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特許7078480改善されたインピーダンス特性を有する電気コネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】改善されたインピーダンス特性を有する電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6474 20110101AFI20220524BHJP
【FI】
H01R13/6474
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018134613
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2019024001
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】15/657,997
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジュニア.,グラハム ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトン,スコット エリック
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,アルバート
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-524196(JP,A)
【文献】特表2003-536205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6473-13/6477
H01R 12/50 -12/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路ウェハ(40)を電気コネクタ内に固定するための前記電気コネクタの部分を形成しているシュラウドであって、
頂壁(26)と、
底壁(28)と、
前記頂壁(26)と前記底壁(28)との間に延在し、前記複数の回路ウェハ(40)を受け入れるための複数のスロット(212)を画定する複数の垂直部材(215)であって、各垂直部材(215)が、隣接する垂直部材の第2の側部(210)に面する第1の側部(205)を含む、複数の垂直部材(215)と、を備え、
前記第1の側部(205)は、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部(210)から第1の距離(D1)だけ離間されている頂面領域(220)、中間面領域(225)、及び底面領域(230)を画定するとともに、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部(210)から前記第1の距離(D1)よりも大きい第2の距離(D2)だけ離間されている、前記頂面領域(220)と前記中間面領域(225)と前記底面領域(230)との間に位置する第1の凹面領域(235)及び第2の凹面領域(240)を画定しており、
前記第1の凹面領域(235)及び前記第2の凹面領域(240)は、前記垂直部材(215)と前記複数の回路ウェハ(40)上に配設された1つまたは複数の高周波トレース(305及び310)との間の直接接触を防止するように位置決めされ
前記第2の側部(210)の表面は実質的に平坦である、シュラウド。
【請求項2】
複数の回路ウェハ(40)を電気コネクタ内に固定するための前記電気コネクタの部分を形成しているシュラウドであって、
頂壁(26)と、
底壁(28)と、
前記頂壁(26)と前記底壁(28)との間に延在し、前記複数の回路ウェハ(40)を受け入れるための複数のスロット(212)を画定する複数の垂直部材(215)であって、各垂直部材(215)が、隣接する垂直部材の第2の側部(210)に面する第1の側部(205)を含む、複数の垂直部材(215)と、を備え、
前記第1の側部(205)は、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部(210)から第1の距離(D1)だけ離間されている頂面領域(220)、中間面領域(225)、及び底面領域(230)を画定するとともに、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部(210)から前記第1の距離(D1)よりも大きい第2の距離(D2)だけ離間されている、前記頂面領域(220)と前記中間面領域(225)と前記底面領域(230)との間に位置する第1の凹面領域(235)及び第2の凹面領域(240)を画定しており、
前記第1の凹面領域(235)及び前記第2の凹面領域(240)は、前記垂直部材(215)と前記複数の回路ウェハ(40)上に配設された1つまたは複数の高周波トレース(305及び310)との間の直接接触を防止するように位置決めされ、
前記シュラウドは、単一の部品であって、前記電気コネクタの嵌合方向(A)に対して直交する方向の両側が開放された形状に形成されている、シュラウド。
【請求項3】
前記頂面領域(220)は前記頂壁(26)から前記第1の凹面領域(235)の頂部部分まで延在し、前記底面領域(230)は前記底壁(28)から前記第2の凹面領域(240)の底部部分まで延在する、請求項1または2に記載のシュラウド。
【請求項4】
前記中間面領域(225)は前記頂壁(26)と前記底壁(28)との間の中央にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のシュラウド。
【請求項5】
前記第1の凹面領域(235)及び前記第2の凹面領域(240)の高さは約5.0mmである、請求項1から4のいずれか一項に記載のシュラウド。
【請求項6】
前記第1の距離(D1)は約0.45mmであり、前記第2の距離(D2)は約0.60mmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のシュラウド。
【請求項7】
電気コネクタであって、
底部ハウジングと、
前記底部ハウジング内に配設された複数の回路ウェハであって、各回路ウェハが高周波信号を通信するための1つまたは複数の高周波トレースを含む、複数の回路ウェハと、
前記電気コネクタの頂部を形成し、前記底部ハウジングに係合して前記複数の回路ウェハを前記底部ハウジングとの間に固定するように構成されているシュラウドとを備え、
前記シュラウドは、
頂壁と、
底壁と、
前記複数の回路ウェハ間の間隔を維持するための複数のスロットを画定する、前記頂壁と前記底壁との間に延在している複数の垂直部材であって、各垂直部材が、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む、複数の垂直部材と、を備え、
前記第1の側部は、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部から前記第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、前記頂面領域と前記中間面領域と前記底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定しており、
前記第1の凹面領域及び前記第2の凹面領域は、前記垂直部材と前記複数の回路ウェハ上に配設された前記1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされており、これにより前記電気コネクタのインピーダンス特性が改善され
前記第2の側部の表面は実質的に平坦である、電気コネクタ。
【請求項8】
電気コネクタであって、
底部ハウジングと、
前記底部ハウジング内に配設された複数の回路ウェハであって、各回路ウェハが高周波信号を通信するための1つまたは複数の高周波トレースを含む、複数の回路ウェハと、
前記電気コネクタの頂部を形成し、前記底部ハウジングに係合して前記複数の回路ウェハを前記底部ハウジングとの間に固定するように構成されているシュラウドとを備え、
前記シュラウドは、
頂壁と、
底壁と、
前記複数の回路ウェハ間の間隔を維持するための複数のスロットを画定する、前記頂壁と前記底壁との間に延在している複数の垂直部材であって、各垂直部材が、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む、複数の垂直部材と、を備え、
前記第1の側部は、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部から前記第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、前記頂面領域と前記中間面領域と前記底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定しており、
前記第1の凹面領域及び前記第2の凹面領域は、前記垂直部材と前記複数の回路ウェハ上に配設された前記1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされており、これにより前記電気コネクタのインピーダンス特性が改善され、
前記シュラウドは、単一の部品であって、係合される前記底部ハウジングと共に、前記電気コネクタの嵌合方向に対して直交する方向の両側に開口をなす、電気コネクタ。
【請求項9】
前記頂面領域は前記頂壁から前記第1の凹面領域の頂部部分まで延在し、前記底面領域は前記底壁から前記第2の凹面領域の底部部分まで延在する、請求項7または8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記中間面領域は前記頂壁と前記底壁との間の中央にある、請求項7から9のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記第1の凹面領域及び前記第2の凹面領域の高さは約5.0mmである、請求項7から10のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記第1の距離は約0.45mmであり、前記第2の距離は約0.60mmである、請求項7から11のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
電気コネクタであって、
底部ハウジングと、
前記底部ハウジング内に配設された複数の回路ウェハであって、各回路ウェハが高周波信号を通信するための1つまたは複数の高周波トレースを含む、複数の回路ウェハと、
前記電気コネクタの頂部を形成し、前記底部ハウジングに係合して前記複数の回路ウェハを前記底部ハウジングとの間に固定するように構成されているシュラウドとを備え、
前記シュラウドは、
頂壁と、
底壁と、
前記複数の回路ウェハ間の間隔を維持するための複数のスロットを画定する、前記頂壁と前記底壁との間に延在している複数の垂直部材であって、各垂直部材が、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む、複数の垂直部材と、を備え、
前記第1の側部は、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、前記隣接する垂直部材の前記第2の側部から前記第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、前記頂面領域と前記中間面領域と前記底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定しており、
前記第1の凹面領域及び前記第2の凹面領域は、前記垂直部材と前記複数の回路ウェハ上に配設された前記1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされており、これにより前記電気コネクタのインピーダンス特性が改善され、
前記複数の回路ウェハは第1の回路ウェハ群及び第2の回路ウェハ群を含み、前記第1の回路ウェハ群における前記1つまたは複数の高周波トレースの構成は、前記第2の回路ウェハ群における前記1つまたは複数の高周波トレースの構成とは異なっており、
前記垂直部材の前記第1の凹面領域及び前記第2の凹面領域は、各垂直部材に関して同じ相対位置に配置されており、かつ、前記垂直部材と、前記第1の回路ウェハ群及び前記第2の回路ウェハ群のいずれであっても配設された前記1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように配置されている電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、高周波信号を搬送する電気コネクタに関する。より詳細には、本発明は、インピーダンス特性の改善をもたらす改良型シュラウド構成を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気システムには、バックプレーン回路基板を介して相互接続されたいくつかの電気モジュールが組み込まれているものがある。モジュールのコネクタが、バックプレーン上の相補的なコネクタへのモジュールの挿入を容易にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各コネクタは、電気モジュールとバックプレーンとの間で1つまたは複数の信号を結合するように構成されることがある。コネクタを介して伝送される信号は、比較的高い周波数の信号となり得る。コネクタを介して通信される信号の劣化を最小限にするために、コネクタの構成には特別な注意を払わなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
解決策は、電気コネクタ内に複数の回路ウェハを固定するための電気コネクタの部分を形成しており、頂壁と、底壁と、頂壁と底壁との間に延在し、複数の回路ウェハを受け入れるための複数のスロットを画定する複数の垂直部材と、を含む、シュラウドによって提供される。各垂直部材は、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む。第1の側部は、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、頂面領域と中間面領域と底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定する。第1の凹面領域及び第2の凹面領域は、垂直部材と複数の回路ウェハ上に配設された1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされている。
【0005】
ここで本発明について、以下の添付の図面を参照して、例示により記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】複数の例示的な回路ウェハを収めている例示的な実施形態に従って形成された改良型電気コネクタの斜視図である。
図2A図1の方向Aで見たときの、改良型電気コネクタのシュラウドの正面図である。
図2B図2Aの断面B-B’に沿って得られたシュラウドの断面である。
図2C図2Aの断面C-C’に沿って得られたシュラウドの断面である。
図3A】改良型電気コネクタのシュラウド内に位置決めされた回路ウェハを示す図である。
図3B】改良型電気コネクタのシュラウド内に位置決めされた異なる回路ウェアを示す図である。
図4A】改良型電気コネクタ及び従来の電気コネクタと関連付けられたインピーダンス波形を示す図である。
図4B】改良型電気コネクタ及び従来の電気コネクタと関連付けられたインピーダンス波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一態様では、電気コネクタ内に複数の回路ウェハを固定するための電気コネクタの部分を形成しているシュラウドは、頂壁と、底壁と、頂壁と底壁との間に延在し、複数の回路ウェハを受け入れるための複数のスロットを画定する複数の垂直部材と、を含む。各垂直部材は、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む。第1の側部は、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、頂面領域と中間面領域と底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定する。第1の凹面領域及び第2の凹面領域は、垂直部材と複数の回路ウェハ上に配設された1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされている。
【0008】
第2の態様では、電気コネクタは底部ハウジングを含み、底部ハウジング内に複数の回路ウェハが配設されており、各回路ウェハは、高周波信号を通信するための1つまたは複数の高周波トレースを含む。電気コネクタはまた、底部ハウジングに係合して複数の回路ウェハを底部ハウジングとシュラウドとの間に固定するように構成されている、電気コネクタの頂部を形成するシュラウドも含む。シュラウドは、頂壁と、底壁と、複数の回路ウェハ間の間隔を維持するための複数のスロットを画定する、頂壁と底壁との間に延在する複数の垂直部材と、を含む。各垂直部材は、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む。
第1の側部は、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、頂面領域と中間面領域と底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定する。第1の凹面領域及び第2の凹面領域は、垂直部材と複数の回路ウェハ上に配設された1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされており、これにより電気コネクタのインピーダンス特性が改善される。
【0009】
第3の態様では、電気製品は電気コネクタを含む。電気コネクタは底部ハウジングを含み、底部ハウジング内に複数の回路ウェハが配設されており、各回路ウェハは、高周波信号を通信するための1つまたは複数の高周波トレースを含む。電気コネクタはまた、底部ハウジングに係合して複数の回路ウェハを底部ハウジングとシュラウドとの間に固定するように構成されている、電気コネクタの頂部を形成するシュラウドも含む。シュラウドは、頂壁と、底壁と、複数の回路ウェハ間の間隔を維持するための複数のスロットを画定する、頂壁と底壁との間に延在する複数の垂直部材と、を含む。各垂直部材は、隣接する垂直部材の第2の側部に面する第1の側部を含む。
第1の側部は、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離だけ離間されている頂面領域、中間面領域、及び底面領域を画定するとともに、隣接する垂直部材の第2の側部から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離間されている、頂面領域と中間面領域と底面領域との間に位置する第1の凹面領域及び第2の凹面領域を画定する。第1の凹面領域及び第2の凹面領域は、垂直部材と複数の回路ウェハ上に配設された1つまたは複数の高周波トレースとの間の直接接触を防止するように位置決めされており、これにより電気コネクタのインピーダンス特性が改善される。
【0010】
図1は、例示的な実施形態に従って形成された電気コネクタ10の斜視図を示している。電気コネクタ10は、例えばRF試験機器などの製品のバックプレーン回路基板を介して回路モジュール上の信号を他の回路モジュールと電気的に結合するのを容易にするように特化された回路モジュール上に配設された、多数のうちの1つであってもよい。
【0011】
コネクタ10は、例示的な実施形態ではドーターボードである回路基板12上に装着されるように構成されたレセプタクルコネクタに対応していてもよい。コネクタ10は、嵌合面14と、コネクタ10を回路基板12に接続するためのインターフェースを含む装着面16と、を有する。
【0012】
例示的な実施形態では、装着面16は、レセプタクルコネクタ10が互いに実質的に直角な電気構成要素を相互接続するように、嵌合面14に対して実質的に直交する。コネクタ10の嵌合面14は、バックプレーンコネクタのインターフェースを画定する。1つの実施形態では、コネクタ10を使用して、ドーターボードをバックプレーン回路基板に相互接続してもよい。他の実施形態では、コネクタ10を、互いに直角以外の角度である電気構成要素を相互接続するように構成することができる。
【0013】
本発明について差動信号を搬送するコネクタの観点から記載するが、本明細書において以下の記載は例示的に示す目的のものに過ぎず、発明の概念の1つの潜在的用途に過ぎないことを理解されたい。本発明の利益及び利点は、他の種類の信号コネクタとウェハの組合せにも等しく生じることが諒解される。
【0014】
コネクタ10は、上側ハウジング部分またはシュラウド22と下側ハウジング部分24とを有する、誘電性ハウジング20を含む。シュラウド22は、コネクタ10の嵌合面14に近接している頂壁26及び底壁28をそれぞれ含む。頂壁26及び底壁28は、上側ハウジング22から、コネクタ10の嵌合方向でもある矢印Aの方向において前方に延在する。
【0015】
シュラウド22は、第1の端部32及び第2の端部34に端部開口部30を含むことができる。シュラウド22及び下側ハウジング部分24は1つに結合されて、ハウジング20の中にカードエッジ接続により受け入れられている複数の回路ウェハ40を保持するための開いた枠組を形成している。
【0016】
回路ウェハ40は、信号コンタクトパッド44と、接地コンタクトパッド46と、コンタクトパッド44を介して通信される信号を導くための高周波トレースと、を含む。
【0017】
コネクタ10はモジュール式の構造であり、図1に示す実施形態では、12枚の回路ウェハ40を含む。代替の実施形態では、より多くの、またはより少ない数の回路ウェハ40を使用してもよいことを理解されたい。
【0018】
図2Aは、図1の方向Aで見たときの、シュラウド22の正面図を示している。図2Bは、図2Aの断面B-B’に沿って得られた断面図を示している。図2Cは、図2Aの断面C-C’に沿って得られた断面図を示している。
【0019】
上で指摘したように、シュラウド22は電気コネクタ10の頂部に対応している。シュラウド22は、電気コネクタ10の下側ハウジング部分24と協働して下側ハウジング部分24とシュラウド22との間に複数の回路ウェハ40を固定するように構成されている。
【0020】
図2A図2Cを参照すると、シュラウド22は、頂壁26と、底壁28と、頂壁26と底壁28との間に延在する複数の垂直部材215と、を含む。垂直部材215は、回路ウェハ40を受け入れるための及び回路ウェハ40間の間隔を維持するための、複数のスロット212を画定する。
【0021】
各垂直部材215は、隣接する垂直部材の第2の側部210に面する第1の側部205を含む。第1の側部205は、隣接する垂直部材の第2の側部210から第1の距離D1だけ離間されている、頂面領域220、中間面領域225、及び底面領域230を画定する。第1の側部205は、また、頂面領域220と中間面領域225と底面領域230との間に、第1の凹面領域235及び第2の凹面領域240も画定することができる。垂直部材215の第2の側部210は全体に平坦であってもよく、または、第1の側部205に見られる特徴と類似の特徴を有してもよい。
【0022】
第1の凹面領域235及び第2の凹面領域240は、隣接する垂直部材215の第2の側部210から第1の距離D1よりも大きい第2の距離D2だけ離間されている。距離D1は、シュラウド22と回路ウェハ40との間の滑り嵌めを容易にするために、回路ウェハ40の厚さに概ね相当していてもよい。例えば、約0.45mmより僅かに小さい厚さを有する回路ウェハ40に関して、第1の距離D1は、滑り嵌めを提供するために約0.45mmであってもよい。第2の距離D2は、第1の凹面領域235及び第2の凹面領域240内の垂直部材215のどの部分も回路ウェハ40に接触しないことを保証するように選択される。例えば、第2の距離D2は約0.60mmであってもよい。これにより、第1の凹面領域235及び第2の凹面領域240が回路ウェハ40と接触しないことが保証される。
【0023】
図3A及び図3Bを参照すると、頂面領域220、中間面領域225、及び底面領域230のサイズ及び位置は、垂直部材215の第1の側部205が回路ウェハ40の重要な領域、例えば図示したような高周波トレース305及び310が配置され得る領域と、直接接触するのを防止するように選択されてもよい。別の言い方をすれば、頂面領域220、中間面領域225、及び底面領域230の構成は、垂直部材215の第1の凹面領域235及び第2の凹面領域240が回路ウェハ40の重要な領域を覆って位置決めされるように選択される。重要な領域における垂直部材215と回路ウェハ40との間の接触を防止することは、電気コネクタのインピーダンス特性を改善する助けとなり得る。
【0024】
1つの例示的な実装形態では、頂面領域220は頂壁26から下に約3.12mmである距離L1だけ延在してもよい。底面領域230は、底壁28から上向きに約2.22mmである距離L3だけ延在してもよい。中間面領域225は、垂直部材215内で垂直方向の中央にあり、約4.18mmである高さL2を有してもよい。この構成により、おおよそで約4.90mm~5.15mmの間の長さを有する、第1の凹面領域235及び第2の凹面領域240を提供できる。
【0025】
一部の実装形態では、異なる高周波トレースの構成を有する回路ウェハを利用してもよい。例えば、図3Aは、5つの高周波トレース305を有する第1のタイプの回路ウェハ40Aを示している。図3Bは、4つの高周波トレース310を有する第2のタイプの回路ウェハ40Bを示している。この場合、頂面領域220、中間面領域225、及び底面領域230のサイズ及び位置の構成は、垂直部材215の第1の側部205が、いずれのタイプの回路ウェハ40A及び40Bの重要な領域とも直接接触するのを防止するように選択されてよい。
【0026】
図4A及び図4Bは、16ps、20/80の立ち上がり時間を使用してシミュレートしたインピーダンス波形を示している。これらの波形は、上記の特徴を有さないシュラウドを利用する従来のコネクタと比較したときの、上記の構成を用いて実現可能なインピーダンスの改善を説明する助けとなる。図4Aでは、従来のコネクタ及び改良型コネクタの両方のバックプレーン側にTDRパルスが投入されており、図4Bでは、従来のコネクタ及び改良型コネクタの両方のドーターカード側にTDRパルスが投入されている。いずれの波形も、約5オームのインピーダンスの改善を示しており、この場合理想的なインピーダンスは100オームである。
【0027】
シュラウド及び電気コネクタについて特定の実施形態及び寸法を参照して記載してきたが、本出願の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、及び等価物で置換できることが、当業者には理解されるであろう。例えば、中間表面領域225を設ける1つの理由は、回路ウェハ40に追加の支持を提供することである。しかしながら、追加の支持が必要ない状況では、中間面領域225を除去して、頂面領域220と底面領域230との間に一続きの凹状領域を設けてもよい。特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、上で開示した教示に特定の状況または材料を適合させるために、他の修正を行ってもよい。したがって、特許請求の範囲は、開示した特定の実施形態のうちのいずれか1つにではなく、特許請求の範囲の範囲内に収まる任意の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B