IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

特許7078539ハンドヘルド分析装置の品質評価のための方法およびシステム
<>
  • 特許-ハンドヘルド分析装置の品質評価のための方法およびシステム 図1
  • 特許-ハンドヘルド分析装置の品質評価のための方法およびシステム 図2
  • 特許-ハンドヘルド分析装置の品質評価のための方法およびシステム 図3
  • 特許-ハンドヘルド分析装置の品質評価のための方法およびシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】ハンドヘルド分析装置の品質評価のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220524BHJP
   B25J 13/00 20060101ALN20220524BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
B25J13/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018544921
(86)(22)【出願日】2017-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2017054427
(87)【国際公開番号】W WO2017144713
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-25
(31)【優先権主張番号】16157282.1
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】15/053,074
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフガング シュエーベル
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-147704(JP,A)
【文献】特開2012-117880(JP,A)
【文献】特表2013-543984(JP,A)
【文献】特開2002-202258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルド分析装置(28)の品質評価のための方法であって、前記ハンドヘルド分析装置(28)は、血糖測定器であり、前記ハンドヘルド分析装置(28)は、ヒトユーザによって、テストエレメント(36)に適用される試料液体中の分析対象物(analyte)を試験するための一連のハンドリング工程において操作可能なものであって、前記方法は、以下の工程:
(a)ヒトユーザによって実施される前記一連のハンドリング工程を模倣するために、少なくとも1つのロボットアーム(20)を有するロボット(12)のためのハンドリングサイクルをプログラミングすることと;
(b)前記ロボット(12)を用いて、少なくとも1つのハンドリングサイクルにおいて前記ハンドヘルド分析装置(28)を操作することであって、ここで前記ハンドリングサイクルが、少なくとも以下:
-前記ロボットアーム(20)の人工指(30)を使用して、試料液体、特に全血または人工血液を、テストエレメント(36)に適用すること、
-前記ロボットアーム(20)の受容端(26)で前記ハンドヘルド分析装置(28)をつかむこと、
-前記ロボットアーム(20)によって前記ハンドヘルド分析装置(28)を連続的に運ぶこと、または前記ロボットアーム(20)の到達範囲内で間欠的に前記ハンドヘルド分析装置(28)を配置すること
の一つを含む;
(c)制御ユニット(14)によって工程(b)の操作を監視し、そして、前記ハンドヘルド分析装置(28)の品質に影響を与える少なくとも1つのパラメータを評価することであって、前記品質がグルコース読み取り(glucose reading)の品質であること
を含む、方法。
【請求項2】
前記装置(28)の操作を監視することが、前記装置(28)で試験結果を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置(28)の品質に影響を与えるパラメータを評価することが、前記装置(28)の測定精度を決定すること、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記装置(28)の品質への影響を識別するために、前記ロボット(12)の操作状態を変更することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1または複数のハンドリングサイクルを適合させて、または変更して、ユーザのハンドリングにおける差異をシミュレートし、それに起因する影響パラメータを評価すること、をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1または複数のハンドリングサイクルを適合させて、または変更して、逸脱したユーザのハンドリング、特にユーザの障害または病気に起因する逸脱、またはそれに由来する逸脱を報告することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロボットの移動の自由度、例えば、空間方向における、前記ロボットの変動(oscillation)または偏向(deflection)の振幅、速度および周波数のいくつかの、1または複数のハンドリングサイクルを適合させる、または変更することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記人工指(30)は、ヒトの指と類似の特性、特に所定の弾力性、周面摩擦、表面汚染および色の少なくとも1つの特性を備えている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ハンドリングサイクルが、前記人工指(30)内に配置された液体供給手段またはピペット(32)によって、前記人工指(30)に試料液体を装填することを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドリングサイクルは、前記人工指(30)を、テストエレメント(36)に対して所定の方向および/または力で移動させることを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ロボット(12)は、1つまたは2つのロボットアーム(20)を備え、前記ハンドリングサイクルは、前記装置(28)の右手、左手、片手および両手の使用のうちの少なくとも1つのシミュレーションを提供する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プログラムされたモジュールを表すディスプレイ(44)に図形記号(42)を再配置することによって、前記ロボット(12)の移動経路が変更される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(a)が、
ヒトユーザによって実施される前記一連のハンドリング工程を模倣するために、ロボット(12)の基本操作を規定する予めプログラムされたモジュールのチェーンとしての前記ハンドリングサイクルの簡略化されたプログラミングのためのグラフィカルユーザインタフェース(40)を使用して、少なくとも1つのロボットアーム(20)を有するロボット(12)のためのハンドリングサイクルをプログラミングすること
である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ハンドヘルド分析装置(28)を評価するのに適合した品質評価システムであって、前記ハンドヘルド分析装置(28)は血糖測定器であり、テストエレメント(36)に適用された試料液体中の分析対象物を試験するための一連のハンドリング工程において、ヒトユーザによって操作可能であり、前記品質評価システムは、
少なくとも一つのロボットアーム(20)を備え、かつ、自動化されたハンドリングサイクルにおいてヒトユーザによって実施される一連のハンドリング工程を模倣するようにプログラムされたロボット(12)と、
1または複数のハンドリングサイクルにおいて前記ハンドヘルド分析装置(28)の操作を監視することに適合し、かつ、前記ハンドヘルド分析装置(28)の品質に影響を及ぼす少なくとも1つのパラメータを評価することに適合した制御ユニット(14)と
をさらに備え、前記品質は、グルコース読み取り(glucose reading)の品質であり、
ここで前記自動化されたハンドリングサイクルが、少なくとも以下:
-前記ロボットアーム(20)の人工指(30)を使用して、試料液体、特に全血または人工血液を、テストエレメント(36)に適用すること、
-前記ロボットアーム(20)の受容端(26)で前記ハンドヘルド分析装置(28)をつかむこと、
-前記ロボットアーム(20)によって前記ハンドヘルド分析装置(28)を連続的に運ぶこと、または前記ロボットアーム(20)の到達範囲内で間欠的に前記ハンドヘルド分析装置(28)を配置すること、
の一つを含む、品質評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概要
本発明は、ハンドヘルド分析装置、特に血糖測定器の品質評価方法に関するものであって、ここで前記装置は、テストエレメントに適用された試料液体中の分析対象物を試験するための一連のハンドリング工程においてヒトユーザによって操作可能なものである。本発明はさらに、そのようなハンドヘルドまたは手動の分析装置の品質評価のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド血糖測定器の典型的な操作は、身体部分を穿刺することによって血液サンプルを生成し、使い捨てテストエレメントに血液サンプルを適用し、ハンドヘルド測定器内のテストエレメントを測定して、その場での測定結果を得ることのような、一連のハンドリング工程を含み得る。このような分析装置は、通常、様々な健康の状態および状況の患者によって操作される。その場合、多くの個体差異が診断テストの再現性に影響を与える可能性があるという固有の問題が存在し、それがデバイスの品質に及ぼす可能性のある影響パラメータを調査し特定することを困難にしている。例えば、ハンドヘルドの血中グルコースモニタリング装置が使用される場合、サンプルを適用するタイミング、力の発揮、皮膚上の不純物などの「ヒト因子(human factors)」から変動が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに基づいて、本発明の目的は、品質評価のための既知の方法およびシステムをさらに改善し、効率的な方法で「ヒト因子」研究における再現性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
独立請求項に記載された特徴の組み合わせは、この目的を達成するために提案される。本発明の有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項から導かれる。
【0005】
本発明は、適切にプログラムされたロボットを使用するという考えに基づいている。従って、本発明によれば、ハンドヘルド分析装置、特に血糖測定器の品質評価のための方法は、
(a)ヒトのユーザの一連のハンドリング工程を模倣するために、少なくとも1つのロボットアームを有するロボットのためのハンドリングサイクルをプログラミングすることと、
(b)前記ロボットを用いて、少なくとも1つの操作サイクルにおいて装置を操作することと、
(c)制御ユニットによって工程(b)の操作を監視し、前記装置の品質に影響を与える少なくとも1つのパラメータを評価することと、含む。
これにより、異なるテストシナリオを定義された方法で調査し、最終的な測定結果に起こりうる欠陥のあるヒューマンインタラクションの影響を特定することが可能になる。特に、ユーザの行動を忠実に模倣または模倣するための、特定のコマンド、操作および/または工程を用いてロボットの自動化ハンドリングサイクルを提供することによって、標準化され再現性の高いヒト因子研究が可能になる。
【0006】
有利には、装置の操作を監視することは、装置を用いて試験結果を取得することを含む。従って、現実的かつ効率的な方法で検査結果を得ることができる。
【0007】
これに関連する別の改善としては、装置の品質に影響を及ぼすパラメータの評価することが、装置の測定精度を決定することを含むことを提供する。
【0008】
また、装置の品質への影響を識別するために、ロボットの操作条件を複数のハンドリングサイクルにおいて変更することが好ましい。
【0009】
さらに好ましい実施形態は、1または複数のハンドリングサイクルを適合させて、または変更して、ユーザのハンドリングの差異をシミュレートし、それから生じる影響パラメータを評価することを含む。
【0010】
特に、ユーザの障害または病気に起因するか、またはそれに由来する任意の形態の逸脱したユーザのハンドリングを報告する(account for)ために、1または複数のハンドリングサイクルを適合するか、または変更することが有利である。具体的には、知覚および認知能力の障害、または振戦(tremor)、震え(trembling)または揺れ(shaking)(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病に関連する疾患)などの病気が報告され得る。
【0011】
これに関連して、ロボットの移動の自由度、例えば、空間方向における、ロボット(アームおよび/または人工指)の変動(oscillation)または偏向(deflection)の振幅、速度および周波数のいくつかにおいて、ハンドリングサイクルを適合させることによって、ユーザの障害または病気を再現することも有利である。
【0012】
特に好ましい実施形態によれば、ロボットアーム上の人工指は、試料液体、特に全血または人工血液をテストエレメントに適用するために使用される。このような人工指の使用は、現実に非常に近い血糖測定器のようなハンドヘルド分析装置のユーザハンドリングの様々な要因(factor)を模倣することを可能にする。
【0013】
好ましくは、ハンドリングサイクルは、テストエレメントに対して所定の方向及び/又は力で人工指を移動させることを含む。このような移動は、高精度で、かつ、最大限の繰り返し精度でロボットによって実行され得る。
【0014】
血液のサンプリングをシミュレートするために、ハンドリングサイクルは、好ましくは、人工指内に配置された液体供給手段によって、またはピペットによって試料液体を人工指に装填することを含む。
【0015】
検査手順をさらに改善するためには、人工指は、ヒトの指と類似の特性、特に所定の弾力性、周面摩擦、表面汚染および色の少なくとも1つの特性を備えていると有利である。
【0016】
ハンドヘルド装置のヒト操作を模倣するために、ハンドリングサイクルは、好ましくは、ロボットアームの自由受容端で装置をつかむことを含む。
【0017】
この方向の別の改良は、ロボットが1つまたは2つのロボットアームを備え、ハンドリングサイクルが、装置の右手、左手、片手および両手の使用のうちの少なくとも1つのシミュレーションを提供する場合、達成される。
【0018】
複雑で高精度のハンドリング操作を可能にするために、ロボットアームの長さに沿って分布された関節接合部(articulated joints)に設けられた少なくとも5つの異なる軸の周りで回転可能な各ロボットアームを作製することが好ましい。
【0019】
特定の実施形態によれば、ハンドリングサイクルは、ロボットアームによって装置を連続的に運ぶこと、または装置をロボットアームの到達範囲内に間欠的に配置することを含む。
【0020】
さらに好ましい実施によれば、グラフィカルユーザインターフェースは、ロボットの基本操作を規定する予めプログラムされたモジュールのチェーン(chain)としてのハンドリングサイクルの簡略化されたプログラミングのために使用される。これにより、予めプログラムされたモジュールを表す図形記号を組み合わせることにより、ロボット工学の分野に深く知識を持たない人材に対しても、ロボットで案内される検査手順を確立することが可能になる。
【0021】
この方向のさらなる改良は、予めプログラムされたモジュールを表すディスプレイ上に図形記号を再配置することによってロボットの移動経路が変更されることを含む。
【0022】
さらなる改良点は、ロボットとは別個のコンピュータシステム上でモジュールのチェーンを操作することによってハンドリングサイクルをシミュレートすることを含む。
【0023】
本発明の別の態様は、ハンドヘルド分析装置、特に血糖測定器の品質評価のためのシステムであって、テストエレメント上に適用された試料液体中の分析対象物(analyte)を試験するための一連のハンドリング工程において、ヒトユーザによって操作可能なものであり、該システムは、自動化されたハンドリングサイクルにおいて一連のハンドリング工程を模倣するようにプログラムされたロボットと、装置の品質に影響を及ぼす少なくとも1つのパラメータを評価するための1または複数のハンドリングサイクルにおいて、装置の操作を監視することに適合した制御ユニットとをさらに含む、システムに関する。このようなシステムは、上記のような方法を実施し、ヒト因子研究において現実に近い患者の行動をシミュレートすることを可能にする。
【0024】
以下において、本発明は、図面に概略的に示される実施例に基づいてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、血糖測定器の品質評価用ロボットを含む自動検査室の正面図である。
図2図2は、人工指に血液をピペットで移すときのロボットの斜視図である。
図3図3は、人工指を血糖測定器に向けて動かしたときのロボットの上面図である。
図4図4は、ロボットのためのハンドリングサイクルをプログラミングするためのグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ロボット12と、制御ユニット14と、診断装置、補助装置及び試料などの試験装置16とを含むロボットセル10を示す。ロボット12は、ロボット基部18と、基部から反対方向に延びる2つのロボットアーム20とを備える。各ロボットアーム20はいくつかのリンク22で構成されており、これらのリンク22は、それぞれの軸24の周りを回転するための関節接合部によって接続されている。遠位リンクは、ハンドヘルド血糖測定器28および人工指30を操作するグラバー26と、ピペット32などの他の装置とを含む。
【0027】
ロボット12は、基部18の旋回軸24’を含む少なくとも15の回転軸を有する。規定された回転運動によって、ロボットアーム20は、ロボットセル10内の所望の軌道に従う。ロボットアーム20は、所定のハンドリングサイクルを実行するための制御ユニット14上で実行されるプログラムの制御下で独立して可動する。ハンドリングサイクルは、血糖測定器28を操作する際にヒトユーザによって実行される一連のハンドリング工程を模倣する。このようにして、診断装置の品質または設計は、ヒトのインターフェースなしに再現可能な状態で評価または検査され得る。
【0028】
図2に示すように、ハンドリングサイクルは、ピペット32によって人工指30にサンプル液として血液34を滴下することを含む。このような工程は、ヒトの指腹部を穿刺することによる採血を模倣する。ピペット32は、測定器28が、同じロボットアーム20の遠位端にまだ受けられている間に取り扱うことができる。測定器28または他の装置を間欠的にロボットセル10のラックに配置することも考えられる。
【0029】
図3よりさらに明らかなように、ハンドリングサイクルの次の工程は、サンプル適用のために人工指30をテストエレメント36に向かって移動させることを含む。テストエレメント36は、テープカセットの形態で測定器28に挿入される試験テープの一部分として提供されてもよい。
【0030】
ヒトユーザが操作すると、測定器28は一方の手に保持され、他方の手の指は試験テープを撓ませる先端に押し付けられる。テストエレメント36は、測定器28内の測光測定ユニットによって光学的に走査され、測定結果はディスプレイ38に示される。
【0031】
血液の適用を特異的に模倣するために、人工指30は、ヒトの指と同様の特性、特に、対応する幾何学的形状、弾性および周面摩擦を備えていてもよい。このような複製は、剛性の異なるいくつかのシリコーン層によって覆われたスチールコアによって達成され得る。
【0032】
さらに、人工指30の表面汚染が測定器28の測定精度に及ぼす影響を調べることも可能である。さらに影響を与えるパラメータとして、サンプル適用のメカニズムを、例えば、異なるサイクルにおいてテストエレメント36と接触するときの人工指30の方向または接触圧を変えることによって、さらに調べられ得る。現実的な相互作用のために、人工指30は、十分な長さと、端部セグメント上に曲面形状を有するべきである。これに関連して、ロボット12には、ユーザ挙動、例えば、右手または左手の使用をシミュレートするために、2つのロボットアーム20が設けられていることも有利である。
【0033】
測定器28の操作に対するパラメータまたは因子の影響は、測定された試験結果、すなわちグルコース読み取り(glucose reading)を記録することによって直接監視することができる。例えば、一連のハンドリングサイクルを実行する場合、人工指30の接触圧を変化させることができ、測定結果は、ディスプレイ38の画像を捕捉するために制御ユニット14に接続されたカメラによって記録することができる。それで、グルコース読み取りの変動が、接触圧の影響の可能性に関する情報を提供することができる。制御ユニット14は、ヒトユーザの相互作用及び干渉なしに、そのような品質評価を正確に実行することを可能にする。
【0034】
図4は、ロボット12の複雑なハンドリングサイクルの簡略化されたプログラミングのためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)40を示す。GUI40は、ロボット12とは別のコンピュータシステムにインストールすることができる。ロボット12の基本的操作(movements)または動作(actions)を規定し、ディスプレイ44の第1のセクションにおける図形記号(graphical symbol)42によって表される、予めプログラムされたモジュールの編集物を含む。コンピュータシステムは、ロボット12のハンドリングサイクルにおける対応する工程の実施のためのモジュールのチェーン48を規定するために、オペレータが記号42を第2の表示セクション46にドラッグアンドドロップすることを可能にする。
【0035】
ユーザは、チェーン48内の特定のモジュールを、例えば、マウスポインタ-によって指し示すことができ、それによって、所定の変数のリストが開き、特定の値を入力または変更することが可能になる。また、ハンドリングサイクル中のさらなる工程またはエレメントの定義のためにモジュールチェーン48をコピーアンドペーストすることも可能である。移動経路を変更するために、GUI40は、選択されたシンボル42を再配置し、表示された変数に所望の値を割り当てる。
【0036】
有利には、コンピュータシステムは、機器の衝突または損傷を回避するように、ロボット12とは別のハンドリングサイクルをシミュレートすることができる。そして、生成されたロボットプログラムを制御部14にロードすることができる。このようにして、オペレータは、自動化、情報化および/またはロボットプログラミングの知識がなくてもロボットセル10を動作させることができる。
図1
図2
図3
図4