(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】送信機構成及び受信機構成のネットワーク開始再選択
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20220524BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20220524BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20220524BHJP
H04W 72/08 20090101ALI20220524BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W56/00 130
H04W74/08
H04W72/08
H04B7/06 956
(21)【出願番号】P 2019552545
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018054125
(87)【国際公開番号】W WO2018172001
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-21
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】グラント, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フレンネ, マティアス
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】Ericsson,Beam management overview [online],3GPP TSG-RAN WG1 #88 R1-1702674, [検索日 2021.10.18],インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88/Docs/R1-1702674.zip>,2017年02月07日,p.1-6
【文献】Ericsson,On DL beam indication [online],3GPP TSG-RAN WG1 #89ah-NR R1-1711015, [検索日 2021.10.18],インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1706/Docs/R1-1711015.zip>,2017年06月17日,p.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04B 7/06
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークのネットワークノード(10,700)により実行される方法(100)であって、
空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号を無線デバイス(20,800)に送信するための初期送信機構成
の初期ビーム方向を選択する(110)ことであって、
異なる空間方向において、前記無線デバイス(20,800)に2つ以上のダウンリンク同期信号を送信することと、
ランダムアクセスチャネルで、前記無線デバイス(20,800)から好ましい
ダウンリンク同期信号を示すランダムアクセス信号を受信することと、
前記好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づき前記初期送信機構成
の前記初期ビーム方向を選択することと、
を含む、前記選択する(110)ことと、
前記無線デバイス(20,800)から受信するアップリンク信号の品質を判定する(120)ことと、
前記アップリンク信号の前記品質に基づいて、更なる空間QCL仮定に従って前記ダウンリンクデータ信号を送信するための新しい送信機構成
の新しいビーム方向を選択する再選択手順を開始する(130)ことと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(100)であって、
前記好ましいダウンリンク同期信号
の前記空間方向に基づき前記初期送信機構成
の前記初期ビーム方向を選択することは、前記ダウンリンクデータ信号の送信が、前記好ましい
ダウンリンク同期信号の送信と疑似コロケートとなる様に、前記ダウンリンクデータ信号を送信するための前記初期送信機構成
の前記初期ビーム方向を選択すること、を含む方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法(100)であって、
前記再選択手順を開始することは、前記無線デバイス(20,800)にトリガ信号を送信することを含み、
前記方法(100)は、さらに、
前記トリガ信号に応答して、前記無線デバイス(20,800)から、新たな好ましいダウンリンク同期信号を示す再選択信号を受信することと、
前記新たな好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づき
前記ダウンリンクデータ信号を送信
するための前記新しい送信機構成
の前記新しいビーム方向を選択することと、
を含む方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法(100)であって、
前記再選択信号は、ランダムアクセスチャネルで前記無線デバイス(20,800)により送信されるランダムアクセス信号を含む、方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の方法(100)であって、
前記新たな好ましいダウンリンク同期信号
の前記空間方向に基づき前記新しい送信機構成
の前記新しいビーム方向を選択することは、前記ダウンリンクデータ信号の送信が、前記新たな好ましい
ダウンリンク同期信号の送信と疑似コロケートとなる様に前記ダウンリンクデータ信号を送信するための前記
新しい送信機構成
の前記新しいビーム方向を選択すること、を含む方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の方法であって、さらに、
アップリンクチャネルで前記無線デバイス(20,800)により送信されるアップリンク基準信号を測定することと、
前記アップリンク基準信号の前記測定に基づき
前記新しい送信機構成
の前記新しいビーム方向を選択することと、
を含む方法。
【請求項7】
無線通信ネットワークのネットワークノード(10,700)であって、
空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号を無線デバイス(20,800)に送信するための初期送信機構成
の初期ビーム方向を選択し、前記初期送信機構成
の初期ビーム方向を選択することは、
異なる空間方向において、前記無線デバイス(20,800)に2つ以上のダウンリンク同期信号を送信することと、
ランダムアクセスチャネルで、前記無線デバイス(20,800)から好ましい
ダウンリンク同期信号を示すランダムアクセス信号を受信することと、
前記好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づき前記初期送信機構成
の前記初期ビーム方向を選択することと、
を含み、
前記無線デバイス(20,800)から受信するアップリンク信号の品質を判定し、
前記アップリンク信号の前記品質に基づいて、更なる空間QCL仮定に従って前記ダウンリンクデータ信号を送信するための新しい送信機構成
の新しいビーム方向を選択する再選択手順を開始する、様に構成されている、ネットワークノード。
【請求項8】
請求項7に記載のネットワークノード(10,700)であって、
請求項2から6のいずれか1項に記載の方法を実行する様に構成されている、ネットワークノード。
【請求項9】
無線通信ネットワークのネットワークノード(10,700)の処理回路(740)によって実行されると、前記ネットワークノード(10,700)に請求項1から6のいずれか1項に記載の方法を実行させる実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項10】
無線通信ネットワークの無線デバイス(20,800)により実行される方法(200)であって、
空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号をネットワークノード(10,700)から受信するための初期受信機構成
の初期ビーム方向を選択する(210)ことであって、
前記無線デバイス(20,800)において、前記ネットワークノード(10,700)により異なる空間方向に送信された2つ以上のダウンリンク同期信号を受信することと、
前記
2つ以上のダウンリンク同期信号の内の好ましい1つのダウンリンク同期信号を選択することと、
前記好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づき前記初期受信機構成
の前記初期ビーム方向を選択することと、
ランダムアクセスチャネルで、前記好ましい
ダウンリンク同期信号を示すランダムアクセス信号を前記ネットワークノード(10,700)に送信することと、
を含む、前記選択する(210)ことと、
前記ネットワークノード(10,700)からトリガ信号を受信する(220)ことと、
前記トリガ信号に応答して、前記ダウンリンクデータ信号を受信するための新しい受信機構成
の新しいビーム方向を選択する再選択手順を実行する(230)ことと、
を含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法(200)であって、
前記好ましいダウンリンク同期信号
の前記空間方向に基づき前記初期受信機構成
の前記初期ビーム方向を選択することは、前記ダウンリンクデータ信号の
受信が、前記好ましい
ダウンリンク同期信号の
受信と疑似コロケート
となる様に、前記ダウンリンクデータ信号を受信するための前記初期受信機構成
の前記初期ビーム方向を選択すること、を含む方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法(200)であって、さらに、前記トリガ信号に応答して、
前記ネットワークノード(10,700)により異なる空間方向に送信された2つ以上のダウンリンク同期信号の内の新たな好ましい1つのダウンリンク同期信号を検出することと、
前記新たな好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づいて、前記ネットワークノード(10,700)から前記ダウンリンクデータ信号を受信するための前記新しい受信機構成
の前記新しいビーム方向を選択することと、
を含む方法。
【請求項13】
請求項10
又は11に記載の方法(200)であって、さらに、前記トリガ信号に応答して、
前記ネットワークノード(10,700)から新たな好ましい
ダウンリンク同期信号の表示を受信することと、
前記ネットワークノード(10,700)によって表示される前記
新たな好ましいダウンリンク同期信号を検出することと、
前記新たな好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づいて、前記ネットワークノード(10,700)から前記ダウンリンクデータ信号を受信するための前記新しい受信機構成
の前記新しいビーム方向を選択することと、
を含む方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の方法(200)であって、
前記初期受信機構成
の前記初期ビーム方向を選択すること、及び、前記新しい受信機構成
の前記新しいビーム方向を選択することは、前記ダウンリンクデータ信号を受信するための受信ビームを生成するために使用されるビーム形成重みを選択すること、を含む方法。
【請求項15】
無線通信ネットワークの無線デバイス(20,800)であって、
空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号をネットワークノード(10,700)から受信するための初期受信機構成
の初期ビーム方向を選択し、前記初期受信機構成
の初期ビーム方向を選択することは、
前記無線デバイス(20,800)において、前記ネットワークノード(10,700)により異なる空間方向に送信された2つ以上のダウンリンク同期信号を受信することと、
前記
2つ以上のダウンリンク同期信号の内の好ましい1つのダウンリンク同期信号を選択することと、
前記好ましいダウンリンク同期信号
の空間方向に基づき前記初期受信機構成
の前記初期ビーム方向を選択することと、
ランダムアクセスチャネルで、前記好ましい
ダウンリンク同期信号を示すランダムアクセス信号を前記ネットワークノード(10,700)に送信することと、
を含み、
前記ネットワークノード(10,700)からトリガ信号を受信し、
前記トリガ信号に応答して、前記ダウンリンクデータ信号を受信するため
の受信機構成
のビーム方向を更新する再選択手順を実行する様に構成されている、無線デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の無線デバイス(20,800)であって、
請求項11から14のいずれか1項に記載の方法を実行する様に構成されている、無線デバイス。
【請求項17】
無線デバイス(20,800)の処理回路(810)によって実行されると、前記無線デバイス(20,800)に請求項10から14のいずれか1項に記載の方法を実行させる実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に無線通信ネットワークに関し、より具体的には、空間的な疑似コロケーション(quasi co-location)仮定に基づく送信機構成及び受信機構成の選択/再選択に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)により開発されている第5世代(5G)システム又は次世代無線(NR)システムでは、新しい概念として空間的な疑似コロケーション(QCL)が導入されている。送信機(例えば、基地局)から送信された2つの基準信号は、受信した2つの基準信号の受信空間特性が同じ又は同様である場合、受信機(例えば、ユーザ装置(UE又は無線端末)において空間的に疑似コロケートであると見做される。したがって、空間QCLは、基礎となる空間特性に関して2つの基準信号を関連付ける。空間特性は、主到着角(AoA)、信号の受信角度広がり、空間相関、又は、空間特性をキャプチャ又は定義するその他の任意のパラメータの1つ以上であり得る。これらの空間特性は、ビーム方向を定義し得る。
【0003】
"アンテナポート"という用語は、特に空間QCLの文脈において、送信を記述するために"基準信号"という用語と同義で使用されたり、"基準信号"の代わりに使用されたりする。この様に、2つの基準信号は、2つの異なるアンテナポートとして同等に表記され得る。つまり、QCL仮定は、2つの基準信号の代わりに2つのアンテナポートを関連付け得る。5G又はNRのNodeB(gNB)から送信された2つのアンテナポートが無線デバイスにおいて空間的に疑似コロケートしている場合、無線デバイスはこの関係を利用して、第1及び第2基準信号の両方を受信するために同じ受信(RX)ビーム形成重みを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線デバイスがアナログビームフォーミングを使用する場合、信号を受信する前にアナログビームをどこに向けるかを知る必要があるため、空間QCLの使用は特に重要である。デジタルビームフォーミングにおいて、無線デバイスはベースバンドステージでさまざまなプリコーディングウェイトを適用して信号を復号できるため、信号を受信する前に受信信号の方向を知る必要はない。したがって、NRに対しては、無線デバイスへのgNB信号であって、以前に送信された特定のチャネル状態情報(CSI)-基準信号(RS)リソース又はCSI-RSアンテナポートそれぞれが、物理ダウンリンクチャネル(PDSCH)送信及びPDSCH復調基準信号(DMRS)送信と空間的に疑似コロケートするgNB信号が提案されている。この情報を使用して、無線デバイスは、以前のCSI-RSリソース又はアンテナポートの受信で使用したのと同じアナログビームをPDSCH受信に使用できる。言い換えると、基礎となる空間特性に関し、ダウンリンク(DL)CSI-RS又はCSI-RSアンテナポートと、PDSCH又はPDSCHのDMRS送信との間で空間QCL仮定が形成される。
【0005】
空間QCLフレームワークを拡張して、無線デバイスからの送信を維持することもできる。この場合、無線デバイスから送信された信号は、無線デバイスによって受信された信号の以前の受信と空間的に疑似コロケートしている。したがって、基礎となるQCL仮定は、基礎となる空間特性に関して、無線デバイスによって受信されるDL信号を、無線デバイスから送信されるアップリンク(UL)信号と関連付ける。無線デバイスが送信についてこの仮定を使用する場合、無線デバイスは、以前に信号を受信するために使用されたRXビームと同じ又は類似のアナログTXビームでアップリンク信号を送信することを意味する。この場合、gNBから送信される最初のRSは、無線デバイスにおいて、無線デバイスからgNBに送信される2番目のRSと空間的に疑似コロケートしているものとして参照される。無線デバイスからの送信が期待される方向をgNBが知り、gNBが実際の受信前にビーム方向を調整できるため、この空間QCL仮定は、gNBがアナログビームフォーミングを使用する場合に役立つ。
【0006】
3GPPにおけるNRの標準化において、ビーム障害から回復するためのビーム障害回復メカニズムのサポートが提供されている。一例において、ビーム障害復旧手順は、例えば、無線デバイスとgNBとの間のリンク品質が、基準信号(例えば、CSI-RS)の測定に基づきPDCCHを受信するのに不十分であるという仮説によって、到達不能であることを検出すると無線デバイスが開始するレイヤ1/レイヤ2(L1/L2)メカニズムである。無線デバイスは、gNBから受信したCSI-RSの信号強度を測定し、PDCCHを確実に検出するために必要なSINRを考慮してPDCCH品質を仮定する。
【0007】
無線デバイスがビーム障害イベントを検出した後、無線デバイスは、好ましいgNBのTXビームを決定するために、gNBからの同期信号(SS)ブロック送信(通常、SSブロックはビーム掃引方式で送信される)をリッスンする。次に、無線デバイスは、SSブロックを受信するために使用したRXビームと同じ(好ましい)TXビームで、ビーム回復信号(例えば、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)で送信されるプリアンブルに類似)を送信する。ビーム回復信号は、ビーム障害が発生したことをネットワークに通知する。
【0008】
上述した様に、PRACH又はビーム回復手順中に、gNB及び無線デバイスは、本明細書でSS-BPLと表記される第1ビームペアリンクを一緒に確立する。このBPLを使用して信号を受信又は送信するために、無線デバイスは、以前に検出された好ましいSSブロックとの空間QCL関係を仮定する。
【0009】
上記ビーム障害回復手順の問題は、無線デバイスが到達不能になったときにのみ開始されることである。別の欠点は、回復手順が無線デバイスで開始されるため、ネットワークで予測できないことである。無線デバイスは、潜在的に、無線デバイスが初期システムアクセス試行を行ったのと同じPRACHリソースを使用するため、ビーム障害復旧メカニズムは、初期アクセスを試みる他の無線デバイスと競合することがあり、これは、高負荷シナリオで問題となり、アクセシビリティの主要性能指標(KPI)の低下を引き起こす。別の問題は、ビーム障害回復手順後に新しいSS-BPLをどの様に再確立するかである。
【0010】
本発明の目的は、背景技術の問題の少なくとも1つを解決することである。この目的は独立請求項によって達成される。有利な実施形態は従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様によると、無線通信ネットワーク内のネットワークノードにより実行される方法が提供される。本方法は、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号を無線デバイスに送信するための初期送信機構成を選択することを含む。本方法は、無線デバイスから受信するアップリンク信号の品質を判定し、アップリンク信号の品質に基づいて、空間QCL仮定に従ってダウンリンクデータ信号を送信するための新しい送信機構成を選択する再選択手順を開始することをさらに含む。
【0012】
別の態様によると、無線通信ネットワーク内のネットワークノードが提供される。ネットワークノードは、ネットワークノードによってサービスされる無線デバイスに信号を送信し、無線デバイスから信号を受信するためのインタフェース回路と、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号を無線デバイスに送信するための初期送信機構成を選択する様に構成された処理回路と、を備えている。処理回路は、無線デバイスから受信するアップリンク信号の品質を判定し、アップリンク信号の品質に基づいて、空間QCL仮定に従ってダウンリンクデータ信号を送信するための新しい送信機構成を選択する再選択手順を開始する様にさらに構成される。
【0013】
別の態様によると、無線通信ネットワークの無線デバイスにより実行される方法が提供される。本方法は、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号をネットワークノードから受信するための初期受信機構成を選択するステップを含む。本方法は、ネットワークノードからトリガ信号を受信し、トリガ信号に応答して、ダウンリンクデータ信号を受信するための新しい受信機構成を選択する再選択手順を実行するステップをさらに含む。
【0014】
別の態様によると、無線通信ネットワークの無線デバイスが提供される。無線デバイスは、ネットワークノードに信号を送信し、ネットワークノードからの信号を受信するためのインタフェース回路と、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号をネットワークノードから受信するための初期受信機構成を選択する様に構成された処理回路と、を備えている。処理回路は、ネットワークノードからトリガ信号を受信し、トリガ信号に応答して、ダウンリンクデータ信号を受信するための新しい受信機構成を選択する再選択手順を実行する様にさらに構成される。
【0015】
別の態様によると、無線通信ネットワークの無線デバイスが提供される。無線デバイスは、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号をネットワークノードから受信するための初期受信機構成を選択する様に構成される。無線デバイスは、ネットワークノードからトリガ信号を受信し、トリガ信号に応答して、ダウンリンクデータ信号を受信するための受信機構成に更新する再選択手順を実行する様にさらに構成される。
【0016】
本発明はまた、無線通信ネットワークのネットワークノード又は無線デバイスの処理回路によって動作されると上述した方法を実行するためのソフトウェアコード又は命令の部分を含むコンピュータプログラムに関する。コンピュータプログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納され得る。本発明は、コンピュータプログラムを含むキャリアにも関連し、キャリアは、電気信号、光信号、無線信号、コンピュータ可読記憶媒体の1つである。
【0017】
以下、図面に示される例示的な実施形態を参照して本発明について記述する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】gNBと無線デバイスとの間の通信に使用されるビームペアリンクを示す図。
【
図2】無線デバイスが好ましいSSブロックを検出できる様にするためのビーム掃引手順を示す図。
【
図3】ネットワークノード及び無線デバイスそれぞれにより送信機及び受信機の構成を選択するためにビームペアリンクを再調整する再選択手順を示す図。
【
図4】ネットワークノード及び無線デバイスそれぞれにより送信機及び受信機の構成を選択するためにビームペアリンクを再調整する別の再選択手順を示す図。
【
図5】新しい送信機構成を選択するためにネットワークノードにより実行される例示的な方法を示す図。
【
図6】新しい受信機構成を選択するために無線デバイスにより実行される例示的な方法を示す図。
【
図7】ビームペアの不整合の検出に応じて新しい送信機構成を選択する様に構成された例示的なネットワークノードを示す図。
【
図8】サービングネットワークノードからのトリガ信号に応答して新しい受信機構成を選択する様に構成された例示的な無線デバイスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の一態様において、無線デバイスの移動/回転により、gNBのTXビームと無線デバイスのRXビームが不整合になり始めると、SS-BPLを更新するネットワーク開始手順が導入される。初期アクセスの後、SS-BPLが確立され、gNBはデータ信号(例えば、PDCCH及び/又はPDSCH信号)を送信するための送信機構成を選択し、無線デバイスは、データ信号を受信するために対応する受信機構成を選択する。gNB及び無線デバイスは、同じ空間QCL仮定に基づいてそれぞれの構成を選択するため、送信機及び受信機の構成は、それぞれ送信ビームと受信ビームの空間方向を決定し、整合される。SS-BPLの再確立を実行する必要があるとgNBが測定及び決定すると、gNBは、SS-BPLを更新するためにトリガ信号を無線デバイスに送信する。一実施形態において、トリガ信号は、gNBに新たな好ましいSSブロック、したがって新しいSS-BPLを示すために、無線デバイスによる新しいSSブロックの測定と、アップリンク信号の送信(例えば、PRACH送信)を開始させ得る。別の実施形態において、gNBは、無線デバイスのための新しいSSブロックを決定し、gNBから無線デバイスへのメッセージにおいて、後続の送信でのSS-BPLに使用するため、gNBによって選択されたSSブロックを直接示す。
【0020】
無線デバイスは、SS-BPLに関連付けられたSSブロックが、無線デバイス側において、PDCCH送信やPDCCH復調基準信号(DMRS)などの信号の後続の受信と空間的にQCLであるとことを仮定し得る。無線デバイスは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)、及び関連するDMRS等の後続の信号を送信する必要があり、これらの送信信号は、SSブロックと空間的にQCLである。
【0021】
再選択手順は、無線デバイス支援及びgNB制御と、完全なgNB制御のいずれかである。無線デバイス支援及びgNB制御ソリューションにおいて、gNBは、ビーム障害回復メカニズムと同様の無線デバイスによるアクションをトリガする。無線デバイス支援なしのgNB制御ソリューションにおいて、gNBは、どのSSブロックをSS-BPLとして使用すべきかを無線デバイスに直接明示的に示す。再確立手順は、好ましくは、ビームリンク障害が発生する前に、ネットワークによって開始される。
【0022】
SS-BPLの再選択手順は、以下の利益/利点を提供する。
・少なくとも共通又はグループ共通PDCCHの送信に使用されるSS-BPLは常に使用可能であるため、無線デバイスは移動/回転しても常に到達可能である。リンクが障害になるのを待つのではなく、SS-BPLの整合を維持するため、gNBは、プリエンプティブなアクションを実行できる。これにより、より堅牢なシステムパフォーマンスが確保され、遅延が改善される。
・再選択手順はネットワークで制御されるため、再選択コマンドを適切な時間にスケジュールして、設定されたPRACH機会に渡りPRACH負荷を平滑化する機能をネットワークに提供できる。
・ネットワーク制御手順を使用すると、無線デバイスが開始する手順よりも無線リソースの使用率を予測できる。
【0023】
ここで図面を参照して、本開示の例示的な実施形態を、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)の次世代レディオ(NR)無線通信ネットワークの文脈で説明する。本明細書で説明する方法及び装置は、NRネットワークでの使用に限定されず、空間QCL仮定が使用される5G規格及び他の規格に従って動作する無線通信ネットワークでも使用できることを当業者は理解するであろう。
【0024】
図1は、NRネットワークにおけるgNB10と無線デバイス20との間の通信を示している。gNB10は、ダウンリンクにおいて無線デバイス20にSSブロックを送信する。無線デバイス20は、空間QCL仮定によりSSブロックに関連付けられたPRACH信号をアップリンク上で送信して、第1BPL25を形成する。一実施形態において、無線デバイス20は、2つ以上の異なるSSブロックの中から好ましいSSブロックを検出し、好ましいSSブロックを受信するために使用したのと同じビームでPRACH信号をgNB10に送信する。無線デバイスからPRACH信号を受信した後、gNB10は、好ましいSSブロック及び好ましいSSブロックが送信されたビームを知っている。その後、gNB10は、第2の空間QCL仮定により関連付けられたPSCCH又はPDSCHでダウンリンクデータ信号を送信して、第2BPL30を形成する。gNB10及び無線デバイス20は、同じ空間QCL仮定を適用する。したがって、無線デバイス20は、ダウンリンクデータ信号(例えば、ユーザデータ又は制御信号)が、PRACH信号を送信するために使用されたのと同じビームで、又は、同じビーム方向で送信されることを期待する。
【0025】
一実施形態において、SSブロックは第1基準信号(RS)を含む。SSブロックは、初期アクセス、ビームリンク障害(例えば、現在使用されているビームペアリンクの遮断)からの回復、及び、セル間のアイドルモードモビリティなどの目的で無線デバイス20に使用され得る。一実施形態において、SSブロックは、一次同期信号(PSS)、二次同期信号(SSS)、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)、及び、場合によっては三次同期信号(TSS)を含む。一実施形態におけるSSブロックは、4つの直交周波数分割多重(OFDM)シンボルに跨るが、SSブロックは、それより多くの又はそれより少ない数のOFDMシンボルに跨る場合もある。
【0026】
複数のSSブロックは、異なるビームフォーミング方向で送信され得るため、各SSブロックはビームのアンテナゲインの恩恵を受けることができる。欠点は、ビームでgNBエリア全体をカバーするために4つのOFDMシンボルを、複数のSSブロックが、複数、使用する必要があることである。ビームが狭いほど、ビームあたりのカバレッジは向上するが、SSブロックを送信するためのオーバーヘッドが大きくなる。よって、カバレッジとオーバーヘッドのトレードオフになる。通常、SSブロックビームは、データ送信に使用されるビームよりも広い。後者は、受信機における信号対干渉及び雑音比(SINR)を最大化し非常に高いアンテナゲインを提供するために非常に狭くすることができる。
【0027】
図1に戻り、無線デバイス20は、無線デバイスがサービングセルと同期を確立するために(例えば、初期アクセス、アイドルモードモビリティ等)、或いは、ビームペアリンクを再確立(つまり、ビーム回復)するために、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)信号及び/又はビーム回復信号(PRACH信号の形式であり得る)をgNB10に送信する。PRACH信号又は回復信号は、第2RSと見做し得る。無線デバイス20がPRACH又はビーム回復信号(第2RS)を送信するとき、送信されたPRACH/ビーム回復信号は、無線デバイス側において、受信されたRSと空間的にQCLであると見做され、受信されたRSは、複数のビーム形成されたSSブロックの内の好ましく、かつ、検出されたSSブロック(第1RS)に属する。この様に、無線デバイス20は、SSブロックを受信するために使用したのと同じビームでPRACH/ビーム回復信号を送信する。無線デバイス20が送信に使用するビームは既知であり、gNB10は、PRACHを受信するために、SSブロックを送信するために使用した送信(TX)ビームと同じ受信(RX)ビームを使用できるので、この関係はネットワーク側に予測可能性をもたらす。よって、各SSブロックには、関連付けられたPRACHリソースがある。代わりに、使用するPRACHリソースを、好ましいSSブロック内のPBCHで示すことができる。
【0028】
ダウンリンク方向において、gNB10は、ダウンリンクデータ信号を無線デバイス20に送信する。ダウンリンクデータ信号は、ユーザデータを運ぶデータ信号又は制御情報を運ぶデータ信号を含み得る。ダウンリンクデータ信号は、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)又はPDSCHで送信され得る。一実施形態において、PDCCH又はPDSCH上でのデータ信号の送信は、好ましいSSブロックの送信と空間的に疑似コロケートにすべきことが仮定される。この仮定された空間的コロケーション関係は、SSブロックとデータ信号との間に第2ビームペアリンク30を形成する。
【0029】
BPL25、30と、PRACH、PDCCH及びPDSCHの空間QCL仮定により、gNB10及び無線デバイス20は、明示的なシグナリング無しに、粗いビームペアリンク(BPL)関係を自律的に確立することができ、それは、更なる通知があるまで、共通検索スペース又はグループ共通検索スペースにおいてgNB10からPDCCH送信を受信する等の目的のために使用され得る。
【0030】
一実施形態において、共通検索スペースPDCCH上でgNB10によりスケジューリング情報が送信され、無線デバイス20固有の検索スペース、及び、CSI及び/又はビーム管理測定に使用するCSI-RSリソースの構成に関する構成情報を含む無線デバイス20への物理ダウンリンク制御チャネル(PDSCH)送信をスケジュールすることができる。この構成情報を運ぶPDSCHを受信するために、無線デバイス20は、PDSCHに関連付けられたDMRS(第2RS)が以前に検出されたSSブロック(第1RS)と空間的にQCLであると仮定でき、その結果、受信に使用するRXビームを構成できる。よって、無線デバイス20は、好ましいSSブロックを受信したときにRXビームを調整したのと同じ方法で、共通検索スペースPDCCHを受信するときにそのアナログビームを調整すべきである。
【0031】
異なるQCL仮定を使用する異なるビームペアリンク(BPL)が、デバイス固有の検索ペースでのPDCCHの受信に使用できる。この場合、デバイス固有の検索スペース内のPDCCHは、ユーザデータを搬送するPDSCH送信及びPUSCH送信をスケジュールする目的で使用され得る。
【0032】
本開示の実施形態において、gNB10及び無線デバイス20は、それぞれ、DLのSSブロック及びULのPRACH信号に対する空間QCL仮定の下で確立されたBPLを有する。BPLは、gNB10がPRACH信号を受信したときに確立される。BPLは、DL送信(ビーム送信)及びUL受信(ビーム受信)に使用されるgNB10のビームと、UL送信(ビーム送信)及びDL受信(ビーム受信)に使用される無線デバイス20のビームとを含む。言い換えると、無線デバイス20及びgNB10の送信ビーム及び受信ビームは、それぞれ同じ又は類似している。この点、送信ビーム又は受信ビームは、このビームを送信又は受信するために無線デバイス20又はgNB10によってそれぞれ使用される特定の送信機構成又は受信機構成に関連付けられ得る。送信機構成は、送信ビーム形成重みによって特徴付けられ、受信機構成は、受信ビーム形成重みによって特徴付けられる。送信ビーム形成重みは、ビームを介して信号を送信するために使用されるプリコーダを定義することに留意されたい。対照的に、受信信号の処理ではプリコーダを使用しない場合がある。
【0033】
図2は、一実施形態においてBPLがどの様に確立されるかの例を示している。gNB10は、周期的に一連の(バースト)L個のSSブロックを送信し、ここで、各SSブロックがPSS、SSS、PBCH、及び、場合によってはTSSからなることが3GPP NRで合意されている。SSブロックは4つのOFDMシンボルに跨り得るが、3GPP NRでは合意されていない。複数のSSブロックは、異なるビームフォーミング方向で送信され得るため、各SSブロックはビームのアンテナゲインの恩恵を受けることができる。言い換えると、gNB10は、異なるL個のビームを使用して異なるL個のSSブロックを時間内に送信する。SSブロックと送信ビーム間のマッピングは、1対1のマッピングである。gNB10は、各SSブロックにビームフォーミングを適用するため、使用される各送信ビームと対応するSSブロックとの間の関連性の知識を有する。結果、その様なビームでgNB10のエリア全体をカバーするために、複数のSSブロックが、4つのOFDMシンボルを、複数、使用することを要求する。ビームが狭いほど、ビームあたりのカバレッジは向上するが、SSブロックの送信によるオーバーヘッドは大きくなる。よって、カバレッジとオーバーヘッドのトレードオフになる。
【0034】
図1の左側に示す様に、無線デバイス20は、ビーム掃引SSブロック送信を使用して初期システムアクセスを実行する。無線デバイス20は、例えば、測定された信号強度に基づいて、好ましいSSビームを選択する。無線デバイス20は、初期アクセスに使用されるPRACH信号が、好ましく、且つ、検出されたSSブロックに属するRSと空間的に疑似コロケートであると仮定すべきである。これは、無線デバイス20が、好ましいSSブロックを受信するために使用したのと同じビームでPRACH信号を送信することを意味する。次に、ネットワークは、無線デバイス20によって検出されたSSブロックの送信に使用したのと同じビームを使用して、PRACHを受信できる。このRACH/ビーム回復手順及び関連するQCL仮定により、gNB10及び無線デバイス20は粗いビームペアリンク(BPL)を確立し、この粗いBPLは、そのときからら更に通知されるまでの間、gNB10又はTRPから送信される共通検索スペース又はグループ共通検索PDCCHを受信するなどの目的のために使用され得る。
【0035】
本開示の実施形態は、無線デバイス20が関連付けられたPRACHリソースを送信した、好ましく、かつ、以前に検出されたSSブロックとQCLとの関連付けを無線デバイス20が仮定するビームペアリンク(BPL)を対象とする。SSブロックとQCLを使用して確立されたこのBPLをSS-BPLとして参照する。
【0036】
SSブロックビームは静的である。静的なSSブロックビームの問題は、無線デバイス20が移動したとき、又は、チャネルに変更があるときに、好ましいSSブロックが古くなることである。その結果、SS-BPLに関連付けられたgNBのTX/RXビーム及び無線デバイス20のRX/TXビームは、無線デバイス20の移動、回転、又は、チャネルブロックにより不整合になり得る。不整合(すなわち、ポインティング誤り)が著しい場合、無線デバイス20での信号受信が低下し得る。さらに悪いことに、ビームリンク障害が発生する可能性があり、その場合、ネットワークはPDCCHで無線デバイス20に到達できなくなる。
【0037】
無線デバイス20が移動及び/又は回転すると、SS-BPLに関連付けられたgNB10のTX/RXビーム及び無線スデバイス20のRX/TXビームが不整合になり得る(ポインティング誤り)。無線デバイス20とgNB10との間のチャネルが少なくとも部分的にブロックされる様になると同じことが生じ得る。これらの場合、無線デバイス20での信号受信は、ポインティング誤りが増加するにつれて低下し始め得る。現在の開示において、この問題は、SS-BPLを再選択(再調整)するネットワークにより開始される手順(BPLの更新又は再調整)によって解決される。手順は、無線デバイス支援及びgNB制御と、完全なgNB制御とのいずれかである。
【0038】
ビーム障害回復手順において、無線デバイス20は、SS-BPLにリンクされたリソースでPRACのような信号を送信する。これは、無線デバイス20がこのPRACH送信に、好ましいSSブロックを受信するために使用したRXビームと同じTXビームを使用し、各PRACHリソースは、gNB10から特定の既知のTXビームで送信されたSSブロックにリンクされているので、gNB10が、ビーム障害信号の受信に使用するRXビームを認識することを意味する。以下の実施形態とは対照的に、ビーム障害回復のトリガは、無線デバイス20によって開始される。
【0039】
図3は、ネットワーク制御及び無線デバイス20支援の実施形態を示している。gNB10は、BPLがずれていることを検出し(ステップ1)、ビーム障害回復メカニズム及び初期アクセス手順と同様の再選択手順をトリガするため、無線デバイス20にトリガ信号を送信する(ステップ2)。トリガ信号は、PDCCG命令又は無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して送信され得る。再選択手順の間、gNB10は、前述した様にビーム掃引方式でSSブロックを送信する(ステップ3)。トリガ信号に応答して、無線デバイス20は、好ましいSSブロックを検出して送信し(ステップ4)、PRACH上のプリアンブルに似た再選択信号を送信する(ステップ5)。PRACH又はPRACHの様な信号は、RRCシグナリング等の上位層によって構成され得る。一実施形態において、各PRACHリソースはSSブロックに関連付けられているため、PRACHリソースを受信すると、ネットワークは、無線デバイス20が現在どのSSブロックを優先しているかを知る。
【0040】
第1代替形態(Alt1)において、無線デバイス20は、受信電力又は品質を監視するために複数のSSブロックを連続的に測定し、gNB10によってトリガされたときに使用するPRACHリソース導出するために、好ましいSSブロック(すなわち、信号が最高の信号強度で受信されるSSブロック)を使用する。
【0041】
第2代替形態(Alt2)において、無線デバイス20は、gNB10からトリガを受信すると複数のSSブロックで一連の測定を開始し、新たな好ましいSSブロックを決定し、定義された時間において、好ましいSSブロックに対応するPRACHリソースでPRACHを送信する。再選択信号がPRACHで送信された後、無線デバイス20及びgNB10は、それぞれ、受信機構成及び送信機構成を決定するために使用するSS-BPLを更新する(ブロック6及び7)。最終結果は、SS-BPLの再整合である(ステップ8)。
【0042】
gNB10がビーム回復信号を検出するRXビームが何であれ、回復されたSS-BPLに関連付けられた新しいgNB10のTX/RXビームになる。同様に、無線デバイス20は、SSを受信したビームを記憶し、これがSS-BPLに関連付けられた無線デバイス20の新しいRX/TXビームになる。この手順により、SS-BPLが再確立される。
【0043】
図4は、無線デバイス20の支援がない、ネットワーク制御の実施形態を示している。gNB10は、SS-BPLの不整合を検出し、再選択手順をトリガするため、前述した様にトリガ信号を送信する(ステップ1及び2)。この実施形態において、gNB10は、無線デバイスからのアップリンク信号の測定に基づいて好ましいSSブロックを決定し、現在のSSブロックの代わりにSS-BPLとして使用する新しいSSブロックを無線デバイス20に直接かつ明示的に表示する。この表示は、PDCCH又はPDSCHシグナリングなどのレイヤ1シグナリングを使用して、或いは、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングを使用して実行できる。
図4に示される実施形態において、gNB10は、SSブロックインデックスをトリガ信号で無線デバイス20に送信する。gNB10は、新たな好ましいSSブロックを使用するためにSS-BPLを更新する(ステップ4)。トリガ信号に応答して、SS-BPLを更新するため、無線デバイス20は表示されたSSブロックを測定し(ステップ5及び6)、そのRXビームを再構成又は調整する。すなわち、無線デバイスは、例えば、その後のPDCCH送信において、表示されたSSブロックが無線デバイス側において空間的に疑似コロケートである仮定する。最終結果は、SS-BPLの再整合である(ステップ7)。
【0044】
この動作モードは、無線デバイス20からgNB10へのアップリンク信号が測定に使用され、その結果、gNB10が各潜在的なSS-BPLの品質を知る場合に役立ち、そこでは、SS-BPLとして別のSSブロックに切り替えるための命令が無線デバイス20に直接送信される。UL信号の一例は、サウンディング基準信号(SRS)である。SSブロックを送信するために使用されるものと一致する受信ビームのセットを試みることにより、gNB10は、例えば信号強度に基づいて、どの潜在的なSS-BPLが好ましいかを決定することができる。
【0045】
無線デバイス20が開始する従来のビーム障害手順とは対照的に、本開示の一態様による再選択手順は、ビームリンク障害が発生する前にネットワークによって開始される。これにより、SS-BPLの継続的な可用性と品質が保証される。ネットワークにより制御されるビーム再選択機能と無線デバイスにより開始されるビーム再選択機能は、相互に排他的ではなく、それらは一緒に使用され得る。言い換えると、無線デバイス20及びgNB10での新しいBPLの選択について説明したロジックは、ビームリンク障害回復手順に加えて、gNB10が事前のアクションを実行するのに十分な時間において検出できない可能性のある突然のビームリンク障害の場合の"セーフィティネット"に適用できる。
【0046】
図3及び
図4の実施形態における手順は、ネットワークによって、例えば、gNB10がPDCCH共通検索スペースでPDCCH命令を送信することによってトリガされる。上記の様に、PDCCH命令は、無線デバイス20に再選択プロセスを開始することを通知する。gNB10は、例えば、SSブロックと空間的に疑似コロケートであると仮定され得るUL信号の受信に基づいて、SS-BPLが不整合になっていることを検出するために様々な方法を使用できる。
【0047】
図3及び
図4の実施形態における手順は、SS-BPLが特定の閾値未満に劣化し始めることをgNB10が検出することで始まる。SS-BPLは、例えば、SSブロックと空間的に疑似コロケートであると仮定されるUL信号に基づいて測定され得る。例えば、これはPUCCH(及び関連するDMRS)(それぞれがショートPUCCH又はロングPUCCH)であり得る。gNB10は、SS-BPLの品質メトリック、例えばSINRを推定するために基準信号を使用し、品質が閾値を下回り始めたかどうかを検出するために、これを経時的に追跡することができる。ショートPUCCHは、スロットの最後において、スロット(時間領域で7又は14シンボル、周波数領域で12の倍数のキャリアで形成される)で送信され、アップリンク制御情報(UCI)の小さなペイロードを運ぶUL制御チャネルを参照している。ロングPUCCHは、スロット内の複数のOFDMシンボルで送信され、より大きなUCIペイロードを伝送するアップリンク制御チャネルに関連する。
【0048】
リンクが大幅に劣化する前に、gNB10は、再選択手順を開始するため、無線デバイス20に明示的な信号を送信する。再選択指示は、例えば、PDCCH共通検索スペースで送信されるPDCCH内のPDCCH命令を介することができる。これは、
図1の右側と、
図3及び
図4に示されている。
【0049】
例えば、
図3の実施形態において、無線デバイス20はPDCCH命令を受信すると、上述した初期アクセス手順におけるPRACH送信と同様のプロセスを実行する。具体的には、無線デバイス20は、例えば、測定された信号強度に基づいて好ましいSSブロックビームを選択する、或いは、無線デバイス20が既にこれらの測定値を持っている場合(
図3の実施形態のAlt1の様に)、利用可能な測定値から好ましいSSブロックを選択する。測定されたリンクの品質は低下し始めているため、このビームは以前のものとはかなり異なる可能性がある。無線デバイス20は、"再選択信号"、例えば、ネットワークによって示される無線ネットワーク一時識別子(RNTI)に一意に関連付けられたPRACH類似信号を送信する。無線デバイス20は、好ましいSSブロックを受信するために使用したのと同じビームを使用して再選択信号を送信する。gNB10は、無線デバイス20によって検出されたSSブロックの送信に使用したのと同じビームを使用して、基準信号を受信できる。ネットワークは、無線デバイス20からの再選択信号を検出すると、どの無線デバイス20がそれを送信したかを知り、その無線デバイス20の更新された(再整合された)SS-BPLを追跡することができる。この様にして、SS-BPLは、少なくとも共通又はグループ共通PDCCHの送信に常に使用可能である。したがって、無線デバイス20は、移動/回転しても常に到達可能になる。共通スペースPDCCHを介したこの可用性は、ビームペアリンクが落ちた場合にのみ実行されるビーム回復手順のみに依存する場合と比較して、堅牢なシステムパフォーマンスを保証し、遅延を改善する。
【0050】
図5は、無線通信ネットワーク内のgNB10又は他のネットワークノードによって実行される例示的な方法100を示している。gNB10は、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号を無線デバイス20に送信するための初期送信機構成を選択する(ブロック110)。その後、ネットワークノード10は、無線デバイス20から受信するアップリンク信号の品質を判定する(ブロック120)。アップリンク信号の品質に基づいて、gNB10は、空間QCL仮定に従ってダウンリンクデータ信号を送信するための新しい送信機構成を選択する再選択手順を開始する(ブロック130)。
【0051】
一実施形態において、gNB10は、異なる空間方向において、2つ以上のダウンリンク同期信号を無線デバイスに送信し、ランダムアクセスチャネルで無線デバイスから好ましい同期信号を示すランダムアクセス信号を受信し、好ましいダウンリンク同期信号に基づき初期送信機構成を選択することにより、初期送信機構成を選択する。
【0052】
いくつかの実施形態において、方法100は、トリガ信号に応答して、無線デバイスから新たな好ましいダウンリンク同期信号を示す再選択信号を受信することと、新たな好ましいダウンリンク同期信号に基づき送信のための新しい送信機構成を選択することと、をさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、方法100は、アップリンクチャネルで無線デバイスにより送信されたアップリンク基準信号を測定することと、アップリンク基準信号の測定に基づいて新しい送信機構成を選択することと、をさらに含む。
【0054】
図6は、無線通信ネットワークの無線デバイス20により実行される例示的な方法200を示している。無線デバイス20は、空間疑似コロケーション(QCL)仮定に基づいて、ダウンリンクデータ信号をネットワークノードから受信するための初期受信機構成を選択する(ブロック210)。初期受信機構成を選択した後、無線デバイス20は、ネットワークノードからトリガ信号を受信する(ブロック220)。トリガ信号に応答して、無線デバイスは、ダウンリンクデータ信号を受信するための新しい受信機構成を選択する再選択手順を実行する。
【0055】
一実施形態において、無線デバイス20は、ネットワークノードにより異なる空間方向に送信された2つ以上のダウンリンク同期信号を受信し、ダウンリンク同期信号の好ましい1つを選択し、好ましいダウンリンク同期信号に基づき初期受信機構成を選択し、好ましい同期信号を示すランダムアクセス信号をランダムアクセスチャネルでネットワークノードに送信することにより、初期受信機構成を選択する。
【0056】
いくつかの実施形態において、方法200は、トリガ信号に応答して、ネットワークノードにより異なる空間方向に送信された2つ以上のダウンリンク同期信号の新たな好ましい1つを検出することと、ダウンリンクデータ信号の送信が、新たな好ましいダウンリンク同期信号の送信と疑似コロケートであるとの空間QCL仮定に基づいて、ネットワークノードからダウンリンクデータ信号を受信するための新しい受信機構成を選択することと、をさらに含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、方法200は、トリガ信号に応答して、ネットワークノードから新たな好ましい同期信号の表示を受信することと、ネットワークノードにより表示された好ましい同期信号を検出することと、ダウンリンクデータ信号の送信が、新たな好ましいダウンリンク同期信号の送信と疑似コロケートであるとの空間QCL仮定に基づいて、ネットワークノードからダウンリンクデータ信号を受信するための新しい受信機構成を選択することと、をさらに含む。
【0058】
図7は、本明細書で説明する再選択手順を実行する様に構成されたネットワークノード700の主要な機能コンポーネントを示している。ネットワークノード700は、処理回路710と、メモリ730と、インタフェース回路740と、を備えている。インタフェース回路740は、コアネットワーク内の他のネットワークノード及び無線アクセスネットワーク(RAN)内の基地局10との通信を可能にするネットワークインターフェース回路745を含む。
【0059】
処理回路710は、ネットワークノード700の動作を制御する。処理回路710は、1つ以上のマイクロプロセッサと、ハードウェアと、ファームウェアと、それらの組み合わせと、を備え得る。処理回路710は、初期送信機構成を選択する選択部715と、アップリンク信号の品質を測定する品質判定部720と、本明細書で説明する再選択手順中に送信機構成を再選択する再選択部725と、を含み得る。処理回路710は、
図2~4に示される方法を含む、本明細書で説明される方法及び手順を実行する様に構成される。
【0060】
メモリ730は、処理回路710の動作に必要なコンピュータプログラムコード及びデータを格納するための揮発性及び不揮発性メモリの両方を含む。メモリ730は、電子、磁気、光学、電磁気、又は、半導体データ記憶装置を含む、データを記憶するための任意の有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ730は、本明細書で説明される方法を実行する様に処理回路710を構成する実行可能命令を含むコンピュータプログラム735を格納している。一般的に、コンピュータプログラム命令及び構成情報は、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)又はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに格納される。動作中に生成された一時データは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリに格納され得る。いくつかの実施形態において、本開示の処理回路710を構成するためのコンピュータプログラム735は、ポータブルコンパクトディスク、ポータブルデジタルビデオディスク、或いは、別のリムーバブルメディアなどのリムーバブルメモリに格納され得る。コンピュータプログラム735は、また、電気信号、光信号、無線信号、又は、コンピュータ可読記憶媒体などのキャリア内で具現化することができる。
【0061】
図8は、本明細書で説明する方法を実行する様に構成された無線デバイス800の主要な機能コンポーネントを示している。無線デバイス800は、処理回路810と、メモリ830と、インタフェース回路840と、を備えている。インタフェース回路840は、1つ以上のアンテナ850に結合された無線周波数(RF)インタフェース回路845を含む。RFインタフェース回路845は、無線通信チャネルを介して基地局10と通信するために必要な無線周波数(RF)コンポーネントを含む。典型的には、RFコンポーネントは、3G、4G若しくは5G又は他の無線アクセス技術(RAT)に従って通信する様に適合された送信機及び受信機を含む。
【0062】
処理回路810は、無線デバイス800により送信、或いは、受信される信号を処理する。その様な処理は、送信信号の符号化及び変調と、受信信号の復調及び復号と、を含む。処理回路810は、1つ以上のマイクロプロセッサと、ハードウェアと、ファームウェアと、それらの組み合わせと、を備え得る。一実施形態において、処理回路810は、初期送信機構成を選択する選択部815と、本明細書で説明するトリガ信号に応答して送信機構成を再選択する再選択部820とを含み得る。処理回路810は、本明細書で説明される方法及び手順を実行する様に構成される。メモリ830は、処理回路810の動作に必要なコンピュータプログラムコード及びデータを格納するための揮発性及び不揮発性メモリの両方を含む。メモリ830は、電子、磁気、光学、電磁気、又は、半導体データ記憶装置を含む、データを記憶するための任意の有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ830は、
図2、3及び5による方法を含む、本明細書で説明される方法及び手順を実行する様に処理回路810を構成する実行可能命令を含むコンピュータプログラム835を格納している。一般敵に、コンピュータプログラム命令及び構成情報は、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)又はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに格納される。動作中に生成された一時データは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリに格納され得る。いくつかの実施形態において、本開示の処理回路810を構成するためのコンピュータプログラム835は、ポータブルコンパクトディスク、ポータブルデジタルビデオディスク、或いは、別のリムーバブルメディアなどのリムーバブルメモリに格納され得る。コンピュータプログラム835は、また、電気信号、光信号、無線信号、又は、コンピュータ可読記憶媒体などのキャリア内で具現化することができる。