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特許7078650後縁機構部を有するタービン翼および鋳造コア
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  • 特許-後縁機構部を有するタービン翼および鋳造コア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】後縁機構部を有するタービン翼および鋳造コア
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20220524BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019572007
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018035770
(87)【国際公開番号】W WO2019005425
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】62/527,229
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522103340
【氏名又は名称】シーメンス・エナジー・グローバル・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チン-パン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ワイ・ウム
(72)【発明者】
【氏名】シン・チエン・シウ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ウェイウッド
(72)【発明者】
【氏名】ハリー・ホロマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ケスター
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/094212(WO,A1)
【文献】特表2019-512641(JP,A)
【文献】特開2015-031284(JP,A)
【文献】特表2013-536913(JP,A)
【文献】特開2003-278503(JP,A)
【文献】特開平10-311203(JP,A)
【文献】国際公開第2017/074403(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/160029(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/073092(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159489(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0321980(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0068022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18, 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼(10)であって、
翼内部(11)の境界を定める外壁(12)であって、タービンエンジンの半径方向に沿った翼長方向に延在するとともに、前縁(18)および後縁(20)で結合された正圧側壁(14)および負圧側壁(16)で形成された、外壁(12)と、
前記正圧側壁(14)および前記負圧側壁(16)の間の前記翼内部(11)に配置された後縁冷却剤キャビティ(40f)であって、前記後縁(20)に隣接するよう配置され、かつ前記後縁(20)まで延在するとともに、前記後縁(20)に沿って配置された複数の冷却剤排出スロット(28)に流体連通する前記後縁冷却剤キャビティ(40f)と、
前記後縁冷却剤キャビティ(40f)の後方において前記後縁(20)に沿って配置された個別のフィン(22)の配列を備える内部構造(48)であって、前記個別のフィン(22)の配列は、反対側の内部側壁に到達することなく前記タービン翼(10)の前記翼内部(11)へ延在するよう構成され、前記個別のフィン(22)は、前記正圧側壁(14)および前記負圧側壁(16)から交互に前記タービン翼(10)の前記翼内部(11)へ延在し、個別のフィン(22)の配列は、半径方向の列として配置され、タービン翼(10)の軸方向冷却剤通路(24)よって半径方向に間隔があけられ、かつタービン翼(10)の半径方向冷却剤通路(25)によって軸方向に間隔があけられ、前記軸方向冷却剤通路(24)は、前記半径方向冷却剤通路(25)と流体的に相互接続され、前記個別のフィン(22)は、前記正圧側壁(14)および前記負圧側壁(16)の間の冷却流体(Cf)のために、翼弦方向に沿った軸方向のジグザグ状の冷却流路(50)を形成する、内部構造と、
を備え、
前記内部構造(48)が、前記正圧側壁(14)および前記負圧側壁(16)を接続する、前記タービン翼(10)の前記後縁に沿った、半径方向に延びるピン(44)の少なくとも1つの列をさらに備え、
前記半径方向に延びるピン(44)の少なくとも1つの列のうちの一列が、前記後縁(20)に沿った機構の最後の列である、タービン翼(10)。
【請求項2】
各個別のフィン(22)が前記半径方向に細長い、請求項1に記載のタービン翼(10)。
【請求項3】
前記内部構造(48)が少なくとも1つの軸方向に延びる棚部(42)をさらに備え、前記少なくとも1つの軸方向に延びる棚部(42)は、前記正圧側壁(14)および前記負圧側壁(16)の間の構造的支持を提供する、請求項1または2に記載のタービン翼(10)。
【請求項4】
タービン翼(10)を形成するための鋳造コア(140)であって、
前記タービン翼(10)の後縁冷却剤キャビティ(40f)を形成する鋳造コア部材(140a)であって、翼長方向に延在するとともに、コア前縁(118)からコア後縁(120)へ翼弦方向にさらに延在するコア正圧側(114)およびコア負圧側(116)を備える、コア部材(140a)と、
前記コア後縁(120)に沿って前記コア正圧側(114)の表面および前記コア負圧側(116)の表面に設けられた複数の個別の非穿孔くぼみ(122)であって、前記個別の非穿孔くぼみ(122)が、前記タービン翼(10)の後縁(20)に沿った前記後縁冷却剤キャビティ(40f)の後方の前記タービン翼(10)の後縁部分の内部(11)に沿って個別のフィン(22)を形成し、前記個別の非穿孔くぼみ(122)は、前記タービン翼(10)内で軸方向冷却剤通路(24)を形成する間隙コア部材によって半径方向に間隔をあけられ、かつ前記タービン翼(10)内で半径方向冷却剤通路(25)を形成する間隙コア部材によって軸方向に間隔をあけられ、前記複数の個別の非穿孔くぼみ(122)は、前記タービン翼(10)内に翼弦方向に沿った軸方向のジグザグ状の冷却流路(50)を形成するように、前記コア正圧側(114)および前記コア負圧側(116)の表面に設けられている、複数の個別の非穿孔くぼみ(122)と、
を備え、
前記コア部材(140a)の翼端部間に配置された、前記コア部材(140a)を通り半径方向に延びる貫通孔(144)の少なくとも1つの列をさらに備え、前記貫通孔(144)は、前記タービン翼(10)の後縁内部部分における内部構造(48)の一部を形成し、各半径方向に延びる貫通孔(144)は、前記コア正圧側(114)から前記コア負圧側(116)に延在し、前記貫通孔(144)の少なくとも1つの列のうちの一列が、前記コア後縁(120)に沿った機構の最後の列である、鋳造コア。
【請求項5】
各個別の非穿孔くぼみ(122)が前記半径方向に細長い、請求項4に記載の鋳造コア。
【請求項6】
前記コア正圧側(114)および前記コア負圧側(116)の個別の非穿孔くぼみ(122)が翼弦方向および翼長方向において離間している、請求項4または5に記載の鋳造コア。
【請求項7】
前記コア正圧側(114)の前記個別の非穿孔くぼみ(122)、および前記コア負圧側(116)の前記個別の非穿孔くぼみ(122)が翼弦方向において交互に配置されることにより、前記鋳造コアにおいてジグザグ状断面を形成し、鋳造されたタービン翼(10)においてジグザグ流路を形成する、請求項4~6のいずれか一項に記載の鋳造コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタービン翼に関し、より具体的には、タービン翼の改善された後縁冷却機構部に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、圧縮機セクションから放出された圧縮空気と燃料源から導入された燃料が混合され、燃焼セクションで燃焼され、高温高圧の作動ガスを規定する燃焼生成物を作り出す。作動ガスは、エンジンのタービンセクション内の高温ガス通路を通って導かれ、そこで作動ガスが膨張してタービンローターを回転させる。タービンローターは、発電機にリンクすることができ、タービンローターの回転を使用して発電機で発電することができる。
【0003】
現代のエンジンで実施される高い圧力比および高いエンジン燃焼温度を考慮して、例えばタービンセクション内の固定ベーンおよび回転ブレードなどの翼などの特定の構成要素は、構成要素の過熱を防ぐために、圧縮機セクションの圧縮機から放出される空気などの冷却流体で冷却しなければならない。ガスタービンの効率をさらに高めるために、タービンでの冷却剤消費量を削減する努力が続けられている。
【0004】
タービン翼の効果的な冷却には、比較的冷たい空気を、タービンブレードまたは固定ベーンの後縁に沿うような重要な領域に送達する必要がある。関連する冷却開口は、例えば、翼内の上流の比較的高圧のキャビティとタービンブレードの外面の1つとの間に延在することがある。ブレードキャビティは通常、機械のローターとステーターに対して半径方向に延在する。熱伝達率に基づいて高い冷却効率を達成することは、冷却のために圧縮機から迂回する冷却空気の量を最小限に抑えるための重要な設計上の考慮事項である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タービン翼の後縁は、空力効率のために比較的薄く作られている。ガスタービン翼の比較的狭い後縁部分は、例えば、翼全体の外表面積の最大約3分の1を含む場合がある。タービン翼は、多くの場合、通常セラミック材料で作られた鋳造コアを含む鋳造プロセスによって製造される。コア材料は、タービン翼内部の中空流路を表す。鋳造コアは、鋳造プロセス中の処理に耐えるのに十分な構造的強度を持つことが有益である。強力な鋳造コアを実現するだけでなく、冷却剤の流れを制限するための改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、タービン翼が提供される。タービン翼は、翼内部を区切る外壁であって、外壁は、タービンエンジンの半径方向に沿った翼長方向に延び、前縁と後縁で接合された正圧側壁と負圧側壁で形成される、外壁と、正圧側壁と負圧側壁の間の翼内部に配置された後縁冷却剤キャビティであって、後縁冷却剤キャビティは、後縁に隣接して配置されるとともに、後縁まで広がり、後縁に沿って配置された複数の冷却剤排出スロットと流体連通する、後縁冷却剤キャビティと、後縁冷却剤キャビティの後方で後縁に沿って配置された個別のフィンの配列を含む内部構造であって、個別のフィンの配列は、反対側の内部側壁に達することなく翼の内部に延びるように構成され、個別のフィンは、正圧側壁と負圧側壁から交互にタービン翼の内部に延び、個別のフィンは、正圧側壁と負圧側壁の間の冷却流体のための翼弦方向に沿った軸方向のジグザグ状の冷却流路を形成する。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、タービン翼を形成するための鋳造コアは、タービン翼の後縁冷却剤キャビティを形成する鋳造コア部材を備え、コア部材は、翼長方向に延びるとともに、コア前縁からコア後縁に向かって翼弦方向に延びるコア正圧側およびコア負圧側を備え、コア後縁に沿ってコア正圧側の表面およびコア負圧側の表面に複数の個別の非穿孔くぼみが設けられ、個別の非穿孔くぼみは、タービン翼の後縁に向かう後縁冷却剤キャビティの後部のタービン翼後縁部分の内部に沿って個別のフィンを形成し、個別の非穿孔くぼみは、タービン翼内の軸方向冷却剤通路を形成する間隙コア部材によって半径方向に間隔をあけられ、タービン翼内の半径方向冷却剤通路を形成する間隙コア部材によって軸方向に間隔をあけられている。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲を参照してよりよく理解されるようになるだろう。
【0009】
本発明は、図面によりさらに詳細に示される。図は好ましい構成を示しており、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を特徴とするタービン翼の斜視図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による図1の断面II-IIに沿った、タービン翼の後縁に沿った特徴を示すミッドスパン断面図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による鋳造コアの部分コア正圧側面図である。
図4】鋳造コアの後縁部分を示す拡大されたミッドスパンコア正圧側面図である。
図5図4の断面V-Vに沿った断面図である。
図6】タービン翼の後縁部分を示す拡大されたミッドスパン断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、本発明が実施される本発明の特定の実施形態を限定ではなく例示として示す。他の実施形態を利用してもよく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更を加えてもよいことを理解されたい。
【0012】
図面において、方向Xは、タービンエンジンの軸に平行な軸方向を示し、方向RおよびCは、それぞれ、タービンエンジンの軸に対する半径方向および円周(または接線)方向を示す。
【0013】
概して、本発明の実施形態は、正圧側壁と負圧側壁との間の翼内部に配置された後縁冷却剤キャビティを含むタービン翼を提供する。後縁冷却剤キャビティは、タービン翼の後縁に隣接して配置され、後縁まで延びている。内部は、後縁冷却剤キャビティと後縁の間に形成された個別のフィンの配列を含む内部構造をさらに含む。個別のフィンは、正圧側壁と負圧側壁の間の冷却液のために、翼弦方向に沿った軸方向のジグザグ状の冷却流路を形成する。
【0014】
図1を参照すると、一実施形態によるタービン翼10が示されている。図示のように、タービン翼10は、ガスタービンエンジン用のタービンブレードである。ただし、本発明の態様は、ガスタービンエンジンの固定ベーンにさらに組み込むことができることに留意されたい。翼10は、例えば、軸流ガスタービンエンジンの高圧段での使用に適合した外壁12を含むことができる。外壁12は、翼内部11の境界を定める。外壁12は、タービンエンジンの半径方向Rに沿って翼長方向に延び、略凹形状の正圧側壁14と略凸形状の負圧側壁16とを含む。正圧側壁14と負圧側壁16は、前縁18と後縁20で接合されている。外壁12は、プラットフォーム38で36に結合されてもよい。根元部36は、タービン翼10をタービンエンジンのディスク(図示せず)に結合することができる。外壁12は、半径方向外側の翼端面(翼端キャップ)32と、プラットフォーム38に結合された半径方向内側の翼端面34とによって半径方向に区切られている。他の実施形態では、タービン翼10は、タービンエンジンのタービンガス経路セクションの内径に結合された半径方向内側端面と、タービンエンジンのガス経路セクションの外径に結合された半径方向外側端面とを有する固定タービンベーンであってもよい。
【0015】
図2を参照すると、翼弦軸30は、正圧側壁14と負圧側壁16との間の中心に延びるように画定されてもよい。本明細書において、「前方」という相対用語は、翼弦軸30に沿って前縁18に向かう方向を指し、「後方」という相対用語は、翼弦軸30に沿って後縁20に向かう方向を指す。示されるように、内部通路および冷却回路は、半径方向範囲に沿う正圧側壁14と負圧側壁16との間の半径方向冷却剤キャビティ40a-fによって形成される。本実施例では、冷却剤Cfは、タービン翼10の根元部36に設けられた開口部を介して1つ以上の半径方向キャビティ40a-fに入り、そこから冷却剤Cfは、例えば1つ以上の蛇行冷却回路を介して隣接する半径方向冷却剤キャビティに横切っていくことができる。そのような冷却スキームの例は当技術分野で知られており、本明細書ではこれ以上議論しない。半径方向冷却剤キャビティを横切った後、冷却剤Cfは、例えば図1に示すようにそれぞれ前縁18および後縁20に沿って配置された冷却剤排出スロット26、28を介して翼10から高温ガス経路に放出され得る。図面には示されていないが、冷却剤排出スロットは、正圧側壁14、負圧側壁16、および翼端面32の任意の場所を含む複数の場所に設けられてもよい。
【0016】
後縁20に最も近い冷却剤キャビティである最も後方の半径方向冷却剤キャビティ40fは、本明細書では後縁冷却剤キャビティ40fと呼ばれる。後縁冷却剤キャビティ40fに到達すると、冷却剤Cfは、後縁冷却剤キャビティ40fを出て、後縁20に沿って配置された冷却剤排出スロット28を介して翼10を出る前に、後縁20に沿って配置された後縁冷却機構の内部構造48を軸方向に横断する。従来の後縁冷却機構には、翼弦軸に沿って互いに隣接して配置された一連の衝突プレートが含まれていた。しかし、この構成では、冷却剤Cfは、後縁で翼を出る前に短い距離だけしか移動できない。冷却効率を改善し、必要な冷却剤の流れを減らすために、熱伝達のための表面積を増やすために、後縁部分に沿ってより長い冷却材流路を設けることが望ましい場合がある。
【0017】
特に図2および図6に示された本実施形態は、後縁冷却機構の改善された構成を提供する。この場合、衝突プレートは、後縁20の個別のフィン22として具体化された冷却機構の配列に置き換えられる。個々のフィン22は、翼10の内部11の反対側に向かって延びているが、内部11の反対側までずっと延びているわけではない。個別のフィン22は、正圧側壁14と負圧側壁16の両方の表面から内部11の反対側の側壁に向かって延びていることがわかる。正圧側14の個別のフィン22は、軸方向に沿って負圧側16の個別のフィン22からオフセットされている。個別のフィン22は、半径方向および軸方向に沿って、インライン配列または千鳥配列で配置することができる。機構部22は、図2および図6に示すように半径方向の列として配置されている。各列における機構部22は、軸方向冷却剤通路24を画定するために間隔が空いている。列は、半径方向冷却剤通路25を画定するために翼弦軸30に沿って離間している。図4は、鋳造プロセスが完了した場合の、軸方向冷却剤通路24および半径方向冷却剤通路25が配置された場所を示す。
【0018】
隣接する列の機構部22は、半径方向に互い違いに配置されてもよい。配列の軸方向冷却剤通路24は、半径方向冷却剤通路25を介して流体的に相互接続され、後縁冷却剤キャビティ40f内の加圧冷却剤Cfを、図6に示されるジグザグ流路を介して後縁20の冷却剤排出スロット28に導く。特に、略前方から後方に流れる加圧冷却剤Cfは、機構部22の列に当たり、冷却剤Cfの圧力の低下を伴い冷却剤Cfへの熱伝達をもたらす。熱は、対流冷却および/または衝突冷却によって、通常は両方の組み合わせによって、外壁12から冷却剤Cfに伝達される。
【0019】
図示の実施形態では、各機構部22は、半径方向に沿って細長い。つまり、各機構部22は、翼弦方向の幅よりも大きい半径方向の長さを有する。アスペクト比が高いほど、半径方向冷却剤通路25の冷却剤Cfの流路が長くなり、冷却表面積が増加し、対流熱伝達が増加する。ダブルまたはトリプル衝突プレートに対して、説明された構成は、冷却剤Cfの流路を長くし、熱伝達と圧力降下の両方を増やして冷却剤の流量を制限することが示されている。したがって、このような構成は、少量の冷却空気を必要とする高度なタービンブレード用途に適している場合がある。
【0020】
例示的なタービン翼10は、典型的にはセラミック材料で作られた鋳造コア140を含む鋳造プロセスによって製造することができる。コア材料は、タービン翼10内の中空の冷却剤流路を提供する。鋳造プロセス中の処理を通じて耐えるのに十分な構造的強度を持つことが有益である。この目的のために、個別のフィン22の製造は、構造的な中断を生じさせず、ブレード後縁冷却通路を通る流れを制限しながらコア強度を維持する。本発明の実施形態は、強力な鋳造コアだけでなく、冷却剤の流れの制限を達成するための改善を提供する。
【0021】
図3図5は、本発明のタービン翼10を製造するための例示的な鋳造コア140を示している。鋳造コア140の後縁部分は、タービン翼10の後縁部分の断面を表す図4および図5に部分的に示されているコア部材140aである。コア部材140aは、翼長方向に延在し、コア前縁118からコア後縁120に向かって翼弦方向に延在するコア正圧側114と、コア負圧側116とを有する。図3および図4は、コア正圧側114であり、図4では、後縁120の機構に注目している。図示のように、コア部材140aは、コア正圧側114およびコア負圧側116の表面に複数の個別の非穿孔くぼみ122を含む。
【0022】
コア正圧側114の個別の非穿孔くぼみ122は、軸方向に沿ってコア負圧側116の個別の非穿孔くぼみ122からオフセットされている。個別の非穿孔くぼみ122は、半径方向および軸方向に沿ってインラインまたは千鳥配列で配置することができる。
【0023】
図示の実施形態では、個別の非穿孔くぼみ122は、長方形またはレーストラック形状である。さらに、個別の非穿孔くぼみ122は、従来の設計よりも均一な分布を提供する。外壁に沿った冷却の増加と高度なブレードのより効果的な設計は、本明細書で説明する実施形態により達成することができる。内部構造48の全体ではないにしても大部分の個別の非穿孔くぼみ122の製造は、ピン穿孔単体、または内部構造48の大部分のピン穿孔よりも簡単で効率的なプロセスである。
【0024】
鋳造が完了すると、コア後縁120に沿った個別の非穿孔くぼみ122は、図5に見られるジグザグ流路を形成する。 ジグザグ流路は、より均一な冷却のために、外部の熱い外壁12に隣接するより高速の冷却剤の流れをもたらす。
【0025】
図3図5に示すように、特定の実施形態では、半径方向に延びる貫通孔144の少なくとも1つの列が、個別の非穿孔くぼみ122の配列と翼長方向端部まで延びる後縁120との間に配置され得る。鋳造コア140内の半径方向に延びる貫通孔144は、鋳造された本発明のタービン翼10の正圧側壁14と負圧側壁16を接続する個別の半径方向に延びるピン44を提供する。さらに、特定の実施形態では、少なくとも1つの軸方向に延びる貫通孔142が、鋳造コア140の個別の非穿孔くぼみ122の間に追加されてもよい。鋳造コア140の少なくとも1つの軸方向に延びる貫通孔142は、軸棚のように作用する少なくとも1つの個別の軸方向に延びる棚部42を提供する。少なくとも1つの軸方向に延びる棚部42はまた、タービン翼10の正圧側壁14と負圧側壁16を接続する。少なくとも1つの半径方向に延びるピン44および少なくとも1つの軸方向に延びる棚部42は、正圧側壁14と負圧側壁16との間の構造的支持を提供することができる。少なくとも1つの軸方向に延びる棚部42はまた、後縁20の冷却を複数の半径方向冷却ゾーンに分割して、局所的な熱伝達のニーズに合わせることができる。図3および図4は、実施形態のこれらの態様をさらに詳細に示す。個別の非穿孔くぼみ122のサイズおよび間隔および数は、異なる半径方向冷却ゾーンごとに変更および調整することができる。
【0026】
個別の非穿孔くぼみにより、セラミックコアは、製造プロセス中にコアダイが除去された後、追加の洗浄を必要としないだろう。これにより、製造コストを大幅に節約することができる。前述のように、個別の非穿孔くぼみは、構造を遮らず、したがって、コアはその強度を維持しながら、ブレード後縁冷却通路を通る流れを制限することができる。
【0027】
鋳造されると、少なくとも1つの軸方向に延びる貫通孔142はそれぞれ、翼10の正圧側壁14と負圧側壁16との間に追加の構造的支持を提供し、後縁冷却を複数の半径方向冷却ゾーンに分割することができる軸方向仕切り棚になる。これらの複数の半径方向冷却ゾーンは、局所的な熱伝達のニーズに合わせて調整することができる。
【0028】
特定の実施形態を詳細に説明したが、当業者は、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正および代替案を開発できることを理解するであろう。したがって、開示された特定の構成は、例示のみを意図しており、添付の特許請求の範囲およびそのあらゆる同等物の全範囲が与えられる本発明の範囲に関して限定するものではない。
【符号の説明】
【0029】
10 タービン翼
11 翼内部
12 外壁
14 正圧側壁
16 負圧側壁
18 前縁
20 後縁
22 フィン
24 軸方向冷却剤通路
25 半径方向冷却剤通路
26,28 冷却剤排出スロット
30 翼弦軸
32,34 翼端面
36 根元部
38 プラットフォーム
40f 後縁冷却剤キャビティ
40a‐f 半径方向冷却剤キャビティ
42 棚部
44 ピン
48 内部構造
50 冷却流路
114 コア正圧側
116 コア負圧側
118 コア前縁
120 コア後縁
140 鋳造コア
142 貫通孔
144 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6