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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】建物における設備設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20220524BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
E04B1/348 V
E04B1/348 H
E04B1/348 L
E04H1/12 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019092120
(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公開番号】P2020186587
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】冨安 正史
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-117397(JP,A)
【文献】特開平5-339997(JP,A)
【文献】特開2010-159602(JP,A)
【文献】登録実用新案第3015125(JP,U)
【文献】特開2018-31188(JP,A)
【文献】特開2006-265845(JP,A)
【文献】特開2001-214669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04H 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の床梁と、
前記床梁により下方から支持された床面材と、
その床面材よりも下方に落とし込まれることで前記床面材と横並びで設置される設備と、を備え、
前記設備は、前記各床梁のうち互いに対向する一対の対向床梁の間を通じて配置されている建物における設備設置構造であって、
前記各対向床梁の内側にそれぞれ前記対向床梁よりも下方に延びた状態で取り付けられ、互いに対向する平板状をなす一対の垂下部材と、
前記各対向床梁よりも低い位置で前記各垂下部材に架け渡されて設けられ、前記設備を下方から支持する支持部材と、
前記設備と前記床面材との間に介在され前記設備の振れを抑制する振れ止め部材と、
を備えることを特徴とする建物における設備設置構造。
【請求項2】
前記設備は、前記床面材と同じ高さ位置に設けられた設備床部を有し、
前記振れ止め部材は、前記設備床部と前記床面材との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建物における設備設置構造。
【請求項3】
前記床梁として、前記床面材を下方から支持するとともに、前記床面材における前記設備との境界部に沿って配置された境界床梁を備え、
前記振れ止め部材は、前記設備と前記境界床梁とにそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物における設備設置構造。
【請求項4】
前記境界床梁の上面には前記設備側とは反対側に前記床面材が載置され、その載置により、前記上面における前記設備側は前記床面材が載置されていない非載置領域となっており、
前記設備において前記床面材よりも下方に落とし込まれた落とし込み部分には、前記境界床梁側の側面に前記振れ止め部材を固定するための固定部材が取り付けられ、
前記固定部材は、その上面が前記境界床梁の上面と同じ高さ位置に設定され、
前記振れ止め部材は平板状の板材からなるとともに、前記固定部材の上面と前記境界床梁の前記非載置領域とに跨がって載置され、かつ前記固定部材及び前記境界床梁にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項3に記載の建物における設備設置構造。
【請求項5】
前記設備は、浴室を形成する浴室ユニットであり、
前記浴室ユニットは、前記浴室への出入口を開閉する浴室ドアと、その浴室ドアの周囲に設けられたドア枠とを有し、
前記振れ止め部材は、前記ドア枠の下方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物における設備設置構造。
【請求項6】
建物ユニットとして、前記設備が設置された上階ユニットと、その上階ユニットの下方に隣接して設けられた下階ユニットとを備えるユニット式建物に適用され、
前記下階ユニットには、複数の天井小梁が横並びで設けられており、
前記上階ユニットでは、前記支持部材としての支持梁が前記天井小梁と同じ方向に延びるように設けられており、
前記支持梁は、隣り合う前記天井小梁の間において前記各垂下部材に架け渡されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物における設備設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物における設備設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、浴室を形成するバスユニットが設置されている場合がある。バスユニットは、浴槽や洗い場等を有して構成されている。
【0003】
バスユニットでは一般に、バリアフリーの観点から、洗い場の床面が浴室と隣接する脱衣室等の床面と同じ高さ位置に設定されている。この場合、バスユニットは、脱衣室等の床よりも下方に落とし込んだ状態で設置されることになる。
【0004】
このようなバスユニットの設置構造として、特許文献1には、溝形鋼からなる一対の床梁の間を通じてバスユニットが設置される構造が開示されている。この特許文献1の設置構造では、各床梁が互いの溝部を向き合わせて設けられ、それら各床梁の溝部には受け部材が嵌め込まれている。そして、各受け部材には、その受け部材よりも垂下した状態で吊り部材が設けられ、それら各吊り部材には、バスユニットを支持する支持部材が架け渡されて設けられている。この場合、支持部材は床梁よりも低い位置に配置され、その支持部材上にバスユニットが設置される。
【0005】
また、特許文献1の設置構造では、各吊り部材が、受け部材の上に固定される上側水平部と、その上側水平部の内側端部から下方に延びる垂下部と、その垂下部の下端部から内側に延び支持部材に固定される下側水平部とを有するZ字形となっている。また、吊り部材には、その幅方向の両側に上側水平部、垂下部及び下側水平部をそれぞれ連結する一対の補強部が設けられ、これにより、吊り部材の強度向上が図られている。そのため、特許文献1の設置構造では、バスユニットを吊り部材を介して支持した構成にあって、バスユニットに振れが生じるのを抑制することが可能となっていることが伺える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-159602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1の設置構造では、各床梁の内側に吊り部材が配置されるため、各床梁の間を通じてバスユニットを設置するにあたり、それら各吊り部材に干渉しないよう設置する必要がある。ここで、吊り部材は、上側水平部、垂下部、下側水平部及び補強部を有した立体形状とされているため、吊り部材は床梁に対して内側に比較的大きく突出している。このため、バスユニットを各床梁の間に設置する際には、バスユニットのサイズに制約が生じることが考えられる。
【0008】
そこで、吊り部材を立体形状に代え平板形状にすることで、吊り部材の床梁からの突出量を抑えることが考えられる。その場合、各床梁の間を通じてバスユニットを設置するに際し、バスユニットのサイズに制約が生じるのを緩和することができる。
【0009】
しかしながら、吊り部材を平板状にすると、吊り部材の強度が低減され、バスユニットの振れ防止を図ることができなくなるおそれがある。そのため、バスユニットを安定した状態で設置することができなくなるおそれがある。
【0010】
なお、このようなバスユニットの設置に関する問題は、バスユニットに限らず、掘りこたつ等、床よりも下方に落とし込んだ状態で設置される他の設備においても同様に生じうる問題である。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、床よりも下方に落とし込んだ状態で設備を設置する場合において、設備のサイズに制約が生じるのを抑制しながら、当該設備を安定した状態で設置することができる建物における設備設置構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物における設備設置構造は、複数の床梁と、前記床梁により下方から支持された床面材と、その床面材よりも下方に落とし込まれることで前記床面材と横並びで設置される設備と、を備え、前記設備は、前記各床梁のうち互いに対向する一対の対向床梁の間を通じて配置されている建物における設備設置構造であって、前記各対向床梁の内側にそれぞれ前記対向床梁よりも下方に延びた状態で取り付けられ、互いに対向する平板状をなす一対の垂下部材と、前記各対向床梁よりも低い位置で前記各垂下部材に架け渡されて設けられ、前記設備を下方から支持する支持部材と、前記設備と前記床面材との間に介在され前記設備の振れを抑制する振れ止め部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、建物において浴室ユニット等の設備が床面材よりも下方に落とし込まれた状態で設置され、その設備が一対の対向床梁の間を通じて配置されている。各対向床梁の内側には対向床梁よりも下方に延びる一対の垂下部材が取り付けられ、それら各垂下部材には支持部材が架け渡されて設けられている。そして、その支持部材により設備が支持されている。
【0014】
このような設備の設置構造において、一対の垂下部材は互いに対向する平板状をなしている。この場合、各垂下部材について対向床梁から内側へ突出する突出量を大いに抑制することができるため、各対向床梁の間を通じて設備を設置するに際し、その設備のサイズに制約が生じるのを抑制することができる。
【0015】
また、設備と床面材の間には振れ止め部材が介在され、それにより設備の振れが抑制されている。この場合、垂下部材を平板状にしたことで垂下部材の強度低下を招くおそれがあるものの、振れ止め部材により設備の振れを抑制することで、設備を安定した状態で設置することができる。特に、床面材は水平方向に拡がって形成されているため、水平方向への荷重に対する抵抗力が高い。このため、振れ止め部材を設備と床面材との間に介在させることで、設備について水平方向への振れを好適に抑制することができる。よって、以上より、設備のサイズに制約が生じるのを抑制しながら、設備を安定した状態で設置することができる。
【0016】
第2の発明の建物における設備設置構造は、第1の発明において、前記設備は、前記床面材と同じ高さ位置に設けられた設備床部を有し、前記振れ止め部材は、前記設備床部と前記床面材との間に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、振れ止め部材が設備の床部と床面材との間に配置されている。設備において床部は水平方向に拡がって形成されているため、水平方向への荷重に対する抵抗力が高い。このため、振れ止め部材を設備の床部と床面材との間に配置することで、振れ止め部材により設備の振れを抑制する際、設備が内側にたわむ等して変形するのを抑制することができる。これにより、設備の振れを好適に抑制することができる。
【0018】
第3の発明の建物における設備設置構造は、第1又は第2の発明において、前記床梁として、前記床面材を下方から支持するとともに、前記床面材における前記設備との境界部に沿って配置された境界床梁を備え、前記振れ止め部材は、前記設備と前記境界床梁とにそれぞれ固定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、床面材を下方から支持する床梁(床支持梁)として、その床面材における設備との境界部に沿って配置された境界床梁が設けられている。そして、振れ止め部材が、その境界床梁と設備とにそれぞれ固定されている。この場合、振れ止め部材により設備の振れを抑制する効果を高めることができる。
【0020】
なお、ここで、「振れ止め部材が設備に固定されている」とは、振れ止め部材が設備に対して直接固定されている場合だけでなく、振れ止め部材が他の部材(例えば後述する第4の発明における固定部材)を介して設備に固定されている場合をも含む意味である。
【0021】
第4の発明の建物における設備設置構造は、第3の発明において、前記境界床梁の上面には前記設備側とは反対側に前記床面材が載置され、その載置により、前記上面における前記設備側は前記床面材が載置されていない非載置領域となっており、前記設備において前記床面材よりも下方に落とし込まれた落とし込み部分には、前記境界床梁側の側面に前記振れ止め部材を固定するための固定部材が取り付けられ、前記固定部材は、その上面が前記境界床梁の上面と同じ高さ位置に設定され、前記振れ止め部材は平板状の板材からなるとともに、前記固定部材の上面と前記境界床梁の前記非載置領域とに跨がって載置され、かつ前記固定部材及び前記境界床梁にそれぞれ固定されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、設備の落とし込み部分における境界床梁側の側面に固定部材が取り付けられ、その固定部材の上面が境界床梁の上面と同じ高さ位置に設定されている。また、振れ止め部材は平板状の板材からなり、固定部材の上面と、境界床梁の上面において床面材が載置されていない非載置領域とに跨がって載置されている。そして、振れ止め部材は、かかる載置状態において、固定部材及び境界床梁にそれぞれ固定されている。この場合、振れ止め部材を平板により簡単に構成できるとともに、振れ止め部材を上方から設置固定できるため振れ止め部材の設置作業を容易にすることができる。
【0023】
第5の発明の建物における設備設置構造は、第4の発明において、前記設備は、浴室を形成する浴室ユニットであり、前記浴室ユニットは、前記浴室への出入口を開閉する浴室ドアと、その浴室ドアの周囲に設けられたドア枠とを有し、前記振れ止め部材は、前記ドア枠の下方に配置されていることを特徴とする。
【0024】
浴室ユニットを各対向床梁の間を通じて支持部材上に設置する際には、浴室ユニットにドア枠や浴室ドアを取り付けない状態で設置することが考えられる。これは、浴室ユニットを設置した後、作業者が浴室ユニット内に入って作業できるようにするためである。そこで、本発明では、この点に鑑みて、振れ止め部材をドア枠の下方に配置している。この場合、浴室ユニットを設置した後、ドア枠の配設スペースを通じて振れ止め部材を浴室ユニットと床面材との間に配置することが可能となる。このため、振れ止め部材を浴室ユニットと床面材との間に比較的容易に配置することが可能となる。なお、この場合には、振れ止め部材を配置した後、浴室ユニットにドア枠や浴室ドアを取り付けるようにすればよい。
【0025】
第6の発明の建物における設備設置構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、建物ユニットとして、前記設備が設置された上階ユニットと、その上階ユニットの下方に隣接して設けられた下階ユニットとを備えるユニット式建物に適用され、前記下階ユニットには、複数の天井小梁が横並びで設けられており、前記上階ユニットでは、前記支持部材としての支持梁が前記天井小梁と同じ方向に延びるように設けられており、前記支持梁は、隣り合う前記天井小梁の間において前記各垂下部材に架け渡されて設けられていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、ユニット式建物において上下に隣接する上階ユニット及び下階ユニットのうち、上階ユニットに設備が設置されている。この場合、上階ユニットに設けられた支持梁は下階ユニットにおける隣り合う天井小梁の間に配置され、その支持梁上に設備が設置されている。これにより、上階ユニットに設備を落とし込んだ状態で設置するに際し、その落とし込み深さを深くすることができ、バリアフリーへの対応等をし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ユニット式建物の概要を示す斜視図。
図2】建物ユニットの構成を斜視図。
図3】浴室用の建物ユニットの床部の構成を示す平面図。
図4図3のA-A線断面図。
図5図3のB-B線断面図。
図6】床大梁に対する垂下部材の取付構成を示す分解斜視図。
図7】床小梁に対する垂下部材の取付構成を示す分解斜視図。
図8】浴室ユニットの床パネルと脱衣室の床面材との境界部周辺を拡大して示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物を採用している。図1は、ユニット式建物の概要を示す斜視図である。
【0029】
図1に示すように、建物10は、基礎11上に配設される建物本体12と、その建物本体12の上方に配設される屋根13とを備えている。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建てとされている。建物本体12の二階部分15には、浴室16と脱衣室17とが互いに隣接して設けられている。
【0030】
建物本体12は、直方体状をなす複数の建物ユニット20が互いに組み合わせられることにより構成されている。図2は、その建物ユニット20の構成を斜視図であり、以下、この図2に基づいて建物ユニット20の構成について簡単に説明する。
【0031】
図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
【0032】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が上方から支持され、床小梁26によって床面材28が下方から支持されている。
【0033】
図1の説明に戻り、建物本体12の二階部分15には、浴室16と脱衣室17とが形成された浴室用の建物ユニット20aが含まれている。浴室用の建物ユニット20aは、上述した通常の建物ユニット20(図2参照)と床部の構成が相違している。そこで、以下では、浴室用の建物ユニット20aの床部の構成について図3を用いながら説明する。図3は、浴室用の建物ユニット20aの床部の構成を示す平面図である。なお、図3では、参考として、一階部分14において建物ユニット20aの直下に配置される建物ユニット20(以下、この建物ユニット20の符号にbを付す)の天井小梁25(以下、この天井小梁25の符号にbを付す)を一点鎖線で示している。また、この場合、浴室用の建物ユニット20aが上階ユニットに相当し、その下方に隣接する建物ユニット20bが下階ユニットに相当する。
【0034】
図3に示すように、建物ユニット20aの床部には、浴室16が形成される浴室スペースS1と、脱衣室17が形成される脱衣室スペースS2とが設定されている。浴室スペースS1と脱衣室スペースS2とは建物ユニット20aの長手方向に並んでいる。建物ユニット20の床部において、脱衣室スペースS2に相当する部位には、長辺側の各床大梁23の間に複数の床小梁26が架け渡されている。これら各床小梁26の上には床面材28が設けられている。床面材28は、例えばパーティクルボードにより形成され、各床小梁26にビス等で固定されている。
【0035】
一方、建物ユニット20aの床部において、浴室スペースS1に相当する部位には、短辺側の床大梁23と床小梁26とが互いに対向して設けられている。この床小梁26は、浴室スペースS1と脱衣室スペースS2との境界部に配置され、以下では、この床小梁26を床小梁26aという。床小梁26aは、他の床小梁26と異なり、断面コ字状の溝形鋼よりなる(図4参照)。詳しくは、床小梁26aは、床大梁23と同じ溝形鋼よりなる。
【0036】
短辺側の床大梁23と床小梁26aとの間には床小梁31が架け渡されて設けられている。床小梁31は、床大梁23(及び床小梁26a)と同じ断面コ字状の溝形鋼よりなる。これにより、建物ユニット20aの床部には、床小梁31と、その床小梁31に対向する長辺側の床大梁23と、短辺側の床大梁23と、床小梁26aとにより囲まれた矩形の梁囲み領域32が形成されている。
【0037】
浴室用の建物ユニット20aには、浴室16を形成する浴室ユニット35が組み込まれている。以下においては、この浴室ユニット35の設置構造について図3に加え図4を用いながら説明する。なお、図4図3のA-A線断面図である。また、図3では便宜上、浴室ユニット35の外縁のみを二点鎖線で示している。また、本建物10では、浴室のリフォーム(改修)の際、浴室ユニット35が建物ユニット20a内に組み込まれたものとなっている。つまり、浴室のリフォームの際、従来の浴室ユニットが建物ユニット20aから撤去され、その代わりに浴室ユニット35が建物ユニット20a内に新たに組み込まれたものとなっている。
【0038】
図3及び図4に示すように、浴室ユニット35は、建物ユニット20aの梁囲み領域32を通じて脱衣室17の床面材28よりも下方に落とし込まれた状態で設置されている。これにより、浴室ユニット35は、床面材28と横並びの状態で配置されている。なお、この場合、浴室ユニット35が設備に相当する。
【0039】
浴室ユニット35は、浴室16の壁面を形成する壁パネル36と、浴室16の床面を形成する床パネル37と、浴室16の天井面を形成する天井パネル(図示略)と、浴槽38とを備えている。壁パネル36と床パネル37と浴槽38とはいずれも硬質樹脂により形成されている。
【0040】
床パネル37は、洗い場16aの床面を形成する床板部37aと、その床板部37aの周縁部から下方に延びる側板部37bとを有する。また、床パネル37には、側板部37bよりも内側において床板部37aから下方に延びる複数のリブ37cが設けられている。これらのリブ37cは格子状に設けられ、それにより、床パネル37の面剛性が高められている。なお、床パネル37が設備床部に相当する。また、床パネル37が洗い場16aの床部を形成している点からすると、床パネル37を洗い場床部ということもできる。
【0041】
浴室ユニット35は、脱衣室17から浴室16(洗い場16a)へ出入りするための出入口41と、その出入口41を開閉する浴室ドア42と、その浴室ドア42の周囲に設けられたドア枠43とを有する。ドア枠43は、浴室ドア42の下縁部に設けられた下枠部43aと、浴室ドア42の各側縁部に設けられた一対の縦枠部43bと、浴室ドア42の上縁部に設けられた上枠部(図示略)とを有する。
【0042】
建物ユニット20aにおいて浴室ユニット35の屋外側には外壁部45が設けられている。この外壁部45により建物ユニット20a内が屋外と区画されている。外壁部45は、屋外に面した外壁面材46と、屋内に面した内壁面材47とを有している。
【0043】
続いて、浴室ユニット35を支持するための支持構造について図3及び図4に加え図5に基づいて説明する。図5図3のB-B線断面図である。なお、図5では便宜上、浴室ユニット35の図示を省略している。また、図5では、建物ユニット20bの天井小梁25bを一点鎖線で示している。また、本建物10においては、浴室ユニット35の支持構造が浴室リフォームの際に構築されたものとなっている。
【0044】
図3図5に示すように、床小梁31と長辺側の床大梁23とは梁囲み領域32を挟んで互いに対向している。この場合、床大梁23は、その溝部24を梁囲み領域32に向けて配置され、床小梁31は、その溝部24を梁囲み領域32とは反対側に向けて配置されている。なお、これら床大梁23及び床小梁31が一対の対向床梁に相当する。
【0045】
ちなみに、梁囲み領域32を囲む各床梁23,26a,31はいずれも建物10において浴室リフォーム前から設けられていた既設部材となっている。また、これら各床梁23,26a,31が梁囲み領域32を形成している点からすると、これら各床梁23,26a,31をそれぞれ囲み床梁ということもできる。
【0046】
梁囲み領域32を挟んで対向する床大梁23及び床小梁31にはそれぞれそれら各床梁23,31よりも下方に延びた状態で垂下部材51が取り付けられている。垂下部材51は上下方向に延びる平板状の鋼板により形成されている。垂下部材51は、床大梁23の内側(梁囲み領域32側)及び床小梁31の内側(梁囲み領域32側)にそれぞれ取り付けられている。垂下部材51は、床大梁23においてその長手方向に所定の間隔で複数配置され、また床小梁31においてその長手方向に所定の間隔で複数配置されている。床大梁23に設けられた各垂下部材51と、床小梁31に設けられた各垂下部材51とはいずれも床大梁23の長手方向(換言すると床小梁31の長手方向)において同じ位置に配置されている。この場合、床大梁23の各垂下部材51と床小梁31の各垂下部材51とは梁囲み領域32を挟んで互いの板面を対向させた状態で配置されている。また、本実施形態では、床大梁23側の垂下部材51と、床小梁31側の垂下部材51とがいずれも同じ構成となっている。このため、これら各床梁23,31の垂下部材51に同じ符号51を付している。
【0047】
各床梁23,31のうち、床大梁23に対しては垂下部材51がブラケット52を介して取り付けられている。その一方で、床小梁31に対しては垂下部材51が直接取り付けられている。そこで、以下においては、床大梁23に対する垂下部材51の取付構成と、床小梁31に対する垂下部材51の取付構成とについて図5に加え図6及び図7を用いながら詳しく説明する。図6は床大梁23に対する垂下部材51の取付構成を示す分解斜視図であり、図7は床小梁31に対する垂下部材51の取付構成を示す分解斜視図である。
【0048】
まず、床大梁23に対する垂下部材51の取付構成から説明する。図5及び図6に示すように、床大梁23は、上下方向に延びるウェブ23aと、そのウェブ23aを挟んで上下両側に設けられた上フランジ23b及び下フランジ23cとを有する。床大梁23では、それらウェブ23a及び各フランジ23b,23cにより囲まれた内側に溝部24が形成されている。
【0049】
床大梁23には、その溝部24内にブラケット52が設けられている。ブラケット52は、鋼板により形成され、床大梁23のウェブ23aにボルト53(例えばワンサイドボルト)により固定され互いに離間する一対の梁固定板部52aと、それら各梁固定板部52aからそれぞれ溝部24の外側に向けて延びる一対の中間板部52bと、それら各中間板部52bにそれぞれ連結され垂下部材51が取り付けられる取付板部52cとを有する。取付板部52cは床大梁23のウェブ23aと平行に配置され、その表面すなわち梁囲み領域32側の面が溝部24の外側に位置している。詳しくは、取付板部52cの表面(すなわちブラケット52において垂下部材51が取り付けられる取付面)は床大梁23の上フランジ23b及び下フランジ23cの先端部よりも若干梁囲み領域32側に位置している。したがって、ブラケット52は、床大梁23よりも若干内側(梁囲み領域32側)に突出した状態で配設されており、その突出量が例えば垂下部材51の厚み以下とされている。なお、取付板部52cの表面は、取付板部52cの厚み方向において床大梁23の各フランジ23b,23cの先端部と同じ位置に設定されてもよい。この場合、ブラケット52は、床大梁23から梁囲み領域32側に突出しない状態で配置される。
【0050】
ブラケット52の取付板部52cには、その表面に垂下部材51が取り付けられている。垂下部材51は、その上側部分が取付板部52cにボルト55(例えばワンサイドボルト)により固定されている。これにより、垂下部材51は、その下側部分がブラケット52ひいては床大梁23よりも下方に垂下された状態となっている。
【0051】
続いて、床小梁31に対する垂下部材51の取付構成について説明する。図5及び図7に示すように、床小梁31は、床大梁23と同様、上下に延びるウェブ31aと、そのウェブ31aを挟んで上下両側に設けられた上フランジ31b及び下フランジ31cとを有する。床小梁31では、それらウェブ31a及び各フランジ31b,31cにより囲まれた内側に溝部33が形成されている。
【0052】
床小梁31には、そのウェブ31aの外側面すなわち梁囲み領域32側の面に垂下部材51が取り付けられている。垂下部材51は、その上側部分が床小梁31のウェブ31aにボルト56(例えばワンサイドボルト)により固定されている。これにより、垂下部材51は、その下側部分が床小梁31よりも下方に垂下された状態となっている。
【0053】
図3図5に示すように、互いに対向する床大梁23側の垂下部材51と床小梁31側の垂下部材51との間には支持梁58が架け渡されて設けられている。支持梁58は、各垂下部材51において床梁23,31よりも下方に垂下した部分に架け渡されている。これにより、支持梁58は、各床梁23,31よりも低い位置に配置されている。また、支持梁58は、対向する各床梁23,31の垂下部材51ごとに設けられている。これにより、支持梁58は、所定の間隔で複数(本実施形態では4つ)配置されている。なお、各支持梁58がそれぞれ支持部材に相当する。
【0054】
各支持梁58は、断面コ字状の軽量溝形鋼よりなり、その溝部を側方に向けた状態で配置されている。各支持梁58には、その長手方向の両端部に平板状のエンドプレート59が溶接固定されている(図7も参照)。各エンドプレート59は、上下方向に延びており、床大梁23側の垂下部材51と床小梁31側の垂下部材51とにそれぞれボルト61及びナット62を用いて固定されている。これにより、支持梁58はそれら各垂下部材51にエンドプレート59を介して架け渡されている。
【0055】
各支持梁58は、一階部分14の建物ユニット20bの天井小梁25bと同じ方向に延びている。各支持梁58は、その平面視において、天井小梁25bと異なる位置に配置されている。各支持梁58は、隣り合う天井小梁25bの間に配置され、その配置状態で床大梁23側の垂下部材51と床小梁31側の垂下部材51とに架け渡されている。また、各支持梁58は、その上面が各床梁23,31(詳しくは下フランジ23c,31c)の下面よりも低い位置に設定され、さらには、その上面が建物ユニット20bの天井大梁22の上面よりも低い位置に設定されている。
【0056】
各支持梁58の上面には支持板64が載置された状態で設けられている。支持板64は、例えばパーティクルボードにより形成されている。支持板64は、各支持梁58に対してビス等で固定されている。
【0057】
支持板64の上には、浴室ユニット35が設置されている。浴室ユニット35は、複数の脚部39を有し、それら各脚部39が支持板64上に載置された状態で設置されている。かかる浴室ユニット35の設置状態において、浴室ユニット35の床パネル37は脱衣室17の床面材28と同じ高さに位置し、その床面材28と横並びで配置されている。この場合、脱衣室17の床面材28の上面(つまり脱衣室17の床面)と、床パネル37(床板部37a)の上面(つまり浴室16の床面)とは略同じ高さ位置に設定されている。これにより、脱衣室17の床面と浴室16の床面との間でバリアフリーが実現されている。
【0058】
続いて、浴室ユニット35の床パネル37と脱衣室17の床面材28との境界部周辺の構成について図3に加え図8を用いながら説明する。図8は、浴室ユニット35の床パネル37と脱衣室17の床面材28との境界部周辺の構成を拡大して示す縦断面図である。
【0059】
図8に示すように、浴室ユニット35の床パネル37と脱衣室17の床面材28との境界部では、その境界部に沿って床小梁26aが配置されている。床小梁26aは、上述したように溝形鋼からなり、その溝部を側方に向けて詳しくは浴室ユニット35とは反対側に向けて配置されている。なお、床小梁26aが境界床梁に相当する。
【0060】
床小梁26aの上面には床面材28が載置されている。床面材28は、床小梁26aの上面のうち、浴室ユニット35とは反対側の一部の領域にのみ載置されている。このため、床小梁26aの上面において浴室ユニット35側は床面材28が載置されていない非載置領域69となっている。また、床面材28は、ビス68により床小梁26aに固定されている。
【0061】
浴室ユニット35の床パネル37は、その一部が床面材28よりも下方に落とし込まれた落とし込み部分71となっている。この落とし込み部分71において、床パネル37(側板部37b)の床小梁26a側の側面にはL字状のアングル66が取り付けられている。アングル66は金属製であり、床パネル37の側板部37bにビス等で固定された縦板部66aと、その縦板部66aの上端部から側板部37bとは反対側に向けて延びる横板部66bとを有する。横板部66bは、その上面が床小梁26aの上面と同じ高さ位置に設定されている。なお、アングル66が固定部材に相当する。
【0062】
浴室ユニット35の床パネル37と脱衣室17の床面材28との間には振れ止め部材65が設けられている。振れ止め部材65は、床パネル37と床面材28との間に介在されることで浴室ユニット35の振れを抑制する部材となっている。振れ止め部材65は、平板状に形成された矩形の板材からなり、例えばパーティクルボードにより形成されている。振れ止め部材65は、浴室ユニット35のドア枠43の真下に配置され、詳しくは下枠部43aの真下に配置されている。また、振れ止め部材65は、ドア枠43の真下に所定の間隔をおいて複数(具体的には2つ)配置されている。本実施形態では、各振れ止め部材65がドア枠43の幅方向の両端部においてそのドア枠43の真下に配置されている。
【0063】
振れ止め部材65は、アングル66の横板部66bの上面と床小梁26aの非載置領域69とに跨がって載置されており、その載置状態でアングル66及び床小梁26aにそれぞれビス68により固定されている。これにより、振れ止め部材65は、アングル66を介して浴室ユニット35に固定されているとともに、(床面材28側の)床小梁26aに対して固定されている。また、振れ止め部材65は、かかる載置状態において、その幅方向(換言すると浴室ユニット35と床面材28とが並ぶ並び方向)の一端部が浴室ユニット35の床パネル37の側面に当接し、幅方向の他端部が床面材28の端面に当接している。
【0064】
ここで、本建物10では、上述したように、浴室ユニット35が浴室リフォームの際に建物ユニット20a内に組み付けられたものとなっている。ここで、この浴室リフォームの際の作業について簡単に説明する。
【0065】
浴室リフォーム時にはまず、既設の浴室ユニットを建物ユニット20aから撤去する。そして、その後、浴室ユニットを支持していた支持梁等の支持構造を撤去する。撤去作業が終わったら、浴室ユニット35を設置する前作業として、垂下部材51、ブラケット52及び支持梁58を組み付ける作業を行う。その後、支持板64を支持梁58上に組み付ける。
【0066】
前作業が終わったら、浴室ユニット35を建物ユニット20aに組み入れる作業を行う。この組み入れ作業では、浴室ユニット35を梁囲み領域32を通じて支持板64上に設置する。浴室ユニット35を支持板64上に設置した時点では、作業者が浴室ユニット35に出入りできるよう、浴室ユニット35にはドア枠43及び浴室ドア42が取り付けられていない状態となっている。
【0067】
続いて、振れ止め部材65を所定位置に取り付ける作業を行う。この作業ではまず、アングル66を浴室ユニット35の床パネル37に固定し、その後、振れ止め部材65をアングル66と床小梁26aとにそれぞれ固定する。この振れ止め部材65の取付作業時においては、上述したように、ドア枠43が取り付けられていない状態とされているため、そのドア枠43を配設する配設スペースを通じて振れ止め部材65を取り付ける作業を行うことができる。
【0068】
振れ止め部材65の取付作業が終わった後、浴室ユニット35にドア枠43と浴室ドア42とをそれぞれ取り付ける。これにより、浴室リフォームに関する一連の作業が終了する。
【0069】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0070】
建物において浴室ユニット35が床面材28よりも下方に落とし込まれた状態で設置され、その浴室ユニット35が互いに対向する床大梁23及び床小梁31の間を通じて配置されている。これら各床梁23,31の内側にはそれら床梁23,31よりも下方に延びる一対の垂下部材51が取り付けられ、それら各垂下部材51には支持梁58が架け渡されて設けられている。そして、その支持梁58により浴室ユニット35が下方から支持されている。
【0071】
このような浴室ユニット35の設置構造において、一対の垂下部材51は互いに対向する平板状をなしている。この場合、各垂下部材51について上記各床梁23,31から内側(梁囲み領域32側)へ突出する突出量を大いに抑制することができるため、それら各床梁23,31の間を通じて浴室ユニット35を設置するに際し、その浴室ユニット35のサイズに制約が生じるのを抑制することができる。
【0072】
また、浴室ユニット35と床面材28の間には振れ止め部材65が介在され、それにより浴室ユニット35の振れが抑制されている。この場合、垂下部材51を平板状にしたことで垂下部材51の強度低下を招くおそれがあるものの、振れ止め部材65により浴室ユニット35の振れを抑制することで、浴室ユニット35を安定した状態で設置することができる。特に、床面材28は水平方向に拡がって形成されているため、水平方向への荷重に対する抵抗力が高い。このため、振れ止め部材65を浴室ユニット35と床面材28との間に介在させることで、浴室ユニット35について水平方向への振れを好適に抑制することができる。よって、以上より、浴室ユニット35のサイズに制約が生じるのを抑制しながら、浴室ユニット35を安定した状態で設置することができる。
【0073】
振れ止め部材65は浴室ユニット35の床パネル37と床面材28との間に配置されている。浴室ユニット35では床パネル37が水平方向に拡がって形成されているため、水平方向への荷重に対する抵抗力が高い。このため、振れ止め部材65を浴室ユニット35の床パネル37と床面材28との間に配置することで、振れ止め部材65により浴室ユニット35の振れを抑制する際、浴室ユニット35が内側にたわむ等して変形するのを抑制することができる。これにより、浴室ユニット35の振れを好適に抑制することができる。
【0074】
床面材28を下方から支持する床小梁26aが床面材28における浴室ユニット35との境界部に沿って配置され、振れ止め部材65が、その床小梁26aと浴室ユニット35とにそれぞれ固定されている。この場合、振れ止め部材65により浴室ユニット35の振れを抑制する効果を高めることができる。
【0075】
浴室ユニット35の落とし込み部分71において、床パネル37の床小梁26a側の側面にはアングル66が取り付けられ、そのアングル66の上面が床小梁26aの上面と同じ高さ位置に設定されている。また、振れ止め部材65は平板状の板材からなり、アングル66の上面と、床小梁26aの上面において床面材28が載置されていない非載置領域69とに跨がって載置されている。そして、振れ止め部材65は、かかる載置状態において、アングル66及び床小梁26aにそれぞれ固定されている。この場合、振れ止め部材65を平板により簡単に構成できるとともに、振れ止め部材65を上方から設置固定できるため振れ止め部材65の設置作業を容易にすることができる。
【0076】
浴室ユニット35を支持梁58上に設置する際には、浴室ユニット35にドア枠43や浴室ドア42を取り付けない状態で設置することが考えられる。これは、浴室ユニット35を設置した後、作業者が浴室ユニット35内に入って作業できるようにするためである。そこで、上記の実施形態では、この点に鑑みて、振れ止め部材65をドア枠43の下方に配置している。この場合、浴室ユニット35を支持梁58上に設置した後、ドア枠43の配設スペースを通じて振れ止め部材65を浴室ユニット35の床パネル37と床面材28との間に配置することが可能となる。このため、振れ止め部材65を浴室ユニット35と床面材28との間に比較的容易に配置することが可能となる。
【0077】
二階部分15の建物ユニット20aに浴室ユニット35が設置されている構成において、その建物ユニット20aに設けられた支持梁58は一階部分14の建物ユニット20bの天井小梁25bと同じ方向に延びるように設けられている。そして、支持梁58は、その建物ユニット20bの隣り合う天井小梁25bの間において床大梁23側の垂下部材51と床小梁31側の垂下部材51とに架け渡されて設けられ、その支持梁58上に浴室ユニット35が設置されている。これにより、二階部分15の建物ユニット20aに浴室ユニット35を落とし込んだ状態で設置するに際し、その落とし込み深さを深くすることができ、バリアフリーへの対応等をし易くすることができる。
【0078】
また、このような浴室ユニット35の支持構造では、浴室ユニット35を支持する支持梁58が一階部分14の建物ユニット20bの天井小梁25b間に入り込んでいるものの、当該支持構造が建物ユニット20bとは独立した状態で構築されている。このため、浴室リフォームの際に浴室ユニット35を二階部分15の建物ユニット20aに組み込むにあたって、一階部分14の建物ユニット20aが影響を受けることがなくリフォームがし易くなっている。また、浴室ユニット35を支持する支持梁58については所定の間隔で配置すればよいため、その配置自由度が高く、それにより浴室16の排水管接続部等と干渉しない位置に配置するといったことが容易となる。
【0079】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、支持梁58を、一階部分14の建物ユニット20bにおける隣り合う天井小梁25bの間において、床大梁23側の垂下部材51と床小梁31側の垂下部材51とに架け渡して設けた。そして、支持梁58を、その上面が各床梁23,31の下面よりも低い位置となるように配置した。しかしながら、支持梁58を配置する高さ位置は必ずしもかかる位置とする必要はない。例えば、支持梁58を、その上面が各床梁23,31の下面よりも高く、かつ各床梁23,31の上面よりも低い位置となるように配置してもよい。この場合にも、支持梁58上に浴室ユニット35を床面材28よりも落とし込んだ状態で設置することが可能となる。
【0081】
・上記実施形態では、支持梁58上に支持板64を設け、その支持板64上に浴室ユニット35を設置したが、これを変更して、支持梁58上に直接浴室ユニット35を設置してもよい。
【0082】
また、支持梁58(支持部材に相当)に代えて、面材を垂下部材51の間に架け渡し、その面材の上に浴室ユニット35を設置するようにしてもよい。この場合には、面材が支持部材に相当する。
【0083】
・上記実施形態では、振れ止め部材65をドア枠43の下方に2つ配置したが、これを変更して、1つだけ配置したり、3つ以上配置したりしてもよい。また、振れ止め部材65をドア枠43の下方とは異なる場所に配置してもよい。ただ、振れ止め部材65の設置のし易さを考えると、振れ止め部材65をドア枠43の下方に配置するのが望ましい。
【0084】
・上記実施形態では、振れ止め部材65を浴室ユニット35と脱衣室17の床面材28との間に設けた。すなわち、上記実施形態では、振れ止め部材65を浴室ユニット35における4つの側面のうち、脱衣室17側の側面に設けたが、振れ止め部材を脱衣室17側の側面以外の側面に設けてもよい。
【0085】
・上記実施形態では、振れ止め部材65をアングル66と床小梁26aとにそれぞれ固定したが、振れ止め部材65をこれら両部材66,26aのうちのいずれか一方にのみ固定するようにしてもよい。また、振れ止め部材65をこれら両部材66,26aの両方に固定しないようにしてもよい。例えば、振れ止め部材65が、その上方に設けられたドア枠43の下枠部43aとアングル66及び床小梁26aとの間に上下に挟まれた状態となっている場合には、このような構成としても振れ止め部材65を安定した状態で浴室ユニット35の床パネル37と床面材28との間に介在させることができ、振れ止め部材65による浴室ユニット35の振れ抑制効果を発揮することができる。
【0086】
・振れ止め部材65は必ずしも平板状に形成する必要はない。例えば、振れ止め部材65をL字の板金部材により構成することが考えられる。この場合、振れ止め部材を、浴室ユニット35の床パネル37の側板部37bに固定される縦板部と、床小梁26aの上面に固定される横板部とを有して構成することが考えられる。この場合にも、振れ止め部材を床パネル37と床面材28との間に介在させることができるため、振れ止め部材により浴室ユニット35の振れを抑制することが可能となる。なお、この場合、アングル66については不具備とすることができる。
【0087】
・上記実施形態では、建物10における浴室リフォームの際に浴室ユニット35の設置構造を構築する場合について説明したが、建物10の新築時に浴室ユニット35の設置構造を構築するようにしてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、本発明の設備設置構造を浴室ユニット35を設置する場合に適用したが、本発明の設置構造は浴室ユニット35以外の設備を設置する場合にも適用することができる。つまり、床面材28よりも下方に落とし込んで設置される設備(落とし込み設備)であれば、本発明を適用することが可能である。例えば、かかる設備としては、掘りごたつや、土間床(玄関床)設備、バルコニー設備等が考えられる。
【0089】
・上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物など、他の構造の建物にも適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10…建物、20…建物ユニット、20a…上階ユニットとしての建物ユニット、20b…下階ユニットとしての建物ユニット、23…床大梁、25b…天井小梁、26a…境界床梁としての床小梁、28…床面材、31…対向床梁としての床小梁、35…設備としての浴室ユニット、37…設備床部としての床パネル、41…出入口、42…浴室ドア、43…ドア枠、51…垂下部材、58…支持部材としての支持梁、65…振れ止め部材、66…固定部材としてのアングル、69…非載置領域、71…落とし込み部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8