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特許7078232表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼、および難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼、および難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/28 20060101AFI20220524BHJP
   C25D 5/10 20060101ALI20220524BHJP
   C25D 5/26 20060101ALI20220524BHJP
   C25D 5/36 20060101ALI20220524BHJP
   C25D 5/38 20060101ALI20220524BHJP
   C25D 5/50 20060101ALI20220524BHJP
   C25D 3/56 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
C25D5/28
C25D5/10
C25D5/26 Q
C25D5/36
C25D5/38
C25D5/50
C25D3/56 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020513383
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 CN2017085647
(87)【国際公開番号】W WO2018205307
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】201710318166.1
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519400243
【氏名又は名称】永保科技(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】RAMBO TECHNOLOGY (SHENZHEN)., LTD.
【住所又は居所原語表記】807-33 Zhengzhong Times Building,The crossing of Longcheng Road and Longfu Road,Central City Longcheng Street,Longgang District,Shenzhen,Guangdong,China
(73)【特許権者】
【識別番号】512127442
【氏名又は名称】永保納米科技(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Rambo Nanotechnology (Shenzhen) Ltd.
【住所又は居所原語表記】3/F, 28 Zhongqin Road, Xinsheng Village, Longgang Town, Shenzhen, Guangdong, China 518112
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】郭振華
(72)【発明者】
【氏名】仇栄宗
(72)【発明者】
【氏名】郭嘉宝
(72)【発明者】
【氏名】黄国英
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特公昭54-003825(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0202862(US,A1)
【文献】米国特許第03480523(US,A)
【文献】英国特許出願公告第01356701(GB,A)
【文献】特開平10-237691(JP,A)
【文献】特開昭63-310993(JP,A)
【文献】米国特許第3892638(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/00- 7/12
C25B11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセスであって、
チタン、タンタル、ニオブ、またはそれらの合金である前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材に対して前処理をするステップと、
前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材の表面にロジウムルテニウム合金層を電気めっきして、その後に熱処理をして、表面にロジウムルテニウム合金層を含む電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を得るステップとを含み、
前記前処理は、前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材に対して、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その後にアルカリ電解脱脂を行い、次に酸液またはアルカリ液における電解除去により基材の表面の緩い構造層を除去し、その後にフッ素含有酸液に浸漬して活性化し、最後にフッ素含有アルカリ液において電解活性化することを含み、
前記ロジウムルテニウム合金層において、ルテニウムの質量含有量は10%以下とすることを特徴とする難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス。
【請求項2】
前記ロジウムルテニウム合金層の表面に金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層をさらに電気めっきしてから、前記金層、銅層、ニッケル層、またはパラジウム層の表面に第2のロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を得ることを特徴とする請求項1に記載の難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス。
【請求項3】
前記熱処理の具体的な操作は、50℃以上300℃以下且つ分間以上60分間以下で熱処理をし、続いて300℃以上1300℃以下且つ分間以上60分間以下で熱処理をすることであることを特徴とする請求項1または2に記載の難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス。
【請求項4】
難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセスであって、
チタン、タンタル、ニオブ、またはそれらの合金である前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材に対して前処理をするステップと、
まず前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材の表面に金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層を電気めっきし、その後に熱処理をし、冷却後に、前記金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層の表面にロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を得るステップとを含み、
前記前処理は、前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材に対して、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その後にアルカリ電解脱脂を行い、次に酸液またはアルカリ液における電解除去により基材の表面の緩い構造層を除去し、その後にフッ素含有酸液に浸漬して活性化し、最後にフッ素含有アルカリ液において電解活性化することを含み、
前記ロジウムルテニウム合金層において、ルテニウムの質量含有量は10%以下とすることを特徴とする難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス。
【請求項5】
前記熱処理の具体的な操作は、50℃以上300℃以下且つ分間以上60分間以下で熱処理をし、続いて300℃以上1300℃以下且つ分間以上60分間以下で熱処理をすることであることを特徴とする請求項4に記載の難溶融金属またはステンレス鋼の表面の電気めっきプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面電気めっき技術の分野に関し、特に、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼、および難溶融金属またはステンレス鋼の表面のめっきプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
チタン、タンタル、ニオブなどの難溶融金属は、高温強度、耐食性、および加工可塑性に優れており、工業では重要な高温構造材料である。電子用途では、材料の特性は優れているが、そのような金属のはんだ付け性が悪いため、最終製品が高い強度、耐食性、軽量性、はんだ付け性などの利点を同時に発揮できるように、表面に他の金属の層をめっきする必要がある。
【0003】
しかし、難溶融金属の特性は非常に活発であり、表面は空気および水中で緻密なパッシベーション膜を容易に形成する。接着力の良いめっき層を得るためには、電気めっきする前にパッシベーション膜を破壊する必要があるが、そのような金属のパッシベーション速度が速すぎるため、パッシベーション膜は除去直後に新たに形成するため、その上で電気めっきを実行することは非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を解決するために、或る人はまず電気分解によってチタン材料を剥いて、次に電気めっきして金層を形成するが、効果はあまり満足のいくものではない。また、或る人はニオブ材料を真空状態で 1900℃まで加熱し、冷却後に金層を電気めっきするが、この技術に必要な設備とエネルギー消費は高く、実際の生産に適用するのは困難である。
【0005】
総括しては、難溶融金属に効果的で安全な電気めっきを行い、良好な接着力、耐食性、溶接力を有するめっき層を得る電気めっきプロセスを見つけることは必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それにより、本発明は、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼、および難溶融金属またはステンレス鋼の表面のめっきプロセスを提供する。その電気めっき層は、良好な接着力、耐食性、はんだ付け性を有し、難溶融金属製品の溶接力を改善することにより、産業用途に有利である。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を提供し、それは、基材と前記基材の表面に形成された電気めっき層を含み、前記基材は難溶融金属基材またはステンレス鋼基材を含み、難溶融金属基材はチタン、タンタル、ニオブ、またはそれらの合金であり、前記電気めっき層はロジウムルテニウム合金層を含む。
【0008】
本発明の実施形態では、前記ロジウムルテニウム合金層の厚さは、0.01-10μmであり、好ましくは0.1-2μmである。前記ロジウムルテニウム合金層において、ルテニウムの質量含有量は20%以下であり、好ましくはルテニウムの質量含有量は0.5%-10%であり、より好ましくはルテニウムの質量含有量は3%-5%である。本発明において、ロジウムルテニウム合金層は、良好な接着力および防食性能を有し、かつはんだ付け性を有し、これは、工業における難溶融金属の幅広い用途に有利である。合金中のルテニウムを少量に制御すると、めっき層の接着力と耐食性をさらに向上させる。
【0009】
本発明の実施形態では、基材の用途に応じて、電気めっき層の特定の厚さを確保し、基材のある特性を向上させるために、前記電気めっき層は、前記基材と前記ロジウムルテニウム合金層との間に配置された金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層をさらに含む。ここで、前記金層またはパラジウム層の厚さは0.01-10μmであり、好ましくは0.1-2μmであり、前記銅層、前記ニッケル層の厚さは0.01-200μmであり、好ましくは1-100μmである。ここで、金層とパラジウム層の配置は、基材の耐食性をさらに向上させることができ、銅層とニッケル層の配置は、基材の導電性を向上させることができる。
【0010】
本発明の実施形態では、前記電気めっき層はさらに、前記ロジウムルテニウム合金層の表面に配置された金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層、および前記金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層の表面に配置された第2のロジウムルテニウム合金層を含む。ここで、前記金層、パラジウム層、および第2のロジウムルテニウム合金層の厚さは0.01-10μmであり、好ましくは0.1-2μmであり、前記銅層、前記ニッケル層の厚さは0.01-200μmであり、好ましくは1-100μmであり、前記第2のロジウムルテニウム合金層において、ルテニウムの質量含有量は20%以下であり、好ましくはルテニウムの質量含有量は0.5%-10%であり、より好ましくはルテニウムの質量含有量は3%-5%である。
【0011】
本発明の実施形態では、実際の需要、例えば、導電性、耐摩耗性、耐指紋などの機能性需要、外観および色などの装飾的需要などに従って、前記電気めっき層はさらにPVDめっき層、装飾的金属めっき層または装飾的非金属めっき層を配置する。
【0012】
本発明の第1の態様により提供された表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼は、その電気めっき層は良好な接着力、耐食性およびはんだ付け性を有し、従来の技術において、難溶融金属基材で安全で効果的な電気めっきを行い、良好な接着力、強力な耐食性、高いはんだ付け性を備えた電気めっき層を得ることが困難という問題を解決する。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、難溶融金属またはステンレス鋼表面の電気めっきプロセスを提供し、それは以下のステップを含む。
【0014】
難溶融金属基材またはステンレス鋼基材に対して前処理をし、前記難溶融金属基材はチタン、タンタル、ニオブ、またはそれらの合金である。
【0015】
難溶融金属基材またはステンレス鋼基材の表面にロジウムルテニウム合金層を電気めっきして、その後に熱処理をして、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を得って、前記電気めっき層はロジウムルテニウム合金層を含む。
【0016】
本発明の実施形態では、基材の用途に従って、一定の電気めっき層の厚さを確保して基材のある性能を向上させるために、前記ロジウムルテニウム合金層の表面にさらに金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層を電気めっきしてから、前記金層、銅層、ニッケル層、またはパラジウム層の表面に第2のロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を得る。第2のロジウムルテニウム合金層を電気めっきした後、必要に応じて熱処理をしてもよいし、熱処理をしなくてもよい。
【0017】
また、本発明は、難溶融金属またはステンレス鋼表面の電気めっきプロセスを提供し、それは以下のステップを含む。
【0018】
難溶融金属基材またはステンレス鋼基材に対して前処理をし、前記難溶融金属基材はチタン、タンタル、ニオブ、またはそれらの合金である。
【0019】
まず、前記難溶融金属基材またはステンレス鋼基材の表面に金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層を電気めっきし、その後に熱処理を行い、冷却後に、前記金層、または銅層、またはニッケル層、またはパラジウム層の表面にロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、表面に電気めっき層を有する難溶融金属またはステンレス鋼を得る。
【0020】
この場合には、つまり電気めっき層は前記2層構造である場合には、ロジウムルテニウム合金層を電気めっきした後、必要に応じて熱処理をしてもよいし、熱処理をしなくてもよい。
【0021】
本発明の上記電気めっきプロセスにおいて、前記前処理は、難溶融金属基材またはステンレス鋼基材は、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理は行われ、その後にアルカリ電解脱脂が行われ、次に酸液またはアルカリ液における電解除去により基材の表面の緩い構造層が除去され、その後にフッ素含有酸液において浸漬されて活性化され、最後にフッ素含有アルカリ液において電解活性化されることを含む。ここで、浸漬処理は、基材の表面を洗浄するために用いられ、基材の表面がわずかに腐食された状態で、それにより電気めっき層の接着力が向上する。また、電気脱脂操作は、基材の表面のグリース/汚れを除去するためであり、当該操作プロセスにおいて、基材サンプルをカソードに置き、その後の酸液またはアルカリ液電解除去は、電気分解によって基材の表面の緩い部分を剥ぎ取り(すなわち、緩い構造層を除去する)、電気めっき層の接着力を向上させることに役立ち、当該操作プロセスにおいて、基材サンプルをアノードに置き、当該操作は基材の表面の金属を剥ぎ取る。また、酸液の活性化の操作は、基材の表面を活性化状態にするためであり、アルカリ液の活性化が基材の表面に非常に薄い保護層をして、それによって基材が再び酸化され、次の電気めっき層の接着力が低下することを防ぐ。
【0022】
本発明の実施形態では、前記浸漬処理温度は40-80℃、時間は1-10分間であり、前記電気脱脂温度は40-80℃、電流密度は5-20ASD(アンペア/平方デシメートル)、時間は1-10分間である。酸液電解除去の温度は20-35℃、電流密度は1-10ASD、時間は20秒-10分間であり、アルカリ液電解除去の温度は40-80℃、電流密度は0.5-10ASD、時間は20秒-10分間であり、酸液浸漬活性化温度は20-35℃、時間は30秒-5分間であり、アルカリ液電解活性化温度は20-35℃、電流密度は1-10ASD、時間は30秒-10分間である。
【0023】
上記の電気めっきプロセスに係る熱処理の具体的な操作は、50-300℃で1-60分間熱処理をし、続いて300-1300℃で1-60分間熱処理をする。さらに、前記熱処理は、具体的には、まず80-150℃で5-30分間熱処理をし、続いて300-900℃で5-30分間熱処理をする。熱処理操作により、めっき層の接着力をより良く向上させることができる。
【0024】
ここで、電気めっき金層は酸性金めっきであり、その操作温度は30-50℃、電流密度は0.2-5ASDである。電気めっき銅層は酸性銅めっきであり、その操作温度は20-35℃、電流密度は0.2-5ASDである。前記パラジウム層は酸性パラジウムめっきであり、その操作温度は16-35℃、0.2-5ASDである。電気めっきニッケル層は酸性ニッケルめっきであり、その操作温度は50-70℃、0.2-5ASDである。電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は25-45℃、電流密度は0.2-5ASDである。
【0025】
上記の電気めっきプロセスが完了した後、実際の需要に従って、電気めっき層に新たなめっき層をさらに配置し、それはPVD(physical vapor deposition、物理蒸着)めっき層、装飾的金属めっき層または装飾的非金属めっき層等を含み、それにより、基材を導電性、耐摩耗性、耐指紋などの機能性需要、およびさまざまな色や外観効果などの装飾的需要を満たす。
【0026】
上記の発明によって提供された難溶融金属またはステンレス鋼表面の電気めっきプロセスは、簡単なプロセスであり、設備に対する要求が低いため、工業生産に優れ、良好な接着力、耐食性およびはんだ付け性を有する電気めっき層を得ることができる。
【0027】
本発明の利点は、以下の明細書の部分で説明し、その一部は明細書によると明らかなことで、あるいは本発明の実施例の実施により分かることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、本発明の実施形態の好ましい実施形態であり、当業者には、本発明の実施形態の原理から逸脱することなく、いくつかの改善および改良を行うことができ、これらの改善および改良も本発明の実施形態の保護範囲であると見なされることは指摘されるべきである。
【0029】
実施例1
難溶融金属チタンの表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)チタンシートを基材として、前記チタンシートに次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は5分間であり、その後、チタンシートをカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は10ASD、時間は1分間であり、その後、チタンシートをアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は1ASD、時間は1分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間で浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0030】
(2)前処理が完了した後、前記チタンシートの表面に厚さ0.8μmの金層を電気めっきし、金層を電気めっきする操作は酸性金めっきであり、その操作温度は40℃、電流密度は0.5ASDである。その後、サンプルをオーブンに入れて熱処理をし、その条件は、まず100℃で10分間焼成し、その後、400℃で20分間焼成し、サンプルが冷却された後、前記金層の表面に厚さ0.8μmのロジウムルテニウム合金層(合金の比率はロジウム:ルテニウムが95%:5%とする)を電気めっきし、電気めっきした後、サンプルをオーブンに入れて熱処理をし、その条件は、まず100℃で10分間焼成し、その後、300℃で10分間焼成し、表面に電気めっき層を有するチタンシートを得って、前記電気めっき層は前記チタンシートの表面に順に形成されている金層およびロジウムルテニウム合金層を含み、前記電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0031】
実施例2
難溶融金属タンタルの表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)タンタルシートを基材として、前記タンタルシートに次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は10分間であり、その後、タンタルシートをカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は10ASD、時間は5分間であり、その後、タンタルシートをアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は5ASD、時間は5分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間において浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0032】
(2)前処理が完了した後、前記タンタルシートの表面に厚さ0.8μmのロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、ロジウムルテニウム合金(Rh:Ru)の比率は95%:5%とし、その後、タンタルシートサンプルをオーブンに入れて熱処理をし、まず100℃で10分間焼成し、その後、300℃で20分間焼成し、サンプルが冷却された後、ロジウムルテニウム合金層の表面に厚さ0.5μmの金層を電気めっきし、最終的に金層に厚さ0.2μmの第2のロジウムルテニウム合金層(合金の比率はロジウム:ルテニウムが95%:5%とする)を電気めっきし、表面に電気めっき層を有するタンタルシートを得って、前記電気めっき層は前記タンタルシートの表面に順に形成されているロジウムルテニウム合金層、金層および第2のロジウムルテニウム合金層を含み、ここで、電気めっき金層の操作は酸性金めっきであり、その操作温度は40℃、電流密度は0.5ASDであり、電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0033】
実施例3
難溶融金属ニオブの表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)ニオブシートを基材として、前記ニオブシートに次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は10分間であり、その後、ニオブシートをカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は10ASD、時間は5分間であり、その後、ニオブシートをアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は1ASD、時間は1分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間で浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0034】
(2)前処理が完了した後、前記ニオブシートの表面に厚さ0.5μmのロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、ロジウムルテニウム合金(Rh:Ru)の比率は97%:3%とし、その後、ニオブシートサンプルをオーブンに入れて熱処理をし、まず100℃で10分間焼成し、その後、500℃で10分間焼成し、サンプルが冷却された後、表面に電気めっき層を有するニオブシートを得って、前記電気めっき層は前記ニオブシートの表面に形成されているロジウムルテニウム合金層を含み、ここで、電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0035】
実施例4
ステンレス鋼の表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)ステンレス鋼を基材として、前記ステンレス鋼に次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は2分間であり、その後、ステンレス鋼をカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は5ASD、時間は2分間であり、その後、ステンレス鋼をアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は1ASD、時間は1分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間で浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0036】
(2)前処理が完了した後、前記ステンレス鋼の表面に厚さ0.8μmのロジウムルテニウム合金層を電気めっきし、ロジウムルテニウム合金(Rh:Ru)の比率は95%:5%とし、その後、ステンレス鋼サンプルをオーブンに入れて熱処理をし、まず100℃で10分間焼成し、その後、300℃で20分間焼成し、サンプルが冷却された後、ロジウムルテニウム合金層の表面に厚さ0.8μmの金層を電気めっきし、最終的に金層に厚さ1μmの第2のロジウムルテニウム合金層(合金の比率はロジウム:ルテニウムが97%:3%とする)を電気めっきし、表面に電気めっき層を有するステンレス鋼を得って、前記電気めっき層は前記ステンレス鋼の表面に順に形成されているロジウムルテニウム合金層、金層および第2のロジウムルテニウム合金層を含み、ここで、電気めっき金層の操作は酸性金めっきであり、その操作温度は40℃、電流密度は0.5ASDであり、電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0037】
実施例5
難溶融金属タンタルの表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)タンタルシートを基材として、前記タンタルシートに次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は10分間であり、その後、タンタルシートをカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は10ASD、時間は5分間であり、その後、タンタルシートをアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は5ASD、時間は5分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間で浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0038】
(2)前処理が完了した後、前記タンタルシートの表面に厚さ1μmのニッケル層を電気めっきし、ニッケル層を電気めっきする操作は酸性ニッケルめっきであり、その操作温度は60℃、電流密度は0.5ASDである。その後、サンプルをオーブンに入れて熱処理をし、その条件は、まず100℃で10分間焼成し、その後、300℃で20分間焼成し、サンプルが冷却された後、前記ニッケル層の表面に厚さ1μmのロジウムルテニウム合金層(合金の比率はロジウム:ルテニウムが95%:5%とする)を電気めっきし、表面に電気めっき層を有するタンタルシートを得って、前記電気めっき層は前記タンタルシートの表面に順に形成されているニッケル層およびロジウムルテニウム合金層を含み、前記電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0039】
実施例6
難溶融金属ニオブの表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)ニオブシートを基材として、前記ニオブシートに次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は5分間であり、その後、ニオブシートをカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は10ASD、時間は1分間であり、その後、ニオブシートをアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は1ASD、時間は1分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間において浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0040】
(2)前処理が完了した後、前記ニオブシートの表面に厚さ2μmの銅層を電気めっきし、金層を電気めっきする操作は酸性金めっきであり、その操作温度は25℃、電流密度は0.5ASDである。その後、サンプルをオーブンに入れて熱処理をし、その条件は、まず100℃で10分間焼成し、その後、300℃で20分間焼成し、サンプルが冷却された後、前記銅層の表面に厚さ1μmのロジウムルテニウム合金層(合金の比率はロジウム:ルテニウムが95%:5%とする)を電気めっきし、表面に電気めっき層を有するニオブシートを得って、前記電気めっき層は前記ニオブシートの表面に順に形成されている銅層およびロジウムルテニウム合金層を含み、前記電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0041】
実施例7
ステンレス鋼の表面の電気めっきプロセスは、以下のステップを含む。
(1)ステンレス鋼を基材として、前記ステンレス鋼に次の前処理を行い、まずリン含有洗浄剤を用いて超音波浸漬処理を行い、その温度は70℃、時間は2分間であり、その後、ステンレス鋼をカソードに置き、アルカリ電解脱脂を行い、その温度は70℃、電流密度は5ASD、時間は2分間であり、その後、ステンレス鋼をアノードに置き、アルカリ液における電解除去を行うことにより基材の表面の緩い構造層を除去し、その温度は70℃、電流密度は1ASD、時間は1分間であり、その後、フッ素含有酸液に1分間で浸漬して活性化し、その温度は25℃、最終的にフッ素含有アルカリ液において2分間でカソード電解して活性化し、その温度は25℃、電流密度は5ASDである。
【0042】
(2)前処理が完了した後、前記ステンレス鋼の表面に厚さ0.5μmのパラジウム層を電気めっきし、パラジウム層を電気めっきする操作は酸性パラジウムめっきであり、その操作温度は25℃、電流密度は0.5ASDである。その後、サンプルをオーブンに入れて熱処理をし、その条件は、まず100℃で10分間焼成し、その後、300℃で20分間焼成し、サンプルが冷却された後、前記パラジウム層の表面に厚さ2μmのロジウムルテニウム合金層(合金の比率はロジウム:ルテニウムが95%:5%とする)を電気めっきし、表面に電気めっき層を有するステンレス鋼を得って、前記電気めっき層は前記ステンレス鋼の表面に順に形成されているパラジウム層およびロジウムルテニウム合金層を含み、前記電気めっきロジウムルテニウム合金層は酸性ロジウムルテニウムめっきであり、その操作温度は35℃、電流密度は1ASDである。
【0043】
効果実施例
本発明の実施例の技術案によってもたらされる有益な効果を強く裏付けるために、特に以下の性能試験が提供される。
【0044】
(1)グリッド試験:実施例1-7により得られたサンプルに対してグリッド試験を行い、具体的には、グリッドナイフによって10×10(1mm×1mm)グリッドを刻んで、ブラシで試験領域の砕片を掃き、3M社(3M Company)製No.600テープをしっかりグリッドに接着し、テープの一端を手で握り、垂直方向から迅速に引き出し、同じ位置で同様の試験を2回行う。スリットの端が完全に滑らかで、格子の端が何も剥がれない場合は、それは合格である。結果は、本発明の実施例1-7のサンプルがグリッド試験に合格したことを示している。
【0045】
(2)180°曲げ試験:実施例1-7により得られたサンプルに対して180°曲げ試験を行い、具体的には、3M社(3M Company)製No.600テープをしっかりサンプルに接着し、サンプルを時計回りに90°曲げ、次にサンプルを反対方向に180°曲げてから、垂直方向からテープを迅速に引き出す。
【0046】
テープにめっき層が残っていない場合は、合格である。結果は、本発明の実施例1-7のサンプルが180°曲げ試験に合格したことを示している。
【0047】
(3)人工汗電解試験:実施例1-7により得られたサンプルは人工汗電解試験を行い、まず以下の配方で人工汗溶液を調製する:塩化ナトリウム0.5重量%、乳酸0.1質量%、尿素0.1重量%、およびバランスは純水である。溶液を反転方式で電気分解して、電気分解の前後のサンプルの差を観察する。人工汗溶液では、サンプルをアノード位置に配置し、白金チタンメッシュをカソード位置に配置し、アノード面積:カソード面積比は約2:1であり、アノードとカソードの距離は約5mmである。5Vの定電圧で試験を行い、10分間で電解後のサンプルの外観の差を観察する。その結果、10分間の電解後、実施例1-7のサンプルの外観は、有意な差はなく、したがって、電解試験の結果は合格であることが分かった。
【0048】
上記の試験結果は、本発明の実施例のサンプルの表面が、ルロジウムルテニウム合金を含む電気めっき層を配置することにより、良好な接着力および耐食性を有することを示している。