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特許7078719駆動バッテリー用のバッテリーハウジング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】駆動バッテリー用のバッテリーハウジング
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20220524BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20220524BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20220524BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220524BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220524BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20220524BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220524BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20220524BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/204 401F
H01M50/202 401H
H01M50/202 401F
H01M50/249
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6551
H01M10/6556
H01M10/6568
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020524612
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2018079998
(87)【国際公開番号】W WO2019086600
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-06-30
(31)【優先権主張番号】102017125750.0
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・オイリッツ
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513909(JP,A)
【文献】特表2016-511509(JP,A)
【文献】特開2017-027938(JP,A)
【文献】特開2016-091951(JP,A)
【文献】特開2012-084446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190664(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのハウジングシェル(4)を備える駆動バッテリー用のバッテリーハウジングであって、
前記ハウジングシェル(4)は、少なくとも一部又は全部が熱可塑性樹脂から形成されており、
前記ハウジングシェル(4)は、駆動バッテリーを挿入するための受容領域(6)を有し、
前記ハウジングシェル(4)は、壁(8)を有し、
前記壁(8)は、二層又は多層のサンドイッチ構造(10)を有し、
前記サンドイッチ構造(10)の少なくとも第1の層(12)は、壁空洞(16)が前記第1の層(12)と前記サンドイッチ構造(10)の第2の層(14)との間に形成されるように、少なくともいくつかの区間において、前記第2の層(14)から離間しており、
前記壁空洞(16)は、冷却媒体を貯留する、若しくは分配する、又はその両方を行うように設計されており、
ポンプ(44)若しくはコンプレッサー、又はその両方は、少なくともいくつかの区間において、前記サンドイッチ構造(42)に一体化されている、バッテリーハウジング。
【請求項2】
前記壁空洞(16)の一部分は、前記冷却媒体のための膨張容積部であり、及び/又は、
膨張容積部は、前記ハウジングシェル(4)を塞ぐカバー(7)に一体化され、前記カバー(7)の前記膨張容積部は、前記ハウジングシェル(4)の前記壁空洞(16)と流体が通るように連通されている、
請求項1に記載のバッテリーハウジング。
【請求項3】
前記第1の層(12)及び前記第2の層(14)は、いくつかの区間において、互いに直接接続されている、請求項1又は2に記載のバッテリーハウジング。
【請求項4】
少なくとも1つの補強要素(24)又は複数の補強要素(24)は、前記第1の層(12)と前記第2の層(14)との間に延在しており、その補強要素は、前記サンドイッチ構造(10)を剛にするように設計されている、請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーハウジング。
【請求項5】
少なくとも1つ補強要素(24)又は複数の補強要素(24)は、多成分構成であり、少なくとも2つの材料を含有し、及び/又は、
少なくとも1つ補強要素(24)又は複数の補強要素(24)は、所定の破断点(26)を有する、
請求項に記載のバッテリーハウジング。
【請求項6】
周囲に熱を放散させるための冷却フィン(51)が設けられ、及び/又は、
前記壁空洞(6)は、外部の冷却器(48)と少なくとも1つコネクタを経由して流体が通るように連通するように設置できる、
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーハウジング。
【請求項7】
前記第1の層(12)は多層であり、及び/又は、
前記第2の層(14)は多層であり、及び/又は、
前記第1の層(12)および前記第2の層(14)のうちの少なくとも一方は、炭化水素用の拡散バリアとして機能するバリア層(34)を有し、及び/又は、
前記第1の層および前記第2の層のうちの少なくとも一方は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリケトン、若しくはポリエチレンを含有し、又は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリケトン、若しくはポリエチレンからなり、及び/又は、
前記第1の層(12)および前記第2の層(14)のうちの少なくとも一方は、繊維補強されている、
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーハウジング。
【請求項8】
前記第1の層(12)および前記第2の層(14)のうちの少なくとも一方は、有機シート(28)を含有し、及び/又は、
前記ハウジングシェル(4)は、前記受容領域(6)から離間した外側が有機シート(28)でクラッドされ、及び/又は、
前記第1の層(12)および前記第2の層(14)のうちの少なくとも一方は、導電性材料を含有し、及び/又は、
有機シート(54)を含有する1つ又は複数の保持クランプ(52)又は保持タブが、車体に締結するために設けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動バッテリー用のバッテリーハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動バッテリー用のバッテリーハウジングは、例えば自動車の駆動バッテリーを確実に封入するのに役立つ。この場合、駆動バッテリーは、バッテリーハウジングに収納されるべきであり、それによって、耐破壊性があり、且つ特定の最小限の期間の間、火災から保護されるようになる。このようにして、事故や火災の際に、環境に有害で健康に有害な化学物質の漏出が防止されるはずである。したがって、自動車の駆動バッテリー用のバッテリーハウジングは、例えば自動車の燃料タンクでも知られているような標準化された火災試験に合格しなければならない。
【0003】
耐破壊性に関する要求と耐火性に関する最低限の要求との両方に応じるために、駆動バッテリーを収納するための公知のバッテリーハウジングは、通常は、溶接鋼板やプレス鋼板、又は鋳造アルミニウムから作られている。そのような場合、金属材料で作られたそのようなハウジングは比較的に重く、それによって電動自動車の範囲に不利な影響を与えるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景から、本発明は、特に耐破壊性があり、且つ特定の最小限の期間の間、火災から保護される軽量の駆動バッテリー用バッテリーハウジングを発明するという技術的問題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的問題は、請求項1に記載のバッテリーハウジングによって解決される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項および以下の説明から明らかになるであろう。
【0006】
駆動バッテリー用のバッテリーハウジングは、少なくとも1つのハウジングシェルを備え、ハウジングシェルは、少なくとも一部又は全部が熱可塑性物質から形成されており、ハウジングシェルは、駆動バッテリーを挿入するための受容領域を有し、ハウジングシェルは、壁を有し、壁は、二層又は多層のサンドイッチ構造を有し、サンドイッチ構造の少なくとも第1の層は、壁空洞が第1の層と第2の層との間に形成されるように、少なくともいくつかの区間において、サンドイッチ構造の第2の層から離間しており、壁空洞は、冷却媒体を貯留する、若しくは分配する、又はその両方を行うように設計されていると特定されている。
【0007】
したがって、サンドイッチ構造は、一体化された壁空洞と共に、駆動バッテリーを封入する、耐破壊性のための構造と、冷却媒体を貯留する、若しくは分配する、又はその両方を行うための容積部との両方を形成する。
【0008】
作動中、バッテリーハウジングに収納された駆動バッテリーを冷却するための冷却媒体が壁の中に貯留されるという事実により、バッテリーハウジングの耐火性を増加させることができる。したがって、壁内に貯留された冷却媒体は、火災時に、火に曝された壁を冷却する働きもする。
【0009】
「駆動バッテリー」及び「トラクションバッテリー」という用語は、本願では同義的に用いられる。さらに、駆動バッテリー又はトラクションバッテリーは、例えば電動自動車やハイブリッド車に使用される高性能蓄電池と称される場合もある。
【0010】
冷却媒体は冷却剤又はクーラントであってもよい。例えば、バッテリーハウジングの1つの構成によれば、水/グリコール混合物は、サンドイッチ構造の中、すなわちサンドイッチ構造の壁空洞内にクーラントとして貯留されてもよい。別の構成によれば、壁空洞に冷却剤が貯留されてもよい。したがって、ハウジングシェルの壁は、空洞の輪郭のような構造になっている。
【0011】
バッテリーハウジングのさらなる構成によれば、壁空洞の一部分が冷却媒体のための膨張容積部となるようになっている。特にクーラント又は冷却剤であり得る冷却媒体は、冷却しようとする駆動バッテリーからの熱の導入のために冷却動作中に膨張する場合があり、若しくは、相変化によって液相から気相へ少なくとも部分的に変化する場合があり、又はその両方が生じる場合がある。膨張容積部は、このような作用に必要な補償容積部を提供する。
【0012】
代替的または追加的に、膨張容積部がハウジングシェルを塞ぐカバーに一体化され、カバーの膨張容積部がハウジングシェルの壁空洞と流体が通るように連通されるようにしてもよい。この場合、カバーの壁の中に一体化された空洞は、ハウジングシェルの壁空洞と例えばホース接続部、パイプ接続部、フランジ接続部などを経由して流体が通るように連通されている。
【0013】
ハウジングシェルが、例えば一部又は全部が鋼材料またはアルミニウム材料で形成され得る従来の金属カバーで閉塞可能または塞がれるようになっていてもよい。
【0014】
冷却手段の構造を可能な限り小さくすることを可能にするために、冷却媒体を送達するためのポンプ若しくはコンプレッサー、又はその両方は、少なくともいくつかの区間において、サンドイッチ構造に一体化されてもよい。したがって、駆動バッテリーを冷却するための冷却手段は、一部又は全部がバッテリーハウジングに一体化されてもよい。
【0015】
例えば、ポンプ若しくはコンプレッサー、又はその両方は、少なくともいくつかの区間において、サンドイッチ構造の第1の層およびサンドイッチ構造の第2の層によって2つの側面で包囲されてもよい。特に、ポンプ若しくはコンプレッサー、又はその両方は、サンドイッチ構造の第1の層およびサンドイッチ構造の第2の層によって完全に包囲されてもよい。このようにして、ポンプ若しくはコンプレッサー、又はその両方は、環境の影響から確実に保護される。言うまでもなく、ポンプ若しくはコンプレッサー、又はその両方を供給するための少なくとも1つの電力供給ラインは、壁を通って導かれてもよい。
【0016】
バッテリーハウジングのさらなる構成によれば、サンドイッチ構造の第1の層および第2の層は、いくつかの区間において、互いに直接接続されてもよい。例えば、第1の層および第2の層は、いくつかの区間において、特に溶接若しくは結合、又はその両方によって、互いに一体的に結合されてもよい。したがって、耐破壊性の補強されたサンドイッチ構造を提供するために、第1の層と第2の層との間に実質的に線形および/または実質的に点状の接続部を形成してもよい。
【0017】
代替的または追加的に、少なくとも1つの補強要素又は複数の補強要素が、第1の層と第2の層との間に延在しており、その補強要素が、サンドイッチ構造を剛にするように設計されるようになっていてもよい。このような剛にする要素は、例えば、第1の層と第2の層との間に延在するストラットである。補強要素は、円形、卵形または多角形の断面を有してもよい。
【0018】
補強要素は、第1の端部によって第1の層に接続され、第2の端部によって第2の層に接続されてもよい。特に、補強要素は、第1の層および第2の層に溶接されてもよい。
【0019】
結果的に、バッテリーハウジング内への駆動バッテリー又はトラクションバッテリーの耐破壊性のある収納を保証するために、第1の層と第2の層との間、若しくは補強要素間、又はその両方に局所的な接続点の配置構造が設けられてもよい。
【0020】
少なくとも1つ補強要素又は複数の補強要素が、多成分構成であり、少なくとも2つの材料を含有するようになっていてもよい。したがって、補強要素または少なくとも1つの補強要素は、第1の層の材料に溶接できる第1の材料から第1の端部に形成されてもよく、第1の端部から離間した第2の端部が、第2の層に溶接できる第2の材料から形成されてもよい。特に、それぞれの補強要素は、信頼できる溶接接続を達成するために、それぞれの場合で第1の層および第2の層の関連する材料に同じ方法で溶接できる材料を含有してもよい。
【0021】
補強要素の端部間に形成された中央区間は、その端部の接続領域と比較して、荷重条件に応じてハウジングシェルの十分な柔軟性および/または剛性を保証するために、より剛な又はより柔軟な材料から形成されてもよい。
【0022】
代替的または追加的に、少なくとも1つの補強要素、又は複数の補強要素が所定の破断点を有するようになっていてもよい。所定の破断点により、対応する補強要素が過負荷の場合にエネルギーを吸収したり切ったりすることが可能となり、それによって、バッテリーハウジングの部品から封入される駆動バッテリーへの損傷が回避される。
【0023】
バッテリーハウジングは、ハウジングシェルに、又は、ハウジングシェルを塞ぐカバーに、周囲に熱を放散させるための冷却フィンを有してもよい。冷却フィンによって、表面の拡大を既知の方法でもたらすことができ、それによって、冷却媒体から周囲への熱伝達を行うことができる。
【0024】
熱を放散させるための冷却フィンが、例えば、ハウジングシェルの壁に形成され、および/またはハウジングシェルを塞ぐカバーに形成される場合、冷却器は、バッテリーハウジングに完全に一体化されてもよい。
【0025】
代替的または追加的に、壁空洞は、バッテリーハウジングから分離された外部の冷却器と流体が通るように連通するように設置できる。この目的のために、冷却回路を形成するために、冷却器入口および冷却器出口を結合するための2つ以上のインターフェースが、ハウジングシェルおよび/またはカバーの壁に一体化されてもよい。
【0026】
ハウジングシェルはブロー成形により安価且つ効率的に製造できる。ブロー成形により、信頼性の高い方法で1層または多層の壁構造が可能になり、さらに、補強要素がブロー成形プロセス中に成形熱に適用されることも可能となる。
【0027】
代替的に、ハウジングシェルは、一部が射出成形により製造されたものであってもよい。射出成形により、多層壁を安価な方法で構築できる。
【0028】
サンドイッチ構造の第1の層は、多層構造であってもよい。したがって、壁構造の第1の層については、熱可塑性樹脂の複数の層から順番に構成されてもよい。これは、第2の層にも等しく当てはまり、第2の層は、同様に、それ自体で順番に多層構造になっていてもよい。したがって、剛性、柔軟性、汚染物質の放出、および防火に関する要求を満たすために、複数の材料を組み合わせることができる。
【0029】
層のうちの少なくとも1つは、炭化水素用の拡散バリアとして機能するバリア層を有するようになっていてもよい。そのような場合、これは、例えば、EVOH(エチレン/ビニルアルコールコポリマー)の層であってもよい。
【0030】
層のうちの少なくとも1つは、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリケトン(PK)、若しくはポリエチレン(PE)からなるか、又は、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリケトン(PK)、若しくはポリエチレン(PE)を含有する。
【0031】
層の少なくとも1つは、繊維強化プラスチック材から構成されてもよく、または繊維強化プラスチック材を含有してもよい。繊維強化プラスチック材により、軽量であると同時に剛性の高いサンドイッチ材料を簡単な方法で提供できる。
【0032】
層の少なくとも1つは、熱成形によって形作られてもよい。したがって、例えば、トラクションバッテリー又は駆動バッテリーの挿入のための受容領域を画定するために、サンドイッチ材料の1つの層またはサンドイッチ材料の全体を、加熱およびその後の成形によって、それ自体意図した形にすることができる。
【0033】
層の少なくとも1つは、有機シートを含有したり有機シートで構成されてもよい。
【0034】
代替的または追加的に、ハウジングシェルは、受容領域から離間した外側が有機シートでクラッドされてもよい。したがって、ハウジングシェルの耐火性を高めることができ、さらにハウジングシェルの補強が得られる。
【0035】
例えば自動車セクターからの現在のEMC規格に準拠するために、層の少なくとも1つが導電性材料を含有するようになっていてもよい。
【0036】
有機シートを含有する1つ又は複数の保持クランプ又は保持タブが、バッテリーハウジングを車体に締結するために設けられるようになっていてもよい。この場合、有機シートは、ハウジングシェルを車体にねじ止めできるようにするために、フックのように湾曲していてもよく、少なくとも1つの貫通孔を有していてもよい。保持クランプまたは保持タブは、特に溶接、封入または結合によって、一体的に結合された方法でサンドイッチ構造に一体化させてもよい。
【0037】
以下、本発明を、実施形態を示す図面を参照してより詳細に説明する。これらは、いずれの場合も概略的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明に係る駆動バッテリー用のバッテリーハウジングである。
図2A図1のハウジングシェルの第1の壁の断面図である。
図2B図1のハウジングシェルの第2の壁の断面図である。
図3図2Bのハウジングシェルの第1の層の層状構造である。
図4】冷却器を有する本発明に係るバッテリーハウジングである。
図5】本発明に係るバッテリーハウジングのための保持クランプの斜視図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明に係る駆動バッテリー用のバッテリーハウジング2を示している。バッテリーハウジング2は、カバー7で塞ぐことができるハウジングシェル4を有する。本実施形態における中間板9は、透明として示されており、図面の明確さを確実にするために、単に、ハウジングシェル4から持ち上げられた位置で示されている。
【0040】
本実施形態におけるハウジングシェル4及びカバー7は、実質的に全部が熱可塑性物質で形成されている。ハウジングシェル4は、駆動バッテリーの挿入のための受容領域6を有する。中間板9の上には、駆動バッテリーのバッテリーモジュールを同様に収容できる。
【0041】
ハウジングシェル4は壁8を有し、壁8は多層のサンドイッチ構造10を有する(図2A図2B)。サンドイッチ構造10の第1の層12は、壁空洞16が第1の層12と第2の層14との間に形成されるように、少なくともいくつかの区間において、サンドイッチ構造10の第2の層14から離間している。壁空洞16は、冷却媒体を貯留するように設計されている。
【0042】
図2A及び図2Bは、サンドイッチ構造10の構成を模式的に示している。言うまでもなく、図2Bに図示されたスペース16は、流体が通るように連通されており、 全体として、冷却媒体を貯留するための壁空洞16を形成する。壁空洞16の一部分は、冷却媒体のための膨張容積部である。
【0043】
領域18では、第1の層12と第2の層14とが局所的に互いに溶接されている。サンドイッチ構造10は開口部20を有し、接続要素22が貫通している。
【0044】
第1の層12と第2の層14との間には、サンドイッチ構造10を剛にするように設計された補強要素24が配置されている。
【0045】
このような補強要素24は、二成分構造であり、第1の層12と第2の層14に同様に溶接される少なくとも2つの材料を含有する。補強要素24は所定の破断点26を有する。
【0046】
図2Bの第1の層12の例として図3に示すように、層12、14のそれぞれについては、サンドイッチ構造の方式で順番に多層構造のものとすることができる。したがって、本実施形態における第1の層12は、有機シート28の形態の外層を有し、これは、導電性フィラーを備えたプラスチック材30を覆う。導電性フィラーを備えたプラスチック材30がカップリング剤層32を用いてバリア層34に接続され、バリア層34がさらなるカップリング剤層36によってさらなるプラスチック材層38に接続されてもよい。
【0047】
図4は、サンドイッチ構造42に埋め込まれたポンプ44を有する本発明に係るさらなる液体容器40を示す。ポンプ44により、容器40の壁空洞46は、冷却器48と流体が通るように連通されており、それによって、壁空洞46に貯留された冷却媒体は、冷却器を介して循環させることができる。バッテリーハウジング40は、駆動バッテリー又はトラクションバッテリーを受容するように設計された受容領域50を有する。容器40には、周囲に熱を放散させるための冷却フィン51が設けられている。
【0048】
図5は、バッテリーハウジング2またはバッテリーハウジング40を車体にねじ留めするために、プラスチック材56で封入された有機シート54を有する保持クランプ52を示す。この目的のために、保持クランプ52にスリーブ58が貫通してもよい。プラスチック材56は、例えばポリプロピレンまたはポリアミドであってもよい。保持要素54は、バッテリーハウジング2またはバッテリーハウジング40に溶接することができ、したがって、一体的に結合される方法でサンドイッチ構造10またはサンドイッチ構造42に接続することができる。
【符号の説明】
【0049】
2 バッテリーハウジング
4 ハウジングシェル
6 受容領域
7 カバー
8 壁
9 中間板
10 サンドイッチ構造
12 サンドイッチ構造10の第1の層
14 サンドイッチ構造10の第2の層
16 壁空洞
18 領域
20 開口部
22 接続要素
24 補強要素
26 所定の破断点
28 有機シート
30 プラスチック材
32 カップリング剤層
34 バリア層
36 カップリング剤層
38 プラスチック材層
40 液体容器
42 サンドイッチ構造
44 ポンプ
46 壁空洞
48 冷却器
50 受容領域
51 冷却フィン
52 保持クランプ
54 有機シート
56 プラスチック材
58 スリーブ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5