(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】基板ホルダ自動装填装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220524BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20220524BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20220524BHJP
C25D 17/08 20060101ALI20220524BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H01L21/68 A
C25D21/12 E
C25D17/06 A
C25D17/08 A
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019550850
(86)(22)【出願日】2018-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2018054024
(87)【国際公開番号】W WO2018166757
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-03
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルディガー・プレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ブッフベルガー
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-111404(JP,A)
【文献】特開2007-073540(JP,A)
【文献】特開2007-132466(JP,A)
【文献】特表2013-528759(JP,A)
【文献】特表2018-503745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
C25D 21/12
C25D 17/06
C25D 17/08
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を無塵室の基板ホルダの内部に自動的に且つ水平に装填するための基板ホルダ装填装置(1)において、
前記基板ホルダ装填装置(1)が、基板ホルダ案内要素と駆動ユニット(2)と移動機構(6)と基板ホルダ処理要素(7)と開放機構とを含んでおり、
前記駆動ユニット(2)が、前記移動機構(6)に接続されており、
前記移動機構(6)が、前記基板ホルダ処理要素(7)に接続されており、
前記移動機構(6)が、前記基板の表面に対して略平行な軸線に沿って前記基板ホルダ処理要素(7)を回転させるために、前記駆動ユニット(2)からの駆動力を前記基板ホルダ処理要素(7)に伝達させるように構成されており、
前記基板ホルダ処理要素(7)が、約180°回転するように構成されており、
前記基板ホルダ処理要素(7)が、可逆的に前記基板ホルダを固定するように構成されており、前記基板ホルダ処理要素(7)が、前記開放機構を含んでおり、
前記開放機構が、前記基板ホルダを自動的に開閉するように構成されており、
前記移動機構(6)が、ステッピング歯車(3)を含んでおり、及び/又は、前記駆動ユニット(2)が、ステップモータとされることを特徴とする基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記基板ホルダ案内要素が、前記基板ホルダの縁部に接触するように構成されている限界ストッパと、前記基板ホルダの相手部品に嵌入するように構成されている突出要素とから成る群から選定されることを特徴とする請求項1に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項3】
前記開放機構が、機械式手段、圧力式手段、又は磁気式手段に基づくことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項4】
前記ステッピング歯車(3)の入力シャフト、前記ステッピング歯車(3)の出力シャフト、又は前記入力シャフト及び前記出力シャフトの両方が、球状のウォーム歯車を含んでいることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項5】
前記基板ホルダ処理要素(7)が、前記基板が前記基板ホルダの一部分とは異なる部分に載置された状態で可逆的に前記基板ホルダの前記一部分に取り付けるための真空グリッパを含んでいることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項6】
前記基板ホルダ装填装置(1)が、前記開放機構が動作している際に前記基板ホルダの少なくとも2つの部分を押圧するように構成されている押圧ツール(5)を含んでいることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項7】
押圧ツール(5)が、少なくとも1つの滑り要素(9)を含んでおり、
少なくとも1つの前記滑り要素(9)が、少なくとも1つの前記滑り要素(9)において自由な微細粒子を排出するように構成されている真空要素(8)と連結されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの滑り要素(9)が、前記基板ホルダ処理要素(7)の外部に配置されている真空ポンプに接続されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項9】
前記基板ホルダ処理要素(7)が、外部シェル(4)を含んでいることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)。
【請求項10】
含水処理、好ましくは電気鍍金をするための無塵室処理装置であって、
少なくとも1つの請求項1~9のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)を含んでいることを特徴とする無塵室処理装置。
【請求項11】
前記無塵室処理装置が、基板を前記無塵室処理装置の内部に導入されたカセットから前記基板ホルダ装填装置(1)に輸送するための少なくとも1つのロボットアームを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の無塵室処理装置。
【請求項12】
前記無塵室処理装置が、前記基板が前記基板ホルダ装填装置(1)の内部に配置された基板ホルダの内部に載置される前に、前記基板を位置合わせするように構成されている少なくとも1つの位置合わせ装置を含んでいることを特徴とする請求項10又は11に記載の無塵室処理装置。
【請求項13】
ロボットアームが、前記基板を位置合わせ装置から前記基板ホルダ装填装置(1)に輸送するために、接触式グリッパを利用することを特徴とする請求項10~12のいずれか一項に記載の無塵室処理装置。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の基板ホルダ装填装置(1)を利用することによって第1の基板を基板ホルダに装填することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記方法が、
a)基板ホルダを前記基板ホルダ装填装置(1)の内部に取り付けるステップと、
b)第1の相手部品を前記基板ホルダから取り外すステップと、
c)
前記第1の相手部品を
前記基板ホルダから取り外すことによって、既に前記基板ホルダに収容された基板を固定解除するステップと、
d)第1の基板を前記基板ホルダに載置するステップと、
e)前記第1の基板の頂面において前記第1の相手部品を前記基板ホルダに固定するステップと、
f)前記基板の表面に対して略平行な軸線の周りに前記基板ホルダを約180°回転させるステップと、
g)第2の相手部品を前記基板ホルダから取り外すステップと、
h)
前記第
2の相手部品を
前記基板ホルダから取り外すことによって、既に前記基板ホルダに収容された基板を固定解除するステップと、
i)第2の基板を前記基板ホルダに載置するステップと、
j)前記第2の基板の頂面において前記第2の相手部品を前記基板ホルダに固定するステップと、
を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは電気鍍金のための基板ホルダ自動装填装置、及び当該基板ホルダ自動装填装置を含む無塵室処理装置に関する。さらに、本発明は、両面基板ホルダを自動的に装填するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において、基板ホルダの利用が知られている。当該技術分野では、非常に繊細な表面を一般に具備する基板が、少なくとも1つの処理ステップを通じて基板の容易な輸送及び処理を可能とするために、基板ホルダに載置される。このような基板ホルダを利用することによって、基板が損傷する危険性が低減され、非常に繊細な基板を自動的に処理することさえ可能となる。例えば特許文献1及び特許文献2は、このような基板ホルダ及びその利点について開示している。
【0003】
しかしながら、このような基板装填要素は、基板を滑らかに操作することと基板を基板ホルダに正確に載置することとのバランスをとるようになっている。基板を基板ホルダに対して操作する際に、例えば基板がグリッパ及び基板ホルダに堅固に取り付けられている場合には、非常に正確な載置が可能となる。上述の取付のうち1つ又は2つの取付が弱められると、当該載置の正確性は、少なくとも長期間が経過すると損なわれる。繊細さが非常に高められた新しい種類の基板に非常に高品質のコーティングを施すためには、正確な載置と滑らかな操作との新しいバランスが要求される。現行のシステムは、必要なバランスをもたらすことも、コストを劇的に増加させることもないように思われる。当該技術分野では、複数の課題が知られている。複数回に亘って載置の速度を低減させるか又は位置を訂正することによって、処理量が減少する。当該ステップは、処理のボトルネックを既に表わしているからである。比較的大きい基板を利用することによってあまり正確でない載置を許容し、基板の見落とされた未処理の外側部分を無視することは、処理された基板の高価値並びに無塵室製品を製造及び維持するためのコストを考慮すると、著しいロスを表わす。通常の大きさの基板を利用することによって位置決めの正確性を失うことを受け入れ、電気接点の不正確な位置決めを甘受することは、不規則な電気的接触をもたらすので、その結果として著しく不均一な被覆が形成され、高レベルの品質要求に応えることができない。従って、対応する基板を検査する必要があるが、著しく大量の基板が市場の要求する仕様を満たさないことが予想される。さらに、現代社会において電子製品の重要性が着実に大きくなっていることに鑑みて、優位には、製造システムは、現在の需要に迅速に適応すると共に、無塵室の作業領域を最小限利用することによって可能な限り早く製造に適応するために、様々な基板及び基板ホルダを柔軟に且つ迅速に処理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公報第2014-053300号パンフレット
【文献】国際公報第2016-096946号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、新しい種類の基板に対応可能な、滑らかな処理と正確な処理との改善されたバランスを提供するための改良された基板ホルダ装填装置であって、好ましくはフレキシブルな利用を可能とすると共に高い基板処理能力を有する基板ホルダ装填装置に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題は、独立請求項及び発明の詳細な説明に記載の本発明によって解決される。付加的な利点を提供するさらなる改善は、従属請求項及び発明の詳細な説明に記載されている。しかしながら、本明細書には明示されていないが、本明細書から容易に想到又は導出することができる一層さらなる利点は、本発明及び本明細書に記載の本発明の実施例から理解可能である。
【0007】
基板を無塵室の基板ホルダの内部に自動的に且つ水平に装填するための基板ホルダ装填装置において、基板ホルダ装填装置が、基板ホルダ案内要素と駆動ユニットと移動機構と基板ホルダ処理要素と開放機構とを含んでおり、駆動ユニットが、移動機構に接続されており、移動機構が、基板ホルダ処理要素に接続されており、移動機構が、基板の表面に対して略平行な軸線に沿って基板ホルダ処理要素を回転させるために、駆動力を駆動ユニットから基板ホルダ処理要素に伝達させるように構成されており、基板ホルダ処理要素が、約180°回転するように構成されており、基板ホルダ処理要素が、可逆的に基板ホルダを固定するように構成されており、基板ホルダ処理要素が、開放機構を含んでおり、開放機構が、基板ホルダを自動的に開閉するように構成されており、移動機構が、ステッピング歯車を含んでおり、及び/又は、駆動ユニットが、ステップモータとされ、好ましくは移動機構が、ステッピング歯車を含んでいる、基板ホルダ装填装置に関する。
【0008】
移動機構が、ステッピング歯車を含んでいることが特に望ましいことに留意すべきである。このような移動機構によって、基板ホルダ処理要素を確実に移動させることができ、高いエネルギ効率及び高い信頼性を有する基本的な駆動機構を利用することができるようになる。
【0009】
本明細書で利用される“約180°”との記載は、好ましくは160°~200°、より好ましくは170°~190°、一層好ましくは175°~185°の間の任意の角度を意味する。約180°が180°の角度を意味することが特に望ましい。本明細書では、全体で約180°の回転を実現するために、回転が中断されるか、又は約180°より大きい角度で回転され、さらには逆方向への他の回転を含む場合があることに留意すべきである。しかしながら、基板ホルダ処理要素が直接180°回転することが一般に望ましい。当然ながら、基板ホルダ処理要素が特定角度より小さい角度で回転可能とされることもある。このような回転は、装填された基板ホルダを基板ホルダ装填装置から処置無塵室の浴槽又は電気鍍金チャンバに移動させる前に、例えば基板ホルダを垂直に方向づけるために利用される。さらには、基板ホルダ処理要素は、より大きい角度で回転するように構成されている場合もある。しかしながら、より大きい回転をするように構成されている基板ホルダ装填装置を設けることは、一般に対応する利点によって補償されない装置の必要性が高まることに起因してあまり有益ではないことに留意すべきである。これに関連して、例えば回転の際に、安全性リスクを高めることなくこのような約180°の回転を確実に実施し、特に基板ホルダ処理要素の電気配線及び真空配管の接続を確保することは、全く困難であるが、本発明の目的であることに留意すべきである。当業者は当該課題を解決するために無塵室の外側に配置された標準的な手段に依存しているが、無塵室の高い要求は、長い間動作停止することなく安全な製造を確保するための最良にバランスされた解決手段を要求すると同時に、多くの可能性を消滅させる。
【0010】
さらに、本発明は、含水処理、好ましくは電気鍍金のための無塵室処理装置であって、少なくとも1つの本発明における基板ホルダ装填装置を含んでいる無塵室処理装置に関する。
【0011】
さらに、本発明は、本発明における基板ホルダ装填装置を利用することによって第1の基板を基板ホルダに装填するための方法に関する。
【0012】
本明細書で利用される“基板ホルダを自動的に開閉する”との記載は、距離に基づいて事前にプログラムされているか又は動作する基板ホルダを自動的に開閉することを意味する。例えば、処理装置は、当該処理装置の内部で処理された基板を滑らかに且つ迅速に処理するためのプロセスステップに基づいて、基板ホルダ装填装置に導入された基板ホルダを自動的に開閉するようにプログラムされている。さらに、処理装置は、例えば当該処理装置の手動操作の際には、段階的方法に基づく処置手順を検討するために又は故障修理のために、作業者によって処理装置の外部から動作させることができる。
【0013】
本発明を一層完全に理解するために、添付図面と連携して考慮される以下の発明の詳細な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明における基板ホルダ装填装置の概略的な斜視図である。
【
図2】押圧ツールが開放された状態における、
図1に表す基板ホルダ装填装置の基板ホルダ処理要素の内部の概略的な斜視図である。
【
図3】押圧ツールが降下された状態における、
図1に表す基板ホルダ装填装置の基板ホルダ処理要素の内部の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一の実施態様では、本発明は、無塵室の内部において基板を基板ホルダに自動的に水平に装填するための基板ホルダ装填装置であって、基板ホルダ装填装置が、基板ホルダ案内要素と駆動ユニットと移動機構と基板ホルダ処理要素と開放機構とを含んでおり、駆動ユニットが、移動機構に接続されており、移動機構が、基板ホルダ処理要素に接続されており、移動機構が、基板の表面に対して略平行とされる軸線を中心として基板ホルダ処理要素を回転させるために、駆動ユニットから基板ホルダ処理ユニットに至るまで駆動力を伝達させるように構成されており、基板ホルダ処理要素が、約180°回転するように構成されており、基板ホルダ処理要素が、基板ホルダを可逆的に固定するように構成されており、基板ホルダ処理要素が、開放機構を含んでおり、開放機構が、基板ホルダを自動的に開閉するように構成されており、移動機構が、ステッピング歯車を含んでおり、及び/又は駆動ユニットが、ステッピングモータとされ、好ましくは移動機構が、ステッピング歯車を含んでいる、基板ホルダ装填装置に関する。上述の基板ホルダ装填装置を利用することによって基板ホルダに装填されるべき基板としては、本発明では、ウエハーのような板状の基板や印刷回路基板、好ましくはウエハーが挙げられる。
【0016】
一般には、駆動ユニットと基板ホルダ処理要素との間における距離、及び/又は移動機構の長さが可能な限り短く維持されることが望ましい。特に駆動ユニット及び/又はステッピング歯車と基板ホルダ処理要素との間における距離が、一般に、好ましくは50cmより短く、より好ましくは30cmより短く、より一層好ましくは20cmより短い。一般に、移動機構がステッピング歯車を含んでいることが特に望ましい。このような移動機構によって、基板ホルダ処理要素を確実に移動させることができ、高いエネルギ効率と高い信頼性を有する基本的な駆動ユニットを利用可能となる。
【0017】
本明細書で利用される“基板の表面に対して略平行とされる軸線の周りに回転する”との記載は、基板ホルダ装填装置における装填プロセスの際に基板ホルダの内部に載置された基板の表面に対して平行とされる軸線から僅かに逸れた軸線に基づく回転を意味する。当該軸線は、このような平行軸線から、好ましくは10°より小さい角度で、より好ましくは5°より小さい角度で、より一層好ましくは2°より小さい角度で逸れている。一般には、当該軸線が基板の表面に対して平行とされることが特に望ましい。
【0018】
本明細書で利用される“移動機構”との記載は、駆動機構によって発生される駆動力を基板ホルダ処理要素に伝達させるように構成されている基板ホルダ装填装置のサブユニットを意味する。
【0019】
驚くべきことに、本発明の上述の目的を考慮すると、本発明における基板ホルダ装填装置が全体的に最良の結果を提供したことに留意すべきである。特に、基板ホルダを移動させるためのステッピング歯車を含む本発明における機械式手段が、大いなる利点を提供したことに留意すべきである。このような機構が基板に隣接する無塵室の空気の粒子汚染を結果的にもたらすとの予想に反して、当該機構が液圧式機構、空圧式機構、又は他の機械式機構のような気候と比較して格段に優れていることが判明した。本発明では、このような簡素に格納されたステッピング歯車が、大気の汚染を著しく低減するか、又は防止することに留意すべきである。このような格納形態は、任意の自由な微細粒子を零に近づけるように又は完全に除去するように当該微細粒子を低減させるために、真空要素と効果的に組み合わせることができる。しかしながら、付加的な真空要素を必要としなくても、このように格納されたステッピング歯車を利用することによって、質的に高い無塵室の要件を満たすことができることに留意すべきである。同時に、このようなステッピング歯車を利用することによって、回転の程度を効果的に制御することができる一方、駆動ユニットを例えば簡易の小型非同期モータから選択することができるので、あまり多くのエネルギを必要とせず、長い耐用寿命と高い信頼性を提供することができる。無塵室内の基板に隣接するこのような機械式移動構成要素の驚くべき能力にも関わらず、当該機械式手段は、さらに本発明における基板ホルダ処理要素を処理することができる。装備されるべき機構、電子機器、及び電子制御装置の数量を考慮すると、基板ホルダ処理要素の重量は、安全運転の確保を考慮した関連要因となる。一般的な大きさの基板については、基板ホルダ処理要素の重量が容易に100kgを超える。
【0020】
さらに、液圧式又は空圧式の代替手段のような一般に利用されるシステムが、長期に亘る運転において好ましくないことが判明した。当該システムは、必要な精度を有しておらず、処理装置が少なくとも長期に亘って必然的に動作不能となる甚大な損傷をもたらすシステムのバランスのずれ又は不具合を検知するために、非常に複雑な制御を必要とした。
【0021】
さらに、基板ホルダを水平に載置することによって、基板を高精度で載置させつつ、基板に作用する応力を低減させることができることが判明した。基板ホルダ処理要素の重量が大きいにも関わらず、正確に約180°回転させることと組み合わせて、基板ホルダ装填装置は著しく改善される。
【0022】
さらに、本発明における基板ホルダ装填装置が、モジュール式システムを提供するために特に優位であることが判明したことに留意すべきである。本発明における基板ホルダ装填装置によって、点検の際に基板ホルダ処理要素を単独で交換することができるか、又は様々なタイプの基板ホルダのための様々なタイプの基板ホルダ処理要素を提供することができる。このことは、本発明におけるシステムによって大部分の複雑且つ固有の部品が基板ホルダ処理要素に含まれているので、重量物を正確に処理することができることに基づいて可能となる。特に制御機構を基板ホルダ処理要素に内蔵しているので、必要な接続部の数量を大きく低減させることができ、ひいてはこのような基板ホルダ処理要素の接続切断及び再接続を単純化することができる。
【0023】
また、基板ホルダを基板ホルダ処理要素に導入する装置の正確な移動によって正確な載置が実現されるが、基板ホルダ案内要素を提供することが有益であることに留意すべきである。このような機械的接触の結果として微細な粒子が発生し得るにも関わらず、特に当該方法の信頼性を考慮すると、このような副次的効果を無視することに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、基板ホルダ案内要素は、基板ホルダの縁部に接触するように構成されている限界ストッパと基板ホルダの相手部品に嵌入するように構成されている突出要素とから成る群から選定される。
【0024】
一般に、基板ホルダ案内要素は、少なくとも1つの突出要素を含むことが特に望ましい。このことは、様々なタイプの基板ホルダが利用可能とされるという利点をさらに提供する。基板ホルダの外縁が正確な載置に無関係になるからである。さらに、基板ホルダの製造を単純化することができる。相手部品が製造プロセスの最後に基板ホルダの内部に導入されるからである。これにより、基板ホルダを単純化すると共に、基板ホルダの製造コストを減少させることができる。
【0025】
さらに、特定の開放機構が有益であることに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、開放機構は機械式手段、圧力式手段、又は磁気式手段に基づいている。機械式手段に基づく開放手段が特に有用であることが判明した。
【0026】
一般に、基板ホルダ装填装置の移動機構は、駆動ユニットの駆動力を基板ホルダ処理要素に伝達させるための機械式手段のみを利用することがさらに望ましい。移動機構の液圧式手段又は空圧式手段に基づく部品を完全に除外することによって、移動の精度をさらに高めることができ、移動速度を上昇させることができる。
【0027】
さらに、適切な歯車を選択することによってステッピング歯車の効率及び信頼性がさらに高められることに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、ステッピング歯車の入力シャフト、ステッピング歯車の出力シャフト、又はステッピング歯車の入力シャフト及び出力シャフトの両方が、球状のウォーム歯車を含んでいる。本発明では、単一の球状歯車を既に利用しているので、著しい改善が実現される。しかしながら、相互作用する両歯車は、球状のウォーム歯車から選定されることが特に望ましい。
【0028】
さらに、基板ホルダの一部分を可逆的に保持しつつ、基板を基板ホルダの異なる部分に配置させるための特定種類のグリッパを利用することによって、粒子汚染の危険性がさらに低減されることに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、基板ホルダ処理要素は、可逆的に基板ホルダの一部分を保持しつつ、基板を基板ホルダの異なる部分に配置させるための真空グリッパを含んでいる。
【0029】
さらに、機械式開放機構又は磁気式開放機構と共に利用する場合に特に有益である圧力ツールを含むことが一般には望ましい。本発明のさらなる実施例では、基板ホルダ装填装置は、開放機構が動作している際に基板ホルダの少なくとも2つの部分を共に押圧するための圧力ツールを含んでいる。機械式開放機構である場合には、このような圧力ツールを具備することが特に効果的である。基板ホルダの開閉の際に基板ホルダの部品が共に押圧され、且つ、開放機構に作用する応力が小さくなった場合に、微細粒子の発生がさらに低減されるように思われるからである。一般に、押圧ツールは、真空グリッパを含んでいる。基板ホルダの一部を可逆的に保持しつつ、基板を基板ホルダに載置させることが望ましい。
【0030】
さらに、驚くべきことに、滑り要素はさらなる粒子汚染源を表わすが、このような滑り要素を利用することは有用であることが判明した。本発明のさらなる実施例では、押圧ツールは少なくとも1つの滑り要素を含んでおり、少なくとも1つの滑り要素は、自由な微細粒子を少なくとも1つの滑り要素において排出するように構成されている真空要素と連携しており、好ましくは当該真空要素を含んでいる。一般に、基板ホルダ要素は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、一層好ましくは少なくとも4つの、このような真空要素と連携しているか又は当該シンク要素を含んでいる滑り要素を具備することが望ましい。このような機械式手段は、無塵室で利用される装置のために避けられるべきであるが、発生した微細粒子を除去するためにこのような滑り要素を真空要素と組み合わせることによって、基板を汚染させる危険に晒すことなく、圧力ツールの移動についての信頼性及び正確性の非常に良好なバランスを得ることができる。
【0031】
さらに、基板ホルダ処理要素の粒子源から微細粒子を除去するために真空源が必要とされないこと、ひいては、当該微細粒子を除去するために低出力の小型真空ポンプを利用することができることに留意すべきである。このような小型真空ポンプは、基板ホルダ処理要素に組み込み可能とされる。しかしながら、基板ホルダ処理要素の重量を低減させるために基板ホルダ処理要素の外部に真空ポンプを配置することが一般に望ましいことに留意すべきである。さらに、このような真空ポンプを発生源とする基板ホルダ処理要素の微振動を打ち消すことが、載置の精度をさらに向上させるように思われる。本発明のさらなる実施例では、少なくとも1つの真空要素が、基板ホルダ処理要素の外側に配置されている真空ポンプに接続されている。
【0032】
さらに、処理装置の周囲に対する境界を提供する外部シェルは、安全性を著しく高めることに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、基板ホルダ処理要素は外部シェルを含んでいる。さらに、このような外部シェルは、点検の際における基板ホルダ処理要素の交換を容易にすることに留意すべきである。基板保持装填装置の残りの構成要素は、著しく長い製品寿命と著しく高い信頼性を示すことができる。従って、このような手段を含む基板ホルダ処理要素は、全ての部品を具備する完全なユニットに容易に交換することができる。このような交換は、運転を維持するために最も重要なことであり、これにより動作不能時間を著しく低減させることによって処理量を増大させることができる。
【0033】
さらに、本発明における基板ホルダ装填装置は、驚くべきことに特に無塵室処理装置に適合していることに留意すべきである。ほかの実施態様では、本発明は、含水処理のための無塵室処理装置であって、少なくとも1つの本発明における基板ホルダ装填装置を含んでいる無塵室処理装置に関する。このような含水処理の例としては、化学金属付着(chemical metal deposition)、電気鍍金、化学エッチング若しくは電解エッチング、及び/又は化学洗浄が挙げられる。電気鍍金、化学エッチング、及び/又は化学洗浄のための無塵室処理装置が特に望ましく、電気鍍金のための無塵室処理装置が一層望ましい。このような電気鍍金は、例えば銅を付着させるために利用される。このような銅の付着は、垂直方向の付着によって優位に実施される。
【0034】
さらに、ロボットアームを具備することによって、本発明における基板ホルダ装填装置と組み合わせて、無塵室処理装置の内部における基板処理を自動化するための非常に効果的な方法が得られることに留意すべきである。本発明の更なる実施例では、無塵室処理装置は、基板を無塵室処理装置に導入されたカセットから基板ホルダ装填装置に輸送するための少なくとも1つのロボットアームを含んでいる。
【0035】
さらに、位置合わせ装置は、優位には無塵室処理装置に内蔵されていることに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、無塵室処理装置は、少なくとも1つの位置合わせ装置を含んでおり、当該位置合わせ装置は、基板が基板ホルダ装填装置である基板ホルダの内部に載置される前に、基板を位置合わせするように構成されている。このような位置合わせ装置を設けることによって、基板を一層正確に方向づけることが可能となるので、当該位置合わせ装置を設けることは、本発明における基板ホルダ装填装置の実施能力と組み合わせた場合に特に有用である。
【0036】
さらに、接触式グリッパ、特に真空グリッパは、一般的用途に特に適していることに留意すべきである。このようなグリッパは、基板を正確に配置させるのに特に適している。本発明のさらなる実施例では、ロボットアームは、基板を位置合わせ装置から基板ホルダ装填装置に輸送するために、接触式グリッパを利用している。一般に、このような接触式グリッパは、真空グリッパであることが望ましい。
【0037】
さらに、機械式手段による微細粒子の特に効率的な除去は、微細粒子を無塵室処理装置の外側に案内することによって達成されることに留意すべきである。本発明のさらなる実施例では、少なくとも1つの真空要素が、無塵室処理装置の外部に接続されている。このようにして、無塵室の内部の自由な微細粒子を零の近くに至るまで又は零に至るまで低減するために、無塵室処理装置を無塵室の外部と接続することが可能となる。
【0038】
他の実施態様では、本発明は、本発明における基板ホルダ装填装置を利用することによって基板ホルダに第1の基板を装填するための方法に関する。
【0039】
さらに、ことに留意すべきである。本発明における基板ホルダ処理は、2つの基板を基板ホルダの反対面に正確に載置するのに特に適している。本発明のさらなる実施例では、第2の基板が、第1の基板の配置に基づいて、基板ホルダの反対面に装填される。
【0040】
本発明のさらなる実施例では、基板ホルダ装填装置の基板ホルダ処理要素は、第2の基板が基板ホルダに装填される前に約180°回転される。このような方法は、基板に作用する機械的な負荷を低減させつつ、2つの基板の正確な載置に関して非常に良好な結果を得ることができる。
【0041】
本発明のさらなる実施例では、本発明における方法は、
d)第1の基板を基板ホルダに載置するステップと、
e)第1の基板の頂面の上の第1の相手部品を基板ホルダに固定するステップと、
f)基板ホルダを第1の基板の表面に対して略平行な軸線の周りに約180°回転させるステップと、
i)第2の基板を基板ホルダに載置するステップと、
j)第2の基板の頂面の上の第2の相手部品を基板ホルダに固定するステップと、
を含んでいる。
【0042】
本発明のさらなる実施例では、本発明における方法は、
a)基板ホルダを基板ホルダ装填装置の内部に取り付けるステップと、
b)第1の相手部品を基板ホルダから取り外すステップと、
c)基板ホルダの外側に存在する場合に第1の相手部品を取り外すことによって既に基板ホルダに収容された基板を固定解除するステップと、
d)第1の基板を基板ホルダの上に載置するステップと、
e)第1の基板の頂面において第1の相手部品を基板ホルダに固定するステップと、
f)基板ホルダを第1の基板の表面に対して略平行な軸線の周りに焼く180°回転させるステップと、
g)第2の相手部品を基板ホルダから取り外すステップと、
h)基板ホルダの外側に存在する場合に第2の相手部品を取り外すことによって既に基板ホルダの内部に収容された基板を固定解除するステップと、
i)第2の基板を基板ホルダの上に載置するステップと、
j)第2の基板の頂面において第2の相手部品を基板ホルダに固定するステップと、
を含んでいる。このような方法によって、高効率の装填プロセスに高い処理量を付与することができることに留意すべきである。本発明では、例えば処理から装填された基板ホルダが、基板ホルダ装填装置に導入される。基板ホルダ装填装置に収容された基板が取り外され、処理すべき第1の基板及び第2の基板が依然として開放されている基板ホルダに載置される。従って、基板が基板ホルダに既に配設されている場合であっても、処理プロセス全体が大きく変更されることなく、装填に要する時間は同様に維持される。例えば、これによって、同時に実施される複数のプロセスステップを具備する処理量が高いプロセスを、点検上の理由によってフレキシブルに単一の基板ホルダを交換すること、又は一方のタイプの基板ホルダを他方のタイプの基板ホルダに滑らかに交換することと自在に組み合わせることができる。
【0043】
本発明のさらなる実施例では、ステップd)及びi)における第1の基板及び第2の基板の載置は、ロボットアームに取り付けられている接触式グリッパ、より好ましくは真空グリッパを利用することによって実施される。このようなグリッパは、一般に基板の非常に正確な処理をすることができる点において一般に好ましい。
【0044】
以下の非限定的な例は、本発明の好ましい実施例を図解するために且つ本発明の理解を容易にするために示されているが、本明細書に添付されている特許請求の範囲によって規定される本発明の技術的範囲を限定することを意図する訳ではない。
【0045】
図1は、本発明における基板ホルダ処理装置1の概略的な斜視図である。基板ホルダ処理装置1は、基板を無塵室の内部の基板ホルダに自動的に水平に装填するのに適している。基板ホルダ処理装置1は、基板ホルダ案内要素と駆動ユニット2と移動機構6と基板ホルダ処理要素7と開放機構とを含んでいる。駆動ユニット2は、非同期モータであって、ステッピング歯車3を含む移動機構6に接続されている。移動機構6のステッピング歯車3は、入力シャフトと出力シャフトとを含んでおり、入力シャフトと出力シャフトとの両方が、球状のウォーム歯車を含んでおり、球状のウォーム歯車同士が、駆動力を入力シャフトから出力シャフトに伝達させるように相互作用している。このようなステッピング歯車3は、駆動力を特に効率的に伝達させることができると共に、長い耐用寿命を有している。
【0046】
移動機構6は、さらに基板ホルダ処理要素7に接続されている。駆動ユニット2の駆動力は、基板の表面に対して略平行な軸線に沿って基板ホルダ処理要素7を180°回転させるように、移動機構6を介して基板ホルダ処理要素7に伝達される。基板ホルダ処理要素7は、可逆的に基板ホルダを固定するように構成されており、基板ホルダ処理要素7の内部に載置された基板ホルダを自動的に開閉するための開放機構を含んでいる。
【0047】
基板ホルダ処理要素7の内部には、基板ホルダの相手部品に嵌入されるように構成されている突出要素である基板ホルダ案内要素がさらに設けられている。さらに、基板ホルダ処理要素7は、基板ホルダの解除機構と自動的に且つ機械的に相互接続するための、機械式手段に基づく開放機構を含んでいる。当該解除機構を動作させることによって、基板ホルダの相手部品が分離され、基板を基板ホルダの内部に載置することができる。
【0048】
さらに、基板ホルダ処理要素7は、基板が基板ホルダの異なる部分に載置された状態で可逆的に基板ホルダの一部分に取り付けるための真空グリッパを含んでいる。真空グリッパは、開放機構が動作している状態で基板ホルダの少なくとも2つの部分を押圧するように構成されている押圧ツール5に配置されている。押圧ツール5は、基板ホルダ処理要素7の角部に配置されている4つの滑り要素を含んでおり、滑り要素それぞれが、滑り要素において自由な微細粒子を排出するための真空要素を備えている。真空要素は、基板ホルダ処理要素7の外部に配置されている真空ポンプに接続されている。さらに、基板ホルダ処理要素7は、基板ホルダ処理要素7の内部を囲んでいる外部シェル4を含んでいる。
【0049】
図2は、
図1に表す基板ホルダ装填装置1の基板ホルダ処理要素7の内部についての、押圧ツール5が開いた状態における概略的な斜視図である。当該実施例では、4つの滑り要素9のうち3つの滑り要素が図示されており、2つの滑り要素に取り付けられている真空要素8も図示されている。
【0050】
基板ホルダ処理要素7の押圧ツール5は、基板ホルダを基板ホルダ処理要素7の内部に載置するために又は基板を開放された基板ホルダの内部に載置するために必要とされる開位置に位置している。
【0051】
図3は、
図1に表す基板ホルダ装填装置の基板ホルダ処理要素7の内部についての、押圧ツール5が硬化された状態における概略的な斜視図である。押圧ツール5は、4つの滑り要素に沿って移動され、真空要素8は、その移動の結果として生じる微細粒子を除去する。基板ホルダ処理要素7の内部に収容されている基板ホルダは、図面を明快にするために図示されていない。当該位置では、基板ホルダの部分が、基板ホルダの機械式解除機構を一層容易に動作させるために、且つ、機械要素の移動の結果として生じる摩擦を低減させるために押圧される。
【符号の説明】
【0052】
1 基板ホルダ装填装置
2 駆動ユニット
3 ステッピング歯車
4 外部シェル
5 押圧ツール
6 移動機構
7 基板ホルダ処理要素
8 真空要素
9 滑り要素