IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】液体洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/75 20060101AFI20220524BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20220524BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20220524BHJP
   A47L 17/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
C11D1/75
C11D1/29
C11D1/66
A47L17/00 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019143151
(22)【出願日】2019-08-02
(62)【分割の表示】P 2017531705の分割
【原出願日】2015-12-11
(65)【公開番号】P2019199617
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2019-09-02
(31)【優先権主張番号】14199396.4
(32)【優先日】2014-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カール ギスラン ブレックマン
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン ヴァン オーバーストラット
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-171128(JP,A)
【文献】特表平09-500680(JP,A)
【文献】特開2009-067903(JP,A)
【文献】特表2014-531498(JP,A)
【文献】特表2005-509479(JP,A)
【文献】特表2008-507611(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02292562(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗い用食器洗い洗剤組成物であって、前記組成物が、アルキルエトキシ硫酸ナトリウムであるアニオン性界面活性剤と、前記組成物の3重量%~15重量%のアミンオキシド界面活性剤とを含み、前記アミンオキシド界面活性剤が、
a)前記アミンオキシド界面活性剤の12.5重量%~40重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は両方ともメチルであり、R3はn-デシルである)のローカットアミンオキシドと、
b)前記アミンオキシド界面活性剤の60重量%~87.5重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R6はC12~C16のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のミッドカットアミンオキシドと、
を含み、
前記組成物が、前記アミンオキシドの5重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを含み、
前記アニオン性界面活性剤対前記アミンオキシド界面活性剤の重量比が、2:1~4:1である、組成物。
【請求項2】
手洗い用食器洗い洗剤組成物であって、前記組成物が、アルキルエトキシ硫酸ナトリウムであるアニオン性界面活性剤と、前記組成物の3重量%~15重量%のアミンオキシド界面活性剤とを含み、前記アミンオキシド界面活性剤が、
a)前記アミンオキシド界面活性剤の12.5重量%~40重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R3はC10のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)前記アミンオキシド界面活性剤の60重量%~87.5重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R6はC12~C16のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のミッドカットアミンオキシドと、
を含み、
前記組成物が、前記アミンオキシドの5重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを含み、
前記アニオン性界面活性剤対前記アミンオキシド界面活性剤の重量比が、2:1~4:1である、組成物。
【請求項3】
R3がn-デシルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
R1及びR2が両方ともメチルである、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
R1及びR2が両方ともメチルであり、R3がn-デシルである、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アニオン性界面活性剤がサルフェートアニオン性界面活性剤である、請求項2~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アニオン性界面活性剤の量が、組成物の10重量%~40重量%である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤対ローカットアミンオキシド界面活性剤の重量比が、5:1~35:1である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、組成物の2重量%未満の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ローカットアミンオキシド及び前記ミッドカットアミンオキシドを異なる供給貯蔵器から送達する工程を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の手洗い用食器洗い洗剤組成物を製造する方法。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を所定体積の水に送達させて洗浄液を形成し、前記液中に食器を浸漬する工程を含む、食器を手作業で洗う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン性界面活性剤及びローカット(low-cut)アミンオキシドを含む手洗い用食器洗い洗剤組成物に関する。本組成物は改良された洗浄性及び起泡性を提供し、並びに良好な安定性を示す。
【背景技術】
【0002】
手洗い用食器洗い洗剤組成物は、汚れ及び油脂の良好な洗浄を提供するとともに、良好な泡立ち特性を有しなければならない。
【0003】
使用者は通常、泡を洗剤組成物の性能の指標としてみなす。更に、手洗い用食器洗い洗剤組成物の使用者は、泡立ち特性及び泡の外観(密度、白さ)を、洗浄溶液又は洗浄器具がまだ有効な洗剤成分を含んでいることを表すものとしても用いる。使用者は通常泡の能力に応じて食器洗い洗剤を加えて、泡が静まったとき又は泡の強さが十分でないと見えるとき、洗浄液を新しくする。したがって、ほとんど泡を発生しない食器洗い洗剤を含む洗浄液は、使用者によって必要以上に頻繁に交換される傾向にある。手洗い用食器洗い洗剤組成物は、洗剤と水との最初の混合中に良好な泡高及び外観並びに良好な泡の発生を示す必要があり、並びに手作業による食器洗いの実施中、良好な長持ちする泡を示す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改良された泡特性を備え、同時に良好な洗浄を提供する、手洗い用食器洗い組成物を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、手洗い用食器洗い洗剤組成物が提供される。組成物は、アニオン性界面活性剤及びアミンオキシド界面活性剤を含む。組成物は、組成物の約2重量%~約15重量%、好ましくは約3重量%~約15重量%のアミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカット(mid-cut)アミンオキシドを含む、アミンオキシドの混合物である。
【0006】
本発明の組成物のアミンオキシドは、
a)前記アミンオキシドの約10重量%~約45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R3はC10のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)前記アミンオキシドの55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R6はC12~C16のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のミッドカットアミンオキシドと、を含む。
【0007】
本発明の組成物は良好な洗浄及び良好な泡立ち特性を提供する。それは、食べ物のしつこい汚れの洗浄(調理時、焼成時及び焼付時の汚れ)及び油脂の洗浄に関して利点を提示する。
【0008】
本発明の組成物を使用するとき、泡の外観は非常に興味をそそられる。洗浄器具から洗浄される品へ非常に素早く移動すると思われるふんわりした泡によって、泡は構成される。これは、より速くかつより良好な洗浄に役立つと考えられている。
【0009】
アミンオキシドの12.5重量%~約40重量%のローカットアミンオキシドを含む組成物は、洗浄及び泡に関して最適であることがわかっている。本発明の組成物はアミンオキシドの10重量%~45重量%のローカットアミンオキシドを含むことができるが、組成物のローカットアミンオキシドレベルがアミンオキシドの12.5重量%~40重量%のとき、ローカットアミンオキシドにより付与される洗浄及び泡の利点は最適であることが見いだされた。組成物がアミンオキシドの約60重量%~87.5重量%のミッドカットアミンオキシドを含むときも、追加の利点が得られる。
【0010】
本明細書で使用される好ましいローカットアミンオキシドにおいて、R3はn-デシルである。本明細書で使用される別の好ましいローカットアミンオキシドにおいて、R1及びR2は両方ともメチルである。本明細書で使用される特に好ましいローカットアミンオキシドにおいて、R1及びR2は両方ともメチルであり、R3はn-デシルである。
【0011】
好ましくはアミノオキシドは、アミンオキシドの約5重量%未満、より好ましくは3重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを含む。R7R8R9AOを含む組成物は不安定な傾向があり、強力な泡効果(suds mileage)を提供しない。
【0012】
本発明の組成物はアニオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤は任意のアニオン性洗浄性界面活性剤であってよく、好ましくはアニオン性界面活性剤は、サルフェートアニオン性界面活性剤、より好ましくはアルキルサルフェート及び/又はアルコキシ化サルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくはアルキルアルコキシ化サルフェートを含み、好ましくはアルコキシ化アニオン性界面活性剤は約0.2~約3、好ましくは約0.2~約2、最も好ましくは約0.2~約1.0の平均アルコキシ化度を有する。約5%~約40%の重量平均分枝率を有する分枝状アニオン性界面活性剤も好ましい。
【0013】
好ましくは本発明の組成物は、組成物の約1重量%~約60重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、より好ましくは約8重量%~約40重量%の界面活性剤の総量を含む。好ましくは本発明の組成物は、組成物の約5重量%~約40重量%、より好ましくは約8重量%~約35重量%、更により好ましくは約10重量%~約30重量%のアニオン性界面活性剤を含む。
【0014】
好ましくはアニオン性界面活性剤及びアミンオキシドは、約1:1~約10:1、好ましくは約2:1~約4:1の重量比である。アニオン性界面活性剤及びアミンオキシド界面活性剤がこのような比率である組成物は、非常に良好な泡効果を示す。
【0015】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の2重量%未満、より好ましくは、1重量%未満の非イオン性界面活性剤を含む。この低レベルの非イオン性界面活性剤を有する組成物は、より強力な洗浄系を提供できることが見いだされた。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、本発明の食器洗い洗剤を製造する方法が提供される。前記方法は、ローカットアミンオキシドを含む流れと、ミッドカットアミンオキシドを含む別の流れの2つの異なる流れの使用を必要とする。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、本発明の洗剤組成物を所定体積の水に送達させて、水中に汚れた食器を浸漬する工程を含む、食器を手作業で洗う方法を提供する。本発明の組成物がこの方法に従って使用されるとき、長持ち効果を有する優れた泡立ち特性が得られる。
【0018】
本発明の目的のために、本明細書の「食器」は調理器具及び食卓用食器を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、手洗い用食器洗い洗剤組成物を想定している。好ましくは液状である。洗剤組成物は、アニオン性及びアミンオキシド界面活性剤を含む界面活性剤系を含む。該洗剤組成物は、非常に良好な洗浄、特に油脂の洗浄を提供する。該洗剤組成物は、調理時、焼成時及び焼付時の洗浄を含む、食べ物のしつこい汚れの洗浄にも良好である。該洗剤組成物は、非常に良好な泡効果及び泡立ち特性を提供する。
【0020】
洗剤組成物
洗剤組成物は手洗い用食器洗い洗剤であり、好ましくは液状である。該洗剤組成物は通常、組成物の30重量%~95重量%、好ましくは40重量%~90重量%、より好ましくは50重量%~85重量%の液体担体を含有し、この担体には他の必須成分及び任意成分が溶解、分散又は懸濁している。液体担体の好ましい1つの成分は水である。
【0021】
好ましくは組成物のpHは、3~1、より好ましくは4~13、より好ましくは6~12、及び最も好ましくは8~10に調整される。pHは、20℃で脱イオン水中10重量%生成物溶液として測定される。組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整することができる。
【0022】
組成物は、1%~60%、好ましくは5%~50%、より好ましくは8%~40%の界面活性剤の総量を含む。アニオン性及びアミンオキシド界面活性剤に加えて、組成物は任意に、非イオン性界面活性剤、双性イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤を含むことができる。
【0023】
アミンオキシド界面活性剤
アミンオキシド界面活性剤は洗浄を改善し、洗剤組成物の泡を増量させる。これは洗浄を改善し、泡の増量は、アニオン性界面活性剤及びアミンオキシドの組み合わせ並びに特許請求されるレベルのローカットアミンオキシドの存在により達成される。
【0024】
ローカットアミンオキシド
本発明の意味の範囲内で、「ローカットアミンオキシド」とは、カットの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、及びより好ましくは少なくとも98%、及び特に少なくとも100%が式:R1R2R3AO(式中、R1及びR2は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R3はC10のアルキル及びこれらの混合物から選択される)を有しているアミンオキシドを意味する。
【0025】
ミッドカットアミンオキシド
本発明の範囲内で、「ミッドカットアミンオキシド」とは、カットの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、及びより好ましくは少なくとも98%、及び特に少なくとも100%が式:R4R5R6AO(式中、R4及びR5は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R6はC12~C16のアルキル及びこれらの混合物から選択される)を有しているアミンオキシドを意味する。
【0026】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤としては、その分子構造中に一般に8~22個の炭素原子又は一般に8~18個の炭素原子を含む有機疎水基と、水溶性化合物を形成するための、好ましくはスルホネート、サルフェート、及びカルボキシレートから選択される少なくとも1つの水可溶化基と、を含有する、界面活性化合物が挙げられるが、これらに限定されない。通常、疎水基は、C8~C22のアルキル、又はアシル基を含む。このような界面活性剤は水溶性塩の形態で使用され、塩形成カチオンは、通常、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、及びモノ、ジ又はトリ-アルカノールアンモニウムから選択され、通常選択されるカチオンはナトリウムである。
【0027】
アニオン性界面活性剤は単一の界面活性剤であることができるが、通常はアニオン性界面活性剤の混合物である。好ましくはアニオン性界面活性剤は、サルフェート界面活性剤、より好ましくはアルキルサルフェート、アルキルアルコキシサルフェート及びこれらの混合物からなる群から選択されるサルフェート界面活性剤を含む。本明細書に用いるのに好ましいアルキルアルコキシサルフェートは、アルキルエトキシサルフェートである。
【0028】
好ましくはアニオン性界面活性剤はアルコキシ化されており、より好ましくは、約0.2~約4、更により好ましくは約0.3~約3、更により好ましくは約0.4~約1.5、特に約0.4~約1のアルコキシ化度を有するアルコキシ化分枝状アニオン性界面活性剤である。好ましくは、アルコキシ基はエトキシである。分枝状アニオン性界面活性剤が界面活性剤の混合物であるとき、アルコキシ化度は混合物のすべての成分の重量平均アルコキシ化度(重量平均アルコキシ化度)である。重量平均アルコキシ化度の計算において、アルコキシ化された基を有さないアニオン性界面活性剤成分の重量も含める必要がある。
重量平均アルコキシ化度=(x1*界面活性剤1のアルコキシ化度+x2*界面活性剤2のアルコキシ化度+...)/(x1+x2+...)
式中、x1、x2、...は、混合物の各アニオン性界面活性剤のグラム単位の重量であり、アルコキシ化度は、各アニオン性界面活性剤のアルコキシ基の数である。
【0029】
好ましくは、本発明の洗剤で使用するアニオン性界面活性剤は、約5%~約40%、好ましくは約10%~約35%、より好ましくは約20%~約30%の分枝率を有する分枝状アニオン性界面活性剤である。好ましくは、分枝基はアルキルである。典型的には、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、環状アルキル基及びこれらの混合物から選択される。単一又は複数のアルキル分枝基は、本発明の洗剤で使用するアニオン性界面活性剤を生成するために用いる、出発アルコール(複数を含む)のヒドロカルビル主鎖に存在することができる。最も好ましくは、分枝状アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルエトキシサルフェート、及びこれらの混合物から選択される。
【0030】
分枝状アニオン性界面活性剤は、単一のアニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の混合物であり得る。単一の界面活性剤の場合、分枝の割合は、界面活性剤が誘導される元のアルコールにおいて分枝しているヒドロカルビル鎖の重量%を指す。
【0031】
界面活性剤混合物の場合、分枝の割合は重量平均であり、以下の式に従って定義される。
分枝の重量平均(%)=[(x1*アルコール1中の分枝状アルコール1の重量%+アルコール2中の分枝状アルコール2の重量%+...)/(x1+x2+...)]*100
式中、xl、x2、...は、本発明の洗剤のアニオン性界面活性剤のための出発原料として使用したアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールのグラム単位の重量である。重量平均分枝化度の計算において、分枝基を有さないアニオン性界面活性剤成分の重量も含める必要がある。
【0032】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、約5%~約40%、好ましくは約10%~約35%、より好ましくは約20%~約30%の分枝率を有する分枝状アニオン性界面活性剤であり、より好ましくは、分枝状アニオン性界面活性剤はその50重量%超のアルキルエトキシル化サルフェートを含む。好ましくは分枝状アニオン性界面活性剤は、約0.2~約3の平均エトキシ化度、及び好ましくは約5%~約40%の平均分枝率を有する。
【0033】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%を含み、より好ましくは、分枝状アニオン性界面活性剤は、その50重量%超のアルキルエトキシル化サルフェートを含み、該アルキルエトキシル化サルフェートは、約0.2~約3のエトキシ化度及び好ましくは約5%~約40%の分枝率を有する。
【0034】
サルフェート界面活性剤
本明細書で使用するのに好適なサルフェート界面活性剤としては、C8~C18のアルキル若しくはヒドロキシアルキル、サルフェート及び/又はエーテルサルフェートの水溶性塩が挙げられる。好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、ナトリウムが好ましい。
【0035】
サルフェート界面活性剤は、C8~C18の第1級分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS);C8~C18の第2級(2,3)アルキルサルフェート;C8~C18のアルキルアルコキシサルフェート(AExS)から選択することができ、好ましくはxは1~30であり、アルコキシ基はエトキシ、プロポキシ、ブトキシ、又は更なる高級アルコキシ基及びこれらの混合物から選択されることができる。
【0036】
アルキルサルフェート及びアルキルアルコキシサルフェートは、様々な鎖長、エトキシ化度及び分枝度で市販されている。市販品として入手可能なサルフェートとしては、Shell社製のNeodolアルコール、Sasol社製のLial-Isalchem及びSafol、Procter & Gamble Chemicals社製の天然アルコールをベースにしたものが挙げられる。
【0037】
好ましくは、分枝状アニオン性界面活性剤は、分枝状アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも70重量%のサルフェート界面活性剤を含む。洗浄観点の技術から特に好ましい洗剤は、分枝状アニオン性界面活性剤がその50重量%超、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも70重量%のサルフェート界面活性剤を含んでおり、このサルフェート界面活性剤がアルキルサルフェート、アルキルエトキシサルフェート及びこれらの混合物からなる群から選択される洗剤である。更により好ましいのは、分枝状アニオン性界面活性剤が約0.2~約3、より好ましくは約0.3~約2、更により好ましくは約0.4~約1.5、特に約0.4~約1のエトキシ化度を有しており、更により好ましくはアニオン性界面活性剤が約10%~約35%、より好ましくは約20%~約30%の分枝率を有するときの洗剤である。
【0038】
スルホネート界面活性剤
本明細書で使用するのに好適なスルホネート界面活性剤としては、C8~C18のアルキル又はヒドロキシアルキルスルホネートの水溶性塩;C11~C18のアルキルベンゼンスルホネート(LAS)、国際特許WO 99/05243号、同WO 99/05242号、同WO 99/05244号、同WO 99/05082号、同WO 99/05084号、同WO 99/05241号、同WO 99/07656号、同WO 00/23549号及び同WO 00/23548号で述べられている変性アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);及びα-オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。スルホネート界面活性剤としては、モノスルホネート及び/又はジスルホネートであり得るパラフィンスルホネートも挙げられ、10~20個の炭素原子を有するパラフィンのスルホン化により得られる。スルホネート界面活性剤としては、アルキルグリセリルスルホネート界面活性剤も挙げられる。
【0039】
存在する場合、非イオン性界面活性剤は、組成物の2重量%未満、好ましくは1重量%未満の量で含まれる。好適な非イオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールと1~25モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分枝鎖状、第1級又は第2級でよく、一般的に8~22個の炭素原子を含有する。特に好ましいのは、10~18個の炭素原子、好ましくは10~15個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルコールと、アルコール1モル当たり2~18モル、好ましくは2~15モル、より好ましくは5~12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。極めて好ましい非イオン性界面活性剤は、ゲルベアルコールと、アルコール1モル当たり2~18モル、好ましくは2~15モル、より好ましくは5~12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。
【0040】
双性イオン性界面活性剤
他の好適な界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)並びにホスホベタインなどのベタインが挙げられ、好ましくは次の式(I)に合致する。
1-[CO-X(CH2nx-N+(R2)(R3)-(CH2m-[CH(OH)-CH2y-Y- (I)式中、
1は飽和又は不飽和C6~22アルキル残基であり、好ましくはC8~18アルキル残基、特に飽和C10~16アルキル残基、例えば飽和C12~14アルキル残基であり、
Xは、NH、C1~4アルキル残基R4を有するNR4、O又はSであり、
nは、1~10の数、好ましくは2~5、特に3であり、
xは0又は1、好ましくは1であり、
2、R3は独立して、ヒドロキシエチル、好ましくはメチルなどのヒドロキシ置換される可能性のあるC1~4アルキル残基であり、
mは1~4の数、特に1、2又は3であり、
yは0又は1であり、
YはCOO、SO3、OPO(OR5)O又はP(O)(OR5)Oであり、式中R5は水素原子H又はC1~4アルキル残基である。
【0041】
好ましいベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインであり;
1-N+(CH32-CH2COO- (Ia)
1-CO-NH(CH23-N+(CH32-CH2COO- (Ib)
1-N+(CH32-CH2CH(OH)CH2SO3- (Ic)
1-CO-NH-(CH23-N+(CH32-CH2CH(OH)CH2SO3- (Id)、式中、R1は式Iと同じ意味である。特に好ましいベタインは、カルボベタイン[式中、Y-=COO-]であり、特に式(Ia)及び(Ib)のカルボベタインであり、式(Ib)のアルキルアミドベタインが最も好ましい。
【0042】
好適なベタイン及びスルホベタインの例は、アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、ベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチル大豆グリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、PG-ベタインのプロピルジメチコーン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ仁アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノール酸アミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタインである[INCIに従って表記]。
【0043】
例えば、好ましいベタインはココアミドプロピルベタインである。
【0044】
本明細書の洗剤組成物は、ビルダー、キレート剤、調整用ポリマー、洗浄用ポリマー、表面改質用ポリマー、汚れ凝集用ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚再生活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性化剤、香料、悪臭防除剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、無機カチオン(例えばCa/Mgイオンなどのアルカリ土類金属)、抗菌剤、防腐剤、及びpH調整剤、並びに緩衝化手段など、多くの任意成分を含むことができる。
【0045】
洗浄方法
本発明の他の態様は、本発明の組成物により食器を洗浄する方法に関する。
【0046】
本明細書の組成物は、希釈形態にて適用できる。汚れた食器を、有効量、通常は(処理される食器25個当たり)約0.5mL~約20mL、好ましは約3mL~約10mLの本発明の洗剤組成物(好ましくは液状)を水で希釈したものと接触させる。使用される洗剤組成物の実際の量は使用者の判断に基づくが、通常は組成物中の有効成分の濃度などを含む組成物の特定の製品配合、洗浄される汚れた食器の数、食器の汚れの度合などの要因によって決まる。一般に、約0.01mL~約150mL、好ましくは約3mL~約40mLの本発明の液体洗剤組成物が、約1000mL~約20000mL、より一般的には約5000mL~約15000mLの範囲の容積のシンク中で、約2000mL~約20000mL、より一般的には約5000mL~約15000mLの水と組み合わされる。汚れた食器をこうして得た希釈組成物の入ったシンク内に浸漬して、食器の汚れた表面を布、スポンジ又は類似の物品と接触させて洗浄する。布、スポンジ、又は類似の物品は、食器表面と接触する前に、洗剤組成物と水との混合物に浸漬されてもよく、通常は約1~約10秒の範囲の時間にわたって食器表面と接触するが、実際の時間は各適用及び使用者によって異なる。布、スポンジ、又は類似の物品を食器表面に接触させることは、好ましくは同時に食器表面を擦ることにより達成される。
【0047】
別の方法は、液体食器洗い洗剤無しで、汚れた食器を水浴中に浸漬する、又は流水下に保持することを含むことができる。スポンジなどの液体食器洗い洗剤を吸収する道具は、別の分量の非希釈の液体食器洗い組成物と、通常は約1~約5秒の範囲の時間にわたって直接接触するように置かれる。次に、吸収道具、したがって非希釈の液体食器洗い組成物を、汚れた食器のそれぞれの表面と個別に接触させて、汚れを除去する。吸収道具は通常、約1~約10秒の範囲の時間にわたってそれぞれの食器表面と接触するが、実際の適用時間は、食器の汚れの程度などの要因に左右されることになる。吸収道具を食器表面に接触させることは、好ましくは同時に擦ることを伴う。
【0048】
あるいは、道具は、食器表面と接触するのに先立って、手洗い用食器洗浄組成物と水との混合物中に浸漬されてもよく、この濃縮溶液は、洗浄道具を収容できる小さい容器内で、使用者の習慣と洗浄作業に応じて、それぞれ約95:5~約5:95、好ましくは約80:20~約20:80、より好ましくは約70:30~約30:70の範囲の手洗い食器洗浄用液体:水の重量比で手洗い用食器洗浄組成物を水で希釈することにより作製される。
【0049】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に制限されると理解されるべきでない。むしろ、特に断りのない限り、そのような各々の寸法は、列挙される値とその値の周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示されている寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【実施例
【0050】
手洗い用食器洗い洗剤組成物の泡の性能の評価
手洗い用食器洗い洗剤組成物(実施例A~G)の泡の性能を、本明細書に記載されているプロトコルに従って希釈条件下で評価した。異なるアミンオキシドの泡効果性能(B~G)を、2つの異なる油汚れの存在下、3つの異なる硬度条件(2dH-15dH-30dH)で、35℃にてローカットアミンオキシド無しの参照部分Aと比較して(洗剤濃度:汚れ1:2000ppm/汚れ2:1200ppm)評価し、平均化した。最も好ましい範囲内のn-C10ジメチルアミンオキシドを含む部分B及びCは、明らかに最も強力な泡効果性能特性を示した。n-C10ジメチルアミンオキシドは更に、C8及びC12の類似配合物と比較してより強力な性能を示した(部分B及びC対部分A、F及びGの比較)。n-C8ジメチルアミンオキシド試料(部分F及びG)は安定性の問題も有した、すなわち調整後に室温でも濁りが観察された。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
DMAO:ジメチルアミノオキシド
汚れ組成物
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
泡効果試験プロトコル:
食器洗剤液の特定の溶液によって生成される泡の体積の変化は、汚れの周期的注入の影響下で、特定の硬度、溶液温度及び洗剤濃度に従う。データは、泡効果指標として参照生成物に対して比較されて表される(参照生成物は泡効果指標100を有する)。
【0058】
標的洗剤濃度に応じた規定量の食器洗浄生成物は、0.4MPa(4バール)の一定圧力で4Lまでシンク(寸法:円筒形-直径300mm及び高さ288mm)を満たし始める水流内へ、シンクの底面上37cmの高さで、0.67mL/秒の流量でピペットにより分注される。この圧力で、最初の泡体積はシンク内で発生する。
【0059】
最初の泡体積(平均泡高さ*シンク表面積)を記録した後、一定量の汚れ(6mL)をシンクの中央にほぼ即座に注入する一方、パドル(金属ブレード10×5cm、45度の角度で気相液相界面でシンクの中央に位置する)を85rpmで溶液内で20回回転させる。この工程後、すぐに泡体積の総量の別の測定が続く。測定した泡体積が400cm3に設定した最小レベルになるまで、汚れの注入工程、撹拌工程及び測定工程が繰り返される。最少レベルに達するのに必要な汚れの追加量が、その特定の試料の泡効果とみなされる。
【0060】
全プロセスが、試料当たり及び試験条件(温度、濃度、硬度、汚れの種類)当たり、4回繰り返される。最終結果として、4回の繰り返しの平均泡効果は各試料ごとに計算されて、試験条件にわたって平均化される。試験試料の平均泡効果と参照試料の平均泡効果を比較することにより、試験試料の性能と参照試料の性能の比較を示し、(試験試料の汚れ追加の平均数/参照試料の汚れ追加の平均数)*100として計算される泡効果指標として表される。