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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】シール部材及びシール部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20220524BHJP
   F16J 15/34 20060101ALN20220524BHJP
【FI】
F16J15/10 A
F16J15/10 C
F16J15/34 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018197424
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2020063827
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000152170
【氏名又は名称】株式会社酉島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸雄
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-198043(JP,A)
【文献】特開平07-086968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
F16J 15/34-15/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面と、この第1端面とは反対の第2端面とを有する線条部と、
前記第1端面に突設された連結部と、
前記線条部の軸線に沿って窪むように前記第2端面に形成され、前記連結部の差し込みによって前記線条部を環状に保持する連結穴と
を備え、
前記連結部は、前記線条部の軸線に交差する向きへ窪む係止溝を有し、
前記連結穴の内壁には、前記線条部の軸線に交差する向きへ突出して前記係止溝に係止する係止部が設けられ、前記係止部には、内端から外側へ延びるスリットが設けられている、
シール部材。
【請求項2】
前記連結部は、前記第1端面から突出した凸部と、前記凸部の先端に設けられ、前記線条部の軸線に交差する方向の寸法が前記凸部の寸法よりも小さい収縮部と、前記収縮部の先端に設けられ、前記線条部の軸線に交差する方向の寸法が前記収縮部の寸法よりも大きい膨出部とを有し、前記係止溝が前記凸部と前記膨出部の間に形成されており、
前記連結穴は、前記第2端面に隣接して設けられて前記凸部が嵌合される凹部と、前記凹部の先端に設けられて前記収縮部が挿通される連通部と、前記連通部の先端に設けられて前記膨出部が嵌合される保持部とを有し、前記係止部が前記凹部と前記保持部の間に形成されている、
請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
前記線条部は、本体と、前記本体の一端に接続された第1接合部材と、前記本体の他端に接続された第2接合部材とを有し、
前記連結部が前記第1接合部材に形成され、前記連結穴が前記第2接合部材に形成されている、請求項1又は2に記載のシール部材。
【請求項4】
前記第1端面及び前記第2端面のうちの少なくとも一方に、前記第1端面及び前記第2端面のうちの他方に圧接される環状の圧接部が突設されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のシール部材。
【請求項5】
線条の本体と、第1端面に連結部を突設した第1接合部材と、第2端面に連結穴を形成した第2接合部材とを用意し、
前記本体の一端に、前記第1端面とは反対に位置する前記第1接合部材の端を接続し、
前記本体の他端に、前記第2端面とは反対に位置する前記第2接合部材の端を接続する、
シール部材の製造方法。
【請求項6】
前記連結部は、前記第1接合部材の軸線に交差する向きへ窪む係止溝を有し、
前記連結穴の内壁には、前記第2接合部材の軸線に交差する向きへ突出して前記係止溝に係止する係止部が設けられ、前記係止部には、内端から外側へ延びるスリットが設けられており、
前記連結部を含む前記第1接合部材と、前記連結穴を含む前記第2接合部材とは、成形金型によってそれぞれ成形される、請求項5に記載のシール部材の製造方法。
【請求項7】
前記本体と前記第1接合部材、及び前記本体と前記第2接合部材は、加硫によってそれぞれ接続される、請求項5又は6に記載のシール部材の製造方法。
【請求項8】
前記本体と前記第1接合部材、及び前記本体と前記第2接合部材は、接着によってそれぞれ接続される、請求項5又は6に記載のシール部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材及びシール部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分割型メカニカルシールに用いられる連結式シール部材が開示されている。シール部材は、定められた全長の線条部と、線条部の一端に突設された連結部と、線条部の他端に設けられた連結穴とを備え、連結部を連結穴に差し込むことで線条部が環状に保持される。連結部は線条部の径方向に窪む係止溝を備え、係止溝の先端には膨出部が形成されている。連結穴は線条部の径方向に突出して係止溝に係止する係止部を備え、係止部の先端には膨出部を保持する保持部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6485024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシール部材では、膨出部よりも開口面積が小さい係止部内を貫通させて、膨出部を保持部内に差し込む際の作業性が悪い。また、シール部材を成形金型によって製造する場合、連結穴を形成するためのスライドコアを抜く際に、係止部に対応するスライドコアの縮径部分が変形する虞がある。
【0005】
本発明は、連結穴へ連結部を差し込む際の作業性の向上と、シール部材を成形する金型の長寿命化を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、第1端面と、この第1端面とは反対の第2端面とを有する線条部と、前記第1端面に突設された連結部と、前記線条部の軸線に沿って窪むように前記第2端面に形成され、前記連結部の差し込みによって前記線条部を環状に保持する連結穴とを備え、前記連結部は、前記線条部の軸線に交差する向きへ窪む係止溝を有し、前記連結穴の内壁には、前記線条部の軸線に交差する向きへ突出して前記係止溝に係止する係止部が設けられ、前記係止部には、内端から外側へ延びるスリットが設けられている、シール部材を提供する。
【0007】
このシール部材によれば、連結穴内に突出する係止部にスリットが形成されているため、係止部の変形を促進できる。よって、連結穴へ連結部を差し込む際の作業性を向上できる。連結穴を形成するスライドコアにはスリットに対応するリブが形成されるため、このリブによって係止部に対応する収縮部分が補強される。よって、スライドコアを抜く際、収縮部分に加わる負荷を軽減できるため、シール部材を成形する金型を長寿命化できる。
【0008】
前記連結部は、前記第1端面から突出した凸部と、前記凸部の先端に設けられ、前記線条部の軸線に交差する方向の寸法が前記凸部の寸法よりも小さい収縮部と、前記収縮部の先端に設けられ、前記線条部の軸線に交差する方向の寸法が前記収縮部の寸法よりも大きい膨出部とを有し、前記係止溝が前記凸部と前記膨出部の間に形成されており、前記連結穴は、前記第2端面に隣接して設けられて前記凸部が嵌合される凹部と、前記凹部の先端に設けられて前記収縮部が挿通される連通部と、前記連通部の先端に設けられて前記膨出部が嵌合される保持部とを有し、前記係止部が前記凹部と前記保持部の間に形成されている。この態様によれば、凹部と凸部の嵌合によって、線条部の第1端面及び第2端面の軸線を確実に位置合わせできる。また、連結部と連結穴の間の摩擦抵抗が増えるため、これらの差込状態を確実に維持できる。
【0009】
前記線条部は、本体と、前記本体の一端に接続された第1接合部材と、前記本体の他端に接続された第2接合部材とを有し、前記連結部が前記第1接合部材に形成され、前記連結穴が前記第2接合部材に形成されている。この態様によれば、市販されている所定直径の無端状シールリングを切断したものを本体として用い、その両端に第1接合部材と第2接合部材を接続することで、所望の全長(直径)のシール部材を用意できる。よって、異なる全長のシール部材毎に金型を用意する場合と比較して、シール部材の製造コストを低減できる。
【0010】
前記第1端面及び前記第2端面のうちの少なくとも一方に、前記第1端面及び前記第2端面のうちの他方に圧接される環状の圧接部が突設されている。この態様によれば、凹部と凸部の嵌合によって、第1端面及び第2端面のうちの一方に設けた圧接部が他方に圧接されるため、これらの間のシール性を向上できる。
【0011】
本発明の第2態様は、配置する部位によって全長(直径)が異なる(曲率が異なる)シール部材を安価に製造するために、線条の本体と、第1端面に連結部を突設した第1接合部材と、第2端面に連結穴を形成した第2接合部材とを用意し、前記本体の一端に、前記第1端面とは反対に位置する前記第1接合部材の端を接続し、前記本体の他端に、前記第2端面とは反対に位置する前記第2接合部材の端を接続する、シール部材の製造方法を提供する。
【0012】
この第2態様では、前記連結部は、前記第1接合部材の軸線に交差する向きへ窪む係止溝を有し、前記連結穴の内壁には、前記第2接合部材の軸線に交差する向きへ突出して前記係止溝に係止する係止部が設けられ、前記係止部には、内端から外側へ延びるスリットが設けられており、前記連結部を含む前記第1接合部材と、前記連結穴を含む前記第2接合部材とは、成形金型によってそれぞれ成形される。また、前記本体と前記第1接合部材、及び前記本体と前記第2接合部材は、加硫又は接着によってそれぞれ接続される。



【発明の効果】
【0013】
本発明では、連結穴の係止部にスリットが形成されているため、連結穴へ連結部を差し込む際の作業性を向上できる。連結穴を形成するためのスライドコアにはスリットに対応するリブが形成され、このリブによってスライドコアの収縮部分が補強されるため、金型を長寿命化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るシール部材を用いた分割型メカニカルシールの平面図。
図2図1のA-O-B線断面図。
図3図1のC-O-D線断面図。
図4】シール部材の正面図。
図5図4の一部拡大図。
図6図4の一部拡大斜視図。
図7】シール部材の製造方法を示す正面図。
図8】シール部材の接合部分を示す断面図。
図9】第1接合部材を製造する金型の断面図。
図10】第2接合部材を製造する金型の断面図。
図11図8の金型のスライドコアを示す斜視図。
図12】シール部材の変形例を示す正面図。
図13】シール部材の他の変形例を示す断面図。
図14図13のシール部材の連結状態を示す正面図。
図15図13の一部拡大図。
図16】シール部材の他の変形例を示す断面図。
図17】シール部材の他の変形例を示す断面図。
図18】シール部材の他の変形例を示す断面図。
図19】シール部材の他の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1から図3は、本発明の実施形態に係るシール部材を用いた分割型メカニカルシール(以下「メカニカルシール」と略す。)10を示す。図2及び図3に示すように、メカニカルシール10は、シート(回転環)20とワッシャ(固定環)30を備え、これらの間にシール面35が形成されている。シート20とシートホルダ12の間、及びワッシャ30とシールカバー40の間は、本発明のシール部材80B,80Cによってシールされている。
【0017】
まず、メカニカルシール10の概要について説明する。
【0018】
図2及び図3に示すように、メカニカルシール10は、回転機械(例えば立軸ポンプ)のケーシング1の内部の液体(例えば揚水)が外部(大気側)に漏出することを防ぐために、ケーシング1における回転軸2が貫通される部分に配置される。図2及び図3では、メカニカルシール10の下側がケーシング1内に連通している。以下の説明では、図2及び図3において下側を内部側といい、図2及び図3において上側を外部側ということがある。
【0019】
メカニカルシール10は、シートホルダ12、シート20、及びワッシャ30を備え、これらがシールカバー40(封止液室42)内に配置されている。シールカバー40内には留め金50と押金60が更に配置され、シールカバー40の外部側の端がプレート65によって覆われている。図2を参照すると、プレート65と押金60の間にはコイルスプリング73が配置されており、このコイルスプリング73によって、押金60を介してワッシャ30がシート20に向けて付勢されている。
【0020】
メカニカルシール10は、シート20とワッシャ30によって、ケーシング1内に連通した封止液室42から、大気に連通した回転軸2側(径方向内側)への液体の流出を防ぐインサイド型である。回転軸2が回転すると、シートホルダ12とシート20が回転軸2と一体に回転し、シールカバー40に固定されたワッシャ30に対してシート20が摺接する。シート20とワッシャ30の摺接部分により構成されるシール面35によって、封止液室42から回転軸2に向けた液体の流動を阻止する。
【0021】
図3を参照すると、回転軸2に対してシートホルダ12は、ケーシング1の近傍に位置するように配置され、セットボルト15によって固定されている。シートホルダ12の内周面に形成された凹溝にシール部材80Aが配設され、このシール部材80Aによって回転軸2とシートホルダ12の間がシールされている。
【0022】
シート20は、シートホルダ12の外部側の取付凹部16に取り付けられている。シートホルダ12に対するシート20の周方向の回転は、取付凹部16に配置されたピン17によって規制されている。これにより、シート20は、シートホルダ12を介して回転軸2と一体に回転する。図2及び図3において上側に位置するシート20の端面が、ワッシャ30との摺接によりシール面35を構成する。シート20の外周に形成された段部23にはシール部材80Bが配設され、このシール部材80Bによってシートホルダ12とシート20の間がシールされている。
【0023】
ワッシャ30は、シート20の外部側に位置するようにシールカバー40内に配置されている。図2を参照すると、留め金50、押金60及びプレート65を貫通したドライブピン70によって、シールカバー40に対するワッシャ30の周方向の回転が規制され、シールカバー40に対するワッシャ30の軸方向の移動が許容されている。図2及び図3において下側に位置するワッシャ30の端面には、シート20に向けて突出する断面四角形状の凸部30aが設けられており、この凸部30aの先端面が、シート20との摺接によりシール面35を構成する。ワッシャ30の外周に形成された段部33にはシール部材80Cが配設され、このシール部材80Cによってワッシャ30とシールカバー40の間がシールされている。
【0024】
シールカバー40は、回転軸2が貫通される貫通孔41と、環状の封止液室42とを備える。図3を参照すると、回転軸2に沿って貫通されたボルト45をボルト穴1aに締め付けることで、シールカバー40がケーシング1に固定されている。
【0025】
留め金50は、プレート65の内部側に配置されている。留め金50は、ボルト53によってシールカバー40に固定され(図2参照)、ボルト54によってプレート65に固定されている(図3参照)。
【0026】
押金60は、留め金50とワッシャ30の間に配置されている。留め金50を貫通したコイルスプリング73の一端が押金60に配置され、コイルスプリング73の他端がプレート65に配置されている。コイルスプリング73の付勢によって押金60は、ワッシャ30をシート20に向けて押圧(付勢)する。なお、図1及び図3中の符号63は、プレート65と押金60の間にコイルスプリング73を保持するためのボルトである。ボルト63は、組付時と分解時に用いられ、コイルスプリング73の付勢力がワッシャ30に加わらないように、プレート65に対して押金60を係着する。通常の使用時、ボルト63は取り外される。
【0027】
本実施形態のメカニカルシール10は、シートホルダ12、シート20、ワッシャ30、シールカバー40、留め金50、押金60、及びプレート65を、それぞれ周方向に2分割した全分割型である。つまり、シートホルダ12は、第1保持部材13Aと第2保持部材13Bを備える環状体である。シート20は、第1回転部材21Aと第2回転部材21Bを備える環状体である。ワッシャ30は、第1固定部材31Aと第2固定部材31Bを備える環状体である。シールカバー40は、第1カバー部材43Aと第2カバー部材43Bを備える環状体である。留め金50は、第1連結部材51Aと第2連結部材51Bを備える環状体である。押金60は、第1押圧部材61Aと第2押圧部材61Bを備える環状体である。プレート65は、第1プレート部材66Aと第2プレート部材66Bを備える環状体である。
【0028】
図1を参照すると、シートホルダ12を構成する保持部材13A,13Bは半円環状であり、これらの分割面14は、図1において左右(第1方向)に延びている。シート20を構成する回転部材21A,21Bは半円環状であり、これらの分割面22は、図1において上下(第2方向)に延びている。ワッシャ30を構成する固定部材31A,31Bは半円環状であり、これらの分割面32は、図1において左右に延びている。シールカバー40を構成するカバー部材43A,43Bは半円環状であり、これらの分割面44は、図1において上下に延びている。留め金50を構成する連結部材51A,51Bは半円環状であり、これらの分割面52は、図1において上下に延びている。押金60を構成する押圧部材61A,61Bは半円環状であり、これらの分割面62は、図1において上下に延びている。プレート65を構成するプレート部材66A,66Bは半円環状であり、これらの分割面67は、図1において上下に延びている。
【0029】
全分割型のメカニカルシール10では、留め金50からプレート65を取り外し、ケーシング1からシールカバー40を径方向外向きに取り外すことで、シート20とワッシャ30の取り外しと取り付けが可能である。よって、回転軸2の先端のモータを取り外すことなく、消耗部品であるシート20、ワッシャ30、及びコイルスプリング73等を交換できる。
【0030】
シール部材80B,80Cが無端状のシールリングである場合、モータを取り外すことなく、シート20とワッシャ30は交換できてもシール部材80B,80Cは交換できない。そこで、シール部材80B,80Cとして、第1端面83aと第2端面85aを有し、これらに連結構造を設けた連結式シールリングを用いている。シートホルダ12に用いるシール部材80Aは、無端状のシールリングであってもよいが、シール部材80B,80Cと同様の連結式シールリングであることが好ましい。
【0031】
(シール部材の概要)
図4に示すように、シール部材80A~80Cはゴム製であり、弾性的に変形可能な細長い線条部81と、線条部81の第1端面83aに設けられた連結部84と、線条部81の第2端面85a(第1端面83aとは反対に位置する)に設けられた連結穴86とを備える。連結穴86に連結部84を差し込み、これらによって線条部81の一端と他端を連結することで、線条部81が環状に保持される。
【0032】
シール部材80Aは、シートホルダ12の配置前に回転軸2の外周に配置され、連結部84を連結穴86に差し込むことで組み付けられる。シール部材80Aの組付後、シートホルダ12はシール部材80Aの外側に位置するように、回転軸2の外周に配置される。
【0033】
シール部材80Bは、回転軸2に配置したシート20の外周に配置され、連結部84を連結穴86に差し込むことで組み付けられる。このシール部材80Bの弾性力によって回転部材21A,21Bが円環状に保持され、取付凹部16内にシート20がフローティング状態で保持される。
【0034】
シール部材80Cは、回転軸2に配置したワッシャ30の外周に配置され、連結部84を連結穴86に差し込むことで組み付けられる。このシール部材80Cの弾性力によって固定部材31A,31Bが円環状に保持され、シールカバー40内にワッシャ30が保持される。
【0035】
(線条部の概要)
図4から図6に示すように、線条部81は、本体82と、本体82の一端に接続された第1接合部材83と、本体82の他端に接続された第2接合部材85とを備える。本体82と第1接合部材83は接合部87Aを介して接合され、本体82と第2接合部材85は接合部87Bを介して接合されている。つまり、線条部81の第1端面83aとは第1接合部材83の一端であり、線条部81の第2端面85aとは第2接合部材85の一端である。
【0036】
本体82は定められた直径の断面円形状であり、一端は第1接合部材83を接合する接合面82aであり、他端は第2接合部材85を接合する接合面82bである。第1接合部材83は、本体82と同一直径の断面円形状であり、一端は連結部84を形成する第1端面83aであり、他端は本体82に接合する接合面83bである。第2接合部材85は、本体82と同一直径の断面円形状であり、一端は連結穴86を形成する第2端面85aであり、他端は本体82に接合する接合面85bである。本体82、第1接合部材83及び第2接合部材85は、互いの軸線が一致するように接合されている。
【0037】
端面83a,85a及び接合面82a,82b,83b,85bはそれぞれ、線条部81の軸線Aに対して直交する向きへ広がる平面状である。本体82の接合面82aと第1接合部材83の接合面83b、及び本体82の接合面82bと第2接合部材85の接合面85bは、加硫によって接続されている。図5では、接合面82aと83bの間及び接合面82bと85bの間に、所定の幅を持たせて接合部87A,87Bを現しているが、実際の接合部87A,87Bには、図示のような明確な線は現れない場合もあり、後述するゴムのり91が外周面に流れることで明確な線(段差)が現れる場合もある。
【0038】
図5を参照すると、線条部81の全長Lは、第1端面83aから第2端面85aまでの距離として定義される。この線条部81の全長Lは、メカニカルシール10の配置部位の直径、つまりシール部材80A~80Cによって異なる。一方の接合面82aから他方の接合面82bまでの本体82の全長Laは、線条部81の全長Lによって異なる。第1端面83aから接合面83bまでの第1接合部材83の全長Lbは、線条部81の全長Lに拘わらず同一である。第2端面85aから接合面85bまでの第2接合部材85の全長Lcは、線条部81の全長Lに拘わらず同一である。つまり、全長Lが異なるシール部材80A~80Cは、本体81のみが相違する。
【0039】
(連結部の概要)
図4から図6に示すように、連結部84は、第1接合部材83の第1端面83aに突設されている。連結部84は、第1端面83aの方から順番に連続する凸部84a、収縮部84b、及び膨出部84cを備える。
【0040】
凸部84aは、第1端面83aから円柱状に突出している。収縮部84bは、凸部84aから円柱状に突出している。膨出部84cは収縮部84bから概ね球状に突出している。これらは全て、第1接合部材83の軸線Aと同軸に形成されている。軸線Aに対して直交する方向の寸法である、凸部84aの直径R1及び膨出部84cの直径R3は、収縮部84bの直径R2よりも大きい。凸部84aの直径R1は、膨出部84cの直径R3以上であることが好ましく、本実施形態では同一に形成されている。
【0041】
凸部84aと膨出部84cの間には、第1接合部材83の軸線Aに直交する向き、つまり第1接合部材83の径方向内向きに窪む係止溝84dが形成されている。係止溝84dは、収縮部84bの外周面、凸部84aの外面、及び膨出部84cの外面によって画定されている。
【0042】
(連結穴の概要)
引き続いて図4から図6を参照すると、連結穴86は、第2接合部材85の軸線Aに沿って窪むように第2端面85aに形成された空間である。連結穴86は、第2端面85aの方から順番に連通する凹部86a、連通部86b及び保持部86cを備える。
【0043】
凹部86aは、第2端面85aに隣接して設けられた円柱状の空間部分である。連通部86bは、凹部86aに空間的に連通するように設けられた円柱状の空間部分である。保持部86cは、連通部86bに空間的に連通するように設けられた概ね球状の空間部分である。軸線Aに対して直交する方向の寸法である、凹部86aの直径R4は凸部84aの直径R1と同一であり、凹部86a内に凸部84aを嵌合保持する。連通部86bの直径R5は収縮部84bの直径R2と同一であり、連通部86b内に収縮部84bを挿通保持する。保持部86cの直径R6は膨出部84cの直径R3と同一であり、保持部86c内に膨出部84cを嵌合保持する。つまり、凹部86aの直径R4及び保持部86cの直径R6は、連通部86bの直径R5よりも大きい。凹部86aの直径R4は、保持部86cの直径R6以上であることが好ましく、本実施形態では同一に形成されている。
【0044】
凹部86aと保持部86cの間には、連結部84の係止溝84bに係止する係止部86dが形成されている。係止部86dは、連結穴86の内壁から第2接合部材85の軸線Aに直交する向き、つまり連結穴86の最大外径部分から径方向内向きに突出している。凹部86a側に位置する係止部86dの面は平坦であり、保持部86c側に位置する係止部86dの面は膨出部84cと対応する曲率で湾曲している。
【0045】
係止部86dには、径方向の内端から外端(連結穴86の最大外径部分)にかけて外向きに延びるスリット86eが設けられている。スリット86eは、第2接合部材85の軸線Aに沿って係止部86dを貫通している。つまり、凹部86aと保持部86cは、連通部86bを介して連通するとともにスリット86eを介して連通している。本実施形態では、4つのスリット86eが、第2接合部材85の軸線Aを中心として周方向に等間隔で設けられている。
【0046】
(連結部と連結穴の詳細)
図5に示すように、第1端面83aから膨出部84cの頂部までの連結部84の全長L1は、第2端面85aから保持部86cの頂部までの連結穴86の全長L2よりも小さい。より具体的には、線条部81の軸線Aに沿った方向において、連結部84の収縮部84bと膨出部84cを合わせた寸法は、連結穴86の連通部86bと保持部86cを合わせた寸法と同一に形成されている。線条部81の軸線Aに沿った方向において、連結部84の凸部84aの幅W1は、連結穴86の凹部86aの幅W2よりも小さく形成されている。これにより、連結部84を連結穴86に差し込むことで、第1端面83aと第2端面85aを圧接し、これらの間のシール性を確保している。
【0047】
線条部81の直径は、2mm以上40mm以下、好ましくは3mm以上12mm以下に設定される。これに対して、凸部84aの直径R1、膨出部84cの直径R3、凹部86aの直径R4、及び保持部86cの直径R6は、1mm以上35mm以下、好ましくは2mm以上9mm以下に設定される。収縮部84bの直径R2及び連通部86bの直径R5は、0.5mm以上30mm以下、好ましくは1mm以上7mm以下に設定される。
【0048】
連結部84の全長L1は、32000mm以下、好ましくは25000mm以下に設定され、連結穴86の全長L2は、100mm以下、好ましくは80mm以下に設定される。そして、凸部84aの幅W1と凹部86aの幅W2の差は、0.05mm以上20mm以下、好ましくは0.1mm以上10mm以下の範囲に設定される(0.05mm≦W2-W1≦20mm)。凸部84aと凹部86aの幅W1,W2の差(W2-W1)を過度に小さくした場合、第1端面83aと第2端面85aの圧接が弱くなるため、これらの間のシール性を確保できない。凸部84aと凹部86aの幅W1,W2の差(W2-W1)を過度に大きくした場合、保持部86c内の定位置に膨出部84cを差し込むことが困難になる。これらの問題を防ぐために、凸部84aと凹部86aの差(W2-W1)は、上記設定範囲内とすることが好ましい。
【0049】
スリット86eは、係止部86dを分断し、膨出部84cを保持部86cに挿入する際、係止部86d(連通部86b)の径方向の拡張を容易にするために設けられている。連結穴86の周方向におけるスリット86eの幅は、0.2mm以上10mm以下、好ましくは0.4mm以上5mm以下の範囲に設定される。スリット86eの幅を過度に小さくすると、スリット86eの両側部分が摺接可能になり、これらの摩擦抵抗によって係止部86dの変形が困難になるため、保持部86cへの膨出部84cの挿入が困難になる。スリット86eの幅を過度に大きくすると、スリット86eの両側部分の剛性が低くなり、係止部86dが変形し易くなるため、保持部86cから膨出部84cが脱落する虞がある。これらの問題を防ぐために、スリット86eの幅は、上記設定範囲内とすることが好ましい。
【0050】
このように、本実施形態のシール部材80A~80Cには、連結穴86内に突出する係止部86dにスリット86eが形成されている。よって、スリット86eが無い場合と比較して係止部86dの変形を促進できる。その結果、開口面積が小さい係止部86dを変形させながら膨出部84cを貫通させ、保持部86c内に膨出部84cを比較的容易に配置できる。そのため、連結穴86へ連結部84を差し込む際の作業性を向上できる。
【0051】
第1端面83aに隣接して凸部84aが形成され、第2端面85aに隣接して凹部86aが形成されているため、これらの嵌合によって線条部81の一端と他端の軸線Aを確実に位置合わせできる。また、凸部84aと凹部86aの嵌合によって連結部84と連結穴86の間の摩擦抵抗が増えるため、これらの差込状態を確実に維持できる。
【0052】
次に、シール部材80A~80Cの製造方法を説明する。
【0053】
全長Lが異なるシール部材80A~80Cを製造する場合、市販されている所定直径(長さ)の無端状シールリングを用意する。また、図9及び図10に示す成形金型100,110を用い、射出成形、直圧成形、又は直圧注入成形によって第1接合部材83と第2接合部材85をそれぞれ量産しておく。
【0054】
図7に示すように、まず、用意した無端状のシールリングを切断し、シール部材80A~80Cに必要な長さLaに調整して、本体82として使用する。この際、本体82の長さLaは、加硫による接合部87A,87Bの長さを考慮した寸法とする。また、生ゴム製の無端状シールリングを用いる場合には、加硫時の熱収縮も考慮する。
【0055】
続いて、本体82の一端に第1接合部材83を配置し、本体82の他端に第2接合部材85を配置する。続いて、図8に示すように、接合面82a,83b間及び接合面82b,85b間に未加硫のゴム90を配置し、ゴムのり91によって第1接合部材83、未加硫ゴム90、本体82、未加硫ゴム90、及び第2接合部材85を接着する。
【0056】
最後に、第1接合部材83と第2接合部材85を接着した本体82の両端を、加硫用の金型(図示せず)にそれぞれ配置し、加硫する。これにより、本体82の両端に、第1接合部材83と第2接合部材85を接合した定められた全長Lのシール部材80A~80Cが完成する。
【0057】
このように、本実施形態のシール部材80A~80Cでは、市販されている所定直径の無端状シールリングを切断したものを、本体82として使用できる。また、この本体82の両端に、量産した第1接合部材83と第2接合部材85を接続することで、所望の全長L(直径)のシール部材80A~80Cを製造できる。よって、異なる全長L(曲率)のシール部材80A~80C毎に金型を用意する場合と比較して、シール部材80A~80Cの製造コストを低減できる。
【0058】
次に、接合部材83,85を製造する成形金型100,110について説明する。
【0059】
図9に示すように、第1接合部材83を製造する金型100は、固定型101及び可動型102を備える。これらには、連結部84を含む第1接合部材83の外面形状と対応する内面形状のキャビティ103が形成されている。射出成形の場合、固定型101には、キャビティ103内に連通するゲート(図示せず)が設けられている。
【0060】
例えばゲートを通してキャビティ103内に溶融させたゴムを射出する。ゴムが硬化すると、可動型102を移動させて金型100を開く。これにより、連結部84を一体成形した第1接合部材83を量産できる。
【0061】
図10に示すように、第2接合部材85を製造する金型110は、固定型111、可動型112及びスライドコア115を備える。固定型111と可動型112には、第2接合部材85の外面形状と対応する内面形状のキャビティ113が形成されている。また、固定型111と可動型112には、スライドコア115を貫通させてセットする配置部114が設けられている。射出成形の場合、固定型111には、キャビティ113内に連通するゲート(図示せず)が設けられている。
【0062】
スライドコア115は、キャビティ113の内部に配置される挿入部116を備える。挿入部116は、連結穴86の内面形状と対応する外面形状を有する。図11を併せて参照すると、挿入部116は、凹部86aに対応する第1円柱部(第1部分)116aと、連通部86bに対応する第2円柱部(第2部分)116bと、保持部86cに対応する球状部(第3部分)116cとを備える。また、第1円柱部116aと球状部116cの間には、スリット86eに対応するリブ116dが形成されている。リブ116dは、第2円柱部116bの外周面から突出し、第1円柱部116aから球状部116cにかけて架設されている。
【0063】
例えばゲートを通してキャビティ113内に溶融させたゴムを射出する。ゴムが硬化すると、可動型112とスライドコア115を移動させて金型110を開く。これにより、連結穴86を有する第2接合部材85を量産できる。
【0064】
前述のように、連結穴86を形成するスライドコア115には、スリット86eに対応するリブ116dが形成される。このリブ116dによって、連通部86b(係止部86d)に対応する第2円柱部(収縮部分)116bが補強される。よって、スライドコア115を抜く際、小径の第2円柱部116bに加わる負荷を軽減できるため、スライドコア115の破損を防止できる。
【0065】
以上のように、シール部材80A~80Cは連結穴86の係止部86dにスリット86eが形成されているため、連結穴86へ連結部84を差し込む際の作業性の向上できる。また、連結穴86を形成するスライドコア115にはスリット86eに対応するリブ116dが形成されるため、第2接合部材85(シール部材80A~80C)を成形する金型110を長寿命化できる。
【0066】
本発明のシール部材の成形金型100,110は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。特に、固定型101,111と可動型102,112の分割位置、分割方向、及び分割数は、接合部材83,85の形状に基づいて必要に応じて変更が可能である。
【0067】
本発明のシール部材の構成も種々の変更が可能である。
【0068】
例えば図12に示すように、膨出部84c側に位置する凸部84aの先端には、膨出部84cに向けて直径を次第に小さくした傾斜部(テーパ部)84eを設けてもよい。また、連結穴86の凹部86aにも、傾斜部84eと対応する傾斜した窪み(拡開部)を設けてもよい。
【0069】
図13に示すように、第1端面83aと第2端面85aには、線条部81の軸線に沿って突出する圧接部83c,85cが設けられていてもよい。圧接部83c,85cは、円環状であり、線条部81の軸線を中心とした最外周部又はその近傍が最も突出している。圧接部83c,85cは、可撓性を有し、連結部84を連結穴86に差し込んだ状態では、これらの全長L1,L2(図5参照)の設定によって図14に示すように圧接され、径方向外向きに変形する。これにより、シール部材80A~80Cの端面83a,85aでのシール性を向上できる。
【0070】
圧接部83c,85cは更に、図15から図19に示すようにしてもよい。なお、図15から図19には、第1端面83aに形成する圧接部83cのみを図示しているが、第2端面85aに形成する圧接部85cも同様である。
【0071】
具体的には、圧接部83cの先端(頂部)は、図15及び図16に示すように、線条部81の軸線に対して直交(交差)する方向に延びる平坦部83dとしてもよいし、図17から図19に示すように、所定曲率の円弧状に面取りした湾曲部83eとしてもよい。
【0072】
図15に示すように、圧接部83cは、第1端面83aの一部(最外周部)のみから突出するように設けてもよい。この場合、第1端面83aは、線条部81の軸線に対して直交する平坦部分と、線条部81の軸線に対して交差する傾斜部分とを備える。また、図16及び図17に示すように、圧接部83cは、第1端面83a全体が突出するように設けてもよい。この場合、第1端面83aは、線条部81の軸線に対して交差する方向に傾斜する。
【0073】
第1端面83aと凸部84aの外周面とが交差する部分は、図15に示すように直交した角部83fとしてもよいし、図16から図19に示すように所定曲率で湾曲した曲部83gとしてもよい。また、定められた角度で傾斜した傾斜部としてもよい。
【0074】
圧接部83c外周面は、図15から図17に示すように、他の線条部81の外周面と面一になる円筒状としてもよいし、図18に示すように、線条部81の外周面から定められた角度αで徐々に広がった円錐筒状としてもよいし、図19に示すように、線条部81の外周面から定められた角度αで徐々に狭くなった円錐筒状としてもよい。
【0075】
第1端面83a及び第2端面85aのうち、一方だけに圧接部を設けてもよい。また、第1端面83a及び第2端面85aの両方に圧接部83c,85cを設ける場合、図15から図19に示す変形例のうち、いずれか1つを第1端面83aに形成し、他のいずれか1つを第2端面85aに形成してもよい。
【0076】
係止部86dに設けるスリット86eは、係止部86dの内端から外向きに延びるように設ければ、外端の位置及び延びる方向等は必要に応じて変更が可能である。スリット86eの数は、4本に限られず、必要に応じて変更が可能である。スリット86eを2本以上設ける場合、その間隔も必要に応じて変更が可能である。膨出部84cは、先細の三角形状又は先細の五角形状としてもよく、その形状は必要に応じて変更が可能である。
【0077】
本体82、第1接合部材83及び第2接合部材85は断面四角形状であってもよく、その断面形状は必要に応じて変更が可能である。凸部84aと凹部86a、収縮部84bと連通部86b、及び膨出部84cと保持部86cは、それぞれ断面四角形状であってもよく、その断面形状は必要に応じて変更が可能である。凸部84aと凹部86aの組が実質的に同一断面形状(つまり相似形状)で、収縮部84bと連通部86bの組が実質的に同一断面形状で、膨出部84cと保持部86cの組が実質的に同一断面形状であれば、異なる組では断面形状が異なっていてもよい。
【0078】
本発明のシール部材の製造方法も種々の変更が可能である。
【0079】
本体82と第1接合部材83、及び本体82と第2接合部材85の接着は、未加硫ゴム90とゴムのり91を用いる方法に限られず、未加硫ゴム90のみを用いて加硫してもよいし、ゴムのり91のみを用いて接着してもよい。また、線条部81は、本体82、第1接合部材83、及び第2接合部材85に分割して成形する構成に限られず、これらを1個の成形金型によって一体に成形してもよい。
【0080】
本発明のシール部材は、シートホルダ12、シート20、ワッシャ30、シールカバー40、留め金50、押金60、及びプレート65の全てを周方向に2分割した全分割型メカニカルシールに限られず、シート20、ワッシャ30、及びシールカバー40だけを2分割したメカニカルシールに用いてもよい。勿論、本発明のシール部材は、メカニカルシール以外の機器にも使用できる。
【符号の説明】
【0081】
1…ケーシング
1a…ボルト穴
2…回転軸
10…メカニカルシール
12…シートホルダ
13A,13B…保持部材
14…分割面
15…セットボルト
16…取付凹部
17…ピン
20…シート
21A,21B…回転部材
22…分割面
23…段部
30…ワッシャ
30a…凸部
31A,31B…固定部材
32…分割面
33…段部
35…シール面
40…シールカバー
41…貫通孔
42…封止液室
43A,43B…カバー部材
44…分割面
45…ボルト
50…留め金
51A,51B…連結部材
52…分割面
53…ボルト
54…ボルト
60…押金
61A,61B…押圧部材
62…分割面
63…ボルト
65…プレート
66A,66B…第1プレート部材
67…分割面
70…ドライブピン
73…コイルスプリング
80A~80C…シール部材
81…線条部
82…本体
82a…接合面
82b…接合面
83…第1接合部材
83a…第1端面
83b…接合面
83c…圧接部
83d…平坦部
83e…湾曲部
83f…角部
83g…曲部
84…連結部
84a…凸部
84b…収縮部
84c…膨出部
84d…係止溝
84e…傾斜部
85…第2接合部材
85a…第2端面
85b…接合面
85c…圧接部
86…連結穴
86a…凹部
86b…連通部
86c…保持部
86d…係止部
86e…スリット
87A,87B…接合部
90…未加硫ゴム
91…ゴムのり
100…金型
101…固定型
102…可動型
103…キャビティ
110…金型
111…固定型
112…可動型
113…キャビティ
114…配置部
115…スライドコア
116…挿入部
116a…第1円柱部
116b…第2円柱部
116c…球状部
116d…リブ
A…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19