(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】撮像装置およびキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20220525BHJP
【FI】
H04N5/369
(21)【出願番号】P 2018015381
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河津 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶太
(72)【発明者】
【氏名】岡 巧
(72)【発明者】
【氏名】ハアク モハマッド ムニルル
(72)【発明者】
【氏名】藤森 信彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周
(72)【発明者】
【氏名】馬場 雅廣
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟司
(72)【発明者】
【氏名】本橋 裕一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦史
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-329655(JP,A)
【文献】特開2011-188224(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132393(WO,A1)
【文献】特開2013-175936(JP,A)
【文献】特開2012-256736(JP,A)
【文献】特開2014-225737(JP,A)
【文献】特開2001-298160(JP,A)
【文献】特開2007-202067(JP,A)
【文献】特開2011-259407(JP,A)
【文献】特開2012-151664(JP,A)
【文献】特開2016-009878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理を行うことが可能な処理部と、
温度に応じた検出信号を生成可能な温度センサと、
検査装置により検出された自装置の温度についての情報を記憶可能な記憶部と
前記検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードを生成可能な変換部と、
前記第1のデジタルコードに基づいて、前記温度センサが動作可能な温度範囲が区分された複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成可能
であり、前記記憶部に記憶された情報を用いて前記温度コードを補正する補正処理を行うことが可能な演算部と
を備
え、
前記変換部は、前記検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の前記第1のデジタルコードを生成可能な複数の変換回路を有し、
前記演算部は、前記複数の第1のデジタルコードに基づいて、前記演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードを求め、前記複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて前記補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードを求め、前記複数の第2の温度コードに基づいて前記複数の第2の温度コードのうちの1つを選択し、選択された第2の温度コードを、前記複数の変換回路のうちの前記選択された第2の温度コードを生成した変換回路と隣り合う変換回路が生成した第2の温度コードを用いて補正し、補正された前記第2の温度コードを含む前記複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて前記温度コードを生成可能である
撮像装置。
【請求項2】
前記複数の温度範囲は、第1の温度範囲と、第2の温度範囲とを含み、
前記演算処理は、
前記第1の温度範囲において、前記検出信号に基づいて、第1の関数を用いて前記温度コードを生成可能であり、
前記第2の温度範囲において、前記検出信号に基づいて、第2の関数を用いて前記温度コードを生成可能である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の関数および前記第2の関数は、1次関数である
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部は、複数の撮像画素を有し、
前記複数の変換回路は、前記複数の撮像画素から供給された複数の画素信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第2のデジタルコードをそれぞれ生成可能であり、
前記処理部は、前記複数の第2のデジタルコードに基づいて前記所定の画像処理を行うことが可能である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1の半導体基板に設けられ、前記第1の半導体基板に設けられた回路と電気的に絶縁された第1のパッド電極をさらに備え、
前記処理部および前記温度センサは、前記第1の半導体基板に設けられた
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記温度センサは、前記第1の半導体基板の前記処理部が形成された領域の領域内に設けられた
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記変換部は、前記第1の半導体基板に形成され、
前記撮像部は、撮像画素を有し、
前記変換部は、前記撮像画素から供給された画素信号に基づいてAD変換を行うことにより前記画像データを生成することが可能であり、
前記第1のパッド電極と前記温度センサとの間の距離は、前記第1のパッド電極と前記変換部との間の距離よりも短い
請求項5または請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の半導体基板の周辺領域に並設された複数の入出力パッド電極をさらに備え、
前記第1のパッド電極の面積は、前記複数の入出力パッド電極の面積よりも大きい
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の半導体基板の前記第1のパッド電極と隣り合う位置に形成され、前記第1の半導体基板に形成された回路と電気的に絶縁されるとともに前記第1のパッド電極に電気的に接続された第2のパッド電極をさらに備えた
請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像部は、前記第1の半導体基板に設けられた
請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像部は、第2の半導体基板に設けられ、
前記第2の半導体基板は、前記第1の半導体基板に重ね合わせられた
請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
撮像部と、
前記撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理を行うことが可能な処理部と、
温度に応じた検出信号を生成可能な温度センサと、
検査装置により検出された自装置の温度についての情報を記憶可能な記憶部と
前記検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードを生成可能な変換部と、
前記第1のデジタルコードに基づいて、前記温度センサが動作可能な温度範囲が区分された複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成可能であり、前記記憶部に記憶された情報を用いて前記温度コードを補正する補正処理を行うことが可能な演算部と
を備え、
前記変換部は、前記検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の前記第1のデジタルコードを生成可能な複数の変換回路を有し、
前記演算部は、前記複数の第1のデジタルコードに基づいて、前記演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードを求め、前記複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて前記補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードを求め、前記複数の第2の温度コードに基づいて前記複数の第2の温度コードのうちの1つを選択し、前記複数の第2の温度コードのうちの選択された第2の温度コード以外の複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて前記温度コードを生成可能である
撮像装置。
【請求項13】
前記複数の温度範囲は、第1の温度範囲と、第2の温度範囲とを含み、
前記演算処理は、
前記第1の温度範囲において、前記検出信号に基づいて、第1の関数を用いて前記温度コードを生成可能であり、
前記第2の温度範囲において、前記検出信号に基づいて、第2の関数を用いて前記温度コードを生成可能である
請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第1の関数および前記第2の関数は、1次関数である
請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像部は、複数の撮像画素を有し、
前記複数の変換回路は、前記複数の撮像画素から供給された複数の画素信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第2のデジタルコードをそれぞれ生成可能であり、
前記処理部は、前記複数の第2のデジタルコードに基づいて前記所定の画像処理を行うことが可能である
請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
第1の半導体基板に設けられ、前記第1の半導体基板に設けられた回路と電気的に絶縁された第1のパッド電極をさらに備え、
前記処理部および前記温度センサは、前記第1の半導体基板に設けられた
請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記温度センサは、前記第1の半導体基板の前記処理部が形成された領域の領域内に設けられた
請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記変換部は、前記第1の半導体基板に形成され、
前記撮像部は、撮像画素を有し、
前記変換部は、前記撮像画素から供給された画素信号に基づいてAD変換を行うことにより前記画像データを生成することが可能であり、
前記第1のパッド電極と前記温度センサとの間の距離は、前記第1のパッド電極と前記変換部との間の距離よりも短い
請求項16または請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記第1の半導体基板の周辺領域に並設された複数の入出力パッド電極をさらに備え、
前記第1のパッド電極の面積は、前記複数の入出力パッド電極の面積よりも大きい
請求項16から請求項18のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記第1の半導体基板の前記第1のパッド電極と隣り合う位置に形成され、前記第1の半導体基板に形成された回路と電気的に絶縁されるとともに前記第1のパッド電極に電気的に接続された第2のパッド電極をさらに備えた
請求項16から請求項19のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記撮像部は、前記第1の半導体基板に設けられた
請求項16から請求項20のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項22】
前記撮像部は、第2の半導体基板に設けられ、
前記第2の半導体基板は、前記第1の半導体基板に重ね合わせられた
請求項16から請求項20のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器では、しばしば温度検出が行われる。このような温度検出では、検出精度を高めるため、しばしばキャリブレーションが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器では、一般に温度の検出精度が高いことが望まれており、撮像装置においても、温度の検出精度が高いことが期待されている。
【0005】
温度の検出精度を高めることができる撮像装置およびキャリブレーション方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態における第1の撮像装置は、撮像部と、処理部と、温度センサと、記憶部と、変換部と、演算部とを備えている。処理部は、撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理を行うことが可能なものである。温度センサは、温度に応じた検出信号を生成可能なものである。記憶部は、検査装置により検出された自装置の温度についての情報を記憶可能なものである。変換部は、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードを生成可能なものである。演算部は、第1のデジタルコードに基づいて、温度センサが動作可能な温度範囲が区分された複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成可能であり、記憶部に記憶された情報を用いて温度コードを補正する補正処理を行うことが可能なものである。上記変換部は、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第1のデジタルコードを生成可能な複数の変換回路を有する。上記演算部は、複数の第1のデジタルコードに基づいて、演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードを求め、複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードを求め、複数の第2の温度コードに基づいて複数の第2の温度コードのうちの1つを選択し、選択された第2の温度コードを、複数の変換回路のうちの選択された第2の温度コードを生成した変換回路と隣り合う変換回路が生成した第2の温度コードを用いて補正し、補正された第2の温度コードを含む複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて温度コードを生成可能である。
【0007】
本開示の一実施の形態における第2の撮像装置は、撮像部と、処理部と、温度センサと、記憶部と、変換部と、演算部とを備えている。処理部は、撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理を行うことが可能なものである。温度センサは、温度に応じた検出信号を生成可能なものである。記憶部は、検査装置により検出された自装置の温度についての情報を記憶可能なものである。変換部は、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードを生成可能なものである。演算部は、第1のデジタルコードに基づいて、温度センサが動作可能な温度範囲が区分された複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成可能であり、記憶部に記憶された情報を用いて温度コードを補正する補正処理を行うことが可能なものである。上記変換部は、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第1のデジタルコードを生成可能な複数の変換回路を有する。上記演算部は、複数の第1のデジタルコードに基づいて、演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードを求め、複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードを求め、複数の第2の温度コードに基づいて複数の第2の温度コードのうちの1つを選択し、複数の第2の温度コードのうちの選択された第2の温度コード以外の複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて温度コードを生成可能である。
【0009】
本開示の一実施の形態における第1の撮像装置では、処理部において、撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理が行われる。温度センサでは、温度に応じた検出信号が生成される。記憶部では、検査装置により検出された自装置の温度についての情報が記憶される。変換部では、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードが生成される。演算部では、第1のデジタルコードに基づいて、複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理が行われることにより、温度コードが生成される。また、演算部では、記憶部に記憶された情報を用いて温度コードを補正する補正処理が行われる。上記変換部の複数の変換回路では、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第1のデジタルコードが生成される。上記演算部では、複数の第1のデジタルコードに基づいて、演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードが求められ、複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードが求められ、複数の第2の温度コードに基づいて複数の第2の温度コードのうちの1つが選択され、選択された第2の温度コードが、複数の変換回路のうちの選択された第2の温度コードを生成した変換回路と隣り合う変換回路が生成した第2の温度コードを用いて補正され、補正された第2の温度コードを含む複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて温度コードが生成される。
【0010】
本開示の一実施の形態における第2の撮像装置では、処理部において、撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理が行われる。温度センサでは、温度に応じた検出信号が生成される。記憶部では、検査装置により検出された自装置の温度についての情報が記憶される。変換部では、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードが生成される。演算部では、第1のデジタルコードに基づいて、複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理が行われることにより、温度コードが生成される。また、演算部では、記憶部に記憶された情報を用いて温度コードを補正する補正処理が行われる。上記変換部の複数の変換回路では、検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第1のデジタルコードが生成される。上記演算部では、複数の第1のデジタルコードに基づいて、演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードを求められ、複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードが求められ、複数の第2の温度コードに基づいて複数の第2の温度コードのうちの1つが選択され、複数の第2の温度コードのうちの選択された第2の温度コード以外の複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて温度コードが生成される。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一実施の形態における第1の撮像装置および第2の撮像装置によれば、複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成するようにしたので、温度の検出精度を高めることができる。
【0015】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した画素アレイの一構成例を表す回路図である。
【
図3】
図1に示した画素アレイの一構成例を表す説明図である。
【
図4】
図1に示した読出部の一構成例を表す回路図である。
【
図5】
図1に示した温度センサの一構成例を表す回路図である。
【
図6】
図1に示した温度演算部の一動作例を表す説明図である。
【
図7】
図1に示した温度演算部の一動作例を表す他の説明図である。
【
図8A】
図1に示した温度演算部の一動作例を表す他の説明図である。
【
図8B】
図1に示した温度演算部の他の動作例を表す説明図である。
【
図9】
図1に示した撮像装置の一実装例を表す説明図である。
【
図10】
図1に示した撮像装置を検査する検査システムの一構成例を表す構成図である。
【
図12】温度測定動作の一例を表す他の説明図である。
【
図13】
図1に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング図である。
【
図14】
図1に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図15A】
図1に示した撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図15B】
図1に示した撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図16A】
図1に示した撮像装置の一動作状態を表す説明図である。
【
図16B】
図1に示した撮像装置の他の動作状態を表す説明図である。
【
図16C】
図1に示した撮像装置の他の動作状態を表す説明図である。
【
図17】
図1に示した撮像装置における画像合成の一例を表す説明図である。
【
図18】垂直ブランキング期間における温度検出動作の一例を表すタイミング波形図である。
【
図19】キャリブレーション処理の一例を表すフローチャートである。
【
図20】変形例に係る撮像装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図21】
図20に示したダミー画素の一構成例を表す回路図である。
【
図22】
図20に示した読出部の一構成例を表す回路図である。
【
図23】他の変形例に係る撮像装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図24】他の変形例に係る撮像装置の一実装例を表す説明図である。
【
図25】
図24に示した撮像装置の一実装例を表す説明図である。
【
図26】他の変形例に係る撮像装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図27】
図26に示した撮像画素の一構成例を表す回路図である。
【
図28】
図26に示した画素アレイの一構成例を表す説明図である。
【
図29】
図26に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図30】
図26に示した撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図31】他の変形例に係る撮像装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図32】他の変形例に係る撮像装置の一実装例を表す説明図である。
【
図34】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図35】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.撮像装置の使用例
3.移動体への応用例
【0018】
<1.実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の一構成例を表すものである。撮像装置1は、画素アレイ9と、走査部10と、読出部20と、撮像制御部30と、信号処理部40と、記憶部8とを備えている。
【0019】
画素アレイ9は、複数の撮像画素P1がマトリックス状に配置されたものである。撮像画素P1は、フォトダイオードを有し、その撮像画素P1に係る画素電圧VPを生成するものである。
【0020】
図2は、撮像画素P1の一構成例を表すものである。画素アレイ9は、複数の制御線TGLLと、複数の制御線FDGLと、複数の制御線RSTLと、複数の制御線FCGLと、複数の制御線TGSLと、複数の制御線SELLと、複数の信号線SGLとを有している。制御線TGLLは、水平方向(
図1における横方向)に延伸するものであり、制御線TGLLには、走査部10により信号STGLが印加される。制御線FDGLは、水平方向に延伸するものであり、制御線FDGLには、走査部10により信号SFDGが印加される。制御線RSTLは、水平方向に延伸するものであり、制御線RSTLには、走査部10により信号SRSTが印加される。制御線FCGLは、水平方向に延伸するものであり、制御線FCGLには、走査部10により信号SFCGが印加される。制御線TGSLは、水平方向に延伸するものであり、制御線TGSLには、走査部10により信号STGSが印加される。制御線SELLは、水平方向に延伸するものであり、制御線SELLには、走査部10により信号SSELが印加される。信号線SGLは、垂直方向(
図1における縦方向)に延伸するものであり、読出部20に接続されている。
【0021】
撮像画素P1は、フォトダイオードPD1と、トランジスタTGLと、フォトダイオードPD2と、トランジスタTGSと、容量素子FCと、トランジスタFCG,RST,FDGと、フローティングディフュージョンFDと、トランジスタAMP,SELとを有している。トランジスタTGL,TGS,FCG,RST,FDG,AMP,SELは、この例ではN型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0022】
フォトダイオードPD1は、受光量に応じた量の電荷を生成して内部に蓄積する光電変換素子である。フォトダイオードPD1が光を受光可能な受光領域は、フォトダイオードPD2が光を受光可能な受光領域よりも広いものである。フォトダイオードPD1のアノードは接地され、カソードはトランジスタTGLのソースに接続されている。
【0023】
トランジスタTGLのゲートは制御線TGLLに接続され、ソースはフォトダイオードPD1のカソードに接続され、ドレインはフローティングディフュージョンFDに接続されている。
【0024】
フォトダイオードPD2は、受光量に応じた量の電荷を生成して内部に蓄積する光電変換素子である。フォトダイオードPD2が光を受光可能な受光領域は、フォトダイオードPD1が光を受光可能な受光領域よりも狭いものである。フォトダイオードPD2のアノードは接地され、カソードはトランジスタTGSのソースに接続されている。
【0025】
トランジスタTGSのゲートは制御線TGSLに接続され、ソースはフォトダイオードPD2のカソードに接続され、ドレインは容量素子FCの一端、およびトランジスタFCGのソースに接続されている。
【0026】
容量素子FCの一端はトランジスタTGSのドレインおよびトランジスタFCGのソースに接続され、他端には電源電圧VDDが供給されている。
【0027】
トランジスタFCGのゲートは制御線FCGLに接続され、ソースは容量素子FCの一端およびトランジスタTGSのドレインに接続され、ドレインはトランジスタRSTのソースおよびトランジスタFDGのドレインに接続されている。
【0028】
トランジスタRSTのゲートは制御線RSTLに接続され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースは、トランジスタFCG,FDGのドレインに接続されている。
【0029】
トランジスタFDGのゲートは制御線FDGLに接続され、ドレインはトランジスタRSTのソースおよびトランジスタFCGのドレインに接続され、ソースはフローティングディフュージョンFDに接続されている。
【0030】
フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPD1,PD2から供給された電荷を蓄積するものであり、例えば、半導体基板の表面に形成された拡散層を用いて構成される。
図2では、フローティングディフュージョンFDを、容量素子のシンボルを用いて示している。
【0031】
トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDに接続され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースはトランジスタSELのドレインに接続されている。
【0032】
トランジスタSELのゲートは制御線SELLに接続され、ドレインはトランジスタAMPのソースに接続され、ソースは信号線SGLに接続されている。
【0033】
この構成により、撮像画素P1では、制御線SELLに印加された信号SSELに基づいてトランジスタSELがオン状態になることにより、撮像画素P1が信号線SGLと電気的に接続される。これにより、トランジスタAMPは、読出部20の電流源23(後述)に接続され、いわゆるソースフォロワとして動作する。そして、撮像画素P1は、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VPを、信号SIGとして、信号線SGLに出力する。具体的には、撮像画素P1は、後述するように、いわゆる水平期間H内の8つの期間(変換期間T1~T8)において、8つの画素電圧VP(VP1~VP8)を順次出力するようになっている。
【0034】
図3は、画素アレイ9におけるフォトダイオードPD1,PD2の配列の一例を表すものである。
図3において、“R”は赤色のカラーフィルタを示し、“G”は緑色のカラーフィルタを示し、“B”は青色のカラーフィルタを示す。各撮像画素P1において、フォトダイオードPD1の右上にフォトダイオードPD2が形成されている。各撮像画素P1における2つのフォトダイオードPD1,PD2には、同じ色のカラーフィルタが形成されている。この例では、フォトダイオードPD1は8角形の形状を有し、フォトダイオードPD2は4角形の形状を有している。この図に示したように、フォトダイオードPD1が光を受光可能な受光領域は、フォトダイオードPD2が光を受光可能な受光領域よりも広いものである。
【0035】
走査部10(
図1)は、撮像制御部30からの指示に基づいて、画素ラインL単位で、画素アレイ9における撮像画素P1を順次駆動するものである。走査部10は、アドレスデコーダ11と、ロジック部12と、ドライバ部13とを有している。
【0036】
アドレスデコーダ11は、撮像制御部30から供給されたアドレス信号に基づいて、画素アレイ9における、そのアドレス信号が示すアドレスに応じた画素ラインLを選択するものである。ロジック部12は、アドレスデコーダ11からの指示に基づいて、各画素ラインLに対応する信号STGL1,SFDG1,SRST1,SFCG1,STGS1,SSEL1をそれぞれ生成するものである。ドライバ部13は、各画素ラインLに対応する信号STGL1,SFDG1,SRST1,SFCG1,STGS1,SSEL1に基づいて、各画素ラインLに対応する信号STGL,SFDG,SRST,SFCG,STGS,SSELをそれぞれ生成するものである。
【0037】
読出部20は、画素アレイ9から信号線SGLを介して供給された信号SIGに基づいてAD変換を行うことにより、画像信号DATA0を生成するものである。
【0038】
図4は、読出部20の一構成例を表すものである。なお、
図4には、読出部20に加え、撮像制御部30および信号処理部40をも描いている。読出部20は、複数のAD(Analog to Digital)変換部ADC(AD変換部ADC[0],ADC[1],ADC[2],…)と、複数のスイッチ部SW(スイッチ部SW[0],SW[1],SW[2],…)と、バス配線BUSとを有している。
【0039】
AD変換部ADCは、画素アレイ9から供給された信号SIGに基づいてAD変換を行うことにより、信号SIGの電圧をデジタルコードCODEに変換するものである。複数のAD変換部ADCは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。具体的には、0番目のAD変換部ADC[0]は、0番目の信号線SGL[0]に対応して設けられ、1番目のAD変換部ADC[1]は、1番目の信号線SGL[1]に対応して設けられ、2番目のAD変換部ADC[2]は、2番目の信号線SGL[2]に対応して設けられている。
【0040】
また、AD変換部ADCは、垂直ブランキング期間(後述するブランキング期間T20)において、撮像制御部30の温度センサ32(後述)から供給された信号SIGTに基づいてAD変換を行うことにより、信号SIGTの電圧をデジタルコードCODEに変換する機能をも有している。信号SIGTは、後述するように、電源電圧VDDと、温度に応じた電圧Vtempとを含む信号である。
【0041】
AD変換部ADCは、容量素子21,22と、トランジスタ28,29と、電流源23と、コンパレータ24と、カウンタ25と、ラッチ26とを有している。容量素子21の一端には、参照信号REFが供給され、他端はコンパレータ24の正入力端子に接続されている。この参照信号REFは、撮像制御部30の参照信号生成部31(後述)により生成されるものであり、後述するように、AD変換を行う8つの期間(変換期間T1~T8)において、時間の経過に応じて電圧レベルが徐々に低下する、いわゆるランプ波形を有するものである。容量素子22の一端は信号線SGLに接続され、他端はコンパレータ24の負入力端子に接続されている。トランジスタ28,29は、N型のMOSトランジスタである。トランジスタ28のゲートには信号SIGTが供給され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースはトランジスタ29のドレインに接続されている。トランジスタ29のゲートには信号SSELTが供給され、ドレインはトランジスタ28のソースに接続され、ソースは容量素子22の一端に接続されている。電流源23は、信号線SGLから接地に所定の電流値の電流を流すものである。コンパレータ24は、正入力端子における入力電圧と負入力端子における入力電圧とを比較して、その比較結果を信号CMPとして出力するものである。コンパレータ24の正入力端子には、容量素子21を介して参照信号REFが供給され、負入力端子には、容量素子22を介して信号SIGが供給されるようになっている。このコンパレータ24は、後述する所定の期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う機能をも有している。カウンタ25は、コンパレータ24から供給された信号CMPおよび制御信号CCに基づいて、撮像制御部30から供給されたクロック信号CLKのパルスをカウントするカウント動作を行うものである。ラッチ26は、カウンタ25により得られたカウント値CNTを、複数のビットを有するデジタルコードCODEとして保持するものである。
【0042】
スイッチ部SWは、撮像制御部30から供給された制御信号SSWに基づいて、AD変換部ADCから出力されたデジタルコードCODEをバス配線BUSに供給するものである。複数のスイッチ部SWは、複数のAD変換部ADCに対応して設けられている。具体的には、0番目のスイッチ部SW[0]は、0番目のAD変換部ADC[0]に対応して設けられ、1番目のスイッチ部SW[1]は、1番目のAD変換部ADC[1]に対応して設けられ、2番目のスイッチ部SW[2]は、2番目のAD変換部ADC[2]に対応して設けられている。
【0043】
スイッチ部SWは、この例では、デジタルコードCODEのビット数と同じ数のトランジスタを用いて構成されている。これらのトランジスタは、撮像制御部30から供給された制御信号SSWの各ビット(制御信号SSW[0],SSW[1],SSW[2],…)に基づいて、オンオフ制御される。具体的には、例えば、0番目のスイッチ部SW[0]は、制御信号SSW[0]に基づいて各トランジスタがオン状態になることにより、0番目のAD変換部ADC[0]から出力されたデジタルコードCODEをバス配線BUSに供給する。同様に、例えば、1番目のスイッチ部SW[1]は、制御信号SSW[1]に基づいて各トランジスタがオン状態になることにより、1番目のAD変換部ADC[1]から出力されたデジタルコードCODEをバス配線BUSに供給する。他のスイッチ部SWについても同様である。
【0044】
バス配線BUSは、複数の配線を有し、AD変換部ADCから出力されたデジタルコードCODEを伝えるものである。読出部20は、このバス配線BUSを用いて、AD変換部ADCから供給された複数のデジタルコードCODEを、画像信号DATA0として、信号処理部40に順次転送するようになっている(データ転送動作)。
【0045】
撮像制御部30(
図1)は、走査部10、読出部20、および信号処理部40に制御信号を供給し、これらの回路の動作を制御することにより、撮像装置1の動作を制御するものである。具体的には、撮像制御部30は、例えば、走査部10に対してアドレス信号を供給することにより、走査部10が、画素ラインL単位で、画素アレイ9における撮像画素P1を順次駆動するように制御する。また、撮像制御部30は、読出部20に対して、参照信号REF、クロック信号CLK、制御信号CC、および制御信号SSW(制御信号SSW[0],SSW[1],SSW[2],…)を供給することにより、読出部20が、信号SIG,SIGTに基づいて画像信号DATA0を生成するように制御する。また、撮像制御部30は、信号処理部40に対して制御信号を供給することにより、信号処理部40の動作を制御するようになっている。撮像制御部30は、参照信号生成部31と、温度センサ32とを有している。
【0046】
参照信号生成部31は、参照信号REFを生成するものである。参照信号REFは、AD変換を行う8つの期間(変換期間T1~T8)において、時間の経過に応じて電圧レベルが徐々に低下する、いわゆるランプ波形を有するものである。そして、参照信号生成部31は、生成した参照信号REFを、読出部20の複数のAD変換部ADCに供給するようになっている。
【0047】
温度センサ32は、信号SIGTを生成するものである。信号SIGTは、電源電圧VDDと、温度に応じた電圧Vtempとを含む信号である。
【0048】
図5は、温度センサ32の一構成例を表すものである。なお、
図5には、温度センサ32に加え、読出部20のAD変換部ADC[0]をも描いている。温度センサ32は、いわゆるバンドギャップ電圧リファレンス回路と同様の技術を用いて、温度に応じた電圧Vtempを生成するようになっている。温度センサ32は、トランジスタMP1,MP2と、オペアンプOPAと、抵抗素子R1と、バイポーラトランジスタBJT1,BJT2と、抵抗素子R2と、トランジスタMP3,MN1,MN2と、抵抗素子R3と、スイッチSWTとを有している。
【0049】
トランジスタMP1,MP2は、P型のMOSトランジスタである。トランジスタMP1のゲートはオペアンプOPAの出力端子およびトランジスタMP2,MP3のゲートに接続され、ソースには電源電圧VDDが供給され、ドレインはオペアンプOPAの正入力端子および抵抗素子R1の一端に接続されている。トランジスタMP2のゲートはオペアンプOPAの出力端子およびトランジスタMP1,MP3のゲートに接続され、ソースには電源電圧VDDが供給され、ドレインはオペアンプOPAの負入力端子およびバイポーラトランジスタBJT2のエミッタに接続されている。オペアンプOPAの正入力端子はトランジスタMP1のドレインおよび抵抗素子R1の一端に接続され、負入力端子はトランジスタMP2のドレインおよびバイポーラトランジスタBJT2のエミッタに接続され、出力端子はトランジスタMP1,MP2,MP3のゲートに接続されている。抵抗素子R1の一端はトランジスタMP1のドレインおよびオペアンプOPAの正入力端子に接続され、他端はバイポーラトランジスタBJT1のエミッタに接続されている。バイポーラトランジスタBJT1,BJT2は、PNP型のバイポーラジャンクショントランジスタである。バイポーラトランジスタBJT1のエミッタは抵抗素子R1の他端に接続され、ベースおよびコレクタは互いに接続されるとともに、バイポーラトランジスタBJT2のベースおよびコレクタと抵抗素子R2の一端とに接続されている。バイポーラトランジスタBJT2のエミッタはトランジスタMP2のドレインおよびオペアンプOPAの負入力端子に接続され、ベースおよびコレクタは互いに接続されるとともに、バイポーラトランジスタBJT1のベースおよびコレクタと抵抗素子R2の一端とに接続されている。抵抗素子R2の一端はバイポーラトランジスタBJT1,BJT2のベースおよびコレクタに接続され、他端は接地されている。
【0050】
トランジスタMP3はP型のMOSトランジスタであり、ゲートはオペアンプOPAの出力端子およびトランジスタMP1,MP2のゲートに接続され、ソースには電源電圧VDDが供給され、ドレインはトランジスタMN1のゲートおよびドレインに接続されるとともにトランジスタMN2のゲートに接続されている。トランジスタMN1,MN2はN型のMOSトランジスタである。トランジスタMN1のゲートおよびドレインは互いに接続されるとともに、トランジスタMP3のドレインおよびトランジスタMN2のゲートに接続され、ソースは接地されている。トランジスタMN2のゲートはトランジスタMN1のゲートおよびドレインに接続されるとともにトランジスタMP3のドレインに接続され、ドレインは抵抗素子R3の一端に接続されるとともにスイッチSWTに接続され、ソースは接地されている。抵抗素子R3の一端はトランジスタMN2のドレインに接続されるとともにスイッチSWTに接続され、他端には電源電圧VDDが供給されている。この構成により、抵抗素子R3の一端には、温度に応じた電圧Vtempが生じる。この電圧Vtempは、この例では、温度が低いほど高く、温度が高いほど低いものである。この電圧Vtempは、温度の変化に対して線形に変化することが望ましいが、線形に変化しない場合がある。撮像装置1では、後述するように、温度演算部42(後述)により演算処理を行うことにより、温度特性の線形性を高めるようになっている。
【0051】
スイッチSWTは、撮像制御部30が生成する制御信号SSWTに基づいて、電源電圧VDDおよび電圧Vtempのうちの一方を選択することにより、信号SIGTを生成するものである。
【0052】
このような構成により、温度センサ32は、信号SIGTを生成する。そして、温度センサ32は、生成した信号SIGTを、読出部20の複数のAD変換部ADCに供給するようになっている。
【0053】
信号処理部40は、画像信号DATA0に対して、信号処理を行うものである。信号処理部40は、画像処理部41と、温度演算部42とを有している。
【0054】
画像処理部41は、画像信号DATA0が示す画像に対して、所定の画像処理を行うものである。所定の画像処理は、例えば、画像合成処理を含んでいる。画像合成処理では、画像処理部41は、読出部20から供給された、AD変換を行う8つの期間(変換期間T1~T8)において得られた8つのデジタルコードCODE(デジタルコードCODE1~CODE8)に基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1,PIC2,PIC3,PIC4)を生成する。そして、画像処理部41は、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成する。そして、画像処理部41は、この撮像画像PICAを、画像信号DATAとして出力するようになっている。
【0055】
温度演算部42は、画像信号DATA0に含まれる、垂直ブランキング期間において信号SIGTに基づいて得られたデジタルコードCODEに基づいて、温度値を示す温度コードTCを生成するものである。具体的には、温度演算部42は、複数のAD変換部ADCから得られた複数のデジタル値VALTのそれぞれに基づいて演算処理を行うことにより、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成する。そして、温度演算部42は、記憶部8に記憶されたキャリブレーションパラメータPCAL(後述)に基づいて温度コードTC1のそれぞれに対して補正処理を行う。そして、温度演算部42は、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、1つの温度コードTCを生成するようになっている。
【0056】
図6は、温度演算部42における演算処理の一例を模式的に表すものであり、(A)は温度を変化させたときのデジタル値VALTの変化を示し、(B)は温度を変化させたときの温度コードTC1の変化を示す。デジタル値VALTは、温度センサ32から出力される電源電圧VDDおよび電圧Vtempのうちの、電圧Vtempに対応するデジタルコードCODEから、電源電圧VDDに対応するデジタルコードCODEを減算したものである。上述したように、温度センサ32が生成する電圧Vtempは、温度の変化に対して線形に変化することが望ましいが、線形に変化しない場合がある。電圧Vtempが線形に変化しない場合には、
図6(A)に示したように、デジタル値VALTもまた、温度の変化に対して線形に変化しない。温度演算部42は、このようなデジタル値VALTに基づいて演算処理を行うことにより、
図6(B)に示したように、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成する。具体的には、温度演算部42は、温度センサ32において検出可能な温度範囲を複数の温度範囲(この例では2つの温度範囲Trange1,Trange2)に区分し、これらの複数の温度範囲のそれぞれにおいて、互いに異なる傾斜を有する1次関数を用いて、デジタル値VALTを温度コードTC1に変換する。この例では、
図6(A)に示したように、温度範囲Trange2におけるデジタル値VALTの温度傾斜が、温度範囲Trange1におけるデジタル値VALTの温度傾斜よりも低いので、電圧Vtempの温度範囲Trange2において用いる1次関数の傾斜を、温度範囲Trange2において用いる1次関数の傾斜よりも大きくする。これにより、温度演算部42は、
図6(B)に示したように、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成することができる。このようにして、温度演算部42は、複数のAD変換部ADCから得られた複数のデジタル値VALTに基づいて、複数の温度コードTC1をそれぞれ生成する。
【0057】
図7は、温度演算部42における補正処理の一例を模式的に表すものである。温度センサ32が生成する電圧Vtempは、撮像装置1のいわゆる製造ばらつきにより、ばらつくおそれがある。この場合には、
図7に示したように、温度コードTC1もまたばらついてしまう。そこで、撮像装置1では、例えば、撮像装置1が形成された、ダイシングする前のウエハを所定の温度Ttemp(例えば60度)に設定し、その温度において撮像装置1を動作させたときに生成された温度コードTC、および後述する熱電対を用いて測定した撮像装置1の実際の温度についての情報を、記憶部8にあらかじめ記憶させる。そして、温度演算部42は、例えば、記憶部8に記憶された、温度コードTCが示す温度と、熱電対を用いて測定した温度との温度差を示すキャリブレーションパラメータPCALを求め、これ以降、このキャリブレーションパラメータPCALが示す値の分だけ温度コードTC1をシフトすることにより、この温度コードTC1を補正する。このようにして、温度演算部42は、演算処理により生成された複数の温度コードTC1のそれぞれに対して補正処理を行う。
【0058】
そして、温度演算部42は、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、1つの温度コードTCを生成する。複数のAD変換部ADCは、ブランキング期間において、1つの信号SIGTに基づいてAD変換を行うため、複数の温度コードTC1が示す値は、ほぼ同じ値であることが期待される。しかしながら、例えば、複数のAD変換部ADCのうちのあるAD変換部ADC(AD変換部ADCA)が故障している場合には、そのAD変換部ADCにより生成されたデジタルコードCODEに基づいて生成された温度コードTC1(温度コードTC1A)が示す値は、他の温度コードTC1が示す値と大きく異なる場合がある。そこで、温度演算部42は、例えば、ある温度コードTC1(温度コードTC1A)の値が、例えば、その温度コードTC1A以外の複数の温度コードTC1の値から大きくずれていた場合には、例えば、
図8Aに示すように、温度コードTC1Aに係るAD変換部ADCAと隣り合うAD変換部ADCに係る温度コードTC1を用いて、例えば補間演算を行うことにより、温度コードTC1Aを補正する。そして、温度演算部42は、その補正された温度コードTC1Aを含むすべての温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、1つの温度コードTCを生成する。
【0059】
なお、これに限定されるものではなく、温度演算部42は、ある温度コードTC1(温度コードTC1A)の値が、例えば、その温度コードTC1A以外の複数の温度コードTC1の値から大きくずれていた場合には、例えば、
図8Bに示したように、全ての温度コードTC1のうちの温度コードTC1A以外の複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、1つの温度コードTCを生成してもよい。
【0060】
このようにして、温度演算部42は、1つの温度コードTCを生成し、生成した温度コードTCを出力する。
【0061】
また、温度演算部42は、このようにして求めた温度コードTCが示す値(温度値)が所定の範囲内に収まっているかどうかを確認し、その所定の範囲に収まっていない場合には、エラーフラグ信号ERをアクティブにする機能をも有している。この所定の温度範囲は、例えば、撮像装置1が正常に動作可能な温度範囲であり、例えば-40度以上125度以下にすることができる。
【0062】
記憶部8(
図1)は、例えば不揮発性の記憶部であり、所定の温度Ttemp(例えば60度)において撮像装置1を動作させたときに生成された温度コードTC、および後述する熱電対を用いて測定した撮像装置1の実際の温度についての情報を記憶するものである。そして、記憶部8は、これらの情報を温度演算部42に供給するようになっている。
【0063】
次に、撮像装置1の実装について説明する。撮像装置1において、
図1に示した各ブロックは、例えば、1枚の半導体基板に形成されてもよい。
【0064】
図9は、半導体基板200における回路配置の一例を表すものである。半導体基板200には、画素アレイ9が形成される。そして、
図9において、画素アレイ9の左には走査部10が形成され、画素アレイ9の上には、読出部20および周辺回路部201がこの順で形成される。周辺回路部201は、撮像制御部30および信号処理部40に対応するものである。また、半導体基板200の左端には複数のパッド電極PADが並設された端子部202が設けられ、同様に、半導体基板200の右端には、複数のパッド電極PADが並設された端子部203が設けられている。
【0065】
温度センサ32は、周辺回路部201が形成された領域の領域内に形成される。すなわち、この例では、撮像装置1において、動作時に最も温度が高くなるブロックは、周辺回路部201のうちの、ロジック回路である信号処理部40であるため、温度センサ32は、この信号処理部40における温度を検出できるように、信号処理部40が形成された領域の領域内に形成される。この例では、温度センサ32は、周辺回路部201が形成された領域の中央付近に配置される。
【0066】
周辺回路部201の上には、2つのパッド電極PAD2が並設された端子部204が設けられている。この2つのパッド電極PAD2は、半導体基板200に形成されたどの回路とも接続されておらず、これらの回路と電気的に絶縁されている。これらの2つのパッド電極PAD2は、例えばメタル配線を介して互いに接続されている。パッド電極PAD2の面積は、この例では、パッド電極PADの面積と同じである。この2つのパッド電極PAD2は、温度のキャリブレーションを行う際に、熱電対を構成する2つのプローブ針(後述するプローブ針111A,111B)を接触させる電極である。これにより、撮像装置1では、ウエハの実際の温度を検出することができる。端子部204は、温度センサ32の近くに配置されることが望ましい。具体的には、端子部204と温度センサ32との間の距離は、
図9に示したように、端子部204と画素アレイ9との間の距離よりも短くすることが望ましく、特に、端子部204と読出部20との間の距離よりも短くすることが望ましい。
【0067】
なお、この例では、パッド電極PAD2の面積を、パッド電極PADの面積と同じにしたが、これに限定されるものではなく、パッド電極PAD2の面積を、パッド電極PADの面積よりも大きくてもよい。すなわち、熱電対を用いた温度測定では、パッド電極PAD2と、熱電対を構成する2つのプローブ針との接触面積が大きい方が望ましいので、パッド電極PAD2の面積を大きくしてもよい。
【0068】
また、この例では、パッド電極PAD2は、半導体基板200に形成されたどの回路と接続されておらず、これらの回路と電気的に絶縁されるようにしたが、これに限定されるものではなく、半導体基板200に形成された1以上の回路と接続されていてもよい。具体的には、例えば、この2つのパッド電極PAD2を介して、撮像装置1に電源電圧を供給してもよい。これにより、電源電圧を供給するパッド電極の数を増やすことができるので、例えば電源インピーダンスを低減することができ、撮像装置1の電気特性を高めることができる。
【0069】
信号処理部40(周辺回路部201)から出力されたエラーフラグ信号ERは、
図9に矢印で示したように、例えば、端子部202における信号処理部40から一番近いパッド電極PADを介して、撮像装置1から出力される。
【0070】
図10は、温度のキャリブレーションを行う検査システム100の一構成例を表すものである。検査システム100は、検査対象である撮像装置1が形成されたウエハ101と、検査装置110とを備えている。検査装置110は、プローブ111と、検査部112と、ヒータ113とを有している。
【0071】
プローブ111は、撮像装置1の複数のパッド電極PADに接触可能に配置された複数のプローブ針を有するものである。また、プローブ111は、2つのパッド電極PAD2にそれぞれ接触可能に配置された2つのプローブ針111A,111Bを有している。プローブ針111A,111Bは、熱電対を構成するものであり、プローブ針111Aは、例えばクロメルを用いて構成され、プローブ針111Bは、例えばアルメルを用いて構成される。
【0072】
検査部112は、プローブ111のプローブ針をパッド電極PADにそれぞれ接触させ、ウエハ101の撮像装置1にプローブ111を介して電源電圧や各種信号を供給することにより撮像装置1を動作させるとともに、撮像装置1からプローブ111を介して供給された各種信号に基づいて、撮像装置1が正常に動作することを検査するものである。また、検査部112は、プローブ針111A,111Bを2つのパッド電極PAD2にそれぞれ接触させ、プローブ針111Aにおける電位とプローブ針111Bにおける電位の差(電位差)を検出し、その電位差に基づいてウエハ温度を検出する機能をも有している。
【0073】
ヒータ113は、ウエハ101の温度を設定するものである。
【0074】
図11は、ウエハ温度を検出する動作を模式的に表すものである。この例では、熱電対を構成する2つのプローブ針111A,111Bが、2つのパッド電極PAD2にそれぞれ接触している。これにより、プローブ針111A,111Bには、熱起電力が生じる。検査部112は、プローブ針111A,111Bにおける電位差を検出し、その電位差に基づいてウエハ温度を検出することができる。
【0075】
なお、この例では、2つのパッド電極PAD2を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図12に示すように、大きな1つのパッド電極PAD3を設けてもよい。このパッド電極PAD3は、半導体基板200に形成されたどの回路と接続されておらず、これらの回路と電気的に絶縁されている。このパッド電極PAD3の面積は、パッド電極PADの面積より大きいことが望ましい。この例では、プローブ針111A,111Bが、1つのパッド電極PAD3に接触している。この場合でも、検査部112は、プローブ針111A,111Bにおける電位差を検出し、その電位差に基づいてウエハ温度を検出することができる。なお、パッド電極PAD3は、半導体基板200に形成された1以上の回路と接続されていてもよい。
【0076】
ここで、画素アレイ9は、本開示における「撮像部」の一具体例に対応する。画像処理部41は、本開示における「処理部」の一具体例に対応する。温度演算部42は、本開示における「演算部」の一具体例に対応する。温度コードTCは、本開示における「温度コード」の一具体例に対応する。パッド電極PAD2は、本開示における「第1のパッド電極」および「第2のパッド電極」の一具体例に対応する。パッド電極PADは、本開示における「入出力パッド電極」の一具体例に対応する。読出部20は、本開示における「変換部」の一具体例に対応する。半導体基板200は、本開示における「第1の半導体基板」の一具体例に対応する。
【0077】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の撮像装置1の動作および作用について説明する。
【0078】
(全体動作概要)
まず、
図1,4を参照して、撮像装置1の全体動作概要を説明する。走査部10は、画素ラインL単位で、画素アレイ9における撮像画素P1を順次駆動する。撮像画素P1は、8つの変換期間T1~T8において、8つの画素電圧VP1~VP8を順次出力する。読出部20のAD変換部ADCは、これらの8つの画素電圧VP1~VP8に基づいてそれぞれAD変換を行い、8つのデジタルコードCODE(デジタルコードCODE1~CODE8)をそれぞれ出力する。信号処理部40の画像処理部41は、画像信号DATA0に含まれる8つのデジタルコードCODE1~CODE8に基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1~PIC4)を生成する。そして、信号処理部40は、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成し、この撮像画像PICAを、画像信号DATAとして出力する。また、AD変換部ADCは、垂直ブランキング期間において、撮像制御部30の温度センサ32から供給された信号SIGTに基づいてAD変換を行うことにより、信号SIGTの電圧をデジタルコードCODEに変換する。信号処理部40の温度演算部42は、画像信号DATA0に含まれる、垂直ブランキング期間において信号SIGTに基づいて得られたデジタルコードCODEに基づいて、温度値を示す温度コードTCを生成し、この温度コードTCを出力する。また、温度演算部42は、温度コードTCが示す値(温度値)が所定の範囲内に収まっているかどうかを確認し、その確認結果をエラーフラグ信号ERとして出力する。
【0079】
(詳細動作)
撮像装置1において、画素アレイ9における撮像画素P1のそれぞれは、受光量に応じて電荷を蓄積し、画素電圧VPを信号SIGとして出力する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0080】
図13は、画素アレイ9における複数の撮像画素P1を走査する動作の一例を表すものである。
【0081】
撮像装置1は、タイミングt0~t1の期間において、画素アレイ9における複数の撮像画素P1に対して、垂直方向において上から順に蓄積開始駆動D1を行う。具体的には、走査部10は、例えば、垂直方向において上から順に、画素ラインL単位で、水平期間H内の所定の期間においてトランジスタTGL,RST,FDG,TGS,FCGをオン状態に設定する。これにより、複数の撮像画素P1のそれぞれでは、読出駆動D2が行われるまでの蓄積期間T10において、電荷が蓄積される。
【0082】
そして、撮像装置1は、タイミングt10~t11の期間において、複数の撮像画素P1に対して、垂直方向において上から順に読出駆動D2を行う。これにより、複数の撮像画素P1のそれぞれは、8つの画素電圧VP1~VP8を順次出力する。読出部20は、これらの8つの画素電圧VP1~VP8に基づいてそれぞれAD変換を行い、8つのデジタルコードCODE(デジタルコードCODE1~CODE8)をそれぞれ出力する。
【0083】
そして、信号処理部40は、読出部20から供給された8つのデジタルコードCODE1~CODE8に基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1,PIC2,PIC3,PIC4)を生成し、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成する。
【0084】
撮像装置1は、このような蓄積開始駆動D1および読出駆動D2を繰り返す。具体的には、撮像装置1は、
図13に示したように、タイミングt2~t3の期間において蓄積開始駆動D1を行い、タイミングt12~t13の期間において読出駆動D2を行う。また、撮像装置1は、タイミングt4~t5の期間において蓄積開始駆動D1を行い、タイミングt14~t15の期間において読出駆動D2を行う。
【0085】
(読出駆動D2について)
次に、読出駆動D2について、詳細に説明する。以下に、複数の撮像画素P1のうちの撮像画素P1Aに着目し、この撮像画素P1Aに係る動作について詳細に説明する。
【0086】
図14,15A,15Bは、撮像装置1の一動作例を表すものである。
図14において、(A)は水平同期信号XHSの波形を示し、(B)は撮像画素P1Aに供給される信号SSELの波形を示し、(C)は撮像画素P1Aに供給される信号SRSTの波形を示し、(D)は撮像画素P1Aに供給される信号SFDGの波形を示し、(E)は撮像画素P1Aに供給される信号STGLの波形を示し、(F)は撮像画素P1Aに供給される信号SFCGの波形を示し、(G)は撮像画素P1Aに供給される信号STGSの波形を示し、(H)は参照信号REFの波形を示し、(I)は撮像画素P1Aから出力される信号SIGの波形を示し、(J)は撮像画素P1Aに接続されたAD変換部ADCにおけるカウンタ25の動作を示す。
図15Aは、
図14に示した動作のうちの前半の動作を示し、
図15Bは、
図14に示した動作のうちの後半の動作を示す。
図14(H),(I)、
図15A(H),(I)、および
図15B(H),(I)では、各信号の波形を同じ電圧軸で示している。
図14(H)、
図15A(H)、および
図15B(H)の参照信号REFは、コンパレータ24の正入力端子における波形を示し、
図14(I)、
図15A(I)、および
図15B(I)の信号SIGは、コンパレータ24の負入力端子における波形を示している。また、
図14(J)、
図15A(J)、
図15B(J)において、斜線は、カウンタ25がカウント動作を行っていることを示している。
【0087】
図16A~16Cは、撮像画素P1Aの状態を表すものである。この
図16A~16Cでは、トランジスタTGL,RST,FDG,TGS,FCG,SELを、そのトランジスタの動作状態に応じたスイッチを用いてそれぞれ示している。
【0088】
読出駆動D2では、撮像制御部30は、信号SSELT(
図4)を低レベルにする。これにより、読出部20では、複数のAD変換部ADCのそれぞれにおいて、トランジスタ29がオフ状態になる。これにより、AD変換部ADCは、信号線SGLを介して供給される信号SIGに基づいてAD変換を行う。
【0089】
撮像装置1では、ある水平期間Hにおいて、まず、走査部10は、信号SSELを用いて、撮像画素P1Aを含む画素ラインLを選択し、撮像画素P1Aを、その撮像画素P1Aに対応する信号線SGLに電気的に接続させる。そして、走査部10は、信号SRST,SFDG,STGL,SFCG,STGSを用いて撮像画素P1Aの動作を制御し、撮像画素P1Aは、8つの変換期間T1~T8において、8つの画素電圧VP1~VP8を順次出力する。そして、読出部20のAD変換部ADCは、これらの8つの画素電圧VP1~VP8に基づいてそれぞれAD変換を行い、8つのデジタルコードCODE1~CODE8を出力する。以下にこの動作について詳細に説明する。
【0090】
まず、タイミングt1において、水平期間Hが開始すると、走査部10は、タイミングt2において、信号SSELの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15A(B))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタSELがオン状態になり、撮像画素P1Aが信号線SGLと電気的に接続される。
【0091】
タイミングt11までの期間において、走査部10は、信号SRST,SFDGをともに高レベルにする(
図15A(C),(D))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタRST,FDGがともにオン状態になり、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。
【0092】
(タイミングt11~t21の動作)
次に、タイミングt11において、走査部10は、信号SFDGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15A(D))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFDGがオフ状態になる。次に、タイミングt12において、走査部10は、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15A(C))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。次に、タイミングt13において、走査部10は、信号SFDGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15A(D))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFDGがオン状態になる。また、コンパレータ24は、タイミングt13~t14までの期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う。
【0093】
次に、タイミングt14において、コンパレータ24は、ゼロ調整を終了し、正入力端子および負入力端子を電気的に切断する。そして、このタイミングt14において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15A(H))。
【0094】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Aに示したように、トランジスタFDG,SELはオン状態になり、その他のトランジスタは全てオフ状態になる。トランジスタFDGがオン状態であるので、フローティングディフュージョンFDおよびトランジスタFDGが合成容量を構成する。この合成容量は、撮像画素P1Aにおいて電荷を電圧へ変換する変換容量として機能する。撮像画素P1Aでは、このように、トランジスタFDGがオン状態であるので、撮像画素P1Aにおける変換容量の容量値が大きいため、電荷から電圧への変換効率が低い。この変換容量は、タイミングt12までの期間においてフローティングディフュージョンFDがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP1)を出力する。
【0095】
次に、タイミングt15~t17の期間(変換期間T1)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP1に基づいてAD変換を行う。具体的には、タイミングt15において、撮像制御部30は、クロック信号CLKの生成を開始し、これと同時に、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を、電圧V1から所定の変化度合いで低下させ始める(
図15A(H))。これに応じて、AD変換部ADCのカウンタ25は、カウント動作を開始する(
図15A(J))。
【0096】
そして、タイミングt16において、参照信号REFの電圧が信号SIGの電圧(画素電圧VP1)を下回る(
図15A(H),(I))。これに応じて、AD変換部ADCのコンパレータ24は、信号CMPの電圧を変化させ、その結果、カウンタ25は、カウント動作を停止する(
図15A(J))。カウント動作が停止したときのカウンタ25のカウント値CNTは、画素電圧VP1に対応している。AD変換部ADCは、このようにして、画素電圧VP1に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE1として出力する(
図15A(J))。
【0097】
そして、タイミングt17において、撮像制御部30は、変換期間T1の終了に伴い、クロック信号CLKの生成を停止し、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧の変化を停止させ(
図15A(H))、カウンタ25は、カウント値CNTをリセットする。
【0098】
(タイミングt21~t31の動作)
次に、タイミングt21において、走査部10は、信号SFDGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15A(D))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFDGがオフ状態になる。また、コンパレータ24は、タイミングt21~t22までの期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う。
【0099】
次に、タイミングt22において、コンパレータ24は、ゼロ調整を終了し、正入力端子および負入力端子を電気的に切断する。そして、このタイミングt22において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15A(H))。
【0100】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Bに示したように、トランジスタSELはオン状態になり、その他のトランジスタは全てオフ状態になる。撮像画素P1Aでは、このように、トランジスタFDGがオフ状態であるので、撮像画素P1Aにおける変換容量の容量値が小さいため、電荷から電圧への変換効率が高い。この変換容量は、タイミングt12までの期間においてフローティングディフュージョンFDがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP2)を出力する。
【0101】
次に、タイミングt23~t25の期間(変換期間T2)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP2に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP2に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE2として出力する(
図15A(J))。
【0102】
(タイミングt31~t41の動作)
次に、タイミングt31において、走査部10は、信号STGLの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15A(E))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタTGLがオン状態になる。これにより、フォトダイオードPD1で発生した電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。また、このタイミングt31において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15A(H))。
【0103】
次に、タイミングt32において、走査部10は、信号STGLの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15A(E))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタTGLがオフ状態になる。
【0104】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Bに示したように、トランジスタFDGがオフ状態であるので、撮像画素P1Aにおける変換容量の容量値が小さいので、電荷から電圧への変換効率が高い。この変換容量は、タイミングt31~t32においてフォトダイオードPD1から転送された電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP3)を出力する。
【0105】
次に、タイミングt33~t35の期間(変換期間T3)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP3に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP3に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE3として出力する(
図15A(J))。このデジタルコードCODE3は、同じく変換効率が高い時(変換期間T2)に得られたデジタルコードCODE2に対応するものである。
【0106】
(タイミングt41~t51の動作)
次に、タイミングt41において、走査部10は、信号SFDGの電圧を低レベルから高レベルに変化させるとともに信号STGLの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15A(D),(E))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFDG,TGLがともにオン状態になる。また、このタイミングt41において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15A(H))。次に、走査部10は、タイミングt42において、信号STGLの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15A(E))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタTGLがオフ状態になる。
【0107】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Aに示したように、トランジスタFDGがオン状態であるので、フローティングディフュージョンFDおよびトランジスタFDGが合成容量(変換容量)を構成する。よって、撮像画素P1Aにおける変換容量の容量値が大きいので、電荷から電圧への変換効率が低い。この変換容量は、タイミングt31~t32,t41~t42においてフォトダイオードPD1から転送された電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP4)を出力する。
【0108】
次に、タイミングt43~t45の期間(変換期間T4)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP4に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP4に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE4として出力する(
図15A(J))。このデジタルコードCODE4は、同じく変換効率が低い時(変換期間T1)に得られたデジタルコードCODE1に対応するものである。
【0109】
(タイミングt51~t61の動作)
次に、タイミングt51において、走査部10は、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15B(C))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタRSTがオン状態になる。トランジスタFDGはオン状態であるので、これにより、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。次に、タイミングt52において、走査部10は、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15B(C))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。また、このタイミングt52において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15B(H))。
【0110】
次に、タイミングt53において、走査部10は、信号SFCGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15B(F))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFCGがオン状態になる。また、コンパレータ24は、タイミングt53~t54までの期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う。
【0111】
次に、タイミングt54において、コンパレータ24は、ゼロ調整を終了し、正入力端子および負入力端子を電気的に切断する。また、このタイミングt54において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15A(H))。
【0112】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Cに示したように、トランジスタFDG,FCG,SELはオン状態になり、その他のトランジスタは全てオフ状態になる。トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt53より前にフォトダイオードPD2で発生し、トランジスタTGSを介して容量素子FCに供給され蓄積されていた電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP5)を出力する。
【0113】
次に、タイミングt55~t57の期間(変換期間T5)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP5に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP5に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE5として出力する(
図15B(J))。
【0114】
(タイミングt61~t71の動作)
次に、タイミングt61において、走査部10は、信号STGSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15B(G))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタTGSがオン状態になる。これにより、フォトダイオードPD2で発生した電荷がフローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCに転送される。また、このタイミングt61において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15B(H))。
【0115】
次に、タイミングt62において、走査部10は、信号STGSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15B(G))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタTGSがオフ状態になる。
【0116】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Cに示したように、トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt53より前にフォトダイオードPD2で発生し、トランジスタTGSを介して容量素子FCに供給され蓄積されていた電荷に加え、タイミングt61~t62においてフォトダイオードPD2から転送された電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP6)を出力する。
【0117】
次に、タイミングt63~t65の期間(変換期間T6)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP6に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP6に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE6として出力する(
図15B(J))。このデジタルコードCODE6は、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量を構成するときに得られたデジタルコードCODE5に対応するものである。
【0118】
(タイミングt71~t81の動作)
次に、コンパレータ24は、タイミングt71~t72までの期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う。
【0119】
次に、タイミングt72において、コンパレータ24は、ゼロ調整を終了し、正入力端子および負入力端子を電気的に切断する。また、このタイミングt72において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15B(H))。
【0120】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Cに示したように、トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt53より前にフォトダイオードPD2で発生し、トランジスタTGSを介して容量素子FCに供給され蓄積されていた電荷に加え、タイミングt61~t62においてフォトダイオードPD2から転送された電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP7)を出力する。
【0121】
次に、タイミングt73~t75の期間(変換期間T7)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP7に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP7に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE7として出力する(
図15B(J))。
【0122】
(タイミングt81~t7の動作)
次に、タイミングt81において、走査部10は、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15B(C))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタRSTがオン状態になる。トランジスタFDG,FCGはオン状態であるので、フローティングディフュージョンFDの電圧および容量素子FCの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCがリセットされる。
【0123】
次に、タイミングt82において、走査部10は、信号SFCGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15B(F))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFCGがオフ状態になる。
【0124】
次に、タイミングt83において、走査部10は、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15B(C))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。
【0125】
次に、タイミングt84において、走査部10は、信号SFCGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図15B(F))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFCGがオン状態になる。また、このタイミングt84において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図15B(H))。
【0126】
これにより、撮像画素P1Aでは、
図16Cに示したように、トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt81~t82においてフローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素P1Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP8)を出力する。
【0127】
次に、タイミングt85~t87の期間(変換期間T8)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP8に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間T1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP8に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODE8として出力する(
図15B(J))。このデジタルコードCODE8は、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量を構成するときに得られたデジタルコードCODE7に対応するものである。
【0128】
次に、タイミングt7において、走査部10は、信号SFDGの電圧を高レベルから低レベルに変化させるとともに、信号SFCGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15B(D),(F))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタFDG,FCGがオフ状態になる。
【0129】
そして、タイミングt8において、走査部10は、信号SSELの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図15B(B))。これにより、撮像画素P1Aでは、トランジスタSELがオフ状態になり、撮像画素P1Aが信号線SGLから電気的に切り離される。
【0130】
次に、信号処理部40の画像処理部41における画像合成処理について説明する。画像処理部41は、読出部20から供給されたデジタルコードCODEに基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1~PIC4)を生成する。そして、画像処理部41は、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成する。
【0131】
図17は、画像合成処理を模式的に表すものである。
図17(A)~(G)に示した波形は、
図14(A)~(G)に示した波形と同様である。読出部20は、
図14,15A,15Bを用いて説明したように、タイミングt11~t21の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE1を生成し、タイミングt21~t31の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE2を生成し、タイミングt31~t41の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE3を生成し、タイミングt41~t51の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE4を生成し、タイミングt51~t61の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE5を生成し、タイミングt61~t71の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE6を生成し、タイミングt71~t81の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE7を生成し、タイミングt81~t7の期間における動作に基づいてデジタルコードCODE8を生成する。
【0132】
画像処理部41は、デジタルコードCODE2およびデジタルコードCODE3に基づいて、画素値VAL1を生成する。具体的には、画像処理部41は、デジタルコードCODE3からデジタルコードCODE2を減算(CODE3-CODE2)することにより、画素値VAL1を算出する。すなわち、撮像装置1は、いわゆる相関2重サンプリング(CDS;Correlated double sampling)の原理を利用し、P相(Pre-Charge相)データに対応するデジタルコードCODE2、およびD相(Data相)データに対応するデジタルコードCODE3を用いて、画素値VAL1を算出する。
【0133】
同様に、画像処理部41は、デジタルコードCODE1およびデジタルコードCODE4に基づいて、画素値VAL2を生成する。具体的には、画像処理部41は、デジタルコードCODE4からデジタルコードCODE1を減算(CODE4-CODE1)することにより、画素値VAL2を算出する。すなわち、撮像装置1は、相関2重サンプリングの原理を利用し、P相データに対応するデジタルコードCODE1、およびD相データに対応するデジタルコードCODE4を用いて、画素値VAL2を算出する。
【0134】
同様に、画像処理部41は、デジタルコードCODE5およびデジタルコードCODE6に基づいて、画素値VAL3を生成する。具体的には、画像処理部41は、デジタルコードCODE6からデジタルコードCODE5を減算(CODE6-CODE5)することにより、画素値VAL3を算出する。すなわち、撮像装置1は、相関2重サンプリングの原理を利用し、P相データに対応するデジタルコードCODE5、およびD相データに対応するデジタルコードCODE6を用いて、画素値VAL3を算出する。
【0135】
そして、画像処理部41は、デジタルコードCODE7およびデジタルコードCODE8に基づいて、画素値VAL4を生成する。具体的には、画像処理部41はデジタルコードCODE7からデジタルコードCODE8を減算(CODE7-CODE8)することにより、画素値VAL4を算出する。すなわち、撮像装置1は、いわゆる2重データサンプリング(DDS;Double Data Sampling)の原理を利用し、フローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCをリセットする前のデジタルコードCODE7、およびフローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCをリセットした後のデジタルコードCODE8を用いて、画素値VAL4を算出する。
【0136】
そして、画像処理部41は、画素アレイ9における全ての撮像画素P1での画素値VAL1に基づいて画像PIC1を生成し、画素アレイ9における全ての撮像画素P1での画素値VAL2に基づいて画像PIC2を生成し、画素アレイ9における全ての撮像画素P1での画素値VAL3に基づいて画像PIC3を生成し、画素アレイ9における全ての撮像画素P1での画素値VAL4に基づいて画像PIC4を生成する。そして、画像処理部41は、これらの画像PIC1~PIC4を合成することにより、撮像画像PICAを生成する。
【0137】
(温度検出動作について)
図13において、例えば、タイミングt11~t12のブランキング期間T20は、いわゆる垂直ブランキング期間であり、撮像装置1は、読出駆動D2を行わない。すなわち、この期間には、信号線SGLは、撮像画素P1に係る画素電圧VPを伝えない。撮像装置1は、このブランキング期間T20を利用して、温度検出を行う。以下に、この温度検出動作について、詳細に説明する。
【0138】
読出部20のAD変換部ADCは、ブランキング期間T20のうちの、水平期間H(
図14)と同じ長さの検出期間Mにおいて、信号SIGTに基づいてAD変換を行う。検出期間Mでは、参照信号生成部31および読出部20は、水平期間H(
図14)と同様の動作を行う。この検出期間Mでは、撮像制御部30は、信号SSELT(
図4)を高レベルにする。これにより、読出部20では、複数のAD変換部ADCのそれぞれにおいて、トランジスタ29がオン状態になり、温度センサ32が生成した信号SIGTに応じた信号が、トランジスタ29および容量素子22を介してコンパレータ24の負入力端子に供給される。このようにして、AD変換部ADCは、信号SIGTに基づいてAD変換を行う。この例では、撮像装置1は、水平期間H(
図14)のタイミングt21~t41の期間に対応する期間に温度検出を行う。
【0139】
図18は、撮像装置1における温度検出動作の一例を表すものである。この
図18は、水平期間Hの前半の動作を表す
図15Aに対応するものである。
図18において、(A)は参照信号REFの波形を示し、(B)は信号SIGTの波形を示し、(C)は温度が低い場合でのAD変換部ADCにおけるカウンタ25の動作を示し、(D)は温度が高い場合でのAD変換部ADCにおけるカウンタ25の動作を示す。タイミングt111は、
図15Aにおけるタイミングt11に対応し、タイミングt112は、
図15Aにおけるタイミングt12に対応し、タイミングt113は、
図15Aにおけるタイミングt13に対応し、タイミングt141は、
図15Aにおけるタイミングt41に対応し、タイミングt151は、
図15Aにおけるタイミングt51に対応する。
【0140】
(タイミングt121~t131の動作)
タイミングt121~t131の期間において、温度センサ32のスイッチSWT(
図5)は、電源電圧VDDおよび電圧Vtempのうちの電源電圧VDDを選択する。温度センサ32は、このようにして選択された電源電圧VDDを信号SIGTとして出力する。これにより、コンパレータ24の負入力端子には、その電源電圧VDDに対応した電圧VDD2が供給される(
図18(B))。
【0141】
コンパレータ24は、タイミングt121~t122までの期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う。
【0142】
次に、タイミングt122において、コンパレータ24は、ゼロ調整を終了し、正入力端子および負入力端子を電気的に切断する。そして、このタイミングt122において、参照信号生成部31は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図18(A))。
【0143】
そして、タイミングt123~t125の期間(変換期間TA)において、AD変換部ADCは、この電圧VDD2に基づいてAD変換を行う。この動作は、水平期間H(
図15A)の変換期間T2における動作と同様である。AD変換部ADCは、電圧VDD2に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODEAとして出力する(
図18(C),(D))。
【0144】
(タイミングt131~t141の動作)
タイミングt131~t141の期間において、温度センサ32のスイッチSWT(
図5)は、電源電圧VDDおよび電圧Vtempのうちの電圧Vtempを選択する。温度センサ32は、このようにして選択された電圧Vtempを信号SIGTとして出力する。これにより、コンパレータ24の負入力端子には、その電圧Vtempに対応した電圧Vtemp2が供給される(
図18(B))。電圧Vtemp2は、温度が低い場合には高く、温度が高い場合には低い。
【0145】
そして、タイミングt132~t135の期間(変換期間TB)において、AD変換部ADCは、この電圧Vtemp2に基づいてAD変換を行う。この動作は、水平期間H(
図15A)の変換期間T3における動作と同様である。AD変換部ADCは、電圧Vtemp2に基づいてAD変換を行い、AD変換部ADCのラッチ26は、カウンタ25のカウント値CNTを、デジタルコードCODEBとして出力する(
図18(C),(D))。温度が高い場合におけるデジタルコードCODEB(デジタルコードCODEB2)が示す値は、温度が低い場合におけるデジタルコードCODEB(デジタルコードCODEB1)が示す値よりも大きくなる。
【0146】
次に、信号処理部の温度演算部42における処理について説明する。
【0147】
まず、温度演算部42は、読出部20から供給されたデジタルコードCODEA,CODEBに基づいて、デジタル値VALTを算出する。具体的には、温度演算部42は、デジタルコードCODEBからデジタルコードCODEAを減算(CODEB-CODEA)することにより、デジタル値VALTを算出する。すなわち、撮像装置1は、いわゆる相関2重サンプリングの原理を利用し、P相(Pre-Charge相)データに対応するデジタルコードCODEA、およびD相(Data相)データに対応するデジタルコードCODEBを用いて、デジタル値VALTを算出する。このようにして、温度演算部42は、複数のAD変換部ADCから得られたデジタルコードCODEA,CODEBに基づいて、複数のデジタル値VALTを算出する。
【0148】
次に、温度演算部42は、
図6(B)に示したように、デジタル値VALTに基づいて演算処理を行うことにより、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成する。具体的には、温度演算部42は、全温度範囲を複数の温度範囲(この例では2つの温度範囲Trange1,Trange2)に区分し、これらの複数の温度範囲のそれぞれにおいて、互いに異なる傾斜を有する1次関数を用いて、デジタル値VALTを温度コードTC1に変換する。このようにして、温度演算部42は、複数のAD変換部ADCから得られた複数のデジタル値VALTに基づいて、複数の温度コードTC1をそれぞれ生成する。
【0149】
次に、温度演算部42は、記憶部8に記憶されたキャリブレーションパラメータPCALを用いて、例えば、
図7に示したように、キャリブレーションパラメータPCALが示す値の分だけ温度コードTC1をシフトすることにより、この温度コードTC1を補正する。このようにして、温度演算部42は、演算処理により生成された複数の温度コードTC1のそれぞれに対して補正処理を行う。
【0150】
そして、温度演算部42は、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、1つの温度コードTCを生成する。例えば、ある温度コードTC1(温度コードTC1A)の値が、例えば、その温度コードTC1A以外の複数の温度コードTC1の値から大きくずれていた場合、温度演算部42は、
図8Aに示すように、温度コードTC1Aに係るAD変換部ADCAと隣り合うAD変換部ADCに係る温度コードTC1を用いて、例えば補間演算を行うことにより、温度コードTC1Aを補正する。そして、温度演算部42は、その補正された温度コードTC1Aを含むすべての温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、1つの温度コードTCを生成する。
【0151】
また、温度演算部42は、このようにして求めた温度コードTCが示す値(温度値)が所定の範囲内に収まっているかどうかを確認し、その所定の範囲に収まっていない場合には、エラーフラグ信号ERをアクティブにする。
【0152】
(キャリブレーションについて)
温度センサ32が生成する電圧Vtempは、撮像装置1のいわゆる製造ばらつきにより、ばらつくおそれがある。この場合には、撮像装置1における温度検出精度が低下してしまう。そこで、撮像装置1では、例えば、
図10に示した検査システム100を用いてキャリブレーションを行う。これにより、撮像装置1における温度検出精度を高めることができる。以下に、検査システム100におけるキャリブレーション処理について詳細に説明する。
【0153】
図19は、検査システム100におけるキャリブレーション処理の一例を表すものである。
【0154】
まず、検査装置110は、ヒータ113を用いてウエハ101の温度を所定の温度Ttemp(例えば60度)に設定するとともに、熱電対を用いて、キャリブレーションの対象となる撮像装置1における実際の温度を測定する(ステップS101)。具体的には、検査部112は、プローブ111のプローブ針をパッド電極PAD(
図9)にそれぞれ接触させ、ウエハ101の撮像装置1にプローブ111を介して電源電圧や各種信号を供給することにより撮像装置1を動作させる。また、検査部112は、プローブ針111A,111Bを2つのパッド電極PAD2にそれぞれ接触させ、プローブ針111Aにおける電位とプローブ針111Bにおける電位の差(電位差)を検出し、その電位差に基づいて撮像装置1の実際の温度を測定する。
【0155】
次に、検査装置110は、キャリブレーションの対象となる撮像装置1が生成した温度コードTC、およびステップS101において熱電対を用いて測定した温度についての情報を、記憶部8に記憶させる(ステップS102)。そして、撮像装置1の温度演算部42は、記憶部8に記憶された、撮像装置1が生成した温度コードTCおよび熱電対を用いて測定した温度についての情報に基づいて、キャリブレーションパラメータPCALを生成する(ステップS103)。キャリブレーションパラメータPCALは、例えば、温度コードTCが示す温度と、ステップS101において熱電対を用いて測定した温度との温度差を示すものにすることができる。
【0156】
これにより、キャリブレーションの対象となる撮像装置1の温度演算部42は、これ以降、ステップS103において生成したキャリブレーションパラメータPCALを用いて、例えば、
図7に示したように、キャリブレーションパラメータPCALが示す値の分だけ温度コードTC1をシフトすることにより、温度コードTC1を補正する。そして、温度演算部42は、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、温度コードTCを生成する。
【0157】
次に、検査装置110は、キャリブレーションの対象となる撮像装置1が生成した温度コードTCを取得し、この温度コードTCが示す温度と、ステップS101において熱電対を用いて測定した温度との温度差が許容範囲内であることを確認する(ステップS104)。
【0158】
以上により、このフローは終了する。
【0159】
このように撮像装置1では、
図9に示したように、互いに電気的に接続された2つのパッド電極PAD2が並設された端子部204を設けるようにした。これにより、撮像装置1では、この2つのパッド電極PAD2に熱電対を接触させることにより、実際の温度を測定することができるので、その測定結果に基づいてキャリブレーションを行うことができるため、温度の検出精度を高めることができる。
【0160】
また、撮像装置1では、端子部204を、温度センサ32の近くに配置した。具体的には、
図9に示したように、端子部204と温度センサ32との間の距離を、端子部204と読出部20との間の距離よりも短くした。これにより、温度センサ32の配置位置と、熱電対を用いて測定される場所と近づけることができるため、より高い精度でキャリブレーションを行うことができるので、温度の検出精度を高めることができる。
【0161】
また、撮像装置1では、
図6に示したように、温度センサ32において検出可能な温度範囲を複数の温度範囲(この例では2つの温度範囲Trange1,Trange2)に区分し、これらの複数の温度範囲のそれぞれにおいて、互いに異なる演算処理を行うようにした。具体的には、撮像装置1では、複数の温度範囲のそれぞれにおいて、互いに異なる傾斜を有する1次関数を用いて、デジタル値VALTを温度コードTC1に変換するようにした。これにより、撮像装置1では、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成することができるので、温度の検出精度を高めることができる。
【0162】
また、撮像装置1では、キャリブレーションパラメータPCALを用いて、例えば、
図7に示したように、キャリブレーションパラメータPCALが示す値の分だけ温度コードTC1をシフトすることにより、温度コードTC1を補正するようにしたので、温度の検出精度を高めることができる。
【0163】
また、撮像装置1では、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、温度コードTCを生成するようにしたので、例えば複数のAD変換部ADCのうちの一部が故障していた場合でも、その故障による影響を抑えることができるので、温度の検出精度を高めることができる。また、撮像装置1では、例えば、ある温度コードTC1(温度コードTC1A)の値が、その温度コードTC1A以外の複数の温度コードTC1の値から大きくずれていた場合に、
図8Aに示すように、温度コードTC1Aに係るAD変換部ADCAと隣り合うAD変換部ADCに係る温度コードTC1を用いて、例えば補間演算を行うことにより、温度コードTC1Aを補正するようにしたので、温度の検出精度を高めることができる。
【0164】
[効果]
以上のように本実施の形態では、互いに電気的に接続された2つのパッド電極が並設された端子部を設けるようにしたので、熱電対を用いて実際の温度を測定することができるので、その測定結果に基づいてキャリブレーションを行うことができるため、温度の検出精度を高めることができる。
【0165】
本実施の形態では、端子部204を、温度センサの近くに配置したので、より高い精度でキャリブレーションを行うことができるためので、温度の検出精度を高めることができる。
【0166】
本実施の形態では、温度センサにおいて検出可能な温度範囲を複数の温度範囲に区分し、これらの複数の温度範囲のそれぞれにおいて、互いに異なる演算処理を行うようにしたので、温度の変化に対して線形に変化する温度コードを生成することができるので、温度の検出精度を高めることができる
【0167】
本実施の形態では、キャリブレーションパラメータを用いて温度コードを補正するようにしたので、温度の検出精度を高めることができる
【0168】
本実施の形態では、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、温度コードTCを生成するようにしたので、例えば複数のAD変換部のうちの一部が故障していた場合でも、その故障による影響を抑えることができるので、温度の検出精度を高めることができる。
【0169】
[変形例1]
上記実施の形態では、
図4,5に示したように、温度センサ32が、信号SIGTを読出部20のAD変換部ADCに直接供給したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、画素アレイを介して読出部のAD変換部に供給してもよい。以下に、本変形例について、いくつか例を挙げて詳細に説明する。
【0170】
図20は、本変形例に係る撮像装置1Aの一構成例を表すものである。撮像装置1Aは、画素アレイ9Aと、読出部20Aと、撮像制御部30Aを備えている。
【0171】
画素アレイ9Aには、撮像画素領域RG1およびダミー画素領域RG2が設けられている。撮像画素領域RG1には、複数の撮像画素P1が配置され、ダミー画素領域RG2には、1行分の複数のダミー画素P2が配置される。この例では、ダミー画素領域RG2は、撮像画素領域RG1の垂直方向(
図20における縦方向)における上に配置されている。
【0172】
図21は、ダミー画素領域RG2におけるダミー画素P2の一構成例を表すものである。画素アレイ9Aは、ダミー画素領域RG2において、制御線SIGTLと、制御線SELLとを有している。制御線SIGTLは、水平方向(
図21における横方向)に延伸するものであり、制御線SIGTLには、撮像制御部30Aの温度センサ32により信号SIGTが印加される。制御線SELLは、水平方向に延伸するものであり、制御線SELLには、走査部10により信号SSELが印加される。
【0173】
ダミー画素P2は、トランジスタAMP,SELを有している。トランジスタAMPのゲートは制御線SIGTLに接続され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースはトランジスタSELのドレインに接続されている。トランジスタSELのゲートは制御線SELLに接続され、ドレインはトランジスタAMPのソースに接続され、ソースは信号線SGLに接続されている。この構成により、ダミー画素P2では、トランジスタSELがオン状態になることにより、トランジスタAMPが、信号SIGTの電圧に応じた信号SIGを、トランジスタSELを介して信号線SGLに出力するようになっている。
【0174】
図22は、読出部20Aの一構成例を表すものである。読出部20Aは、複数のAD変換部ADC2(AD変換部ADC2[0],ADC2[1],ADC2[2],…)を有している。AD変換部ADC2は、上記実施の形態に係るAD変換部ADC(
図4)からトランジスタ28,29を省いたものである。このトランジスタ28は、ダミー画素P2(
図21)におけるトランジスタAMPに対応し、トランジスタ29は、ダミー画素P2におけるトランジスタSELに対応している。
【0175】
撮像制御部30A(
図20)は、走査部10、読出部20A、および信号処理部40に制御信号を供給し、これらの回路の動作を制御することにより、撮像装置1Aの動作を制御するものである。撮像制御部30Aの温度センサ32は、生成した信号SIGTを、画素アレイ9Aのダミー画素領域RG2における制御線SIGTLに印加することにより、信号SIGTを複数のダミー画素P2に供給するようになっている。
【0176】
この構成により、撮像装置1Aでは、上記実施の形態に係る撮像装置1と同様に、ブランキング期間T20を利用して、ダミー画素P2を動作させることにより、温度検出を行うことができる。
【0177】
図23は、本変形例に係る他の撮像装置1Bの一構成例を表すものである。撮像装置1Bは、画素アレイ9Bと、読出部20Aと、撮像制御部30Bと、信号処理部40Bとを備えている。
【0178】
画素アレイ9Bには、撮像画素領域RG1およびダミー画素領域RG3が設けられている。ダミー画素領域RG3には、1列分の複数のダミー画素P2が配置される。この例では、ダミー画素領域RG3は、撮像画素領域RG1の水平方向(
図23における横方向)における左に配置されている。
【0179】
撮像制御部30Bは、走査部10、読出部20A、および信号処理部40Bに制御信号を供給し、これらの回路の動作を制御することにより、撮像装置1Bの動作を制御するものである。撮像制御部30Bの温度センサ32は、生成した信号SIGTを、画素アレイ9Bのダミー画素領域RG3における複数のダミー画素P2に供給するようになっている。
【0180】
信号処理部40Bは、温度演算部42Bを有している。温度演算部42Bは、画像信号DATA0に含まれる、信号SIGTに基づいて得られたデジタルコードCODEに基づいて、温度値を示す温度コードTCを生成するものである。具体的には、温度演算部42Bは、AD変換部ADCから得られたデジタル値VALTに基づいて演算処理を行うことにより、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成する。そして、温度演算部42Bは、記憶部8に記憶されたキャリブレーションパラメータPCAL(後述)に基づいて温度コードTC1に対して補正処理を行うことにより、温度コードTCを生成するようになっている。
【0181】
この構成により、撮像装置1Bでは、ブランキング期間T20以外の期間において、撮像動作を行いつつ、温度検出を行うことができる。
【0182】
[変形例2]
上記実施の形態では、
図9に示したように、撮像装置1を1枚の半導体基板200に形成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図24に示す撮像装置1Cのように、複数(この例では2枚)の半導体基板(半導体基板301,302)に形成してもよい。この例では、半導体基板301および半導体基板302は重ね合あわされ、複数のビア303を介して互いに接続されている。半導体基板301には、例えば、画素アレイ9を形成することができる。また、半導体基板302には、走査部10、読出部20、撮像制御部30、および信号処理部40を形成することができる。例えば、半導体基板301における複数の制御線TGLL,FDGL,RSTL,FCGL,TGSL,SELLは、複数のビア303Aを介して、半導体基板302における走査部10に接続される。また、例えば、半導体基板301における複数の信号線SGLが、複数のビア303Bを介して、半導体基板302における読出部20に接続される。なお、各回路の配置は、これに限定されるものではなく、例えば、走査部10を半導体基板301に形成してもよい。
【0183】
図25は、半導体基板302における回路配置の一例を表すものである。半導体基板302の中央付近には、周辺回路部311が形成される。この周辺回路部311は、撮像制御部30および信号処理部40に対応するものである。そして、
図25において、この周辺回路部311の左には走査部10が形成され、周辺回路部311の上には、読出部20が形成される。また、半導体基板302の左端には複数のパッド電極PADが並設された端子部312が設けられ、同様に、半導体基板302の右端には、複数のパッド電極PADが並設された端子部313が設けられている。温度センサ32は、周辺回路部311が形成された領域の領域内に形成される。
【0184】
周辺回路部311の下には、2つのパッド電極PAD2が並設された端子部314が設けられている。端子部314は、温度センサ32の近くに配置されることが望ましい。具体的には、端子部314と温度センサ32との間の距離は、
図25に示したように、端子部314と読出部20との間の距離よりも短くすることが望ましい。
【0185】
[変形例3]
上記実施の形態では、複数の撮像画素P11のそれぞれに2つのフォトダイオードPD1,PD2を設けたが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係る撮像装置2について、詳細に説明する。
【0186】
図26は、撮像装置2の一構成例を表すものである。撮像装置2は、画素アレイ59と、走査部50と、読出部20と、撮像制御部60と、信号処理部70とを備えている。
【0187】
画素アレイ59は、複数の撮像画素P11がマトリックス状に配置されたものである。
【0188】
図27は、撮像画素P11の一構成例を表すものである。画素アレイ59は、複数の制御線TGLLと、複数の制御線RSTLと、複数の制御線SELLと、複数の信号線SGLとを有している。制御線TGLLは、水平方向(
図26における横方向)に延伸するものであり、制御線TGLLには、走査部50により信号STGが印加される。制御線RSTLは、水平方向に延伸するものであり、制御線RSTLには、走査部50により信号SRSTが印加される。制御線SELLは、水平方向に延伸するものであり、制御線SELLには、走査部50により信号SSELが印加される。信号線SGLは、垂直方向(
図27における縦方向)に延伸するものであり、読出部20に接続されている。
【0189】
撮像画素P11は、フォトダイオードPDと、トランジスタTGと、トランジスタRSTと、フローティングディフュージョンFDと、トランジスタAMP,SELとを有している。トランジスタTG,RST,SELは、この例ではN型のMOSトランジスタである。フォトダイオードPDは、受光量に応じた量の電荷を生成して内部に蓄積する光電変換素子である。フォトダイオードPDのアノードは接地され、カソードはトランジスタTGのソースに接続されている。トランジスタTGのゲートは制御線TGLLに接続され、ソースはフォトダイオードPDのカソードに接続され、ドレインはフローティングディフュージョンFDに接続されている。トランジスタRSTのゲートは制御線RSTLに接続され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースはフローティングディフュージョンFDに接続されている。
【0190】
この構成により、撮像画素P11では、制御線SELLに印加された信号SSELに基づいてトランジスタSELがオン状態になることにより、撮像画素P11が信号線SGLと電気的に接続される。そして、撮像画素P11は、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VPを、信号SIGとして、信号線SGLに出力する。具体的には、撮像画素P11は、後述するように、いわゆる水平期間H内の2つの期間(P相期間TPおよびD相期間TD)において、2つの画素電圧VP(VP11,VP12)を順次出力するようになっている。
【0191】
図28は、フォトダイオードPDの配列の一例を表すものである。
図28において、“R”は赤色のカラーフィルタを示し、“G”は緑色のカラーフィルタを示し、“B”は青色のカラーフィルタを示す。フォトダイオードPDはマトリクス状に配置されている。
【0192】
走査部50(
図26)は、撮像制御部60からの指示に基づいて、画素ラインL単位で、画素アレイ59における撮像画素P11を順次駆動するものである。走査部50は、アドレスデコーダ11と、ロジック部52と、ドライバ部53とを有している。ロジック部52は、アドレスデコーダ11からの指示に基づいて、各画素ラインLに対応する信号STG1,SRST1,SSEL1をそれぞれ生成するものである。ドライバ部53は、各画素ラインLに対応する信号STG1,SRST1,SSEL1に基づいて、各画素ラインLに対応する信号STG,SRST,SSELをそれぞれ生成するものである。
【0193】
撮像制御部60(
図26)は、走査部50、読出部20、および信号処理部70に制御信号を供給し、これらの回路の動作を制御することにより、撮像装置2の動作を制御するものである。撮像制御部60は、参照信号生成部61を有している。参照信号生成部61は、参照信号REFを生成するものである。参照信号REFは、AD変換を行う2つの期間(P相期間TPおよびD相期間TD)において、時間の経過に応じて電圧レベルが徐々に低下する、いわゆるランプ波形を有するものである。
【0194】
信号処理部70は、画像処理部71を有している。画像処理部71は、画像信号DATA0が示す画像に対して、所定の画像処理を行うものである。
【0195】
撮像装置2では、撮像装置1の場合(
図13)と同様に、蓄積開始駆動D1および読出駆動D2が行われる。
【0196】
図29は、撮像装置2の一動作例を表すものであり、(A)は水平同期信号XHSの波形を示し、(B)は0番目の画素ラインLに係る制御線RSTL(0)における信号SRST(0)の波形を示し、(C)は0番目の画素ラインLに係る制御線TGLL(0)における信号STG(0)の波形を示し、(D)は0番目の画素ラインLに係る制御線SELL(0)における信号SSEL(0)の波形を示し、(E)は1番目の画素ラインLに係る制御線RSTL(1)における信号SRST(1)の波形を示し、(F)は1番目の画素ラインLに係る制御線TGLL(1)における信号STG(1)の波形を示し、(G)は1番目の画素ラインLに係る制御線SELL(1)における信号SSEL(1)の波形を示し、(H)は2番目の画素ラインLに係る制御線RSTL(2)における信号SRST(2)の波形を示し、(I)は2番目の画素ラインLに係る制御線TGLL(2)における信号STG(2)の波形を示し、(J)は2番目の画素ラインLに係る制御線SELL(2)における信号SSEL(2)の波形を示す。
【0197】
蓄積開始駆動D1では、走査部50は、例えば、垂直方向において上から順に、画素ラインL単位で、水平期間H内の所定の期間においてトランジスタTG,RSTをオン状態に設定する。これにより、複数の画素Pのそれぞれでは、読出駆動D2が行われるまでの蓄積期間T10において、電荷が蓄積される。
【0198】
そして、読出駆動D2では、走査部50は、例えば、垂直方向において上から順に、画素ラインL単位で、トランジスタTG,RST,SELの動作を制御する。これにより、複数の画素Pのそれぞれは、2つの画素電圧VP(VP11,VP12)を順次出力する。読出部20は、これらの2つの画素電圧VP11,VP12に基づいてそれぞれAD変換を行い、デジタルコードCODEを出力する。
【0199】
図30は、着目した撮像画素P11Aにおける読出駆動D2の一動作例を表すものであり、(A)は水平同期信号XHSの波形を示し、(B)は信号SRSTの波形を示し、(C)は信号STGの波形を示し、(D)は信号SSELの波形を示し、(E)は参照信号REFの波形を示し、(F)は信号SIGの波形を示し、(G)はAD変換部ADCのコンパレータ24から出力される信号CMPの波形を示し、(H)はクロック信号CLKの波形を示し、(I)はAD変換部ADCのカウンタ25におけるカウント値CNTを示す。ここで、
図30(E)の参照信号REFは、コンパレータ24の正入力端子における波形を示し、
図30(F)の信号SIGは、コンパレータ24の負入力端子における波形を示す。
【0200】
撮像装置2では、ある水平期間(H)において、まず、走査部50が、撮像画素P11Aに対してリセット動作を行い、AD変換部ADCが、その後のP相期間TPにおいて、撮像画素P11Aが出力した画素電圧VP11に基づいてAD変換を行う。そして、走査部50が、撮像画素P11Aに対して電荷転送動作を行い、AD変換部ADCが、D相期間TDにおいて、撮像画素P11Aが出力した画素電圧VP12に基づいてAD変換を行う。以下にこの動作について詳細に説明する。
【0201】
まず、タイミングt91において、水平期間Hが開始すると、走査部50は、タイミングt92において、信号SSELの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図30(D))。これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタSELがオン状態になり、撮像画素P11Aが信号線SGLと電気的に接続される。
【0202】
次に、タイミングt93において、走査部50は、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図30(B))。これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタRSTがオン状態になり、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定される(リセット動作)。
【0203】
次に、タイミングt94において、走査部50は、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図30(B))。これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。そして、コンパレータ24は、タイミングt94~t95の期間において、正入力端子および負入力端子を電気的に接続するゼロ調整を行う。
【0204】
次に、タイミングt95において、コンパレータ24は、ゼロ調整を終了し、正入力端子および負入力端子を電気的に切断する。そして、このタイミングt95において、参照信号生成部61は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図30(E))。
【0205】
これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタSELはオン状態になり、トランジスタTG,RSTはそれぞれオフ状態になる。フローティングディフュージョンFDは、タイミングt93~t94の期間においてフローティングディフュージョンFDがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素P11Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP11)を出力する。
【0206】
次に、タイミングt96~t98の期間(P相期間TP)において、読出部20は、この画素電圧VP11に基づいてAD変換を行う。具体的には、まず、タイミングt96において、撮像制御部60は、クロック信号CLKの生成を開始し(
図30(H))、これと同時に、参照信号生成部61は、参照信号REFの電圧を、電圧V1から所定の変化度合いで低下させ始める(
図30(E))。これに応じて、AD変換部ADCのカウンタ25は、カウント動作を開始し、カウント値CNTを順次変化させる(
図30(I))。
【0207】
そして、タイミングt97において、参照信号REFの電圧が画素電圧VP11を下回る(
図30(E),(F))。これに応じて、AD変換部ADCのコンパレータ24は、信号CMPの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図30(G))。その結果、カウンタ25は、カウント動作を停止する(
図30(I))。
【0208】
次に、タイミングt98において、撮像制御部60は、P相期間TPの終了に伴い、クロック信号CLKの生成を停止する(
図30(H))。これと同時に、参照信号生成部61は、参照信号REFの電圧の変化を停止させ、その後のタイミングt99において、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図30(E))。これに伴い、参照信号REFの電圧が画素電圧VP11を上回るので(
図30(E),(F))、AD変換部ADCのコンパレータ24は、信号CMPの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図30(G))。
【0209】
次に、タイミングt100において、AD変換部ADCのカウンタ25は、制御信号CCに基づいて、カウント値CNTの極性を反転する(
図30(I))。
【0210】
次に、タイミングt101において、走査部50は、信号STGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図30(C))。これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタTGがオン状態になり、その結果、フォトダイオードPDで発生した電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される(電荷転送動作)。これに応じて、信号SIGの電圧は低下する(
図30(F))。
【0211】
そして、タイミングt102において、走査部50は、信号STGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図30(C))。これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタTGがオフ状態になる。
【0212】
これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタSELはオン状態になり、トランジスタTG,RSTはそれぞれオフ状態になる。フローティングディフュージョンFDは、タイミングt101~t102の期間においてフォトダイオードPDから転送された電荷を保持している。撮像画素P11Aは、このときのフローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP12)を出力する。
【0213】
次に、タイミングt103~t105の期間(D相期間TD)において、読出部20は、画素電圧VP12に基づいてAD変換を行う。具体的には、まず、タイミングt103において、撮像制御部60は、クロック信号CLKの生成を開始し(
図30(H))、これと同時に、参照信号生成部61は、参照信号REFの電圧を、電圧V1から所定の変化度合いで低下させ始める(
図30(E))。これに応じて、AD変換部ADCのカウンタ25は、カウント動作を開始し、カウント値CNTを順次変化させる(
図30(I))。
【0214】
そして、タイミングt104において、参照信号REFの電圧が画素電圧VP12を下回る(
図30(E),(F))。これに応じて、AD変換部ADCのコンパレータ24は、信号CMPの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図30(G))。その結果、カウンタ25は、カウント動作を停止する(
図30(I))。このようにして、AD変換部ADCは、画素電圧VP11,VP12の差に応じたカウント値CNTを得る。そして、AD変換部ADCのラッチ26は、このカウント値CNTを、デジタルコードCODEとして出力する。
【0215】
次に、タイミングt105において、撮像制御部60は、D相期間TDの終了に伴い、クロック信号CLKの生成を停止する(
図30(H))。これと同時に、参照信号生成部61は、参照信号REFの電圧の変化を停止させ、その後のタイミングt106において、参照信号REFの電圧を電圧V2に変化させる(
図30(E))。これに伴い、参照信号REFの電圧が画素電圧VP12を上回るので(
図30(E),(F))、AD変換部ADCのコンパレータ24は、信号CMPの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図30(G))。
【0216】
次に、タイミングt107において、走査部50は、信号SSELの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図30(D))。これにより、撮像画素P11Aでは、トランジスタSELがオフ状態になり、撮像画素P11Aが信号線SGLから電気的に切り離される。
【0217】
そして、タイミングt108において、AD変換部ADCのカウンタ25は、制御信号CCに基づいて、カウント値CNTを“0”にリセットする(
図30(I))。
【0218】
このように、撮像装置2では、P相期間TPにおいて画素電圧VP11に基づいてカウント動作を行い、カウント値CNTの極性を反転したのちに、D相期間TDにおいて画素電圧VP12に基づいてカウント動作を行うようにした。これにより、撮像装置2は、画素電圧VP11,VP12の差電圧に応じたデジタルコードCODEを取得することができる。撮像装置2では、このような相関2重サンプリングを行うようにしたので、画素電圧VP12に含まれるノイズ成分を取り除くことができ、その結果、撮像画像の画質を高めることができる。
【0219】
撮像装置2は、上記実施の形態に係る撮像装置1と同様に、ブランキング期間T20を利用して、温度検出を行う。具体的には、読出部20のAD変換部ADCは、ブランキング期間T20のうちの、水平期間H(
図30)と同じ長さの検出期間Mにおいて、信号SIGTに基づいてAD変換を行う。検出期間Mでは、参照信号生成部61および読出部20は、水平期間H(
図30)と同様の動作を行う。この検出期間Mでは、撮像制御部30は、信号SSELT(
図4)を高レベルにする。これにより、読出部20では、複数のAD変換部ADCのそれぞれにおいて、トランジスタ29がオン状態になり、温度センサ32が生成した信号SIGTに応じた信号が、トランジスタ29および容量素子22を介してコンパレータ24の負入力端子に供給される。そして、AD変換部ADCは、上記実施の形態の場合(
図18)と同様に、P相期間TPにおいて、信号SIGTにおける電圧VDD2に基づいてAD変換を行うとともに、D相期間TDにおいて、信号SIGTにおける電圧Vtemp2に基づいてAD変換を行うことにより、デジタルコードCODEを生成する。
【0220】
温度演算部42は、このデジタルコードCODEをデジタル値VALTとして用い、
図6(B)に示したように、デジタル値VALTに基づいて演算処理を行うことにより、温度の変化に対して線形に変化する温度コードTC1を生成する。このようにして、温度演算部42は、複数のAD変換部ADCから得られた複数のデジタル値VALTに基づいて、複数の温度コードTC1をそれぞれ生成する。
【0221】
次に、温度演算部42は、記憶部8に記憶されたキャリブレーションパラメータPCALを用いて、例えば、
図7に示したように、キャリブレーションパラメータPCALが示す値の分だけ温度コードTC1をシフトすることにより、この温度コードTC1を補正する。このようにして、温度演算部42は、演算処理により生成された複数の温度コードTC1のそれぞれに対して補正処理を行う。
【0222】
そして、温度演算部42は、補正された複数の温度コードTC1が示す値の平均値を求めることにより、温度コードTCを生成する。
【0223】
[変形例4]
上記実施の形態では、例えば、画素アレイ9において、同じ制御線TGLL,FDGL,RSTL,FCGL,TGSL,SELLに接続された複数の画素を水平方向に並設したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図31に示す撮像装置1Dのように、同じ制御線TGLL,FDGL,RSTL,FCGL,TGSL,SELLに接続された複数(この例では4つ)の画素を垂直方向に並設してもよい。この撮像装置1Dは、画素アレイ9Dと、走査部10Dと、読出部20D1,20D2と、撮像制御部30Dと、信号処理部40Dとを備えている。画素アレイ9Dの偶数番目(0番目、2番目、4番目、…)の信号線SGLは読出部20D1に接続され、画素アレイ9Dの奇数番目(1番目、3番目、5番目、…)の信号線SGLは読出部20D2に接続されている。制御線TGLL,FDGL,RSTL,FCGL,TGSL,SELLは、走査部10Dに接続されている。この例では、同じ制御線TGLL,FDGL,RSTL,FCGL,TGSL,SELLに接続された4つの画素Pが垂直方向(
図31における縦方向)に並設されている。走査部10Dは、ロジック部12Dと、ドライバ部13Dとを有している。読出部20D1は、画素アレイ9Dから偶数番目の信号線SGLを介して供給された信号SIGに基づいてAD変換を行うことにより、画像信号DATAD1を生成するものである。読出部20D2は、画素アレイ9Dから奇数番目の信号線SGLを介して供給された信号SIGに基づいてAD変換を行うことにより、画像信号DATAD2を生成するものである。信号処理部40Dは、画像信号DATAD1,DATAD2が示す画像に対して、信号処理を行うものである。
【0224】
[変形例5]
上記実施の形態では、各AD変換部ADCを、画素アレイ9における1列分の複数の画素Pに接続したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、
図32に示す撮像装置1Eのように、各AD変換部ADCを、所定のエリアに属する複数の撮像画素P1に接続してもよい。この撮像装置1Eは、2枚の半導体基板401,402に形成されている。半導体基板401には、画素アレイ9が形成されている。この画素アレイ9は、複数(この例では21個)のエリアARに区分され、各エリアARは、複数(この例では160個)の撮像画素P1を含んでいる。半導体基板402には、読出部20が形成されている。具体的には、半導体基板402には、半導体基板401における複数のエリアARに対応する複数の領域のそれぞれに、そのエリアARに属する複数の撮像画素P1に接続されるAD変換部ADCが形成されている。半導体基板401および半導体基板402は重ね合あわされ、接続部403により、例えばCu-Cu接続を用いて互いに電気的に接続されている。なお、この例では、画素アレイ9を21個のエリアARに区分したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば20個以下または22個以上のエリアARに区分してもよい。また、この例では、各エリアARに160個の撮像画素P1を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば159個以下または161個以上の撮像画素P1を設けてもよい。
【0225】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0226】
<2.撮像装置の使用例>
図33は、上記実施の形態に係る撮像装置1等の使用例を表すものである。上述した撮像装置1等は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0227】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、テレビジョンや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0228】
<3.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0229】
図34は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0230】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図34に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0231】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0232】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0233】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0234】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0235】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0236】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0237】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0238】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0239】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図34の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0240】
図35は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0241】
図35では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0242】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0243】
なお、
図35には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0244】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0245】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0246】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0247】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0248】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。これにより、車両制御システム12000では、撮像部12031における温度が正常であるかどうかどうかを検出することができる。そして、温度が異常である場合には、例えば、その検出結果をマイクロコンピュータ12051に通知することにより、車両制御システム12000は、撮像部12031に不具合が生じたことを把握することができる。これにより、車両制御システム12000では、例えば運転者に注意喚起を促すなどの適切な処理を行うことができるため、信頼性を高めることができる。また、車両制御システム12000では、検出結果に基づいて、車両を制御する機能を制限することができる。車両を制御する機能の具体例としては、車両の衝突回避あるいは衝突緩和機能、車間距離に基づく追従走行機能、車速維持走行機能、車両の衝突警告機能、車両のレーン逸脱警告機能等が挙げられる。撮像部12031における温度が異常であると判定された場合、車両を制御する機能を制限し、あるいは禁止することができる。具体的には、車両制御システム12000は、ブレーキ、エンジン出力、トランスミッションを制御することができる。これにより、車両制御システム12000では、撮像部12031における温度が異常であることに基づく誤検知に起因した事故を防止することができる。
【0249】
また、例えば、車両制御システム12000が、2つの冗長な撮像部12031(撮像部12031A,12031B)を備えている場合において、一方の撮像部12031Aにおける温度が異常であると判定され、撮像部12031Aの不具合が疑われる場合には、他方の撮像部12031Bを動作させるようにしてもよい。また、例えば、車両制御システム12000が、撮像部12031に加え、対象物までの距離を検出する測距部(例えばLIDAR装置(Light Detection and Ranging)やTOF(Time Of Flight)イメージセンサ)を備えている場合には、撮像部12031における温度が異常であると判定された場合に、測距部を動作させるようにしてもよい。この場合、少なくとも対象物までの距離を検出することができるため、撮像部12031における温度の異常に基づく誤検知に起因した事故を防止することができる。
【0250】
以上、実施の形態および変形例、ならびにそれらの具体的な応用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0251】
例えば、撮像装置1では、
図17に示したように、読出部20がデジタルコードCODE2,CODE3を出力し、画像処理部41が、デジタルコードCODE3からデジタルコードCODE2を減算(CODE3-CODE2)することにより、画素値VAL1を算出したが、これに限定されるものではない。これに代えて、読出部20が、変形例3に係る撮像装置2の場合(
図30)と同様に、変換期間T2の後にカウント値CNTの極性を反転することにより、デジタルコードCODE2,CODE3の差に対応するデジタルコードCODEを出力してもよい。デジタルコードCODE5,CODE6についても同様であり、デジタルコードCODE7,CODE8についても同様であり、デジタルコードCODEA,CODEBについても同様である。
【0252】
また、例えば、撮像装置1では、
図12に示したように、読出部20がデジタルコードCODE1,CODE4を出力し、画像処理部41が、デジタルコードCODE4からデジタルコードCODE1を減算(CODE4-CODE1)することにより、画素値VAL2を算出したが、これに限定されるものではない。これに代えて、読出部20が、変換期間T1の後に、そのときのカウント値CNTを一旦内部に記憶しておき、変換期間T4の前に、そのカウント値CNTをカウンタ25にセットするとともにそのカウント値CNTの極性を反転してもよい。この場合でも、第2の実施の形態に係る撮像装置2の場合(
図30)と同様に、読出部20は、デジタルコードCODE1,CODE4の差に対応するデジタルコードCODEを出力することができる。
【0253】
また、例えば、撮像装置1は、
図1等に示した構成に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。同様に、例えば、撮像装置2は、
図26等に示した構成に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0254】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0255】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0256】
(1)第1の半導体基板に形成され、撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理を行うことが可能な処理部と、
前記第1の半導体基板に形成され、温度に応じた検出信号を生成可能な温度センサと、
前記第1の半導体基板に形成され、前記第1の半導体基板に形成された回路と電気的に絶縁された第1のパッド電極と
を備えた撮像装置。
(2)前記温度センサは、前記第1の半導体基板の前記処理部が形成された領域の領域内に形成された
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記第1の半導体基板に形成された変換部をさらに備え、
前記撮像部は、撮像画素を有し、
前記変換部は、前記撮像画素から供給された画素信号に基づいてAD変換を行うことにより前記画像データを生成することが可能であり、
前記第1のパッド電極と前記温度センサとの間の距離は、前記第1のパッド電極と前記変換部との間の距離よりも短い
前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)前記第1の半導体基板の周辺領域に並設された複数の入出力パッド電極をさらに備え、
前記第1のパッド電極の面積は、前記複数の入出力パッド電極の面積よりも大きい
前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像装置。
(5)前記第1の半導体基板の前記第1のパッド電極と隣り合う位置に形成され、前記第1の半導体基板に形成された回路と電気的に絶縁されるとともに前記第1のパッド電極に電気的に接続された第2のパッド電極をさらに備えた
前記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像装置。
(6)前記第1の半導体基板に形成された前記撮像部をさらに備えた
前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7)第2の半導体基板に形成された前記撮像部をさらに備え、
前記第2の半導体基板は、前記第1の半導体基板に重ね合わせられた
前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(8)撮像部と、
前記撮像部により得られた画像データに基づいて、所定の画像処理を行うことが可能な処理部と、
温度に応じた検出信号を生成可能な温度センサと、
前記検出信号に基づいて、前記温度センサが動作可能な温度範囲が区分された複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成可能な演算部と
を備えた撮像装置。
(9)前記複数の温度範囲は、第1の温度範囲と、第2の温度範囲とを含み、
前記演算処理は、
前記第1の温度範囲において、前記検出信号に基づいて、第1の関数を用いて前記温度コードを生成可能であり、
前記第2の温度範囲において、前記検出信号に基づいて、第2の関数を用いて前記温度コードを生成可能である
前記(8)に記載の撮像装置。
(10)前記第1の関数および前記第2の関数は、1次関数である
前記(9)に記載の撮像装置。
(11)前記撮像装置の検査装置により検出された前記撮像装置の温度についての情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記演算部は、前記記憶部に記憶された情報を用いて前記温度コードを補正する補正処理をさらに行うことが可能である
前記(8)から(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12)前記検出信号に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタルコードを生成可能な変換部をさらに備え、
前記演算部は、前記第1のデジタルコードに基づいて前記温度コードを生成可能である
前記(11)に記載の撮像装置。
(13)前記変換部は、前記検出信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第1のデジタルコードを生成可能な複数の変換回路を有し、
前記演算部は、前記複数の第1のデジタルコードに基づいて前記温度コードを生成可能である
前記(12)に記載の撮像装置。
(14)前記演算部は、前記複数の第1のデジタルコードに基づいて、前記演算処理を行うことにより複数の第1の温度コードを求め、前記複数の第1の温度コードのそれぞれに基づいて前記補正処理を行うことにより複数の第2の温度コードを求め、前記複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて前記温度コードを生成可能である
前記(13)に記載の撮像装置。
(15)前記演算部は、前記複数の第2の温度コードに基づいて前記複数の第2の温度コードのうちの1つを選択し、選択された前記第2の温度コードを、前記複数の変換回路のうちの前記選択された第2の温度コードを生成した変換回路と隣り合う変換回路が生成した第2の温度コードを用いて補正し、補正された前記第2の温度コードを含む前記複数の第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて前記温度コードを生成可能である
前記(14)に記載の撮像装置。
(16)前記演算部は、前記複数の第2の温度コードに基づいて前記複数の第2の温度コードのうちの1つを選択し、前記複数の第2の温度コードのうちの選択された前記第2の温度コード以外の複数の前記第2の温度コードが示す値の平均値に基づいて前記温度コードを生成可能である
前記(14)に記載の撮像装置。
(17)前記撮像部は、複数の撮像画素を有し、
前記複数の変換回路は、前記複数の撮像画素から供給された複数の画素信号に基づいてAD変換を行うことにより複数の第2のデジタルコードをそれぞれ生成可能であり、
前記処理部は、前記複数の第2のデジタルコードに基づいて前記所定の画像処理を行うことが可能である
前記(13)から(16)のいずれかに記載の撮像装置。
(18)検査装置が、撮像部により得られた画像データに基づいて所定の画像処理を行うことが可能な処理部が形成された第1の半導体基板に形成され、前記第1の半導体基板に形成された回路と電気的に絶縁された第1のパッド電極に熱電対を接触させることにより温度を測定することと、
前記検査装置が、前記測定された温度についての情報を、前記第1の半導体基板に形成された記憶部に記憶させることと、
前記第1の半導体基板に形成された温度センサが、温度に応じた検出信号を生成することと、
前記第1の半導体基板に形成された演算部が、前記検出信号に基づいて、前記温度センサが動作可能な温度範囲が区分された複数の温度範囲のそれぞれにおいて互いに異なる演算処理を行うことにより温度コードを生成することと、
前記演算部が、前記記憶部に記憶された情報を用いて前記温度コードを補正する補正処理を行うことと、
前記検査装置が、補正された前記温度コードを取得することと
を含むキャリブレーション方法。
【符号の説明】
【0257】
1,1A,1B,1C,1D,1E,2…撮像装置、8…記憶部、9,9A,9D,59…画素アレイ、10,10D,50…走査部、11…アドレスデコーダ、12,12D,52…ロジック部、13,13D,53…ドライバ部、20,20A,20D1,20D2…読出部、21,22…容量素子、23…電流源、24…コンパレータ、25…カウンタ、26…ラッチ、28,29…トランジスタ、30,30A,30B,30D,60…撮像制御部、31,61…参照信号生成部、32…温度センサ、40,40B,40D,70…信号処理部、41,71…画像処理部、42,42B…温度演算部、100…検査システム、101…ウエハ、110…検査装置、111…プローブ、111A,111B…プローブ針、112…検査部、113…ヒータ、200…半導体基板、201…周辺回路部、202~204…端子部、301,302…半導体基板、303…ビア、311…周辺回路部、312~314…端子部、401,402…半導体基板、403…接続部、ADC,ADC2…AD変換部、AMP,FCG,FDG,RST,SEL,TG,TGL,TGS…トランジスタ、AR…エリア、BJT1,BJT2…バイポーラトランジスタ、BUS…バス配線、CC…制御信号、CLK…クロック信号、CODE,CODE1~CODE8,CODEA,CODEB…デジタルコード、DATA0,DATA,DATAD1,DATAD2…画像信号、D1…蓄積開始駆動、D2…読出駆動、ER…エラーフラグ信号、FC…容量素子、FCGL,FDGL,RSTL,SELL,SIGTL,TGLL,TGSL…制御線、FD…フローティングディフュージョン、MP1~MP3,MN1,MN2…トランジスタ、PAD,PAD2,PAD3…パッド電極、PCAL…キャリブレーションパラメータ、PD,PD1,PD2…フォトダイオード、P1,P11…撮像画素、P2…ダミー画素、REF…参照信号、RG1…撮像画素領域、RG2,RG3…ダミー画素領域、R1~R3…抵抗素子、SFCG,SFDG,SIG,SIGT,SRST,SSEL,SSELT,STG,STGL,STGS…信号、SSW…制御信号、SW…スイッチ部、SWT…スイッチ、TC,TC1…温度コード、Trange1,Trange2…温度範囲、T1~T8,TA,TB…変換期間、T10…蓄積期間、T20…ブランキング期間、VAL1~VAL4…画素値、VALT…デジタル値、VDD…電源電圧、VP1~VP8,VP11,VP12…画素電圧、Vtemp…電圧、XHS…水平同期信号。