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特許7078137電気コネクタセットおよび該電気コネクタセットの実装構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】電気コネクタセットおよび該電気コネクタセットの実装構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20220524BHJP
   H01R 13/6473 20110101ALI20220524BHJP
【FI】
H01R12/73
H01R13/6473
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020559884
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2019045239
(87)【国際公開番号】W WO2020116149
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2018227456
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】常門 陸宏
(72)【発明者】
【氏名】眞室 稔
(72)【発明者】
【氏名】星場 寛之
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-511865(JP,A)
【文献】特開2015-008053(JP,A)
【文献】特開2016-195056(JP,A)
【文献】特開平10-172694(JP,A)
【文献】国際公開第2016/178356(WO,A1)
【文献】特開平09-017492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/73
H01R 13/6473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路基板に実装される第1コネクタと、第2回路基板に実装されて前記第1コネクタに対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合する第2コネクタとを備える電気コネクタセットであって、
前記第1コネクタは、前記第1回路基板に設けられた第1ランド部に実装される第1実装部を有する第1接続端子と、前記第1接続端子を保持する第1絶縁性部材とを備え、
前記第2コネクタは、前記第2回路基板に設けられた第2ランド部に実装される第2実装部を有する第2接続端子と、前記第2接続端子を保持する第2絶縁性部材とを備え、
前記電気コネクタセットの嵌合状態において、前記第1実装部が、前記第2実装部に対向するとともに前記挿抜方向から見て重なるように構成され
前記第1実装部が、一方の第1実装部と、前記第1絶縁性部材を挟んで前記一方の第1実装部と反対方向に延在する他方の第1実装部とから構成される、電気コネクタセット。
【請求項2】
記第2実装部が、一方の第2実装部と、前記第2絶縁性部材を挟んで前記一方の第2実装部と反対方向に延在する他方の第2実装部とから構成されている、請求項1に記載の電気コネクタセット。
【請求項3】
前記第1実装部の延在長さが、前記第1接続端子と前記第2接続端子とが電気的に接触するときに形成される2つの接触部の間の接触距離よりも長い、請求項1または請求項2に記載の電気コネクタセット。
【請求項4】
前記第1絶縁性部材が、第1底壁部と、一方の第1長手壁部と、他方の第1長手壁部と、2つの第1短手壁部と、第1凹部とを備え、
前記第2絶縁性部材が、第2底壁部と、一方の第2長手壁部と、他方の第2長手壁部と、2つの第2短手壁部と、前記第1凹部と嵌合する第2凸部と、前記一方の第1長手壁部、前記他方の第1長手壁部および前記2つの第1短手壁部と嵌合する第2凹部とを備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項5】
前記第1回路基板の第1絶縁部および前記第2回路基板の第2絶縁部の各誘電率が、前記第1絶縁性部材および前記第2絶縁性部材の各誘電率よりも低い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項6】
前記第1実装部と前記第2実装部との間での重なり部分として、第1重なり部および第2重なり部が形成され、前記第1ランド部および前記第2ランド部が前記第1重なり部の側に位置して、前記第1重なり部の面積が、前記第2重なり部の面積よりも小さい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気コネクタセット。
【請求項7】
第1ランド部を有する第1回路基板と、
第2ランド部を有する第2回路基板と、
前記第1回路基板に実装される第1コネクタと、前記第2回路基板に実装されて前記第1コネクタに対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合する第2コネクタとから構成される電気コネクタセットとを備え、
前記第1コネクタは、第1接続端子と、前記第1接続端子を保持する第1絶縁性部材とを含み、
前記第2コネクタは、第2接続端子と、前記第2接続端子を保持する第2絶縁性部材とを含み、
前記第1接続端子は、第1実装部において前記第1ランド部に実装され、
前記第2接続端子は、第2実装部において前記第2ランド部に実装され、
前記挿抜方向から見たとき、前記電気コネクタセットの嵌合状態において、前記第1実装部が前記第2実装部に重なる位置に配置され
前記第1実装部が、一方の第1実装部と、前記第1絶縁性部材を挟んで前記一方の第1実装部と反対方向に延在する他方の第1実装部とから構成される、電気コネクタセットの実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1コネクタおよび第2コネクタが互いに嵌合する電気コネクタセットおよび該電気コネクタセットの実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、多極の接続端子を有するコネクタと、該接続端子に係合する相手方接続端子を有する相手方コネクタとが嵌合する電気コネクタセットを開示する。コネクタでは、接続端子が絶縁性部材の溝に嵌め込まれて固定され、接続端子の実装部が回路基板のランド部に接続される。同様に、相手方コネクタでは、相手方接続端子が相手方絶縁部材の溝に嵌め込まれて固定され、相手方接続端子の実装部が相手方回路基板のランド部に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2016/178356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気コネクタセットでは、接続端子の実装部が相手方接続端子の実装部に対して反対方向に延びるように構成されている。接続端子の実装部と相手方接続端子の相手方実装部と対向していないとともに接続端子の実装部と相手方接続端子の相手方実装部とが挿抜方向から見て重なっていないため、接続端子の実装部と相手方接続端子の相手方実装部との間で、静電容量の形成が行われない。
【0005】
ところで、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯のような高周波帯におけるインピーダンスが、電気的に接続される二つの回路基板間で整合されていなければ、高周波信号の反射が大きくなって高周波信号の伝送損失が発生する。このため、回路基板の入出力端にインピーダンス整合回路を接続することが行われている。このようなインピーダンス整合回路は、インダクタやキャパシタ等からなり、回路基板に実装される電子部品や回路基板に形成される導体パターンによってインピーダンスの整合が行われている。したがって、従来の電気コネクタセットは、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有していない。
【0006】
そこで、本開示の課題は、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有する電気コネクタセットおよび該電気コネクタセットの実装構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る電気コネクタセットは、
第1回路基板に実装される第1コネクタと、第2回路基板に実装されて前記第1コネクタに対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合する第2コネクタとを備える電気コネクタセットであって、
前記第1コネクタは、前記第1回路基板に設けられた第1ランド部に実装される第1実装部を有する第1接続端子と、前記第1接続端子を保持する第1絶縁性部材とを備え、
前記第2コネクタは、前記第2回路基板に設けられた第2ランド部に実装される第2実装部を有する第2接続端子と、前記第2接続端子を保持する第2絶縁性部材とを備え、
前記電気コネクタセットの嵌合状態において、前記第1実装部が、前記第2実装部に対向するとともに前記挿抜方向から見て重なるように構成されている。
【0008】
また、本開示の他の態様に係る電気コネクタセットの実装構造では、
第1ランド部を有する第1回路基板と、
第2ランド部を有する第2回路基板と、
前記第1回路基板に実装される第1コネクタと、前記第2回路基板に実装されて前記第1コネクタに対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合する第2コネクタとから構成される電気コネクタセットとを備え、
前記第1コネクタは、第1接続端子と、前記第1接続端子を保持する第1絶縁性部材とを含み、
前記第2コネクタは、第2接続端子と、前記第2接続端子を保持する第2絶縁性部材とを含み、
前記第1接続端子は、第1実装部において前記第1ランド部に実装され、
前記第2接続端子は、第2実装部において前記第2ランド部に実装され、
前記挿抜方向から見たとき、前記電気コネクタセットの嵌合状態において、前記第1実装部が前記第2実装部に重なる位置に配置される。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、電気コネクタセットの嵌合状態において、第1実装部が第2実装部に対向するとともに挿抜方向から見て重なっているので、第1実装部と第2実装部との間で静電容量が形成される。当該静電容量は、特性インピーダンスを調整するためのコンデンサとして機能することができる。したがって、電気コネクタセットは、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有する。電気コネクタセットの実装構造も、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る電気コネクタセットを構成する第1コネクタの斜視図である。
図2図1に示した第1コネクタを底面側から見たときの斜視図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4】一実施形態に係る電気コネクタセットを構成する第2コネクタの斜視図である。
図5図4に示した第2コネクタを底面側から見たときの斜視図である。
図6図4のVI-VI線に沿った断面図である。
図7】嵌合状態にある電気コネクタセットの斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図1の第1コネクタを第1回路基板に実装したときの斜視図である。
図10図9のX-X線に沿った断面図である。
図11図4の第2コネクタを第2回路基板に実装したときの斜視図である。
図12図11のXII-XII線に沿った断面図である。
図13】第1コネクタの第1実装部と第2コネクタの第2実装部との間で形成される静電容量を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る電気コネクタセット30および該電気コネクタセット30の実装構造の実施の形態を説明する。なお、各図には、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。
【0012】
〔電気コネクタセット〕
図7は、嵌合状態にある、一実施形態に係る電気コネクタセット30を示す斜視図である。
【0013】
図7に示すように、電気コネクタセット30は、第1コネクタ10と、第1コネクタ10に対して挿抜方向(Z軸方向)に挿抜可能に嵌合する第2コネクタ20とを備える。図7において、電気コネクタセット30は、第2コネクタ20を第1コネクタ10に対向させた状態で第2コネクタ20を第1コネクタ10に向けて挿抜方向(Z軸方向)に移動させることによって、第1コネクタ10および第2コネクタ20が互いに嵌合する。
【0014】
〔第1コネクタ〕
図1は、図7に示した電気コネクタセット30を構成する第1コネクタ10の斜視図である。図2は、図1に示した第1コネクタ10を底面側から見たときの斜視図である。図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、第1コネクタ10は、第1絶縁性部材12と、複数の第1接続端子14と、2つの第1外部接地部材16,16(以下、単に、第1外部接地部材16と記載することがある)とを有する。
【0016】
第1絶縁性部材12としては、電気絶縁性の樹脂(例えば、液晶ポリマーなど)が用いられる。当該液晶ポリマーは、フッ素系樹脂よりも大きな誘電率を有する。第1絶縁性部材12は、挿抜方向(Z軸方向)から見て矩形形状をしており、第1底壁部12aと、一方の第1長手壁部12bと、他方の第1長手壁部12cと、2つの第1短手壁部12fと、第1凹部12hとを有する。
【0017】
一方の第1長手壁部12bおよび他方の第1長手壁部12cは、それぞれ、長手方向(X軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。2つの第1短手壁部12fは、それぞれ、短手方向(Y軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。第1凹部12hは、第1底壁部12aと、一方の第1長手壁部12bと、他方の第1長手壁部12cと、2つの第1短手壁部12fとによって囲まれた空間である。一方の第1長手壁部12bには、凹状の第1接続端子用装着部が形成されている。第1接続端子用装着部に第1接続端子14を装着することによって、第1接続端子14が電気的に絶縁された状態で支持される。
【0018】
第1接続端子14は、第1コネクタ10の短手方向(Y軸方向)に延びるように配設されている。第1接続端子14は、図3に示すように、例えば、逆U字状に突出した凸型形状の第1係合部14aを有する。そのため、第1接続端子14は、通常、オス型の多極接続端子とも呼ばれる。図1に例示した第1接続端子14では、長手方向(X軸方向)に沿って1列に10個の接続端子が配列されている。
【0019】
なお、多極の第1接続端子14の配列は、1列に限られず、2列以上にすることができる。また、第1接続端子14の1列当たりの個数は、10個に限られず、1個以上にすることができる。第1接続端子14の列間における電磁波の干渉を抑制するため、第1接続端子14の列間に導電性のシールド部材(図示せず)を設けてもよい。なお、第1接続端子14として、複数の凸型接続端子が配列されているが、複数の凹型接続端子が配列されてもよい。この場合、第1接続端子14と係合する第2接続端子24には、複数の凹型接続端子に代えて、複数の凸型接続端子が配列される。
【0020】
各第1接続端子14は、長手方向(X軸方向)に沿って配列されている。第1接続端子14は、例えば、信号電位または接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第1接続端子14は、例えばリン青銅である。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第1接続端子14の表面には、例えば、金メッキなどを行ってもよい。第1接続端子14を流れる信号は、例えば、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波信号である。
【0021】
第1接続端子14は、第1係合部14aと、一方の第1実装部14bと、他方の第1実装部14cとを備える。第1係合部14aは、図3に示すように、第1絶縁性部材12の一方の第1長手壁部12bに配設されて、逆U字状に突出している。第1接続端子14と第2接続端子24とが係合したとき、第1係合部14aには、二ヶ所で第1接触部(接触部)14d,14dが形成される。一方の第1実装部14bは、第1係合部14aから短手方向(Y軸方向)の一方側に延びて、一方の第1長手壁部12bよりも外側に位置する。他方の第1実装部14cは、第1絶縁性部材12を挟んで一方の第1実装部14bと反対方向に延在する。すなわち、他方の第1実装部14cは、第1係合部14aから短手方向(Y軸方向)の他方側に延びて、他方の第1長手壁部12cよりも外側に位置する。
【0022】
各第1外部接地部材16は、対応する第1短手壁部12fに配置される。すなわち、各第1外部接地部材16は、長手方向(X軸方向)において対向して離間して配置される。各第1外部接地部材16は、後述する第2コネクタ20の第2外部接地部材26との嵌合機能と、接地電位に電気的に接続されるグランド端子としての機能とを有する。
【0023】
第1外部接地部材16は、接地電位に接続される導体である。第1外部接地部材16としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有するとともに、弾性変形可能な材料である。第1外部接地部材16は、例えば、曲げ加工で形成される。第1外部接地部材16は、接地電位に接続されることで、第1コネクタ10の外部からの電磁波や第1接続端子14からの不要輻射をシールドして、第1外部接地部材16で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間とすることができる。
【0024】
〔第2コネクタ〕
図4は、図7に示した電気コネクタセット30を構成する第2コネクタ20の斜視図である。図5は、図4に示した第2コネクタ20を底面側から見たときの斜視図である。図6は、図4のVI-VI線に沿った断面図である。
【0025】
第2コネクタ20は、第2絶縁性部材22と、複数の第2接続端子24と、2つの第2外部接地部材26,26(以下、単に、第2外部接地部材26と記載することがある)とを有する。
【0026】
第2絶縁性部材22としては、電気絶縁性の樹脂(例えば、液晶ポリマー等)が用いられる。当該液晶ポリマーは、フッ素系樹脂よりも大きな誘電率を有する。第2絶縁性部材22は、挿抜方向(Z軸方向)から見て矩形形状をしており、第2底壁部22aと、一方の第2長手壁部22bと、他方の第2長手壁部22cと、2つの第2短手壁部22fと、第2凸部22dと、第2凹部28とを有する。
【0027】
一方の第2長手壁部22bおよび他方の第2長手壁部22cは、それぞれ、長手方向(X軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。2つの第2短手壁部22f,22fは、それぞれ、短手方向(Y軸方向)に延びており、並行であり且つ対向している。第2凸部22dは、一方の第2長手壁部22bおよび他方の第2長手壁部22cと並行に長手方向(X軸方向)に延びている。第2凸部22dは、第1凹部12hに対応するように突出しており、第1凹部12hに収容される。第2凹部28は、一方の第2長手壁部22b、他方の第2長手壁部22cおよび2つの第2短手壁部22f,22fを受け入れる空間である。一方の第2長手壁部22bおよび第2凸部22dには、凹状の第2接続端子用装着部が形成されている。第2接続端子用装着部に第2接続端子24を装着することによって、第2接続端子24が電気的に絶縁された状態で一方の第2長手壁部22bおよび第2凸部22dに支持される。
【0028】
第2接続端子24は、第2コネクタ20の短手方向(Y軸方向)に延びるように配設されている。第2接続端子24は、図6に示すように、例えば、U字状に凹んだ凹型の第2係合部24aを有する。そのため、第2接続端子24は、通常、メス型の多極接続端子とも呼ばれる。図4に例示した第2接続端子24では、長手方向(X軸方向)に沿って1列に10個の接続端子が配列されている。
【0029】
なお、多極の第2接続端子24の配列は、1列に限られず、2列以上にすることができる。また、第2接続端子24の1列当たりの個数は、10個に限られず、1個以上にすることができる。第2接続端子24の列間における電磁波の干渉を抑制するため、第2接続端子24の列間に導電性のシールド部材(図示せず)を設けてもよい。なお、第2接続端子24として、複数の凹型接続端子が配列されているが、複数の凸型接続端子が配列されてもよい。この場合、第2接続端子24と係合する第1接続端子14には、複数の凸型接続端子に代えて、複数の凹型接続端子が配列される。
【0030】
各第2接続端子24は、長手方向(X軸方向)に沿って配列されている。第2接続端子24は、例えば、信号電位又は接地電位に接続される導体であり、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。第2接続端子24は、例えばリン青銅である。リン青銅は、導電性を有するとともに、弾性変形可能な材料である。第2接続端子24の表面には、例えば、金メッキ等を行ってもよい。第2接続端子24を流れる信号は、例えば、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波信号である。
【0031】
第2接続端子24は、第2係合部24aと、一方の第2介在部24fと、一方の第2実装部24bと、他方の第2介在部24gと、他方の第2実装部24cとを備える。第2係合部24aは、図6に示すように、第2絶縁性部材22の一方の第2長手壁部22bから第2凸部22dにわたって配設されて、U字状に凹んでいる。第1接続端子14と第2接続端子24とが係合したときには、第2係合部24aには、二ヶ所で第2接触部(接触部)24d,24dが形成される。
【0032】
第2係合部24aの一方側には、一方の第2介在部24fが形成されている。一方の第2介在部24fは、断面視で逆L字形状をしており、第2係合部24aと一方の第2実装部24bとをつなぐ。第2係合部24aの他方側には、他方の第2介在部24gが形成されている。他方の第2介在部24gは、断面視で逆L字形状をしており、第2係合部24aと他方の第2実装部24cとをつなぐ。
【0033】
一方の第2実装部24bは、第2係合部24aから短手方向(Y軸方向)の一方側に延びて、一方の第2長手壁部22bよりも外側に位置する。他方の第2実装部24cは、第2絶縁性部材22を挟んで一方の第2実装部24bと反対方向に延在する。すなわち、他方の第2実装部24cは、第2係合部24aから短手方向(Y軸方向)の他方側に延びて、他方の第2長手壁部22cよりも外側に位置する。
【0034】
各第2外部接地部材26は、対応する第2短手壁部22fに配置されている。すなわち、各第2外部接地部材26は、長手方向(X軸方向)において対向して離間して配置されている。第2外部接地部材26は、前述した第1コネクタ10の第1外部接地部材16との嵌合時における誘い込み(案内)機能と、接地電位に電気的に接続されるグランド端子としての機能とを有する。
【0035】
第2外部接地部材26は、接地電位に接続される導体である。第2外部接地部材26としては、例えばリン青銅を用いることができる。リン青銅は、導電性を有すると共に、弾性変形可能な材料である。第2外部接地部材26は、例えば、曲げ加工で形成される。第2外部接地部材26は、接地電位に接続されることで、第2コネクタ20の外部からの電磁波や第2接続端子24からの不要輻射をシールドして、第2外部接地部材26で囲まれる空間を電磁波遮蔽空間とすることができる。
【0036】
〔電気コネクタセットにおける係合構造、嵌合構造〕
図7は、嵌合状態にある電気コネクタセット30の斜視図である。図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0037】
電気コネクタセット30では、第2コネクタ20に対して第1コネクタ10を対向させた状態で、第1コネクタ10を挿抜方向(Z軸方向)に押し込むことによって、第1コネクタ10が第2コネクタ20に嵌合する。
【0038】
このとき、図7に示すように、第1コネクタ10の第1外部接地部材16が、第2コネクタ20の第2外部接地部材26に嵌合する。それとともに、第1絶縁性部材12における一方の第1長手壁部12bと他方の第1長手壁部12cと2つの第1短手壁部12f,12fとが、第2絶縁性部材22の第2凹部28と嵌合する。さらに、第2絶縁性部材22の第2凸部22dが、第1絶縁性部材12の第1凹部12hと嵌合する。当該構成によれば、第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22の全体で嵌合が行われるため、嵌合状態が安定して嵌合が不用意に外れることを防止できる。
【0039】
図8に示すように、嵌合状態では、第1接続端子14の第1係合部14aが、第2接続端子24の第2係合部24aに係合する。これにより、第1係合部14aの第1接触部14dが、第2係合部24aの第2接触部24dと電気的に接続される。
【0040】
〔回路基板に対する電気コネクタセットの実装構造〕
図9は、図1の第1コネクタ10を第1回路基板1に実装したときの斜視図である。図10は、図9のX-X線に沿った断面図である。図11は、図4の第2コネクタ20を第2回路基板2に実装したときの斜視図である。図12は、図11のXII-XII線に沿った断面図である。
【0041】
図9に示すように、第1回路基板1には、第1コネクタ10が実装される。図10に示すように、第1回路基板1においては、第1コネクタ10に対面する側から順に、例えば、第1内側接地層、第1絶縁層3g(5)、第1導電層3b、第2絶縁層3h(5)および第1外側接地層などが積層されている。第1内側接地層の側には、第1ランド部3が形成されており、第1ランド部3は、ビアを介して第1導電層3bと接続される。なお、第1絶縁層3gと第2絶縁層3hとが、第1絶縁部5として働き、同じものであってもよい。
【0042】
第1ランド部3は、第1接続端子14における一方の第1実装部14bおよび他方の第1実装部14cの実装に使用される。一方の第1実装部14bおよび他方の第1実装部14cは、半田バンプなどの導電部材によって、第1ランド部3と電気的に接続される。
【0043】
図11に示すように、第2回路基板2には、第2コネクタ20が実装される。図12に示すように、第2回路基板2においては、第2コネクタ20に対面する側から順に、第2内側接地層、第3絶縁層4g(6)、第2導電層4b、第4絶縁層4h(6)および第2外側接地層などが積層されている。第2内側接地層の側には、第2ランド部4が形成されており、第2ランド部4は、ビアを介して第2導電層4bと接続される。なお、第3絶縁層4gと第4絶縁層4hとが、第2絶縁部6として働き、同じものであってもよい。
【0044】
第2ランド部4は、第2接続端子24における一方の第2実装部24bおよび他方の第2実装部24cの実装に使用される。一方の第2実装部24bおよび他方の第2実装部24cは、半田バンプなどの導電部材によって、第2ランド部4と電気的に接続される。
【0045】
第1回路基板1での第1絶縁層および第2絶縁層と、第2回路基板2での第3絶縁層および第4絶縁層とにおいては、比誘電率εおよび誘電正接tanδが小さい材料を用いることが好ましい。そのような低比誘電率および低誘電正接の材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いることができる。
【0046】
したがって、第1回路基板1および第2回路基板2における各絶縁層の各誘電率が、第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22の各誘電率よりも低く構成されている。当該構成によれば、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波帯での誘電損失を防ぐことができるとともに、後述する、第1コネクタ10の第1実装部14b,14cと第2コネクタ20の第2実装部24b,24cとの間で形成される静電容量を大きくすることができる。
【0047】
〔第1実装部と第2実装部との間で形成される静電容量〕
図13は、第1コネクタ10の第1実装部14b,14cと第2コネクタ20の第2実装部24b,24cとの間で形成される静電容量を説明する断面図である。
【0048】
図13に示した嵌合状態では、第1接続端子14の第1係合部14aが、第2接続端子24の第2係合部24aと係合している。第1係合部14aと第2係合部24aとの係合により、第1係合部14aの第1接触部14d,14dは、第2係合部24aの第2接触部24d,24dと電気的に接触している。2つの第1接触部14d,14dは、接触距離LでY軸方向に離間している。2つの第2接触部24d,24dも、接触距離LでY軸方向に離間している。
【0049】
一方の第1実装部14bは、第1係合部14aからY軸方向の一方側に延在長さLで延びている。一方の第2実装部24bと第2係合部24aとの間は、逆L字状をした一方の第2介在部24fでつながれている。一方の第2実装部24bは、一方の第2介在部24fからY軸方向の一方側に長さL2-2で延びている。
【0050】
一方の第2実装部24bは、一方の第1実装部14bに対して、嵌合方向(Z軸方向)において距離D2-2で離間しているとともにY軸方向において長さL2-2で重なっている。言い換えると、嵌合方向(Z軸方向)から見て、一方の第2実装部24bと一方の第1実装部14bとの間での重なり部分として、第1重なり部L2-2が形成されている。そして、第1ランド部3および第2ランド部4が、第1重なり部L2-2の側に位置している。一方の第1実装部14bと一方の第2実装部24bとの間には、高誘電率を有する第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22が配設されている。したがって、一方の第1実装部14bと一方の第2実装部24bとの間で形成される第1重なり部L2-2では、静電容量が形成される。
【0051】
一方の第2介在部24fは、一方の第1実装部14bに対して、嵌合方向(Z軸方向)において距離D2-1で離間しているとともにY軸方向において長さL2-1で重なっている。一方の第1実装部14bと一方の第2介在部24fとの間には、高誘電率を有する第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22が配設されている。したがって、一方の第1実装部14bと一方の第2介在部24fとの間で、静電容量が形成される。一方の第1実装部14bと一方の第2実装部24bとの間で重なった領域の面積や距離、および/または、第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22の誘電率を変えることにより、当該静電容量を適宜に変化させることができる。
【0052】
このように、第1係合部14aの一方側において、一方の第1実装部14bと、一方の第2実装部24bおよび一方の第2介在部24fとによる静電容量が形成され、当該静電容量は適宜に調整可能である。
【0053】
他方の第1実装部14cは、第1係合部14aからY軸方向の他方側に延在長さLで延びている。他方の第2実装部24cおよび第2係合部24aは、逆L字状をした他方の第2介在部24gでつながれている。他方の第2実装部24cは、他方の第2介在部24gからY軸方向の他方側に長さL1-2で延びている。
【0054】
他方の第2実装部24cは、他方の第1実装部14cに対して、嵌合方向(Z軸方向)において距離D1-2で離間しているとともにY軸方向において長さL1-2で重なっている。言い換えると、嵌合方向(Z軸方向)から見て、他方の第2実装部24cと他方の第1実装部14cとの間での重なり部分として、第2重なり部L1-2が形成されている。そして、前述した第1重なり部L2-2の面積が、第2重なり部L1-2の面積よりも小さいように構成されている。他方の第1実装部14cと他方の第2実装部24cとの間には、高誘電率を有する第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22が配設されている。したがって、他方の第1実装部14cと他方の第2実装部24cとの間で形成される第2重なり部L1-2では、静電容量が形成される。
【0055】
他方の第2介在部24gは、他方の第1実装部14cに対して、嵌合方向(Z軸方向)において距離D1-1で離間しているとともにY軸方向において長さL1-1で重なっている。他方の第1実装部14cと他方の第2介在部24gとの間には、高誘電率を有する第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22が配設されている。したがって、他方の第1実装部14cと他方の第2介在部24gとの間で、静電容量が形成される。他方の第1実装部14cと他方の第2実装部24cとの間で重なった領域の面積や距離、および/または、第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22の誘電率を変えることにより、当該静電容量を適宜に変化させることができる。
【0056】
このように、第1係合部14aの他方側において、他方の第1実装部14cと、他方の第2実装部24cおよび他方の第2介在部24gとによる静電容量が形成され、当該静電容量は適宜に調整可能である。
【0057】
したがって、上記構成によれば、電気コネクタセット30の嵌合状態において、第1実装部14b,14cが、第2実装部24b,24cに対向するとともに挿抜方向から見て重なっているので、第1実装部14b,14cと第2実装部24b,24cとの間で静電容量が形成される。当該静電容量は、特性インピーダンスを調整するためのコンデンサとして機能することができる。したがって、電気コネクタセット30は、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有する。
【0058】
また、一方の第1実装部14bの延在長さL と他方の第1実装部14cの延在長さL が、第1接続端子14と第2接続端子24とが電気的に接触するときに形成される2つの接触部14d,24dの間の接触距離Lよりも長いように構成されている。当該構成によれば、第1接続端子14および第2接続端子24の限られた寸法の中で、より大きな静電容量を確保できる。
【0059】
〔第1回路基板および第2回路基板における配線設計〕
【0060】
図13において、実線で示した第1ランド部3と一方の第1実装部14bとを電気的に接続するとともに、実線で示した第2ランド部4と一方の第2実装部24bとを電気的に接続することができる。この場合、実線で示した第1ランド部3と、一方の第1実装部14bと、第1係合部14aと、第2係合部24aと、一方の第2実装部24bと、実線で示した第2ランド部4とをつなぐ電気的経路が形成される。
【0061】
図13において、実線で示した第1ランド部3と一方の第1実装部14bとを電気的に接続するとともに、破線で示した第2ランド部4と他方の第2実装部24cとを電気的に接続することができる。この場合、実線で示した第1ランド部3と、一方の第1実装部14bと、第1係合部14aと、第2係合部24aと、他方の第2実装部24cと、破線で示した第2ランド部4とをつなぐ電気的経路が形成される。
【0062】
図13において、破線で示した第1ランド部3と他方の第1実装部14cとを電気的に接続するとともに、実線で示した第2ランド部4と一方の第2実装部24bとを電気的に接続することができる。この場合、破線で示した第1ランド部3と、他方の第1実装部14cと、第1係合部14aと、第2係合部24aと、一方の第2実装部24bと、実線で示した第2ランド部4とをつなぐ電気的経路が形成される。
【0063】
図13において、破線で示した第1ランド部3と他方の第1実装部14cとを電気的に接続するとともに、破線で示した第2ランド部4と他方の第2実装部24cとを電気的に接続することができる。この場合、破線で示した第1ランド部3と、他方の第1実装部14cと、第1係合部14aと、第2係合部24aと、他方の第2実装部24cと、破線で示した第2ランド部4とをつなぐ電気的経路が形成される。
【0064】
このように、一方の第1実装部14bおよび他方の第1実装部14cのいずれかと、一方の第2実装部24bおよび他方の第2実装部24cのいずれかとを組み合わせることによって、適宜の電気的経路を形成できる。したがって、第1回路基板1および第2回路基板2における配線設計(第1ランド部3および第2ランド部4の配置)の自由度を増すことができる。
【0065】
第1ランド部3および第2ランド部4が、第2重なり部L1-2よりも重なり面積の小さい第1重なり部L2-2の側に位置する構成により、第1ランド部3から第2ランド部4に至る電気的経路を短くでき、電気的ロスが少なくなる。メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波帯では、電気的経路が長くなると電気的ロスの影響が出るため、上記構成は特に好ましい。
【0066】
第2重なり部L1-2の面積が第1重なり部L2-2の面積よりも大きいので、第1コネクタ10の第1実装部14cと第2コネクタ20の第2実装部24cとの間でより大きな静電容量を形成できる。
【0067】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0068】
本開示および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0069】
本開示の一態様に係る電気コネクタセットは、
第1回路基板1に実装される第1コネクタ10と、第2回路基板2に実装されて前記第1コネクタ10に対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合する第2コネクタ20とを備える電気コネクタセット30であって、
前記第1コネクタ10は、前記第1回路基板1に設けられた第1ランド部3に実装される第1実装部14b,14cを有する第1接続端子14と、前記第1接続端子14を保持する第1絶縁性部材12とを備え、
前記第2コネクタ20は、前記第2回路基板2に設けられた第2ランド部4に実装される第2実装部24b,24cを有する第2接続端子24と、前記第2接続端子24を保持する第2絶縁性部材22とを備え、
前記電気コネクタセット30の嵌合状態において、前記第1実装部14b,14cが、前記第2実装部24b,24cに対向するとともに前記挿抜方向から見て重なるように構成されていることを特徴とする。
【0070】
上記構成によれば、電気コネクタセット30の嵌合状態において、第1実装部14b,14cが、第2実装部24b,24cに対向するとともに挿抜方向から見て重なっているので、第1実装部14b,14cと第2実装部24b,24cとの間で静電容量が形成される。当該静電容量は、特性インピーダンスを調整するためのコンデンサとして機能することができる。したがって、電気コネクタセット30は、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有する。
【0071】
また、一実施形態の電気コネクタセット30では、
前記第1実装部14b,14cが、一方の第1実装部14bと、前記第1絶縁性部材12を挟んで前記一方の第1実装部14bと反対方向に延在する他方の第1実装部14cとから構成されているとともに、
前記第2実装部24b,24cが、一方の第2実装部24bと、前記第2絶縁性部材22を挟んで前記一方の第2実装部24bと反対方向に延在する他方の第2実装部24cとから構成されている。
【0072】
上記実施形態によれば、第1回路基板1および第2回路基板2における配線設計(第1ランド部3および第2ランド部4の配置)の自由度を増すことができる。
【0073】
また、一実施形態の電気コネクタセット30では、
前記第1実装部14b,14cの延在長さL ,L が、前記第1接続端子14と前記第2接続端子24とが電気的に接触するときに形成される2つの接触部14d,24dの間の接触距離Lよりも長い。
【0074】
上記実施形態によれば、第1接続端子14および第2接続端子24の限られた寸法の中で、より大きな静電容量を確保できる。
【0075】
また、一実施形態の電気コネクタセット30では、
前記第1絶縁性部材12が、第1底壁部12aと、一方の第1長手壁部12bと、他方の第1長手壁部12cと、2つの第1短手壁部12f,12fと、第1凹部12hとを備え、
前記第2絶縁性部材22が、第2底壁部22aと、一方の第2長手壁部22bと、他方の第2長手壁部22cと、2つの第2短手壁部22f,22fと、前記第1凹部12hと嵌合する第2凸部22dと、前記一方の第1長手壁部12b、前記他方の第1長手壁部12cおよび前記2つの第1短手壁部12f,12fと嵌合する第2凹部28とを備える。
【0076】
上記実施形態によれば、第1絶縁性部材12および第2絶縁性部材22の全体で嵌合が行われるため、嵌合状態が安定して嵌合が不用意に外れることを防止できる。
【0077】
また、一実施形態の電気コネクタセット30では、
前記第1回路基板1の第1絶縁部5および前記第2回路基板2の第2絶縁部6の各誘電率が、前記第1絶縁性部材12および前記第2絶縁性部材22の各誘電率よりも低い。
【0078】
上記実施形態によれば、メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波帯での誘電損失を防ぐことができるとともに、前述する、第1コネクタ10の第1実装部14b,14cと第2コネクタ20の第2実装部24b,24cとの間で形成される静電容量を大きくすることができる。
【0079】
また、一実施形態の電気コネクタセット30では、
前記第1実装部14b,14cと前記第2実装部24b,24cとの間での重なり部分として、第1重なり部L2-2および第2重なり部L1-2が形成され、前記第1ランド部3および前記第2ランド部4が前記第1重なり部L2-2の側に位置して、前記第1重なり部L2-2の面積が、前記第2重なり部L1-2の面積よりも小さい。
【0080】
上記実施形態によれば、第1ランド部3および第2ランド部4が、第2重なり部L1-2よりも重なり面積の小さい第1重なり部L2-2の側に位置する構成により、第1ランド部3から第2ランド部4に至る電気的経路を短くでき、電気的ロスが少なくなる。メガヘルツ帯やギガヘルツ帯の高周波帯では、電気的経路が長くなると電気的ロスの影響が出るため、上記構成は特に好ましい。また、第2重なり部L1-2の面積が第1重なり部L2-2の面積よりも大きいので、第1コネクタ10の第1実装部14b,14cと第2コネクタ20の第2実装部24b,24cとの間でより大きな静電容量を形成できる。
【0081】
別の局面では、本開示の電気コネクタセット1の実装構造は、
第1ランド部を有する第1回路基板と、
第2ランド部を有する第2回路基板と、
前記第1回路基板に実装される第1コネクタと、前記第2回路基板に実装されて前記第1コネクタに対して挿抜方向に挿抜可能に嵌合する第2コネクタとから構成される電気コネクタセットとを備え、
前記第1コネクタは、第1接続端子と、前記第1接続端子を保持する第1絶縁性部材とを含み、
前記第2コネクタは、第2接続端子と、前記第2接続端子を保持する第2絶縁性部材とを含み、
前記第1接続端子は、第1実装部において前記第1ランド部に実装され、
前記第2接続端子は、第2実装部において前記第2ランド部に実装され、
前記挿抜方向から見たとき、前記電気コネクタセットの嵌合状態において、前記第1実装部が前記第2実装部に重なる位置に配置される。
【0082】
上記構成によれば、電気コネクタセット30の嵌合状態において、第1実装部14b,14cが、第2実装部24b,24cに対向するとともに挿抜方向から見て重なっているので、第1実装部14b,14cと第2実装部24b,24cとの間で静電容量が形成される。当該静電容量は、特性インピーダンスを調整するためのコンデンサとして機能することができる。したがって、電気コネクタセット30の実装構造は、それ自身で特性インピーダンスを調整するインピーダンス調整機能を有する。
【符号の説明】
【0083】
1…第1回路基板
2…第2回路基板
3…第1ランド部
3b…第1導電層
3g…第1絶縁層(第1絶縁部)
3h…第2絶縁層(第1絶縁部)
4…第2ランド部
4b…第2導電層
4g…第3絶縁層(第2絶縁部)
4h…第4絶縁層(第2絶縁部)
5…第1絶縁部
6…第2絶縁部
10…第1コネクタ
12…第1絶縁性部材
12a…第1底壁部
12b…一方の第1長手壁部
12c…他方の第1長手壁部
12f…第1短手壁部
12h…第1凹部
14…第1接続端子
14a…第1係合部
14b…一方の第1実装部(第1実装部)
14c…他方の第1実装部(第1実装部)
14d…第1接触部(接触部)
16…第1外部接地部材
20…第2コネクタ
22…第2絶縁性部材
22a…第2底壁部
22b…一方の第2長手壁部
22c…他方の第2長手壁部
22d…第2凸部
22f…第2短手壁部
24…第2接続端子
24a…第2係合部
24b…一方の第2実装部(第2実装部)
24c…他方の第2実装部(第2実装部)
24d…第2接触部(接触部)
24f…一方の第2介在部
24g…他方の第2介在部
26…第2外部接地部材
28…第2凹部
30…電気コネクタセット
1-2…第2重なり部
2-2…第1重なり部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13