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特許7078942感知システム用のモノリシック蛍光体合成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】感知システム用のモノリシック蛍光体合成物
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/14 20060101AFI20220525BHJP
   G01K 11/12 20210101ALI20220525BHJP
   G01L 1/24 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G01K11/14
G01K11/12 B
G01L1/24 Z
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021038441
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2021148787
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】16/844,880
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/818,968
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521102155
【氏名又は名称】アクセロバント テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ノア ジョン ジョー ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】オンドレイ メクル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ウィリアム ゴールドスタイン
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/098586(JP,A1)
【文献】国際公開第2014/007154(WO,A1)
【文献】特開2013-108494(JP,A)
【文献】特表2001-525926(JP,A)
【文献】特表2012-529023(JP,A)
【文献】国際公開第2010/103999(WO,A1)
【文献】特開2008-216183(JP,A)
【文献】米国特許第6251342(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 11/14
G01K 11/12
G01L 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.サーモグラフィ蛍光体と、
b.金属酸化物材料と、
を備え、
c.前記サーモグラフィ蛍光体は、前記金属酸化物材料と混合され、後に乾燥されると共にか焼されて、所定の形状及びサイズのモノリシック自立セラミック金属酸化物蛍光体合成物を形成する金属酸化物蛍光体合成材料を形成し、前記モノリシック自立セラミック金属酸化物蛍光体合成物は測定される物体のパラメータを測定するために使用される、物体のパラメータを測定するためのモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項2】
前記金属酸化物蛍光体合成材料は、約400~1500℃の温度で乾燥されてか焼される、請求項1のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項3】
前記サーモグラフィ蛍光体は、金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料を形成する金属酸化物ゾルゲル材料に注入される、請求項1のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項4】
前記金属酸化物材料は、金属酸化物ゾルゲル材料を得るために触媒を備えている、請求項3のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項5】
前記金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料は、乾燥及びか焼される前に、鋳型に注ぎ込まれるか又は所定の形状及び寸法にダイカストされる、請求項3のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項6】
前記金属酸化物蛍光体合成材料は、乾燥及びか焼される前に、所定の形状及び寸法に加圧される、請求項2のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項7】
前記金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料は、熱間プレス又は冷間プレスにより加圧される、請求項6のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項8】
前記サーモグラフィ蛍光体は、マンガンがドープされたMg4FGeO6:Mn及びこのクラス内のすべての可能性のあるストイキオメトリ、ユーロピウムがドープされたLa2O2S:Eu、ユーロピウムがドープされたY2O3:Eu、ユーロピウムがドープされたLuPO4:Eu、ジスプロシウムがドープされたYVO4:Dy、ジスプロシウムがドープされたYO:Dy、ジスプロシウムがドープされたLuPO4:Dy、ジスプロシウムがドープされたイットリウムアルミニウムガーネットYAG:Dy、及びそのいずれかの組み合わせの群から選択される、請求項1のモノリシックセラミック蛍光体合成物。
【請求項9】
前記金属酸化物は、シリカ(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、及びその組み合わせの群から選択される、請求項1のモノリシックセラミック蛍光体合成物。
【請求項10】
前記合成物の蛍光体の重量は、前記金属酸化物材料の重量に対応して2wt%から90wt%の間で変化する、請求項1のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物。
【請求項11】
前記測定するパラメータは測定される物体の温度である請求項1のモノリシックセラミック蛍光体合成物。
【請求項12】
前記測定するパラメータは測定される物体の圧力である請求項1のモノリシックセラミック蛍光体合成物。
【請求項13】
a.光導体を備える光ファイバープローブと、
b.前記光導体に動作可能に結合され、前記プローブの先端部への励起光と放射光を送信する光源と、
a.光導体を備える光ファイバープローブと、
b.前記光導体に動作可能に結合され、前記プローブの先端部への励起光と放射光を送信する光源と、
c.前記プローブの先端部に機能的に結合される請求項1の所定の形状及びサイズのモノリシック自立セラミック金属酸化物蛍光体合成物であって、前記励起光で照射される時に前記励起光と異なる波長の光を放射する、前記モノリシック自立セラミック金属酸化物蛍光体合成物と、
d.前記光ファイバープローブに動作可能に結合され、前記モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物から放射された光を検出するセンサーと、
e.前記センサーに機能的に結合され、前記モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物から放射された光を処理する処理装置であって、単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、寿命減衰、又は放射光の発光波長の変化が、測定するパラメータの関数である処理装置と、
を備える、物体のパラメータを測定するための光学デバイス。
【請求項14】
前記モノリシック自立セラミック金属酸化物蛍光体合成物は前記光ファイバープローブの先端部に配置され、前記光ファイバープローブは、測定の間、前記物体に接触している請求項13の光学デバイス。
【請求項15】
前記光源は200~600nmの波長範囲の励起光を供給する請求項13の光学デバイス。
【請求項16】
前記センサーはフォトダイオードである請求項13の光学デバイス。
【請求項17】
前記センサーに動作可能に結合され、前記放射光から励起光を分離する光スプリッターをさらに備える請求項13の光学デバイス。
【請求項18】
前記検出された信号を強める増幅器をさらに備える請求項13の光学デバイス。
【請求項19】
前記センサーにより得られたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータをさらに備える請求項13の光学デバイス。
【請求項20】
前記測定するパラメータは前記物体の温度である請求項13の光学デバイス。
【請求項21】
前記測定するパラメータは前記物体の圧力である請求項13の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にモノリシックセラミック蛍光体合成物に関し、特には測定される物体のパラメータを測定するためのモノリシックセラミック蛍光体合成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで特に示されていない限り、このセクションで説明される材料は本願のクレームに対して先行技術ではなく、このセクションに含まれることにより先行技術であると認められるものではない。
【0003】
一定の波長内の光により励起される時の蛍光体は異なる波長内の光を放射する。放射された光の特性は、明るさ、色、及び残光期間により変化する。温度に対する放射光の反応は、単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、寿命減衰、及び発光波長ピークの変化を分析する等、各種方法によって監視される。物体の温度を測定するために使用される蛍光体は、その表面に直接被覆されるかプローブ内に配置されるかのいずれかであり、その表面に接触させ、その後、光源により照射され、物体の温度は放射光の反応に基づき決定される。蛍光体は、一般にバインダーを使用して結合され、良好な熱接触を達成し、温度応答を均一にする。エポキシ及びポリシロキサンは、一般に化学的バインダーとして使用されるが、バインダーの限られた熱安定性により、数百度(200~400℃)の高温度感知のための蛍光体の使用を制限する。高温度感知のための化学的バインダーは熱的に安定であり、そのような化学的バインダーは、高温度の熱サイクル及び長時間の曝露の下で、サーモグラフィ蛍光体の温度応答を変えるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様では、物体のパラメータを測定するためのモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物は、サーモグラフィ蛍光体と金属酸化物材料を備えている。サーモグラフィ蛍光体は金属酸化物材料と混合され、後に乾燥されると共にか焼されてセラミック金属酸化物蛍光体合成物を形成する金属酸化物蛍光体合成材料を形成する。前記合成物は測定される物体のパラメータを測定するために使用される。
【0005】
別の態様では、物体のパラメータを測定するための光学デバイスが設けられる。そのデバイスは、光導体を備える光ファイバープローブと、該光導体に動作可能に結合されて前記光ファイバープローブの先端部に励起光を供給する光源と、前記光ファイバープローブの先端部に機能的に結合されるモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物と、前記光ファイバープローブに動作的に結合されて前記モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物から放射された光を検出するセンサーと、該センサーに機能的に結合されて前記モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物により放射された光を処理する処理装置と、を備える。前記モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物が前記励起光で照射される時に、前記励起光と異なる波長の光を放射し、単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、寿命減衰、又は発光波長ピークの変化が、測定するパラメータの関数である。
【0006】
上記した態様及び実施例に加えて、さらなる態様及び実施例は、図面及び以下の詳細な説明の記載を参照することにより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面において、参照符号は参照される構成要素の間で再使用され一致して示される。図面はここに説明される実施例を示すために提供され、発明の範囲を限定することを意図するものではない。図中の構成要素の寸法及び相対的な配置は必ずしも一定の比率で描かれている訳ではない。例えば、各種構成要素の形状や角度は一定の比率で描かれておらず、これらの幾つかの構成要素は、図面を見やすくするため、恣意的に拡大され配置されている。
図1】モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を製造するための方法を例示するフローチャートである。
図2】光学デバイスの先端部に取り付けられるモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物により物体のパラメータを測定するための光学デバイスの例を示す概略図である。
図3】測定する物体内に埋め込まれるモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物により物体のパラメータを測定するための光学デバイスの例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願は、物体のパラメータを測定するために使用されるモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を開示する。該蛍光体は、サーモグラフィ蛍光体とすることができる。一実施例では、測定するパラメータは物体の温度とすることができる。モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物は、熱劣化することなく250℃より高い温度での反復可能且つ安定的な温度感知を実現することができる。例えば、それは、熱劣化することなく400℃以上の温度を測定するために使用可能である。そのため、本発明のモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物は、注入された蛍光体の温度感知特性を同時に維持している間、安定的である(1000℃以下で熱分解しない)。一実施例では、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物は、高温度感知及び耐久性が要求されるいかなる用途にも使用可能である。
【0009】
図1は、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を製造するための方法を例示するフローチャートである。サーモグラフィ蛍光体は、溶媒に分散される微粉末物質と有機金属の前駆体物質(例えば、金属アルコキシド)であり、機械的に混合され(図1のステップ10)、混合ゾルと呼ばれる混合溶液を作る。その後、触媒が加えられ(図1のステップ12)、図1のステップ14に示されているように、混合ゾルを蛍光体が含まれるゲルに変換し、金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料を形成する。例えば、触媒はゲル状二相性システムを形成することのできる適切な酸又は塩基とすることができる。
【0010】
一実施例では、金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料は、鋳型に注ぎ込まれてダイカストされ、所定の形状及びサイズを形成し(図1のステップ16)、その後、約400~1500℃の高温度で乾燥されると共にか焼され(図1のステップ18参照)、所定の形状及びサイズのモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を形成する。
【0011】
別の実施例では、ステップ14で得られる金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料は高圧力下で所定の形状及びサイズに加圧されることができる(図1のステップ20)。例えば、熱間又は冷間プレスが加圧金属酸化物蛍光体合成材料を形成するために使用可能である。一実施例では、図1のステップ14の材料は乾燥されると共に粉砕され、粉末は(図1のステップ20により)所定の形状及びサイズに加圧されることができる。その後、加圧された金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成材料は約400~1500℃の高温度で乾燥されると共にか焼され(図1のステップ22)、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を形成する。図1のステップ22の乾燥及びか焼は、周囲の空気及び圧力で又は大気圧で特定のガス(例えば、窒素、酸素、又はアルゴン)の雰囲気の下又は減圧状態の下で実施可能である。
【0012】
蛍光体と金属酸化物材料の割合は、ステップ10(図1)の間に金属有機前駆物質と蛍光体の量を調整することにより変えられ、ゾルゲル合成物中の蛍光体の含有量が均一となるようになっている。前記合成物中の蛍光体の重量割合は、金属酸化物材料の重量に対応して2wt%~90wt %の間で変化する。
【0013】
幾つかの実施例では、溶媒及び金属有機前駆物質(例えば、金属アルコキシド)は、蛍光体粉末を加えることなく(図1のステップ10と同様に)機械的に混合され、その後、触媒を加えることにより金属酸化物ゾルゲルに変換される。得られた金属酸化物ゾルゲルは、杵と臼又はボールミルを使用して蛍光体粉末と機械的に混合され、均一な金属酸化物ゾルゲルと蛍光体粉末を得る。その後、混合された金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成物は高圧力の下で所定の形状及びサイズに加圧され(図1のステップ20)、図1のステップ22により乾燥されてか焼され、所定の形状及びサイズのモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を形成する。一実施例では、混合された金属酸化物ゾルゲル蛍光体合成物は最初に鋳型に注ぎ込まれるか又はダイカストされ、(図1のステップ16と同様に)所定の形状及び寸法に形成され、その後、(図1のステップ18により)高温度で乾燥されてか焼され、所定の形状及びサイズのモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物を形成する。
【0014】
一実施例では、ステップ10~14が省略され、金属酸化物蛍光体合成物は、蛍光体と金属酸化物を機械的に混合することにより準備され、均一な金属酸化物と図1のステップ20及び22に従ってその後に処理される蛍光体粉末とを得る。
【0015】
サーモグラフィ蛍光体は、マンガンがドープされたMg4FGeO6:Mn及びこのクラス内のすべての可能性のあるストイキオメトリ、ユーロピウムがドープされたLa2O2S:Eu、ユーロピウムがドープされたY2O3:Eu、ユーロピウムがドープされたLuPO4:Eu、ジスプロシウムがドープされたYVO4:Dy、ジスプロシウムがドープされたYO:Dy、ジスプロシウムがドープされたLuPO4:Dy、ジスプロシウムがドープされたイットリウムアルミニウムガーネットYAG:Dy、及びそのいずれかの組み合わせの群から選択される。
【0016】
金属酸化物は、シリカ(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、及びその組み合わせの群から選択される。
【0017】
得られたセラミック金属酸化物蛍光体合成物は、接着剤又はバインダーを加えることなく測定する物体に埋め込むことのできる機械的に硬い材料である。光学測定デバイスはセラミック金属酸化物蛍光体合成材料を照射するために使用可能であり、蛍光体発光の減衰時間に基づき又は単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、又は発光波長ピークの変化を決定することにより、測定するパラメータを検出する。一実施例では、セラミック金属酸化物蛍光体合成材料は光学測定デバイスに組み込むことができる。
【0018】
図2は物体102のパラメータを測定するための光学測定デバイス100の例を示している。そのデバイス100は、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112からセンサー114に放射される光と同様にモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112に励起光を送信する光導体106を有する光ファイバープローブ104を備えている。図示の例では、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112はプローブ104の先端部110の内面に形成される窪みに配置されている。光源108は光導体106に動作可能に結合され、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112に励起光を供給する。光源108はUV周波帯の励起光を供給することができる。例えば、光源108は200~400nmの間の波長の励起光を供給することができる。一実施例では、光源108は青色から緑色の波長範囲(例えば、400~600nm)の励起光を供給することができる。光源はレーザ又はLEDとすることができる。モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112から放射される光は光導体106に動作可能に結合されるセンサー114により検出される。センサーは例えばフォトダイオードとすることができる。モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112から放射される光は励起光と異なる波長である。例えば、その放射光は、例えば、600~800nmのように、赤色の波長範囲とすることができる。光導体106は励起光と放射光の両方を送信するから、光学スプリッター111が放射光から励起光を分離するために設けられる。例えば、光学スプリッター111は光導体106に動作可能に結合されるミラーとすることができ、それはUV/青色/緑色の波長の励起光を放射光から分離可能となっている。
【0019】
センサー114は放射光をアナログ電気信号に変換する。受光器(例えば、フォトダイオード)により吸収された光子は電流を発生する。電気信号はセンサー114に機能的に結合される増幅器113を使用して強められることができる。その後、アナログ電気信号はA/Dコンバータ115を使用してデジタル化されることができる。その後、処理装置116は、それぞれが測定するパラメータの関数である、単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、寿命減衰、又は発光波長ピークの変化を決定するため、A/Dコンバータから得られたデジタル信号を処理する。センサー114は異なる波長の感度のために調整される複数の感受性領域を有することができ、異なる波長の発光強度の測定を可能にする。単波長の発光強度又は2以上の波長の強度比の変化、寿命減衰、又は発光波長ピークの変化を有する所定のルックアップテーブルと測定されるパラメータの値は処理装置116に予めプログラムされている。そのため、処理装置116はデジタル信号を処理し、単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、寿命減衰、又はモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112から放射される光の発光波長ピークの変化を計算し、ルックアップテーブルを使用して、処理装置116はそのように計算された値に基づき測定されるパラメータを決定する。一実施例では、光学スプリッター111、センサー114、増幅器113、A/Dコンバータ115及び処理装置116は、同じ部品に設置可能だが、当業者であれば、それらのデバイスのそれぞれ又は幾つかは他のものと別々に設置可能であることを本発明の範囲を逸脱することなく理解するだろう。
【0020】
一動作態様では、光ファイバープローブ104の先端部110は物体102と接触する。このようにデバイス100は単一点で物体102のパラメータを測定することのできる接触プローブである。一実施例では、測定するパラメータは物体102の温度とすることができる。プローブ104の先端部110は金製又は金メッキとすることができ、デバイス100の熱伝導率を上げることができるようになっている。光源108をつけると、それはプローブ104の先端部110に配置されたモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112を励起する。モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112は励起光と異なる波長の光を放出することができる(それは、例えば、600-800nmのような赤色の波長範囲の光を放射することができる)。光導体106を介する放射光はセンサー114により検出される前にミラー111を通過する。増幅器113により増幅されてデジタル信号に変換された検出信号は処理装置116により処理される。例えば、処理装置は放射光の寿命減衰の変化を所定のルックアップテーブルに基づき決定するように予めプログラムされ、それは物体の温度のための値を与える。処理装置116はまた、例えば、光源108のトリガ時間のように、デバイス100の動作を制御することもできる。
【0021】
図3に示されている別の動作態様では、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112は測定される物体102に埋め込まれる。例えば、窪み120が物体102に形成され、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112はそれに挿入されて固定される。モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112は、接着剤又はバインダーなしで機械的に窪み120に保持される。一実施例では、モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112は、接着剤又はバインダーを使用して、窪み120内又は物体102の表面に保持可能である。プローブ104はモノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112のすぐ近くで測定する物体102と接触する。モノリシックセラミック金属酸化物蛍光体合成物112は、励起光で励起される時、励起光の波長と異なる波長で光を放射する。その後、放射光は、ここで上述したのと同じ方法で検出されると共に処理され、測定するパラメータが供給される。一実施例では、測定するパラメータは物体102の温度とすることができる。別の実施例では、測定するパラメータは物体の圧力とすることができる。処理装置は、単波長の発光強度の変化又は2以上の波長の強度比の変化、放射波長の変化又は蛍光体発光の寿命減衰を計算することにより測定するパラメータを決定する。
【0022】
本発明の特定の構成要素、実施例及び適用が示されて説明されたが、発明の範囲はそれらに限定されるものではなく、当業者であれば、特に上述した教示に照らして、本発明の範囲を逸脱することなく変更が可能であると理解されるだろう。したがって、例えば、ここに開示されたいかなる方法又は処理において、その方法/処理を構成する作用又は動作は適切な手順で実行可能であり、必ずしも特定の開示された手順に限定されるものではない。構成要素及び部品は、各種実施例において、異なるように構成又は配置したり、組み合わせ及び又は削除したりすることが可能である。上述した各種特徴及び処理は、お互いに独立して使用されても良く、或いは各種方法を組み合わせられても良い。すべての可能な組み合わせ及び部分的な組み合わせは本発明の範囲内にある。本開示中において、「幾つかの実施例(some embodiments)」、「一実施例(an embodiment)」等の言及は、その実施例と関連して説明される特定の特徴、構造、ステップ、処理、又は特性が少なくとも一つの実施例に含まれることを意味する。したがって、「幾つかの実施例では(in some embodiments)」、「一実施例(in an embodiment)」等の表現は、本開示中において、必ずしもすべて同一実施例に関連するとは限らず、1つ以上の同一又は異なる実施例に関連しても良い。
【0023】
実施例の各種特徴及び利点は適切なものが記載されている。必ずしもすべてのそのような特徴又は利点が特定の実施例によって達成されるとは限らないことは理解されるべきである。したがって、例えば、各種実施例は、ここに教示又は提案されるような他の特徴又は利点を必ずしも達成することなく、ここに教示されるような一つの利点又は利点のグループを達成又は最適化する方法で、実行されても負いことを認識されるべきである。
【0024】
取り分け、「できる(can)」、「できる(could)」、「かもしれない(might)」、「良い(may)」、「例えば(e.g.)」等のような、ここで使用される条件付き言語は、特に別な方法で述べられていなければ、又は別な方法で使用される内容内で理解されなければ、他の実施例が含まないが、ある実施例がある特徴、構成要素及び又はステップを含むものを伝えることを通常意図している。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、構成要素及び又はステップが一以上の実施例に要求される方法であること又は一以上の実施例が必ずしも作業者の入力又は促しにより又はそれらなしにこれらの特徴、構成要素及び又はステップが含まれるかどうか又は特定の実施例で実行されるべきかどうかを決定するための論理を含んでいないことを暗示することを意図するものではない。一つの特徴又は特徴のグループは特定の実施例に要求又は不可欠なものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」等の用語は同義語であり、制限のない方法ですべて含めて使用され、追加の構成要素、特徴、作用、動作等を除外するものではない。また、「又は(or)」という用語は、包括した意味で使用され(排他的な意味ではない)、例えば、構成要素のリストを接続するために使用される時、「又は(or)」という用語はそのリストの一つ、幾つか、又はすべての構成要素を意味する。ここで説明された実施例の例示の計算、シミュレーション、結果、グラフ、値、及びパラメータは開示した実施例を説明するためであり、それらに限定する意図ではない。他の実施例はここで説明された例示と異なるように構成及び又は動作可能である。
図1
図2
図3