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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】噴流旋回方式脱ガス装置及びガスノズル
(51)【国際特許分類】
   B22D 1/00 20060101AFI20220525BHJP
   B22D 21/04 20060101ALI20220525BHJP
   C22B 9/05 20060101ALI20220525BHJP
   C22B 21/06 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B22D1/00 K
B22D1/00 B
B22D21/04 A
C22B9/05
C22B21/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017243216
(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公開番号】P2019098396
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】598028349
【氏名又は名称】株式会社サタコ
(73)【特許権者】
【識別番号】592103497
【氏名又は名称】日本ファンドリーサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100141379
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 淳
(72)【発明者】
【氏名】青沼 三郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大二
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-063472(JP,A)
【文献】特開昭62-297422(JP,A)
【文献】特開平05-312485(JP,A)
【文献】特開昭62-205237(JP,A)
【文献】特開昭63-100142(JP,A)
【文献】特開平06-158192(JP,A)
【文献】特開2000-129365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 1/00,21/04,
C22B 9/05,21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置において、前記アルミニウム溶湯炉の底面及び内周面から所定距離を隔てて設置した噴流式ガスノズルと、この噴流式ガスノズルに不活性ガスを供給する不活性ガス供給管と、この不活性ガス供給管に不活性ガスを送出する不活性ガス発生装置とを備え、
前記不活性ガス供給管は、前記アルミニウム溶湯炉の内周面に沿って設けられ、
前記噴流式ガスノズルから不活性ガスを噴出させて、前記溶湯炉内の溶融アルミニウム及びバブル状の不活性ガスの対流を起こさせ前記水素ガスや脱滓を溶湯上部に浮上させて除去するようにしたことを特徴とする噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項2】
前記噴流式ガスノズルの形状は、一筆書き状で、その両端はガスの入口あるいは出口となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項3】
前記噴流式ガスノズルの両端から不活性ガスを供給するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項4】
アルミニウム溶湯炉の底面から50~150mmを隔てて噴流式ガスノズルを設置するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項5】
噴流式ガスノズルに設けた不活性ガス噴出口の大きさは、0.2mm程度としたことを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項6】
前記噴流式ガスノズルへの不活性ガスの供給は、パルス制御装置によるパルス制御された不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項7】
前記溶湯中の前記不活性ガス供給管の途中に、前記溶湯の熱を利用して不活性ガスを温める熱吸収装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項8】
前記不活性ガスは、窒素あるいはアルゴンであることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の噴流旋回方式脱ガス装置。
【請求項9】
アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置に使用される噴流式ガスノズルであって、前記噴流式ガスノズルは、一筆書き状で、その両端はガスの入口あるいは出口となるように構成され、前記アルミニウム溶湯炉の内周面に沿って設けられる不活性ガス供給管と接続し、内周面から所定距離を隔てて設けられることを特徴とする噴流式ガスノズル。
【請求項10】
アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置に使用される噴流式ガスノズルであって、前記噴流式ガスノズルは、アルミニウム溶湯炉の底面から所定距離を隔てて設置されていることを特徴とする請求項9に記載の噴流式ガスノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルミニウム溶湯中内に発生する水素ガスや脱滓を簡単な装置で除去できる脱ガス装置及びガスノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム鋳造工場で品質劣化の原因となっている脱滓(懸濁物、酸化物)や水素ガスを除去する必要がある。すなわち、溶解終了後に溶湯中の酸化物や水素ガスを除去するために溶湯処理が行われる。この溶湯処理には酸化物の除去を行う脱滓処理と水素ガスの除去を行う脱ガス処理がある。
【0003】
溶湯中には、種々の酸化物や介在物が存在しており、これらが製品内に巻き込まれると、製品の機械的性質を阻害する。これらを取り除くために脱滓処理が行われる。脱滓には、塩化物系、フッ化物系のフラックスが用いられ、これらを溶湯表面に散布して攪拌する。フラックスは、溶湯中で分解して細かなガス気泡を発生し、酸化物がこのガス気泡に吸着され、浮上して分離される。
また、溶湯中には大気中の水素分圧に応じて水素ガスが吸収される。液相への水素溶解度は高いが、固相での水素溶解度は極めて低い。このため、溶湯中に吸収された水素のうちで凝固時に溶解限度を超えた水素は、分子状の水素ガスとして溶湯中に放出されて気泡となる。その結果、鋳造した製品内にピンホールが発生して機械的性質や耐圧性を阻害する。
【0004】
これらの対策として、従来は、図9に示すような回転攪拌式脱ガス装置が使用されている。図9(a)はこの回転攪拌式脱ガス装置の構成を概略的に示す図で、図9(a)において、101は溶湯炉、102は溶湯炉101内のアルミニウム溶湯、103は回転機構・制御機構104、回転シャフト105、回転子106を備えた回転・攪拌装置を示す。回転子106は図9(b)に示すように、車輪形状で、回転機構・制御機構104から送り込まれる不活性ガスを、その周囲あるいは上面から気泡107として噴出させるよう小さな孔が形成されている。図9に於いては、不活性ガスの例として窒素N2を例示しているが、アルゴンなどの他の不活性ガスでも同様である。
【0005】
なお、この回転子106の下部には開放式の溝が切ってあり、三面が囲われたガス通路と溶湯の圧力に囲われたガス通路であるため、無回転の場合は、ある程度大きな泡となってしまう。
泡のサイズを小さくするためには、回転数を速めてガス泡を裁断する必要があるが、回転を速めると、水素ガスの除去には貢献するが、溶湯上部面に必要以上の渦ができ、溶湯炉壁面から空気を取り込んでしまい、正常なアルミまでも酸化を増やし、アルミ縣濁物が増え、撤去しなければならず、歩留りが悪くなるという懸念がある。
【0006】
ここで、回転式脱ガス装置によって水素ガスが除去されるメカニズムについて説明する。アルミニウム合金中に不活性ガスを吹き込むと、溶湯中の水素ガスが不活性ガス気泡へ拡散し、浮上除去される。これは、雰囲気中の水素ガス分圧と、溶湯中の水素溶度の関係によるとされている。また、溶湯中に懸濁する非金属介在物の粒子は、多くの微細な不活性ガスの気泡に取り込まれ、浮上除去される。
【0007】
しかし、従来の回転攪拌式脱ガス装置では、回転駆動装置の重量物の上昇・下降作業がその都度発生し、作業が大変であること、回転シャフトが炭素製のため、衝撃に弱く破損しやすいこと、装置全体が高価であること、溶湯炉の設置状態によっては回転駆動装置・回転シャフトを使った作業ができない等の問題点があった。
【0008】
特開平05-312485号公報(特許文献1)は、金属溶湯中に攪拌用ガスを導入する装置に関するもので、図1には炉底の中央に渦巻き状のガス吹き込み管が配置されたものが記載されているが、炉底板の直上に設置されており、形状は渦巻き状と言うよりは、円形に近い形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平05-312485号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来の回転攪拌式脱ガス装置では、回転駆動装置の重量物の上昇・下降作業がその都度発生し、作業が大変であること、回転シャフトが炭素製のため、衝撃に弱く破損しやすいこと、装置全体が高価であること、溶湯炉の設置状態によっては回転駆動装置・回転シャフトを使った作業ができない等の問題点があった。この発明では、回転部分がなく簡単な装置で、溶湯炉内の脱滓を除去できる噴流旋回方式脱ガス装置を得ることを目的としている。
また、特許文献1に示された装置よりも、気泡サイズ・気泡発生数の制御が容易、短時間に気泡と溶湯を接触可能、溶湯表面に乱流を発生させないという効果をそなえた装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、アルミニウム溶湯炉内に発生する水素ガスや脱滓を除去する装置において、前記アルミニウム溶湯炉の底面から所定距離を隔てて設置した噴流式ガスノズルと、この噴流式ガスノズルに不活性ガスを供給する供給管と、この供給管に不活性ガスを送出する不活性ガス発生装置とを備え、前記噴流式ガスノズルから不活性ガスを噴出させて前記溶湯内に対流を起こさせ前記水素ガスや脱滓を溶湯上部に浮上させて除去するようにしたものである。
この請求項1の発明によれば、回転部分がなく簡単な装置で、溶湯炉内の水素ガスや脱滓を除去できる。また、従来の回転攪拌式脱ガス装置に比べ、設置が容易で、作業性が良いという効果がある。
【0012】
請求項2に記載の発明は、噴流式ガスノズルの形状を渦巻き形状などの一筆書き状にして、ガスノズル両端がガスの入口であり、出口でもあるようにしたことに特徴がある。このようにすることで、万遍なく気泡を生成でき、効率よく水素ガスや脱滓を除去できる。
請求項3に記載の発明は、噴流式ガスノズルの両端から不活性ガスを供給するようにしたことに特徴がある。このようにすることで、請求項2に記載のものよりもさらに万遍なく気泡を生成でき、効率よく水素ガスや脱滓を除去できる。
請求項4に記載の発明は、アルミニウム溶湯炉の底面から50~150mmを隔てて噴流式ガスノズルを設置するようにしたことに特徴がある。このようにすることで、溶湯炉内で窒素ガスの対流が効率よく行われ、水素ガスや脱滓を確実に除去できる。
請求項5に記載の発明は、噴流式ガスノズルに設けた不活性ガス噴出口の大きさは、0.2mm程度としたことに特徴がある。このようにすることで、溶湯炉内で不活性ガスの対流が効率よく行われ、水素ガスや脱滓を確実に除去できる。
請求項6に記載の発明は、不活性ガスの発生制御は、パルス制御装置によりパルス方式で制御するようにしたことに特徴がある。このようにすることで、ガスの発生・制御が容易で、調整の自由度がある。また、ガスの導入圧力とパルス幅とスピードの調整で不活性ガス気泡の粒径が自由に変えられるという効果がある。
請求項7に記載の発明は、溶湯中の不活性ガス供給管の途中に、溶湯の熱を利用して不活性ガスを温める熱吸収装置を設けたことに特徴がある。このようにすることで、溶湯の熱を利用して不活性ガスを温めることができ、別に不活性ガスを温める装置を設けずに済む。不活性ガスを温めることで、不活性ガスの純度が高くなり、溶湯の酸化を抑え、水素ガスや脱滓を確実に除去できる。
請求項8に記載の発明は、不活性ガスとして、窒素あるいはアルゴンを用いることを特徴とするものである。不活性ガスとして、窒素あるいはアルゴンを用いることで、非常に効率よく水素ガスや脱滓を除去できる。
【0013】
請求項9に記載の発明は、本発明の噴流旋回方式脱ガス装置に使用されるガスノズルの構造に関するもので、このガスノズルの形状が一筆書き状で、その両端はガスの入口あるいは出口となるように構成されているものである。
請求項10に記載の発明は、請求項9の記載に加え、ガスノズルは、アルミニウム溶湯炉の底面から所定距離を隔てて設置されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の噴流旋回方式脱ガス装置によれば、回転部分がなく簡単な装置で、溶湯炉内の水素ガスや脱滓を除去できる。また、従来の回転攪拌式脱ガス装置に比べ、設置が容易で、作業性が良い。
また、効率の良い噴流式ガスノズルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 本発明の噴流旋回方式脱ガス装置全体の構成を示す概略構成図
図2】 本発明の実施の形態1の溶湯炉及び脱ガス装置の側面図
図3】 本発明の実施の形態1に示す脱ガス装置の平面図
図4】 溶湯内水素ガス除去の原理を説明する図
図5】 本発明の実施の形態2に示す脱ガス装置の平面図
図6】 本発明の実施の形態2の変形例1の脱ガス装置の平面図
図7】 本発明の実施の形態2の変形例2の脱ガス装置の平面図
図8】 本発明の実施の形態3の溶湯炉及び脱ガス装置の側面図
図9】 従来の溶湯炉及び回転攪拌式脱ガス装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の噴流旋回方式脱ガス装置全体の構成を示す概略構成図で、1は電源、2はコンプレッサー内蔵の窒素ガス発生装置、3は酸素除去触媒、4はタッチパネル4a、高速電磁弁4bを備えたパルス制御装置、5はアルミニウム溶湯炉、6は噴流式ガスノズル、7は窒素供給管、8はアルミニウム溶湯、9は窒素ガス気泡である。
窒素ガス発生装置2で発生した窒素は、改質装置である酸素除去触媒3を経由して、パルス制御装置4からパルス状に窒素ガスが放出され、窒素供給管7を経由して溶湯炉5の底部付近に設置された噴流式ガスノズル6から噴出し、水素ガスや脱滓を溶湯炉5上部へ移動させ除去する。
なお、実施の形態1の装置は、ガス供給がパルス方式であり、ガス供給時に瞬時に供給口から各ノズル口に伝達される。また、ガス圧縮量を最小限に抑えることにより、順次送られるパルス供給ガスが正確にノズル部より排出され、細かい泡とその泡の量を間欠的に発生させ続けることが可能となっている。
【0017】
以下、この噴流旋回方式脱ガス装置の主要部である噴流式ガスノズル6について、図2を用いて詳細に説明する。噴流式ガスノズル6は、アルミニウム溶湯炉5の底部に配置されるが、溶湯炉5の底面との間に一定の距離hを保って配置される。この距離は、噴流式ガスノズル6から放出される窒素ガスが溶湯炉5内で対流し、攪拌効果が充分発揮できるように、50~150mmに選択される。なかでも、100mm程度が最も効率よく対流が得られる。
また、噴流式ガスノズル6の形状の平面図を示す図3に示すが、この噴流式ガスノズル6に設けるガス噴出口6aの大きさは、0.2mm程度が望ましい。
【0018】
窒素供給管7から注入された窒素ガスは、噴流式ガスノズル6から細かな気泡9となって上部に向けて放出される。この気泡9は図中矢印のように、噴流式ガスノズル6から上昇し、溶湯上面で外側に向かって回り込み、溶湯炉5の内面に沿って下降し、対流する。その際に、水素ガスや脱滓10を溶湯上面に移動させ、除去する。
【0019】
次に、図4を用いて、溶湯内水素ガス及び脱滓の除去について説明する。溶湯炉5内で加熱されたアルミ溶湯8は固相から液相に変わる時、水素ガスの溶解量が大きくなり気泡が残り、製品の品質を下げてしまう。そのため、窒素などの不活性ガスを吹込み、溶湯内に浮遊している水素ガスを不活性ガス気泡9内に移動させ浮上させて除去する。これは、不活性ガスの泡の水素分圧が低いことにより、浮遊の水素ガスが不活性ガスの泡の中に移動し、不活性ガスとともに浮上するためである。また、同時に不活性ガスの周囲に付着した酸化物などの脱滓10も湯面に浮上し除去される。なお、図4では不活性ガスの一例として、窒素を用いた例を示しているが、アルゴンを用いても同様な効果が得られる。
【0020】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に示す噴流式ガスノズル60の平面図である。この噴流式ガスノズル60は、ノズルの1本のパイプが渦巻き状に形成され、渦巻き状パイプの1箇所の窒素供給口60aから窒素ガスが供給され、パイプに形成されたガス噴出口60bから窒素ガスの気泡が放出される。なお、図5では、パイプに形成したガス噴出口60bはその一部を表示している。
この実施の形態2に示す渦巻き状の噴流式ガスノズル60も、溶湯炉5の底面との間に一定の距離50~150mmを保って配置される。
【0021】
図6は実施の形態2の変形例1で、この噴流式ガスノズル61は、ノズルの1本のパイプが渦巻き状に形成され、外側の窒素供給口61aと、内側の窒素供給口61bの双方から窒素ガスが供給されるように構成される。そのため、ガスノズル61の全体から万遍なく窒素ガスが溶湯内に噴出させることができる。
なお、この図6ではノズルの構成の概略を示しており、パイプの太さを省略し、またパイプに形成するガス噴出口も省略している。
この実施の形態2の変形例1に示す渦巻き状の噴流式ガスノズル61も、溶湯炉5の底面との間に一定の距離50~150mmを保って配置される。
【0022】
図7は実施の形態2の変形例2で、この噴流式ガスノズル62は渦巻き状のパイプが2本ほぼ等間隔で渦巻き状に構成されており、一方のパイプ62cには、外側の供給口62aから、もう一方のパイプ62dには、内側の供給口62bから窒素ガスが供給される構造としている。この場合にも、図6に示す実施の形態2の変形例1と同様にガスノズル62の全体から万遍なく窒素ガスが溶湯内に噴出させることができるという効果がある。
なお、この図6ではノズルの構成の概略を示しており、パイプの太さを省略し、またパイプに形成するガス噴出口も省略している。
この実施の形態2の変形例2に示す渦巻き状の噴流式ガスノズル62も、溶湯炉5の底面との間に一定の距離50~150mmを保って配置される。
【0023】
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3の溶湯炉及び脱ガス装置を示す側面図であり、図2に示す実施の形態1との違いは、溶湯8中の窒素ガス供給管7の途中に、窒素ガスを温める熱吸収装置11を設けた点である。この熱吸収装置11は約600度の溶湯の熱を利用して効率よく窒素ガスを温めることができる。この熱吸収装置11を設けることにより、供給する窒素の純度をさらに高めることができる。
この熱吸収装置11は、例えば窒素供給管7の一部を複数回屈曲させて表面積を拡げる、あるいは窒素供給管7の一部を複数本に分岐することにより表面積を拡げるなどの構成を取ることにより、効率的に溶湯8中の熱を窒素ガスに伝達することができる。
【0024】
なお、実施の形態1、形態2、形態3では、噴流式ガスノズル6、60、61、62を溶湯炉5内の底部に一段設置しているが、例えば上下二段のように複数段で設置することも可能である。特に、図7に示す実施の形態2の変形例2のような構成の場合、2本のパイプが近接するのを避けることができ、設置がしやすくなるという効果がある。その際でも、下段の噴流式ガスノズル底面と溶湯炉5の底面とは、一定の距離50~150mmを保って配置される。
また、上記実施の形態1から実施の形態3では、不活性ガスの例として窒素を取り上げて説明しているが、アルゴンを用いても同様な効果を得ることができる。
【0025】
以上述べたように、本発明の噴流旋回方式脱ガス装置によれば、設置が簡単、浮遊水素ガスが最短距離で浮上可能、360度噴流攪拌のため万遍ない攪拌が可能、ガスの発生制御がパルス方式のため調整の自由度がある、ガスの導入圧力とパルス幅とスピードの変化によりバブル(泡)の粒径の可変が可能といった数々のメリット、特徴がある。
【符号の説明】
【0026】
1:電源
2:窒素ガス発生装置
3:酸素除去触媒
4:パルス制御装置、4a:タッチパネル、4b:高速電磁弁
5:アルミニウム溶湯炉
6:噴流式ガスノズル、6a:ガス噴出口
7:窒素ガス供給管
8:溶湯
9:窒素ガス気泡
10:脱滓
11:熱吸収装置
60:噴流式ガスノズル、60a:窒素供給口、60b:ガス噴出口
61:噴流式ガスノズル、61a:外側の窒素供給口、61b:内側の窒素供給口
62:噴流式ガスノズル、62a:外側の供給口、62b:内側の供給口、62c:一方のパイプ62c、62d:もう一方のパイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9