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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】反応装甲
(51)【国際特許分類】
   F41H 5/007 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
F41H5/007
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020202183
(22)【出願日】2020-12-04
(62)【分割の表示】P 2017563396の分割
【原出願日】2016-02-24
(65)【公開番号】P2021047007
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】237492
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】237991
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】239523
(32)【優先日】2015-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】517299397
【氏名又は名称】ダビデ、コーエン
【氏名又は名称原語表記】DAVID COHEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ、コーエン
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-002000(JP,A)
【文献】特開平10-253296(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181226(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0078109(US,A1)
【文献】特開2011-252674(JP,A)
【文献】特開平10-253297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190276(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0017361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41H 5/00- 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装甲の前面層と、
装甲の背面層と、
前記前面層と前記背面層との間の爆薬層と、
トリガリング機構と
を備え、
前記爆薬層は、飛来する弾頭の第1の爆発の一定の遅延の後に前記トリガリング機構によってトリガリングされて前記前面層の中にむけて爆発を起こされ、前記前面層を射出し、前記弾頭からの第2の爆発を妨害する、反応装甲モジュールであって、
剛性材料が前記爆薬層の一部に配置され、それによって時間差爆発を作り出し、
前記剛性材料が幾何形状要素を含み、
前記幾何形状要素が、ピラミッド型要素を含み、前記ピラミッド型要素が尖端部を有し、前記尖端部が前記爆薬層の方を向いている、
反応装甲モジュール
【請求項2】
前記トリガリング機構が、前記第1の爆発からのジェットによる衝撃の前に前記爆薬層のトリガリングを引き起こすように構成される、請求項1に記載の反応装甲モジュール。
【請求項3】
前記トリガリング機構が前記反応装甲モジュールから離間して配置される、請求項1または請求項2に記載の反応装甲モジュール。
【請求項4】
前記爆薬層が斜めにされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項5】
前記爆薬層がレンズを備え、前記レンズが、三角構造および球体構造のうちの少なくとも1つの構造である、請求項1~4のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項6】
前記爆薬層が、該爆薬層の前記爆発を方向付けることによって指向性粒子雲を形成するように形状を定められる、請求項1~5のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項7】
前記装甲の前面層と前記装甲の背面層が、鋼と、バリスティックアルミニウムと、チタンと、アルミニウムと、ポリマーと、ポリマーおよび剛性材料を組み合わせたものとのうちの1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項8】
装甲車両上に、別の反応モジュールの近傍、前、または後に設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項9】
前記別の反応モジュールから離間するためのスペーサを備え、前記スペーサはエネルギー吸収材料を含む、請求項8に記載の反応装甲モジュール。
【請求項10】
前記爆薬層が湾曲した形に形状を定められる、請求項1~9のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項11】
前記反応装甲モジュールのケーシングが成形または湾曲される、請求項1~10のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項12】
前記装甲の前面層の前にさらに追加の前面板を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項13】
前記追加の前面層がトリガを備え、前記トリガは、前記トリガへ飛来するHEATジェットの衝撃で、電子シグナリング、および引き続き起こる爆風のうちの1つによって前記爆薬層を作動させ、前記引き続き起きる爆風が前記追加の前面板に装着された爆発物を含む、請求項12に記載の反応装甲モジュール。
【請求項14】
前記トリガが、前記HEATジェットによる衝撃の前に前記爆薬層のトリガリングを引き起こすように構成される、請求項13に記載の反応装甲モジュール。
【請求項15】
前記爆薬層が複数の爆心で爆発するように形状を定められた、請求項11~14のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項16】
近接信管または近接センサをさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項17】
前記爆薬層が、モンロー効果を用いて前記爆薬層の前記爆発を方向付けるように形状を定められた、請求項1~16のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項18】
爆風レンズをさらに使用する、請求項17に記載の反応装甲モジュール。
【請求項19】
トリガリング要素および遅延要素を備え、前記遅延要素が、前記爆発を遅延させて前記弾頭の前記第2の爆発を待つためのものである、請求項1~18のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項20】
前記トリガリング要素が、
(a)電池、
(b)コンデンサ、
(c)誘導型回路、
(d)振り子型要素を電磁場中で動かし、それによって電気を発生させる電気機械要素であって、前記電気がコンデンサや電池に供給される、電気機械要素、
(e)圧電素子、
(f)化学物質または金属
の中の1つの部材によって電圧を供給される、請求項19に記載の反応装甲モジュール。
【請求項21】
前記爆薬層が所定の構造になるように形状を定められ、
前記所定の構造が、前記爆薬層に沿って少なくとも1つの延長部を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の反応装甲モジュール。
【請求項22】
装甲の前面層と、
装甲の背面層と、
前記前面層と前記背面層との間の爆薬層と、
トリガリング機構と
を備え、
前記爆薬層は、飛来する弾頭の第1の爆発の一定の遅延の後に前記トリガリング機構によってトリガリングされて前記前面層の中にむけて爆発を起こされ、前記前面層を射出し、前記弾頭からの第2の爆発を妨害する、反応装甲モジュールであって、
前記爆薬層が所定の構造になるように形状を定められ、
前記所定の構造が、前記爆薬層に沿って2つの延長部を備え、前記爆発が、前記2つの延長部の間の中心以外の場所でトリガされる、反応装甲モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迫り来る運動エネルギー弾(Kinetic Energy Penetrators)(KEP)またはロケット推進式HEAT弾頭(rocket propelled HEAT warheads)から装甲車両または装甲構造体を保護する分野に関する。より詳細には、本発明は、迫り来るタンデム弾頭(Tandem warheads)から装甲車両または装甲構造体を保護することに関する。
【背景技術】
【0002】
本質的には、HEAT(高エネルギー対戦車(High Energy Anti-Tank),以後、HEATと呼ぶ)弾薬が、装甲車両の外部装甲を貫徹すること、中にいる乗組員を殺傷すること、極めて重要な機械系を無能にすること、またはそれらのすべてにより機能する。
【0003】
装甲車両が成形炸薬HEATの打撃に耐えるのを可能にするために、爆発反応装甲(Explosive Reactive Armor、以降ERAと呼ぶ)という名称の外部爆発性要素が車両の装甲に装着される。
【0004】
ERAは、反応要素または動的要素と呼ばれる、2つの板、典型的には金属板の間に挟まれた複数の高性能爆薬(high explosive)シートまたは1つの高性能爆薬スラブからなる。
【0005】
一例では、RPG-7などの飛来するロケット推進式HEATを弾着時に無力化するために、反応装甲の高性能爆薬が爆轟して、成形炸薬ジェット(shaped charge jet)に抗して反応装甲の金属板を離れたところへ強制的に押しやる。発射された板は金属ジェット弾を粉砕する。
【0006】
先行技術の一例では、ERAの注目すべき有効性は、主として2つの基本的メカニズムに起因する。第1に、移動する板は、成形炸薬ジェットの実効速度および弾着角を変化させて、ジェットの入射角を変化させ実効速度を低下させる。第2の態様では、2つの板は成形炸薬弾頭の通常の弾着方向と比べて角度をつけられるので、板が外側に移動するにつれて、板上の弾着点は経時的に変化するため、ジェットは新鮮な板材を切り抜ける必要がある。この第2の効果は、弾着中に板の有効厚さを著しく増大させる。
【0007】
ERAは、RPG7、TOW、LOWなどのロケット推進式HEAT成形炸薬弾頭を打破するのに高効率であることを示している。
【0008】
兵士は、装甲車両を打破するためにロケット推進式HEATの使用に頼るところが大きいので、Tandem-Charge(タンデム炸薬)という名称の新しい弾頭技術がERAを打破するために開発されている。本質的に、Tandem-Charge兵器は、2つ以上の爆轟段を備える爆発装置または発射体である。Tandem-Charge兵器は、装甲車両(主として戦車)を対戦車弾薬から保護するように設計された反応装甲に対して効果的である。
【0009】
上述したように、Tandem-Chargeは2つ以上の爆轟段を備える。タンデム炸薬兵器の第1の爆轟段は、典型的には弱炸薬であり、弱炸薬は、標的の反応装甲を爆轟させずに貫徹して、第2の弾頭が妨害されずに通過し得るように反応装甲を通るチャネルを残すか、反応装甲を単純に爆轟させてカウンタ爆発のタイミングを外させる、のどちらかである。タンデム炸薬兵器の第2の爆轟段は、反応装甲が危険にさらされている、第1の爆轟衝撃点の同じ箇所を攻撃する。反応装甲は、装甲車両の一体装甲がHEATジェットの衝撃に耐えることを可能にする唯一の要素であるので、反応装甲が第1の爆轟段によって危険にさらされると、主炸薬(第2の爆轟)は車両の主装甲を貫通する可能性が高い。
【0010】
したがって、本発明の諸実施形態の一目的は、タンデム弾頭を打破することができる反応装甲モジュールを提供することである。
【0011】
本発明の諸実施形態の別の目的は、タンデム弾頭の打撃に耐えるように既存の反応装甲モジュールの感受性を改良し増強することである。
【0012】
本発明の諸実施形態の別の目的は、前記改良型反応装甲を、単純であり、比較的軽量であり、かつ信頼性の高い形で提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、(a)前面板および背面板と、(b)前記板の間の粒子層と、(c)前記背面板の前の爆薬層と、を備える反応装甲モジュールに関する。
【0014】
好ましくは、反応装甲モジュールは、粒子層と前面層との間に追加の爆薬層をさらに備える。
【0015】
好ましくは、粒子層内の粒子は離間される。
【0016】
好ましくは、反応装甲モジュールは、爆風効果を方向付けることにより指向性粒子雲を形成するように形状を定められる。
【0017】
本発明の一態様によれば、
装甲の前面層と、
複数の粒子を含む粒子層と、
前記粒子層に隣接する第1の爆薬層と、
前記装甲の後面層と
を備える反応装甲モジュールであって、前記第1の爆薬層は、飛来する弾頭からの第1の爆発によってトリガされ、前記粒子層に向けて爆発して前記複数の粒子を射出し、それによって前記弾頭から第2の爆発を妨害する、反応装甲モジュールが提供される。
【0018】
反応装甲モジュールは、粒子層と前面層との間に第2の爆薬層を備えることができる。
【0019】
一実施形態では、前記粒子層内の前記複数の粒子はスペーサによって離間される。
【0020】
前記複数の粒子は剛体粒子を含むことができる。
【0021】
前記粒子層と前記前面層との間に第2の爆薬層が配置されてもよい。
【0022】
一実施形態では、前記粒子層の前記複数の粒子はスペーサによって離間される。
【0023】
前記複数の粒子は、球状粒子、円筒状粒子、または複数形状を組み合わせた粒子に形状を定めることができる。
【0024】
前記粒子層と前記前面層との間に第2の爆薬層が見られてもよい。
【0025】
爆薬層は、前記爆発を方向付け、それによって指向性粒子雲を形成するように形状を定めることができる。装甲の層は、鋼、バリスティックアルミニウム、チタン、アルミニウム、ポリマー、あるいはポリマーおよび剛性材料を組み合わせたものを含むことができる。
【0026】
反応装甲モジュールが、装甲車両上に、別の反応モジュールの近傍、前、または背後に設けられてもよく、他のモジュールから離間されてもよく、エネルギー吸収材料を含むスペーサを有していてもよい。反応装甲モジュールは、前記爆薬層と前記粒子層との間に剛体層を備えることができる。
【0027】
高性能爆発性装薬が前記粒子層の粒子と混合されてもよい。
【0028】
反応装甲モジュールはケーシングを備えることができ、ケーシングの断面構造は、前記第1の爆薬層の爆発のエネルギーを誘導して所望の粒子雲ベクトルおよび形状を実現するように設計される。
【0029】
爆薬層は湾曲した形に形状を定められてもよく、ケーシングは成形または湾曲されてもよい。
【0030】
剛性材料が爆薬の一部上に配置され、それによって射出される粒子相互間の時間差爆発を作り出すことができる。剛性材料は幾何形状要素を備えることができる。前記幾何形状要素は、粒子層の粒子間に挿入されるピラミッド型要素を含むことができ、ピラミッドは尖端部を有し、該尖端部は爆薬層を向いている。
【0031】
反応装甲モジュールは、前記装甲の前面層の前に追加の前面層をさらに備えることができる。
【0032】
前記追加の前面層はトリガを備えることができ、前記トリガは、前記トリガ上へ飛来するHEATジェットの衝撃で、電子シグナリングおよび引き続き起こる爆風のうちの一つによって前記第1の爆薬層を作動させ、前記引き続き起こる爆風は前記追加の前面層に装着された爆発物を含む。
【0033】
トリガは、ジェットによる衝撃の前に前記第1の爆薬層のトリガリングを引き起こすように構成することができる。
【0034】
爆薬層は、複数の爆心で爆発するように形状を定めることができる。
【0035】
トリガリング機構は、近接信管または近接センサを使用することができる。
【0036】
前記第1の爆薬層は、モンロー効果を用いて前記第1の爆薬層の前記爆発を方向付けるように形状を定めることができ、かつ/または爆風レンズを使用することができる。
【0037】
反応装甲モジュールの一実施形態は、3つの粒子層を隔てる4つの爆薬層を備えることができる。
【0038】
反応装甲モジュールは、トリガリング要素および遅延要素を備えることができ、遅延要素は、前記爆発を遅延させて前記弾頭の前記第2の爆発を待つためのものである。
【0039】
トリガリング要素は、
(a)電池、
(b)コンデンサ、
(c)誘導型回路、
(d)振り子型要素を電磁場の中で動かし、それによって電気を発生させる電気機械要素であって、前記電気がコンデンサや電池等に供給される、電気機械要素、
(e)圧電素子、
(f)化学物質または金属
のうちの1つの部材によって電圧を供給され得る。
【0040】
使用時に、前記第1の爆薬層の爆風が前記粒子層の剛体粒子体の中に向けられ、前記剛体粒子体は所定の構造内に配置され、前記第1の爆薬層の爆風がこの構造を内部崩壊させて、飛来するジェットに複数の多方向運動衝撃を加え、それによって前記飛来するジェットを変形させることができる。
【0041】
前記第1の爆薬層の所定の構造は、前記反応装甲モジュールの側板に沿って少なくとも1つの延長部、特に、前記反応装甲モジュールの対向する2つの側板に沿って2つの延長部を備えることができ、前記爆発は、前記2つの延長部の間の中心以外の場所でトリガされる。
【0042】
上記の反応装甲モジュールは、第2の反応装甲モジュールと組み合わされてもよく、第2の反応装甲モジュールは、
装甲の第2の前面層と、
装甲の第2の背面層と、
前記前面層と前記背面層との間の第3の爆薬層と、
トリガリング機構と
を備え、第3の爆薬層は、前記第2の前面層の中を向いた前記飛来する弾頭の第1の爆発の一定の遅延の後に前記トリガリング機構によってトリガされて、前記第2の前面層を射出し、それによって前記弾頭からの第2の爆発を妨害することができる。
【0043】
爆薬層は、前記爆発を方向付け、それによって指向性粒子雲を形成するように形状を定めることができる。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、
装甲の前面層と、
装甲の背面層と、
前記前面層と前記背面層との間の爆薬層と、
トリガリング機構と
を備える反応装甲モジュールであって、爆薬層は、前記前面層の中での飛来する弾頭の第1の爆発の一定の遅延の後に前記トリガリング機構によってトリガされて前記前面層を射出し、それによって前記弾頭からの第2の爆発を妨害する、反応装甲モジュールが提供される。
【0045】
本発明の第3の態様によれば、タンデム弾頭から防御する方法であって、タンデム弾頭は、一次爆発に続いて、予め設定された小遅延後に主爆発するものであり、
前記一次爆発を検出するステップと、
前記一次爆発を検出するステップの結果を使用して、二次爆発を妨害する指向性爆風を起爆するステップと
を含む、方法が提供される。
【0046】
一実施形態は、前記一次爆発を検出するステップと前記起爆するステップとの間に起爆遅延を追加することを含むことができ、前記起爆遅延は前記予め設定された小遅延と一致する。
【0047】
一実施形態は、前記指向性爆風を利用して前記タンデム弾頭に向かって剛体粒子雲を打ち込み、それによって前記二次爆発を妨害するステップを含むことができる。
【0048】
一実施形態は、剛体粒子層の内破を引き起こすステップ、特に前記指向性爆風を方向付けるように非対称に起爆するステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】HEAT成形炸薬タンデム弾頭の概略構造を示す図である。
図2】典型的な反応装甲モジュールの断面図である。
図2a】トリガリングスクリーンを備えた典型的な反応装甲モジュールの断面図である。
図3】本発明の一実施形態による反応装甲モジュールの構造の断面図である。
図4】本発明の諸実施形態の反応モジュール30の概略的な作動態様を描いた図である。
図5】別の実施形態による反応モジュールの概略構造を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による反応モジュール130の別の実施形態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による別の反応モジュールを示す図である。
図7a】トリガリングスクリーンを備えた本発明の一実施形態による反応装甲モジュールの断面図である。
図8】本発明の一実施形態による別の反応モジュールを示す図である。
図8a】トリガリングスクリーンを備えた本発明の一実施形態による反応装甲モジュールの断面図である。
図9】本発明の諸実施形態のERAに使用されるトリガリングスクリーンを示す図である。
図10】本発明の別の実施形態を示す図である。
図11】本発明の別の実施形態を示す図である。
図12】本発明の別の実施形態を示す図である。
図13】本発明の別の実施形態を示す図である。
図14】本発明の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、HEAT成形炸薬タンデム弾頭10の概略構造を示す。弾頭10は、先端部11、初期(第1)炸薬12、第1段信管13、間隔棒14、主炸薬15、および第2段(主炸薬)信管16を備える。
【0051】
上述したように、典型的な反応装甲との衝撃で、タンデム弾頭の第1炸薬は爆轟して第1のジェットを引き起こし、第1のジェットは反応装甲装薬を貫徹または活性化する。その後、高精密なタイミングで、タンデム弾頭の第2炸薬が爆轟して第2のジェットを引き起こし、第2のジェットは、第1炸薬によって以前に貫徹された反応モジュールの空間を通って車両の本体装甲を貫通する。
【0052】
典型的な反応装甲モジュール20の断面が図2に示されている。反応装甲モジュール20は、前面板21、背面板22、および前記2つの板の間の高性能爆発性装薬23を備える。前記のように、反応装甲の注目すべき有効性は、主として2つの基本的メカニズムに起因する。第1に、移動する板は、成形炸薬ジェットの実効速度および弾着角を変化させて、ジェットの入射角を変化させ実効速度を低下させる。第2の態様では、2つの板は成形炸薬弾頭の通常の弾着方向と比べて角度をつけられるので、板が外側に移動するにつれて、板上の弾着点は経時的に変化するため、ジェットは新鮮な板材を切り抜ける必要があり、実際、弾着時に板の有効厚さを増大させる。
【0053】
典型的な反応装甲は、RPG7、TOW、LOWなどの非常に有名なロケット推進式HEAT成形炸薬弾頭を打破するのに非常に有効であることを示しているが、依然として、RPG-29などのタンデム弾頭を打破するのに何度も失敗している。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態による反応装甲モジュール30の構造の断面を示す。反応装甲30は独立型モジュールとすることができ、あるいは既存の反応装甲モジュールへの追加モジュールとなり得る。後者の場合、装甲30は、典型的な反応装甲モジュール(図2の20)の前に、またはモジュール20の後に来ることができる。ある実施形態では、モジュール30とモジュール20との間に空間を設けることができる。
【0055】
本発明の諸実施形態のモジュール30は前面板31および背面板32を備える。一実施形態では、前記板は、鋼、バリスティックアルミニウム、チタン、アルミナなどのなんらかの剛性材料、または前記材料のなんらかの組成物で製作される。別の実施形態では、板31および32は、Dynema、Spectra、Aramidなどの、ポリマーまたは類似特性を有する材料で製作される。別の実施形態では、板31および32は、ポリマーと剛性材料を組み合わせたもので製作され得る。別の実施形態では、前面板31および背面板32はそれぞれ、異なる材料または異なる材料を組み合わせたもので製作され得る。
【0056】
モジュール30は、前記前面板31と前記背面板32との間に2つの内層をさらに備える。前記2つの層の1番目は粒子層33であり、前記2つの層の2番目は高性能爆薬層34である。
【0057】
粒子層33は複数の剛体粒子を備える。例えば、剛体粒子は、球形状、円筒形状、または、飛来するタンデム弾頭との確実な衝突、タンデム弾頭への確実な貫入の可能性を最大限にするように特に設計された形状を有することができる。いくつかの実施形態では、種々の形状を組み合わせたものが使用されてもよい。
【0058】
図4は、本発明の諸実施形態の反応モジュール30の概略的な作動態様を描いた図である。タンデム弾頭50が前面板31に衝突すると、タンデム弾頭の第1の信管が爆風を引き起こして、前面板を貫徹するジェットをもたらす。ジェットが粒子層33を通り抜けると、ジェットは最終的に高性能爆薬層34に衝突して、タンデム弾頭50の主(第2)炸薬に向かって粒子を射出する前記層の爆風をもたらす。これらの粒子は、タンデム弾頭の飛来する第2の部分に向かって射出されて、この第2の部分に超高速で衝突してから第2の弾頭の前記第2の部分の爆風が引き起こされる。超高速で進む金属粒子の前記衝突は、タンデム弾頭の第2の部分の完全性に損傷を与えて、凝集性集束ジェットを形成するタンデム弾頭の能力を著しく損なう。場合によっては、多数の粒子が第2の部分にあたると、第2の部分の主炸薬を爆轟させることができなかったとしても、第2の部分を全く役に立たなくすることができる。
【0059】
一実施形態では、粒子は、ジェットが引き起こす機械的衝撃によって引き起こされる前記粒子間の運動エネルギー伝達を低減するために離間される。粒子間の分離は、各粒子を膨らんだエネルギー吸収材料で覆うことで実現することができる。あるいは、エネルギー吸収要素が粒子間に設けられてもよい。別の代替方法では、高性能爆発性装薬は粒子間に混合されてもよい。別の実施形態では、粒子間に装薬を混合するのに加えて、高性能爆発性装薬の背面層が設けられる。別の実施形態では、粒子層と前面板との間に追加の爆薬層が設けられてもよい。別の実施形態では、爆発性装薬に損傷を与え得る金属粒子上でのジェットの運動衝撃による高性能爆薬層への損傷を防止するために、剛性材料層または複合材料層が粒子と高性能爆薬層との間に配置されてもよい。
【0060】
別の実施形態では、ケーシングの断面構造は、爆風のエネルギーを導いて所望の粒子雲ベクトルおよび形状を実現するように設計される。例えば、高性能爆薬は湾曲した形に形状を定められる、または傾斜もしくは湾曲ケーシング内に配置される。別の代替方法では、剛性材料が成形爆薬の一部上に配置されて、放出粒子相互間の時間差爆発を作り出すことができる。別の態様では、ピラミッド型要素などの幾何学的要素が、爆轟で粒子ベクトルに爆風効果をもたらすように、その要素の尖端部を爆薬層に向けて粒子間に挿入される。
【0061】
本発明の諸実施形態の反応モジュール30は、前面板31の前に追加の前面層も備えることができる。この種の追加前面層は、タンデム弾頭との衝撃で、電子シグナリングまたは、前記追加板に装着された爆発物によって引き起こされる引き続く爆風のどちらかで反応装甲モジュールを作動させるトリガリング機構として使用することができる。
【0062】
別の実施形態では、近接信管または近接センサが、タンデム弾頭が前面板と衝突する前に爆轟を促進するように、1つまたは複数の反応装甲モジュール30と関連付けられてもよい。
【0063】
図5は、別の実施形態による反応モジュールの概略構造を示す。先の諸実施形態とは異なり、図5の反応モジュールは、当技術分野で内破として知られる効果を利用するように設計され、前記反応モジュールの爆風は飛来するHEATジェットの方向に沿って向けられ、前記爆風波は、所定の構造内に配置された剛体粒子からなる塊の中に向けられてその構造を内部崩壊させ、その構造を形成した剛体粒子が剛体粒子の互いに対する相対位置を動的な形で変えるときに、前記飛来するジェットに複数の多方向運動衝撃を加えて、前記飛来するジェットを移動粒子との多数の相互作用にさらすことにより前記飛来するジェットを変形させ、各粒子の衝突角度、速度、表面などは、その粒子が形をなすときだけでなく、その粒子の初期貫通段階でもHEATジェットに影響を及ぼし、初期衝撃の後でも内破残留爆風エネルギーが粒子に粒子の有害な動きを継続させるので、HEATジェットテールへの連続的衝撃にも影響を及ぼす。反応モジュール130は、前面板131、背面板132、前面板131の後面に装着された前面爆薬層134、および粒子層133を備える。この実施形態の爆薬層134は、前面板131の後面の実質的に全領域を覆う。HEATジェットの衝撃で、爆薬層134は、剛体粒子の構造を自己崩壊させる爆発を起こすように起爆されて、上述したように内破するとともに、前記粒子に多方向から前記ジェットに高運動エネルギーを加えさせることにより前記ジェットを効果的に損壊して、ジェットを効果的に破壊する。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態による反応モジュール130の別の実施形態を示す。反応モジュール130は、前面板131、背面板132、前面板131の後面に装着された前面爆薬層134、および粒子層133を備える。この実施形態の爆薬層134は、前面板131の後面の実質的に全領域を覆い、反応モジュールの側板に沿って延長部141も有する。HEAT炸薬の衝撃で、爆薬層は、剛体粒子を爆風波に従って射出させる爆発を起こすように起爆される。この実施形態での幾何形状として)、各表面からの爆風波は粒子を複数の方向に動かして、飛来するHEATジェットを多数の運動力にさらし、前記ジェットを効果的に損壊する。随意に、爆薬幾何形状は、多数の衝撃波中心を作り出すために異なり、これにより、前記粒子を射出して前記粒子を多数の方向から前記ジェットに高運動エネルギーを加えさせ、ジェットを効果的に破壊する。さらに、爆発によって生成される前記衝撃波の集束は、当技術分野でモンロー効果として知られる方法で方向性爆風波を実現するように前記爆薬の幾何学的構造を作り出すことによって爆薬を成形することにより方向付けかつ/または増幅させることができる。爆風レンズ140が、ジェットに影響を及ぼすことになる粒子に二次的衝撃を発生させるように前記粒子を前記ジェットまたは他の粒子と共に衝突コース内で発射するように、前記衝撃波を所与の方向に向けかつ増幅させるように形状を定められる。この効果は、前記爆風レンズ140の中にライナを挿入することによって高めることができる。代替実施形態では、前記爆風レンズの機能は、前記剛体粒子の所望のコースまでの軌道をもたらすように前記衝撃波を分散させるように変更することができる。
【0065】
図7は、本発明の別の実施形態を示す。反応モジュール130の構造は、図6の実施形態のものと類似しているが、前記実施形態との違いは下記の通りである。図6の爆薬層の延長部141は側板を完全に覆っているのに対して、延長部141aは前記側板の一部しか覆っていない。さらに、図6の実施形態では、延長部141が1つしかないのに対して、図7の実施形態は第2の延長部141bを備え、第2の延長部141bは、この例では、前記反応装甲モジュール130の反対側コーナに配置されている。好ましくは、2つの延長部141aおよび141bは、図示のように異なる軸線上に配置される。HEAT炸薬の衝撃で、爆薬層は、剛体粒子を爆風波に従って射出させる爆発を起こすように起爆される。爆風波は(この実施形態での非対称爆薬層幾何形状の結果として)複数の中心を有するので、衝撃で飛来するHEATジェットが爆発性装薬134を爆轟させると、各表面からの爆風波は粒子を複数の方向に逐次的に動かす。爆轟点は延長部141aか延長部141bのどちらかに近接することができるので、爆発は、前記延長部の一方に他方よりも早く到達することになる。そのような非同時爆発を確実にするために、延長部141aおよび141bに異なるタイプの爆薬が使用されてもよい。さらに、2つの延長部は、爆風収率効果の低下を防止するために、厳密には向かい合わない。別の実施形態では、側面141aおよび141bにそれぞれ隣接する剛体粒子は、異なる質量、異なる形状、異なる構造的整列のうちの1つまたは複数を有し、例えば、前記粒子は、異なる密度の材料、異なる粒子配列の材料、異なる引張強さの材料などに埋め込まれる。前記非対称配列により生成される多数の運動力は前記ジェットを効果的に損壊する。またこの実施形態では、図6と同様に、爆薬幾何形状は、多数の衝撃波中心を作り出すために異なることができ、これにより、前記粒子を射出して前記粒子を多数の方向から前記ジェットに高運動エネルギーを加えさせ、ジェットを効果的に破壊する。さらに、爆発によって生成される前記衝撃波の集束は、当技術分野でモンロー効果として知られる方法で方向性爆風波を実現するように前記爆薬の幾何学的構造を作り出すことによって爆薬を成形することにより方向付けかつ/または増幅させることができる。爆風レンズ140(図6に示されている)が、ジェットに影響を及ぼすことになる粒子に二次的衝撃を発生させるように前記粒子を前記ジェットまたは他の粒子と共に衝突コース内で発射するように、前記衝撃波を所与の方向に形状を定め、向け、かつ増幅させるように爆薬層の1つまたは複数の箇所にも組み込まれてもよい。この効果は、前記爆風レンズ140の中にライナを挿入することによって高めることができる。代替実施形態では、前記爆風レンズの機能は、前記剛体粒子の所望のコースまでの軌道をもたらすように前記衝撃波を分散させるように変更することができる。
【0066】
図8は、本発明の別の実施形態による3つの粒子構造でなる反応モジュールを示す。反応モジュール230は、打撃面231、背面232、第1の爆薬層234、第2の爆薬層235、第3の爆薬層236、および第4の爆薬層237を備える。開口246a、246b、および246cを有する第1の鋼壁は、第1の爆薬層234と第2の爆薬層235との間を隔てる。セパレータ239は、第2の粒子構造233bと第3の粒子構造233cとの間を隔てる。HEATジェットとの衝撃で、爆薬層234は爆発して、剛体粒子を飛来するジェットに向かって射出し、タンデム弾頭の場合は弾頭の主炸薬に向かって射出する。爆発が第1の粒子構造233a内で始まると、爆風は開口246内を伝搬して第2の爆薬層235を活性化し、第2の爆薬層235の即時爆発を引き起こす。第2の爆薬層235が爆轟すると、上記に詳述した内破過程が、自己崩壊する粒子構造233bの中で始まる。この爆発に続いて、爆風は爆薬層236内を伝搬して、爆薬層237の爆風シーケンスを始める。爆薬層237が爆轟すると、粒子質量全体が崩壊した粒子構造233bと衝突するので、粒子構造233cを自己崩壊させる。この多重爆発構造内破タンデム過程は、飛来するHEATジェットを効果的に損壊する。より具体的には、前記非対称配列により生成される多数の運動力は前記ジェットを効果的に損壊する。またこの実施形態では、図6と同様に、爆薬幾何形状は、多数の衝撃波中心を作り出すために異なることができ、これにより、前記粒子を射出して前記粒子を多数の方向から前記ジェットに高運動エネルギーを加えさせ、ジェットを効果的に破壊する。さらに、爆発によって生成される前記衝撃波の集束は、当技術分野でモンロー効果として知られる方法で方向性爆風波を実現するように前記爆薬の幾何学的構造を作り出すことによって爆薬を成形することにより方向付けかつ/または増幅させることができる。爆風レンズ140(図6に示されている)が、ジェットに影響を及ぼすことになる粒子に二次的衝撃を発生させるように前記粒子を前記ジェットまたは他の粒子と共に衝突コース内で発射するように、前記衝撃波を所与の方向に形状を定め、向け、かつ増幅させるように爆薬層の1つまたは複数の箇所にも組み込まれてもよい。この効果は、前記爆風レンズ140の中にライナを挿入することによって高めることができる。代替実施形態では、前記爆風レンズの機能は、前記剛体粒子の所望のコースまでの軌道をもたらすように前記衝撃波を分散させるように変更することができる。鋼板またはセパレータ内に開口を含めるのは任意選択であることにも留意すべきである。この例は、1つまたは複数の爆薬層を遮蔽し、それによって爆薬層の破損を時期尚早に防止するために追加のセパレータ、レンズ、または鋼板が使用され得るので、非限定的なものである。さらに、前記鋼板を補強するために、既述のように、アルミナ98やシリコンカーバイドなどの材料がこの反応モジュールの一部として使用されてもよく、ならびにポリマーなどの複数の種々の材料ならびに多数の幾何形状を有する中空構造が、上述したように、前記モジュールの最終結果に影響を及ぼし得る爆風誘発力と物理的効果および機械的効果とを方向付ける、強める、減じる、などのために使用され得ることにも留意しなければならない。本発明の諸実施形態の反応モジュールの使用は、独立型モジュールとして、あるいは他のモジュール、すなわち本明細書に記載されているモジュールか従来技術から知られているモジュールのどちらかと組み合わせて実行され得ることに留意しなければならない。
【0067】
典型的な反応装甲は一般に、垂直向きに対して斜めにして実装される(なお、この全体的な状況は図2および図4には示されていない)ことに留意すべきである。
【0068】
本発明の別の実施形態では、本発明の諸実施形態のERA内での爆風シーケンスの時限起爆を可能にするために、トリガリングスクリーンが設けられる。トリガリングスクリーンは当技術分野で知られる。例えば、トリガリングスクリーン、モデル番号PT-0303500600MKは、Whithner Corporation(米国の企業)によって製造され、図9に示されている。トリガリングスクリーンは、典型的には、トリガリングスクリーンの貫通で電気回路を閉じるために使用される。トリガリングスクリーンに貫入すると、電気回路が閉じられ、起爆回路が起動されて、装薬内の爆薬を爆轟させる。爆風シーケンスの待ち時間は、爆風シーケンスが、例えば、トリガリングスクリーンの穿孔時刻から5マイクロ秒~20マイクロ秒で始まることを可能にするように、当技術分野で知られる手段で管理することができる。爆薬層134または前記装薬で重要と見なされる他の部分からトリガリングスクリーンまでの距離は、ジェットによる衝撃の前に爆風の管理を可能にする大きな要因である。図7aおよび図9に示されているように、トリガリングスクリーン241は、高性能爆薬層134の爆風の時間を設定するために使用される。本発明の諸実施形態によれば、この種のトリガリングスクリーン241は打撃面の背後に実装される。爆薬層134からトリガリングスクリーン241までの距離は、ジェットが図7aのERA内の要素に衝突する前に前記装薬内で爆風シーケンスを開始することができる最大時間を決定するように調整することができる。図8aでは、スクリーンは、例えば、装薬を構成する要素内に配置される。ジェットが装薬を構成する要素の中を移動すると、それは、ジェットが装薬内の指定箇所に到着する前に爆風シーケンスをトリガする。
【0069】
この種の技法は、従来技術のERAモジュール20(図2)をトリガして、成形炸薬ジェットが高性能爆薬を挟む前面鋼板に衝突する前にERAモジュール20を爆発させるためにも使用され得ることに留意すべきである。トリガリングスクリーン241(図2aに示されている)を使用して前記トリガリング機構を利用すると、図2の前記ERAモジュールが前記ジェットを打破する可能性を劇的に高めることができることにも留意すべきである。図2aは、ERA20の前面板21の前にいくらかの距離を置いて配置されているスクリーン241を示す。雷管は、図2a、図7a、および図8aに数字243として示されている。爆風回路は、簡潔にするために上記図には示されていない。
【0070】
上述したトリガリングスクリーン241は、飛来するジェットとERA内の所定の要素が衝突する前に爆風シーケンスを作り出すために、当技術分野で知られる他の手段によって増強され得ることにも留意すべきである。
【0071】
図10は、本発明の別の実施形態を開示する。この実施形態では、爆薬層234は、水平面か垂直面のどちらかに対していくらか斜めにして形成または成形される。前記反応装甲装薬の前記配置では、爆発すると、粒子構造233は、飛来するHEATジェットに向かって射出されて、前記ジェット277に角度方向のせん断力を加えながら飛来するHEATジェットに衝突する。図11に示されている別の実施形態では、反応装甲は、前記斜めの爆薬層234に加えて、配線278を介して爆轟シーケンスを作動させ、その結果として雷管243を爆発させるためのトリガリングスクリーン241を備える。トリガリングスクリーンは、適切な受信機によって受信される電磁信号または無線周波数信号を生成するために、電気回路を閉じる手段として使用されてもよく、この信号は、雷管243を爆轟させることになる爆風シーケンスを起動する。
【0072】
トリガリングスクリーンは、例えば図11に示されているように、上述した実施形態のいずれでも動作することができる。スクリーン、スイッチング機構、または爆轟要素への電圧を発生させる手段は、(a)電池、(b)コンデンサ、(c)誘導型回路、(d)ロッキング運動により、振り子型要素を電磁場中で、当技術分野で知られる方法で動かし、それによって電気を発生させる電気機械要素であって、前記電気がコンデンサや電池などに供給される、電気機械要素、(e)HEATジェットによる圧力または衝撃で、トリガリングスクリーンの中に向けられ得る電気を、トリガリングスクリーンの動作に必要な手段として発生させる圧電素子、の使用によるものとすることができる。あるいは、圧電素子によって生成される電圧は、コンデンサまたは電池内の貯蔵エネルギーを、前記爆発シーケンスを作動させる手段として放出し得るスイッチング機構を作動させる、(f)接触すると(HEAT爆発によって始まる)、上述の動作に必要な電気を発生させる、当技術分野で知られる化学物質または金属の使用。
【0073】
上記手段(b)、(e)、および(f)は、前記トリガリングスクリーンに関連して、または上述した実施形態のいずれかに記載の反応外装用のトリガリング機構として使用することができる。これらの手段は、衝突で爆風シーケンスを起動するのに必要な必要電圧を放出することができるので、トリガリングスクリーンに取って代わることができる。好ましくは、前記要素(b)、(e)、および(f)は爆発性装薬の前にいくらかの距離を置いて配置される。
【0074】
図12は、高性能爆薬を挟む2つの鋼板を備える反応装甲を示す。前記高性能爆発性装薬は、トリガリングスクリーンが上記の長さに描かれているように穿孔することによって作動する雷管を装着される。トリガリングスクリーンを穿孔すると、鋼板相互間に挟まれた高性能爆薬との接触を始める前に、爆風がトリガリングスクリーン機構によって始まり、飛来するジェットが前記反応装甲サンドイッチに衝突する前に、高性能爆薬を爆発させ、金属板のうちの1つまたは複数を飛来するジェットに向かって射出させる。前記トリガリングスクリーンは、HEATジェット以外の要素による偶発的な作動を防止するために打撃面の背後にある。
【0075】
上記の反応装甲モジュールのすべてまたはいずれかの打撃面が、鋼、チタン、バリスティックアルミニウム、あらゆる種類の金属合金などの剛性金属要素から構成され得ることに留意すべきである。さらに、前記打撃面は、アルミナや炭化ホウ素などの剛性材料から構成されてもよい。さらに、前記打撃面は、アラミドやダイネマなどの各種ポリマーから構成されてもよい。さらに、前記打撃面は、ガラスや炭素繊維などの圧縮繊維から構成されてもよい。上記材料のそれぞれいずれかが、図面に鋼として示されている図面に記載されているように、組み合わされてもよく、または打撃面に取って代わってもよい。
【0076】
図13は、本発明の別の実施形態を示す。爆風レンズは、トリガリングスクリーンによって作動するので、ライナ(当技術分野で知られる)の有無にかかわらず飛来するHEATジェットを打破するために使用される。爆風波をより良く方向付けるために、レンズの断面形状は、三角形状(図に示されている)、球形状、または他の形状とすることができる。
【0077】
図14は、粒子ベースの爆発反応装甲と図12に記載の爆発反応装甲721とを組み合わせたものを示す。反応装甲モジュール720および721のそれぞれにトリガリングスクリーンが設けられる。前記2つのトリガリングスクリーンはいずれも、反応モジュールを時限爆風シーケンスで作動させることができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態について例として説明してきたが、本発明は、本発明の精神から逸脱せずに、または特許請求の範囲を超えずに、多くの修正形態、変更形態、および適合形態でかつ当業者の範囲内にある多くの均等物または代替解決策を用いて実用化することができる。
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図8
図8a
図9
図10
図11
図12
図13
図14