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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】モータアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
H02K5/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017172878
(22)【出願日】2017-09-08
(65)【公開番号】P2019050661
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩和
(72)【発明者】
【氏名】木下 勉
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-115670(JP,A)
【文献】特開平03-183338(JP,A)
【文献】登録実用新案第3006988(JP,U)
【文献】特開2003-164098(JP,A)
【文献】特開2016-100925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースと、前記モータケースに装着されたブラケットと、整流子を有する回転子と、前記モータケースと前記ブラケットに軸支された回転軸と、給電用ターミナルと、前記整流子に摺接するブラシと、を有するモータと、
前記モータを内部で支持する下ケースと上ケースとからなるハウジングを備え、
前記給電用ターミナルは、金属材料で継ぎ目のない線材あるいは板材から形成された一部品からなり、
前記ハウジングは、側板を有し、
前記側板には、外部コネクタの差し込み口が設けられており、
前記給電用ターミナルのモータ側端は、前記モータ内に配され、前記モータに設けられた前記ブラシに直接固着されながら前記ブラケットにインサート成形されており、
前記給電用ターミナルの差し込み口側端は、前記差し込み口に配されており、
前記給電用ターミナルは、前記モータ側端から前記差し込み口側端に至るまで、継ぎ目のない線材あるいは板材であることを特徴とするモータアクチュエータ。
【請求項2】
前記給電用ターミナルは、前記ブラケットから軸方向外方に引き出されていることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【請求項3】
前記モータにより駆動される出力軸と、前記出力軸の回転角を検出する回転角検出器を有し、
前記回転角検出器には外部装置と接続するセンサー用ターミナルが形成されており、
前記給電用ターミナルは、前記ブラケットから軸方向と垂直方向の外方に引き出されており、
前記側板は、前記ブラケットと直接対向して前記モータの軸方向と垂直方向に形成されており、
前記差し込み口と前記モータは、前記モータの軸方向に重畳せずに配置されており、
前記センサー用ターミナルは、前記差し込み口に配されていることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
【請求項4】
前記給電用ターミナルと前記ブラシの接続部は全て覆われるようにインサート成形されていることを特徴とする請求項1ないし3に記載のモータアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用空調装置における送風経路切換ドアを作動させるためのモータアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のモータアクチュエータとして、例えば、特許文献1には、駆動源としての給電端子を有するモータと、外部コネクタの差し込み口に配されて外部の電力をモータに供給するコネクタ側ターミナルと、このコネクタ側ターミナルに接続されてモータの給電端子に弾性力が付与される状態で接触する一対の給電用ターミナルが記載されている。これにより、外部の電力をモータの給電端子と、この給電端子に接続されたブラシに供給することができ、モータが動作すると、モータアクチュエータに接続された送風経路切換ドアが動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-90510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のモータアクチュエータでは、給電用ターミナルがモータの給電端子に弾性力が付与される状態で接触しているため、モータ自体や車等の振動により、給電用ターミナルと給電端子の接触部で接触不良になりやすく接触信頼性が低下したり、びびり音が生じて特に静粛性が求められる電気自動車では問題が生じる可能性がある。
また、外部の電力をブラシに供給するための電流経路の接続部が複数あり製造不良になりやすい。
【0005】
そこで、本発明は、びびり音をなくして接触信頼性を高めたモータアクチュエータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータアクチュータは、
モータケースと、前記モータケースに装着されたブラケットと、整流子を有する回転子と、前記モータケースと前記ブラケットに軸支された回転軸と、給電用ターミナルと、前記整流子に摺接するブラシと、を有するモータと、
前記モータを内部で支持する下ケースと上ケースとからなるハウジングを備え、
前記給電用ターミナルは、金属材料で継ぎ目のない線材あるいは板材から形成された一部品からなり、
前記ハウジングは、側板を有し、
前記側板には、外部コネクタの差し込み口が設けられており、
前記給電用ターミナルのモータ側端は、前記モータ内に配され、前記モータに設けられた前記ブラシに直接固着されながら前記ブラケットにインサート成形されており、
前記給電用ターミナルの差し込み口側端は、前記差し込み口に配されており、
前記給電用ターミナルは、前記モータ側端から前記差し込み口側端に至るまで、継ぎ目のない線材あるいは板材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
モータアクチュエータに使われるモータの給電端子の接続構造において、給電用ターミナルと給電端子が金属材料で継ぎ目のない線材あるいは板材から形成された一部品からなり、この部品がブラシに接続されながらブラケットにインサート成形されているため、接触信頼性が向上して、びびり音が生じず静粛性が高められる。
また、外部の電力をブラシに供給するための電流経路の接続部が給電用ターミナルとブラシの1箇所となり製造不良になりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態例に係るモータアクチュエータ1aの上ケースを除いた完成品であって、(a)はその平面図であり、(b)は(a)の切断線A-Aの断面図である。
図2図1に記載のモータ30であって、(a)はその断面図であり、(b)は(a)の切断線B-Bの断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態例に係るモータアクチュエータ1bの上ケースを除いた完成品であって、(a)はその平面図であり、(b)は(a)の切断線C-Cの断面図である。
図4図3に記載のモータ130であり、(a)はその断面図であり、(b)は(a)の切断線D-Dの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、図1ないし図4の回転軸34aに平行な方向を「軸方向」と呼び、回転軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、図1(a)、図2(a)、図3(a)、図4(a)の上方向を「上方向」、下方向を「下方向」と呼び、図1(b)、図3(b)の上下ケースの組込方向を「組込方向」と呼ぶ。
なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に説明する。
【0011】
(第1の実施形態例)
本発明のモータアクチュエータは、図1に示されており、例えば、空気調整装置の気流調節弁の駆動源などに用いられる。
【0012】
モータアクチュエータ1aは、下ケース10と、上ケース(不図示)と、モータ30と、減速ギヤ50と、出力軸60と、回転角検出器70と、を有する。
【0013】
下ケース10は、略四辺形の底板11と、底板11の周縁から立設された側板12と、側板12により形成された開口端部を有する。
上ケースは、略四辺形の上板とその上板の周縁から下設された側板と、この側板により形成された開口端部を有する。
上ケースの開口端部が下ケース10に組み込みされて所定の内部空間を有するハウジングが形成されている。このハウジング内には、モータ30と、減速ギヤ50と、出力軸60と、回転角検出器70が配されている。
また、下ケース10には、モータ30を挿入して固定する凹部11aが形成されており、上ケースには、モータ30を挿入して固定する不図示の凹部が形成されている。
【0014】
ハウジングの側板の一つには、その側板から突出する1個の外部コネクタの差し込み口37が形成されている。差し込み口37は、筒部37aと上部37bを有する。筒部37aの開口端は、側板からハウジングの外方と内方にそれぞれ突出しており、ハウジングの内方に突出した開口端には上部37bが一体形成されている。この差し込み口37には、外部装置から不図示のコネクタが差し込まれる。外部装置は、そのコネクタを差し込み口37に差し込んだとき、差し込み口37に設けられた後述の給電用ターミナル38とセンサー用ターミナル72aに電気的に接続される。
【0015】
また、差し込み口37は、モータ30の後述のブラケット32と対向する側板12に形成されている。この側板12は軸方向と垂直方向に形成されている。また、差し込み口37とモータ30は、モータの軸方向に重畳せずに配置されている。また、差し込み口37の挿入方向は、モータの軸方向と平行となっている。また、上部37bの下端の軸方向高さは、ブラケット32の下端の軸方向高さと略同一に形成されている。
【0016】
モータ30は、図2に示され、モータケース31と、ブラケット32と、固定子33と、回転子34と、ブラシ36と、給電用ターミナル38と、を有し、下ケース10と上ケースの凹部内に挿入されて固定されている。
【0017】
モータケース31は、金属材料により形成され、円筒部31aと上板31bからなり、上板31bの中央部にはラジアル軸受31cが圧入されている。
ブラケット32は、モータケース31の開口部に嵌着され、樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。ブラケット32の中央部には、円形の凹部32aが形成されており、凹部32aの底面はスラスト軸受32bとなっている。凹部32aにはラジアル軸受32cが圧入されている。ブラケット32の外径は、円筒部31aの内径と略同一である。
【0018】
固定子33は、モータケースの円筒部31aの内周面に固着されており、円筒形状で円周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁された永久磁石からなる。
回転子34は、回転軸34aと、回転軸34aに取付けられ薄い鋼鈑を複数枚積層してなる電機子コア34bと、電機子コア34bにコイル状に巻回された銅線34cと、銅線34cに電気的に接続された整流子34dと、を有する。
回転軸34aがラジアル軸受31c、32cに挿通されて回転自在に支承される。そして、回転軸34aの一端はモータケース31から突出してウォームギヤ35が固着され、他端はスラスト軸受32bにより支承されている。
【0019】
また、ウォームギヤ35の軸方向の先端とブラケット32の下端には、側板がそれぞれ近接して配されている。
【0020】
ブラケット32には、整流子34dに摺接して電流を流すように一対のブラシ36が設けられている。ブラシ36は、銅若しくは銅合金のような導電弾性材料により、全体を略L字状に形成されており、ブラシの一端は回転軸の中心を点対称としてブラケット32に固定されており、ブラシの他端は整流子34dに摺接している。
【0021】
給電用ターミナル38は、金属材料からなる細長い線材あるいは板材であり、2本のブラシ36に合わせてそれぞれ設けられている。本例の給電用ターミナル38は、断面角形の線材により形成されているが、その断面形状はこれに限定されない。また、本例の給電用ターミナル38は、その芯材の表面にめっき処理が施されためっき線材により形成されてもよい。
【0022】
給電用ターミナル38は、一端(モータ側)から他端(差し込み口側)にかけて、モータ接続部38aと、中間部38bと、外部接続部38cとが順に設けられ、これらがフォーミング等の加工をすることによって継ぎ目のない線材から所定の形状に一体形成されて一部品となる。つまり、給電用ターミナル38は、2個以上の部品を接続して一体化した部品ではない。
【0023】
また、給電用ターミナル38は、フォーミング等の加工後、外力が加わらない限り、所定の形状を自己保持する。
【0024】
次に、図1(a)において、給電用ターミナル38を具体的に説明する。
中間部38bは、ブラケット32が対向する側板に平行に配されている。
モータ接続部38aは、中間部38bからモータ側にほぼ直角に3回折り曲げられた曲線となる。具体的には、モータ接続部38aは、中間部38bから下方にほぼ直角に折り曲げられて、さらに、その先端がモータ側にほぼ直角に折り曲げられて、さらに、その先端が上方にほぼ直角に折り曲げられている。
また、外部接続部38cは、中間部38bから差し込み口側にほぼ直角に1回折り曲げられて差し込み口37に配されてコネクタピンとして形成されている。
そして、2個の給電用ターミナルは、軸方向に並んで配されている。
【0025】
次に、図1(b)において、給電用ターミナル38を具体的に説明する。
モータ接続部38aと中間部38bと外部接続部38cは、組込方向に同じ高さに形成されている。
また、2個の給電用ターミナルは、組込方向に同じ高さに配されている。
【0026】
このようなモータ接続部38aと中間部38bと外部接続部38cは、モータの径方向外方に突出して配置されている。
【0027】
本例では、フォーミング加工された給電用ターミナル38が、ブラシの一端に、直接、スポット溶接により冶金的接合をされたり、かしめて機械的接合をされたりして、電気的に接続されている。そして、給電用ターミナルの一端とブラシの一端が接続されて接続部品となり、この接続部品の接続部36aが絶縁材料の硬質樹脂に全て覆われるようにインサート成形されてブラケットに一体成形される。また、ブラシの他端は、ブラケット32の上面から回転軸34aに向かって径方向に引き出されて整流子34dと摺接する。また、モータ接続部38aは、ブラケット32の下端から軸方向に引き出される。
【0028】
減速ギヤ50は、2個有しウォームギヤ35に連結される。
出力軸60は、硬質樹脂で形成され、外周に溝を有するフランジ状の出力ギヤを有し、出力ギヤは、減速ギヤ50に連結される。また、出力軸60は、下ケースと上ケースにより不図示の軸孔により軸支される。
【0029】
回転角検出器70は、ポテンショメータから構成され、出力軸60の一部が挿通される装着孔を有する硬質樹脂製の回転体と、回転体を軸支する非回転体72を有している。回転体にはブラシが設けられている。一方、非回転体72には、ブラシに摺接される抵抗体基板が設けられている。ブラシと抵抗体基板は、回転体の回転により出力軸60の回転角を検出する検出手段として機能する。この回転角検出器70は、出力軸60の回転角の信号を外部に出力する直線形状の3本のセンサー用ターミナル72aを有する。
【0030】
下ケース10は、非回転体72がハウジング内で固定される不図示の立上部を有している。回転角検出器70が立上部に固定されると、センサー用ターミナル72aは、差し込み口37に配される。すると、外部接続部38cとセンサー用ターミナル72aが同じ差し込み口37に配されて、回転角検出器70は、出力軸60の回転角に応じた電圧信号をセンサー用ターミナル72aを通して外部装置に出力する。
なお、外部接続部38cとセンサー用ターミナル72aは、軸方向と直角方向に等間隔に並んで配されている。
【0031】
次に、本例のモータの組立工程とモータアクチュエータの組立工程を説明する。本例では第1工程としてモータの組立工程が行われ、第2工程としてモータアクチュエータの組立工程が行われる。
【0032】
まず、モータの組立工程を説明する。フォーミング加工された給電用ターミナル38と、ブラシ36を用意する。モータ接続部38aとブラシの一端が、例えば、スポットされて、接続部品となり、この接続部品の接続部36aがブラケット32にインサート成形される。
次に、回転子34と、固定子33を内蔵したモータケース31と、ウォームギヤ35を用意する。給電用ターミナル38をインサート成形したブラケット32には、回転子34と、固定子33を内蔵したモータケース31が組み合わされて、さらに、回転軸34aの先端にウォームギヤ35が連結されて、モータ完成品となる。
【0033】
しかし、このモータ完成品は、ブラケット32から突出した給電用ターミナル38が設けられているため、モータの組立工程とモータアクチュエータの組立工程の距離が遠ければ、モータ完成品の運搬時に給電用ターミナル38が変形しやすく品質が低下する恐れある。そこで、モータ完成品の運搬時に給電用ターミナル38を変形しにくくして品質を向上させるため、モータの組立工程とモータアクチュエータの組立工程の距離は近くすることが望ましい。
【0034】
次に、モータアクチュエータの組立工程を説明する。下ケース10と、上ケースと、減速ギヤ50と、出力軸60と、回転角検出器70を用意する。そして、下ケース10に上述のモータ完成品が配されて、外部接続部38cが差し込み口37に配されて、第1半完成品となる。そして、第1半完成品に回転角検出器70が配されて、センサー用ターミナル72aが差し込み口37に配されて、第2半完成品となる。そして、第2半完成品に減速ギヤ50と出力軸60が配されて、これに上ケースが組み込みされて、モータアクチュエータの完成品となる。
【0035】
上述の構成により、モータ30の回転が、ウォームギヤ35、減速ギヤ50、出力軸60を介して、例えば、空気調整装置の気流調節弁の回転軸に伝達できる。
【0036】
このような本例のモータアクチュエータ1aは、モータケース31と、モータケース31に装着されたブラケット32と、モータケース31とブラケット32に軸支された回転軸34aと、給電用ターミナル38と、ブラシ36と、を有するモータ30と、モータ30を内部で支持する下ケース10と上ケースとからなるハウジングと、を備えている。
また、給電用ターミナル38は、金属材料で継ぎ目のない線材あるいは板材から形成された一部品からなる。
また、ハウジングは、側板12を有する。
また、側板12には、外部コネクタの差し込み口37が設けられている。
また、給電用ターミナルの一端は、ブラシ36に接続されながらブラケット32にインサート成形されている。
また、給電用ターミナルの他端は、差し込み口37に配されている。
【0037】
このようなモータアクチュエータに使われるモータの給電端子の接続構造において、給電用ターミナルと給電端子が金属材料で継ぎ目のない線材あるいは板材から形成された一部品からなり、この部品がブラシに接続されながらブラケットにインサート成形されているため、接触信頼性が向上して、びびり音が生じず静粛性が高められる。
また、従来例のような構成では、外部の電力をブラシに供給するための電流経路の部品点数が4点(コネクタ側ターミナル、給電用ターミナル、給電端子、ブラシ)で接続部が3箇所となり製造不良になりやすいが、本例の接続部は、給電用ターミナルとブラシとの1箇所となり製造不良になりにくく信頼性が向上する。
【0038】
また、給電用ターミナル38は、ブラケット32から軸方向外方に引き出されているため、簡単な構成で実現できる。
【0039】
(第2の実施形態例)
本発明の第2の実施形態例であるモータアクチュエータ1bを図3を用いて、モータ130を図4を用いて説明する。図3または図4において、図1図2中の部品と同等の部品には同一の符号を付しており、重複する部分については説明を省略する。
【0040】
第1の実施形態例の給電用ターミナル38は、ブラケット32から軸方向外方に引き出されていたが、第2の実施形態例の給電用ターミナル138は、ブラケット132から軸方向と垂直方向の外方に引き出されている。
【0041】
また、第1の実施形態例では、ブラシの一端は回転軸の中心を点対称としてブラケット32に固定されていたが、第2の実施形態例では、ブラシ136の固定位置が変わり、ブラシの一端は回転軸34aの中心が通る面に対して軸方向から見て線対称にブラケット132に固定されている。
【0042】
次に、図3(a)において、給電用ターミナル138を具体的に説明する。
中間部138bは、ブラケット132が対向する側板に平行に配されている。
モータ接続部138aは、中間部138bからモータ側に対して直線状に形成されている。
外部接続部138cは、中間部138bから差し込み口側に対してほぼ直角に1回折り曲げられて差し込み口37に配されてコネクタピンとして形成されている。
そして、2個の給電用ターミナルは、軸方向に並んで配されている。
【0043】
次に、図3(b)において、給電用ターミナル138を具体的に説明する。
モータ接続部138aと中間部138bと外部接続部138cは、組込方向に同じ高さに形成されている。
また、2個の給電用ターミナルは、組込方向に同じ高さに配されている。
【0044】
また、モータ接続部138aと中間部138bと外部接続部138cは、モータの径方向外方に突出して配置されている。
【0045】
また、図3(a)において、ブラケット132の全面が、このブラケット132が対向する側板に直接対向しており、ブラケット132とこの側板との間には部品、例えば、給電用ターミナルが配置されない構造となる。
【0046】
また、モータ接続部138aとモータケース131との絶縁を保つため、モータケース131の円筒部の開口端には、四角状の切欠部131aが形成されており、モータ接続部138aが切欠部131aを介してモータケース131に接触することなくブラケット132から軸方向と垂直方向の外方に引き出されている。
【0047】
よって、本例は、第1の実施形態例の作用効果を有すると共に、第1の実施形態例に比べて、給電用ターミナルの全長が短くなるため、モータの組立工程からモータアクチュエータの組立工程の運搬において変形しにくい給電用ターミナルとなり品質を向上できる。
【0048】
また、給電用ターミナル138は、ブラケット132から軸方向と垂直方向の外方に引き出されている。また、差し込み口37とモータ130は、モータの軸方向と重畳せずに配置されており、側板は、ブラケットと直接対向するように配置されている。すると、ブラケット132と、ブラケット132と対向する側板との間に給電用ターミナルがなくなる。よって、本例は、ブラケットと対向する側板をブラケットにさらに近接して配置できるため、第1の実施形態例に比べて、モータアクチュエータの軸方向を小型化できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上述以外にも種々変形して実施することが可能である。
【0050】
上述の実施形態では、2個の給電用ターミナルが、軸方向に並んで配されており、かつ、組込方向に同じ高さに配されているが、これに限定されない(変形例1、2)。
【0051】
(変形例1)
例えば、図1において、2個の給電用ターミナルの中間部38bとモータ接続部38aが軸方向に同じ高さに配されて、かつ、組込方向に並んで配されてもよい。すると、この例は、ブラケットと対向する側板がブラケットにさらに近接して配置できるため、第1の実施形態例に比べて、モータアクチュエータの軸方向をさらに小型化できる。
【0052】
(変形例2)
また、例えば、図3において、2個の給電用ターミナルの中間部138bとモータ接続部138aが軸方向に同じ高さに配されて、かつ、組込方向に並んで配されてもよい。この例は、ブラケットと対向する側板がブラケットにさらに近接して配置できるため、第2の実施形態例に比べて、モータアクチュエータの軸方向をさらに小型化できる。また、ブラケット132の軸方向の高さをさらに小さくできるため、モータアクチュエータの軸方向をさらにまた小型化できる。
【0053】
(変形例3)
次に、上述の接続部36aについて、接続部36aが絶縁材料の硬質樹脂に全て覆われるようにインサート成形されているが、これに限定されずに、上述の接続部品がインサート成形されれば次のような構成でもよい。例えば、接続部36aの一部がインサートされた構成でもよいし、接続部品の一部がインサートされてもよい。これらの場合、ブラシの他端はブラケットの上面から引き出されて整流子と摺接し、給電用ターミナルはブラケットから外方に引き出されている。
仮に、接続部36aが絶縁材料の硬質樹脂に全て覆われずに、接続部36aがブラケットの下方に配されている構成では、接続部の接触信頼性は得られるものの、長期においてモータ自体や車等の振動が接続部に伝わり接触安定性が僅かに低下する可能性がある。一方、接続部36aが絶縁材料の硬質樹脂に全て覆われるようにインサート成形されていると、モータ自体や車等の振動による接続部の接触信頼性を長期において維持できる。
【0054】
なお、給電用ターミナル同士、または、センサー用ターミナル同士、または、給電用ターミナルとセンサー用ターミナルは、非接触であり絶縁を保っている。
【符号の説明】
【0055】
1a モータアクチュエータ
1b モータアクチュエータ
10 下ケース
11 底板
11a 凹部
12 側板
30 モータ
31 モータケース
31a 円筒部
31b 上板
31c ラジアル軸受
32 ブラケット
32a 凹部
32b スラスト軸受
32c ラジアル軸受
33 固定子
34 回転子
34a 回転軸
34b 電機子コア
34c 銅線
34d 整流子
35 ウォームギヤ
36 ブラシ
36a 接続部
37 差し込み口
37a 差し込み口の筒部
37b 差し込み口の上部
38 給電用ターミナル
38a モータ接続部
38b 中間部
38c 外部接続部
50 減速ギヤ
60 出力軸
70 回転角検出器
72 非回転体
72a センサー用ターミナル
130 モータ
131 モータケース
131a 切欠部
132 ブラケット
136 ブラシ
138 給電用ターミナル
138a モータ接続部
138b 中間部
138c 外部接続部
図1
図2
図3
図4