより下方へ向かって押圧される。それにより、板ばね34のうち一端部34aから山折り部34cまでの部分が下方にたわみ、谷折り部34dが下方へ移動する。
【0077】
このように、上記の補助棚板30においては、プレート支持部31上にサンプルプレートspが載置されない状態とプレート支持部31にサンプルプレートspが載置される状態との間で、板ばね34の最下端部(谷折り部34d)の上下方向の位置が変化する。
【0078】
[5]棚板検出部D1およびプレート検出部D2の詳細
各棚板検出部D1および各プレート検出部D2は、対応する板支持部130の下方に位置するように左側壁101の内面に取り付けられる。
図8は
図3の棚板検出部D1およびプレート検出部D2の模式的斜視図であり、
図9は棚板検出部D1の機能を説明するための模式的側面図であり、
図10はプレート検出部D3の機能を説明するための模式的側面図である。
【0079】
図8に示すように、棚板検出部D1は、上記のプレート検出部D3と基本的に同じ構成を有し、支持軸140、回転部材150および光センサSS1を含む。支持軸140は、対応する板支持部130の下方で左側壁101の内面から右方に一定距離水平に延びる。回転部材150は、一端部150aおよび他端部150bを有する長尺状の板部材である。回転部材150の中央部は、当該回転部材150が基本的に前後方向に延びるようにかつ支持軸140の周りで回転可能となるように、支持軸140に取り付けられている。この状態で、一端部150aは他端部150bの前方に位置する。
【0080】
回転部材150の前半部は直線状に延びている。回転部材150の一端部150aは、左側壁101の内面に向かって左方に屈曲している。その先端部には、遮光体151が設けられている。回転部材150の後半部は、回転部材150が支持軸140に取り付けられた状態で斜め上方に向かって屈曲している。
【0081】
また、回転部材150は、前半部の重量が後半部の重量よりも大きくなるように形成されている。そのため、回転部材150には、負荷が与えられない状態で、前半部が下降するとともに後半部が上昇するように、一方向に向く回転力が発生する。
【0082】
板支持部130には、対応する棚板検出部D1の回転部材150の前半部が水平に保持された状態で、回転部材150の他端部150bを当該板支持部130の下方の空間から上方の空間へ案内する切り欠き131が形成されている。
【0083】
光センサSS1は、光センサSS3と同様に、投光部saおよび受光部sbを有する透過型のフォトインタラプタであり、対応する板支持部130の下方かつ支持軸140の前方の位置で左側壁101の内面に取り付けられている。光センサSS1の受光部sbは、投光部saから出射される光を受光可能に構成されるとともに、受光量に応じた信号を出力するように構成されている。光センサSS1の投光部saおよび受光部sbは、回転部材150が支持軸140を基準として回転する際の遮光体151の移動経路を挟むように、前後方向に間隔をおいて並ぶ。なお、光センサSS1として反射型のフォトインタラプタが用いられてもよい。
【0084】
上記の棚板検出部D1においては、板支持部130上に補助棚板30が載置されない状態で、
図9(a)に示すように、遮光体151が投光部saおよび受光部sb間に位置しかつ回転部材150の後半部が板支持部130に当接する。この場合、光センサSS1において投光部saから受光部sbに向けて出射される光が遮光体151により遮断された状態で、回転部材150の一方向の回転が規制される。
【0085】
一方、棚板検出部D1においては、板支持部130上に補助棚板30が載置されると、
図9(b)に示すように、回転部材150の他端部150bが補助棚板30の下面により下方に押圧される。それにより、回転部材150が回転し、回転部材150の他端部150bが板支持部130の上面と同じ高さまで下降するとともに、遮光体151が光センサSS1の上方の位置まで移動する。それにより、光センサSS1において、投光部saから出射される光が受光部sbに入射する。
【0086】
上記の構成によれば、光センサSS1の受光部sbは、対応する板支持部130上に補助棚板30が載置されない場合に、投光部saからの光を受光しない。それにより、当該受光部sbは、対応する板支持部130上に補助棚板30が載置されていないことの検出結果として、予め定められたしきい値以下の受光量を示す受光信号を制御部11(
図11)に出力する。一方、光センサSS1の受光部sbは、対応する固定棚板20上にサンプルプレートspが載置された場合に、投光部saからの光を受光する。それにより、当該受光部sbは、対応する板支持部130上に補助棚板30が載置されていることの検出結果として、上記のしきい値よりも大きい受光量を示す受光信号を制御部11(
図11)に出力する。
【0087】
図8に示すように、プレート検出部D2は、棚板検出部D1に隣り合うように設けられ、支持軸140、回転部材160および光センサSS2を含む。本例のプレート検出部D2は、棚板検出部D1よりもプレート保管庫100の内方(本例では右方)に位置する。
【0088】
支持軸140は、隣り合う棚板検出部D1とプレート検出部D2との間で共通に用いられる。回転部材160は、一端部160aおよび他端部160bを有する長尺状の板部材である。回転部材160の中央部は、当該回転部材160が基本的に前後方向に延びるようにかつ支持軸140の周りで回転可能となるように、支持軸140に取り付けられている。この状態で、一端部160aは他端部160bの前方に位置する。
【0089】
回転部材160は、一端部160aから他端部160bにかけてほぼ直線状に延びている。回転部材160の一端部160aは、左側壁101の内面に向かって左方に屈曲している。その先端部には、遮光体161が設けられている。
【0090】
回転部材160が支持軸140に取り付けられた状態で、回転部材160の少なくとも他端部160bは、板支持部130よりもプレート保管庫100の内方(右方)に位置する。
【0091】
また、回転部材160は、前半部の重量が後半部の重量よりも大きくなるように形成されている。そのため、回転部材160には、負荷が与えられない状態で、前半部が下降するとともに後半部が上昇するように、一方向に向く回転力が発生する。プレート検出部D2には、回転部材160が水平方向に延びる状態から上記の一方向への回転を規制し、回転部材160が水平方向に延びる状態から上記の一方向に対する逆方向への回転を許容する図示しない回転規制機構が設けられている。
【0092】
光センサSS2は、光センサSS3と同様に、投光部saおよび受光部sbを有する透過型のフォトインタラプタであり、対応する板支持部130の下方かつ支持軸140および光センサSS1の前方の位置で左側壁101の内面に取り付けられている。光センサSS2の受光部sbは、投光部saから出射される光を受光可能に構成されるとともに、受光量に応じた信号を出力するように構成されている。光センサSS2の投光部saおよび受光部sbは、回転部材160が支持軸140を基準として回転する際の遮光体161の移動経路を挟むように、前後方向に間隔をおいて並ぶ。なお、光センサSS2として反射型のフォトインタラプタが用いられてもよい。
【0093】
一対の板支持部130上に補助棚板30が載置される際には、上下方向において開口部33(
図6)が回転部材160の他端部160bに重なるように、補助棚板30が位置決めされる。この場合、板ばね34(
図6)の谷折り部34dは、板支持部130よりも下方に位置し、回転部材160の他端部160bに近接する。板ばね34は、板支持部130上に補助棚板30が載置されかつ当該補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されない状態で、回転部材160の他端部160bを下方に押圧しないように形成されている。それにより、上記のプレート検出部D2においては、板支持部130上に補助棚板30が載置されない状態、および
図10(a)に示すように、板支持部130上に補助棚板30が載置されかつ補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されない状態で、回転部材160が水平に保持される。このとき、光センサSS2において投光部saから受光部sbに向けて出射される光が遮光体161により遮断される。
【0094】
一方、プレート検出部D2においては、板支持部130上に補助棚板30が載置されかつ当該補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されると、
図10(b)に示すように、補助棚板30の板ばね34がサンプルプレートspにより弾性変形する。この場合、板ばね34の最下端部(谷折り部34d)が下降し、板支持部130よりも下方に位置する回転部材160の他端部160bが板ばね34により下方に押圧される。それにより、回転部材160が回転し、遮光体161が光センサSS2の上方の位置まで移動する。その結果、光センサSS2において、投光部saから出射される光が受光部sbに入射する。
【0095】
上記の構成によれば、光センサSS2の受光部sbは、対応する板支持部130に支持された補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されない場合に、投光部saからの光を受光しない。それにより、当該受光部sbは、対応する板支持部130に支持された補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されていないことの検出結果として、予め定められたしきい値以下の受光量を示す受光信号を制御部11(
図11)に出力する。一方、光センサSS2の受光部sbは、対応する板支持部130に支持された補助棚板30上にサンプルプレートspが載置された場合に、投光部saからの光を受光する。それにより、当該受光部sbは、対応する板支持部130に支持された補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されていることの検出結果として、上記のしきい値よりも大きい受光量を示す受光信号を制御部11(
図11)に出力する。
【0096】
[6]プレートチェンジャ10の制御系
図11は、プレートチェンジャ10の制御系を説明するためのブロック図である。
図11に示すように、プレートチェンジャ10は、制御部11、複数の棚板検出部D1、複数のプレート検出部D2、複数のプレート検出部D3、搬送ロボット190Rおよび複数の補助棚板表示器IDを含む。
【0097】
上記のように、各棚板検出部D1は、対応する板支持部130上に補助棚板30が載置されているか否かを示す信号(受光信号)を制御部11に出力する。また、各プレート検出部D2は、対応する板支持部130上に補助棚板30とともにサンプルプレートspが載置されているか否かを示す信号(受光信号)を制御部11に出力する。さらに、各プレート検出部D3は、対応する固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されているか否かを示す受光信号を制御部11に出力する。
【0098】
複数の補助棚板表示器IDは、左側壁101に設けられる複数の板支持部130にそれぞれ対応する。各補助棚板表示器IDは、発光ダイオード等の発光素子およびその駆動回路を含み、例えば
図1の扉109の前面に設けられる。
【0099】
制御部11は、例えばCPUおよびメモリを含み、複数の棚板検出部D1および複数のプレート検出部D2,D3から出力される信号に基づいて搬送ロボット150Rの動作を制御する。また、制御部11は、制御ユニット2との間で、オートサンプラ4におけるサンプルプレートspの供給および回収に関する各種情報の授受を行う。
【0100】
さらに、制御部11は、複数の棚板検出部D1から出力される信号に基づいて複数の補助棚板表示器IDの発光状態を制御する。例えば、制御部11は、一の板支持部130上に補助棚板30が載置された状態で、当該板支持部130に対応する補助棚板表示器IDを点灯させる。また、一の板支持部130上に補助棚stが載置されない状態で、当該板支持部130に対応する補助棚板表示器IDを消灯させる。これにより、使用者は、各板支持部130に対応する補助棚板表示器IDの発光状態を視認することにより、プレートチェンジャ10における複数の補助棚板30の取付状態を容易に把握することができる。
【0101】
[7]効果
(a)上記のプレートチェンジャ10においては、上下方向に並ぶ各板支持部130に補助棚板30が支持されているか否かが棚板検出部D1により検出される。それにより、プレート保管庫100内に設けられた補助棚板30の位置を正確に把握することが可能になる。したがって、プレートチェンジャ10におけるサンプルプレートspの搬送の信頼性が向上する。
【0102】
(b)上記のプレートチェンジャ10においては、使用者は、プレート保管庫100内の複数の板支持部130のいずれかに補助棚板30を容易に支持させることができる。また、使用者は、複数の板支持部130のいずれかに支持される補助棚板30を容易に取り外すことができる。このように、プレート保管庫100内の補助棚板30の数が可変であることにより、使用者は、使用されるサンプルプレートspの上下方向の寸法およびプレート保管庫100の上下方向の寸法に応じてプレート保管庫100の内部空間を有効に利用することができる。
【0103】
(c)さらに上記のプレートチェンジャ10においては、各補助棚板30上にサンプルプレートspが載置されているか否かがプレート検出部D2により検出される。各固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されているか否かがプレート検出部D3により検出される。それにより、プレート保管庫100内の複数のサンプルプレートspの収容状態を正確に把握することが可能になる。
【0104】
(d)
図1の液体クロマトグラフ1は、上記のプレートチェンジャ10を備える。それにより、分析作業の効率化が図られるとともにオートサンプラ4に対するサンプルプレートspの供給動作および回収動作の信頼性が向上する。
【0105】
[8]他の実施の形態
(a)上記実施の形態においては、板支持部130上に補助棚板30が載置されているか否かを検出するため、板支持部130上にサンプルプレートspが載置されているか否かを検出するため、および固定棚板20上にサンプルプレートspが載置されているか否かを検出するために光センサSS1,SS2,SS3が用いられるが、本発明はこれに限定されない。上記の各載置状態を検出するための構成として、光センサSS1,SS2,SS3に代えて、近接センサまたはスイッチ等の他の電気機器を用いることもできる。
【0106】
(b)上記実施の形態では、複数の棚板検出部D1、複数のプレート検出部D2および複数のプレート検出部D3は、ともに左側壁101の内面に設けられるが、本発明はこれに限定されない。複数の棚板検出部D1、複数のプレート検出部D2および複数のプレート検出部D3のうち一部または全てが、右側壁102の内面に設けられてもよい。
【0107】
(c)上記実施の形態では、一の板支持部130に対応する棚板検出部D1およびプレート検出部D2は互いに隣り合うように左側壁101に設けられ、支持軸140が棚板検出部D1およびプレート検出部D2に共通の構成要素として用いられるが、本発明はこれに限定されない。一の板支持部130に対応する棚板検出部D1およびプレート検出部D2は、互いに離間した位置に個別に設けられてもよい。この場合、一の板支持部130に対応する棚板検出部D1およびプレート検出部D2は、個別の支持軸を有することになる。
【0108】
(d)上記実施の形態に係るプレートチェンジャ10において、プレート保管庫100内には複数の固定棚板20が設けられるが、複数の固定棚板20は設けられなくてもよい。例えば、
図3の複数の固定棚板20に代えて、複数対の板支持部130が設けられてもよい。この場合、プレート保管庫100内の補助棚板30の取り付けの自由度が向上する。
【0109】
(e)上記実施の形態に係るプレートチェンジャ10においては、プレート保管庫100内の複数の補助棚板30の取付状態が複数の補助棚板表示器IDにより表示されるが、本発明はこれに限定されない。プレートチェンジャ10は、例えば、複数の補助棚板30上および複数の固定棚板20上のサンプルプレートspの載置状態を使用者に提示する提示装置(表示装置または音声出力装置等)を有してもよい。
【0110】
この場合、例えば複数のプレート検出部D2,D3の検出結果が使用者に提示されることにより、使用者は、プレート保管庫100における複数のサンプルプレートspの収容状態を容易に把握することができる。
【0111】
(f)上記実施の形態に係るプレートチェンジャ10においては、プレート保管庫100内に複数対の板支持部130が設けられるが、本発明はこれに限定されない。プレート保管庫100内には一対の板支持部130のみが設けられてもよい。
【0112】
(g)上記実施の形態では、プレートチェンジャ10は、液体クロマトグラフに用いられるが、超臨界流体クロマトグラフおよびガスクロマトグラフ等の他のクロマトグラフに用いることもできる。
【0113】
[9]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明する。
【0114】
上記実施の形態においては、プレート保管庫100が筐体の例であり、補助棚板30が第1の棚板の例であり、一対の板支持部130が板支持部の例であり、複数の棚板検出部D1が第1の検出部の例であり、回転部材150が第1の可動部材の例であり、光センサSS1が第1のセンサの例であり、他端部150bが板支持部130よりも上方にあるときの回転部材150の状態が第1の状態の例であり、他端部150bが板支持部130の上面と同じ高さにあるときの回転部材150の状態が第2の状態の例であり、光センサSS1における投光部saと受光部sbとの間の領域が第1の検出領域の例であり、遮光体151が第1の遮光体の例であり、支持軸140が第1および第2の回転軸の例である。
【0115】
また、複数のプレート検出部D2が第2の検出部の例であり、プレート検出部D2が第1のプレート検出部の例であり、回転部材160が第2の可動部材の例であり、光センサSS2が第2のセンサの例であり、回転部材160が水平に保持される状態が第3の状態の例であり、他端部160bが支持軸140よりも下方にあるときの回転部材160の状態が第4の状態の例であり、光センサSS2における投光部saと受光部sbとの間の領域が第2の検出領域の例であり、遮光体161が第2の遮光体の例であり、板ばね34が弾性部材の例である。
【0116】
また、固定棚板20が第2の棚板の例であり、複数のプレート検出部D3が第3の検出部の例であり、プレート検出部D3が第2のプレート検出部の例であり、回転部材123が第3の可動部材の例であり、光センサSS3が第3のセンサの例であり、他端部123bが固定棚板20よりも上方にあるときの回転部材123の状態が第5の状態の例であり、他端部123bが固定棚板20の上面と同じ高さにあるときの回転部材123の状態が第6の状態の例であり、光センサSS3における投光部saと受光部sbとの間の領域が第3の検出領域の例であり、遮光体124が第3の遮光体の例である。
【0117】
さらに、補助棚板表示器IDが提示部の例であり、液体クロマトグラフ1がクロマトグラフの例である。
【0118】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。