特許 7078364 サニタリー空間に用いられる据付ユニット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-05-23

(45)【発行日】2022-05-31

(54)【発明の名称】サニタリー空間に用いられる据付ユニット

(51)【国際特許分類】

   A47K 1/02 20060101AFI20220524BHJP

   A47K 1/00 20060101ALI20220524BHJP

   A47K 4/00 20060101ALI20220524BHJP

【ＦＩ】

A47K1/02 A

A47K1/00 J

A47K4/00

【請求項の数】 9

【外国語出願】

(21)【出願番号】P 2017168487

(22)【出願日】2017-09-01

(65)【公開番号】P2018038819

(43)【公開日】2018-03-15

【審査請求日】2020-04-28

(31)【優先権主張番号】10 2016 010 576.3

(32)【優先日】2016-09-02

(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE

(73)【特許権者】

【識別番号】513228719

【氏名又は名称】グローエ アクチエンゲゼルシャフト

【氏名又は名称原語表記】Ｇｒｏｈｅ ＡＧ

【住所又は居所原語表記】５８６７５ Ｈｅｍｅｒ， Ｇｅｒｍａｎｙ

(74)【代理人】

【識別番号】100114890

【弁理士】

【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス＝ラインハルト

(74)【代理人】

【識別番号】100098501

【弁理士】

【氏名又は名称】森田 拓

(74)【代理人】

【識別番号】100116403

【弁理士】

【氏名又は名称】前川 純一

(74)【代理人】

【識別番号】100135633

【弁理士】

【氏名又は名称】二宮 浩康

(74)【代理人】

【識別番号】100162880

【弁理士】

【氏名又は名称】上島 類

(72)【発明者】

【氏名】ヴァルデマー ガイダ

(72)【発明者】

【氏名】アヒム ミールケ

【審査官】七字 ひろみ

(56)【参考文献】

【文献】特開２００５－１１０４１２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１６－２０８７０４（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１０／００９５４５１（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ４７Ｋ ３／０２－４／００

Ａ４７Ｋ １／００－１／１４

Ｈ０２Ｊ ７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

サニタリー空間壁を遮蔽する少なくとも１つの壁装飾要素（５，７，２７）を備える、サニタリー空間に用いられる据付ユニットにおいて、
前記壁装飾要素（５，７，２７）の、視認面とは反対側の背面に、少なくとも１つの送信器アンテナ（１３，１５）が対応付けられている少なくとも１つの送信器ユニット（９）が配置されており、該送信器ユニット（９）は、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送装置（１１）の構成要素であり、前記送信器ユニット（９）は、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送接続で、前記サニタリー空間内に位置決めされた受信器ユニット（２５）と接続可能であり、
受信器アンテナ（２６）が対応付けられている前記受信器ユニット（２５）が、携帯電話または電動歯ブラシなどのモバイル機器（２４）に取り付けられており、前記モバイル機器（２４）にエネルギを供給するためまたは前記モバイル機器（２４）にエネルギを蓄えるために、電気的なエネルギを、前記送信器ユニット（９）から前記モバイル機器（２４）に取り付けられた受信器ユニット（２５）へ伝送可能である、サニタリー空間に用いられる据付ユニット。

【請求項2】

前記壁装飾要素（７）は、その視認面に、特に水平のモバイル機器載置面（１９）を有し、該モバイル機器載置面（１９）上に、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送のために前記モバイル機器（２４）を載置可能である、請求項１記載の据付ユニット。

【請求項3】

前記送信器ユニット（９）と、これに対応付けられた前記送信器アンテナ（１３，１５）とは、電気的な接続線路（１７）を介して互いに接続されているそれぞれ別個の構成要素である、請求項１または２記載の据付ユニット。

【請求項4】

前記壁装飾要素（５）に、洗面器（１）が取り付けられており、前記送信器ユニット（９）は、背面で前記壁装飾要素（５）に配置されており、前記送信器アンテナ（１３，１５）は、前記送信器ユニット（９）の位置に依存せず該洗面器（１）に、特にその下面に組み付けられており、前記洗面器（１）は、モバイル機器載置面（１９）を有し、該モバイル機器載置面（１９）上に、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送のために前記モバイル機器（２４）を載置可能である、請求項１から３までのいずれか１項記載の据付ユニット。

【請求項5】

サニタリー空間壁を遮蔽する少なくとも１つの壁装飾要素（５，７，２７）を備える、サニタリー空間に用いられる据付ユニットにおいて、
前記壁装飾要素（５，７，２７）の、視認面とは反対側の背面に、少なくとも１つの送信器アンテナ（１３，１５）が対応付けられている少なくとも１つの送信器ユニット（９）が配置されており、該送信器ユニット（９）は、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送装置（１１）の構成要素であり、前記送信器ユニット（９）は、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送接続で、前記サニタリー空間内に位置決めされた受信器ユニット（２５）と接続可能であり、
前記壁装飾要素（２７）は、サニタリー空間の天井壁を遮蔽し、かつシャワーヘッド（２９）が前記壁装飾要素（２７）の下方で高さオフセット（Δｈ）を置いて運動不能に取り付けられたシャワー領域を上側で画定し、前記シャワーヘッド（２９）は、操作ユニット（３５）により電気的に作動可能な少なくとも１つのアクチュエータ（３３）を有し、該アクチュエータ（３３）により、ジェットタイプ機能、ライト機能、サウンド機能、アロマ機能および／またはスチーム機能などの少なくとも１つのシャワー機能を調整可能である、サニタリー空間に用いられる据付ユニット。

【請求項6】

受信器アンテナ（２６）が対応付けられている前記受信器ユニット（２５）は、前記シャワーヘッド（２９）内に組み込まれており、電気的に作動可能な前記アクチュエータ（３３）にエネルギを供給するためにかつ／またはアクチュエータ（３３）を作動させるために、シャワーヘッド（２９）内に組み込まれた前記受信器ユニット（２５）へのワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送が行われる、請求項５記載の据付ユニット。

【請求項7】

前記送信器アンテナ（１３，１５）は、高さ方向で、シャワーヘッド側の前記受信器アンテナ（２６）に対してほぼ整合して配置されている、請求項６記載の据付ユニット。

【請求項8】

前記受信器ユニット（２５）および／または前記受信器アンテナ（２６）は、たとえば接着結合、ねじ結合またはクリップ結合で前記壁装飾要素（５，７，２７）に組み付けられている、請求項１から７までのいずれか１項記載の据付ユニット。

【請求項9】

前記壁装飾要素（５，７，２７）を、前記送信器ユニット（９）および／または前記送信器アンテナ（１３，１５）と一緒に前組付ユニットとして用意可能である、請求項１から８までのいずれか１項記載の据付ユニット。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、請求項１の上位概念に記載のサニタリー空間に用いられる据付ユニットに関する。

【背景技術】

【0002】

ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送は、様々な技術分野において利用されている。そのようなワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送は、たとえば誘導結合を用いて行われる。誘導結合では、送信器アンテナが対応付けられている送信器ユニットから、付属の受信器アンテナを有する受信器ユニットへ、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送が行われる。使用例は、携帯電話または歯ブラシなどのモバイル機器のバッテリのワイヤレス充電である。

【0003】

最近の浴室構造では、エンドユーザにより電子制御式の機能ユニットが一層要求されている。この場合、頻繁に電気的なエネルギおよび／または信号供給の問題が生じる。その際、信号および／またはエネルギ伝送のための接続ケーブルが極めて邪魔である。

【0004】

冒頭で述べられた、サニタリー空間に用いられる据付ユニットでは、サニタリー空間壁を遮蔽する少なくとも１つの壁装飾要素が用意されている。据付ユニットは、組付フレームを有してよく、組付フレームに、たとえば水栓コンポーネント、トイレタンクおよび／またはトイレ用手洗器が組付け可能である。組付フレームは、そこに組み付けられた組付部分とともに、壁装飾要素により遮蔽されてよい。装飾要素は、たとえば、視認面でタイルが接着された石膏ボードから構成されている。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明の課題は、電子制御機能を容易に実現可能な、サニタリー空間に用いられる据付ユニットを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

この課題は、特許請求項１の特徴部に記載の構成により解決される。本発明の好適な改良態様は、従属請求項に開示されている。

【0007】

請求項１の特徴部によれば、壁装飾要素の、視認面とは反対側の背面に、少なくとも１つの送信器アンテナが対応付けられている少なくとも１つの送信器ユニットが配置されてよい。送信器ユニットは、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送装置の構成要素である。送信器ユニット自体は、サニタリー空間内に位置決めされた受信器ユニットと、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送で接続されてよい。

【0008】

受信器アンテナが対応付けられる受信器ユニットは、第１の態様では、携帯電話または歯ブラシなどのモバイル機器に取り付けられてよい。モバイル機器にエネルギを供給するためまたはモバイル機器バッテリをワイヤレス充電するために、電気的なエネルギを、ワイヤレスに送信器ユニットからモバイル機器内の受信器ユニットへ伝送することができる。

【0009】

たとえば壁装飾要素は、その視認面に、特に水平のモバイル機器載置面を有してよい。このモバイル機器載置面自体は、ユーザにとって目立つようにされてよい。モバイル機器を載置面上に載置すると、それによってワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送を行うことができる。

【0010】

技術的な一変化形態では、送信器ユニットと、これに対応付けられている送信器アンテナとは、電気的な接続線路を介して互いに接続されているそれぞれ別個の構成要素であってよい。この場合、送信器アンテナは、送信器ユニットの位置に依存せずに取り付けられてよい。

【0011】

一使用例では、壁装飾要素に洗面器が取り付けられている。送信器ユニットは、背面で壁装飾要素に配置されてよい。これに対して、送信器アンテナは、送信器ユニットの位置に依存せずに直接に洗面器に、特にその下面に組み付けられてよい。洗面器は、これに対応するモバイル機器載置面を有してよく、モバイル機器載置面上に、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送のためにモバイル機器を載置可能である。

【0012】

代替的な一態様では、壁装飾要素は、天井側に配置されてよく、つまり、サニタリー空間天井壁を遮蔽してよく、かつ追加的にシャワー領域を上側で画定してよい。シャワー領域には、シャワーヘッドが、壁装飾要素の下方で内法の高さオフセットを置いて運動不能に取り付けられてよい。たとえば、シャワーヘッドは、電気的に作動可能な少なくとも１つのアクチュエータを有し、アクチュエータにより、ジェットタイプ機能、ライト機能、サウンド機能、アロマ機能および／またはスチーム機能などのシャワー機能を調整可能である。電気的に作動可能なアクチュエータは、たとえば壁に組み付けられた操作ユニットによりユーザ側で駆動制御されてよい。

【0013】

代替的な一態様では、送信器アンテナは、単独でまたはこれに対応付けられた送信器ユニットとともに、天井照明に組み込まれてよい。この場合、このように追加装備された天井照明は、様々な構成サイズで実施されてよいので、既存の天井接続部と受信器アンテナに対する送信器アンテナの適切な位置との間の水平方向の距離を詰めることができる。

【0014】

格別な一態様では、受信器アンテナが対応付けられている前述の受信器ユニットは、直接にシャワーヘッド内に封入されてよい。この場合、電気的なシャワーヘッドアクチュエータにエネルギを供給するためかつ／または電気的なシャワーヘッドアクチュエータを作動させるために、天井側の壁装飾要素に取り付けられた送信器ユニットとシャワーヘッド側の受信器ユニットとの間でワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送を行うことができる。効率的なエネルギおよび／または信号伝送に関して、送信器アンテナが高さ方向でシャワーヘッド側の受信器アンテナに対してほぼ整合して配置されていると有利である。

【0015】

技術的な一変化形態では、受信器ユニットおよび／または受信器アンテナは、たとえば接着結合、ねじ結合またはクリップ結合で材料結合式にかつ／または形状結合式に壁装飾要素および／または洗面器に組み付けられてよい。壁装飾要素は、特に好適には、受信器ユニットおよび場合により受信器アンテナと一緒に前組付ユニットとして用意されてよい。

【0016】

前述のかつ／または従属請求項に記載の、本発明の好適な態様および／または改良態様は、たとえば一義的な関連性または相容れない代替性の場合を除いて、個別にまたは互いに任意に組合せて適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【0017】

【図1】洗面器が取り付けられた据付ユニットを一方向から見た図である。

【図2】洗面器が取り付けられた据付ユニットを一方向から見た図である。

【図3】洗面器が取り付けられた据付ユニットを一方向から見た図である。

【図4】洗面器が取り付けられた据付ユニットを一方向から見た図である。

【図5】ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送が実現されたシャワー領域の大まかな概略図である。

【発明を実施するための形態】

【0018】

図１～図３には、洗面器１が取り付けられた、第１の態様による据付ユニット１０が示されている。据付ユニット１０は、組付フレーム３を有し、組付フレーム３に、図示されていない水栓コンポーネントと、水平の壁装飾要素７と、鉛直の壁装飾要素５とが固定されている。鉛直の壁装飾要素５の、視認面とは反対側の背面に、送信器ユニット９（図２）が配置されており、送信器ユニット９は、ワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送装置１１（図４）の構成要素である。送信器ユニット９は、給電線１２を介して、給電網に接続されている。さらに、図３において、２つの送信器アンテナ１３，１５が送信器ユニット９に対応付けられている。これらの送信器アンテナ１３，１５は、送信器ユニット９とは別個の構成要素として、据付ユニット１０に配置されていて、接続線路１７（図４にのみ示している）を介して、送信器ユニット９と電気的に接続されている。

【0019】

第１の送信器アンテナ１３は、図３において、洗面器１の下面に配置されており、具体的には、洗面器１の上面の水平のモバイル機器載置面１９とは反対側に配置されている。第２の送信器アンテナ１５は、上側の水平の壁装飾要素７の下面に配置されており、壁装飾要素７は、同様に水平のモバイル機器載置面１９を提供する。両方のモバイル機器載置面１９は、相応の標示を介してユーザに対して目立つようにされてよい。

【0020】

図４の拡大部分断面図において、上側の壁装飾要素７の載置面１９上にモバイル機器２４が載置されており、モバイル機器２４には、受信器アンテナ２６が対応付けられている、送信器ユニット９とワイヤレスに通信可能な受信器ユニット２５が組み込まれている。これにより送信器ユニット９と、モバイル機器２４に組み込まれた受信器ユニット２５との間のワイヤレスの信号および／またはエネルギ伝送部が形成され、これによりモバイル機器２４に電気的なエネルギが供給され、かつ／またはモバイル機器２４のバッテリが充電される。

【0021】

図１～図４に対して代替的に、据付ユニット１０に、洗面器１の代わりに、トイレ用手洗器およびトイレタンクが取り付けられてよい。トイレタンクは、鉛直の壁装飾要素５と水平の壁装飾要素７とにより遮蔽される。この場合、上側の水平の壁装飾要素７だけがモバイル機器載置面１９を提供するので、水平の壁装飾要素７の下側にだけ送信器アンテナ１５が配置される。

【0022】

図５には、サニタリー空間におけるシャワー領域が示されている。その空間の天井は、壁装飾要素２７により遮蔽されており、壁装飾要素２７は、シャワー領域を上側で画定する。シャワー領域において、シャワーヘッド２９が、混合湯水供給管路３１により、サニタリー空間側壁３３に運動不能に組み付けられている。シャワーヘッド２９は、図５において、内法の高さオフセットΔｈにわたって壁装飾要素２７から離れている。図５から看取されるように、シャワーヘッド２９内に、受信器アンテナ２６が対応付けられている受信器ユニット２５が組み込まれている。受信器ユニット２５は、天井側の壁装飾要素２７に組み付けられた、送信器アンテナ１３が対応付けられている送信器ユニット９と相俟って、ワイヤレスの信号および／またはエネルギ伝送装置１１を形成する。申し分のないワイヤレスのエネルギおよび／または信号伝送をサポートするために、送信器アンテナ１３が、シャワーヘッド側の受信器アンテナ２６の上方で、これに高さ方向で整合して配置されている。

【0023】

ワイヤレスの信号および／またはエネルギ伝送装置１１を介して、電気的なエネルギおよび制御信号が、シャワーヘッド２９内に配置された電気的に作動可能なアクチュエータ３４へ送られる。アクチュエータ３４により、たとえばジェットタイプ切替えを行うことができる。前述のシャワー機能を実施するために、アクチュエータ３４は、ワイヤレスの信号および／またはエネルギ伝送装置１１を介し、信号コネクション３６を介在して、ユーザ側で操作可能な操作ユニット３５と接続されている。

【符号の説明】

【0024】

１ 洗面器
３ 組付フレーム
５，７ 壁装飾要素
９ 送信器ユニット
１１ ワイヤレスの信号および／またはエネルギ伝送装置
１２ 給電線
１３，１５ 送信器アンテナ
１７ 接続線路
１９ モバイル機器載置面
２５ 受信器ユニット
２６ 受信器アンテナ
２７ 壁装飾要素
２９ シャワーヘッド
３１ 混合湯水供給路
３３ 側壁
３４ 電気的に作動可能なアクチュエータ
３５ 操作ユニット
３６ 信号コネクション

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】