(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】配管などの取付け金具
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20220524BHJP
H02G 3/36 20060101ALI20220524BHJP
F16L 3/10 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
F16B2/08 F
H02G3/36
F16L3/10 Z
(21)【出願番号】P 2018158063
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000143558
【氏名又は名称】株式会社国元商会
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】渡 章浩
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-144141(JP,A)
【文献】特開2008-291955(JP,A)
【文献】特開2008-291956(JP,A)
【文献】特開2011-17382(JP,A)
【文献】特開2014-190538(JP,A)
【文献】特開2014-190539(JP,A)
【文献】実開昭54-75997(JP,U)
【文献】実開昭61-200974(JP,U)
【文献】米国特許第1837259(US,A)
【文献】米国特許第3301514(US,A)
【文献】米国特許第3417951(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第10073(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/08
H02G 3/36
F16L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側にコ字形に連続する凹入空間を備え且つ取付け板部に嵌合させて固定ボルトで固定するコ形クランプと、配管などの取付け部材を挟持する挟持具、及び締結ボルトから成り、コ形クランプには、固定ボルトが螺合貫通する主板部に対面する副板部と、これら主板部と副板部をつなぐ連結板部との内の少なくとも一方の板部に連結孔が設けられ、前記挟持具は、前記取付け部材を挟持する挟持部をそれぞれ備えた主副2つの挟持部材から構成され、これら主副両挟持部材の前記挟持部より前方の先端には、互いに遠ざかる外向きに突出する、前記連結孔に挿入される係止片が設けられ、副挟持部材には、前記挟持部より後方の端に抜け止め用張出し部が設けられ、主挟持部材には、前記挟持部より後方の端から副挟持部材の側に延出する折り曲げ可能な延出板部が連設され、この延出板部に、副挟持部材の前記抜け止め用張出し部に隣接する部分が貫通する係合孔が、この延出板部の延出方向に沿って長孔状に設けられ、主挟持部材の前記挟持部と延出板部との間と、副挟持部材の前記挟持部と抜け止め用張出し部との間の内の一方には、この挟持部材の長さ方向に長い長孔が設けられると共に、他方には、貫通ネジ孔が設けられ、前記締結ボルトは、前記長孔を貫通した先端側が前記貫通ネジ孔を螺合貫通している、配管などの取付け金具。
【請求項2】
前記長孔は、主挟持部材に設けられ、前記貫通ネジ孔は、副挟持部材に設けられている、請求項1に記載の配管などの取付け金具。
【請求項3】
前記コ形クランプの連結孔は円形であり、主副2つの挟持部材の前記挟持部から前記係止片までの部分は、前記円形の連結孔内に相対回転自在に嵌合する断面円弧形に形成されている、請求項1又は2に記載の配管などの取付け金具。
【請求項4】
主副2つの挟持部材の前記挟持部は、外側に突曲する円弧形であって、この円弧形の挟持部と前記長孔を備えた部分とを形成する帯状板材の左右両側辺、及び前記円弧形の挟持部と前記貫通ネジ孔を備えた部分とを形成する帯状板材の左右両側辺には、補強用折曲片が形成されている、請求項3に記載の配管などの取付け金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の鉄骨梁や鉄骨柱などに、電線などのケーブル類を通す配管などを取り付ける手段として使用される、配管などの取付け金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の配管などの取付け金具としては、特許文献を示すことは出来ないが、内側にコ字形に連続する凹入空間を備え且つ取付け板部に嵌合させて締結ボルトで固定するコ形クランプと、配管などの取付け部材を挟持する挟持部材、及び締結ボルトから成る取付け金具が相当古くから知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来周知の取付け金具では、受け部材と押さえ部材の2つの部材から成る前記挟持部材を、間に配管などの取付け部材を挟んだ状態で現場にて締結ボルトで互いに連結する構造であり、例えば配管などの取付け部材を受け部材と押さえ部材との間に挟んだ状態で、この挟持部材をコ形クランプに仮止めすることが出来ず、常に手を添えて取付け部材の仮受け状態を保持しなければならないので、作業性が悪く、能率的に作業を行うことが困難であるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる配管などの取付け金具を提案するものであって、本発明に係る配管などの取付け金具は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、内側にコ字形に連続する凹入空間(4)を備え且つ取付け板部(5)に嵌合させて固定ボルト(6)で固定するコ形クランプ(1)と、配管などの取付け部材(14)を挟持する挟持具(2)、及び締結ボルト(3)から成り、コ形クランプ(1)には、固定ボルト(6)が螺合貫通する主板部(7)に対面する副板部(8)と、これら主板部(7)と副板部(8)をつなぐ連結板部(9)との内の少なくとも一方の板部に連結孔(11)が設けられ、前記挟持具(2)は、前記取付け部材(14)を挟持する挟持部(15,16)をそれぞれ備えた主副2つの挟持部材(12,13)から構成され、これら主副両挟持部材(12,13)の前記挟持部(15,16)より前方の先端には、互いに遠ざかる外向きに突出する、前記連結孔(11)に挿入される係止片(18,19)が設けられ、副挟持部材(13)には、前記挟持部(16)より後方の端に抜け止め用張出し部(24)が設けられ、主挟持部材(12)には、前記挟持部(15)より後方の端から副挟持部材(13)の側に延出する折り曲げ可能な延出板部(22)が連設され、この延出板部(22)に、副挟持部材(13)の前記抜け止め用張出し部(24)に隣接する部分が貫通する係合孔(23)が、この延出板部(22)の延出方向に沿って長孔状に設けられ、主挟持部材(12)の前記挟持部(15)と延出板部(22)との間と、副挟持部材(13)の前記挟持部(16)と抜け止め用張出し部(24)との間の内の一方には、この挟持部材(12,13)の長さ方向に長い長孔(20)が設けられると共に、他方には、貫通ネジ孔(21)が設けられ、前記締結ボルト(3)は、前記長孔(20)を貫通した先端側が前記貫通ネジ孔(21)を螺合貫通する構成になっている。
【発明の効果】
【0005】
上記構成において、主副2つの挟持部材から成る前記挟持具は、一方の挟持部材の前記長孔を貫通した先端側が他方の挟持部材の前記貫通ネジ孔を螺合貫通する前記締結ボルトによって一体化され、しかも副挟持部材の前記抜け止め用張出し部に隣接する部分が、主挟持部材の前記延出板部の係合孔を貫通していることにより、主副2つの挟持部材が前記締結ボルトの周りに相対回転することが出来ない状態になっている。この状態で前記締結ボルトを、前記貫通ネジ孔から抜け落ちない範囲内で捩じ戻しておけば、前記締結ボルトが貫通する長孔と、前記延出板部の長孔状の係合孔の存在を利用して、主副2つの挟持部材を、先端の前記係止片が互いに離間するように相対的に開動させることが出来る。このようにして主副2つの挟持部材の先端の間隔を広げることにより、取付け部材(配管など)を両挟持部材の先端側から挟持部間に相対的に挿入させることが出来る。勿論、主副2つの挟持部材の先端間の広がりが少ないときは、両挟持部材の挟持部間に取付け部材を横側方から差し込むことも出来る。
【0006】
この後、主副2つの挟持部材の先端側を指先で挟むようにして、両挟持部材の先端の係止片を互いに接近させることにより、両挟持部材の先端の係止片を、取付け部材(配管など)を取り付けるべき型鋼などに前以て取り付けられているコ形クランプの前記連結孔に差し込むことが出来る。この状態から両挟持部材の後端側を指先で挟むようにして、両挟持部材が挟んでいる取付け部材(配管など)を支点にして両挟持部材の先端側を広げ、両挟持部材の先端の係止片を前記コ形クランプの連結孔の裏側に進入させたならば、主挟持部材の前記延出板部を、副挟持部材の後端の抜け止め用張出し部の内側を折曲位置にして後方外方へ折り曲げる。この結果、取付け部材(配管など)に対して両挟持部材の姿勢が固定され、取付け部材(配管など)を挟持した挟持具が前記コ形クランプに仮止め状態になり、当該挟持具から手を離すことが出来る。
【0007】
上記のように取付け部材(配管など)を挟持した挟持具を前記コ形クランプに仮止めしたならば、当該挟持具に対する取付け部材(配管など)の長さ方向の位置矯正を行った後、締結ボルトを捩じ込んで、取付け部材(配管など)から後方に延出している両挟持部材の後端側を互いに強制的に接近移動させ、前記コ形クランプの連結孔の裏側に進入している前記係止片を備えた両挟持部材の先端側を強制的に開動させて前記連結孔の内周面に圧接させることにより、取付け部材(配管など)を所定の位置で挟持した挟持具を前記コ形クランプに完全に固定することが出来る。尚、仮止めのために後方外方に折り曲げた主挟持部材の前記延出板部はそのまま放置しても良いが、邪魔になるようであれば元に姿勢に戻しておけば良い。取り付けた取付け部材(配管など)を外す必要が生じたときは、前記延出板部が折り曲げられた状態であれば、この延出板部を元に姿勢に戻した状態で、締結ボルトを捩じ戻して両挟持部材の後端側の締結を解除し、両挟持部材の先端側を指先で挟み込んで両係止片を互いに接近移動させた状態で、当該両挟持部材の先端側の係止片をコ形クランプの連結孔から引き抜いて、コ形クランプから挟持具を取り外せば良い。
【0008】
以上のように本発明の配管などの取付け金具によれば、挟持具を構成する主副2つの挟持部材が締結ボルトによって一体化されているだけでなく、その両挟持部材が締結ボルトの周りで相対回転することも無いので、コ形クランプへの連結操作も容易且つ能率的に行える。しかも取付け部材(配管など)を主副2つの挟持部材の挟持部で挟ませるときは、両挟持部材の間を大きく広げることが出来るので、取付け部材(配管など)を挟持具に対して横から差し込むだけでなく、取付け部材(配管など)の中間部を挟持具に対して嵌め込むことも可能である。そして締結ボルトを捩じ込む前に、取付け部材(配管など)を挟持した状態の挟持具をコ形クランプに連結して仮止めすることも容易に行えるので、作業性が格段に向上する。仮止め状態で取付け部材(配管など)の取付け位置などの矯正を行った後は、締結ボルトを捩じ込むだけで取付け部材(配管など)を確実にコ形クランプに固定することが出来る。
【0009】
尚、前記長孔(20)は主挟持部材(12)に設け、前記貫通ネジ孔(21)は副挟持部材(13)に設けることによって、主挟持部材(12)に設けられる前記長孔(20)からの締結ボルト(3)の頭部側の突出方向と、主挟持部材(12)に設けられる延出板部(22)の延出方向とが互いに逆方向になるので、両者が互いに干渉する恐れがなくなり、延出板部を容易に構成することが出来る。
【0010】
又、前記コ形クランプ(1)の連結孔(11)を円形とし、主副2つの挟持部材(12,13)の前記挟持部(15,16)から前記係止片(18,19)までの部分は、前記円形の連結孔(11)内に相対回転自在に嵌合する断面円弧形に形成することが出来る。この構成によれば、両挟持部材の先端側の強度を増大させながら、コ形クランプの連結孔に対して挟持具を回転させて、この挟持具が挟持する取付け部材(配管など)の角度を調整することが出来る。更にこの構成に加えて、主副2つの挟持部材(12,13)の前記挟持部(15,16)は、外側に突曲する円弧形とし、この円弧形の挟持部(15)と前記長孔(20)を備えた部分とを形成する帯状板材の左右両側辺、及び前記円弧形の挟持部(16)と前記貫通ネジ孔(21)を備えた部分とを形成する帯状板材の左右両側辺には、補強用折曲片(25,26)を形成することにより、両挟持部材の全体の強度を十分に高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、使用前のコ形クランプと挟持具を示す縦断側面図である。
【
図13】
図13は、作業手順の第1段階を説明する側面図である。
【
図14】
図14は、作業手順の第2段階を説明する側面図である。
【
図15】
図15は、作業手順の第3段階を説明する側面図である。
【
図16】
図16は、作業手順の第4段階を説明する側面図である。
【
図17】
図17は、作業完了時の状態を示す一部縦断側面図である。
【
図18】
図18は、別の使用状態を示す一部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図に基いて説明すると、本発明の取付け金具は、
図1に示すように、コ形クランプ1と挟持具2、及び締結ボルト3から構成されている。コ形クランプ1は、
図1及び
図2に示すように、内側にコ字形に連続する凹入空間4を備え且つ鉄骨のエッジ部などの取付け板部5に嵌合させて固定ボルト6で固定することが出来るものであって、固定ボルト6が螺合貫通する主板部7に対面する副板部8と、これら主板部7と副板部8をつなぐ連結板部9を備え、副板部8と連結板部9の中央部には、同一径の円形の連結孔10,11が設けられている。
【0013】
挟持具2は、
図1、
図3~
図12に示すように、それぞれ1枚の帯状板材から形成された主挟持部材12と副挟持部材13を備えている。両挟持部材12,13の長さ方向の中間位置には、取付け部材としての円形断面の電線管14に対して両側から外嵌させることが出来る円弧形の挟持部15,16が対称形に設けられ、各挟持部材12,13の先端部には、互いに遠ざかる外向きに折曲連設された係止片18,19が連設されている。又、各挟持部材12,13の挟持部15,16と係止片18,19との間の先端側部分12a,13aは、コ形クランプ1の連結孔10,11の内周縁とほぼ同一径の、外側に突出する断面円弧形に成型されている。
【0014】
更に詳述すると、主副両挟持部材12,13の挟持部15,16から後端(挟持部材13,14の係止片18,19のある先端部とは反対側の端部)までの後端側部分12b,13bは、これら各挟持部材12,13の長さ方向と平行な平板状であって、主挟持部材12の後端側部分12bには、当該主挟持部材12の長さ方向に長い長孔20が設けられ、副挟持部材13の後端側部分13bには、外向きに突出するバーリング囲壁の内面に雌ネジ溝を形成して成る貫通ネジ孔21が設けられている。
【0015】
又、主挟持部材12の後端側部分12bの後端からは、当該後端側部分12bの延長帯板材を副挟持部材13のある側に折曲して形成した折り曲げ可能な延出板部22が連設され、この延出板部22に係合孔23が、この延出板部22の延出方向に沿って長孔状に設けられている。図示の構造では、この延出板部22が、先端側ほど主挟持部材12の先端の係止片18に近づく方向に湾曲させている。副挟持部材13の後端側部分13bの後端からは、この後端側部分13bの巾とほぼ等しい巾の抜け止め用張出し部24が小巾首部13cを介して連設されている。この後端側部分13b、小巾首部13c、及び抜け止め用張出し部24の全体は、副挟持部材13の長さ方向と平行な平坦面上に位置している。そして小巾首部13cの巾は、主挟持部材12の延出板部22に設けられている係合孔23の巾よりも若干狭い。尚、主挟持部材12における挟持部15と後端側部分12bを形成している帯板部分と、副挟持部材13における挟持部16と後端側部分13bを形成している帯板部分には、それぞれの左右両側辺の全長にわたって連続する外向きの補強用折曲辺25,26が一体成型されている。
【0016】
以上のように構成された挟持具2は、
図1に示すように、主挟持部材12と副挟持部材13とを締結ボルト3によって連結一体化しておく。即ち、最初に主挟持部材12と副挟持部材13とを相対的に90度倒して、副挟持部材13の抜け止め用張出し部24の巾方向を主挟持部材12の延出板部22における係合孔23の長さ方向と平行な向きにし、抜け止め用張出し部24を延出板部22の内側から係合孔23に挿入した後、主挟持部材12と副挟持部材13とを相対的に90度戻して、抜け止め用張出し部24に隣接する小巾首部13cを係合孔23の巾方向に戻し、抜け止め用張出し部24が係合孔23の外側に突出する係合姿勢にする。この状態で締結ボルト3を主挟持部材12の長孔20に外側から挿入し、当該締結ボルト3の先端部を副挟持部材13の貫通ネジ孔21に螺合貫通させる。このとき、貫通ネジ孔21に対する締結ボルト3の螺合深さは、図示のように必要最小限にして、主挟持部材12が、締結ボルト3の軸方向の移動と傾動運動が十分な範囲で行えるようにしておく。この主挟持部材12の締結ボルト3の軸方向の移動と傾動運動は、当該主挟持部材12の延出板部22の係合孔23内を副挟持部材13の小巾首部13cが係合移動し得る範囲内に制限されているので、両挟持部材12,13の挟持部15,16は、締結ボルト3の周りに相対移動することは無く、常に対面状態に保持されている。
【0017】
以上のようにして組み立てられた挟持具2とコ形クランプ1とから成る本発明の取付け金具の使用方法を、
図13~
図18に基づいて説明すると、先ず最初に、上記のように組み立てられた挟持具2を、
図13に示すように、両挟持部材12,13の係止片18,19のある先端側が開くように相対的に開動させる。この状態で取付け部材である電線管14に対して挟持具2を横から相対的に嵌合させ、仮想線で示すように両挟持部材12,13を、その先端の係止片18,19が互いに接近するように把持し、両挟持部材12,13の挟持部15,16間で電線管14を挟持させる。
【0018】
一方、コ形クランプ1は、電線管14を取り付けるべき鉄骨などの取付け板部5に嵌合させ、固定ボルト6を捩じ込んで当該固定ボルト6の先端と副板部8との間で取付け板部5を挟持させることにより、取付け板部5に固定されているので、
図14に示すように、電線管14を挟持した挟持具2を、その先端の互いに隣接している係止片18,19をコ形クランプ1の連結孔11に挿入すると共に、当該挟持具2を把持する手を当該挟持具2の後端側に移動させて、主副両挟持部材12,13の後端側を互いに接近させるように把持する。この結果、
図15に示すように、両挟持部材12,13が電線管14を支点に先端の係止片18,19が互いに離間するように開動して、両係止片18,19がコ形クランプ1の連結孔11の直径方向両側で連結板部9の内側に入り込む。
【0019】
尚、上記のように両挟持部材12,13が電線管14を支点に閉動して、先端の係止片18,19が互いに隣接する状態になったとき、この両係止片18,19をコ形クランプ1の連結孔10,11に対して、当該連結孔10,11の軸心方向に沿って直線状に挿入出来るようなサイズと形状に両係止片18,19を形成しても良いが、挟持具2を上下又は左右に動かしながら係止片18,19を片側から順番に連結孔10,11に挿入することも可能であるから、両係止片18,19の突出高さを高くして係合効果を高めることが出来る。
【0020】
図15に示すように、両挟持部材12,13の先端の係止片18,19がコ形クランプ1の連結孔11の直径方向両側で連結板部9の内側に入り込む状態にしたならば、
図15に仮想線で示すように、主挟持部材12の延出板部22を、副挟持部材13の小巾首部13cの外側で折曲させるように、後方へ折り曲げる。この結果、両挟持部材12,13の後端側が開くように挟持具2が変形するのを、折れ曲がった延出板部22が阻止するので、コ形クランプ1の連結孔11の内側に入り込んだ係止片18,19が互いに接近移動して、挟持具2がコ形クランプ1の連結孔11から外れる恐れは無い。即ち、電線管14は挟持具2に挟持された状態でコ形クランプ1(取付け板部5)に仮止めされた状態になる。このようにして目的の箇所に仮止めされた電線管14は、挟持具2における両挟持部材12,13の挟持部15,16間で長さ方向に移動させることと、挟持具2と共にコ形クランプ1の連結孔11の周りに回転させることが可能であるから、当該電線管14の長さ方向の他の箇所を、別の挟持具2とコ形クランプ1を使用して、他の箇所にある取付け板部5に仮止めすることが出来る。
【0021】
以上のように挟持具2とコ形クランプ1を使用して電線管14を所定の箇所に仮止め状態で架設したならば、最終的に各挟持具2の締結ボルト3を捩じ込み、
図16に示すように、主挟持部材12の後端側部分12bを副挟持部材13の後端側部分13bに強く押圧することにより、両挟持部材12,13の挟持部15,16が電線管14を強力に押圧固定すると同時に、両挟持部材12,13の係止片18,19に隣接する先端側部分12a,13aの外周面がコ形クランプ1の連結孔11の内周面に圧接し、
図17に示すように、電線管14はガタツキなく取付け板部5に固定される。尚、外向きに折り曲げた主挟持部材12の延出板部22はそのまま放置しておいても良いが、締結ボルト3による最終的な締結作業が完了した後に、
図16に仮想線で示すように、外向きに折り曲げられていた延出板部22を元の姿勢に曲げ戻しておき、電線管14の脇を通行する作業者の衣服などが外向きに折り曲げられて突出している延出板部22に引っ掛かる事故を防止することも出来る。
【0022】
以上の使用例では、
図17に示すように、水平向きの取付け板部5の側辺に嵌合固定されたコ形クランプ1の水平向きになっている連結孔11に挟持具2を結合しているが、
図18に示すように、垂直向きの取付け板部5の上側辺(又は下側辺)にコ形クランプ1が嵌合固定されるときは、当該コ形クランプ1の水平向きになっている連結孔10に挟持具2を結合して使用することも可能である。又、締結ボルト3が貫通する長孔20を副挟持部材13の後端側部分13bに設け、主挟持部材12の後端側部分12bに貫通ネジ孔21を設けて、締結ボルト3が逆向きに使用される構造にすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の配管などの取付け金具は、建物の鉄骨梁や鉄骨柱などに、電線などのケーブル類を通す配管などを取り付ける手段として活用出来る。
【符号の説明】
【0024】
1 コ形クランプ
2 挟持具
3 締結ボルト
4 コ形クランプの凹入空間
5 鉄骨のエッジ部などの取付け板部
6 コ形クランプの固定ボルト
10,11 連結孔
12 主挟持部材
12a,13a 先端側部分
12b,13b 後端側部分
13 副挟持部材
13c 小巾首部
14 電線管(取付け部材)
15,16 挟持部
18,19 係止片
20 長孔
21 貫通ネジ孔
22 延出板部
23 係合孔
24 抜け止め用張出し部