(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】ストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/24 20110101AFI20220524BHJP
H04N 21/242 20110101ALI20220524BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20220524BHJP
H04H 20/24 20080101ALI20220524BHJP
H04H 60/82 20080101ALI20220524BHJP
【FI】
H04N21/24
H04N21/242
H04N21/235
H04H20/24
H04H60/82
(21)【出願番号】P 2021121155
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2022-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良一
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-223061(JP,A)
【文献】特開2011-182163(JP,A)
【文献】特開2008-54308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
H04H20/00-20/46
20/51-20/86
20/91-40/27
40/90-60/98
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
13/00-17/06
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するストリーム視聴解析システムにおいて、
前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段から、該放送ストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻である放送ストリーム視聴時刻を取得する放送ストリーム視聴時刻取得部と、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻であるIPストリーム視聴時刻を取得するIPストリーム視聴時刻取得部と、
前記ストリームの送信基準時刻と、放送ストリーム視聴時刻取得部が取得した放送ストリーム視聴時刻との差である放送時間差を算出する放送時間差算出部と、
前記ストリームの送信基準時刻と、IPストリーム視聴時刻取得部が取得したIPストリーム視聴時刻との差であるIP時間差を算出するIP時間差算出部と、
放送時間差算出部により算出された放送時間差と、IP時間差算出部により算出されたIP時間差とを同質の時間差として、該時間差に応じて、該時間差の算出を行った放送ストリーム受信手段またはIPストリーム受信手段の視聴者に視聴関連情報を送信する視聴関連情報送信部と
を備えることを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項2】
請求項1記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴関連情報送信部は、前記視聴関連情報として、該時間差が小さくなるように、視聴案内を送信することを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項3】
請求項2記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴案内は、当該視聴者の過去の視聴履歴における前記時間差に基づいて、視聴案内が配信されることを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴関連情報送信部は、前記視聴者の属性に応じて、前記視聴関連情報の内容と配信タイミングとのいずれか一方または両方を制御することを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴関連情報送信部は、前記ストリームの視聴態様を評価する視聴態様判定を行い、該視聴態様判定結果に応じて、前記視聴関連情報の内容と配信タイミングとのいずれか一方または両方を制御することを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項6】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するストリーム視聴解析方法において、
前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段から、該放送ストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻である放送ストリーム視聴時刻を取得する放送ストリーム視聴時刻取得工程と、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻であるIPストリーム視聴時刻を取得するIPストリーム視聴時刻取得工程と、
前記ストリームの送信基準時刻と、放送ストリーム視聴時刻取得工程で取得した放送ストリーム視聴時刻との差である放送時間差を算出する放送時間差算出工程と、
前記ストリームの送信基準時刻と、IPストリーム視聴時刻取得工程で取得したIPストリーム視聴時刻との差であるIP時間差を算出するIP時間差算出工程と、
放送時間差算出工程により算出された放送時間差と、IP時間差算出工程により算出されたIP時間差とを同質の時間差として、該時間差に応じて、該時間差の算出を行った放送ストリーム受信手段またはIPストリーム受信手段の視聴者に視聴関連情報を送信する視聴関連情報送信工程と
を実行することを特徴とするストリーム視聴解析方法。
【請求項7】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するプログラムであって、
コンピュータに、
前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段から、該放送ストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻である放送ストリーム視聴時刻を取得させ、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻であるIPストリーム視聴時刻を取得させ、
前記ストリームの送信基準時刻と、取得した放送ストリーム視聴時刻との差である放送時間差を算出させ、
前記ストリームの送信基準時刻と、取得したIPストリーム視聴時刻との差であるIP時間差を算出させ、
算出された放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、該時間差に応じて、該時間差の算出を行った放送ストリーム受信手段またはIPストリーム受信手段の視聴者に視聴関連情報を送信させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するストリーム視聴解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のIPストリーム送信システムとしては、下記特許文献1に示すように、放送時刻が対応付けられた定時放送コンテンツを配信する放送サーバと、定時放送コンテンツを受信する複数の端末とが通信網であるインターネットを介して接続される放送システムにおいて、放送サーバは、端末の端末処理部の要求によって、放送時刻と前後して定時放送コンテンツを送信し、時間差送信を可能にするシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来のIPストリーム送信システムでは、放送ストリームと同一のストリームが、放送時刻とは異なる時間差で送信されるため(送信(送り出し)の時間差(遅れ)だけではなく、そのネットワークの特性上、トラフィック負荷による配信遅延や、ネットワーク容量のばらつき、や、画質の違いによる伝送量のばらつき、再生時のバッファや、IP受信端末の性能による、再生のばらつきや遅延が生じることにより)、視聴のタイミングがまちまちとなるところ、同一のストリームとして扱うことで、同一の制御処理が実行できるようにすることが望まれている。
【0005】
以上の事情に鑑みて、本発明は、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、同一の制御処理が実行可能なストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のストリーム視聴解析システムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するストリーム視聴解析システムにおいて、
前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段から、該放送ストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻である放送ストリーム視聴時刻を取得する放送ストリーム視聴時刻取得部と、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻であるIPストリーム視聴時刻を取得するIPストリーム視聴時刻取得部と、
前記ストリームの送信基準時刻と、放送ストリーム視聴時刻取得部が取得した放送ストリーム視聴時刻との差である放送時間差を算出する放送時間差算出部と、
前記ストリームの送信基準時刻と、IPストリーム視聴時刻取得部が取得したIPストリーム視聴時刻との差であるIP時間差を算出するIP時間差算出部と、
放送時間差算出部により算出された放送時間差と、IP時間差算出部により算出されたIP時間差とを同質の時間差として、該時間差に応じて、該時間差の算出を行った放送ストリーム受信手段またはIPストリーム受信手段の視聴者に視聴関連情報を送信する視聴関連情報送信部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
第1発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームについて、放送ストリーム受信手段における視聴時刻と送信基準時刻(例えば放送時刻)との差である放送時間差が算出されると共に、IPストリームについて、IPストリーム受信手段における視聴時刻と送信基準時刻(例えば放送時刻)との差であるIP時間差が算出される。
【0008】
そして、これら放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、IPストリームと放送ストリームと同等に扱うことができる。
【0009】
さらに、IPストリームと放送ストリームと同等に扱うことで、これらに対して共通の制御処理として、時間差に応じた視聴関連情報を送信することができる。
【0010】
このように、第1発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、同一の制御処理が実行可能なストリーム視聴解析システムを提供することができる。
【0011】
第2発明のストリーム視聴解析システムは、第1発明において、
前記視聴関連情報送信部は、前記視聴関連情報として、該時間差が小さくなるように、視聴案内を送信することを特徴とする。
【0012】
第2発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、IPストリームと放送ストリームと同等に扱った際に、当該時間差が小さいほど、ライブでの視聴実態になるところ、これらに対する共通の制御処理として、該時間差を小さくするように、(例えば、同時放送中のライブである場合にライブ送信への乗り換えを促す)視聴案内を送信することができる。
【0013】
このように、第2発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、具体的に同一の制御処理を実行可能に構成することができる。
【0014】
第3発明のストリーム視聴解析システムは、第2発明において、
前記視聴案内は、当該視聴者の過去の視聴履歴における前記時間差に基づいて、視聴案内が配信されることを特徴とする。
【0015】
第3発明のストリーム視聴解析システムによれば、当該視聴者の過去の視聴履歴における時間差は、当該視聴者の視聴傾向に対応するところ、かかる視聴傾向から、例えば、視聴開始のタイミングを把握し、視聴開始のタイミングを早めるように、番宣などを行うことで、時間差が小さくなるように、視聴案内を配信することができる。
【0016】
このように、第3発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、視聴者の視聴傾向を加味して具体的に同一の制御処理を実行可能に構成することができる。
【0017】
第4発明のストリーム視聴解析システムは、第1~第3発明において、
前記視聴関連情報送信部は、前記視聴者の属性に応じて、前記視聴関連情報の内容と配信タイミングとのいずれか一方または両方を制御することを特徴とする。
【0018】
第4発明のストリーム視聴解析システムによれば、当該視聴者の属性に応じて、時間差に応じて配信される視聴関連情報の内容や配信タイミングが変更可能に制御される。そのため、より視聴者に適切な視聴関連情報の内容や配信タイミングへの差し替えが可能となる。
【0019】
このように、第4発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、視聴者の属性を加味して具体的に同一の制御処理を実行可能に構成することができる。
【0020】
第5発明のストリーム視聴解析システムは、第1~第4発明において、
前記視聴関連情報送信部は、前記ストリームの視聴態様を評価する視聴態様判定を行い、該視聴態様判定結果に応じて、前記視聴関連情報の内容と配信タイミングとのいずれか一方または両方を制御することを特徴とする。
【0021】
第5発明のストリーム視聴解析システムによれば、当該視聴者の視聴態様、例えば、再生速度に応じて、時間差に応じて配信される視聴関連情報の内容(例えば、倍速再生に適した内容)や配信タイミングが変更可能に制御される。そのため、より視聴者の視聴態様に適切な視聴関連情報の内容や配信タイミングへの差し替えが可能となる。
【0022】
このように、第5発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、視聴者の視聴態様を加味して具体的に同一の制御処理を実行可能に構成することができる。
【0023】
第6発明のストリーム視聴解析方法は、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するストリーム視聴解析方法において、
前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段から、該放送ストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻である放送ストリーム視聴時刻を取得する放送ストリーム視聴時刻取得工程と、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻であるIPストリーム視聴時刻を取得するIPストリーム視聴時刻取得工程と、
前記ストリームの送信基準時刻と、放送ストリーム視聴時刻取得工程で取得した放送ストリーム視聴時刻との差である放送時間差を算出する放送時間差算出工程と、
前記ストリームの送信基準時刻と、IPストリーム視聴時刻取得工程で取得したIPストリーム視聴時刻との差であるIP時間差を算出するIP時間差算出工程と、
放送時間差算出工程により算出された放送時間差と、IP時間差算出工程により算出されたIP時間差とを同質の時間差として、該時間差に応じて、該時間差の算出を行った放送ストリーム受信手段またはIPストリーム受信手段の視聴者に視聴関連情報を送信する視聴関連情報送信工程と
を実行することを特徴とする。
【0024】
第6発明のストリーム視聴解析方法によれば、放送ストリームについて、放送ストリーム受信手段における視聴時刻と送信基準時刻(例えば放送時刻)との差である放送時間差が算出されると共に、IPストリームについて、IPストリーム受信手段における視聴時刻と送信基準時刻(例えば放送時刻)との差であるIP時間差が算出される。
【0025】
そして、これら放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、IPストリームと放送ストリームと同等に扱うことができる。
【0026】
さらに、IPストリームと放送ストリームと同等に扱うことで、これらに対して共通の制御処理として、時間差に応じた視聴関連情報を送信することができる。
【0027】
このように、第6発明のストリーム視聴解析方法によれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、同一の制御処理が実行可能なストリーム視聴解析方法を提供することができる。
【0028】
第7発明のプログラムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワークを介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するプログラムであって、
コンピュータに、
前記放送を介して前記ストリームを受信する放送ストリーム受信手段から、該放送ストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻である放送ストリーム視聴時刻を取得させ、
前記ネットワークを介して前記ストリームを受信するIPストリーム受信手段から、該IPストリーム受信手段の内部時計に基づく該ストリームの視聴時刻であるIPストリーム視聴時刻を取得させ、
前記ストリームの送信基準時刻と、取得した放送ストリーム視聴時刻との差である放送時間差を算出させ、
前記ストリームの送信基準時刻と、取得したIPストリーム視聴時刻との差であるIP時間差を算出させ、
算出された放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、該時間差に応じて、該時間差の算出を行った放送ストリーム受信手段またはIPストリーム受信手段の視聴者に視聴関連情報を送信させることを特徴とする。
【0029】
第7発明のプログラムによれば、放送ストリームについて、放送ストリーム受信手段における視聴時刻と送信基準時刻(例えば放送時刻)との差である放送時間差が算出されると共に、IPストリームについて、IPストリーム受信手段における視聴時刻と送信基準時刻(例えば放送時刻)との差であるIP時間差が算出される。
【0030】
そして、これら放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、IPストリームと放送ストリームと同等に扱うことができる。
【0031】
さらに、IPストリームと放送ストリームと同等に扱うことで、これらに対して共通の制御処理として、時間差に応じた視聴関連情報を送信することができる。
【0032】
このように、第7発明のプログラムによれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、同一の制御処理が実行可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本実施形態のストリーム視聴解析システムの概要を示すシステム構成図。
【
図2】
図1のストリーム視聴解析システムにおける処理内容を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示すように、本実施形態のストリーム視聴解析システムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワーク(ユニキャストが望ましいが、ユニキャストのほかマルチキャストであってもよい)を介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信における該ストリームの視聴の全体を解析するシステムであって、放送ストリームの送信を行うTV放送局10と、IPストリームの送信を行うIP放送局20と、放送ストリームの受信を行うTV受信機100(本発明の放送ストリーム受信手段に相当する)と、TV受信機100に設置される測定機110と、IPストリームの受信を行うIP受信端末200(本発明のIPストリーム受信手段に相当する)と、集計サーバ300とを備える。
【0035】
放送ストリームの送信を行うTV放送局10は、送出部11と、符号部13と、時計16と、打刻部17とを備える。
【0036】
送出部11は、いわゆる放送としての伝送を行う。なお、伝送路は、地上放送に限らず衛星放送やケーブルテレビのほか、TV放送局10で管理されるものであればIP再送信やマルチキャストであってもよい。また、送出部11は、伝送に際して多重化等の処理を行う。
【0037】
符号部13は、映像・音声・データなどの情報源の符号化を行う。なお、符号化に際しては暗号化を合わせて行い、後述する復号に必要な鍵情報も復号部で生成・管理される。この場合、鍵情報は、定期的に送出部11から送信される。
【0038】
時計16は、いわゆる内部時計であり、この場合は、送信基準時刻(放送時刻)となる基準時計となる。
【0039】
打刻部17は、映像・音声・データなどの符号化された情報源を送信する際に時計16の送信基準時刻(放送時刻)を付与する。
【0040】
IPストリームの送信を行うIP放送局20は、配信部21と、符号部23と、時計26と、打刻部27とを備える。
【0041】
配信部21は、いわゆるIPネットワーク配信のほかインターネット配信としての伝送を行う。
【0042】
符号部23は、映像・音声・データなどの情報源をIPネットワーク配信のために符号化する。なお、符号化に際しては暗号化を合わせて行い、後述する復号に必要な鍵情報も復号部で生成・管理される。この場合、鍵情報は、定期的に配信部21から送信される。
【0043】
時計26は、いわゆる内部時計である。
【0044】
打刻部27は、映像・音声・データなどの情報源をIPネットワーク配信する際に、時計26の時刻を該情報源に付与する。ここで、IPストリームは、放送ストリームと同一コンテンツ(番組・CM含む)であるため、打刻部27により放送ストリームと同じ送信基準時刻(放送時刻)が打刻される。
【0045】
TV受信機100は、受信部101と、バッファ部102と、復号部103と、再生部104と、時計106と、記録部107と、通信部108とを備える。
【0046】
受信部101は、通信のインタフェースとして放送ストリームとして受信を行う。なお、受信部101は、受信と併せて、伝送された放送ストリームデータが多重化されている場合には、多重分離など必要な処理を行う。これにより、チャンネル(例えば、101chなど)が取得される。
【0047】
バッファ部は、受信部101により受信された放送ストリームデータを一時的に蓄積する。これにより、一時的なデータの欠損があっても、後述する復号部103による安定した復号が可能となる。
【0048】
復号部103は、TV放送局10の符号部13より符号化された映像・音声・データなどの情報源の符号を復号する処理を行う。なお、復号部103は、符号化に際しては暗号化が行われている場合には、復号に必要な鍵情報の抽出など必要な処理も併せて実行する。
【0049】
再生部104は、復号部103より復号された映像・音声・データの再生処理を行う。
【0050】
時計106は、TV受信機100の内部時計である。
【0051】
記録部107は、各種情報の記録を行う。例えば、受信部101により取得されたチャンネル情報、再生部104により再生された映像・音声・データに時計106が計時する内部時計の時刻を付して記録するほか、復号部103により復号して取得する送信基準時刻や、TV受信機100で後述する判定部115による判定処理を実行する場合には、その判定結果を記憶する。
【0052】
通信部108は、ネットワークを介した外部サーバ等との接続のインタフェースであって、例えば、記録部107に記録された情報の送信や外部サーバからのデータの取得等が可能となっている。
【0053】
測定機110は、いわゆる視聴率測定機、すなわち、TV受信機100の再生部104により再生されたストリームを識別判定する装置であって、判定部115(本発明の放送ストリーム視聴時刻取得部、放送時間差算出部に相当する)と、時計116とを備える。
【0054】
判定部115は、各種判定を行う。例えば、判定部115は、TV受信機100の再生部104により再生されたストリームを識別判定すると共に、そのストリームの視聴時刻と送信基準時刻(放送時刻)との時間差を算出する。さらに、判定部115は、当該時間差からライブ視聴判定を行う。また、判定部115は、再生されたストリームの再生速度による視聴態様判定を行う。
【0055】
なお、判定部115による各種判定を行う具体的な処理については、詳細を後述する。なお、視聴率測定機としての機能(再生されたストリームを識別判定する機能)については、種々の既存手法が採用され得るため、説明を省略する。
【0056】
時計116は、測定機110の内部時計であって、ストリームの視聴時刻となる時刻を計時する。
【0057】
IP受信機200は、受信部201と、バッファ部202と、復号部203と、再生部204と、判定部205(本発明のIPストリーム視聴時刻取得部、IP時間差算出部に相当する)と、時計206と、記録部207と、通信部208とを備える。
【0058】
受信部201は、通信のインタフェースとしてIPストリームの受信を行う。なお、受信部201は、受信と併せて、伝送されたIPストリームデータが多重化されている場合には、多重分離など必要な処理を行う。
【0059】
バッファ部は、受信部201により受信されたIPストリームデータを一時的に蓄積する。これにより、一時的なデータの欠損があっても、後述する復号部203による安定した復号が可能となる。
【0060】
復号部203は、IP放送局20の符号部23より符号化された映像・音声・データなどの情報源の符号を復号する処理を行う。なお、復号部203は、符号化に際しては暗号化が行われている場合には、復号に必要な鍵情報の抽出など必要な処理も併せて実行する。
【0061】
再生部204は、復号部203より復号された映像・音声・データの再生処理を行う。
【0062】
判定部205は、各種判定を行い、各種判定結果を要素として視聴濃度を算出する。例えば、判定部205は、IP受信端末200の再生部204により再生されたストリームを識別判定すると共に、そのストリームの視聴時刻と送信基準時刻(放送時刻)との時間差を算出する。さらに、判定部205は、当該時間差からライブ視聴判定を行う。また、判定部205は、再生されたストリームの再生速度による視聴態様判定を行う。
【0063】
なお、判定部205による各種判定を行う具体的な処理については、詳細を後述する。また、再生されたストリームを識別判定する機能については、種々の既存手法が採用され得るため、説明を省略する。
【0064】
時計206は、IP受信端末200の内部時計である。
【0065】
記録部207は、各種情報の記録を行う。例えば、再生部204により再生された映像・音声・データに時計206が計時する内部時計の時刻を付して記録するほか、判定部205による判定処理の判定結果を記憶する。
【0066】
通信部208は、ネットワークを介した外部サーバ等との接続のインタフェースであって、例えば、記録部207に記録された情報の送信や外部サーバからのデータの取得等が可能となっている。
【0067】
集計サーバ300は、集計部305と、蓄積部307と、視聴関連情報送信部309とを備え、集計部305を介して、TV受信機100に不随する測定機110の判定部115の判定結果およびIP受信端末200の判定部205の判定結果を集計し、蓄積部307にその集計した判定結果を蓄積する。
【0068】
視聴関連情報送信部309は、集計した判定結果に基づいて、主として、時間差に応じてTV受信機100およびIP受信端末200に対する視聴関連情報の送信を制御する。具体的に、視聴関連情報送信部309は、TV受信機100の通信部108に視聴関連情報の送信を制御する制御信号を送信することにより、再生部104を介して該制御信号に基づく視聴関連情報の報知(ディスプレイ等への表示や音声案内)を行う。同様に、視聴関連情報送信部309は、IP受信端末200の通信部208に制御信号を送信することにより、再生部204を介して該制御信号に基づく視聴関連情報の報知(ディスプレイ等への表示や音声案内)を行う。
【0069】
以上が本実施形態のストリーム視聴解析システムの構成である。なお、以上の構成において、TV放送局10と、IP放送局20と、TV受信機100と、測定機110と、IP受信端末200と、集計サーバ300との各処理部は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、後述する各種処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0070】
また、TV放送局10と、IP放送局20と、TV受信機100と、測定機110と、IP受信端末200と、集計サーバ300の一部または全部は、他のサーバ(外部サーバ)により構成し、分散処理によりストリーム視聴解析システムを実現してもよい。
【0071】
次に、
図2を参照して、説明を後回しにした測定機110の判定部115およびIP受信端末200の判定部205の処理内容と、判定結果に基づく視聴関連情報送信部309による視聴関連情報の送信制御とについて説明する。
【0072】
まず、
図2Aの左側に示すように、判定部115は、視聴率測定機として、再生されたストリーム(チャンネル・放送番組)を識別する(例えば、映像や音声から間接的に識別する)と共に、該ストリームも送信基準時刻(放送時刻)を特定する。なお、送信基準時刻(放送時刻)の特定は、再生されたストリーム(チャンネル・放送番組)から外部サーバ等を参照することにより特定してもよい。
【0073】
なお、視聴率測定機としての判定部115は、TV受信機100の通信部108を介して接続し、復号部103により復号され再生部104により再生されたストリームを直接識別すると共に、該ストリームに付与された送信基準時刻(放送時刻)を直接取得してもよい。
【0074】
次に、判定部115は、各種判定を行う。
【0075】
例えば、判定部115は、再生されたストリームの視聴時刻と送信基準時刻(放送時刻)との放送ストリームの時間差である放送時間差を算出する。
【0076】
なお、視聴時刻は、測定機110の時計116の時刻(内部時計)に基づいて判定してもよく、測定機110がTV受信機100の通信部108を介して接続されている場合には、記録部107に記録された、時計106に基づく視聴時刻(内部時計)を用いてもよい。
【0077】
具体的に、判定部115は、視聴されたストリームの放送時間差を視聴時刻の視聴開始時刻を基準に算出する。すなわち、放送時間差は、内部時計の視聴開始時刻(再生開始時刻)と、ストリームの送信基準時刻の開始時刻(放送開始時刻)との差として算出される。
【0078】
このように、視聴開始時刻を基準とすることで、簡易に放送時間差を算出することができ、放送時間差が以下の所定の判定閾値の範囲となるストリームの視聴の判定を容易かつ確実に行うことができる。
【0079】
次に、判定部115は、算出した放送時間差について、
図2Aの右側に示すよう、判定閾値による視聴判定を行う。
【0080】
具体的に、判定部115は、放送時間差が第1閾値より小さい場合には、視聴時刻として内部時計(時計116または時計106に基づく再生時刻)を採用する。ここで、第1閾値は、視聴時刻と送信基準時刻(放送時刻)の時間差について、ほぼ同時と見なせる範囲(例えば、第1閾値として数秒~1分程度)として設定される。
【0081】
また、判定部115は、放送時間差が第1閾値より大きく第2閾値より小さい場合には、視聴時刻として送信基準時刻(放送時刻)を採用する。ここで、第2閾値は、視聴時刻と放送時刻の時間差について、若干の時間差はあるもののほぼ同時刻に視聴していると見なせる範囲(例えば、第2閾値として数分~10分程度)として設定される。
【0082】
そして、これらの場合、すなわち、放送時間差が第1閾値より小さい場合および第1閾値より大きく第2閾値より小さい場合には、それぞれ内部時計および送信基準時刻(放送時刻)を基準に、タイムシフトと判定されることなくライブ視聴として判定される。
【0083】
一方、判定部115は、放送時間差が第2閾値より大きい場合には、タイムシフト視聴として判定される。
【0084】
また、このほか判定部115は、再生されたストリームの再生速度の判定を行う。
【0085】
具体的に、
図2Bに示す例で、かかる判定部115による判定処理を説明する。
図2Bにおいて、X001,X002が、TV受信機の端末IDであり、図中に帯状に示した視聴時間帯が内部時計に基づく視聴時刻(図中の端末時刻)である。
【0086】
まず、端末IDのX001は、コンテンツ名AAA(放送時刻18:00―18:30)について、内部時計の視聴時刻18:00―18:25(途中終了)に視聴した場合には、放送時刻の開始時刻18:00と、内部時計の視聴開始時刻18:00の差である放送時間差は0で第1閾値(1分)より小さいと判定されるため、ライブ視聴(内部時計)と判定される。
【0087】
次いで、視聴態様評価について、再生速度に関して、例えば、当該時間差について経時変化がないことから、等速視聴と判定される。
【0088】
そして、測定機110の判定部115の判定結果は、逐次、集計サーバ300の集計部305により集計される。
【0089】
集計サーバ300の視聴関連情報送信部309は、集計した判定結果に基づいて、主として、当該時間差が小さくなるように視聴関連情報を送信する制御処理を実行する。
【0090】
制御処理は、例えば、視聴関連情報送信部309から、TV受信機100の通信部108に視聴関連情報に対応した制御信号を送信することにより、再生部104を介して該制御信号に基づく視聴関連情報の報知(ディスプレイ等への表示や音声案内)により行われる。
【0091】
具体的に、端末IDがX001の視聴者に対しては、(時間差が0のため)そのライブ視聴(内部時計)を継続するように、視聴キープ制御に関する視聴関連情報の制御信号を送信する。例えば、当該コンテンツの自体の関連情報のほか、ライブ視聴者限定のイベント告知などが実行される。
【0092】
なお、視聴関連情報送信部309は、集計した判定結果に加えてまたは代えて、端末IDがX001の視聴者の過去の視聴履歴や属性に応じて、視聴関連情報の配信内容およびタイミングを変更してもよい。
【0093】
なお、かかる視聴履歴や属性に応じた視聴関連情報の配信内容およびタイミングの変更の例については、後述する。
【0094】
次に、同様に、IP受信端末200の判定部205の処理内容について説明する。
【0095】
まず、判定部205は、再生されたIPストリーム(チャンネル・放送番組)を識別すると共に、該ストリームに付与された送信基準時刻(放送時刻)を特定する。
【0096】
次に、判定部205は、再生されたストリームの視聴時刻(時計206の内部時計の時刻)と送信基準時刻(放送時刻)とのIPストリームの時間差であるIP時間差を算出する。
【0097】
具体的に、判定部205は、(判定部115と同様に)視聴されたIPストリームの放送時間差を視聴時刻の視聴開始時刻を基準に算出する。すなわち、IP時間差は、内部時計の視聴開始時刻(再生開始時刻)と、IPストリームの送信基準時刻の開始時刻(放送開始時刻)との差として算出される。
【0098】
このように、視聴開始時刻を基準とすることで、簡易にIP時間差を算出することができ、IP時間差が以下の所定の判定閾値の範囲となるストリームの視聴の判定を容易かつ確実に行うことができる。
【0099】
次に、判定部205は、算出したIP時間差について、
図2Aの右側に示すよう、(判定部115の放送時間差と同様に)判定閾値による視聴判定を行う。
【0100】
具体的に、判定部205は、(判定部115の放送時間差と同様に)IP時間差が第1閾値より小さい場合には、視聴時刻として内部時計(時計206に基づく再生時刻)を採用する。
【0101】
また、判定部205は、IP時間差が第1閾値より大きく第2閾値より小さい場合には、視聴時刻として送信基準時刻(放送時刻)を採用する。
【0102】
そして、これらの場合、すなわち、IP時間差が第1閾値より小さい場合および第1閾値より大きく第2閾値より小さい場合には、それぞれ内部時計および送信基準時刻(放送時刻)を基準に、タイムシフトと判定されることなくライブ視聴として時間差判定される。
【0103】
一方、判定部205は、放送時間差が第2閾値より大きい場合には、タイムシフト視聴時間差判定される。
【0104】
また、このほか判定部205は、再生されたストリームの再生速度の判定を行う。
【0105】
具体的に、
図2Bに示す例で、かかる判定部205による判定処理を説明する。
図2Bにおいて、Y001,Y002,Y003,Y004が、IP受信端末200の端末IDであり、図中に帯状に示した視聴時間帯が内部時計に基づく視聴時刻(図中の端末時刻)である。
【0106】
まず、端末IDのY001は、コンテンツ名AAA(放送時刻18:00―18:30)について、内部時計の視聴時刻18:11―18:41に視聴した場合には、放送時刻の開始時刻18:00と、内部時計の視聴開始時刻18:11の差である放送時間差は11であり、第2閾値(10分)より大きいと判定されるため、タイムシフト視聴(放送時刻基準)と判定される。
【0107】
次いで、視聴態様評価について、再生速度に関して、例えば、当該時間差について経時変化がないことから、等速視聴と判定される。
【0108】
そして、判定部205の判定結果は、測定機110の判定部115の判定結果と同質なものとして、集計サーバ300の集計部305により集計される。
【0109】
すなわち、集計サーバ300の視聴関連情報送信部309は、判定部205から集計した判定結果に基づいても、主として、当該時間差が小さくなるように視聴関連情報を送信する制御処理を実行する。
【0110】
制御処理は、例えば、視聴関連情報送信部309から、IP受信端末200の通信部208に視聴関連情報に対応した制御信号を送信することにより、再生部204を介して該制御信号に基づく視聴関連情報の報知(ディスプレイ等への表示や音声案内)により行われる。
【0111】
具体的に、端末IDがY001の視聴者に対しては、タイムシフト視聴から、放送時間中の(同時刻にライブ視聴可能な)コンテンツへのライブ視聴誘導の制御信号を送信する。例えば、ライブコンテンツの視聴を促す視聴案内(ライブ視聴に近づけるように出す注意喚起情報を含む)や番宣などが実行される。
【0112】
なお、ここでも、視聴関連情報送信部309は、集計した判定結果に加えてまたは代えて、端末IDがY001の視聴者の過去の視聴履歴や属性に応じて、視聴関連情報の配信内容およびタイミングを変更してもよい。
【0113】
例えば、端末IDがY002の視聴者の過去の視聴履歴から、過去の同一コンテンツ名AAA(放送時刻18:00―18:30)について、当該視聴者は、内部時計の視聴時刻18:10前後に視聴していた場合には、放送時刻の開始時刻18:00と、内部時計の視聴開始時刻18:10の差である放送時間差は10であり、第2閾値(10分)を超えないように、すなわち、タイムシフト視聴(放送時刻基準)と判定されるように、視聴関連情報送信部309は、視聴開始誘導制御信号を放送時刻の18:00~18:10(第2閾値)の間に1回または複数回送信する。かかる視聴開始誘導制御信号により、コンテンツ名AAAの視聴を促す番宣などの視聴案内が1回または複数回実行される。
【0114】
また、視聴関連情報送信部309は、例えば、端末IDがY003の視聴者の属性情報から、(キープ制御に加えてまたは代えて)、当該視聴者の属性(女性・専業主婦)に合わせたCM差替制御信号を送信してもよい。かかるCM差替制御信号により、当該視聴者の属性(女性・専業主婦)に適したCM(例えば、自動車のCMから女性用化粧品のCM)への差し替えが実行される。
【0115】
さらに、視聴関連情報送信部309は、例えば、視聴態様として、再生速度の判定結果から、その再生速度に適したCMへの差替を実行してもよい。
【0116】
例えば、端末IDのY004は、コンテンツ名AAA(放送時刻18:00―18:30)について、内部時計の視聴時刻18:15―18:28(途中終了)と(速く2倍速再生で)視聴した場合には、放送時刻の開始時刻18:00と、内部時計の視聴開始時刻18:15の差である放送時間差は15であり、第2閾値(10分)より大きいと判定されるため、この場合には、視聴時刻はタイムシフト視聴で放送時刻18:00―18:30と判定される。
【0117】
この場合、当該時間差が、時間の経過とともに減少することから、倍速再生であると判定され、その時間差の減少割合から2倍速再生であると判定される。
【0118】
そして、2倍速再生であると判定された段階で(より正確には、2倍速再生であることが集計サーバ300の集計部305により集計された段階で)、視聴関連情報送信部309は、2倍速再生に適したCMへのCM差替制御信号を送信する。かかるCM差替制御信号により、2倍速に適したCM(例えば、単位時間当たりの読み上げ原稿文字数が少ないCMや切り替わり場面数の少ないCM)への差し替えが実行される。
【0119】
なお、この場合、内部時計から計時される視聴時刻が18:15―18:28(途中終了)の 13分間において、判定部で取得される送信基準時刻が18:00―18:26(途中終了)の26分間であるため、26/13=2という計算で、倍速再生速度を取得することも可能である。
【0120】
以上が測定機110の判定部115およびIP受信端末200の判定部205の処理内容の詳細であり、判定部115および判定部205の判定結果(視聴濃度指標)は、放送時間差とIP時間差とのいずれに起因するかに拘わらず、同質のものとして、集計サーバ300の集計部305により集計され、共通の視聴関連情報の送信制御処理が実行される。
【0121】
なお、視聴関連情報送信部309による誘導制御は、TV受信機100およびIP受信端末200に対してのみならず、放送局であるTV放送局10およびIP放送局20に対して行ってもよい。
【0122】
このように、本実施形態によれば、放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、同一の制御処理が実行可能なストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラムを提供することができる。
【0123】
なお、本実施形態のストリーム視聴解析システムでは、測定機110の判定部115による判定処理およびIP受信端末200の判定部205による判定処理のいずれも行う場合について説明したが、いずれかのみを実行するようにしてもよい。
【0124】
また、本実施形態のストリーム視聴解析システムでは、TV受信機100とは別に測定機110を備える構成について説明したが、これに限定されるものではなく、測定機110をTV受信機100の内部に構成してもよい。
【0125】
さらに、本実施形態のストリーム視聴解析システムでは、測定機110の判定部115と、IP受信端末200の判定部205とを別個に設けて、集計サーバ300にて一括して集計する場合について説明したが、これらの判定部(判定部115と判定部205)を統合して集計サーバ300に1つまとめてもよい。
【0126】
また、本実施形態では、視聴関連情報送信部309が、TV受信機100の通信部108またはIP受信端末200の通信部208に制御信号を送信することにより、再生部104または204を介して該制御信号に基づく視聴関連情報の報知(ディスプレイ等への表示や音声案内)を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、視聴関連情報の送信は、種々の手法が採用され得る。
【0127】
例えば、視聴者のスマートフォンへのSMSなどのよる直接の情報配信(クーポンの配信を含む)のほか、視聴者がアクセスするサイト上への広告表示(例えば、ホップアップ広告)やSNS広告などであってもよい。
【符号の説明】
【0128】
10…TV放送局、11…TV放送局の送出部、13…TV放送局の符号部、16…TV放送局の時計、17…TV放送局の打刻部、20…IP放送局、21…IP放送局の配信部、23…IP放送局の符号部、26…IP放送局の時計、27…IP放送局の打刻部、100…TV受信機、101…TV受信機の受信部、102…TV受信機のバッファ部、103…TV受信機の復号部、104…TV受信機の再生部、106…TV受信機の時計、107…TV受信機の記録部、108…TV受信機の通信部、110…測定機、115…測定機の判定部、116…測定機の時計、200…IP受信端末、201…IP受信端末の受信部、202…IP受信端末のバッファ部、203…IP受信端末の復号部、204…IP受信端末の再生部、205…IP受信端末の判定部、206…IP受信端末の時計、207…IP受信端末の記録部、208…IP受信端末の通信部、300…集計サーバ、305…集計部、307…蓄積部、309…視聴関連情報送信部。
【要約】
【課題】放送ストリームと同一のストリームがIPストリームで送信される場合に、これらを同一のストリームとして扱うことができ、同一の制御処理が実行可能なストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】TV受信機100の判定部115は、再生されたストリームを識別判定すると共に、そのストリームの視聴時刻と送信基準時刻(放送時刻)との放送時間差を算出する。IP受信端末200の判定部205は、再生されたストリームを識別判定すると共に、そのストリームの視聴時刻と送信基準時刻(放送時刻)との時間差であるIP時間差を算出する。集計サーバ300の視聴関連情報送信部309は、放送時間差とIP時間差とを同質の時間差として、集計した判定結果に基づいて、主として、時間差視聴関連情報の送信を制御する。
【選択図】
図1