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▶ エージーシー グラス ユーロップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】自動運転車のためのガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 4/10 20060101AFI20220524BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20220524BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20220524BHJP
   C03C 17/32 20060101ALI20220524BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220524BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20220524BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
C03C4/10
C03C3/087
C03C27/12 Z
C03C17/32 B
C03C17/32 Z
B32B7/023
B32B17/06
B60R13/02 C
B60R13/02 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019553234
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018058187
(87)【国際公開番号】W WO2018178286
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】17163906.5
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ランブリット, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サルトナエ, ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】フラセレ, クエンティン
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コリニョン, マクシム
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063416(JP,A)
【文献】特開2016-188007(JP,A)
【文献】国際公開第2016/202689(WO,A1)
【文献】特開2016-189184(JP,A)
【文献】国際公開第2016/202606(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03118174(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01462244(EP,A1)
【文献】特表2016-513059(JP,A)
【文献】特表2016-525063(JP,A)
【文献】特開2008-299538(JP,A)
【文献】特開2016-217777(JP,A)
【文献】特開2011-091549(JP,A)
【文献】特表2010-528968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 -14/00
B60J 1/00 - 1/20
B60R 1/00 - 1/04
B60R 1/08 - 1/12
B60R 9/00 -11/06
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
750~1650nmの波長域において5m-1~15m-1の吸収係数を有し、且つ外部面及び内部面を有する少なくとも1つのガラスシートを含む自動車用トリム要素において、750~1650nmの波長域における赤外線ベースのリモートセンシングデバイスが、前記ガラスシートの前記内部面の後部に配置されることを特徴とするガラストリム要素。
【請求項2】
外部ガラストリム要素であることを特徴とする、請求項1に記載のガラストリム要素。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガラスシートは、750~1650nmの波長域において5m-1~10m-1の吸収係数を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトリム要素。
【請求項4】
前記赤外線ベースのリモートセンシングデバイスは、前記ガラストリム要素の内部面に光学的に連結されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項5】
少なくとも1つの熱可塑性中間層と一緒に積層された外部及び内部ガラスシートを含む積層トリム要素であり、前記外部及び内部ガラスシートは、5m -1 ~15m -1 の吸収係数を有する高レベルの近赤外線放射透過ガラスシートであり、前記赤外線ベースのリモートセンシングデバイスは、面4上に配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項6】
前記少なくとも1つのガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
- 全鉄(Feとして表される) 0.002~0.06%
- Cr 0.0001~0.06%
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項7】
前記少なくとも1つのガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
- 全鉄(Feとして表される) 0.002~0.06%
- Cr 0.0015~1%
- Co 0.0001~1%
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
- 全鉄(Feとして表される) 0.02~1%
- Cr 0.002~0.5%
- Co 0.0001~0.5%
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項9】
前記少なくとも1つのガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
- 全鉄(Feとして表される) 0.002~1%
- Cr 0.001~0.5%
- Co 0.0001~0.5%
- Se 0.0003~0.5%
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項10】
前記赤外線ベースのリモートセンシングデバイスは、走査、回転、フラッシュ又は固体状態LiDARをベースとし、且つ車両の周りの周囲環境を3Dマッピングすることを可能にするLIDAR系であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項11】
反射防止コーティングが、前記ガラストリム要素の表面上に与えられていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項12】
前記少なくとも1つのガラスシートは、可視光を吸収及び/又は反射する少なくとも1つの近赤外線透明コーティングで被覆されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項13】
A、B及びCピラーのためのカバー又は自動車のトランクのためのカバーであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【請求項14】
前記ガラストリム要素の光透過率の値は、前記ガラストリム要素の近赤外線透過率の値よりも低いことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のガラストリム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線ベースのリモートセンシングデバイス、特にLiDARセンサーを含むガラスに関する。特に、本発明は、自動運転車に集積化される新世代LiDARセンサーを含むガラストリム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のためのガラストリムは、その魅力を増大させるか又は自動車のいくつかの美的でない部分を隠すために、自動車の内部又は外部に加えることができる物品を意味する。いくつかの種類の自動車トリムがある。いくつかは、乗客によって引き起こされ得る望ましくない損傷から車両の内部又は外部のいくつかの部分を保護するために使用される一方、他のものは、単に美しさのために使用される。
【0003】
最も一般的なトリム要素は、クロム又はプラスチックトリムである。自動車トリム要素は、ビニル、人工レーザー、木地及びレーザーから製造され得、又はより一般的にはプラスチック、ポリカーボネート要素から製造され得る。この解決策は、多くの場合に美的であるが、「タッチスクリーン機能性」など、トリム上に直接的にいくつかの機能を加えることを可能にしない。
【0004】
しかしながら、今日、より多くのガラストリム要素が自動車分野において考慮されている。例えば、ガラストリム要素は、自動車のトランクカバー、A、B、C、Dピラー(側面図においてフロントからリアに移動して、それぞれA、B、C又は(より大型の自動車において)Dピラーと指定される自動車の窓面積の垂直又はほぼ垂直の支持体)のためのカバー、又はダッシュボード、コンソール、ドアトリム上の内部トリム要素として使用される。そのようなガラストリム要素は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第15177303.3号明細書、欧州特許出願公開第15177243.1号明細書及び欧州特許出願公開第16160906.0号明細書に記載されている。
【0005】
したがって、自動車分野においてガラストリム要素を使用することにより、プラスチック又は他の従来使用される材料では不可能であるタッチ機能性などのいくつかの機能性を加える機会が提供される。
【0006】
また、今日、将来的に完全に使用される自動運転車を一層多く使用する傾向がある。例えば、ドライバーレスカ―、セルフドライビングカー、ロボットカーとも呼ばれる未来的な自動運転車は、その環境を感知することが可能であり、且つ人間の入力なしで操縦することが可能な車両である。
【0007】
自動運転車両は、レーダー、LiDAR(光検出及び測距(Light Detection And Ranging)の頭字語)、GPS、走行距離計(Odometry)及びコンピュータビジョンを使用して周囲を検出する。先進的制御システムは、適切な操縦経路並びに障害物及び適切な標識を識別するためにセンサー情報を翻訳する。自動運転車は、道路上の種々の自動車を区別するためにセンサーデータを分析することが可能である制御システムを有し、これは、所望の目的地への経路を計画するために非常に有用である。
【0008】
今日、自動運転車は、自動車金属ボディ全体に沿って飛び出ている「マッシュルーム状」LiDARセンサーを含む。それらの「マッシュルーム」は、例えば、ルーフ上又は自動車の外部リアビューミラー上に配置される。美的でないことに加えて、それらは、外観上印象的であり、且つ外部センサーと互換性がない非常に滑らかで曲線的な未来の自動車のデザインを作成するカーデザイナーの予想と一致しない多くのスペースを取る。LiDARセンサーは、バンパー又はヘッドライトシステム中に包埋され得、これは、損傷及び外部気候条件へのより高い曝露などの他の欠点を意味する。
【0009】
したがって、自動運転車のための「マッシュルーム」等の外観上印象的であり且つ美的でないLiDARセンサー又はバンパー上のLiDARの使用に代わるものが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、赤外線ベースのリモートセンシングデバイスLiDARセンサーは、走査、回転、フラッシュ又は固体状態Lidarをベースとし、且つ車両の周りの周囲環境を3Dマッピングすることを可能にする新世代LIDARである。したがって、IRベースのセンサーは、車両の周囲環境の正確なマッピングを作成することを可能にし、このマッピングを使用して、正確に自動運転車を運転し、障害物によるいずれの衝撃も防がれる。
【0011】
LiDAR(Lidar、LIDAR又はLADARとも記載される)は、レーザー光で標的を照射することによって距離を測定する技術である。それらは、特に走査、回転、フラッシュ又は固体状態LiDARである。走査又は回転LiDARは、可動レーザービームを使用するが、フラッシュ及び固体状態LiDARは、対象物に反射する光パルスを放出する。
【0012】
したがって、今日、自動運転車内に設置され、特に自動車に完全に集積されたLiDARなど、対象物検出及び車両周囲を3Dマッピングすることが可能である赤外線(IR)ベースのリモートセンシングデバイス/センサーが必要とされている。
【0013】
したがって、Lidarが集積化されたガラスが可能な解決策であると考えられなかったため、従来技術からの解決策では、特にLiDAR新世代に関する必要条件に答えることができない。
【0014】
現在、IR信号が、十分な強度を有して車体又は自動車のウインドシールド又はバックライトなどのガラス部分を通過することを可能にする解決策はない。
【0015】
したがって、本発明は、高い検出範囲、最小のデザイン変更及びより高い安全性と組み合わせて、LiDAR新世代センサーが自動運転車内に集積化され得る解決策を提案する。
【0016】
この解決策は、センサーが適切に作動するために十分なIR透過を示す自動車ガラストリム要素上でのLiDARセンサーの集積化によって可能である。本発明によれば、ガラストリム要素は、ウインドシールド、サイドライトなどのビジョンガラスと異なる。したがって、ガラストリム要素の仕様及び必要性は、ビジョングレイジングに関するものと異なる。
【0017】
簡単のために、以下の記載中のガラスシートのナンバリングは、グレイジングに関して慣習的に使用されるナンバリング命名法を参照する。したがって、車両外部の環境と接触するグレイジングの面は、側面1として知られており、内部媒質、すなわち乗客区画と接触する面は、面2と呼ばれる。積層グレイジングに関して、車両の外部環境と接触するガラスシートは、側面1として知られており、内部、すなわち乗客区画と接触する面は、面4と呼ばれる。
【0018】
疑義の回避のために、「外部」及び「内部」という用語は、車両中での設置中のガラストリム要素の方向を意味する。
【0019】
同じく、疑義の回避のために、本発明は、自動車、列車、飛行機など、またドローンなどの他の車両の全ての輸送手段のために適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
したがって、本発明は、750~1650nmの波長域において5m-1~15m-1の吸収係数を有し、且つ外部面及び内部面を有する少なくとも1つのガラスシートを含む自動車用ガラストリム要素に関する。
【0021】
本発明によれば、750~1065nmの波長域で作動する赤外線ベースのリモートセンシングデバイスが、ガラスシートの内部面の後方に配置される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、ガラストリム要素は、ガラスシートの内部面の後方に配置された750~1000nmの波長域における赤外線ベースのリモートセンシングデバイスを含む。
【0023】
本発明によれば、ガラスシートは、750~1650nmの波長域において5m-1~15m-1の吸収係数を有する。赤外線域におけるガラスシートの低い吸収を数量化するために、本記載では、吸収係数は、750~1650nmの波長域で使用される。吸収係数は、吸光度と、所与の環境における電磁放射線によって横断された光路長さとの間の比率によって定義される。それは、m-1で表される。したがって、それは、材料の厚さに依存しないが、吸収した放射の波長及び材料の化学的性質の関数である。
【0024】
ガラスの場合、選択された波長λにおける吸収係数(μ)は、材料(thick=厚さ)の透過率(T)並びに屈折率nの測定から算出することができる。n、ρ及びTは、選択された波長λの関数である。
式中、ρ=(n-1)/(n+1)である。
【0025】
本発明によるガラスシートは、好ましくは、本発明に関連する光学技術において一般に使用される750~1650nmの波長域において、従来のガラス(そのような係数が30m-1程度である「透明ガラス」と呼ばれるもの)と比較して非常に低い吸収係数を有する。特に、本発明によるガラスシートは、750~1650nmの波長域において5m-1~15m-1の吸収係数を有する。
【0026】
好ましくは、ガラスシートは、750~1650nmの波長域において5m-1~10m-1の吸収係数を有する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によると、ガラスシートは、750~1000nmの波長域において吸収係数を有する。
【0028】
低い吸収は、最終IR透過が材料の光路によってそれほど影響されないという追加的な利点を提供する。それは、高い開口角を有する大視域(FOV)センサーに関して、特にセンサーがグレイジングに光学的に連結される場合、種々の角度において認知された強度(異なる領域においてイメージである)がより均一であるであろうことを意味する。
【0029】
したがって、自動運転車両が、道路建設又は障害など、自動運転作動のために不適切な予想外の運転環境に遭遇するとき、本発明によるグレイジングを通して、車両センサーは、車両及び予想外の運転環境についてのデータを取り込むことができる。取り込まれたデータは、リモートのオペレーター又は中央インテリジェンスユニットに送信され得る。リモートのオペレーター又はユニットは、車両を運転するか、又は種々の車両システムで実行されるコマンドを自動運転車両に発することができる。リモートのオペレーター/ユニットに送信された取り込まれたデータは、取り込まれたデータの限定的な下位グループを送信することによってなど、バンド幅を浪費しないように最適化することができる。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、ガラストリム要素は、外部ガラストリム要素である。より特に、外部ガラストリム要素は、車両のA、B及びCピラー又はトランクカバーのためのガラストリム要素である。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、外部トリム要素は、側面、より特に車両のドア上の端部に配置されたガラストリム要素であり得る。
【0032】
したがって、LiDARは、車両のそれぞれの側面からイメージ及びデータを取り込み得る。
【0033】
より好ましくは、自動運転車は、本発明による外部ガラストリム及びウインドシールド、サイドライト、バックライトなどのグレイジングを備え、また、自動車の全ての側面をカバーし且つ自動車の全周囲をマッピングするための集積化されたLiDARも備える。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、本発明によるガラストリム要素は、自動車のバンパー中に集積化されたLiDARを被覆するためにも使用され得る。したがって、LiDARは、LiDAR機能性を減少させることなく保護される。
【0035】
本発明によれば、ガラスシートは、特に750~1650nmの波長域において5m-1~15m-1の吸収係数を有する、種々の部類に属し得るガラスから製造される。したがって、ガラスは、ソーダライム-シリカ型ガラス、アルミノ-シリケート、ボロ-シリケートであり得る。
【0036】
好ましくは、高レベルの近赤外線放射透過を有するガラスシートは、エクストラクリアガラス(extra-clear glass)である。
【0037】
好ましくは、本発明のベースガラス組成物は、ガラスの重量パーセントで表される以下の全含有量:
SiO 55~85%
Al 0~30%
0~20%
NaO 0~25%
CaO 0~20%
MgO 0~15%
O 0~20%
BaO 0~20%
を含む。
【0038】
より好ましくは、本発明のベースガラス組成物は、ガラスの全重量パーセントとして表される含有量において:
SiO 55~78%
Al 0~18%
0~18%
NaO 0~20%
CaO 0~15%
MgO 0~10%
O 0~10%
BaO 0~5%
を含む。
【0039】
より低い生産コストの理由のため、より好ましくは、本発明による少なくとも1つのガラスシートは、ソーダライムガラスから製造される。有利には、本実施形態によると、ベースガラス組成物は、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
SiO 60~75%
Al 0~6%
0~4%
CaO 0~15%
MgO 0~10%
NaO 5~20%
O 0~10%
BaO 0~5%
を含む。
【0040】
そのベース組成物に加えて、ガラスは、性質及び望ましい効果の量によって適合される他の成分を含み得る。
【0041】
その美しさ又はその色に弱い影響を及ぼすか又は影響を及ぼさない、高い赤外線(IR)において非常に透明なガラスを得るために本発明において提案される解決策は、ガラス組成物において低い鉄の量及び特定の含有量の範囲のクロムを組み合わせることである。
【0042】
したがって、第1の実施形態によれば、ガラスシートは、好ましくは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
全Fe(Feとして表される) 0.002~0.06%
Cr 0.0001~0.06%
を含む組成を有する。
【0043】
そのような低濃度の鉄及びクロムを組み合わせたガラス組成物は、赤外線反射に関して特に良好な性能を示し、且つ可視において高い透明度を示し、また顕著な色を示さず、「エクストラクリア」と呼ばれるガラスに近い。これらの組成物は、国際出願の国際公開第2014128016A1号パンフレット、国際公開第2014180679A1号パンフレット、国際公開第2015011040A1号パンフレット、国際公開第2015011041A1号パンフレット、国際公開第2015011042A1号パンフレット、国際公開第2015011043A1号パンフレット及び国際公開第2015011044A1号パンフレットに記載されており、これらは、参照により本出願に組み込まれる。この第1の特定の実施形態によれば、組成物は、好ましくは、ガラスの全重量に対して0.002重量%~0.06重量%の(Cr2O3として表される)クロム含有量を含む。そのようなクロムの含有量により、赤外線反射をさらに改善することが可能となる。
【0044】
第2の実施形態によれば、ガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
全Fe(Feとして表される) 0.002~0.06%
Cr 0.0015~1%
Co 0.0001~1%
を含む組成を有する。
【0045】
そのようなクロム及びコバルトベースのガラス組成物は、美しさ/色(青みがかった中性から強度の着色、さらに不透明まで)に関して興味深い可能性を提供しながら、赤外線反射に関して特に良好な性能を示した。そのような組成物は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第13198454.4号明細書に記載されている。
【0046】
第3の実施形態によれば、ガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
全鉄(Feとして表される) 0.02~1%
Cr 0.002~0.5%
Co 0.0001~0.5%
を含む組成を有する。
【0047】
好ましくは、本実施形態によれば、組成物は、0.06%<全鉄≦1%を含む。
【0048】
クロム及びコバルトをベースとするそのような組成物は、色及び光透過に関して、市場に出ているブルー及びグリーンガラスに匹敵するが、赤外線反射に関して特に良好な性能を有するブルー-グリーン範囲の着色ガラスシートを得るために使用される。そのような組成物は、参照により本出願に組み込まれる欧州特許出願公開第15172780.7号明細書に記載されている。
【0049】
第4の実施形態によれば、ガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
全鉄(Feとして表される) 0.002~1%
Cr 0.001~0.5%
Co 0.0001~0.5%
Se 0.0003~0.5%
を含む組成を有する。
【0050】
そのようなクロム、コバルト及びセレンベースのガラス組成物は、美しさ/色(グレー中性からグレー-ブロンズ範囲のわずかな着色強度まで)に関して興味深い可能性を提供しながら、赤外線反射に関して特に良好な性能を示した。そのような組成物は、欧州特許出願公開第15172779.9号明細書に記載されており、これは、参照により本出願に組み込まれる。
【0051】
第1の代替実施形態によれば、ガラスシートは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
全鉄(Feとして表される) 0.002~0.06%
CeO 0.001~1%
を含む組成を有する。
【0052】
そのような組成物は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第13193345.9号明細書に記載されている。
【0053】
別の代替実施形態によれば、ガラスは、ガラスの全重量パーセントとして表される以下の含有量:
全鉄(Feとして表される) 0.002~0.06%、及び
以下の成分の1種:
- 0.01~1重量%の範囲の量のマンガン(MnOとして算出される);
- 0.01~1重量%の範囲の量のアンチモン(Sbとして表される);
- 0.01~1重量%の範囲の量のヒ素(Asとして表される)、又は
- 0.0002~0.1重量%の範囲の量の銅(CuOとして表現される)
を含む組成を有する。
【0054】
そのような組成物は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第14167942.3号明細書に記載されている。
【0055】
本発明によれば、ガラスシートは、車両の特定のデザインと正確に適合するように完全に又は部分的にカーブしていることができる。
【0056】
本発明によるガラスシートは、有利には、外部トリム要素の被覆部分の抵抗率を強化するために化学的又は熱的に強化され得る。
【0057】
本発明によるガラスシートは、0.1~5mmの範囲の厚さを有し得る。有利には、本発明によるガラスシートは、0.1~3mmの範囲の厚さを有し得る。好ましくは、重量の理由のため、本発明によるガラスシートの厚さは、0.1~2.2mmである。
【0058】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つのトリム要素は、熱処理されたガラスシート、例えば焼鈍し若しくは焼戻しされた及び/又は曲げられたガラスシートから製造される。典型的には、これは、(コーティングされた又はされていない)ガラスシートを炉中で少なくとも580℃、より好ましくは少なくとも約600℃、なおより好ましくは少なくとも620℃の温度まで加熱し、その後、ガラス基板を急冷することを必要とする。この焼戻し及び/又は曲げは、少なくとも4分、少なくとも5分又はそれより長い期間、異なる状況下で実行可能である。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、ガラスシートは、太陽放射から赤外線を選択的にフィルタリングする手段を含み得る。
【0060】
本発明の好ましい実施形態によれば、ガラストリム要素は、少なくとも1つの熱可塑性中間層によって積層された外部及び内部ガラスシートを含む積層ガラストリム要素であって、且つ外部及び内部ガラスシートは、750~1650nm、好ましくは750~1000nmの波長域において5m-1~15m-1の吸収係数を有する高レベル近赤外線放射透過ガラスシートである、積層ガラストリム要素である。
【0061】
本発明によれば、LiDAR機器は、少なくとも1つのレーザー発信器と、光捕収剤(望遠鏡又は他の光学素子)を含む少なくとも受信器と、光を電気信号及び求める情報を抽出する電子プロセス鎖信号に変換する少なくとも光検出器とから構成される光電子システムである。
【0062】
LiDARは、1つのガラスシートトリム要素の場合、ガラストリム要素の内部面(すなわち面2)上に配置される。
【0063】
好ましくは、LiDARは、LiDARが最大表面を被覆するために最良の角度を有する場所に配置される。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、ガラストリム要素は、LiDARが内部ガラスシートの内部面、すなわち面4に配置される積層ガラストリム要素である。
【0065】
有利には、IRベースのリモートセンシングデバイスは、ガラストリム要素の内部面に光学的に連結される。例えば、ガラストリム要素及びLiDARの外部レンズの屈折率に適合する軟質材料が使用され得る。
【0066】
本発明の別の有利な実施形態によれば、ガラスシートは、少なくとも1つの層の反射防止層でコーティングされる。本発明による反射防止層は、例えば、低屈折率を有する多孔性シリカをベースとする層であり得るか、又はいくつかの層(スタック)、特に低屈折率及び高屈折率を有し、且つ低屈折率を有する層を末端とする誘電体材料交代性層の層のスタックから構成され得る。そのようなコーティングは、単一のガラストリム要素に関して面1若しくは/及び2上に、又は積層ガラストリム要素に関して面1若しくは/及び4上に提供され得る。テクスチャガラスシートも使用され得る。反射を回避するために、エッチング又はコーティング技術も使用され得る。
【0067】
好ましい実施形態によれば、本発明によるガラストリム要素を備えた自動車は、正確に自動運転車を運転し、障害物によるいずれの衝撃も防ぐために使用される、自動車の周囲の正確なマッピングのためのIRベースのリモートセンシングデバイスを含むグレイジング(ウインドシールド、サイドライト、バックライト等)を含む。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、ガラスシートは、赤外線透過率の値よりも低い光透過率の値を有する。特に、本発明の別の実施形態によれば、可視域における光透過率の値は、10%未満であり、且つ近赤外線透過率の値は、50%より高い。
【0069】
本発明の別の有利な実施形態によれば、ガラスシートは、良好なレベルの作動性能を保証しながら、外側から非美的要素のセンサーを隠すために、少なくとも1つのIR透過吸収(着色)及び/又は反射コーティングで被覆される。このコーティングは、例えば、可視光域において透過を有さない(又は非常に低い)が、用途のために重要な赤外線域において高い透過性を有する少なくとも1層のブラックインクから構成され得る。そのようなインクは、400~750nm域において<5%及び850~1650nm域において>70%の透過率を達成することが可能である、例えば、株式会社セイコーアドバンス又は帝国インキ製造株式会社によって製造される市販品のような有機化合物から製造可能である。コーティングは、単一のガラストリム要素に関して面1若しくは/及び面2上に、又は積層自動車用ガラストリム要素に関して面1若しくは/及び面4上にその耐久性次第で提供され得る。
【0070】
本発明の別の実施形態によれば、ガラスシートは、高いIR透過率を維持しながら、選択的に可視域を反射するように最適化された多層コーティングで被覆され得る。したがって、Kromatix(登録商標)製品において観察されるものなどのいくつかの特性が求められる。そのような層が適切なガラス組成物に堆積される場合、これらの特性は、完全系の全体の低IR吸光度を保証する。コーティングは、単一のガラストリム要素に関して面1若しくは/及び面2上に、又は積層ガラストリム要素に関して面1若しくは/及び面4上にその耐久性次第で提供され得る。