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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】家具用金具
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/04 20060101AFI20220524BHJP
   E05D 7/086 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
E05D7/04
E05D7/086
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020573188
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 AT2019060155
(87)【国際公開番号】W WO2020006587
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】A50575/2018
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ハメラー
(72)【発明者】
【氏名】イルメラ マーラ ゲラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フォーリエ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ライシヒ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19637081(DE,A1)
【文献】特表2018-514670(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158139(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/057249(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/068714(WO,A1)
【文献】特開昭55-042993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 7/04
E05D 7/086
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を支持するための家具用金具(4)であって、
- 前記家具本体(2)に固定するための第1の金具部分(5)と、
- 前記可動の家具部分(3)に固定するための第2の金具部分(6)とを含んでおり、前記第1の金具部分(5)と前記第2の金具部分(6)とは、互いに枢着結合されているまたは互いに解離可能に結合可能であり、
- 前記第1の金具部分(5)は、前記家具本体(2)に前記第1の金具部分(5)を固定するための少なくとも1つの組付け体(8)と、前記組付け体(8)に対して相対的に位置を調節可能な保持体(9)とを有しており、前記保持体(9)に、旋回可能に支持された少なくとも1つの調節アーム(7a,7b)が配置されており、前記少なくとも1つの調節アーム(7a,7b)に力を加えるためのばね装置(10)が設けられており、3つの操作要素(13a,13b,13c)を備えた調節装置(13)が設けられており、前記操作要素(13a,13b,13c)によってそれぞれ、前記組付け体(8)に対して相対的な前記保持体(9)の位置が調節可能である、
家具用金具(4)において、
前記組付け体(8)は、家具本体(2)の具プレート(2a,2b)に、前記組付け体(8)を固定するための固定面(27a,27b,27c,27d)と、前記固定面(27a,27b,27c,27d)に対してほぼ垂直な端面(26)とを有しており、前記操作要素(13a,13b,13c)はそれぞれ、前記組付け体(8)の前記端面(26)の側から作可能である
ことを特徴とする、家具用金具。
【請求項2】
前記家具本体(2)の前記家具プレート(2a,2b)はほぼ水平に方向付けられている、請求項1記載の家具用金具。
【請求項3】
前記操作要素(13a,13b,13c)はそれぞれ、工具を用いて操作可能である、請求項1または2記載の家具用金具。
【請求項4】
前記組付け体(8)は、前記操作要素(13a,13b,13c)の操作時に前記家具本体(2)に対して相対的に位置固定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項5】
第1の操作要素(13a)によって、横方向(X)における前記組付け体(8)に対して相対的な前記保持体(9)の位置が調節可能であり、第2の操作要素(13b)によって、奥行き方向(Y)における前記組付け体(8)に対して相対的な前記保持体(9)の位置が調節可能であり、第3の操作要素(13c)によって、高さ方向(Z)における前記組付け体(8)に対して相対的な前記保持体(9)の位置が調節可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項6】
前記3つの操作要素(13a,13b,13c)のうちの少なくとも2つの操作要素がそれぞれ、回転軸線を中心にして回転可能に支持されてる、請求項1からまでのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項7】
前記少なくとも2つの操作要素の前記回転軸線が、互いにほぼ平行に延在している、請求項6記載の家具用金具。
【請求項8】
前記3つの操作要素(13a,13b,13c)はそれぞれ、回転軸線を中心にして回転可能に支持されており、前記3つの操作要素(13a,13b,13c)の前記回転軸線が、互いにほぼ平行に延在している、請求項1からまでのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項9】
少なくとも1つの操作要素(13a,13b,13c)が、前記組付け体(8)にねじ係合されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項10】
前記保持体(9)および/または前記組付け体(8)に、前記保持体(9)を案内するための少なくとも1つの斜面(16)が配置されており、前記保持体(9)は、回転軸線を中心にした1つの操作要素(13a,13b,13c)の回転時に、前記回転軸線に対して横方向に延在している方向において前記斜面(16)に沿って可動に支持されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項11】
前記組付け体(8)の前記端面(26)は、当該家具用金具(4)の閉鎖された状態において前記第2の金具部分(6)に向けられていて、当該家具用金具(4)の取り付けられた状態において、前記家具本体(2)の1つの端面にほぼ平行に方向付けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項12】
前記組付け体(8)は、長手方向延在長さおよび高さ方向延在長さを有しており、前記組付け体(8)の前記長手方向延在長さは、前記組付け体(8)の前記高さ方向延在長さよりも少なくとも3倍い、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項13】
前記組付け体(8)の前記長手方向延在長さは、前記組付け体(8)の前記高さ方向延在長さよりも少なくとも6倍長い、請求項12記載の家具用金具。
【請求項14】
前記組付け体(8)は、前記家具プレート(2a,2b)の切欠きの内部に収容されるように形成されており、前記家具プレート(2a,2b)における前記組付け体(8)の取り付けられた状態においては、単に前記組付け体(8)の前記端面(26)だけが見える、請求項1から13までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項15】
調節輪郭部(21)が設けられており、前記調節アーム(7a)の運動時に、前記ばね装置(10)によって力を加えられた押圧ローラ(12)が前記調節輪郭部(21)に沿って走行可能である、請求項1から14までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項16】
前記調節輪郭部(21)は前記調節アーム(7a)に配置されている、請求項15記載の家具用金具。
【請求項17】
当該家具用金具(4)は、旋回可能に支持された前記調節アーム(7a)の運動を緩衝するための少なくとも1つの緩衝装置(11)を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項18】
当該家具用金具(4)は、家具用ヒンジとして形成されている、請求項1から17までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項19】
前記組付け体(8)の前記固定面(27a,27b,27c,27d)および/または前記端面(26)は、少なくとも部分的に平らに形成されている、請求項1から18までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項20】
家具本体(2)と、請求項1から19までのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具用金具(4)によって前記家具本体(2)に対して相対的に可動に支持されている少なくとも1つの家具部分(3)とを備えた家具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具本体に対して相対的に可動に支持された家具部分を支持するための家具用金具であって、
- 家具本体に固定するための第1の金具部分と、
- 可動の家具部分に固定するための第2の金具部分とを含んでおり、第1の金具部分と第2の金具部分とは、互いに枢着結合されているまたは互いに解離可能に結合可能であり、
- 第1の金具部分は、家具本体に第1の金具部分を固定するための少なくとも1つの組付け体と、組付け体に対して相対的に位置を調節可能な保持体とを有しており、保持体に、旋回可能に支持された少なくとも1つの調節アームが配置されており、少なくとも1つの調節アームに力を加えるためのばね装置が設けられており、3つの操作要素を備えた調節装置が設けられており、操作要素によってそれぞれ、組付け体に対して相対的な保持体の位置が調節可能である、
家具用金具に関する。
【0002】
さらに、家具本体と、記載される形式の少なくとも1つの家具用金具によって家具本体に対して相対的に可動に支持されている家具部分とを備えた家具に関する。
【0003】
国際公開第2017/158139号には図1に、戸を旋回可能に支持するための家具ヒンジが示されており、家具ヒンジの第1の金具部分は、家具本体の家具プレートの長孔形状の切欠き内に埋設されている。家具ヒンジの第2の金具部分も同様に、可動の家具部分の長孔形状の切欠き内に収容されている。ねじまたは偏心体の形態の調節手段によって、第1の金具部分に対して相対的な第2の金具部分の相対位置が調節可能である。この構成の欠点としては、調節手段が異なる金具部分に配置されているので、家具ヒンジの構造が比較的嵩張るということがある。
【0004】
欧州特許出願公開第2853667号明細書、オーストリア国特許発明第388016号明細書、および欧州特許出願公開第3070241号明細書には、本体側のヒンジアームを備えた家具ヒンジが示されており、本体側のヒンジアームの位置は、互いに別個の3つの操作要素によって三次元的に調節可能である。家具ヒンジの組み付けられた状態において、操作要素の回転軸線は、家具ヒンジが組み付けられている家具プレートに対して直角に配置されている。家具ヒンジが組み付けられた場合に家具本体の前に位置している人に対しては、操作要素に対する視認性および接近性が制限されている。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の家具用金具を改良して、上において議論された欠点を回避することができる家具用金具を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴によって解決される。本発明のさらなる好適な構成は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によれば、組付け体は、家具本体の、好ましくはほぼ水平に方向付けられた家具プレートに、組付け体を固定するための固定面と、固定面に対してほぼ垂直な端面とを有しており、操作要素はそれぞれ、組付け体の端面の側から、好ましくは工具を用いて操作可能であることが提案されている。
【0008】
このように構成されていると、3つのすべての操作要素が、家具用金具の組み付けられた状態において、前側から(つまり組付け体の固定面に対して垂直に延在している端面から)、手動操作のため、または工具を用いて行われる操作のために、直接かつダイレクトに接近可能である。
【0009】
家具用金具は、保持体であって、該保持体に配置された調節アームを備えた保持体と、調節アームに力を加えるためのばね装置とを有しており、調節装置の3つの操作要素は、操作時にそれぞれこの共通の保持体に係合し、これによって家具本体に取り付けるべき組付け体に対して相対的な保持体の位置を生ぜしめる。このように構成されていると、種々様々な金具部分において家具部分を三次元的に位置調節するための操作要素の配置を省くことができる。
【0010】
1つの家具プレートにおける家具用金具の配置時に、第1の操作要素によって、横方向(すなわち家具プレートの端面に平行な平面、および家具プレートの平面)における組付け体に対して相対的な保持体の位置が調節可能であり、第2の操作要素によって、奥行き方向(すなわち家具プレートの平面、および家具プレートの端面に対して横方向)における組付け体に対して相対的な保持体の位置が調節可能であり、第3の操作要素によって、高さ方向(すなわち家具プレートの端面に対して平行な平面、および家具プレートの平面に対してほぼ横方向)における組付け体に対して相対的な保持体の位置が調節可能である。組付け体は、操作要素の操作時に家具本体に対して相対的に位置固定に配置されている。
【0011】
1つの実施例によれば、少なくとも2つ、好ましくは3つのすべての操作要素がそれぞれ、回転軸線を中心にして回転可能に支持されており、好ましくは、少なくとも2つ、好ましくは3つの操作要素の回転軸線が、互いにほぼ平行に延在しているようになっていることが提案されていてよい。このように構成されていると、一方においてコンパクトな構造形式が得られ、他方において3つの操作要素を調節のために、工具、好ましくはねじ回しを用いて、すべて同じ側から操作可能である。
【0012】
構造上単純な構成では、少なくとも1つの操作要素が、組付け体にねじ係合されていることが提案されていてよい。
【0013】
保持体および/または組付け体には、保持体を案内するための少なくとも1つの斜面が配置されていてよく、保持体は、回転軸線を中心にした1つの操作要素の回転時に、回転軸線に対して横方向に延在している方向において斜面に沿って可動に支持されている。このように構成されていると、操作要素の回転軸線に対して横方向に保持体の運動を変向するための単純な構造が得られる。
【0014】
別の実施例によれば、組付け体は、長手方向延在長さおよび高さ方向延在長さを有しており、組付け体の長手方向延在長さは、組付け体の高さ方向延在長さよりも少なくとも3倍、好ましくは少なくとも6倍長いことが提案されていてよい。このように構成されていると、家具用金具を特にコンパクトに構成することができるので、組付け体を、(例えば16mmまたは19mmの材料厚さを備えた)家具プレートの設定された材料厚さ内に配置することができる。
【0015】
保持体は、一体に構成されていても、または2つ以上の部分から構成されていてもよい。同様に組付け体も、一体に形成されていても、または2つ以上の部分から形成されていてもよい。
【0016】
1つの実施例によれば、第1の金具部分の組付け体は、1つの家具プレートの切欠き内に挿入可能であることが提案されていてよく、このように構成されていると、組付け体は家具プレートに取り付けられた状態において、大部分、好ましくはほぼ完全に、家具プレートの収容部の内部に収容されている。このように構成されていると、家具本体における組付け部分のコンパクトでかつ目立たない配置形式が得られる。
【0017】
本発明に係る家具は、家具が、家具プレート(例えば底プレート、カバープレート、底プレートとカバープレートとの間に配置された仕切り底、または鉛直に延在している側壁)を備えた家具本体を有しており、組付け体が家具プレートに支持されており、好ましくは、組付け体は組付け位置において大部分、家具プレートの切欠きの内部に収容されているようになっていることによって特徴付けられている。
【0018】
家具用金具は、例えば家具ヒンジとして形成されていてよい。しかしながらまた、家具用金具が、家具フラップのための家具駆動装置として形成されていて、家具フラップが家具本体における組付け状態において、水平方向に延在している軸線を中心にして旋回可能に支持されていることも可能である。
【0019】
本発明のその他の詳細および利点については、図面に示された実施例を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】家具を示す斜視図である。
図1b】家具用金具を示す斜視図である。
図2a】第1の操作要素の1つの調節状態における家具用金具を示す斜視図である。
図2b図2aに示された家具用金具の一部を拡大して示す詳細図である。
図2c】第1の操作要素の別の調節状態における家具用金具を示す斜視図である。
図2d図2cに示された家具用金具の一部を拡大して示す詳細図である。
図3a】第2の操作要素の1つの調節状態における家具用金具を示す斜視図である。
図3b図3aに示された家具用金具の一部を拡大して示す詳細図である。
図3c】第2の操作要素の別の調節状態における家具用金具を示す斜視図である。
図3d図3cに示された家具用金具の一部を拡大して示す詳細図である。
図4a】第3の操作要素の1つの調節状態における家具用金具を示す斜視図である。
図4b図4aに示された家具用金具の一部を拡大して示す詳細図である。
図4c】第3の操作要素の別の調節状態における家具用金具を示す断面図である。
図4d】第3の操作要素の別の調節状態における家具用金具を示す断面図である。
図5】家具用金具を示す分解図である。
【0021】
図1aには、単に部分的に示された家具本体2を備えた家具1が斜視図で示されており、好ましくは戸または家具フラップの形態の可動の家具部分3が、家具用金具4によって家具本体2に対して相対的に、好ましくは組付け位置において鉛直に延在している軸線14を中心にして旋回可能に支持されている。家具本体2は、側壁の形態の鉛直に延在している家具プレート2aと、水平に延在している家具プレート2b(好ましくはカバープレート、底プレート、またはカバープレートと底プレートとの間に配置された仕切り底)とを有しており、家具用金具4の第1の金具部分5は、家具プレート2bに接してまたは家具プレート2bの内部に支持されている。もちろん、家具用金具4を鉛直に延在している家具プレート2aに固定することも可能であり、このように構成されていると、可動の家具部分3は、組付け状態において家具本体2に対して相対的に、水平に延在している軸線を中心にして旋回可能に支持されることになる。
【0022】
図示の実施例では、第1の金具部分5がほぼ完全に家具プレート2bの第1の切欠きの内部に収容されており、これに対して家具用金具4の第2の金具部分6はほぼ完全に可動の家具部分3の第2の切欠きの内部に収容されていることが提案されている。
【0023】
図1bには、家具用金具4が斜視図で示されている。第1の金具部分5は、少なくとも2部分から形成されていて、家具本体2に固定すべき組付け体8と、保持体9とを含んでおり、この保持体9は、3つの操作要素13a,13b,13cを備えた調節装置13によって、その位置を組付け体8に対して相対的に調節可能である。保持体9には、少なくとも1つの調節アーム7a,7bが旋回可能に支持されており、この調節アーム7a,7bには、ばね装置10によって力を加えることができる。ばね装置10の力によって第2の金具部分6は、完全に閉鎖された終端位置および/または完全に開放された終端位置に、第1の金具部分5に対して相対的に可動である。このことは例えば、ばね装置10によって力を加えられる押圧ローラ12を介して行うことができ、この押圧ローラ12は、調節アーム7aの運動時に、好ましくは調節アーム7aに形成された調節輪郭部21(図5)に沿って走行可能に支持されている。好ましくは液圧式のピストンシリンダユニットを備えた緩衝装置11によって、第1の金具部分5に対して相対的な第2の金具部分6の運動が制動可能である。保持体9は、調節アーム7a,7bを介して旋回可能に、第2の金具部分6に結合されており、この第2の金具部分6は、好ましくは長手方向に延在しているハウジング6aを介して、可動の家具部分3に固定することができる。
【0024】
調節装置13の操作要素13a,13b,13cは、図示の実施例では、それぞれ回転軸線を中心にして回転可能に支持されており、操作要素13a,13b,13cのこれらの回転軸線は、互いにほぼ平行に延在している。操作要素13a,13b,13cは、工具のためのそれぞれ1つの収容装置を有していてよく、保持体9の位置は、工具を用いた操作要素13a,13b,13cの操作によって組付け体8に対して相対的に調節可能である。
【0025】
組付け体8は、家具本体2の、好ましくはほぼ水平に方向付けられた家具プレート2a,2bに、組付け体8を固定するための少なくとも1つの固定面27aと、固定面27aに対してほぼ垂直な端面26とを有しており、操作要素13a,13b,13cはそれぞれ、組付け体8の端面26から、好ましくは工具を用いて操作可能である。家具プレート2a,2bにおける組付け体8の組み付けられた状態においては、組付け体8の端面26だけが見える。組付け体8は、家具本体2に予め組み付けられたハウジングまたは保持プレートに、解離可能にロック可能であり、これによって組付け体8は、工具の使用なしに、家具本体2に予め組み付けられたハウジングまたは保持プレートに連結可能である。
【0026】
第1の操作要素13aによって、横方向(X)における組付け体8に対して相対的な保持体9の位置が調節可能であり、第2の操作要素13bによって、奥行き方向(Y)における組付け体8に対して相対的な保持体9の位置が調節可能であり、かつ第3の操作要素13cによって、高さ方向(Z)における組付け体8に対して相対的な保持体9の位置が調節可能である。図示の実施例では、第1および第2の操作要素13a,13bが、組付け体8にねじ係合されており、これに対して第3の操作要素13cは、高さ方向(Z)における保持体9の調節のために偏心体を有していてよい。
【0027】
図2a~図2dには、(部分的に破断された)家具用金具4が異なった2つの斜視図、およびそれに対して拡大された2つの詳細図で示されている。第1の操作要素13aは、組付け体8にねじ係合されており、保持体9は、組付け体8に対して相対的に、第1の操作要素13aの回転によって横方向(X)において調節可能である。この目的のために保持体9および/または組付け体8には、保持体9を案内するための斜面16が配置されているまたは形成されている。さらに、第1の操作要素13aに結合された伝達部分17が設けられていて、この伝達部分17は、斜めに延在する接続板の形態のガイド要素17aを備えており、ガイド要素17a(ひいては保持体9)は、回転軸線を中心にした第1の操作要素13aの回転時に、回転軸線に対して横方向に延在している方向(X)において斜面16に沿って可動に支持されている。第1の操作要素13aが、工具を用いた操作によって図2aを起点として時計回り方向で回転させられると、保持体9は、調節値(ΔX)だけ横方向(X)に移動させられる。図2dには、図2cにおいて丸で囲まれた領域が拡大されて示されている。
【0028】
図3a~図3dには、第2の操作要素13bの異なる調節状態における家具用金具4が2つの斜視図、およびそれに対して拡大された詳細図で示されている。第2の操作要素13bの操作によって、奥行き方向(Y)における組付け体8に対して相対的な保持体9の位置が調節可能である。第2の操作要素13bは、組付け体8にねじ係合されていて、保持体9に係合しているので、保持体9は、第2の操作要素13bの回転時に調節値(ΔY)だけ奥行き方向(Y)に調節可能である。保持体9の改善された直線案内のために、保持体9に配置されたガイドリブ18が設けられていてよく、このガイドリブ18は、少なくとも部分的に奥行き方向(Y)に延在している。保持体9のガイドリブ18は、組付け体8の、奥行き方向(Y)に延在している切欠き20内において移動可能に案内されている(図2a、図2b)。
【0029】
図4aには、家具用金具4が横断面されて斜視図で示されており、これによって第3の操作要素13cが見える。第3の操作要素13cは偏心体を有しており、この偏心体は、保持体9に回転可能に支持されていて、組付け体8に支持可能である。保持体9は、ジョイント軸19を中心にして旋回可能に支持されており、保持体9は、第3の操作要素13cの回転によって、ジョイント軸19を中心として高さ方向(Z)において可動である。図4bには、図4aにおいて丸で囲まれた領域が拡大されて示されている。図4cおよび図4dにはそれぞれ、第3の操作要素13cの異なる調節状態における家具用金具4が横断面図で示されている。第3の操作要素13cの回転によって、組付け体8に対して相対的な保持体9の位置が調節可能であり、これによって第2の金具部分6の位置が、調節値(ΔZ)だけ高さ方向(Z)において調節可能である。
【0030】
図5には、家具用金具4が分解図で示されている。組付け体8は、図示の実施例では2部分から形成されていて、2つの部分8a,8bを含んでおり、両部分8a,8bは共同して、保持体9を収容するための、好ましくはポケット形のハウジングを形成している。組付け体8の第1の部分8aには、斜面16が配置されていて、この斜面16は、伝達部分17のガイド要素17aを案内するために設けられている。第1の操作要素13aは、ホルダ25を介して伝達部分17に連結されている。
【0031】
組付け体8の第1の部分8aには、家具本体2の、好ましくはほぼ水平に方向付けられた家具プレート2a,2bに、組付け体8を接触させるための固定面27aと、固定面27aに対して垂直に延在している端面26とが配置されている。1実施例によれば、操作要素13a,13b,13cの回転軸線が組付け体8の端面26に対してほぼ垂直に延在していることが提案されていてよい。組付け体8の第2の部分8bには、別の固定面27b,27c,27dが配置または形成されていてよく、これらの固定面27b,27c,27dによって組付け体8を択一的に、家具プレート2a,2bの一方の家具プレートに固定することができる。組付け体8の固定面27a,27b,27cおよび/または端面26は、少なくとも部分的に平らに形成されている。
【0032】
保持体9は、図示の実施例では複数部分から形成されていて、第1の保持体部分9a、第2の保持体部分9b、および第3の保持体部分9cを有している。第1の保持体部分9aには、第3の操作要素13cを収容するための軸受23が配置されている。第3の操作要素13cは、周面に複数の係止部を有しており、これらの係止部によって第3の操作要素13cは、設定された複数の回転位置において位置決め可能である。第3の操作要素13cの回転によって、第3の保持体部分9cはジョイント軸19を中心にして旋回可能であり、これによって保持体9は、組付け体8に対して相対的に高さ方向(H)において可動である。
【0033】
第2の保持体部分9bには、調節アーム7aに力を加えるためのばね装置10が配置されており、ばね装置10によって力を加えられた押圧ローラ12が、調節アーム7aの運動時に調節輪郭部21に沿って走行可能に支持されている。調節輪郭部21は、例えば調節アーム7aに配置または形成されていてよく、調節アーム7aは、第2の金具部分6のハウジング6aに枢着結合されている。
【0034】
保持体9の第3の保持体部分9cには、第2の操作要素13bが係合しており、これによって保持体9は、組付け体8に対して相対的に奥行き方向(Y)において調節可能である。
【0035】
例えば液圧式のピストンシリンダユニットまたは択一的には回転ダンパを備えた緩衝装置11によって、閉鎖された終端位置および/または開放された終端位置への少なくとも1つの調節アーム7aの運動が制動可能であり、調節アーム7aの閉鎖された終端位置および開放された終端位置は、家具本体2に対して相対的な可動の家具部分3のそれぞれの終端位置に対応している。緩衝装置11に力を加えるために制御部分15が設けられており、この制御部分15は、ジョイント軸22を中心にして旋回可能に支持されている。制御部分15のジョイント軸22は、組付け位置において、第2の保持体部分9bに配置された孔22a内に係合する。制御部分15は2つのレバーアームを有しており、制御部分15の第1のレバーアームには、家具用金具4の閉鎖運動時に調節アーム7aによって力を加えることができ、制御部分15の第2のレバーアームは、緩衝行程を実施するために力を緩衝装置11に導入する。第2の金具部分6は中空室24を有しており、この中空室24内には、調節アーム7a,7bが家具用金具4の閉鎖位置において少なくとも部分的に収容可能である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5