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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20220524BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220524BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J201/00
C09J133/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018044239
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2018154820
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2017050205
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 友也
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
(72)【発明者】
【氏名】松木 繁季
(72)【発明者】
【氏名】小栗 彩葉
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特許第6294541(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/151954(WO,A1)
【文献】特開2015-120877(JP,A)
【文献】特開2009-84367(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064283(WO,A1)
【文献】特表2017-506683(JP,A)
【文献】国際公開第2009/082158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを有する粘着テープであって、
前記基材は、発泡体であり、厚みが0.6mm以上であり、密度が500kg/m 以下であり、25%圧縮強度が40kPa以下であり、ガラス転移点が0℃より大きいものであり、
下記タック試験により測定した60℃における粘着テープに掛かる力を示す力-時間曲線において、力が0を示す時間T1から最大力(ピークトップ)を示す時間T2までの積分値である剥離限界値が350gf・s以上であることを特徴とする粘着テープ。
(タック試験)
タック試験機の60℃に設定したプレート上に、粘着剤層が上になるようにして粘着テープを載せる。なお、粘着テープの非測定面は、ポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちされる。次いで、粘着テープに対して、プローブ温度60℃、押付け速度2mm/s、押付け荷重100gfで直径5mmの円柱状のステンレス製のプローブを押付け、その状態で0.1秒間保持する。その後、引き上げ速度0.2mm/sでプローブを引き上げていく。この間の粘着テープに掛かる力を測定する。
【請求項2】
基材は、ポリウレタン発泡体であことを特徴とする請求項記載の粘着テープ。
【請求項3】
基材は、厚みが0.9mmより大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
基材は、密度が490kg/m以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
基材は、25%圧縮強度が38kPa以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粘着テープ。
【請求項6】
粘着剤層は、アクリル粘着剤層であり、厚みが20~100μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の携帯電子機器においては、組み立てのために両面粘着テープが用いられている(例えば、特許文献1、2)。また、車載用パネル等の車載用電子機器部品を車両本体に固定する用途にも両面粘着テープが用いられている。
【0003】
携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に用いられる両面粘着テープには、高い粘着力が求められ、また、使用状況によっては過酷な環境に晒されることもあるため、高温高湿下であっても剥離しないことが求められる。
更に、近年、携帯電子機器、車載用電子機器等は、高機能化に伴って形状がより複雑化する傾向にあるため、段差、角、非平面部等に両面粘着テープを貼り付けて用いることがある。このような場合、両面粘着テープを変形させた状態で固定するため、元の形状に戻ろうとする力、即ち、「復元力」(「反発力」ということもできる)が働き、時間の経過とともに両面粘着テープが剥離することがあった。特に、部品を変形させた状態で固定する場合、部品自体が元の形状に戻ろうとすることで、両面粘着テープに復元力がかかり、固定が不充分であったり、両面粘着テープが剥離したりすることがあった。
【0004】
復元力がかかる部分を固定する方法としては、従来の液状又はペースト状の接着剤により固定する方法も挙げられる。しかしながら、接着剤で固定するとタクトタイムが長くなるうえ、部品を変形させた状態で接着剤を硬化させることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-242541号公報
【文献】特開2009-258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高温高湿下かつ復元力がかかる状況下でも剥離しにくい粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを有する粘着テープであって、タック試験により測定した60℃における粘着テープの剥離限界値が350gf・s以上である粘着テープである。
以下、本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを有する粘着テープにおいて、高温高湿下かつ復元力がかかる状況下でも粘着テープの剥離を抑制することを検討した。しかしながら、粘着テープの剥離は様々な要素が絡む複雑な現象であるため、単純に基材の物性を調整したり粘着剤層の粘着力を高めたりするだけでは(即ち、基材及び粘着剤層のそれぞれの物性を個別に調整したのでは)、良好な性能は得られなかった。
これに対して、本発明者らは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを有する粘着テープの粘着テープ全体としての応力緩和性を評価する指標として、タック試験により測定した60℃における粘着テープの「剥離限界値」が利用できることを見出した。本発明者らは、このような「剥離限界値」を特定範囲に調整することにより、高温高湿下かつ復元力がかかる状況下でも粘着テープの剥離を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の粘着テープは、基材と、上記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを有する。
本発明の粘着テープは、基材の片面に粘着剤層が形成された片面粘着テープであってもよく、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープであってもよい。基材の両面に形成された粘着剤層は、同じ組成であってもよいし、それぞれ異なる組成であってもよい。
【0010】
本発明の粘着テープは、タック試験により測定した60℃における粘着テープの剥離限界値が350gf・s以上である。
なお、タック試験は、次のようにして行われる。まず、タック試験機(例えば、レスカ社製のTAC-1000等)の60℃に設定したプレート上に、粘着剤層が上になるようにして粘着テープを載せる。なお、粘着テープの非測定面は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のフィルムで裏打ちされる。次いで、粘着テープに対して、プローブ温度60℃、押付け速度2mm/s、押付け荷重100gfで直径5mmの円柱状のステンレス製のプローブを押付け、その状態で0.1秒間保持する。その後、引き上げ速度0.2mm/sでプローブを引き上げていく。この間の粘着テープにかかる力を測定する。
【0011】
上記剥離限界値とは、上記タック試験により測定した60℃における粘着テープにかかる力を示す力-時間曲線において、力が0を示す時間Tから最大力(ピークトップ)を示す時間Tまでの積分値を意味する。
図1に、タック試験により測定した60℃における粘着テープにかかる力を示す力-時間曲線の一例を模式的に示した。力-時間曲線17は、タック試験により測定した60℃における粘着テープにかかる力を示す力-時間曲線である。タック試験において、粘着テープに対してプローブを押付けると(図1中、A)、力-時間曲線17は下降し、その後、プローブを引き上げ始めると(図1中、B)、力-時間曲線17は上昇していく。力が0を示す時間Tから最大力(ピークトップ)を示す時間Tまでの積分値(図1中、C)を算出し、これを剥離限界値とする。
上記剥離限界値を上記範囲に調整することにより、高温高湿下かつ復元力がかかる状況下でも粘着テープの剥離を抑制することができる。上記剥離限界値の好ましい下限は400gf・s、より好ましい下限は550gf・sである。
また、上記剥離限界値の上限は特に限定されない。
【0012】
上記剥離限界値を上記範囲に調整する方法は特に限定されないが、上記剥離限界値を大きくするためには、力が0を示す時間Tから最大力(ピークトップ)を示す時間Tまでの時間、即ち、剥離時間が長いほど好ましい。また、最大力が大きいほど好ましい。
上記剥離時間の好ましい下限は2.7秒、より好ましい下限は3.5秒である。上記最大力の好ましい下限は200gf、より好ましい下限は225gfである。
【0013】
上記剥離限界値を大きくする方法として、例えば、上記基材の物性を調整することによって上記基材の応力緩和性を高める方法、上記粘着剤層の凝集力(バルク強度)及び/又は濡れ性(被着体との界面の接着強度)を高める方法等が挙げられる。
上記基材の物性を調整することによって上記基材の応力緩和性を高める方法として、例えば、上記基材として発泡体を用いたうえで、該発泡体の厚み、密度、ガラス転移点、25%圧縮強度等を調整する方法が挙げられる。
上記粘着剤層の凝集力(バルク強度)及び/又は濡れ性(被着体との界面の接着強度)を高める方法として、例えば、上記粘着剤層にアクリル共重合体を用いて、該アクリル共重合体の低分子量成分の含有量を少なくする方法等が挙げられる。また、該アクリル共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(分子量分布、Mw/Mn)を小さくする方法が挙げられる。なかでも、リビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体を含有するアクリル粘着剤層を用いたうえで、該アクリル共重合体の組成を調整する方法が好ましい。なお、上記粘着剤層の凝集力(バルク強度)は、例えば、凝集力試験により評価することができ、上記粘着剤層の濡れ性(被着体との界面の接着強度)は、例えば、定荷重剥離試験により評価することができる。
【0014】
上記基材は、単層構造であっても多層構造であってもよい。
上記基材は特に限定されないが、発泡体であることが好ましい。上記発泡体として、例えば、ポリウレタン発泡体、ゴム系樹脂発泡体、ポリオレフィン発泡体、アクリル発泡体等が挙げられる。なかでも、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなり、粘着テープの剥離がより抑制されることから、ポリウレタン発泡体又はゴム系樹脂発泡体が好ましく、ポリウレタン発泡体がより好ましい。
【0015】
上記ポリウレタン発泡体として、例えば、ポリイソシアネート及びポリオールを含有するウレタン樹脂組成物を加熱硬化させて製造したポリウレタン発泡体が挙げられる。
上記ポリイソシアネートは特に限定されず、一般的なポリウレタン発泡体に用いられる芳香族ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加MDI、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、上記ポリイソシアネートとして、例えば、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーも挙げられる。これらのポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記ポリオールは特に限定されず、一般的なポリウレタン発泡体に用いられるポリオールが挙げられる。具体的には例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。また、上記ポリオールとして、例えば、3官能ポリエーテルポリオールエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の短鎖ジオールも挙げられる。これらのポリオールは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記ポリオールの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は2000、好ましい上限は12000である。上記ポリオールの重量平均分子量が上記範囲内であることにより、上記基材が適度な柔軟性を有することができるため、上記基材の応力緩和性が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。
【0018】
上記ウレタン樹脂組成物における上記ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスは特に限定されないが、好ましい下限は70、好ましい上限は120である。
イソシアネートインデックスとは、イソシアネートと活性水素含有化合物との反応におけるイソシアネート当量に関する指数である。イソシアネートインデックスが100未満の場合には水酸基等の反応基がイソシアネート基より過剰であり、イソシアネートインデックスが100を超える場合にはイソシアネート基が水酸基等の反応基より過剰であることを意味する。
上記イソシアネートインデックスが70以上であれば、上記ポリイソシアネートによる架橋が充分となり、上記基材が適度な柔軟性を有することができる。上記イソシアネートインデックスが120以下であれば、上記ポリイソシアネートによる架橋が進みすぎて上記基材が硬化することを、抑制することができる。いずれの場合にも、上記基材の応力緩和性が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなり、粘着テープの剥離がより抑制される。
【0019】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、触媒を含有してもよい。
上記触媒として、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物、ニッケルアセチルアセトエート、ニッケルジアセチルアセトエート等の有機ニッケル化合物、鉄アセチルアセトエート等の有機鉄化合物等が挙げられる。また、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、フェノキシド等の金属触媒、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリンジメチルアミノメチルフェノール、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等の3級アミン系触媒、有機酸塩等が挙げられる。なかでも、有機錫化合物が好ましい。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記触媒の添加量は特に限定されないが、上記ポリオール100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が5.0重量部、より好ましい上限は4.0重量部である。
【0020】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、発泡剤を含有してもよい。
上記発泡剤として、一般的なポリウレタン発泡体に用いられる発泡剤が挙げられる。具体的には例えば、水、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が挙げられる。
上記発泡剤の添加量は特に限定されず、適宜の量とされるが、上記発泡剤が水である場合には、通常、上記ポリオール100重量部に対して0.1~3重量部程度である。
【0021】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、整泡剤を含有してもよい。
上記整泡剤として、例えば、ジメチルシロキサン、ポリエーテルジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーン系整泡剤が挙げられる。なかでも、ポリエーテルジメチルシロキサンが好ましく、ポリエーテルジメチルシロキサンのなかでも、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体がより好ましい。これらの整泡剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記整泡剤の添加量は特に限定されないが、上記ポリオール100重量部に対する好ましい下限は0.2重量部、好ましい上限は7重量部であり、より好ましい下限は0.4重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0022】
上記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機充填剤、無機充填剤、着色剤等のポリウレタン発泡体の製造において一般的に用いられる添加剤を含有してもよい。
【0023】
上記ポリウレタン発泡体を製造する方法として、例えば、空気、窒素等を機械的に混合し泡立てたウレタン樹脂組成物(液体)を離型ライナー又は樹脂フィルムの表面に塗布し、塗布したウレタン樹脂組成物を加熱硬化させることによって発泡体を製造する方法(メカニカルフロス法)等が挙げられる。また、上記ポリウレタン発泡体を形成するための原料に、上記ポリイソシアネートを反応させガスを発生させる方法(化学的発泡法)等が挙げられる。なかでも、メカニカルフロス法が好ましい。メカニカルフロス法により得られたポリウレタン発泡体は、化学的発泡法により得られたポリウレタン発泡体と比べて高密度となりやすく、かつ、セル構造が微細で均一になりやすい。
【0024】
上記ゴム系樹脂発泡体を構成するゴム系樹脂として、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、EPDM、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、SEBSやSEPS等のブロック共重合体等が挙げられる。
【0025】
上記ゴム系樹脂発泡体を製造する方法として、例えば、上記ゴム系樹脂を発泡剤によって発泡させるとともに、硫黄によって架橋する方法が挙げられる。
【0026】
上記基材の密度は特に限定されないが、490kg/m以下であることが好ましい。上記密度が490kg/m以下であれば、上記基材が適度な柔軟性を有することができるため、上記基材の応力緩和性が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。上記密度のより好ましい上限は485kg/m、更に好ましい上限は450kg/mである。
上記基材の密度の下限は特に限定されないが、上記基材の強度が充分に高くなり、防塵性及び防水性も確保されやすいことから、好ましい下限は320kg/m、より好ましい下限は380kg/mである。
なお、密度は、JIS K 6401に準拠して電子比重計(例えば、ミラージュ社製、「ED120T」)を使用して測定できる。
【0027】
上記基材の25%圧縮強度は特に限定されないが、38kPa以下であることが好ましい。上記25%圧縮強度が38kPa以下であれば、上記基材が適度な柔軟性を有することができるため、上記基材の応力緩和性が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。また、上記25%圧縮強度が38kPa以下であれば、粘着テープを良好に圧着することができる。上記25%圧縮強度のより好ましい上限は30kPaである。
上記基材の25%圧縮強度の下限は特に限定されないが、上記基材の強度が充分に高くなることから、好ましい下限は5kPa、より好ましい下限は20kPaである。
なお、25%圧縮強度は、JIS K 6254に準拠し測定することで求めることができる。
【0028】
上記基材のガラス転移点は特に限定されないが、0℃より大きいことが好ましい。上記ガラス転移点が0℃より大きければ、上記基材が適度な柔軟性を有することができるため、上記基材の応力緩和性が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。なお、ガラス転移点が0℃より大きい基材として、例えば、上述したポリウレタン発泡体等が挙げられる。上記ガラス転移点のより好ましい下限は10℃である。
上記基材のガラス転移点の上限は特に限定されないが、高すぎると柔軟性を損なうことから、好ましい上限は25℃、より好ましい上限は20℃である。
なお、ガラス転移点は、粘弾性測定装置(例えば、レオメトリックス社製「Rheometrics Dynamic Analyze RDA-700」)を使用して、測定温度-30~100℃、昇温速度3℃/min、周波数1Hzの条件下で求めることができる。
【0029】
上記基材の厚みは特に限定されないが、0.9mmより大きいことが好ましい。上記厚みが0.9mmより大きければ、上記基材が適度な柔軟性を有することができるため、上記基材の応力緩和性が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。上記厚みのより好ましい下限は1mmである。
上記基材の厚みの上限は特に限定されないが、粘着テープによる接着や固定を充分に実現する観点から、好ましい上限は2mm、より好ましい上限は1.5mmである。
なお、基材の厚みは、ダイヤル厚み計(例えば、Mitutoyo社製、「ABSデジマチックインジケーター」)を使用して測定できる。
【0030】
本発明の粘着テープは、更に、上記基材と一体化された樹脂シートを有していてもよい。上記樹脂シートを用いることで、取り扱い時に上記基材が伸びて破断することを抑止することができ、かつ、粘着テープにリワーク性を付与することができる。
上記樹脂シートを構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。なかでも、柔軟性に優れていることから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂のなかでは、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0031】
上記樹脂シートの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。上記樹脂シートの厚みが10μm以上であれば、上記樹脂シートを引っ張った際にも上記樹脂シートが破断しにくくなる。上記樹脂シートの厚みが100μm以下であれば、被着体への追従性の低下を抑制することができる。
【0032】
上記樹脂シートは、着色されていてもよい。上記樹脂シートを着色することにより、粘着テープに遮光性を付与することができる。
上記樹脂シートを着色する方法は特に限定されず、例えば、上記樹脂シートを構成する樹脂にカーボンブラック、酸化チタン等の粒子又は微細な気泡を練り込む方法、上記樹脂シートの表面にインクを塗布する方法等が挙げられる。
【0033】
上記粘着剤層は特に限定されず、例えば、アクリル粘着剤層、ゴム系粘着剤層、ウレタン粘着剤層、シリコーン系粘着剤層等が挙げられる。なかでも、光、熱、水分等に対し比較的安定で、被着体選択性が低いことから、アクリル粘着剤層が好ましい。
【0034】
上記アクリル粘着剤層を構成するアクリル共重合体は、モノマー混合物を共重合して得られるものである。
上記モノマー混合物を共重合して上記アクリル共重合体を得るには、上記モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。上記モノマー混合物をラジカル反応させる際の反応方式としては、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。なかでも、リビングラジカル重合が好ましい。即ち、上記アクリル共重合体は、リビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体であることが好ましい。
【0035】
リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合では、生長末端ラジカルが失活することなく、また反応中に新しくラジカル種が発生することもなく、反応が進行する。その反応途中では、全ての分子鎖が均一にモノマーと反応しながら重合し、全ての分子鎖の組成は均一に近づく。
従って、リビングラジカル重合によれば、フリーラジカル重合と比較してより均一な分子量及び組成を有する共重合体が得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができるため、上記アクリル粘着剤層の凝集力が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。
【0036】
なお、このようなリビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体の特性は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していくというリビングラジカル重合という製造方法によるものである。しかしながら、重量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)といった共重合体全体の平均値として上記リビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体の特性を間接的に表すことは可能であっても、含まれる個々の共重合体の鎖長や、個々の共重合体中のモノマー成分等の構造や特性を直接的に特定することは極めて困難である。上記リビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体を、その構造又は特性により直接特定することは、不可能であるか、又はおよそ実際的でないといわざるを得ない。従って、本発明においては、アクリル共重合体を「リビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体」と、その物の製造方法により記載することは許容されるべきである。
【0037】
一方、フリーラジカル重合では、反応中に連続的にラジカル種が発生してモノマーに付加し、重合が進行する。そのためフリーラジカル重合では、反応の途中で生長末端ラジカルが失活した分子鎖や、反応中に新しく発生したラジカル種により生長した分子鎖が生成する。
従って、フリーラジカル重合によれば、リビングラジカル重合と比較すると共重合体の組成が不均一となり、比較的低分子量の共重合体も含まれるため、リビングラジカル重合と比較すると上記アクリル粘着剤層の凝集力は低くなる傾向にある。ただし、例えば上記アクリル共重合体の組成を調整すること等によって上記剥離限界値を上記範囲に調整することができれば、上記アクリル共重合体として、フリーラジカル重合により得られたアクリル共重合体を用いてもよい。
【0038】
上記リビングラジカル重合により得られたアクリル共重合体は、上記アクリル粘着剤層の濡れ性を高める観点から、2-エチルヘキシルアクリレートを含むモノマー混合物を共重合して得られたアクリル共重合体であることが好ましい。
この場合、全モノマー混合物に占める2-エチルヘキシルアクリレートの好ましい含有量は、80~98重量%である。2-エチルヘキシルアクリレートの含有量が80重量%以上であれば、上記アクリル共重合体のガラス転移点が下がり、上記アクリル粘着剤層の濡れ性が高くなる。2-エチルヘキシルアクリレートの含有量が98重量%以下であれば、上記アクリル粘着剤層が適度な硬さとなって凝集力が充分となる。2-エチルヘキシルアクリレートの含有量のより好ましい下限は90重量%、より好ましい上限は97重量%である。
【0039】
上記フリーラジカル重合により得られたアクリル共重合体は、ブチルアクリレートと2-エチルヘキシルアクリレートとを含むモノマー混合物を共重合して得られたアクリル共重合体であることが好ましい。
この場合、全モノマー混合物に占めるブチルアクリレートの好ましい含有量は、40~80重量%である。ブチルアクリレートの含有量が40重量%以上であれば、上記アクリル粘着剤層が適度な硬さとなって凝集力が充分となり、粘着力が高くなる。ブチルアクリレートの含有量が80重量%以下であれば、上記アクリル粘着剤層が硬くなりすぎて濡れ性(被着体との界面の接着強度)が低下することを抑制することができる。全モノマー混合物に占める2-エチルヘキシルアクリレートの好ましい含有量は、10~40重量%である。2-エチルヘキシルアクリレートの含有量が10重量%以上であれば、上記アクリル粘着剤層の粘着力が充分となる。2-エチルヘキシルアクリレートの含有量が40重量%以下であれば、上記アクリル粘着剤層が柔らかくなりすぎて凝集力が低下することを抑制することができる。
【0040】
上記モノマー混合物は、必要に応じてブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレート以外の共重合可能な他の重合性モノマーを含んでいてもよい。
上記共重合可能な他の重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等のアルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。また、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキル基の炭素数が13~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の官能性モノマーが挙げられる。
【0041】
上記重合開始剤のうち、リビングラジカル重合を開始させる重合開始剤として、有機テルル重合開始剤が好ましい。上記有機テルル重合開始剤を用いることにより、水酸基やカルボキシル基のような極性官能基を有する官能性モノマーをいずれも保護することなく、同一の開始剤で重合して均一な分子量及び組成を有する共重合体を得ることができる。
上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。
上記有機テルル化合物として、例えば、(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-クロロ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-ヒドロキシ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-アミノ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-ニトロ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-シアノ-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-メチルカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-フェニルカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-メトキシカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-フェノキシカルボニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-スルホニル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(メチルテラニル-メチル)ベンゼン、1-クロロ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-ヒドロキシ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-アミノ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-ニトロ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-シアノ-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-メチルカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-フェニルカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-メトキシカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-フェノキシカルボニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-スルホニル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(1-メチルテラニル-エチル)ベンゼン、1-クロロ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-ヒドロキシ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-アミノ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-ニトロ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-シアノ-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-メチルカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-フェニルカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-メトキシカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-フェノキシカルボニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-スルホニル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(2-メチルテラニル-プロピル)ベンゼン、2-(メチルテラニル-メチル)ピリジン、2-(1-メチルテラニル-エチル)ピリジン、2-(2-メチルテラニル-プロピル)ピリジン、2-メチルテラニル-エタン酸メチル、2-メチルテラニル-プロピオン酸メチル、2-メチルテラニル-2-メチルプロピオン酸メチル、2-メチルテラニル-エタン酸エチル、2-メチルテラニル-プロピオン酸エチル、2-メチルテラニル-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メチルテラニルアセトニトリル、2-メチルテラニルプロピオニトリル、2-メチル-2-メチルテラニルプロピオニトリル等が挙げられる。これらの有機テルル化合物中のメチルテラニル基は、エチルテラニル基、n-プロピルテラニル基、イソプロピルテラニル基、n-ブチルテラニル基、イソブチルテラニル基、t-ブチルテラニル基、フェニルテラニル基等であってもよく、また、これらの有機テルル化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
上記有機テルリド化合物として、例えば、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ-n-プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ-n-ブチルジテルリド、ジ-sec-ブチルジテルリド、ジ-tert-ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス-(p-メトキシフェニル)ジテルリド、ビス-(p-アミノフェニル)ジテルリド、ビス-(p-ニトロフェニル)ジテルリド、ビス-(p-シアノフェニル)ジテルリド、ビス-(p-スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。これらの有機テルリド化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ-n-プロピルジテルリド、ジ-n-ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが好ましい。
【0043】
上記重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等も挙げられる。なお、リビングラジカル重合においても、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。
【0044】
上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。
上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル-1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等が挙げられる。
これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記モノマー混合物をラジカル反応させる際には、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0046】
上記モノマー混合物をラジカル反応させる際に重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒や、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合温度は、重合速度の観点から0~110℃が好ましい。
【0047】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が40万、好ましい上限が150万である。重量平均分子量が40万以上であれば、上記アクリル粘着剤層が適度な硬さとなって凝集力が充分となり、粘着力が高くなる。重量平均分子量が150万以下であれば、上記アクリル粘着剤層の粘着力が充分となる。重量平均分子量のより好ましい下限は50万、より好ましい上限は140万である。重量平均分子量を上記範囲に調整するためには、重合開始剤、重合温度等の重合条件を調整すればよい。
【0048】
上記アクリル共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(分子量分布、Mw/Mn)は、好ましい上限が10である。Mw/Mnが10以下であれば、低分子量成分等の含有量が少なくなるため、上記アクリル粘着剤層の凝集力及び濡れ性(被着体との界面の接着強度)が高くなり、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。Mw/Mnのより好ましい上限は5、更に好ましい上限は3である。Mw/Mnを上記範囲に調整するためには、ラジカル反応の反応方式を選択したり、重合開始剤、重合温度等の重合条件を調整したりすればよい。
なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。GPCでは、例えば、2690 Separations Model(Waters社製)等を使用できる。
【0049】
上記粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂として、例えば、ロジンエステル系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、脂環族飽和炭化水素系樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5-C9共重合系石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記粘着剤層の主成分となる樹脂(例えば、アクリル共重合体)100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が10重量部以上であれば、上記粘着剤層の粘着力が高くなる。上記粘着付与樹脂の含有量が60重量部以下であると、上記粘着剤層が硬くなりすぎて濡れ性(被着体との界面の接着強度)が低下することを抑制することができる。
【0051】
上記粘着剤層は、架橋剤が添加されることにより上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与樹脂等)の主鎖間に架橋構造が形成されていることが好ましい。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記粘着剤層にイソシアネート系架橋剤が添加されることで、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与樹脂等)中のアルコール性水酸基とが反応して、上記粘着剤層の架橋が緩くなる。従って、上記粘着剤層は、断続的に加わる剥離応力を分散させることができ、粘着テープの粘着力がより向上する。
上記架橋剤の添加量は、上記粘着剤層の主成分となる樹脂(例えば、上記アクリル共重合体)100重量部に対して0.01~10重量部が好ましく、0.1~7重量部がより好ましい。
【0052】
上記粘着剤層は、粘着力を向上させる目的で、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、エポキシシラン類、アクリルシラン類、メタクリルシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類等が挙げられる。
【0053】
上記粘着剤層は、遮光性を付与する目的で、着色材を含有してもよい。上記着色材は特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン等が挙げられる。なかでも、比較的安価で化学的に安定であることから、カーボンブラックが好ましい。
【0054】
上記粘着剤層の架橋度は、高すぎても低すぎても、大きな応力が加わると被着体から剥離しやすくなることがあるので、5~60重量%が好ましく、10~55重量%がより好ましく、15~50重量%が特に好ましい。
なお、粘着剤層の架橋度は、粘着剤層をW(g)採取し、この粘着剤層を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量W(g)を測定し、下記式(1)により算出する。
架橋度(重量%)=100×W/W (1)
【0055】
上記粘着剤層は、凝集力試験により測定した80℃における変位量が210μm以下であることが好ましい。上記変位量が210μm以下であれば、上記粘着剤層が適度な硬さとなって凝集力が充分となり、粘着力が高くなる。上記変位量のより好ましい上限は150μmである。
上記変位量の下限は特に限定されないが、低すぎると上記粘着剤層が硬くなり、濡れ性が低下することから、好ましい下限は50μm、より好ましい下限は100μmである。
なお、凝集力試験は、次のようにして行われる。図3に、粘着剤層の凝集力試験を示す模式図を示す。まず、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを作製する。次いで、図3に示すように、20mm×40mmにカットした両面粘着テープ8を用いて、2枚のSUS板11及び12を貼り合わせる。80℃において、一方のSUS板11の一端を固定し、他方のSUS板12の一端を200gの重り13により水平方向に3分間引っ張る。このとき、両面粘着テープ8が引っ張り方向にずれた変位量を測定する。
【0056】
上記粘着剤層は、定荷重剥離試験により測定した80℃における剥離長さが5mm以下であることが好ましい。上記剥離長さが5mm以下であれば、上記粘着剤層の濡れ性(被着体との界面の接着強度)が充分となる。上記剥離長さのより好ましい上限は2mmである。上記剥離長さの下限は特に限定されない。
なお、定荷重剥離試験は、次のようにして行われる。図4に、粘着剤層の定荷重剥離試験を示す模式図を示す。まず、20mm×50mmにカットした粘着テープをポリカーボネート板に貼り合わせ、粘着テープ上に2kgのゴムローラを300mm/分の速度で一往復させた後、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間に亘って放置する。次いで、図4に示すように、80℃において、ポリカーボネート板15を粘着テープ14が貼り合わされた面が下方となるように、かつ、水平状態となるように設置し、粘着テープ14の一端を100gの重り16により垂直方向に引っ張る。粘着テープ14に重り16を取り付けてから48時間後の剥離部分の最大長さLを測定し、剥離長さとする。
上記粘着剤層の濡れ性(被着体との界面の接着強度)は、例えば、上記アクリル共重合体の組成の調整、粘着付与樹脂の添加等により高めることができる。
【0057】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、片面の粘着剤層の厚みの好ましい下限が20μm、好ましい上限が100μmである。上記粘着剤層の厚みが20μm以上であれば、上記粘着剤層の粘着力が充分となる。上記粘着剤層の厚みが100μm以下であれば、上記基材の応力緩和性が粘着テープ全体としての応力緩和性にも充分に寄与することができ、上記剥離限界値が上記範囲内となりやすくなる。よって、粘着テープの剥離がより抑制される。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は30μm、より好ましい上限は80μmである。
なお、粘着剤層の厚みは、ダイヤル厚み計(例えば、Mitutoyo社製、「ABSデジマチックインジケーター」)を使用して測定できる。
【0058】
本発明の粘着テープは、面垂直方向への引張試験により測定した破断点強度が60N以上であることが好ましい。上記破断点強度が60N以上であれば、上記基材が層間で裂けることを抑制できる。
上記破断点強度の上限は特に限定されないが、応力緩和性を損なわない観点から、好ましい上限は160N、より好ましい上限は120Nである。
なお、面垂直方向への引張試験は、次のようにして行われる。図5に、粘着テープの面垂直方向への引張試験を示す模式図を示す。まず、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを作製する。次いで、図5に示すように、25mm×25mmにカットした両面粘着テープ1を用いて、厚み2mmのポリカーボネート板(長さ50mm×幅50mm)2と厚み2mmのステンレス鋼からなる治具(30mm×30mm)(図示しないが、取っ手を備える)3とを積層する。この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間静置し、両面粘着テープ1を介してポリカーボネート板2と治具3とが貼り合わされた引張試験用サンプルを作製する。この引張試験用サンプルのポリカーボネート板2を固定した後、23℃の条件下、治具3を面垂直方向(図中、矢印方向)に0.1mm/minの条件で引っ張り、両面粘着テープ1が破断するときの力を測定する。
【0059】
上記引張試験では、JIS Z 0237で規定されている300mm/minの引張速度ではなく、極めて低速である0.1mm/minの引張速度で両面粘着テープにかかる力を測定する。これにより、粘着テープに復元力がかかったときに発生する低速での剥離応力を再現(想定)した状態で粘着テープの性能を評価することができる。
【0060】
本発明の粘着テープは、せん断引張試験により測定した破断点強度が9N以上であることが好ましい。上記破断点強度が9N以上であれば、上記基材が層間で裂けることを抑制できる。上記破断点強度のより好ましい下限は12Nである。
上記破断点強度の上限は特に限定されないが、応力緩和性を損なわない観点から、好ましい上限は30N、より好ましい上限は20Nである。
なお、せん断引張試験は、次のようにして行われる。図6に、粘着テープのせん断引張試験を示す模式図を示す。まず、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを作製する。次いで、25mm×4mmにカットした両面粘着テープ18、及び、厚み2mmのポリカーボネート板(長さ125mm×幅50mm)19を2枚用いて、図6に示すように積層して貼り合わせる。この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間静置し、両面粘着テープ18を介してポリカーボネート板19が2枚貼り合されたせん断引張試験用サンプルとする。このせん断引張試験用サンプルの一方のポリカーボネート板19を固定した後、23℃の条件下、他方のポリカーボネート板19の上方一方をせん断方向(図中、矢印方向)に0.1mm/minの条件で引っ張り、両面粘着テープ18が破断するときの力を測定する。
【0061】
本発明の粘着テープの180°粘着力は特に限定されないが、好ましい下限は3N/25mm、好ましい上限は35N/25mmである。上記180°粘着力が3N/25mm以上であれば、粘着テープの粘着力が充分となる。上記180°粘着力が35N/25mm以下であれば、粘着テープのリワーク性が高くなり、貼り直しが可能となる。
なお、180°粘着力は、JIS Z 0237に準拠し測定することで求めることができる。
【0062】
本発明の粘着テープの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.4mm、好ましい上限は3mmである。上記厚みが0.4mm以上であれば、粘着テープの剥離がより抑制される。上記厚みが3mm以下であれば、粘着テープによる接着や固定を充分に実現することができる。上記厚みのより好ましい下限は0.5mm、より好ましい上限は2.8mmである。
【0063】
本発明の粘着テープの製造方法として、例えば、以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、粘着付与樹脂、必要に応じて架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された基材の裏面に、粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0064】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得てもよい。
【0065】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されず、例えば、携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に用いられる。これらの用途における本発明の粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
【0066】
本発明の粘着テープは、復元力のような低速での剥離応力がかかった状態での接着信頼性に優れることから、段差、角、非平面部等に貼り付けられたり、部品を変形させた状態で固定するために用いられたりすることが好ましい。
本発明の粘着テープが用いられる物品として、例えば、TV、モニター、携帯電子機器等に使用されるフラットパネルディスプレイ、携帯電子機器のカメラモジュール、携帯電子機器の内部部材、車輌用内装、家電(例えば、TV、エアコン、冷蔵庫等)の内外装等が挙げられる。本発明の粘着テープの被着体として、例えば、携帯電子機器のサイドパネル、背面パネル、各種銘板、加飾フィルム、装飾フィルム等が挙げられる。
【発明の効果】
【0067】
本発明によれば、高温高湿下かつ復元力がかかる状況下でも剥離しにくい粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】タック試験により測定した60℃における粘着テープにかかる力を示す力-時間曲線の一例を模式的に示す図である。
図2】実施例1、実施例7及び比較例4で得られた、タック試験により測定した60℃における粘着テープにかかる力を示す力-時間曲線を模式的に示す図である。
図3】粘着剤層の凝集力試験を示す模式図である。
図4】粘着剤層の定荷重剥離試験を示す模式図である。
図5】粘着テープの面垂直方向への引張試験を示す模式図である。
図6】粘着テープのせん断引張試験を示す模式図である。
図7】粘着テープの耐復元力試験を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0070】
(ポリウレタン発泡体1(PU1)の製造)
下記に示すポリオール1の100重量部にアミン触媒(ダブコLV33、三共エアープロダクト社製)を0.7重量部、整泡剤(SZ5740M、東レ・ダウコーニング社製)を1重量部添加し、攪拌したのち、そこへポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス80になるよう調整し投入した。その後、0.2g/cmになるように窒素ガスと混合攪拌し、微細な気泡が混入した溶液を得た。その溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ製、V-2)上にアプリケーターを使用して所定の厚みに塗布し、発泡体原料を反応させ、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0071】
ポリオール1(ポリエーテルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価56mgKOH/g)20重量部、ポリエステルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価240mgKOH/g)40重量部、ポリエーテルポリオールB(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価240mgKOH/g)40重量部)
【0072】
(ポリウレタン発泡体2(PU2)の製造)
ポリオール1に代えて下記に示すポリオール2を100重量部用いたこと以外はポリウレタン発泡体1(PU1)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0073】
ポリオール2(ポリエーテルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価56mgKOH/g)60重量部、ポリエステルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価240mgKOH/g)40重量部)
【0074】
(ポリウレタン発泡体3(PU3)の製造)
ポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス110になるよう調整して投入したこと以外はポリウレタン発泡体2(PU2)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0075】
(ポリウレタン発泡体4(PU4)の製造)
ポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス115になるよう調整して投入したこと以外はポリウレタン発泡体2(PU2)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0076】
(ポリウレタン発泡体5(PU5)の製造)
ポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス110になるよう調整して投入し、混入する窒素ガスの量を調整したこと以外はポリウレタン発泡体2(PU2)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0077】
(ポリウレタン発泡体6(PU6)の製造)
混入する窒素ガスの量を調整したこと以外はポリウレタン発泡体2(PU2)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0078】
(ポリウレタン発泡体7(PU7)の製造)
ポリオール2に代えて下記に示すポリオール3を100重量部用いて、ポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス120になるよう調整して投入し、混入する窒素ガスの量を調整したこと以外はポリウレタン発泡体2(PU2)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0079】
ポリオール3(ポリエーテルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価56mgKOH/g)70重量部、ポリエステルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価240mgKOH/g)30重量)
【0080】
(ポリウレタン発泡体8(PU8)の製造)
ポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス110になるよう調整して投入し、混入する窒素ガスの量を調整したこと以外はポリウレタン発泡体7(PU7)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0081】
(ポリウレタン発泡体9(PU9)の製造)
ポリオール1に代えて下記に示すポリオール4を100重量部用いたこと以外はポリウレタン発泡体1(PU1)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0082】
ポリオール4(ポリエーテルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価56mgKOH/g)20重量部、ポリエステルポリオールA(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価240mgKOH/g)20重量部、ポリエーテルポリオールB(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価240mgKOH/g)20重量部、ポリエステルポリオールB(重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価56mgKOH/g)40重量部)
【0083】
(ポリウレタン発泡体10(PU10)の製造)
混入する窒素ガスの量を調整したこと以外はポリウレタン発泡体8(PU8)の製造と同様にして、表2に示す物性を有するポリウレタン発泡体を得た。
【0084】
(ポリエチレン発泡体(PE1))
表2に示す物性を有するポリエチレン発泡体(XLH-2501、積水化学工業社製)を使用した。
【0085】
(粘着剤Aの製造(リビングラジカル重合))
Tellurium(40メッシュ、金属テルル、アルドリッチ社製)6.38g(50mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mLに懸濁させ、これに1.6mol/Lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液(アルドリッチ社製)34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで攪拌した。この反応溶液に、エチル-2-ブロモーイソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物の2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオン酸エチルを得た。
【0086】
アルゴン置換したグローブボックス内で、反応容器中に、製造した2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオン酸エチル19μL、V-60(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、和光純薬工業社製)1.4mg、酢酸エチル1mLを投入した後、反応容器を密閉し、反応容器をグローブボックスから取り出した。続いて、反応容器にアルゴンガスを流入しながら、反応容器内に、モノマー混合物(アクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)97重量部、アクリル酸(AAc)3重量部、及び、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)0.1重量部)の合計100g、重合溶媒として酢酸エチル66.5gを投入した。60℃で20時間重合反応を行い、アクリル共重合体含有溶液を得た。
得られたアクリル共重合体含有溶液をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲルパミエーションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。カラムとしてはGPC KF-806L(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。結果を表1に示した。
【0087】
得られたアクリル共重合体含有溶液の不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、粘着付与樹脂を合計30重量部(水添ロジン系樹脂10重量部、ロジンエステル系樹脂10重量部、テルペンフェノール樹脂10重量部)添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤を得た。
【0088】
(粘着剤Bの製造(フリーラジカル重合))
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここにモノマー混合物(アクリル酸ブチル(BA)60重量部、アクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)36.9重量部、アクリル酸(AAc)3重量部、及び、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)0.1重量部)を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、アクリル共重合体含有溶液を得た。
上記と同様にしてアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
【0089】
得られたアクリル共重合体含有溶液の不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、粘着付与樹脂を合計30重量部(水添ロジン系樹脂10重量部、ロジンエステル系樹脂10重量部、テルペンフェノール樹脂10重量部)添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤を得た。
【0090】
(粘着剤Cの製造(フリーラジカル重合))
モノマー混合物(アクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)97重量部、アクリル酸(AAc)3重量部、及び、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)0.1重量部)を用いたこと以外は粘着剤Bの製造と同様にして、アクリル共重合体含有溶液を得た。
上記と同様にしてアクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
【0091】
得られたアクリル共重合体含有溶液の不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、粘着付与樹脂を合計30重量部(水添ロジン系樹脂10重量部、ロジンエステル系樹脂10重量部、テルペンフェノール樹脂10重量部)添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤を得た。
【0092】
【表1】
【0093】
(実施例1)
(1)両面粘着テープの製造
厚み150μmの離型紙を用意し、この離型紙の離型処理面に粘着剤Aを塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、ポリウレタン発泡体1(PU1)の表面と貼り合わせた。次いで、同様の要領で、このポリウレタン発泡体1(PU1)の反対の表面にも、PETセパレーターを剥がした後で上記と同じ粘着剤層を貼り合わせた。その後40℃で48時間加熱することで養生を行った。これにより、厚み150μmの離型紙で覆われた両面粘着テープを得た。
【0094】
(2)凝集力(凝集力試験)
図3に、粘着剤層の凝集力試験を示す模式図を示した。図3に示すように、20mm×40mmにカットした両面粘着テープ8を用いて、2枚のSUS板11及び12を貼り合わせた。80℃において、一方のSUS板11の一端を固定し、他方のSUS板12の一端を200gの重り13により水平方向に3分間引っ張った。このとき、両面粘着テープ8が引っ張り方向にずれた変位量を測定した。
【0095】
(3)濡れ性(定荷重剥離試験)
図4に、粘着剤層の定荷重剥離試験を示す模式図を示した。まず、20mm×50mmにカットした粘着テープをポリカーボネート板に貼り合わせ、粘着テープ上に2kgのゴムローラを300mm/分の速度で一往復させた後、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間に亘って放置した。次いで、図4に示すように、80℃において、ポリカーボネート板15を粘着テープ14が貼り合わされた面が下方となるように、かつ、水平状態となるように設置し、粘着テープ14の一端を100gの重り16により垂直方向に引っ張った。粘着テープ14に重り16を取り付けてから48時間後の剥離部分の最大長さLを測定し、剥離長さとした。
【0096】
(4)面垂直方向への引張試験
図5に、粘着テープの面垂直方向への引張試験を示す模式図を示した。図5に示すように、25mm×25mmにカットした両面粘着テープ1を用いて、厚み2mmのポリカーボネート板(長さ50mm×幅50mm)2と厚み2mmのステンレス鋼からなる治具(30mm×30mm)(図示しないが、取っ手を備える)3とを積層した。この積層体を5kg、10秒の条件でローラーを用いて圧着した後、24時間静置し、両面粘着テープ1を介してポリカーボネート板2と治具3とが貼り合わされた引張試験用サンプルを作製した。この引張試験用サンプルのポリカーボネート板2を固定した後、23℃の条件下、治具3を面垂直方向(図中、矢印方向)に0.1mm/minの条件で引っ張り、両面粘着テープ1が破断したときの力を測定した。なお、表2に示す剥離ストロークとは、破断するまでの両面粘着テープの伸びである。
【0097】
(5)せん断引張試験
図6に、粘着テープのせん断引張試験を示す模式図を示した。まず、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを作製した。次いで、25mm×4mmにカットした両面粘着テープ18、及び、厚み2mmのポリカーボネート板(長さ125mm×幅50mm)19を2枚用いて、図6に示すように積層して貼り合わせた。 この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間静置し、両面粘着テープ18を介してポリカーボネート板19が2枚貼り合されたせん断引張試験用サンプルとした。このせん断引張試験用サンプルのポリカーボネート板19を固定した後、23℃の条件下、ポリカーボネート板19の上方一方をせん断方向(図中、矢印方向)に0.1mm/minの条件で引っ張り、両面粘着テープ18が破断するときの力を測定した。
【0098】
(6)タック試験
タック試験機(レスカ社製のTAC-1000)の60℃に設定したプレート上に、粘着剤層が上になるようにして粘着テープを載せた。なお、粘着テープの非測定面は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで裏打ちした。次いで、粘着テープに対して、プローブ温度60℃、押付け速度2mm/s、押付け荷重100gfで直径5mmの円柱状のステンレス製のプローブを押付け、その状態で0.1秒間保持した。その後、引き上げ速度0.2mm/sでプローブを引き上げ、この間の粘着テープにかかる力を測定した。
得られた力-時間曲線において、力が0を示す時間Tから最大力(ピークトップ)を示す時間Tまでの積分値を算出し、これを剥離限界値とした。なお、表2には、剥離時間及び最大力も示した。
【0099】
(実施例2~8、比較例1~5)
表2に示すように基材及び粘着剤層を変更したこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
なお、例示として、図2に、実施例1、実施例7及び比較例4で得られた、タック試験により測定した60℃における粘着テープにかかる力を示す力-時間曲線を模式的に示した。
【0100】
<評価>
実施例、比較例で得られた両面粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
【0101】
(1)耐復元力試験
図7に、粘着テープの耐復元力試験を示す模式図を示す。
図7に示すように、長さ150mm×幅3mmにカットした両面粘着テープ4を用いて、第1の耐復元力試験用ポリカーボネート板(長さ150mm×幅30mm×厚み2mm)5と第2の耐復元力試験用ポリカーボネート板(長さ200mm×幅30mm×厚み1mm)6とを積層した。この積層体を2kgの条件でローラーを用いて圧着した後、24時間静置し、両面粘着テープ4を介して2枚のポリカーボネート板が貼り合わされた耐復元力試験用サンプルを作製した。80℃、湿度90%の条件下、この耐復元力試験用サンプルを第2の耐復元力試験用ポリカーボネート板6を上にした状態で治具7に挟み込み、治具7の幅を165mmにまで狭めて耐復元力試験用サンプルを弓状に反らせた。このときの耐復元力試験用サンプルの曲率は0.181mであった。
耐復元力試験用サンプルにおける両面粘着テープ4の剥離の発生を観察し、弓状に反らせてから剥離が発生するまでの時間(剥離時間)が30分以内の場合を×、30分を超えて1時間以内の場合を○、1時間を超えた場合を◎とした。
【0102】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明によれば、高温高湿下かつ復元力がかかる状況下でも剥離しにくい粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 25mm×25mmにカットした両面粘着テープ
2 厚み2mmのポリカーボネート板(長さ50mm×幅50mm)
3 厚み2mmのステンレス鋼からなる治具(30mm×30mm)
4 長さ150mm×幅3mmにカットした両面粘着テープ
5 第1の耐復元力試験用ポリカーボネート板(長さ150mm×幅30mm×厚み2mm)
6 第2の耐復元力試験用ポリカーボネート板(長さ200mm×幅30mm×厚み1mm)
7 治具
8 20mm×40mmにカットした両面粘着テープ
11 SUS板
12 SUS板
13 重り(200g)
14 20mm×50mmにカットした粘着テープ
15 ポリカーボネート板
16 重り(100g)
17 力-時間曲線
18 25mm×4mmにカットした両面粘着テープ
19 厚み2mmのポリカーボネート板(長さ125mm×幅50mm)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7