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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】使用済研磨材分離システム
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20220524BHJP
   B01D 21/26 20060101ALI20220524BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B24C9/00 E
B01D21/26
B01D21/24 D
B01D21/24 B
B01D21/24 T
B01D21/24 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018236034
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020097081
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】賀田 昭
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴昭
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0047495(US,A1)
【文献】特開平04-122463(JP,A)
【文献】米国特許第05480559(US,A)
【文献】特開2013-035639(JP,A)
【文献】特開昭62-297067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 5/02
B24C 9/00
B24B 55/12
B24B 57/02
B23Q 11/00
B26F 3/00
B23P 17/00
B01D 21/24 - 21/26
B65G 15/30
B65G 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨材混入液体を高圧噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断機で使用した前記研磨材混入液体を研磨材と液体とに分離する使用済研磨材分離システムであって、
キャッチャタンクから前記研磨材混入液体を分離槽に移送するための研磨材移送管と、
前記研磨材移送管によって移送されて来た前記研磨材混入液体を前記分離槽に取り込む流入部と、
前記研磨材混入液体を前記研磨材と前記液体とに分離する液体分離部と、
前記研磨材混入液体のうちの前記研磨材のみを沈下させる研磨材排出部と、を有する旋回分離ユニットを備え
前記流入部は、前記分離槽の円筒部の上部外周部に、前記分離槽の内壁に沿って前記研磨材混入液体が流れ込んで旋回するように設けるために、前記研磨材移送管を複数に分岐させて、その分岐させたそれぞれの先端を、前記円筒部の上部外周部に適宜な間隔をあけて接線方向から接続していること、
を特徴とする使用済研磨材分離システム。
【請求項2】
前記研磨材排出部の下部と連結し、モータの駆動によって旋回するスクリューを内部に備えたケーシングと、
前記スクリューの施回によって取り込まれた研磨材を排出する研磨材吐出口と、
を有するスクリュー回収ユニットを備え、
前記液体分離部は、前記研磨材混入液体が分離槽内を旋回しながら下降する外側空間と、
前記研磨材混入液体の旋回をガイドする旋回ガイドで前記外側空間と仕切られ、前記液体を上方へ導く内側空間と、を有し、
前記分離槽には、前記内側空間から溢れた液体を排出する液体排出部が設けられ
前記分離槽と前記スクリュー回収ユニットとは、保持部本体によって、予め設定された所定の高さに保持されると共に、
前記分離槽は、前記保持部本体によって、前記液体排出部の位置が前記キャッチャタンクの水面よりも高い位置に配置されていること、
を特徴とする請求項に記載の使用済研磨材分離システム。
【請求項3】
前記液体排出部の下部には、前記研磨材混入液体が分離される位置に逆円錐部を備えていること、
を特徴とする請求項に記載の使用済研磨材分離システム。
【請求項4】
前記内側空間の幅は、前記外側空間の幅よりも大きく形成されていること、
を特徴とする請求項または請求項に記載の使用済研磨材分離システム。
【請求項5】
前記スクリュー回収ユニットは、床面を基準として、20~60度の角度に傾斜していること、
を特徴とする請求項に記載の使用済研磨材分離システム。
【請求項6】
前記研磨材排出部の下部と連結し、モータの駆動によって回転するコンベアを備えたケーシングと、
前記コンベアによって取り込まれた研磨材を排出する研磨材吐出口と、を有するコンベア回収ユニットを備えていること、
を特徴とする請求項に記載の使用済研磨材分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨材混入液体を高圧噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断機で使用した研磨材混入液体を研磨材と液体とに分離する使用済研磨材分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体と、この液体中に含まれている粒子と、を分離する分離システムとしては、例えば、特許文献1に記載された沈砂分離装置が知られている。
特許文献1に記載の沈砂分離装置(10)は、被処理水を流入部(40)より流入して分離槽(20)内に旋回流を形成して、旋回流の遠心力で、沈降速度の大きい沈砂が、分離槽(20)の内壁に沿って沈降し、分離槽(20)の底部の沈砂排出部(30)から排出される。一方、処理水は、分離槽(20)の底面で反転して旋回流の中心付近を上昇する上昇流となって、分離槽(20)の上部の逆さ截頭錐体を介して、沈砂排出部(30)の内側の処理水排出部(50)の筒体の開口部から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6317249号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の沈砂分離装置(10)は、被処理水が排出される沈砂排出部(30)の内側に、被処理水を排出する処理水排出部(50)の筒体の開口部が配置されているので、分離した被処理水と沈砂とが同じ部位から排出される。このため、排出部位の構造が複雑化されて、メンテナンス作業が行い難くなるという問題点があった。
【0005】
また、沈砂排出部(30)が配置された部位を通過した被処理水と沈砂とは、再度分離した状態に流れるように配管する必要があるため、さらに、効率よく被処理水(液体)と、沈砂(固体)とに分離することが望まれていた。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、使用済の研磨材混入液体をさらに効率よく研磨材と液体とに分離することができる使用済研磨材分離システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、研磨材混入液体を高圧噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断機で使用した前記研磨材混入液体を研磨材と液体とに分離する使用済研磨材分離システムであって、キャッチャタンクから前記研磨材混入液体を分離槽に移送するための研磨材移送管と、前記研磨材移送管によって移送されて来た前記研磨材混入液体を前記分離槽に取り込む流入部と、前記研磨材混入液体を前記研磨材と前記液体とに分離する液体分離部と、前記研磨材混入液体のうちの前記研磨材のみを沈下させる研磨材排出部と、を有する旋回分離ユニットを備え、前記流入部は、前記分離槽の円筒部の上部外周部に、前記分離槽の内壁に沿って前記研磨材混入液体が流れ込んで旋回するように設けるために、前記研磨材移送管を複数に分岐させて、その分岐させたそれぞれの先端を、前記円筒部の上部外周部に適宜な間隔をあけて接線方向から接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用済の研磨材混入液体をさらに効率よく研磨材と液体とに分離することができる使用済研磨材分離システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る使用済研磨材分離システムの一例を示す説明図である。
図2】使用済研磨材分離システムの概略縦断面図である。
図3】使用済研磨材分離システムの概略平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る使用済研磨材分離システムの第1変形例を示す要部概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図3を参照して本発明の実施形態に係る使用済研磨材分離システム200を説明する。
なお、本発明の使用済研磨材分離システム200は、液体Qと、この液体Q中に含まれている粒子と、を分離する機能を有する装置であって、液体Qおよび粒子の材質は特に限定されない。
以下、その一例として、図1に示すように、研磨材混入液体AWJ(アブレシブウォータージェット)を高圧噴射して被加工物Wを切断するウォータージェット切断機1で使用した研磨材混入液体AWJを研磨材Gと、液体Qと、に分離する場合を例に挙げて説明する。まず、使用済研磨材分離システム200を説明する前に、液中アブレシブ切断システム100に使用される被加工物Wと、液中アブレシブ切断システム100と、について説明する。
【0011】
<被加工物>
図1に示すように、被加工物Wは、例えば、適宜な材質で、適宜な形状の材料から成る。つまり、被加工物Wは、材質および形状は特に限定されない。液中アブレシブ切断システム100に使用される被加工物Wは、例えば、ステンレス、アルミ、チタン、ガラス、石材、合成樹脂、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などに切断加工を施す場合に最適である。以下、被加工物Wは、全体が細長い略平板状に形成された厚板材を例に挙げて説明する。
被加工物Wは、浸漬液10の液中に配置された被加工物受部21上に載置されて、噴射ノズル1aから噴射される高圧の研磨材混入液体AWJによって切断加工される。
【0012】
<液中アブレシブ切断システム>
液中アブレシブ切断システム100は、200~600MPaの高圧で供給された加工用の液体Qに研磨材G(アブレシブ)を混入し、超高圧の研磨材混入液体AWJを音速以上の高速で噴射して、被加工物Wを切断加工する加工装置である。このため、液中アブレシブ切断システム100は、ガラス、金属などの硬い材質であっても、合成樹脂などの比較的柔らかい材質であっても、また、硬い材料と柔らかい材料などの多種類の材料からなる複合材料であっても、高品質な形状に切断加工することができる。
【0013】
液中アブレシブ切断システム100は、噴射ノズル1aを有するウォータージェット切断機1と、キャッチャタンク2と、キャッチャタンク2に配置された被加工物受部21と、水位調整用のオーバーフロー部22などを備えて構成されている。液中アブレシブ切断システム100には、浸漬液10および研磨材Gを回収して分離する使用済研磨材分離システム200が設けられている。
【0014】
<研磨材>
図1に示すように、研磨材Gは、液中アブレシブ切断システム100で被加工物Wを加工する際に、加工用の液体Q中に混入される砥粒である。液中アブレシブ切断システム100において、研磨材Gは、被加工物Wの種類、用途、加工条件などに応じて適宜な研磨材が利用される。例えば、研磨材Gは、被加工物Wの種類などに応じて、ガーネット、サファイア、超硬合金などの一般的な研磨材を適宜使用することができる。
【0015】
<ウォータージェット切断機>
図1に示すように、ウォータージェット切断機1は、噴射ノズル1aと、噴射ノズル1aに研磨材Gを供給するアブレシブ供給装置(図示省略)と、噴射ノズル1aに加工用の液体Qを供給する高圧水供給装置(図示省略)と、を備えて構成されている。
【0016】
噴射ノズル1aは、研磨材Gを混入させた研磨材混入液体AWJを被加工物Wに対して噴射するアブレシブウォータージェットノズルから成る。噴射ノズル1aは、例えば、噴射ノズル1a内に形成された混合室と、加工用の液体Qを噴出するウォーターノズル部と、ウォーターノズル部から噴出された加工用の液体Qに研磨材Gを混入させたウォータージェットを生成して被加工物Wを加工する研磨材混入液体AWJを噴射するアブレシブノズル部と、を備えている。噴射ノズル1aは、加工する被加工物Wの形状に合わせて移動させるなどして被加工物Wを切断加工する。
【0017】
<キャッチャタンク>
図1に示すように、キャッチャタンク2は、噴射ノズル1aから噴射された研磨材混入液体AWJと、浸漬液10と、を貯留する水槽である。キャッチャタンク2内では、被加工物Wを浸漬液10の液中に浸漬させた状態で切断加工が行われる。キャッチャタンク2には、被加工物受部21と、オーバーフロー部22と、研磨材吸込口2aと、研磨材移送装置3の研磨材移送管31などが設けられている。
【0018】
被加工物受部21は、加工する被加工物Wを載置するための部材である。被加工物受部21は、被加工物Wを下側から支持する横長の多数の薄板21aと、薄板21aを垂直な状態に支持する下板21bと、下板21bを保持する受部支持体21cと、を備えている。
【0019】
研磨材吸込口2aは、キャッチャタンク2内の浸漬液10および研磨材Gを移送用のポンプP1で吸引して旋回分離ユニット4の流入部44に移送させるためのキャッチャタンク排出口である。研磨材吸込口2aは、例えば、キャッチャタンク2内の側壁の底部寄りの位置(下層部位)に形成されている。
【0020】
なお、研磨材吸込口2aは、キャッチャタンク2内の浸漬液10および研磨材Gを吸い込むことが可能であればよく、設置位置は特に限定されない。例えば、研磨材吸込口2aは、キャッチャタンク2の上側に設けて、キャッチャタンク2の上側から浸漬液10および研磨材Gを吸い込むようにしてもよい。
【0021】
図1に示すように、オーバーフロー部22は、キャッチャタンク2内の浸漬液10の上澄み液、浮遊する研磨材Gおよび切粉などをキャッチャタンク2外に排出する装置である。オーバーフロー部22は、キャッチャタンク2の上層の側壁に設けられている。
【0022】
このほか、キャッチャタンク2には、キャッチャタンク2の液中に導入された研磨材混入液体AWJ(浸漬液10)の流れを整流させて、液中に沈下する研磨材Gを研磨材吸込口2a方向に誘導させる撹拌装置や、キャッチャタンク2内の浸漬液10の液位を調整する水位調整タンクや、キャッチャタンク2内の浸漬液10の液位を可変させて調整する液位調整装置などを設けてもよい。
【0023】
<研磨材移送装置>
研磨材移送装置3は、キャッチャタンク2内の浸漬液10と、浸漬液10中の研磨材Gと、を吸引して旋回分離ユニット4の分離槽41に送り込むための移送装置である。研磨材移送装置3は、キャッチャタンク2と分離槽41とに連結された研磨材移送管31と、研磨材移送管31に設けられてキャッチャタンク2内の研磨材Gおよび液体Q(浸漬液10)を吸引して分離槽41に移送するためのポンプP1と、を備えて構成されている。
【0024】
<使用済研磨材分離システム>
図1に示すように、使用済研磨材分離システム200は、液中アブレシブ切断システム100で使用された液体Q(浸漬液10)および研磨材Gを回収し、遠心力で比重の相違によってそれぞれに分離させる装置である。使用済研磨材分離システム200は、例えば、旋回分離ユニット4と、スクリュー回収ユニット5と、研磨材回収容器7と、を備えて構成されている。
【0025】
<旋回分離ユニット>
図1に示すように、旋回分離ユニット4は、液体Q(浸漬液10)および研磨材Gを回収して分離する研磨材分離回収装置である。図2に示すように、旋回分離ユニット4は、分離槽41と、液体分離部42と、研磨材排出部43と、流入部44と、旋回ガイド45と、液体上昇指向部46と、保持部本体47と、を備えて構成されている。
【0026】
<流入部>
流入部44は、キャッチャタンク2から研磨材混入液体AWJを分離槽41に取り込む取り込み口である。流入部44は、分離槽41の外周部の上部に、分離槽41の内壁に沿って液体Q(浸漬液10)および研磨材Gが流れ込んで旋回するように設けられている。
【0027】
<分離槽>
図2に示すように、分離槽41は、使用済の研磨材混入液体AWJを固体である研磨材Gと、液体Q(浸漬液10)と、に分離する分離工程が行われる槽である。分離槽41は、円筒部41aと、蓋部41bと、テーパ部41dと、研磨材排出部43と、流入部44と、を備えて構成されている。分離槽41は、略漏斗状に形成されて、使用済の研磨材混入液体AWJ(浸漬液10)中の研磨材Gを下降させて研磨材排出部43から排出し、液体Q(浸漬液10)を上昇させて液体排出部40から排出することで、固体(研磨材G)と、液体Qとに分離する機能を備えている。
【0028】
円筒部41aは、分離槽41の上部に形成された円筒形状の部位である。円筒部41aの上部外周部には、流入部44が接合されている。円筒部41aの外周部は、連結部材(図示省略)によって保持部本体47の上部に連結されて、保持部本体47によって保持されている。
【0029】
蓋部41bは、円筒部41aの上側開口部41cおよび旋回ガイド45の上側開口部の一部を閉塞する蓋部材である。
テーパ部41dは、円筒部41aの内壁を旋回しながら下降して来た液体Qおよび研磨材Gを、研磨材排出部43に向けて流れるようにガイドするガイド部である。テーパ部41dは、上側に設置された円筒部41aの下端から下側に設置された研磨材排出部43の上端に亘って縮径するように形成されている。テーパ部41dの下側開口部41eには、筒状の研磨材排出部43が連設されている。
【0030】
<液体分離部>
図2に示すように、液体分離部42は、使用済の研磨材混入液体AWJを研磨材Gと、液体Qと、に分離する固液分離部分である。液体分離部42は、流入部44から分離槽41内に入った使用済の研磨材混入液体AWJが分離槽41内を旋回しながら下降する外側空間42aと、液体Qの旋回をガイドする旋回ガイド45で外側空間42aとに仕切られ、研磨材混入液体AWJを上方へ導く内側空間42bと、を有している。
【0031】
外側空間42aは、分離槽41の外壁と旋回ガイド45との間に形成された空間である。流入部44から分離槽41内に入った使用済の研磨材混入液体AWJは、外側空間42a内を旋回しながら研磨材Gと、液体Qと、に分離して下降する。つまり、比重の重い研磨材Gは、外側空間42a内の分離槽41の内壁側を旋回しながら下降する。比重の軽い液体Qは、外側空間42a内の旋回ガイド45の内壁側寄り部位を旋回しながら下降する。
【0032】
内側空間42bは、旋回ガイド45内に形成された空間である。
研磨材Gから分離して外側空間42a内を下降した液体Qは、逆円錐部46aに沿って、内側空間42b内に流れ込む。内側空間42b内に入った液体Qは、内側空間42b内を旋回することによって、遠心力で内側空間42bの内壁に沿って上昇して、液体排出部40内に流れ込む。内側空間42bの幅L1は、外側空間42aの幅L2よりも大きく形成されている。
【0033】
<研磨材排出部>
図2に示すように、研磨材排出部43は、分離槽41によって沈下された研磨材Gを排出する部位である。研磨材排出部43は、上端部がテーパ部41dの下側開口部41eに接合され、下端部がスクリュー回収ユニット5のケーシング50の研磨材導入口51(研磨材回収部)に接合されている。
【0034】
<旋回ガイド>
旋回ガイド45は、液体上昇指向部46の逆円錐部46aに沿って内側空間42b内に入り込んだ液体Qを、液体排出部40の液体排出部流入口40aに向けて流れるようにガイドする部材である。旋回ガイド45は、分離槽41の円筒部41a内に外側空間42aを介して配置された円筒状の部材から成る。旋回ガイド45内には、液体上昇指向部46の逆円錐部吊支部46bおよび逆円錐部46aが配置されている。旋回ガイド45は、下側に導入口45aが形成され、上側に液体排出部連通口45bと前記した蓋部41bとが設けられている。旋回ガイド45および逆円錐部46aは、分離槽41と同じ同軸上に立設されている。旋回ガイド45の内径(内側空間42bの幅L1)は、逆円錐部46aの外径L3と同じか、あるいは、逆円錐部46aの外径L3よりもやや小さく形成されている。分離槽41の旋回ガイド45上には、内側空間42bから溢れた液体Qを排出する液体排出部40が設けられている。
【0035】
液体排出部連通口45bは、旋回ガイド45内の内側空間42bと、液体排出部流入口40aと、に連通する開口であって、内側空間42b内の液体Qを液体排出部流入口40a内に流すための開口である。液体排出部連通口45bは、内側空間42b上の液体排出部流入口40aの下側に形成されている。
【0036】
<液体上昇指向部>
液体上昇指向部46は、外側空間42aを旋回しながら下降することによって研磨材Gから分離した研磨材混入液体AWJ中の液体Qを、逆円錐部46aに沿って、内側空間42b内を上昇して液体排出部流入口40aに向けて流れるように指向させる部材である。図2または図3に示すように、液体上昇指向部46は、逆円錐部46aと、逆円錐部吊支部46bと、を備えて成る。
【0037】
逆円錐部46aは、外側空間42a内の旋回ガイド45の外周面寄りの部位を旋回しながら下降して来た液体Qを、内側空間42b内に流入させて上昇するように指向させる部位である。逆円錐部46aは、逆円錐部吊支部46bの下端から拡径するようにテーパ状に形成されている。逆円錐部46aの下側外周部は、分離槽41のテーパ部41dの上端部内側に配置されている。なお、液体Qは、逆円錐部46aがなくても内側空間42b内に流入して上昇する。
逆円錐部吊支部46bは、逆円錐部46aを液体排出部流入口40aの下方に吊支させるための複数(例えば、3本)の吊支部材から成る。
【0038】
<液体排出部>
液体排出部40は、内側空間42bの上部に上昇した液体Qを、分離槽41内から排出するための液体排出管である。液体排出部40は、液体排出部流入口40aと、流体排出流路40bと、流体排出口40cと、を有する管状の部材から成る。
【0039】
液体排出部流入口40aは、内側空間42b内の液体Qを、内側空間42b外に排出する流体排出流路40b内に導入させるための開口部である。液体排出部流入口40aは、旋回ガイド45内および逆円錐部吊支部46bの上端に設置されている。液体排出部流入口40aの下部の逆円錐部吊支部46bの下側には、研磨材混入液体AWJが分離される位置に逆円錐部46aが設けられている。
流体排出流路40bは、液体排出部流入口40a内に入り込んだ液体Qを排出するための配管である。
流体排出口40cは、その液体Qを排出する液体吐出口である。
【0040】
図2に示すように、保持部本体47は、旋回分離ユニット4の分離槽41およびスクリュー回収ユニット5を所定の高さに保持する部材である。保持部本体47と、分離槽41とは、連結部材(図示省略)によって連結されている。
【0041】
<スクリュー回収ユニット>
図2に示すように、スクリュー回収ユニット5は、分離槽41内の研磨材排出部43に沈下した研磨材Gを回収して研磨材回収容器7に送るための搬送装置である。スクリュー回収ユニット5は、ケーシング50と、研磨材導入口51(研磨材回収部)と、スクリュー52と、モータ53と、研磨材吐出口54と、を備えて構成されている。スクリュー回収ユニット5は、床面Fを基準として、20~60度の角度θに傾斜して配置されている。
【0042】
ケーシング50は、スクリュー52を回転自在に覆うように形成された略配管形状の筐体である。ケーシング50には、分離槽41内の研磨材Gが導入される研磨材導入口51(研磨材回収部)と、研磨材導入口51から導入された研磨材Gを研磨材吐出口54に送るスクリュー設置空間と、研磨材Gをケーシング50外に送り出す研磨材吐出口54と、が設けられている。
研磨材導入口51は、研磨材排出部43の下側開口部に連結されている。
【0043】
スクリュー52は、モータ53の駆動によって旋回して、ケーシング50内の研磨材Gを研磨材導入口51から研磨材吐出口54に搬送するための部材である。スクリュー52は、ケーシング50の軸線上に回転自在に延設された回転軸52aと、回転軸52aの外周面に螺旋状に設けられたスクリュー羽根部52bと、を一体形成して成る。
回転軸52aは、下端部がケーシング50の下端に回転自在に軸支され、上端部がモータ53に連結されている。
スクリュー羽根部52bは、回転軸52aの外周部に螺旋状に設けられた板状部材である。スクリュー羽根部52bは、ケーシング50に回転自在に内設された略雄ねじ形状の部材である。
【0044】
モータ53は、スクリュー52を回転駆動するためのスクリュー駆動装置であり、例えば、電動モータから成る。なお、モータ53は、スクリュー52を減速回転させることが可能な駆動装置であればよく、電動モータ以外の発動機であってもよい。
【0045】
研磨材吐出口54は、スクリュー52の施回によってケーシング50の一端の研磨材導入口51内に取り込んだ研磨材Gをケーシング50の他端側から外部に排出する排出口である。研磨材吐出口54は、研磨材回収容器7の開口部の上方に配置されている。
【0046】
<研磨材回収容器>
研磨材回収容器7は、スクリュー回収ユニット5によって搬送した研磨材Gを貯留する容器である。
【0047】
≪作用≫
次に、図1図2を参照しながら本発明の実施形態に係る使用済研磨材分離システム200の作用を説明する。
【0048】
図1に示すように、被加工物Wの切断加工をする場合は、高圧水供給装置(図示省略)を駆動させて、噴射ノズル1aに高圧の加工用流体を供給するとともに、研磨材供給装置(図示省略)を駆動させて研磨材Gを噴射ノズル1aに供給する。そして、噴射ノズル1aから噴射される研磨材混入液体AWJによって、浸漬液10中の被加工物Wの切断加工を行う。加工の際には、被加工物Wの材質に合った加工条件(送り速度など)に調整して加工を行う。
【0049】
本発明に係る使用済研磨材分離システム200は、図1に示すように、研磨材混入液体AWJを高圧噴射して被加工物Wを切断するウォータージェット切断機1で使用した前記研磨材混入液体AWJを研磨材Gと液体Qとに分離する使用済研磨材分離システム200であって、キャッチャタンク2から研磨材混入液体AWJを分離槽41に取り込む流入部44と、研磨材混入液体AWJを研磨材Gと液体Qとに分離する液体分離部42と、研磨材混入液体AWJのうちの研磨材Gのみを沈下させる研磨材排出部43と、を有する旋回分離ユニット4を備えていることを特徴とする。
【0050】
このように、本発明の使用済研磨材分離システム200は、研磨材混入液体AWJを研磨材Gと液体Qとに分離する液体分離部42を備えていることで、使用済の研磨材混入液体AWJを研磨材Gと、液体Qとを効率よく分離させることができる。また、使用済研磨材分離システム200は、研磨材Gを沈下させる研磨材排出部43を有していることで、使用済の研磨材混入液体AWJ中の研磨材Gを研磨材排出部43がある方向に誘導して、効率よく研磨材Gを排出させることができる。
【0051】
また、液体分離部42は、研磨材混入液体AWJが分離槽41内を旋回しながら下降する外側空間42aと、研磨材混入液体AWJの旋回をガイドする旋回ガイド45で外側空間42aと仕切られ、液体Qを上方へ導く内側空間42bと、を有し、分離槽41には、内側空間42bから溢れた液体Qを排出する液体排出部40が設けられていることが好ましい。
このように、液体分離部42は、外側空間42aを備えていることで、研磨材混入液体AWJ中の研磨材Gが液体Qよりも比重が重いため、外側空間42aの外側を下降し、液体Qが外側空間42a内側を下降するように規制することができる。また、液体分離部42は、内側空間42bを備えていることで、研磨材混入液体AWJ中の研磨材Gよりも比重の軽い液体Qを上方に流動させて、液体排出部40から液体Qのみを排出させることができる。
【0052】
また、液体排出部40の下部には、研磨材混入液体AWJが分離される位置に逆円錐部46aを備えていることが好ましい。
このように、分離槽41は、研磨材混入液体AWJが分離される位置に逆円錐部46aを備えていることで、液体Qを逆円錐部46aに沿って上昇させて、上部の液体排出部40に向かって流れるように規制することができる。
【0053】
また、内側空間42bの幅L1は、外側空間42aの幅L2よりも大きく形成されていることが好ましい。
このように内側空間42bは、幅L1が外側空間42aの幅L2よりも大きく形成されていることで、内側空間42b内を下降する研磨材Gの流れる方向を指向させることができるとともに、外側空間42a内を流れる液体Qをスムーズに上昇させることができる。
【0054】
また、使用済研磨材分離システム200は、研磨材排出部43の下部と連結し、モータ53の駆動によって旋回するスクリュー52を内部に備えたケーシング50と、スクリュー52の施回によって取り込まれた研磨材Gを排出する研磨材吐出口54と、を有するスクリュー回収ユニット5を備えていることが好ましい。
このように、使用済研磨材分離システム200は、スクリュー回収ユニット5を備えていることで、研磨材排出部43から排出された研磨材Gを適宜な場所に搬送して再利用可能にしたり、廃棄したりすることを可能にする。
【0055】
また、スクリュー回収ユニット5は、床面Fを基準として、20~60度の角度に傾斜していることが好ましい。
このように、スクリュー回収ユニット5は、20~60度の角度に傾斜していることで、分離槽41の下側部位に配置された研磨材排出部43から排出された研磨材Gを、研磨材排出部43よりも高い位置に効率よく搬送させることができる。
【0056】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にもおよぶことは勿論である。なお、以下の変形例において、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図4は、本発明の実施形態に係る使用済研磨材分離システムの第1変形例を示す要部概略縦断面図である。
【0057】
前記実施形態では、分離槽41から排出された研磨材Gを搬送する搬送手段の一例として、図3に示すように、スクリュー回収ユニット5を説明したが、搬送手段はこれに限定されるものではない。
【0058】
例えば、研磨材Gを搬送する搬送手段は、図4に示すように、研磨材排出部43の下部と連結し、モータ53Aの駆動によって回転するコンベア52Aを備えたケーシング50Aと、コンベア52Aによって取り込まれた研磨材Gを排出する研磨材吐出口54Aと、を有するコンベア回収ユニット5Aであってもよい。
【0059】
この場合、ケーシング50Aには、基端部に、研磨材Gをコンベア52A上に導入する研磨材導入口51A(研磨材回収部)を有し、他端側に、研磨材Gを研磨材回収容器7に排出する研磨材吐出口54Aとモータ53Aとを有している。また、コンベア52Aの基端側または他端側には、回転軸52Aaを回転駆動させるモータ53Aが設けられている。
研磨材Gを搬送する搬送手段は、このように構成しても、前記実施形態と同様に、研磨材Gを効率よく搬送させることができる。
【0060】
[第2変形例]
前記実施形態の研磨材移送装置3において、研磨材移送管31およびポンプP1は、キャッチャタンク2内の研磨材Gおよび液体Q(浸漬液10)を吸引して送ることが可能なものであればよく、適宜変更しても構わない。例えば、ポンプP1は、液体移送用のエジェクタであってもよい。
【0061】
エジェクタを使用する場合は、旋回分離ユニット4の液体分離部42で分離された液体Q(浸漬液10)を流体排出流路40bを介して回収して貯留するバッファタンクを設ける。そのバッファタンク内には、バッファタンク内の液体Q(浸漬液10)を、ポンプP1に代えて研磨材移送管31に設けたエジェクタに送り出すための水中ポンプを設ける。
【0062】
このようにして、旋回分離ユニット4の液体分離部42から排出された液体Q(浸漬液10)を、バッファタンクに設けた水中ポンプでエジェクタに送ることによって、エジェクタの吸引力によりキャッチャタンク2内の研磨材Gおよび液体Q(浸漬液10)を旋回分離ユニット4に送ることができる。
【0063】
[その他の変形例]
また、前記実施形態では、流入部44の一例として、分離槽41の外周部の上部の一箇所に設けた場合を例に挙げて説明したが、流入部44は複数設けてもよい。
例えば、流入部44は、研磨材移送管31を複数に分岐させて、その分岐させたそれぞれの先端を、分離槽41の外周部の上部に適宜な間隔で配置してもよい。
このようにすることで、流入部44から分離槽41の内壁に沿って旋回するように放出された適宜な流量の研磨材混入液体AWJを、バランスのよい適宜な流速で分離槽41内を旋回するようにさせることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ウォータージェット切断機
2 キャッチャタンク
4 旋回分離ユニット
5 スクリュー回収ユニット
5A コンベア回収ユニット
40 液体排出部
41 分離槽
42 液体分離部
42a 外側空間
42b 内側空間
43 研磨材排出部
44 流入部
45 旋回ガイド
46a 逆円錐部
50,50A ケーシング
51,51A 研磨材導入口(研磨材回収部)
52 スクリュー
52A コンベア
53,53A モータ
54,54A 研磨材吐出口
100 液中アブレシブ切断システム
200 使用済研磨材分離システム
AWJ 研磨材混入液体
F 床
G 研磨材(アブレシブ)
L1 内側空間の幅
L2 外側空間の幅
Q 液体
W 被加工物
θ スクリュー回収ユニットの設置角度
図1
図2
図3
図4