(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】シートバックフレーム及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20220524BHJP
B60N 2/20 20060101ALI20220524BHJP
B60N 2/36 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/20
B60N2/36
(21)【出願番号】P 2020017087
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2020-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】能登 祐二
(72)【発明者】
【氏名】田山 晃介
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151311(JP,A)
【文献】特開2017-165258(JP,A)
【文献】特開2010-158464(JP,A)
【文献】特開2011-098595(JP,A)
【文献】特開2010-253182(JP,A)
【文献】米国特許第4493505(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 7/40 - A47C 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションのシート後方側に連結されシート前後方向に傾倒可能に設けられたシートバックを備え、前記シートバックをシート前方側へ向けて傾倒させる際に、前記シートクッションがシート下方側へ移動するチルトダウンシート又は前記シートバックをシート前方側へ向けて傾倒させる際に、前記シートクッションのシート上下方向への位置が保たれるフォールドシートのシートバックフレームであって、
前記シートバックに配置され、着座状態のシート上下方向に沿って形成された部分を備えるアッパフレームと、
前記アッパフレームに沿って形成されると共に当該アッパフレームに接合され、前記着座状態のシート上下方向に沿ってピッチ長の間隔を空けて形成された複数の接合部を備えたバックサイドフレームと、
各々シート前方側へ向けて凸とされ、前記着座状態のシート上下方向に沿って前記ピッチ長と略同一の間隔を空けて形成された前記複数の接合部よりも多数の凸形状部を有すると共に前記複数の接合部と接合可能なパネル側接合部を備え、アッパフレームの前記着座状態におけるシート後方側に配置されるシートバックパネルと、
を含んで構成され、
前記複数の凸形状部は、前記チルトダウンシートを構成する際に前記複数の接合部が接合されるチルトダウンシート用の前記凸形状部と、前記フォールドシートを構成する際に前記複数の接合部が接合されるフォールドシート用の前記凸形状部と、を有し、
前記複数の接合部がチルトダウンシート用の前記凸形状部に接合されている状態の前記
シートバックパネルの上縁から前記シートバックと前記シートクッションとの連結部までの
前記着座状態におけるシート上下方向の長さが、前記複数の接合部がフォールドシート用の前記凸形状部に接合されている状態の前記
シートバックパネルの上縁から
前記シートバックと前記シートクッションとの連結部までの
前記着座状態におけるシート上下方向の長さよりも長く設定されているシートバックフレーム。
【請求項2】
前記シートバックパネルの前記着座状態におけるシート下方側には、各々シート前方側へ向けて凸とされた凸形状を有すると共に前記アッパフレームのシート下方側にシート幅方向に沿って設けられると共に前記バックサイドフレームと接合されたロアパイプと接合可能とされ、シート上下方向に沿って間隔を空けた第1ロア接合部と第2ロア接合部が形成され、
前記第1ロア接合部は、前記フォールドシートを構成する際に前記ロアパイプと接合されるフォールドシート用のロア接合部とされ、
前記第2ロア接合部は、前記第1ロア接合部に対してシート下方側に配置され、前記チルトダウンシートを構成する際に前記ロアパイプと接合されるチルトダウンシート用のロア接合部とされている請求項1に記載のシートバックフレーム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシートバックフレームを備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックフレーム及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両用シートとして、シートバックをシートクッション上へ傾倒させた際に、シートクッションが車両下方側へ向けて下降するように構成されると共に、シートバックを荷台へ転換することができる、いわゆるチルトダウンシート(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、車両用シートとして、シートバックをシートクッション上へ傾倒させた際にシートクッションが下降しないフォールドシートが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来型の車両用シートでは、荷室高さの違いによりその回転中心の車両上下方向の高さ位置が異なり、チルトダウンシートやフォールドシート等のシートアレンジが発生する。これにより、例えば、シートアレンジ毎に型費が発生する等のコスト増加や作業工数の増加が生じている。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シートアレンジが異なる場合であっても部品を共用できるシートバックフレーム及び車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のシートバックフレームは、シートクッションのシート後方側においてシート前後方向に傾倒可能に立設されたシートバックに配置され、着座状態のシート上下方向に沿って形成された部分を備えるアッパフレームと、前記アッパフレームに沿って形成されると共に当該アッパフレームに接合され、前記着座状態のシート上下方向に沿ってピッチ長の間隔を空けて形成された複数の接合部を備えたバックサイドフレームと、各々シート前方側へ向けて凸とされ、前記着座状態のシート上下方向に沿って前記ピッチ長と略同一の間隔を空けて形成された前記複数の接合部よりも多数の凸形状部を有すると共に前記複数の接合部と接合可能なパネル側接合部を備え、アッパフレームの前記着座状態におけるシート後方側に配置されるシートバックパネルと、を含んで構成されている。
【0007】
第1の態様のシートバックフレームによれば、バックサイドフレームの複数の接合部と接合部よりも多数のシートバックパネルの凸形状部とを接合する部位を着座状態のシート上下方向に沿って変えることにより、シートバック上端からシートクッションとの連結部までの着座状態におけるシート上下方向の長さが異なるシートバックを構成することができる。これにより、例えば、着座状態のシートバックをシートクッションへ向けて傾倒する際の回転中心の高さ位置と傾倒する際の軌跡が異なるチルトダウンシートとフォールドシートのようにシートアレンジが異なるシートバックを構成する場合にシートバックフレームの部品を共用することができる。
【0008】
第2の態様のシートバックフレームは、第1の態様のシートバックフレームにおいて、前記シートバックパネルの前記着座状態におけるシート下方側には、各々シート前方側へ向けて凸とされた凸形状を有すると共に前記アッパフレームのシート下方側にシート幅方向に沿って設けられると共に前記バックサイドフレームと接合されたロアパイプと接合可能とされ、シート上下方向に沿って間隔を空けた第1ロア接合部と第2ロア接合部が形成されている。
【0009】
第2の態様のシートバックフレームによれば、各々シート前方側へ向けて凸とされた凸形状を有すると共にロアパイプと接合可能とされた第1ロア接合部と第2ロア接合部がシート上下方向に沿って間隔を空けて形成されている。このため、シートアレンジが異なるためにロアパイプの高さ位置が異なる場合であってもシートバックパネルを共用することができる。
【0010】
第3の態様の車両用シートは、第1の態様又は第2の態様のシートバックフレームを備え、前記複数の接合部と前記複数の凸形状部とを各々接合した第1シートバックを構成することにより、前記着座状態から前記第1シートバックが当接する格納状態へと前記第1シートバックをシート前方側へ向けて傾倒した際にシート下方側へ移動可能な第1シートクッションを備えたチルトダウンシートを構成可能とされ、前記複数の接合部を前記第1シートバックにおける前記複数の凸形状部との接合部位よりも前記着座状態のシート上方側で前記複数の凸形状部に接合した第2シートバックを構成することにより、シート上下方向に固定して設けられ、座面の側の形状が前記第1シートバックと略同一に形成されると共に、上端のシート上下方向の高さ位置が前記第1シートクッションの前記着座状態における上端のシート上下方向の高さ位置と略同一に形成された第2シートクッションを備えたフォールドシートを構成可能とされ、前記チルトダウンシートにおける前記第1シートバックの回転中心と前記フォールドシートにおける前記第2シートバックの回転中心のシート上下方向の高さ位置の差と、前記チルトダウンシートの前記格納状態における前記第1シートバックの上端と前記フォールドシートの前記格納状態における前記第2シートバックの上端のシート上下方向の高さ位置の差と、前記ピッチ長と、は略同一に設定されている。
【0011】
第3の態様の車両用シートによれば、バックサイドフレームとシートバックパネルを共用してシートアレンジメントの異なるチルトダウンシートとフォールドシートを構成することができる。また、フォールドシートの第2シートクッションは、座面側の形状が第1シートクッションと略同一に形成されると共に、上端のシート上下方向の高さ位置が第1シートクッションの着座状態における上端のシート上下方向の高さ位置と略同一に形成されている。このため、チルトダウンシートの格納状態における第1シートバックの上端とフォールドシートの格納状態における第2シートバックの上端のシート上下方向の高さ位置の差とピッチ長を略同一とすることができる。さらに、チルトダウンシートにおける第1シートバックの回転中心とフォールドシートにおける第2シートバックの回転中心のシート上下方向の高さ位置の差とピッチ長を略同一とすることができる。これにより、着座状態のチルトダウンシートとフォールドシートにおいてシートバックの上端のシート上下方向の高さ位置を略同一にすることができるため、シートアレンジメントが異なる場合であっても車室内におけるシートの美感や居住性を統一することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係るシートバックフレーム及び車両用シートは、シートアレンジが異なる場合であっても部品を共用できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るシートバックフレームをシート前方側から見た斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るシートバックフレームをチルトダウンシートに適用した場合の正面図である。
【
図3】本実施形態に係るシートバックフレームをフォールドシートに適用した場合の正面図である。
【
図4】本実施形態に係るシートバックフレームを適用したチルトダウンシートとフォールドシートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図4を用いて、本発明の実施形態の一例であるシートバックフレーム10が適用された車両用シート12、14について説明する。
図4に示されるように、シートバックフレーム10の部品を共用することによりチルトダウンシート12とフォールドシート14といった異なるシートアレンジメントの車両用シート12、14を構成することができる。以下の図において、矢印FRはシート前方側を示し、矢印UPはシート上方側を示し、矢印Wはシート幅方向を示している。なお、本実施形態では、車両用シート12、14の前方側、上方側及び幅方向は、図示しない車両の前方側、上方側及び幅方向と一致している。さらに、ここでは、車両用シート12、14に車両前方側を向いて着座した図示しない乗員の右手方向を「シート右手方向」、左手方向を「シート左手方向」と称する。
【0015】
(チルトダウンシート)
図1及び
図2には、チルトダウンシート12を構成する第1シートバックフレーム16をシート前方側から見た斜視図及び正面図が示されている。また、
図4には、着座状態SDと格納状態STのチルトダウンシート12の側面図が示されている。チルトダウンシート12は、着座した乗員(図示省略)の臀部及び大腿部を支持するシートクッションとしての第1シートクッション18と、第1シートクッション18のシート後方側に立設され、乗員の背部を支持するシートバックとしての第1シートバック20と、を含んで構成されている。第1シートバック20は、第1シートクッション18との連結部を回転中心としてシート前後方向に傾倒可能に構成されている。第1シートバック20のシート上方側には、乗員の頭部を支持するためのヘッドレスト(図示省略)が設けられている。ここで、着座状態SDとは、第1シートクッション18のシート後方側に連結された第1シートバック20が立設されて乗員が着座可能な状態をいう。また、格納状態STとは、第1シートバック20をシート前方側へ向けて傾倒させると共に、第1シートクッション18の座面(シート上方側の面)に当接した状態をいう。
【0016】
チルトダウンシート12は、着座状態SDから格納状態STへ変更するために第1シートバック20をシート前方側へ向けて傾倒させた際に、第1シートクッション18をシート下方側へ移動させることができる。このため、格納状態STにおける第1シートバック20のシート上下方向の高さ位置を低くすることができる。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、第1シートバック20の内部は、骨格部分を形成する第1シートバックフレーム16により形成されている。第1シートバック20は、第1シートバックフレーム16を覆うようにバックパッド24(
図4参照)が取り付けられることによって構成されている。また、第1シートバック20は、第1シートクッション18の骨格を構成する図示しないクッションフレームとの接続部に設けられたリクライニング機構26を回転中心としてシート前後方向に傾倒可能に支持されている。
【0018】
第1シートバックフレーム16は、第1シートバック20のシート上方側に設けられたアッパフレームとしてのアッパパイプ28と、アッパパイプ28の着座状態SDにおけるシート後方側に取り付けられたシートバックパネル22と、第1シートバック20のシート幅方向両端側においてアッパパイプ28に沿って設けられた左右一対のバックサイドフレーム30と、を含んで構成されている。
【0019】
アッパパイプ28は、例えば、金属材料により筒状に形成され、第1シートバック20のシート上方側においてシート幅方向に延在された上側パイプ28Aと、上側パイプ28Aのシート幅方向両端部から着座状態SDにおけるシート下方側へ延在された一対の側部パイプ28Bと、を含んで構成されている。シート下方側へ延在された一対の側部パイプ28Bの下端部は、左右一対の金属製のバックサイドフレーム30と各々接合されている。また、アッパパイプ28の上側パイプ28Aには、ヘッドレスト(図示省略)の骨格を構成するヘッドレストフレーム32が連結されている。また、アッパパイプ28の着座状態SDにおけるシート下方側には、シート幅方向に沿って形成されたロアパイプとしての第1ロアパイプ34がバックサイドフレーム30に亘って架け渡されている。
【0020】
バックサイドフレーム30は、側部パイプ28Bのシート幅方向外側に沿って各々略板状に形成されると共に側部パイプ28Bに接合されている。バックサイドフレーム30の着座状態SDにおけるシート前方側部分とシート下方側部分は各々シート幅方向内側へ折り曲げられて前側フランジ部30Aと後側フランジ部30Bが形成されている。
【0021】
一方の側部パイプ28Bとしてのシート左側の側部パイプ28Bのシート幅方向内側には、側部パイプ28Bに沿って形成された略板状のリンフォース36が設けられている。リンフォース36の着座状態SDにおけるシート前方側部分には、シート幅方向外側へ折り曲げられることにより外側フランジ部36Aが形成されている。リンフォース36の着座状態SDにおけるシート後方側部分には、シート幅方向内側へ折り曲げられることにより内側フランジ部36Bが形成されている。バックサイドフレーム30とリンフォース36の着座状態SDにおけるシート上方側の部分には、側部パイプ28Bとの接合を補強する補強部材31が設けられている。
【0022】
内側フランジ部36Bには、そのシート幅方向内側の端部からシート幅方向内側へ向けて突出して形成され、シートバックパネル22と接合される接合部としての第1接合部42を備えた略板状の第1突出部38とシートバックパネル22と接合される接合部としての第2接合部44を備えた第2突出部40が設けられている。第1突出部38と着座状態SDにおいて第1突出部38のシート下方側に形成された第2突出部40は、着座状態SDにおけるシート上下方向に沿ってピッチ長PLの間隔を空けて形成されている。このため、第1接合部42と第2接合部44は、着座状態SDにおけるシート上下方向に沿ってピッチ長PLの間隔を空けて形成されている。
【0023】
内側フランジ部36Bの第2突出部40の着座状態SDにおけるシート下方側の第1ロアパイプ34と対向する部分には、シート前方側に窪んで形成されると共に内周形状が第1ロアパイプ34の外周形状に沿って形成されたパイプ取付部46が形成されている。このため、リンフォース36を第1ロアパイプ34に安定して取り付けることができる。
【0024】
アッパパイプ28の着座状態SDにおけるシート後方側には、略板状に形成された金属製のシートバックパネル22が配置されている。シートバックパネル22のシート左側には、シート上下方向に沿ってピッチ長PLと略同一の間隔を空けて形成された第1凸形状部52、第2凸形状部54及び第3凸形状部56を有するパネル側接合部50が形成されている。第2凸形状部54は、第1凸形状部52の着座状態SDにおけるシート下方側に形成され、第3凸形状部56は、第2凸形状部54の着座状態SDにおけるシート下方側に形成されている。また、第1凸形状部52、第2凸形状部54及び第3凸形状部56は、シート前方側へ向けて凸とされると共に第1接合部42及び第2接合部44と接合可能とされている。
【0025】
チルトダウンシート12は、リンフォース36の第1接合部42とシートバックパネル22の第2凸形状部54が接合されると共に、リンフォース36の第2接合部44とシートバックパネル22の第3凸形状部56が接合されることにより構成されている。
【0026】
シートバックパネル22の着座状態SDにおけるシート幅方向略中央部かつシート下方側には、シート前方側へ向けて凸とされた凸形状部を有すると共に、後述する第2ロアパイプ72と接合可能な第1ロア接合部58が形成されている。また、第1ロア接合部58の着座状態SDにおけるシート下方側には、第1ロア接合部58と同様にシート前方側へ向けて凸とされた凸形状を有する第2ロア接合部60が形成されている。第2ロア接合部60は、着座状態SDにおけるシート上下方向に沿って第1ロア接合部58とピッチ長PLの間隔を空けて形成されている。チルトダウンシート12の第1ロアパイプ34は、第2ロア接合部60と接合されている。
【0027】
(フォールドシート)
図3には、フォールドシート14を構成する第2シートバックフレーム66をシート前方側から見た正面図が示されている。また、
図4には、着座状態SDと格納状態STのフォールドシート14の側面図が示されている。フォールドシート14は、チルトダウンシート12を構成するシートバックフレーム10の部品を共用して構成されている。このため、以下の説明では、チルトダウンシート12と部品を共用する部分については説明を省略する。
【0028】
フォールドシート14は、着座した乗員(図示省略)の臀部及び大腿部を支持するシートクッションとしての第2シートクッション68と、第2シートクッション68のシート後方側に立設され、乗員の背部を支持するシートバックとしての第2シートバック70と、を含んで構成されている。第2シートバック70は、第2シートクッション68との連結部(リクライニング機構26)を回転中心としてシート前後方向に傾倒可能に構成されている。また、
図3に示されるように、第2シートバック70の内部は、骨格部分を形成する第2シートバックフレーム66により形成されている。第2シートバックフレーム66は、第1シートバックフレーム16と同じアッパパイプ28とシートバックパネル22を備えて形成されている。アッパパイプ28の着座状態SDにおけるシート下方側にシート幅方向に沿って形成されたロアパイプとしての第2ロアパイプ72が左右一対のバックサイドフレーム30に亘って架け渡されることにより第2シートバックフレーム66が形成されている。ここで、着座状態SDとは、第2シートクッション68のシート後方側に連結された第2シートバック70が立設されて乗員が着座可能な状態をいう。また、格納状態STとは、第2シートバック70をシート前方側へ向けて傾倒させると共に、第2シートクッション68の座面(シート上方側の面)に当接した状態をいう。
【0029】
図4に示されるように、フォールドシート14の第2シートクッション68は、シート上下方向に固定されている。このため、フォールドシート14は、着座状態SDから格納状態STへ変更するために第2シートバック70をシート前方側へ向けて傾倒させた場合に、第2シートクッション68はシート上下方向に移動しない。
【0030】
図4に示されるように、第2シートクッション68は、座面側(シート上方側)の形状が第1シートクッション18と略同一に形成されると共に、上端のシート上下方向の高さ位置P2が第1シートクッション18の着座状態SDにおける上端のシート上下方向の高さ位置P1と略同一位置に形成されている。
【0031】
フォールドシート14は、リンフォース36の第1接合部42とシートバックパネル22の第1凸形状部52が接合されると共に、リンフォース36の第2接合部44とシートバックパネル22の第2凸形状部54が接合されることにより構成されている。また、フォールドシート14の第2ロアパイプ72は、第1ロア接合部58と接合されている。
【0032】
これらの構成を備えたフォールドシート14は、
図4に示されるように、チルトダウンシート12におけるリクライニング機構26の回転中心とフォールドシート14におけるリクライニング機構26の回転中心のシート上下方向の高さ位置の差DFとピッチ長PLとを略同一に設定することができる。さらに、格納状態STにおけるチルトダウンシート12と格納状態STにおけるフォールドシート14のシート上下方向の高さ位置(荷室高さ)の差NDとピッチ長PLとを略同一とすることができる。
【0033】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0034】
本実施形態に係るシートバックフレーム10によれば、リンフォース36の第1接合部42と第2接合部44をシートバックパネル22の第2凸形状部54と第3凸形状部56に各々接合した第1シートバック20を構成することができる。また、リンフォース36の第1接合部42と第2接合部44をシートバックパネル22の第1凸形状部52と第2凸形状部54に各々接合した第2シートバック70を構成することができる。このため、同じリンフォース36とシートバックパネル22を用いて着座状態のシートバックをシートクッション側(第1シートクッション18及び第2シートクッション68)へ向けて傾倒する際の回転中心(リクライニング機構)の高さ位置と傾倒する際の軌跡が異なるチルトダウンシート12とフォールドシート14を構成することができる。
【0035】
さらに、本実施形態に係るシートバックフレーム10によれば、シートバックパネル22の着座状態におけるシート下方側には凸形状を有する第1ロア接合部58とそのシート下方側の第2ロア接合部60が形成されている。このため、シートアレンジが異なることにより、アッパパイプ28のシート下方側に設けられる第1ロアパイプ34と第2ロアパイプ72のようにアッパパイプ28に対する位置が異なる場合であってもシートバックパネル22を共用することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る車両用シート12、14によれば、リンフォース36とシートバックパネル22を共用してシートアレンジメントの異なるチルトダウンシート12とフォールドシート14を構成することができる。
【0037】
さらに、本実施形態に係るシートバックフレーム10によれば、格納状態STにおけるチルトダウンシート12と格納状態STにおけるフォールドシート14のシート上下方向の高さ位置(荷室高さ)の差NDとピッチ長PLを略同一とすることができる。さらに、チルトダウンシート12におけるリクライニング機構26の回転中心とフォールドシート14におけるリクライニング機構26の回転中心のシート上下方向の高さ位置の差DFとピッチ長PLを略同一とすることができる。これにより、着座状態のチルトダウンシート12の第1シートバック20の上端とフォールドシート14の第2シートバック70の上端のシート上下方向の高さ位置P3を略同一に設定することができる。また、フォールドシート14の第2シートクッション68は、座面側(シート上方側)の形状が第1シートクッション18と略同一に形成可能であると共に、上端のシート上下方向の高さ位置P2が第1シートクッション18の着座状態における上端のシート上下方向の高さ位置P1と略同一に形成することができる。このため、シートアレンジメントが異なる場合であっても車室内におけるシートの美感や居住性を統一することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るシートバックフレーム10及び車両用シート12、14は、シートアレンジが異なる場合であっても部品を共用することができる。
【0039】
なお、ここでは、リンフォース36はシート左側の側部パイプ28Bにだけ設けられているとして説明したが、これに限らず、リンフォースは、シート右側とシート左側の側部パイプに各々設けられてもよい。
【0040】
さらに、ここでは、パネル側接合部50はシートバックパネル22のシート左側にだけ設けられているとして説明したが、これに限らず、パネル側接合部は、シートバックパネルのシート右側とシート左側の両方に各々設けられてもよい。
【0041】
また、ここでは、シートバックパネル22は金属製として説明したが、これに限らず、シートバックパネルは、例えば、樹脂等の金属以外の材料により形成され、リンフォースと接着剤等を用いて接合されてもよい。
【0042】
さらに、ここでは、第2ロア接合部60は、着座状態SDにおけるシート上下方向に沿って第1ロア接合部58とピッチ長PLの間隔を空けて形成されているとして説明したが、これに限らず、第1ロア接合部と第2ロア接合部は、着座状態におけるシート上下方向に沿ってピッチ長とは異なる間隔で設けられてもよい。
【0043】
また、ここでは、第1接合部42及び第2接合部44は、リンフォース36に設けられているとして説明したが、これに限らず、第1接合部と第2接合部は、例えば、リンフォースを設けることなくバックサイドフレームに形成されてもよい。
【0044】
さらに、ここでは、サイドフレーム30は左右一対に設けられているとして説明したが、これに限らず、サイドフレームは、左右一方にのみ設けられてもよい。
【0045】
また、ここでは、アッパパイプ28は上側パイプ28Aと側部パイプ28Bを含んで構成されているとして説明したが、これに限らず、上側パイプと側部パイプは別個の部品として設けられてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 シートバックフレーム
12 チルトダウンシート(車両用シート)
14 フォールドシート(車両用シート)
18 第1シートクッション(シートクッション)
20 第1シートバック(シートバック)
22 シートバックパネル(シートバックフレーム)
28 アッパパイプ(アッパフレーム、シートバックフレーム)
30 バックサイドフレーム(シートバックフレーム)
34 第1ロアパイプ(ロアパイプ)
36 リンフォース(シートバックフレーム)
42 第1接合部(接合部)
44 第2接合部(接合部)
50 パネル側接合部
52 第1凸形状部(凸形状部)
54 第2凸形状部(凸形状部)
56 第3凸形状部(凸形状部)
58 第1ロア接合部
60 第2ロア接合部
68 第2シートクッション(シートクッション)
70 第2シートバック(シートバック)
72 第2ロアパイプ(ロアパイプ)
DF 回転中心のシート上下方向の高さ位置の差
ND 格納状態におけるシートバックの上端のシート上下方向の高さ位置の差
P1 高さ位置
P2 高さ位置
PL ピッチ長
SD 着座状態
ST 格納状態