(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】合成耐火目地構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
E04B1/94 H
E04B1/94 V
(21)【出願番号】P 2018059377
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大沼康信
(72)【発明者】
【氏名】荒木淳一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉浩行
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-046782(JP,A)
【文献】特開平10-025830(JP,A)
【文献】特開2017-145563(JP,A)
【文献】特開平11-172886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横張り壁パネルの縦目地裏面に形成する金属製敷目板の両端部に防火ブランケットを形成した合成耐火ジョイナーを用いた合成耐火構造において、金属製敷目板は、平面状の支持部と、支持部の両端部を
壁パネルから離れる方向に傾斜して垂下した段差と、段差の先端を外方に延長した突出片と、突出片の先端を
段差側に屈曲した係止片と、係止片と突出片より形成された係止溝とから形成し、防火ブランケットは、係止溝~係止片~突出片に掛けて金属製敷目板と一体化したことを特徴とする合成耐火目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に用いる壁パネルの長手方向の端部を付き合わせて出来る縦目地部の構造に関するものである。さらに詳しくは、合成被覆耐火構造の耐火性能を具備した耐火性を有する合成耐火目地構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に大臣認定を受けるもののうち、合成被覆耐火構造に形成する場合には、殆どが一面を壁パネルで被覆し、残りの三面を耐火被覆材にて被覆したものである。(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-196787号公報
【文献】特開2017-101387号公報
【文献】特開2017-210807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1~3は、壁パネルとして、ALC板、PC板、押出成形セメント板、珪酸カルシウム板、石膏ボードなどからなる無機材よりなる壁パネルを用いた構造が一般的であり、金属製表面材と金属製裏面材間に合成樹脂発泡体よりなる芯材をサンドイッチした壁パネルは耐火性の問題で使用されることが少なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、横張り壁パネルの縦目地裏面に形成する金属製敷目板の両端部に防火ブランケットを形成した合成耐火ジョイナーを用いた合成耐火構造において、金属製敷目板は、平面状の支持部と、支持部の両端部を壁パネルから離れる方向に傾斜して垂下した段差と、段差の先端を外方に延長した突出片と、突出片の先端を段差側に屈曲した係止片と、係止片と突出片より形成された係止溝とから形成し、防火ブランケットは、係止溝~係止片~突出片に掛けて金属製敷目板と一体化したことを特徴とする合成耐火目地構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る合成耐火目地構造によれば、(1)耐火試験時に壁パネルと固定下地間に熱変形による隙間を発生させず、耐火性能が向上する。(2)金属製表面材と金属製裏面材間に合成樹脂発泡体よりなる芯材をサンドイッチした壁パネルを使用した合成被覆耐火構造の耐火構造試験に合格する性能を有する構造に出来る。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る合成耐火目地構造の施工状態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る合成耐火目地構造の施工状態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る合成耐火目地構造の施工状態を示す断面図である。
【
図4】本発明に係る合成耐火目地構造の施工状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る合成耐火目地構造に使用する合成耐火ジョイナーの一実施例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る合成耐火目地構造に使用する合成耐火ジョイナーの金属製敷目板の一例を示す断面図である。
【
図7】本発明に係る合成耐火目地構造に使用する壁パネルの一実施例を示す断面図である。
【
図8】本発明に係る合成耐火目地構造に使用する壁パネルの施工状態の一実施例を示す断面図である。
【
図9】本発明に係る合成耐火目地構造に使用する壁パネルの一実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
以下に図面を用いて本発明に係る合成耐火目地構造の代表的な実施例について詳細に説明する。
図1~
図3は合成耐火ジョイナーAの施工状態を示す断面図、
図4は合成耐火ジョイナーAの施工状態を示す斜視図である。
図5は本発明に係る合成耐火目地構造に使用する合成耐火ジョイナーAを示す断面図であり、1は金属製敷目板、2は防火ブランケットである。
図6は合成耐火ジョイナーAの部材である金属製敷目板1を示す断面図である。
【0009】
図1~
図4に示すように、縦目地部Mにおける角形鋼管を下地材として形成した合成被覆耐火構造では、角形鋼管取合部αは、角形鋼管柱α1、ロックウール等の耐火被覆材α2、固定具α3より形成されるものである。また、βは固定下地、γは固定具である。
【0010】
合成耐火ジョイナーAは
図5に示すような断面の長尺状部材であり、金属製敷目板1と防火ブランケット2より形成されたものである。
【0011】
さらに、
図6に示すように、金属製敷目板1は、平面状の支持部3と、支持部3の両端部を下方に傾斜して垂下した段差3aと、段差3aの先端を外方に延長した突出片4と、突出片4の先端を内方に屈曲した係止片5と、係止片5と突出片4より形成された係止溝6と、支持空間7より形成したものである。
【0012】
段差3により形成した支持空間7は、図に示すように固定下地βに合致した形状に形成することにより、合成耐火ジョイナーAのガタツキと、耐火試験時の隙間の形成を防止し、耐火性の向上に寄与するものである。
【0013】
突出片4、係止片5、係止溝6は防火ブランケット2を確実に固定かつ接着する部分であり、壁パネルP裏面と固定下地β間に隙間が形成されるのを防止し耐火性を向上するものである。
【0014】
壁パネルPは
図7~9に示すように、壁パネルPを横張り状に施工する際に両端部となる金属製表面材P5の端部をL字状に屈曲したL形目地片P1、P2と、防水パッキンP3と、金属製表面材P5と金属製裏面材P6間に合成樹脂発泡体よりなる芯材P7を充填~発泡~硬化させて一体化し、上下端部に耐火性と防水性強化のために形成した強化石膏ボードP8、セラミックファイバーP9、防水パッキンP10を形成した長尺状部材である。
【0015】
金属製表面材P5、金属製裏面材P6の素材としては、金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)の一種をロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0016】
防火ブランケット2はロックウールフェルト等よりなる耐火性のあるシート状部材である。
【0017】
防火ブランケット2は、
図5に示すように、ロックウールフェルト等よりなる耐火性のあるシート状部材を係止溝6~係止片5~突出片4に掛けてその嵌合と突出片5への接着により金属製敷目板1と一体化するものである。
【0018】
Bはジョイナーであり、金属製のハット形ジョイナーB1と、ロックウールフェルト等よりなるシール材B2と、防水性強化のパッキン材B3とから形成したものである。また、Cはセラミックファイバー等よりなる耐火性強化の充填剤、Dはバックアップ材、Eはシーリング材である。
【符号の説明】
【0019】
α 角形鋼管取合部
α1 角形鋼管柱
α2 耐火被覆材
α3 固定具
β 固定下地
γ 固定具
A 合成耐火ジョイナー
B ジョイナー
B1 ハット形ジョイナー
B2 シール材
B3 パッキン材
C 充填剤
D バックアップ材
E シーリング材
M 縦目地部
P 壁パネル
P1 L形目地片
P2 L形目地片
P3 防水パッキン
P4 シール材
P5 金属製表面材
P6 金属製裏面材
P7 芯材
P8 強化石膏ボード
P9 セラミックファイバー
P10 防水パッキン
1 金属製敷目板
2 防火ブランケット
3 支持部
3a 段差
4 突出片
5 係止片
6 係止溝
7 支持空間