(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】中枢神経系及び血管系での活性を持つベンゾジアゼピン誘導体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5513 20060101AFI20220525BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220525BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220525BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220525BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220525BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
A61K31/5513
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/04
A61P29/00
A61P9/00
C07D471/04 121
(21)【出願番号】P 2019510748
(86)(22)【出願日】2017-05-03
(86)【国際出願番号】 CU2017050002
(87)【国際公開番号】W WO2017190713
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-08-21
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CU
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518390697
【氏名又は名称】ウニベルシダ デ ラ ハバナ
(73)【特許権者】
【識別番号】518390701
【氏名又は名称】セントロ デ インベスティガシオン イ デサロージョ デ メディカメントス(シデム)
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌエス フィゲレド、ヤニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ゲラ、メイリン
(72)【発明者】
【氏名】フォンセカ フォンセカ、ルイス アルトゥーロ
(72)【発明者】
【氏名】ガリード スアレス、バルバラ ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス サンチェス、ジェネイ
(72)【発明者】
【氏名】パルド アンドリュー、ジルベルト ラザロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルデシア レイエス、ヤミラ
(72)【発明者】
【氏名】オチョア、ロドリゲス、エスタエル
(72)【発明者】
【氏名】バルザガ フェルナンデス、ペドロ ジルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス アルフォンソ、ニクテ
(72)【発明者】
【氏名】デルガド ヘルナンデス、レネ
(72)【発明者】
【氏名】パドロン ヤキス、アレハンドロ サウル
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275042(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、C07D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中枢神経系及び
血管系の病気の治療に使用するための式IIIの化合物を含む医薬組成物であって、前記病気がパーキンソン病である、前記の医薬組成物。
【化1】
【請求項2】
神経障害性疼痛の治療に使用するための式IIIの化合物を含む医薬組成物。
【化1】
【請求項3】
中枢神経系及び
血管系の病気の治療に使用するための式IIIの化合物を含む医薬組成物であって、前記病気が認知症である、前記の医薬組成物。
【化1】
【請求項4】
請求項3に記載の式IIIの化合物を含む医薬組成物であって、前記病気がアルツハイマー病である、前記の医薬組成物。
【請求項5】
請求項3に記載の式IIIの化合物を含む医薬組成物であって、前記病気が血管性認知症である、前記の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記述
発明の分野
本発明は、老化に関連する病的過程又は望まない酸化を持つ、認知低下に関連する病気又は神経変性疾患の予防及び/又は治療に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性は、認知症、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及び神経障害性疼痛(NP)などの神経系疾患の多くの病気に共通のトピックである。これらの病気は破壊的であり、及び、それらを管理するのは高価であり、及び、現在の治療は不十分である。この問題の緊急性のため、老化に関するこれらの病気の発生率は、生じている人口構造の変化に起因して急速に増大しているという事実を、我々は付け加える。
【0003】
世界の人口の進行する高齢化は、神経変性疾患及び老人性認知症の増加という望まない結果を引き起こす。世界中で、4680万人の人々が、認知症を持って生きていると推定される。この数は、2030年には7470万人及び2050年には1億3150万人と、20年ごとにほとんど2倍に増加するだろうと推定される。認知症は、莫大な経済的影響をも有する。今日、認知症の世界的なコストの推定値は、8180億USDであり、2018までに1兆ドルの病気になるであろうし、これは、患者及びそれらの親族及び世話人の両方の生活の質に対する途方もない影響を与える(Alzheimer’s Disease International. World Alzheimer Report 2015. London: Alzheimer’s Disease International; 2015)。
【0004】
これら全ての中で、ADが最も一般的であり、約3500万の人々が当該病気に苦しんでおり、そして、その発生率は、人口の平均年齢と歩調をそろえて、次の30年間で著しく増加するであろうと推定される(Reitz, C.; Brayne, C.; Mayeux, R. Epidemiology of Alzheimer’s disease. Nat. Rev. Neurol., 2011, 7, 137-152) (Reitz, C.; Mayeux, R. Alzheimer’s disease: Epidemiology, diagnostic criteria, risk factors and biomarkers. Biochem. Pharmacol., 2014, 88, 640-651)。
【0005】
ADは、ゆっくりとしたペースで進行する認知機能の喪失及び記憶障害につながる脳の神経変性疾患であり、攻撃性及び憂鬱などの挙動変化をしばしば伴う(Querfurth, H.W.; LaFerla, F.M. Alzheimer's disease. N. Engl. J. Med., 2010, 362, 329-344)。その最終段階では、患者は寝たきりになり、失禁して介護に依存し、これらは、家族にとって非常に高価なものとなる。平均すると、診断後9年で死亡する(Citron M. (2004). Strategies for disease modification in Alzheimer's disease. Nat Rev Neurosci. 5(9): 677-85)。一日中の介護及び他のサービスを要求するこの病気に苦しむ多数の人々は、医療資源、財源及び人的資源にひどく影響するであろう(Suh Y.H. and Checler F. (2002). Amyloid precursor protein, presenilins, and alpha-15 synuclein: molecular pathogenesis and pharmacological applications in Alzheimer's disease. Pharmacol Rev. 54(3): 469-525). Amyloid precursor protein, presenilins, and alpha-15 synuclein: molecular pathogenesis and pharmacological applications in Alzheimer's disease. Pharmacol Rev. 54(3): 469-525)。それ故に、これは、増大する医療懸念である。
ADは、皮質連合野の関わりによるものとされる失認(物体、人々、音、形及び/又はにおいを認識する能力)、統合運動障害(運動低下の欠如で意図的な身ぶり及び特定の 動きを調整及び実行する上での身体障害)、及び嚥下障害(発話及び会話 理解力の低下を伴う言語障害)と共に記憶障害によって特徴づけられるプロトタイプ皮質認知症である(Crook R.et al. (1998). A variant of Alzheimer's disease with spastic paraparesis and unusual plaques due to deletion of exon 9 of presenilin 1. Nat Med. 4(4): 452-5) (Houlden H., Baker M., et al. (2000)。痙攣性の5不全対麻痺及び綿花様の斑を持つ変型アルツハイマー病は、例外的に高いアミロイドβ濃度につながるPS-1突然変異に起因する。Ann Neurol. 48(5): 806-8) (Kwok J.B., Taddei K., et al. (1997).早期発症アルツハイマー病家系における2つの新規なプレセニリン-1突然変異、及び、新規な表現型を持つプレセニリン-1突然変異の関連性の予備的証拠。Neuroreport. 8(6): 1537-42) (Verkkoniemi A., Kalimo H., et al. (2001). Variant Alzheimer disease with spastic paraparesis: neuropathological phenotype. J Neuropathol Exp Neurol. 60(5): 483-92).
【0006】
当該病気は多因子で異質だけれども、それは、ベータアミロイド凝集体及び神経原線維濃縮体の沈着、コリン作動性ニューロンの大量のロスなどの特定の共通の特徴を有する(Huang, Y.; Mucke, L. Alzheimer Mechanisms and Therapeutic Strategies. Cell, 2012, 148, 1204-1222)。
【0007】
ADの化学的病理学は、パーキンソン病(PD)との多くの類似点を示す:酸化ストレス、ミトコンドリア複合体Iの低減した活性、増加した過酸化脂質。これらの類似点は、病気の進行する性質、死にかけているニューロンの周りの反応性の小膠細胞の増殖、酸化ストレス及び炎症プロセスをも含む。
【0008】
医薬産業によってなされる大きな投資にもかかわらず、AD用の有効な治療はほとんど、実際には全く存在しない。
【0009】
現在認可されている薬が患者によって利益をほとんど提供しないということを我々が考えたとすれば、当該病気を治療するための新薬を得るために、今日異なる戦略がフォローされている。これらの薬は、当該病気のいくつかの症状を一時的に(最良の場合では1年)遅らせるが、それらはその展開を予防しない。
【0010】
たとえ最初にADがコリン作動性欠乏のみに関連したとしても、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン及びグルタメートなどの他の神経伝達物質がADでは低減しているか又は無秩序であるということが示された。現在、AD病原論において最も研究された神経伝達物質は、コリン作動性であり及びグルタミン酸作動性である(Palmer, AM; Gershon, S. Is the neuronal basis of Alzheimer's disease cholinergic or glutamatergic? FASEB J 1990, 4, 2745-52)。
【0011】
現在のAD治療選択肢は、ドネペジル、ガランタミン又はリバスティグミンなどの薬でのアセチルコリンエステラーゼの抑制に基づくか、又は、グルタメート受容体、NMDA(N-メチル-D-アスパルテート)に敵対するメマンチンの能力に基づく。これらの薬の低い成功率に起因して、新型の研究が始まった。(Bartus, RT, Dean, RL 3rd; Beer, B; Lippa, AS The cholinergic hypothesis of geriatric memory dysfunction. Science 1982, 217, 408-14) (Terry, A.V. Jr.; Buccafusco, J.J. The cholinergic hypothesis of age and Alzheimer's disease-related cognitive deficits: recent challenges and their implications for novel drug development. J. Pharmacol. Exp. Ther., 2003, 306, 821-827) (van Marum, R. J. Current and future therapy in Alzheimer's disease. Fundam. Clin. Pharmacol., 2008, 22, 265-274)
【0012】
ADのコリン作動性仮説に従って、中枢神経系(CNS)でのコリン作動性機能の喪失は、ADに関連する認知機能不全に著しく寄与する(Bartus, R.; Dean, R.; Beer, B.; Lippa, A. The cholinergic hypothesis of geriatric memory dysfunction. Science, 1982, 217, 408-414)。また、コリン作動性の枯渇、アミロイド形成及びTauリン酸化反応の間の関係がたとえ複雑でも、コリン作動性の減少はアミロイド生産を増加し得るし、それはTauタンパク質のリン酸化反応を引き起こし得ると思われる。他方では、ADのグルタミン酸作動性の仮説は、グルタメートと関連する興奮毒性メカニズムが、退化及び細胞死につながるNMDA受容体を伴うことを確立する(Bleich S, Romer K, Wiltfang J, Komhuber J. Glutamate and the glutamate receptor system: a target for drug action. Int J Geriatr Psychiatry 2003, 18,S33-40)。NMDA受容体を通すシナプス刺激は、学習及び記憶の機能にとっては重要だが、過剰のグルタメートは、興奮毒性及び神経変性を引き起こし得る(Michaels RL, Rothman SM Glutamate neurotoxicity in vitro: antagonist pharmacology and intracellular calcium concentrations. J Neurosci 1990 10, 283-92)。
【0013】
このシナリオでは、治療戦略は、グルタメート誘発神経変性との対照の能力があるNMDA受容体拮抗薬と、コリン作動性トーンを改善する能力があるAChe酵素阻害剤との組合せによって、両方のシステムの障害を実行すべきである。それにもかかわらず、この組合せの治療は、いくつかの欠点を提示する。別個の薬の投与に直面することに加えて、ADに苦しむ高齢の患者及びそれらを世話する人々にとっての追加の問題を形成する何かがあり、それぞれの薬の異なる薬物動力学は、異なる薬力学で影響し得る。実際には、診療所は、2つの異なるADME(投与分布代謝排泄)カーブの組合せた治療の管理に直面するであろう。
【0014】
2つの薬物療法の組合せに対する代替の及び革新的なアプローチは、複合的な薬理的標的に作用可能な薬、いわゆる多標的薬(MTD)である。
【0015】
単純な化合物で同時に2つ以上のタンパク質に作用する戦略は、優れた治療効果を提供し得る(Cavalli A, Bolognesi ML, Minarini A, Rosini M, Tumiatti V, Recanatini M, Melchiorre C. Multi-target-directed ligands to combat neurodegenerative diseases J Med Chem 2008, 51, 347-72) (Zimmerman GR, Lehar J, Keith CT. Multi-target therapeutics; when the whole is greater than the sum of the parts. Drug Discov Today 2007, 12, 34-42) (Morphy R, Ranlovic, Z. Fragments, network biology and designing multiple ligands. Drug Discov Today 2007, 12, 156-60)。これは、混合又は多成分薬物療法でのMTDsの使用によって提供される潜在的な利益の数によって、説明され得る。混合でのMTDsの利点は、以下のように要約し得る:1)単純な化合物の薬物動力学が混合のそれよりもかなり容易であることをもし予測するならば、臨床開発の不確実性を低減すること、異なる生物学的利用能、薬物動力学及び代謝の問題を克服すること;2)薬力学安全性;3)複合的な治療の標的を抑制する相乗効果に起因する有効性の増加、及び4)混合薬を消費する副次効果の減少による安全性の増加(薬-薬相互作用に起因リスクの低減);これは、同じ代謝酵素用の異なる薬の競合がそれらの毒性に影響する薬代謝に特に関連する。
【0016】
別のもう1つの重要な利点は、承諾の改善された可能性を持つ簡略化された治療体制であり、これは、高齢のアルツハイマー患者及び彼らの世話人にとって特に重要である(Small, G, Dubois B A review of compliance to treatment in Alzheimer's disease: potential benefits of a transdermal patch. Curr Med Res Opin 2007, 23, 2705-13)。これに関して、重要な側面は、アルツハイマー患者が、しばしば関連し得る高血圧症、血管系の病気及び糖尿病を含む広範囲の病状(併存疾患)を受けやすいということである。それ故に、老年人口において多医薬使用に関連する問題は、重要であると近年認識されてきた。これらの問題は、薬相互作用から主として成り、慢性的な疾患及び臓器障害の共存に起因してこの人口ではより頻繁に起こることである。老年人口においては特に、それら単独では安全な2つの薬が、組合せた時にも安全であることは、想定できない。薬治療にとって高齢は予測できないリスク要因であるから、同時に投与する薬の数もできるだけ多く低減すべきである(Turnheim, K. When drug therapy gets old: pharmacokinetics and pharmacodynamics in the elderly. Exp. Geront. 2006, 38, 843-853)。MTDsは、組合せで強く有利に働くので、高齢では、多機能薬間の相互作用の複雑さに関する治療、併存疾患、変更薬力学感受性及び薬物動力学の変化がある。MTDsの臨床的使用は、治療体制をも簡略化できる(Youdim, M.B., and Buccafusco, JJ (2005) CNS Targets for multi-functional drugs in the treatment of Alzheimer’s and Parkinson’s diseases J. Neural Transm 112, 519-537)。所定の薬物療法体制での承諾は、有効な治療では必須である。不承諾は一般的な問題を表すが、これは、アルツハイマー患者及び彼らの世話人にとって挑戦である(Small, G, Dubois B A review of compliance to treatment in Alzheimer’s disease: potential benefits of a transdermal patch. Curr Med Res Opin 2007, 23, 2705-13)。その結果、複合的な標的に作用する薬での簡略化された治療体制は、治療への忠実な支持を増加できる。言及される全ての従来の利点が、混合薬では必ずしも有効ではない。
【0017】
神経変性疾患に伴う基本プロセスは元来、多要因的であるという事実への視野を特に持つと、複合的な標的用のリガンド1戦略は、複雑な神経系疾患の治療用の新しい候補を開発するための革新的なアプローチである(Cavalli A, Bolognesi ML, Minarini A, Rosini M, Tumiatti V, Recanatini M, Melchiorre C. Multi-target-directed ligands to combat neurodegenerative diseases J Med Chem 2008, 51, 347-72)。そのような戦略は、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患において暗黙の神経変性プロセスにおいて協同する複合的な標的に1つの単一の化合物が作用でき、それ故に、相互作用している病原性ルート間の望まない代償を予見するであろう、いう概念に基づいている。しかし、MTDsは、薬の組合せの使用に対する代替の運用を表すことができる。大部分の神経変性メカニズムは多くの神経疾患によって分けられるので、これらのMTDsは、他の病気用の薬物療法としても使用できる。
【0018】
虚血性脳卒中の世界負担は、出血性脳卒中よりもほぼ4倍大きい。現在の証拠では、25~30%の虚血性脳卒中生存者は、即座の又は遅れた血管系の認知低下又は血管性認知症を発現することが示唆される。脳卒中傷害後の認知症は、全てのタイプの認知疾患を含み得る。脳卒中後の死亡のリスクは減少したので、脳の影響及び認知低下を有する脳卒中生存者の数は増加した(R.N. Kalaria, et al., Stroke injury, cognitive impairment and vascular dementia, Biochim. Biophys. Acta (2016), http://dx.doi.org/10.1016/j.bbadis.2016.01.015)。
【0019】
脳卒中後の認知症は、それが血管系か、神経変性か、又はその2つのプロセスの組合せを含むか否かは別として、脳卒中傷害後に生じている全てのタイプの認知症を定義する臨床的存在であると考えられている。それは、神経変性病理と同様に大血管及び小血管の病気の変化する組合せと共に複雑な病因を伴う(R.N. Kalaria, et al., Stroke injury, cognitive impairment and vascular dementia, Biochim. Biophys. Acta (2016), http://dx.doi.org/10.1016/j.bbadis.2016.01.015)。
【0020】
次々と起きる虚血性傷害について我々が持っている知識から、それは高度に異種遺伝子型の一連の複雑な事象から成ることを我々は知っており(R. Brouns, P.P. De Deyn, The complexity of neurobiological processes in acute ischemic stroke, Clin. Neurol. Neurosurg. 111 (2009) 483-495)、初期の低灌流の事象後の数分から数日及び数週で展開する。主要な事象は、中断した血流に起因するエネルギー不足、興奮毒性、カルシウム過負荷、酸化ストレス、血液脳関門機能不全、微小血管の損傷、止血活性化、炎症及び免疫反応に関する傷害及びニューロン、グリア及び内皮細胞のレベルでの細胞死を含む。数日後に起こり得る微小血管の傷害及びヘマトセファリックバリアーの崩壊は、血管原性浮腫につながり、大出血をも引き起こし得る。同時に、損傷を限定するために及び結果を改善するために脈管形成を含む複雑な範囲の修復及び改造反応を、組織は、受け得る。これらの事象は、柔組織が不可逆的に傷害されてそれによって認知機能不全に寄与するように、老化脳では切り捨てられる(R.N. Kalaria, et al., Stroke injury, cognitive impairment and vascular dementia, Biochim. Biophys. Acta (2016), http://dx.doi.org/10.1016/j.bbadis.2016.01.015)。
【0021】
実験的研究では、虚血性障害後の細胞の死亡は壊死に高度に帰因することが示唆される。それにもかかわらず、近年の開発では、ニューロン死亡は、ハイブリッドメカニズムによるものと同様にアポトーシスによって著しく起こることが示される(R.N. Kalaria, et al., Stroke injury, cognitive impairment and vascular dementia, Biochim. Biophys. Acta (2016))。
【0022】
神経炎症及び免疫抑制は、脳卒中、老化及び感染症にも関連する。これは、おそらく、脳卒中後の認知機能に対する損傷効果を有する(B.W. McColl, S.M. Allan, N.J. Rothwell, Systemic inflammation and stroke: aetiology, pathology and targets for therapy, Biochem. Soc. Trans. 35 (2007) 1163-1165) (C. Meisel, A. Meisel, Suppressing immunosuppression after stroke, N. Engl. J. Med. 365 (2011) 2134-2136) (W. Swardfager, D.A. Winer, N. Herrmann, S. Winer, K.L. Lanctot, Interleukin-17 in post-stroke neurodegeneration, Neurosci. Biobehav. Rev. 37 (2013) 436-447)。
【0023】
パーキンソン病(PD)は、休息及び平衡への変更における震え、硬直、遅い動き、運動機能不全の症状を伴う神経変性疾患である。当該病気が進行すると、多くの患者は、心配、憂鬱、便秘及び認知症を含む非運動的症状を展開する。これらの特徴は、圧縮一部黒質物質(the compact nigra pars matter)におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失及びドーパミン線条体含有量の大きな減少によるものとされる(Gauthier, 1982)。
【0024】
ドーパミン作動性ニューロン死亡が70~80%の閾値を超えてそして線条神経末端の喪失が50~60%を超えた後にPDの臨床的徴候が現われる(Agid, 1991)。
【0025】
PDの発現メカニズムに関する研究では、圧縮一部黒質物質におけるドーパミン作動性ニューロン喪失はミトコンドリア複合体Iの欠乏に関することが、示された(Jenner 1998)。
パーキンソン症状を軽減する薬がたとえ存在したとしても、これらの薬の慢性的な使用は、PDの進行を予防するのに有効ではなく、そして、それは、副次効果を弱らせることに関連してきた。それ故に、それは、変性の進行を遅らせるか又は停止さえもする神経保護療法を開発するのに大変興味深い。
【0026】
不運にも、神経保護療法の開発は、PDなどの変性神経系疾患の病原論の制限された知識によって妨げられてきた。パーキンソン病の神経の劣化の原因である病因及び病原論は、依然として未知である。いくつかのラインの証拠は、小膠細胞の活性化の理論をサポートし、そして、炎症プロセスは、進行するニューロン退化につながる次々と起きる事象に伴なわれる(Kreutzgber, GW, 1996 Trends Neurosci, 19:312-318)。活性化小膠細胞は、パーキンソン病患者の黒質物質における退化のニューロンの近傍に存在する(McGeer, PL et al, 1988, Neurology, 38:1285-1291)。
【0027】
伝統的なPD治療のコースは、レボドパ(L-DOPA)及びカルビドーパなどのドーパミン作用薬の投与である。アマンタジン及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼの阻害剤などの他の薬剤が、ドーパミンを置き換えるか又はその劣化を抑制するかの明確な目的で、共通して処方される(N. L. Diaz, C. H. Waters, Expert Rev Neurother 9, 1781 (Dec 1, 2009)。
【0028】
そのような薬剤は患者の症状を典型的に改善する一方で、それらは、副次効果である運動障害に対して、経時的に耐性な及び/又は有効であるとは必ずしも限らない(A. H. Schapira et al., European Journal of Neurology 16, 1090 (2009))。別のもう1つの厄介な問題は、毎日の治療が、耐え難い負担となって薬物療法に対する患者の忠実な支持を減少させ得るという事実である。それ故に、今日では、皮膚パッチを介して皮膚を通しての解放のため及びミニポンプを配置する(例えば、空腸内、皮下)ことによってドーパミン作用薬の連続的な注入を提供する能力がある薬解放の新しいシステムに、強調が置かれている(A. H. Schapira et al., European Journal of Neurology 16, 1090 (2009))。そのような薬及びそれらの解放システムの展開を持ってしてさえも、いくらかのパーキンソン病患者は、それにもかかわらず、十分な苦痛の軽減を依然として受けない(N. L. Diaz, C. H. Waters, Expert Rev Neurother 9, 1781 (Dec 1, 2009)。
【0029】
ミトコンドリア病気の実験的モデルは、電子伝達系(1)で伴う酵素の抑制を典型的に伴う。多くの神経変性疾患は、ミトコンドリア機能不全(2-5)に関連するということも報告されてきた。ミトコンドリア呼吸鎖におけるI、II及びIV複合体の欠陥が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病及び筋萎縮性側索硬化症において検出されてきた(6-9)。
【0030】
いくつかのラインの証拠では、パーキンソン病は、エネルギー生産の不足につながるミトコンドリア機能不全及びフリーラジカルを伴う病気であることが意味される(10-11)。増加した酸化損傷、ドーパミン枯渇、タンパク質の窒化、鉄の蓄積、アポトーシス及びタンパク質の付加は、パーキンソン病の特徴である(12-14)。
【0031】
複合的な疫学的研究では、慢性的な痛みは、個々の健康、健康及び社会サービスへの重大な影響を伴う高度に一般的なものであることが示される(Torrance N, Smith BH. Bennett MI, Lee AJ. The epidemiology of chronic pain of predominantly neuropathic origin. Results from a general population survey. J Pain 2006; 7:281-289) (Treede RD, Jensen TS, Campbell JN, Cruccu G, Dostrovsky JO, Griffin JW, Hansson P, Hughes R, Nurmikko T, Serra J. Redefinition of neuropathic pain and a grading system for clinical use: consensus statement on clinical and research diagnostic criteria. Neurology 2008; 70:1630-1635)。神経障害性内容を持つ慢性的な痛みは一般的な人口の約7~8%に影響し、その治療に有効な治療はまだ満足できないということが、特に推定されてきた(Torrance N, Smith BH. Bennett MI, Lee AJ. The epidemiology of chronic pain of predominantly neuropathic origin. Results from a general population survey. J Pain 2006; 7:281-289) (van Hecke O, Austin SK, Khan RA, Smith BH, Torrance N. Neuropathic pain in the general population: a systematic review of epidemiological studies. Pain 2014; 155:654-62) (Bennett MI, Rayment C, Hjermstad M, Aass N, Caraceni A, Kaasa S. Prevalence and aetiology of neuropathic pain in cancer patients: A systematic review. Pain 2012; 153:359-365)。NPは、神経変性の症状と考えられ、その後、それは、その開始を予防してその進行を制御してこれらの慢性的な痛み症状の確立につながる神経の傷害にさえ戻るための戦略としての神経保護と考えるのが論理的である(Bordet T and Pruss RM. Targeting neuroprotection as an alternative approach to preventing and treating neuropathic pain. Neurotherapeutics 2009; 6:648-662)。神経保護は、病的ストレス(外傷性、有毒な、虚血性又は代謝性事象)という面においてニューロン生存又はそれらの機能を維持する方法を含む。それ故に、今日、最も末梢及び中枢NP神経障害(苦痛の糖尿病の神経障害、末端の多発性神経障害、HIV及び抗レトロウイルスの治療による知覚末端、化学療法によって誘発される末梢神経障害、ヘルペス後神経痛、MS痛み及び脳卒中後の痛み、など)の治療が、その見込みに向って向けられている(Bordet T and Pruss RM. Targeting neuroprotection as an alternative approach to preventing and treating neuropathic pain. Neurotherapeutics 2009; 6:648-662) (Flatters SJL, Bennett GJ. Studies of peripheral sensory nerves in paclitaxel-induced painful peripheral neuropathy: Evidence for mitochondrial dysfunction. Pain 2006; 122: 245-257) (Jaggi AS, Singh N. Mechanisms in cancer-chemotherapeutic drugs-induced peripheral neuropathy. Toxicology 2012; 291:1-9)。グルタミン酸作動性の機能不全、ニトロ酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、アポトーシス、栄養要因、神経炎症及び、神経変性によって誘発される損傷のない線維の変化に関する特別な焦点が存在する(Bordet T and Pruss RM. Targeting neuroprotection as an alternative approach to preventing and treating neuropathic pain. Neurotherapeutics 2009; 6:648-662) (DeLeo JA, Sorkin LS, Watkins LR, editors. Immune and glial regulation of pain. Seattle: IASP Press; 2007) (Park ES, Gao X, Chung JM, Chung K. Levels of mitochondrial reactive oxygen species increase in rat neuropathic spinal dorsal horn neurons. Neuroscience Letters 2006; 391:108-111)。生物学者の概算が、ATPに依存する神経障害における電子伝達系の関与に基づく痛みの新規な治療の開発において示唆されてきた(Joseph EK, Levine JD. Mitochondrial electron transport in models of neuropathic and inflammatory pain. Pain 2006; 121:105-114) (Joseph EK, Levine JD. Multiple PKCε-dependent mechanisms mediating mechanical hyperalgesia. Pain 2010; 150:17-21)。機械的な痛覚過敏の誘導における神経成長因子(NGF)のミトコンドリア依存性も、報告された(Chu C, Levine E, Gear RW, Bogen O, Levine JD. Mitochondrial dependence of nerve growth factor-induced mechanical hyperalgesia. Pain 2011; 152:1832-1837)。
【0032】
これらの考えに従うと、神経線維の連続性が中断した時に起こるワーラー変性(WD)のプロセスにおいて伴う複合的な免疫のメディエータが、NPの薬治療用の新しい標的として提案された(Debovy P. Wallerian degeneration and peripheral nerve conditions for both axonal regeneration and neuropathic pain induction. Annals of Anatomy 2011; 193: 267-275) (Lingor P, Koch JC, Tonges L, Bahr M. Axonal degeneration as a therapeutic target in the CNS. Cell Tissue Res 2012; 349:289-311)。神経免疫活性化、小膠細胞-ニューロンシグナル伝達及び酸化ストレスによって果たされる役割も、神経傷害後の伝達の補強において認識された(Berger JV, Knaepen L, Janssen SPM, Jaken RJP, Marcus MAE, Joosten EAJ, Deumens R. Cellular and molecular insights into neuropathy-induced pain hypersensitivity for mechanism-based treatment approaches. Brain Research Reviews 2011; 67: 282-310) (De Leo J.A, Tawfik VL, La Croix-Fralish ML. The tetrapartite synapse: Path to CNS sensitization and chronic pain. Pain 2006;122:17-21) (Austin PJ, Moalem-Taylor G. The neuro-immune balance in neuropathic pain: Involvement of inflammatory immune cells, immune-like glial cells and cytokines Journal of Neuroimmunology 2010; 229:26-50) (Salvemini D, Little JW, Doyle T, Neumann WL. Roles of reactive oxygen and nitrogen species in pain. Free Radical Biology &Medicine 2011;51:951-966)。その結果、神経保護及び特にNP治療用の神経炎症に向って向けられた革新的な戦略が、研究開発ステージで今日見出される(Bordet T and Pruss RM. Targeting neuroprotection as an alternative approach to preventing and treating neuropathic pain. Neurotherapeutics 2009; 6:648-662) (Stavniichuk R, Drel VR, Shevalye H, Maksimchyk Y, Kuchmerovska TM, Nadler JL, Obrosova IG. Baicalein alleviates diabetic peripheral neuropathy through inhibition of oxidative-nitrosative stress and p38 MAPK activation. Experimental Neurology 2011; 203:106-113)。
【0033】
老化及び神経系及び精神系疾患は、神経細胞の死亡及び損傷を引き起こす。頻繁な及び関連した神経系障害の中で、我々は、数ある中で、ニューロン退化、虚血、炎症、免疫反応、精神的外傷及びがんを含む。これらの結果として、神経細胞は、数分又は数時間で死ぬことがあり、又は、それらは、神経変性を活性化して最終的には細胞死にも終る損傷状態で初期の障害を切り抜けて生きることができる。
【0034】
炎症、グルタミン酸作動性の神経毒症状、増加する鉄及び酸化窒素、内因性の抗酸化物質の枯渇、栄養要因の表現の低減、アポトーシス促進性のタンパク質の表現及びユビキチンプロテアソームシステムの機能不全を含む複雑な範囲の有毒な反応がニューロンの死亡につながるように、パーキンソン病、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患における神経変性は、多因子のようである。
【0035】
可能な基本的運動を熟練して感受性にする上での神経系の重要性を仮定すると、神経系を保護するための治療武器を見出す興味が存在する。
【0036】
神経保護は、神経系、その細胞、構造及び機能を保存、回復、治癒又は再生することに向けられる(Vajda et al 2002, J Clin Neurosci 9:4-8)。神経保護の1つの目的は、神経系の元の障害の効果を予防する又は最小限にすることであり、又は、軸索、ニューロン、シナプシス及び樹状突起における傷害を引き起こす内因性又は外因性の有害なプロセスの結果を予防する又は最小限にすることである。
【0037】
神経保護は、慢性的な神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン)の結果としてのニューロン傷害又はCNS退化に対して保護するために使用されるメカニズム及び戦略である。神経保護の目的は、CNSへの傷害後の機能不全/死亡を限定すること、及び、影響を受けない神経の機能という結果になる脳中の細胞の相互作用の最も大きな潜在的なインテグリティーを維持するのを試みることである。
【0038】
神経保護の概念は、急性の神経系状態と同様に慢性的な脳病気にも適用された。ただし、CNSを損傷する基本的メカニズムのいくつかがこれらの状態と同様であるという条件で。神経変性疾患は、AD、PD、ハンチントン病及び筋萎縮性側索硬化症を含む。神経保護は、これらの状態の治療で使用される薬作用メカニズムとして考えられた。
【0039】
神経組織への損傷(傷害)のメカニズムの多くが同様ならば、研究されている又は有効な広い範囲の神経保護生成物が存在し、いくらかの生成物は、1つよりも多い病気のために潜在的に使用できる。神経保護効果を持つ生成物は、下記のカテゴリーに分類される:フリーラジカルの誘拐犯、抗興奮毒性物質、アポトーシス(プログラム細胞死)の阻害剤、抗炎症剤、神経栄養要因、キレート化金属イオン、イオンチャネルモジュレーター及び遺伝子治療。
【0040】
酸素フリーラジカルは、細胞膜の過酸化脂質及び最終的には神経変性疾患における細胞死という結果になるDNA損傷及び酵素の不活性化、タンパク質の変性に関連することが、例証された。
【0041】
動物及びヒトモデルの両方で実施された研究では、脳の代謝及び酸化防止剤プロテクターメカニズムによって発生した酸化体種間の平衡の喪失は、前記防御システムがそれらの有効性を減少させて破られる時に、いわゆる酸化ストレスを産む、ということが示される。この酸化ストレスは、加齢に伴って増加し、そして、ニューロンミトコンドリア機能不全に多分関連するAD病原論の根本的原因の中に見出される(Neurobiol. Aging 2007, 28, 1009-1014)。我々は、酸化防止剤特性を持つ生成物が、皮質ニューロンの培養におけるCa2ホメオスタシスへの変化と同様にアミロイドペプチドによって誘発されるアポトーシスを予防する能力があることも、知っている(Life Sci. 2000, 66, 1879-1892). 66, 1879-1892)。その結果、酸素化フリーラジカルなどの毒性傷害のための神経保護能力を持つ、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)又はブチリルコリンエステラーゼ(BuChE)阻害剤の大きな必要性が存在し、前記化合物は、AD、PD又はハンチントン病などの神経変性疾患の治療において大きな医療の重要性を有するであろう。
【0042】
一般的に言って、治療戦略は、提案された障害の単一の要因の調節に頻繁に基づく。前記治療は非常に制限された動物;モデルでは有益であることを我々は観察できるけれども、遺伝学的に多様な人口における障害の過酷さの更に変化する程度を含むより複雑なヒト疾患において、それらがそれら自身を有効であることは、あまり示しそうにない(Faden and Stoica 2007.; Arch Neurol 64:794-800)。大きな範囲で、酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、添加されたタンパク質、アポトーシス及び炎症などのニューロン死亡の推定されるメカニズムを仮定すると(Youdim, M.B., and Buccafusco, JJ (2005) CNS Targets for multi-functional drugs in the treatment of Alzheimer’s and Parkinson's diseases J. Neural Transm 112, 519-537)、それらは、変化するほど複雑であり、我々は、障害の複合的なメカニズムへの多目的効果を有する単一の化合物を望むであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0043】
発明の簡単な記述
その化学構造によってキューバ特許CU23879の文書に記述される化合物(3-エトキシカルボニル-2-メチル-4-(2-ニトロフェニル)-4,11-ジヒドロ-1H-ピリド[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)(JM-20)は、中枢神経系に関連する心臓血管系の、脳血管系の及び他の病気に対する効果を有し得る。
驚くべきことに、研究者は、化合物JM-20が、好ましくは異なるタイプの認知症、パーキンソン病及び痛みなどの病気の治療用にCNSへの著しい治療効果を有することを発見した。
それ故に、本発明の本質は、異なるタイプの認知症、パーキンソン病及び痛みなどの病気の治療で優先的に使用されるべきJM-20及びその化学生成物の使用に基づく。
【0044】
JM-20は、ベンゾジアゼピンの生成物であり、そして、ベンゾジアゼピンは認知症を引き起こすことが広く報告された(Huber-Geismann, F, 1994) (Rosenberg, P. B. 2015). (Shash, D., T. Kurth, et al. 2015) (Zhong, G., Y. Wang, et al. 2015))。しかし、予想外に、JM-20は、異なるタイプの認知症を改善する。
JM-20の潜在的な有用性が文献に報告されたという事実にもかかわらず、認知症、パーキンソン病及び神経障害性疼痛などの神経変性疾患における治療薬としての潜在性は、確立されなかった。
本発明の追加の側面として、一般式IIIの化合物(JM-20)、その塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に試験されたプロドラッグは、提案されている薬組成物に含まれる賦形剤として今後認識される化学的に不活性で無毒の少なくとも1つのビヒクル剤、希釈剤及び/又はキャリヤーと混合して投与できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面の簡単な記述
【
図5】
図5.化合物III及びそのハロゲン水和物を得る。
【
図6】
図6.JM-20(IIIc)からフマル酸塩を得る。
【
図7】
図7.JM-20(IIId)からリン酸塩を得る。
【
図8】
図8.JM-20(IIIf)から硫酸塩を得る。
【
図9】
図9:特に取得及び整理のプロセスにおける短期及び長期の空間記憶に対するJM-20の効果。
【
図10】
図10:短期の記憶研究を完結した後の、スコポラミンで治療されたラットにおける脳の組織のミトコンドリア機能不全に対するJM-20の効果。
【
図11】
図11:長期の記憶研究を完結した後の、スコポラミンで治療されたラットにおける脳の組織のミトコンドリア機能不全に対するJM-20の効果。
【
図12】
図12:アルミニウムによって誘発される異なるタイプの記憶の喪失に対するJM-20の効果。
【
図13】
図13:ベータアミロイド25-35ペプチドオリゴマーによって製造された細胞の生存率への損傷に対するJM-20の効果。
【
図14】
図14.JM-20は、ベータアミロイド25-35ペプチドオリゴマーによって誘発される記憶障害を戻す。
【
図15】
図15:ラットの総頚動脈の一時的閉塞によって誘発される認知低下に対するJM-20の効果。
【
図16】
図16:7日間の治療後のオスのウィスターラットにおける6-OHDAによって誘発される損傷に対するJM-20の神経保護効果。
【
図17A】
図17A:ラットの前足の足底表面に5%ホルマリンを注入した後のなめること/かむことの挙動に対するJM-20の効果。
【
図17B】
図17B.ラットの前足の足底表面に5%ホルマリンを注入した後のなめること/かむことの挙動に対するJM-20の効果の時間経過。
【
図18】
図18:5%ホルマリン試験のフェーズIIに対するJM-20の抗過剰侵害受容(antihypernociceptive)効果に対するフルマゼニルでの前処理の影響。
【
図19】
図19:外科後14日のCCIラットの同側の前足における機械的な異痛に対するJM-20の効果。
【
図20】
図20:Freyの電子で刺激した時に前足引っ込み応答を測定することによって決定されたCCIラットの同側の前足の機械的な過剰侵害受容(hypernociception)の強度に対するJM-20の効果。
【
図21】
図21.伝統的なRandal Selito or SH Ferreira試験への修正によって前足への定圧への機械的な過剰侵害受容に対するビヒクル(CMC、0.05%)又はJM-20(20mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)の効果。
【
図22】
図22:外科後14日でCCIによって誘発される組織学的変化(ワーラー変性)に関する7日後CCIでスタートする7日間で繰り返し用量でJM-20での処理の効果。
【
図23】
図23:酸化窒素濃度の指示薬としての硝酸塩の脊髄濃度に対するJM-20の効果。
【
図24AB】
図24:ラットにおいてカラギーナンによって誘発される腹膜炎症反応に対するJM-20の効果(500μg/空洞)。A.白血球ローリング、及びB.腸間膜の血管系の内皮細胞へのそれらの付着。
【
図24CD】
図24.カラギーナンによって誘発される腹膜炎症反応に対するJM-20の効果(500μg/空洞)。C.腹膜空洞に向かう白血球の移行、及びD.血管系の浸透性。
【
図24E】
図24E:カラギーナン注入後4時間での腹膜液中の腫瘍壊死要因(TNFα)の濃度に対するJM-20の効果。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の詳細な記述
薬組成物は、いかなる液体、固体又は半固体組成物を提供し、それらは、経口的に、頬咽頭の、舌下の、パレンタル、例えば:筋肉内の、静脈内の、皮内の又は皮下、局部的な、経皮的な、気管、気管支の、鼻の、肺の、直腸の又は投与他の適切なやり方で、投与できる。
【0047】
記述の薬組成物は、各々のフォーミュラで適切な賦形剤を含むであろう。配合物は、技術水準で集めた方法を使用して慣例的に調製される。賦形剤は、それらが投与されるであろうやり方に従って選択されたそれらの薬の形態で選択される。
【0048】
一般式IIIの化合物(JM-20)、その塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、プロドラッグは、ヒトへのその投与のために、医薬的に許容可能な形態の用量で含有でき、それらは、以下に提示のこれらの形態を含むがそれらに制限されない:錠剤(舌下の、コーティングされた及び噛むことができるものを含む)、ハードな及びソフトなカプセル(マイクロカプセル、ナノ粒子及びペレットを含む)、溶液(経口ドロップ、シロップ)、非経口液、経皮貼布、インプラント及び他の遅延システム、軟膏(クリーム及びジェル)、鼻のスプレー、粘膜接着剤、座薬、懸濁、食品に添加されるべき又は再構成されるべき粉末、本発明に含まれる他の形態の用量。
【0049】
最新技術の公知の技術プロセスを使用して、JM-20、その塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、プロドラッグは、自然の又は合成の起源の有機及び無機の性質で構成されている補助液体、固体又は半固体物質などの賦形剤とそれらを混合して、それらの投与に適合させた用量形態で配合できる。それらのいくつかは、以下の物を含み:充填固体、希釈剤、接合剤、溶媒、エマルジョン、潤滑剤、粉砕剤、滑り剤、人工香味料、着色剤、色素、ポリマー、甘味料、可塑化、吸収可能性、浸透可能性、界面活性剤、共界面活性剤、専門的な油及び/又は緩衝システムであり、それらは、活性な化合物又は物理的な、化学及び/又は生物学的な安定性のあるそれらの生理的に許容可能な塩を与える。
【0050】
他の補助物質の使用に対する制限なしで一般式IIIの化合物又はその生成物を含有する用量の形態の配合物で使用されるいくつかの賦形剤は:デンプン、ラクトース、セルロース及びその生成物、スクロース、ソルビトール、マンニトール及び他の糖類、滑石粉、コロイド状二酸化ケイ素、カーボネート、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、二酸化チタン、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ゼラチン、ラクト-タンパク質、クエン酸塩、酒石酸塩、アルギナート、デキストラン、エチルセルロース、シクロデキストリン、シリコーンエラストマー、ポリソルベート、アミロペクチン、パラベン、動物及び植物油、プロピレングリコール、滅菌水、グリセロールなどの一価又は多価アルコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン及びポリエチレングリコールワックスである(数ある中で)。
【0051】
本発明による一般式III又はその塩、鏡像異性体形態及び酸化還元生成物を含有するカプセル又は再構成されるべき粉末、ペレット、ナノ粒子、マイクロ顆粒、錠剤などの固体経口の形態の用量が、即座の又は修正された解放のために使用できる。
【0052】
本発明に従って選択された薬の形態は、それらの活性な医薬成分として、一般式III又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、プロドラッグ調剤、微結晶性セルロース、コーンスターチ、クロスポビドンとの混合物を含有する錠剤であり、流動床において完全なプロセスで乾燥されてステアリン酸マグネシウム及び滑石粉と混合される粒を形成するために溶解したポリビニルピロリドン及びラウリル硫酸ナトリウムを添加し、そして、その後、錠剤は、その製造用の回転パンチシステムを使用して製造され、最終的に、錠剤は、ヒドロキシルプロピルセルロース、ポリエチレングリコール4000、二酸化チタン及び着色剤懸濁液でコーティングされる。
【0053】
錠剤をコーティングすることによって、我々は、上品な仕上がった外観を実現し、我々は、不愉快な味を避ける;これは、メチルアクリル酸、エチルセルロース、メチルヒドロキシルプロピルセルロースのコポリマー又は他のポリマーなどの風味マスキング剤で実現される。錠剤は、低用量で作用しているという条件で、錠剤を得るフェーズの工程を減少してそして直接圧縮用の賦形剤を使用する直接圧縮法及び上述した湿式造粒法の両方によって、得ることができる。
【0054】
錠剤は解放を修正でき、そして、それらは、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシルプロピルセルロース2910、ステアリン酸マグネシウム、塩化ナトリウム、赤酸化第一鉄、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール3350及びオパドライなどの賦形剤を使用して、マイクロ顆粒、ナノ粒子又はマトリックスシステムで、一般式III又はその生成物を含有できる。
【0055】
本発明によれば、薬組成物は、その解放プロファイルを制御してそれによって修正された解放(即座の、遅らせた又は制御された)形態の用量を得るために、浸透できて生分解性で水に不溶性の医薬的に許容可能なポリマーを含有できる。これらのポリマーは、本発明で言及されるいかなる他の形態の用量に含まれる他の賦形剤との混合物、顆粒、錠剤、又はペレットにおける解放マトリックスとして、ナノ粒子を得る際にカプセル、マイクロ顆粒、錠剤を被覆するために使用できる。
【0056】
経口投与のために、他の適切な医薬組成物は、ハードなカプセル、ソフトなカプセル及び医薬粉末であり、一般式IIIの化合物又はその塩、鏡像異性体形態及びその生理的に許容可能な酸化還元の生成物は、例えば、錠剤用に記述されるものなどの固体形態で共通に使用される賦形剤と活性な医薬成分との混合物を内部に含有するハードなゼラチン又はセルロースカプセルの形態で、投薬できる;前記混合物は、乾燥ルート、湿式造粒、押出し、ペレット化、マイクロカプセル化又はマイクロタブ用量によって得ることができる。ソフトなゼラチンカプセルでの用量では、我々は、従来の製造方法を使用し、それらは、一般式IIIの化合物又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、プロドラッグを、植物油、グリース又はそれらの形成のために適切な他の同様なビヒクルと混合して調製できる。
【0057】
医薬粉末の場合は、これらは、一般式III(JM-20)化合物又はその塩、鏡像異性体形態及びその生理的に許容可能なプロドラッグの生成物と、フィラー、懸濁剤、甘味料、風味剤及び保存料との単純な混合物によって製造できる。けれども本発明は、粉末の綿密な仕上げにおいて、100℃-150℃の間の入口温度及び50℃-90℃の間の出口温度での噴霧化乾燥方法をも使用し、数ある中で、デキストラン、ポリエチレングリコール4000及びラウリル硫酸ナトリウムなどの賦形剤を使用し、溶液中の有機体中へのその適切な取込みのための活性な医薬成分の溶解性を改善し、又は、ジュースなどの食品にそれを添加する。
【0058】
直腸投与では、一般式IIIの化合物(JM-20)又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に許容可能なプロドラッグは、座薬、発泡体又は直腸のマイクロ浣腸溶液として投薬でき、それらは、中性の固体脂肪(Witespol 45)の基剤又はその配合物用に適切ないくつかの他の同様なビヒクル(;ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート20、乳化剤ワックス、無水物コロイドシリコーン、メタ重亜硫酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、メチルパラヒドロキシルベンゾエート、リン酸ナトリウム、マクロゴール300、グリセリン、水、プロパン、イソブテン及びn-ブタン)と活性な化合物との混合物を含有できる。
【0059】
液体の経口投与では、一般式IIIの化合物(JM-20)又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に許容可能なプロドラッグは、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、及び/又はポリエチレングリコール、数ある中で、カルボキシルメチルセルロース又は他の増粘剤の混合物などの医薬的に許容可能なビヒクルを有する懸濁液、濃縮ドロップ、エリキシル剤、又はシロップとして配合できる;それは、着色剤、風味剤、甘味料(スクラロース、アスパルテーム、シクラメート、ステビア)及び保存料(パラベン、ベンゾエート)を含有できる。これらの液体用量は、使用される前に適切な希釈剤で粉末医薬組成物を再構成することを基準として調製できる。
【0060】
非経口投与では、一般式IIIの化合物(JM-20)又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に許容可能なプロドラッグは、注入可能な溶液として配合できる。これらの溶液は、安定化、保存及び/又は緩衝成分を含有できる。
【0061】
本発明では、活性な医薬成分は、96%エタノール溶液、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、注入用の水の中にある;ポリエチレングリコール400、クエン酸ナトリウム及びクエン酸などの他の賦形剤も使用できる。
【0062】
一般式IIIの化合物(JM 20)又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に許容可能なプロドラッグを含有する非経口投与用の溶液は、モニトール、ポリソルベート80、塩化ナトリウムなどの補助物質の使用を含む、使用される前に適切な希釈剤で乾燥医薬組成物(凍結乾燥)を再構成することによっても、調製できる。
【0063】
皮下投与では、一般式IIIの化合物(JM 20)又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に許容可能なプロドラッグは、ペレットをまとめるために他の医薬使用ポリマーを使用できるとしても、シリコーンエラストマー及び無水物コロイドシリコーンなどの補助物質を使用してインプラントとして投薬できる。
【0064】
経皮的投与では、一般式IIIの化合物(JM 20)又はその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、生理的に許容可能なプロドラッグは、パッチとして配合できる;この場合は、活性な医薬成分は、(12.75cm2の表面積で15mg/日の名目上の解放速度で)取り外し可能なシートの内部に、アクリルコポリマー、エタノール、軽流動パラフィン、イソプロピルパルミテート、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル溶液及びシリコーンの層サポート中に含有される。
【0065】
実現例
この例は、タイプIIIの最終の生成物を得るために要求される合成中間体の一部である、4-(2’ニトロフェニル)-5-カルボニルエトキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロ-2(1H)ピリジン(I)及び対応するo-クロロホルミル1,4-ジヒドロピリジン誘導体(II)の合成を例証する。
化合物IIは、乾燥ジメチルホルムアミド中でのオキシ塩化リンを介してIの変質を基準として得られ、それらの混合物は、その後、3~9倍の割合で、ジクロロメタン又はクロロホルム中でのIの溶解に添加され、そして、20-60℃の間の温度で15-20時間撹拌される(
図1)。
【0066】
得られる生成物は、その後、基本的加水分解、クロロホルム又はジクロロメタンでの後の抽出、洗浄及び乾燥の方法による精製に、かける。
化合物Iは、1つの単一の工程で多成分反応によって得られ、ここで、我々は、等モルの量で、溶解剤として酢酸中で2-ニトロベンゼンアルデヒド、メルドラム酸、アセト酢酸エチル及び酢酸アンモニウムを混合し、そして、7-10時間還流反応を受ける。その後、混合物は水上に注がれ、得られる沈澱物はエタノール再結晶の方法によって精製される。
【0067】
この例は化合物IIIの合成を例証する。
先に得られた化合物IIa又はIIbは、使用される試薬の状態次第で、異なる塩を形成して調製されることができる化合物III(JM-20)を得るために、無水エタノール中でオルトフェニレンジアミンとの反応を受ける。
【0068】
IIaから化合物IIIを得る
化合物III(JM-20)を得るために、我々は、化合物IIaのエタノール溶液からスタートし、我々は、撹拌しながら溶解剤としての無水エタノール中に等モル量のオルトフェニレンジアミンを添加する。等モル又はより多い量(1~2当量)のトリエチルアミン(
図2、方法A)が、反応混合物に添加され、制御された滴下によって及び反応混合物を連続的に撹拌することによって、十分な量(1~1.5当量)の水酸化ナトリウム溶解が添加されるか又は撹拌が維持される(
図2、方法B)。
【0069】
IIbから化合物IIIを得る
化合物III(JM-20)を得るために、我々は、エタノール溶解中の化合物IIbでスタートし、我々は、撹拌しながら溶解剤としての無水エタノール中に等モル量のオルトフェニレンジアミンを添加する。等モル又はより多い量(1~2当量)のトリエチルアミン(
図3、方法A)が、反応混合物に添加され、制御された滴下によって及び反応混合物を連続的に撹拌することによって、十分な量(1~1.5当量)の水酸化ナトリウム溶解が添加されるか又は撹拌が維持される(
図3、方法B)。
化合物JM20の異性体構造は、
図4に示される。
【0070】
ハロゲン水和物タイプの塩として化合物IIIを得る
IIIの対応するクロロハイドレート又はブロモハイドレート塩(JM-20のハロゲン水和物)が、触媒の使用ありで又はなしで、それぞれIIa又はIIbから得られる。対応する水素酸が適切な触媒量(5-25%モル)で添加される時、触媒作用プロセスが起こり、反応時間を減少させて反応収率をわずかに増加させる(
図5)。
【0071】
JM20(IIIa)クロロハイドレートが、IIaから適切に得られ、そして、適切な 量のHClが添加される時、反応触媒作用が起こる。JM-20化合物は、IIbからブロモハイドレート(IIIb)としても得ることもでき(
図5)、塩化物よりも良好な突き出た基である臭化物の特徴を持ち、分子内の求核置換の反応が促進され、急速及び効率的な反応となってブロモハイドレートとしてJM-20を得るという結果になる。
【0072】
フマル酸塩として化合物IIIを得る
2-5時間の磁気撹拌で、IIIa又はIIIbの溶解にフマル酸1ナトリウムを添加して、その後に適切な量のエタノールを添加して沈殿させて、JM-20(IIIc)フマル酸塩が、クロロハイドレート又はブロモハイドレートから得られる(
図6)。
IIIcフマル酸塩に対応する沈澱物は、好適に濾過されて洗浄され、精製されて、その後、低減圧力で制御された温度乾燥器中に置かれる。
【0073】
リン酸塩の形態で化合物IIIを得る
JM-20(IIId)リン酸塩は、撹拌しながら、エタノール溶液中でIIIa又はIIIbにリン酸を添加することによって又は反応の開始時に等モル量のリン酸を添加することによって、IIa又はIIbから、上記と同様のプロセスによって、得ることができる(
図7)。
【0074】
硫酸塩の形態で化合物IIIを得る
JM-20(IIIf)硫酸塩は、
図8に示すように、IIIa又はIIIbハロゲン水和物を基準として又はIIa又はIIbから得ることができる。
【0075】
錠剤の形態の配合物を得る
各々の120.00mg錠剤は、以下を含有する:
【表1】
【0076】
技術プロセスの簡単な記述:
1.20-メッシュを通して有効成分、コーンスターチ及びラクトースをふるいにかける。
2.処方で確立された量に従って配合物の全ての成分の重さを計る。
3.凝集素溶液では、蒸気ジャケットを持つ金属容器の中に、水及びクラスCエチルアルコールの混合物を注ぎ、ポリビニルピロリドンを添加し、そして、完全に溶解するまで振とうする。
4.有効成分、コーンスターチ及びラクトース(内相の成分)でミキサーをロードする。15分間の混合。
5.蠕動ポンプを使用してゆっくりと凝集素溶液を添加し、水及びクラスCエチルアルコール(1:1)を使用して要求される僅かな程度の湿り気を完結する(必要なら)。低速でミル中で研磨。
6.流動床中で粒を乾燥。10分後、代表的なサンプルの粒を取り出し、脱顆粒し、そして、その残留湿度を試験する;前記湿度は、0.8~1.2%の間で登録すべき。
7.乾燥粒と潤滑剤とを10分間混合する。
8.高速回転機中で、平らで斜めに切ってありそして溝付6.4mm直径(1/4 PBR)のダイスを使用して混合物を圧縮し、下記のパラメーターを有する錠剤を得る:
質量:120.0mg±10%
高さ:2.6±0.10mm
硬度:4.0±1KgF
破砕性:1%未満
【0077】
経口ドロップ形態用の配合物を得る
各mL(20滴)は、以下を含有する:
【表2】
【0078】
技術プロセスの簡単な記述:
1.生成物を製造するときに精製水の導電率及びpHを測定する。
2.反応器中にプロピレングリコールを注ぐ。
3.適切な容量を持つ補助ステンレス鋼レシピエント中で精製水中にサッカリンナトリウムを溶解する。
4.Kollidon 25を組込み、少しずつそれを散乱させ、全体的に分散するまで少なくとも30分間撹拌する。
5.撹拌して調製品に熱をかけ、40-50℃の間の温度を30分間保つ。
6.先の工程の結果物に有効成分を少量組込み、一定の撹拌を30分間保つ。
7.熱を除去し、そして、調製物が部屋温度:30±2℃を達成するように待つ。
8.適切な容量を持つ補助ガラス又はステンレス鋼レシピエント中でクラスCエチルアルコールにメチルパラベン及びプロピレングリコールを溶解し、全体的に溶解するまでそれを絶えず撹拌する。
9.先の工程の結果物に、可溶性の液体イチゴ風味を付加し、完全に均質になるまで撹拌する。
10.反応器タンク中に先の工程の結果物をゆっくりと組込み、絶えず及び強くそれを撹拌する。
11.適切な容量を持つガラス又はステンレス鋼レシピエント中にクエン酸及び脱水クエン酸ナトリウムを溶解し、完全に溶解するまで各添加後にそれを撹拌する。
12.反応器タンク中に先の工程の結果物をゆっくりと組込み、絶えず及び強くそれを撹拌する。
13.正しい容量を有するガラス又はステンレス鋼レシピエント中で精製水にPonceau S.アシッドレッドを溶解し、全体的に溶解するまでそれを撹拌し、調製物を組込む。
14.水と一緒に事前に決められた量をすくい取る。均一になるするまで撹拌する。
15.pHが4.0-6.0間隔で維持される試験をする。
16.最終の濾過をする;官能特徴を試験する。
17.15.0±1.0mLの溶液で、琥珀色のガラスビン×15mL中に最終の調製物をビンにとり、適切に蓋をして、油状の生成物用のドリップリディーサーを有するトップを使用する。
【0079】
注入可能な配合物を得る:
各バルブ(2mL)のJM-20は以下を含有する:
【表3】
【0080】
1.殺菌後に反応器が完全に乾燥していることをチェックする;もしもそうでないなら、脱水アルコールでそれをすすぎ落とす。
2.pHを調節するための1N塩酸の溶液を調製する。
3.反応器に脱水アルコール及びCremofor ELPの一部を添加する。420rpmで混合する。
4.有効成分の重さを計り、脱水アルコールの一部を、それを含有するビーカーに添加する;ガラス撹拌機でそれを分散させ、反応器に添加する;全ての有効成分が一掃されて全ての脱水アルコールを使い切るまでこの操作を繰り返す。
5.有効成分が全体的に溶解するまで420rpmで60分間反応器中の撹拌を維持する。
6.Cremofor ELPの残りを添加し、脱水アルコールで残余を一掃し、420rpmで10分間それを撹拌する・
7.溶液のpHを決定し、5.0-6.0の間に1N塩酸でそれを調節する。
8.脱水アルコールを添加することによって、溶液の容積を完結する。420rpmで5分間撹拌する。
9.10mLの溶液を取り、プロセス制御用の実験室に送る(評価及びpH)。
10.充填及び窒化処理システムの正しい組立をチェックする。
11.the Sartobran P MidiCapsフィルターのインテグリティー試験を運転、脱水アルコールで(0.45+0.2μm)気孔率。
12.プロセス 制御が一旦仕上がったら、0.45μm+0.2μm気孔率Sartobran Pフィルターカートリッジを通して溶液を推進するために窒素(0.7-1.0バール)を使用して反応器を加圧する。バルブを満たしてシールし、2.2mLの溶液の用量を作る。
【0081】
認知症モデルでの記憶研究
試薬
全ての試薬は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO, USA)から購入した。JM-20は、the Faculty of Chemistry of the University of Havanaで有機合成実験室によって提案された研究のために十分な量が投与された。
【0082】
異なる研究では、JM-20は、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.05%中に懸濁されて、経口的に投与された。スコポラミン臭化物は、0.9%生理食塩水溶液中に溶解されて、腹腔内に投与された(1mg/kg、4mL/Kgの重さ)。塩化アルミニウムが、実験の対象用に共通の飲料水中に溶解されて、1ヶ月間慢性的な形態で500mg/Kgペソ用量で経口的に投与され、一方で、挙動研究が実施された。ベータアミロイドペプチド(25-35)がオリゴマー化されて、製造者の標準に従って可溶性にされて、右大脳半球中に5uL中に100pmolsで脳室内の手段を介して投与された。
【0083】
実験動物。倫理的な考慮。
スコポラミン及びアルミニウムモデルに対応するインビボ実験は、ウィスターラット(オス、230-260g)を使用した。一方で、ベータアミロイドモデルに対応するインビボ実験は、OF-1マウス(オス、25-30g)を使用した。全ての動物は、the National Laboratory Animal Production Center (CENPALAB, Mayabeque, Cuba)から来た。それらの到着後、それらは、7日間実験室状態への適合を受けた。それらは、45-55%相対湿度、制御温度(22±2℃)で交互の12時間サイクルの明暗下に維持され、それらは、要求に応じて自由に水及び食品が与えられた。全ての挙動研究は、制御された状態の光とノイズレベル下で09:00~17:00の間に実施された。この研究で報告された動物での全ての手順は、動物実験用に確立された国家規則に従って及び実験室動物のケアのための国際委員会によって認可された判定基準に従ってなされた。
【0084】
実験設計
プロトコル1:スコポラミンによって誘発される記憶障害に対するJM-20効果の評価
我々は、スコポラミンの急性腹腔内投与によって影響された、短期及び長期の記憶の取得及び整理のプロセスに対するJM-20の3つの用量(2、4及び8mg/kg)のプロテクター効果を調査した。この目的では、JM-20は、4つの独立の試験において、短期及び長期の両方の記憶の取得及び整理のプロセス又は影響の前に、投与された。
【0085】
各々の試験において、我々は、無作為に選択された対象の6つの実験的グループを形成した(n=10、グループ当り):健康な対照グループ(CMC及び生理食塩水);JM-20非損傷グループ(JM-20 8mg/kg);スコポラミングループ(CMC及びスコポラミン 1mg/kg);JM-20-スコポラミン(JM-20 2mg/kg及びスコポラミン 1mg/kg)、(JM-20 4mg/kg及びスコポラミン 1mg/kg)及び(JM-20 8mg/kg及びスコポラミン 1mg/kg)グループ。
記憶に対する効果は、短期及び長期の記憶を取得して整理する(強固にする)プロセスの独立の研究に適切な実験設計を使用して、新規な物体を認識する試験及び強制的な交替Y迷路試験によって、評価された。
【0086】
挙動研究の最後に、我々は、脳の組織を基準として異なるインビボ研究を実施した。我々は、異なる酸化ストレスマーカー、ミトコンドリア機能、アセチルコリンエステラーゼAchE酵素の活性のレベル、及び記憶及び学習のプロセスにおいて密接に伴う脳の領域中のニューロン及び軸索生存率の組織学的パラメーターに対するJM-20の効果を研究した。
【0087】
プロトコル2:塩化アルミニウムによって誘発される記憶障害に対するJM-20効果の評価
我々は、スコポラミンの急性腹腔内投与によって影響される異なるタイプの記憶に対するJM-20の2つの用量(2及び8mg/kg)のプロテクター効果を調査した。この目的では、JM-20は、塩化アルミニウム(500mg/kg)の投与の開始に続いて15日から挙動研究の最後まで投与された。我々は、以下の3つのタイプの記憶に対するJM-20及び塩化アルミニウムの効果を評価した:モーリスの水迷路試験及びT-迷路試験による空間記憶;新規な物体認識試験による新規性の認識;及び受動回避試験による感情の連想記憶。
【0088】
無作為に選択された対象の5つの実験的グループが、形成された(n=10、グループ当り):健康な対照グループ(CMC及び水);非損傷JM-20-グループ(JM-20 8mg/kg及び水);アルミニウム(CMC及び塩化アルミニウム 500mg/kg)グループ;JM-20-アルミニウム(JM-20 2mg/kg及びアルミニウム 500mg/kg)、及び(JM-20 8mg/kg及びアルミニウム 500mg/kg)グループ。
挙動研究の結論で、我々は、脳の組織に関する異なるインビボ研究を実施した。我々は、異なる酸化ストレスマーカー、ミトコンドリア機能性及びアセチルコリンエステラーゼAchE酵素の活性のレベルに対するJM-20の効果を研究した。
【0089】
プロトコル3:ベータアミロイド25-35ペプチドオリゴマーによって誘発される損傷に対するJM-20効果の評価
最初に、我々は、1uM濃度のベータアミロイド25-25ペプチドオリゴマーにかけたPC12細胞のラインの細胞の生存率に対するJM-20の効果を評価した。このインビトロの試験は、ジメチルスルホキシド(DMSO)で可溶性にされた3つの濃度のJM-20(3.125、6.25及び12.5uM)の効果を評価した。6つの実験グループが形成された:治療されない対照グループ(NT);ビヒクルグループ(DMSO);ベータアミロイドグループ(Aβ 1μM);JM-20-ベータアミロイド(JM-20 3.125+Aβ 1μM)、(JM-20 6.25+Aβ 1μM)及び(JM-20 12.5+Aβ 1μM)グループ。
【0090】
その後、我々は、OF-1マウスに関するインビボ研究を実施した。我々は、10及び30mg/kg重量の用量で経口的に、10日の間にAβ(100pmols)の脳室内に投与後7日投与されたベータアミロイドオリゴマーによって誘発される記憶障害に対するJM-20の効果を評価した。我々は、5つの実験グループを形成した:健康な対照グループ(Sham);非損傷JM-20グループ(Sham+JM-20 30mg/kg);ベータアミロイドグループ(Aβ 100pmol+CMC);JM-20-ベータアミロイド(JM-20 10mg/kg+Aβ 100pmol)及び(JM-20 30mg/kg+Aβ 100pmol)グループ。
【0091】
挙動研究
Y迷路.自発的交替
空間記憶に対するJM-20の効果が、Y迷路強制交替試験(20)によって評価された。迷路は、中央プラットホーム上に120°の角度で3つのアーム(55×20×20cm)を持つプラスチックから形成された。試験は、2つのセッションで実施した。第1の学習フェーズでは、我々は、トレーニングフェーズを実施し、その間では、各々のラットは、中央プラットホーム上に置かれ、10分間迷路のアーム(A及びC)を自由に探究できるようにし、その一方で、第3のアーム(B)は、遮断され続けた。各々のアームの中に入ることは、いかなるアームの内部の4つの先端の中に入ることと考えられた。10分間アーム中に入ることが、後に分析されるために連続してビデオ記録された。評価フェーズは、ラットが5分間自由にY迷路アームを探究できるようにして1つは先に遮断されたものを含むことに存する。5分間アーム中に入ることが、後に分析されるために連続して記録された。この試験は、新しいアーム(B)中に入る数を評価した。そこでは、このアームの中に入るパーセンテージは、研究されている動物中の良好な記憶と直接に比例する。アームBの中に正しく入るパーセンテージは、下記の方程式:正しく入る%=(Bの中に入る数)/(3つのアームの中に入る合計)×100で示されるように、合計の潜在的な交替から実施された交替の割合を基準として計算された。各々の試験後、迷路は、嗅覚手掛かりの存在を低減するために、40%エタノール溶液できれいにされた。
【0092】
物体認識
認識された新規な物体の記憶に対するJM-20の効果が、物体認識試験によって評価された。この試験は、オープンフィールド中で2日連続で実施された。第1日目には、動物は、フィールドに適合させ、2つのセクションでは、それらは3分間ボックスを探究させた。第2日目には、各々5分の2つのステージによる学習評価でトレーニングが実施され、以後、それぞれ、トレーニング(E)及び試験フェーズ(P)として処理された。Eステージの間に、ラットには、Familiar(F)物体と呼ばれる2つの同一の物体が与えられた。30分後、Pステージがスタートし、ラットは、Familiar物体F及び新規な物体(N)にさらされた。試験は、各々の物体で各々の動物によって取られた調査の時間によって定義される、物体の調査を分析するために、記録された。物体FとNとの間の識別の割合は、ID=(N-F)/(N+F)として計算された。
【0093】
モーリスの水迷路
モーリスの水迷路は、円形のタンク(1.52mの直径、0.60mの深さ)中で少し修正したVorhees y Williams (21)によって記述されるように実施された。5日のトレーニングが実施され、日当り4つのセクションで、6日目は学習評価のためであった。動物は、全てのトレーニングセクションの間に、変わらない位置で固定された隠れたプラットホームの場所を決める仕方を学ぶべきであった。実験全体の間で、いくつかの外部の手掛かりが配置されて、固定した位置に保たれた。各々のトレーニングセッションでは、動物は、それらが最長時間1分以内でプラットホームを見つけるまで、4つの出口サイトの1つで、タンクの壁に面した、水中に配置された。評価の日に、プラットホームが除去された。我々は、トレーニングトライアルにおけるエスケイプの待ち時間(動物がプラットホームを見つけるのにかかった時間)、学習評価用試験の間にプラットホームのクオドラントに動物がとどまった時間及びプラットホームサイトが見つかるまでにカバーされた距離を、定量化した。
【0094】
受動回避
受動回避試験が、少し修正したKohara及び協力者(22)によって記述された方法論に基づいて、実施された。我々は、2つのチャンバーから成る受動回避装置(UGO Basile)を使用し、その1つは点灯され(30×30×30cm)そして1つは暗く(10×20×12cm)、裁断機の形態のアクセスドアによって接続された。暗いチャンバーは、電気回路を備えていた。
試験は、2日連続で2つのステージで実施された。第1日目には、各々のラットは、点灯しているチャンバー中に10秒間置かれ、その後、チャンバー間のドアが開かれ、ラットは、最長時間90秒の間に自由に探究できるようにした。ラットが暗いチャンバーに一旦入ると、アクセスドアが閉まり、ラットは、5秒間1mAの電荷を受けた。第2日目には、暗いチャンバー中に入る待ち時間は、最長時間300秒で測定された。
【0095】
ミトコンドリア機能性の研究
脳のミトコンドリアを単離
ミトコンドリアは、差動遠心分離によって単離された。動物は、骨頭切除術によって犠牲にされ、それらの脳は、即座に除去されて、で、スクロース75mmol/L、EGTA 1mmol//L、マンニトール225mmol/L、BSA 0.1%及びHEPES-KOH 10mmol/L、pH7.2、4℃を含有する50mL単離バッファー中にカットされ、Potter-Elvehjen中で均質化された。それによって得られた懸濁は、2000gで3分間遠心分離され、浮遊した物質は、12000gで8分間遠心分離された。沈澱物は、10%で20uLジギトニンをも含有する10mLの単離バッファー中に再懸濁され、これは、12000gで10分間遠心分離された。ミトコンドリア沈澱物は、EGTAなしの単離バッファー中に懸濁され、それは、12000gで10分間遠心分離され、浮遊した物質は処置されて、それは、EGTAなしの単離バッファーで穏やかに洗浄された。標準のパターンとしてウシ血清アルブミンを使用してタンパク質の濃度を決定するために、microLowry法が使用された(Mirandola et al., 2010)。
ミトコンドリアは、KCl 130mmol/L、MgCl2 1mmol/L及びHEPES-KOH、リン酸塩 2mmol/L、pH 7.4の培地中でインキュベートされた。ミトコンドリア(1mgタンパク質/mL)は、5mmol/L及びロテノン2.5μmol/Lコハク酸カリウムのエネルギーを与えられた。
【0096】
ミトコンドリア膜電位
495/586nm(励起/発光)でPOLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計で蛍光マーカーのサフラニンO(10μM)を使用して及びPOLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計を使用して、ミトコンドリア膜電位が決定された。
【0097】
ミトコンドリア膨潤
POLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計を使用して及びCa2+200μmol/Lの存在下に、標準の培地中にインキュベートされたミトコンドリアの懸濁の540nmでの見かけの吸光度の減少によって、ミトコンドリア膨潤がモニターされた。
【0098】
反応性の酸素種の生成
563/587nm(励起/発光)で1UI/mlのホースラディッシュペルオキシダーゼ及び蛍光マーカーとしてAmplex red (Molecular Probes, OR, Eugene)を使用する蛍光分光測定法によって、反応性の酸素種(ROS)が決定された。
【0099】
酵素及びレドックス状態試験のための脳の組織の調製
ラットが骨頭切除術によって犠牲にされ;それらの脳は、除去されて、そして、脳の脳半球の両方の海馬及び前前頭皮質という2つの領域に分離するために直ちに解剖された(23)。これらの領域は、1:10(p:v)の割合で、リン酸ナトリウム緩衝溶液(0.1mM、pH7.4:NaCl 0.13M、KCl 0.0027M、KH2PO4 136.04M、Na2HPO4 0.0016M)中に均質化されて、それらは、Eppendorf遠心分離(Germany、5424R)で20分間6,000gで遠心分離された。脳の構造のホモジネートの比率は、それらが使用されるまで、-80℃で保存された。それらのタンパク質濃度が、参照としてウシ血清アルブミンを使用して、POLARstar Omega (Germany)でLowry法(24)によって、決定された。
【0100】
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性
抽出された海馬及び前前頭皮質のホモジネートに存在するAChE酵素の活性が、わずかに修正した(26)Ellman(25)によって記述された方法を使用して分光光度法で測定された。試験は、200μLの最終の容積で、96-ウェルシート上で実施された。反応培地は、140μLのエルマン試薬、50μLのホモジネート及び10μLの20mMヨウ素添加アセチルチオコリン(AcSCh)溶液を含有し、それは、37℃で1分間インキュベートされた。POLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計で1分間隔で20分間405nmでの吸光度が測定された。酵素活性が計算され、タンパク質mg当り1分で加水分解された(AcSCh)のμmolsとして表現された。
【0101】
レドックス状態及び酸化損傷パラメーターの研究
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性
SOD酵素活性は、ピロガロール酸化方法(27)を使用して決定された。試薬混合物は、2.8mLのTris 0.2M-HCl 0.2M(pH8.2)の溶液、0.05mL EDTA 60mM、0.1mLのホモジネート及び0.05mLのピロガロール溶液7.37mMで構成された。POLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計で1分間420nmの吸光度が測定された。結果は、タンパク質mg当りの酵素活性の単位として表現され、1分で1μmolの基質の転化に触媒作用を及ぼす酵素の量として酵素活性の1単位と考える。
【0102】
カタラーゼ(CAT)活性
CAT酵素活性は、過酸化水素(H2O2)の分解を基準として決定された(28)。試薬混合物は、0.9mLのリン酸塩緩衝(pH7.0)、0.1mLの脳組織ホモジネート及び0.5mLのH2O2(50mM)で構成された。POLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計で10及び70秒で240nmの吸光度が測定された。結果は、タンパク質mg当り1分当り分解したH2O2のμmolsとして表現された。
【0103】
低減したグルテーション(GSH)レベル
GSHレベルは、いくつかの修正をしたEllman(29)によって記述された方法論に続いて推定された。トレイに、我々は、0.375mLのリン酸塩緩衝(50mM、pH8.0)、0.1mLのホモジネート及び0.025mLの5.5’-ジチオ-ビス-ニトロ安息香酸(DTNB)/アセトン(0.6mM)溶液を添加した。POLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計で412nmの吸光度が測定された。結果は、形成されるクロモフォーのモル吸光係数(1.36×104(モル/L)-1cm-1)を使用して計算された。結果は、タンパク質mg当りのGSHnmolsとして表現された。
【0104】
過酸化脂質レベル
過酸化脂質レベルは、チオバルビツール酸(30)との反応から形成されるマロンジアルデヒド(MDA)を検出することによって、定量化された。試薬培地は、350μLのトリクロロ酢酸:チオバルビツール尿酸:塩酸の混合物、100μLの脳組織ホモジネート及び50μLのジ-ter-ブチルヒドロキシトルエン(BHT)によって形成された。混合物は、TALBOYS(USA)振動撹拌機中で均質化され、100℃のGrant OLS200(USA)恒温槽水浴中に5分間置かれた。その後、それは、Eppendorf遠心分離(Germany、5424R)で10分間3,000rpmで遠心分離された。脳組織中の過酸化脂質の生成物として形成されたMDAは、チオバルビツール尿酸と反応し、POLARstar Omega (Germany)蛍光分光光度計で535nmで分光測光法によって決定された着色した化合物を生産する。MDA濃度は、形成された着色した化合物のモル吸光係数(1.56×105M-1cm-1)を考慮して、そして、下記の方程式に従って計算された:
C=D.O × 104nM
1.56
ここで、Cは、決定されるべきMDA濃度であり、D.Oは、検出された吸光度である。結果は、タンパク質mg当りMDAナノモルとして表現された。
【0105】
組織学的研究
スコポラミンの急性腹腔内投与に起因する障害の組織学的評価が、海馬及び前前頭皮質の領域で、実施された。我々は、各々の脳の領域を識別するために、ラット脳の解剖学的記述を持つthe Paxinos and Watson Atlas (31)を使用し、それらは、各々の領域の最初の3つのカットをいつも取って、クラウンセクション4μm厚さでヘマトキシリン及びエオシン(HE)の色合いのために処理された。脳半球の両方が、Leica (Microsystems, Germany)光学顕微鏡で観察された。ニューロン損傷が、CA1、CA2、CA3ゾーン及び海馬歯状回で評価され、萎縮症、核核濃縮、暗い細胞質着色又はニューロンの欠如が、退化マーカーとして考えられた。さらに、我々は、軸索萎縮症と同様に部分的に又は全体的に脱髄した軸索の外観に特に基づいて、軸索損傷を計算し、それは、研究された各々の領域又は各々のスライドに存在する合計軸索のパーセンテージとして表現された。前前頭皮質のレベルでの組織学的損傷の分析を実施して、我々は、各々の脳の脳半球の3つの固定した領域で影響されたニューロン及び軸索の平均数をカウントし、それは、各々の領域における合計と比較して損傷したニューロン/軸索のパーセンテージとして表現された。
【0106】
統計的分析
得られた結果の分析及び統計的処理では、我々は、the GraphPad Prism 5.0 (GraphPad Software Inc., USA.)プログラムを使用した。データは、平均±EEM(標準の平均エラー)として表現され、我々は、その正規性及び等分散性をチェックした。単純な分類変動分析(ANOVA)が実施され、その後に、異なる実験的グループの比較をするために複合的な比較のためのTukey試験が実施された。p<0.05のA値が、統計的に有意であると考えられた。
【0107】
【0108】
図9は、短期及び長期の空間記憶に対する、特に取得及び整理のプロセスにおける、JM-20の効果を示す。データは、自発的交替のパーセンテージの平均±DE(n=7、グループ当り)として表現される。統計的分析では、我々は、ANOVA及びTukey多重比較試験を実施した。異なる文字は、p<0.05でそれら自身の間を区別する。
【0109】
図10は、短期の記憶研究の完結後に、スコポラミンで処理されたラット中の脳の組織のミトコンドリア機能不全に対するJM-20の効果を示す。異なる用量のJM-20が、スコポラミンの投与よりも1時間前に経口的に投与された。スコポラミンの投与後1時間で脳ミトコンドリアが単離され、我々は、膜電位(A)、H
2O
2発生(B)、ミトコンドリア膨潤(C)及びミトコンドリアへのカルシウム流入(D)を評価した。バーは、平均±EEM(n=10)を表す。異なる文字は、グループ間の相違を示す:p<0,05、ANOVA and post hoc Tukeyによる。(A):
***,p=0.0009、(B):
**,p=0.0034、ビヒクル/スコポラミン1mg/Kgグループに関して、ANOVA and post hoc Tukeyグループによる。
【0110】
図11は、長期の記憶研究の完結後に、スコポラミンで処理されたラット中の脳の組織のミトコンドリア機能不全に対するJM-20の効果を示す。異なる用量のJM-20が、スコポラミンの投与よりも1時間前に経口的に投与された。スコポラミンの投与後24時間で脳ミトコンドリアが単離され、我々は、膜電位(A)、H
2O
2発生(B)、ミトコンドリア膨潤(C)を評価した。バーは、平均±EEM(n=10)を表す。
***,p<0.001;
**,p<0.01 y
*,p<0.05、ビヒクル/スコポラミングループ1mg/Kgに関して、ANOVA and post hoc Tukeyによる。
【0111】
図12は、アルミニウムによって誘発される異なるタイプの記憶の喪失に対するJM-20の効果を示す。A)新規な物体試験の認識、新規な物体認識記憶;B)受動回避試験、感情的な連想記憶;C)Y迷路試験、空間作用記憶;D)モーリスの水迷路空間参照記憶。バーは、平均±EEMを表す。異なる文字は、グループ間の相違を示す:p<0.05、ANOVA and post hoc Tukeyによる。
***,p<0.001;
**,<0.01 y
*,<0.05、アルミニウム500mg/Kgで処理されたグループに関する比較、ANOVA and post hoc Tukeyグループによる。
【0112】
図14は、ベータアミロイド25-35ペプチドオリゴマーによって誘発される記憶障害をJM-20が如何にして戻すかを示す。JM-20は、ベータアミロイドの投与に続いて7日投与された。バーは、平均±EEMを表す;比較が、ベータアミロイドで処理されたグループでなされる
***,p<0.001;
**,p<0.01 y
*,p<0.05 ANOVA and post hoc Tukeyグループによる。
【0113】
血管性認知症
血管性認知症のモデルとして、動物(スイスオスの白子マウス)が、20分間、総頚動脈の一時的閉塞にかけられ、モーリスの水迷路試験によって認知低下が評価された。
【0114】
【0115】
図15は、ラットの総頚動脈の一時的閉塞によって誘発される認知低下に対するJM-20の効果を示す。動物には、再潅流後に1回、4mg/Kgの経口の用量が投与された。データは、平均±DE(n=8、グループ当り)として表現される。統計的分析では、我々は、ANOVA and Tukey多重比較試験を実施した。
*p<0.01は、処理なしでの虚血性動物に関して有意な相違を表す。
【0116】
6-ヒドロキシドーパミン注入によるSustantia nigra pars compactaの片側性障害
材料及び方法
実験動物
the National Laboratory Animal Production Center (CENPALAB), Havana, Cubaから来た、実験のスタート時に200~250グラムの間の重さのオスの成体ウィスターラットが使用された。動物は、the Center for the Research and Development of Medicines (CIDEM)にて、12時間周期の明暗下及び任意に食品と水が供給されて、平均温度23℃(22±2℃)でプラスチック半透明のボックス中で、保たれた。
【0117】
倫理的な考慮
この研究では、動物を使用する実験用の倫理学コードにて確立された標準に留意した。我々は、認識された繁殖センターで動物を取得することによって、動物の遺伝的信頼性を保証した。この手順は、遺伝学的に汚染された動物の使用を避ける。生物学的な見地から、研究の遺伝的な質の重要性は、いかなる他の場所での実験結果が再現できるという事実にあり、そこでは、それらは、繰り返すことができ、そして、倫理的な見地から、最少の数の動物が使用される必要があるということが確保される。
【0118】
研究の間、動物は、最良の可能な適応状態に保たれた。それらは、23℃の温度に保たれ、それによって、熱帯(22±2℃)用にセットされたコミットメント範囲内にあった。高温は動物にとってストレスを引き起こし、38℃超の温度はそれらの死亡を引き起こし得るということを我々が心に留めておくなら、温度制御は重要である。光周性は、約24時間周期の生化学的な及びホルモンのリズムを直接に及び/又は間接に制御するので、それらがさらされる明暗の時間は、12時間持続された。
【0119】
化合物の投与
損傷を引き起こした後24時間、7日間毎日、JM-20が、3つの異なる用量で投与された:10、20及び40mg/Kg。カニューレで胃内に、0.05%でカルボキシメチルセルロース(CMC)中に化合物が調製された。5つの実験グループが存在する:グループI(ビヒクル/アスコルビン酸入りの生理食塩水、n=6)、グループII(6-OHDAに影響された動物、n=8)、グループIII(6-OHDAに影響されて10mg/Kg JM-20で共同治療された動物、n=8)、グループIV(6-OHDAに影響されて20mg/Kg JM-20で共同治療された動物、n=8)及びグループV(6-OHDAに影響されて40mg/Kg JM-20で共同治療された動物、n=8)。全ての挙動研究は7日実施された。
【0120】
データ処理
統計的分析が、the GraphPadPrism Version.5.01.2007パッケージでなされた。結果は、治療されない対照細胞と比較した生命力のパーセンテージの平均±SEMを示す。すべての場合において、変動分析がなされ(OneWay ANOVA)、次にDunet試験(GraphPadPrism 5)がなされ、実験で使用された対照に関してp<0.05(*)、p<0.01(**) y p<0.001(***)の有意レベルを持つ有意な相違を決定した。実験で得られた全ての値を様々な対照と及びお互いに対して比較するために、我々は、p<0.05(*)、p<0.01(**) y p<0.001(***)の有意レベルでTukey試験(GraphPadPrism 5)を実施した。
【0121】
ラット用に設計された実験モデルにおける障害方法
ラットにおける6-ヒドロキシドーパミン注入によるSustantia nigra pars compactaの片側性障害
線条体(脳右半球)の片側性ドーパミン作動性除神経へ進む目的で、ラットが、抱水クロラール[0.4g/kgの重量、i.p., Merck (Darmstadt, Germany)]で麻酔され、定位手術用に設計されたフレーム中に置かれ(Stoelting Instruments, USA.)、そこでは、それらは、生理食塩水溶液神経毒6-OHDA-HBr(8μg/3μL、酸化防止剤として0.2mg/mlのアスコルビン酸をも含有する)が、右のsubstantia nigra pars compactaに注入された(Pavon Fuentes, Nancy (2007) Efecto de la inactivacion de los receptores dopaminergicos D2 y de la manipulacion del nucleo subtalamico sobre la conducta motora en modelos de hemiparkinsonismo en roedores. Doctor en Ciencias de una Especialidad, Universidad de Ciencias Medicas de La Habana)。表1に言及されるように、the Paxinos and Watson Atlas [Paxinos,G. and Watson,C., The rat brain in stereotaxic coordenates.2nd the Academic Press. New York, 1986]に従って基準点としてブレグマをとって、座標が計算された。
【0122】
【0123】
一旦置かれると、注入が終了した後5分間原位置でとどまり、Maniltonシリンジ(3μl)で、1μl/分の流速で神経毒がゆっくりと注入された。
【0124】
IV.挙動試験
A.シリンダー試験
この試験では、ラットは、20cmの直径で30cmの高さの透明なアクリルシリンダーの内部に配置され、動物は端面に到着できなかった。知らない場所にラットが配置された時に、円筒型の形は、それらのバック先端を持つ壁の垂直的調査の生得的行動に有利に働く。(Chan, H.,Paur,H.,Vernon,A.C.,Zabarsky,V.,Datla,K.P.,Croucher,M.J.,Dexter,D.T., 2010. Neuroprotection and functional recovery associated with decreased microglial activation following selective activation of mGluR2/3 receptors in a rodent model of Parkinson's disease. ParkinsonsDis.pii,190450).動物の配置後、右の又は左の又は両方の前足に動物が接触した数が、レシピエントの壁上に動物当り合計20回の接触まで定量化される。
【0125】
6-OHDAで片側性に影響された動物は、より小さい程度で影響に対側性である前足を使用する傾向があり、我々のケースでは左の前足である。各々の動物によって示された非対称性のパーセンテージが、下記の式によって定量化される(Roof RL, Schielke GP, Ren X, Hall ED (2001) A comparison of long-term functional outcome after 2 middle cerebral artery occlusion models in rats. Stroke 32: 2648-2657)。
【0126】
【0127】
探究活性
動物の垂直的探究活性を評価するために、我々は、探究活性試験を使用した;動物は、透明なプレキシグラスキュービクル、41×41×33(h)cm中に置かれる(UGO BASILE, MultipleActivityCage Cat. No. 47420。データ出力は、52050-04 Data Acquisition Software Package (Windows(登録商標)based)によって管理される。水平的/垂直的検出システムが正しく添えられるように、スチール溝を持つ4つの垂直的スチールバーを有する黒いプレキシグラスから製造された丈夫な基板上に、キュービクルが支持される。センサーは、形状又はむしろ垂直的調査によって動物の動きを登録する能力があるIR発光システムである。データは、コンピューター上にモニターされる。動物は、ボックスの中央に配置され、それを探究できる。ボックスは、5分間低い照明を有して環境騒音及び研究者から隔離された部屋の中に置かれる。ボックス中のセンサーの光ビームが中断される時、動物がボックスの壁に垂直的に探究する回数を、研究者はとる(Cools, A. R., R. Brachten, D. Heeren, A. Willemen, and B. Ellenbroek, 1990. Search after neurobiological profile of individual-specific features of Wistar rats. Brain Res. Bull. 24: 49-69)。
結果は、
図16に示される。
【0128】
図16は、7日の処理後のオスのウィスターラット中の6-OHDAによって誘発される損傷に対するJM-20の神経保護効果を示す。(A)%非対称性(シリンダー試験)の減少;JM-20で処理された動物は、処理なしの損傷した動物と比較して、運動損傷の減少を示した。(B)損傷への前足対側性の使用の増加、及び(C)損傷した動物及びJM-20(40及び20mg/Kg)の両方用量で処理されたものにおける、同側の前足の使用の標準値(50%~)。(D)JM-20で処理された動物は、それらの垂直的調査が増加し、治療されない損傷した動物に関して40mg/Kgの用量とは統計的に異なった。
【0129】
持続性疼痛
我々は、ラットにおいて持続性疼痛モデル(5%ホルマリン試験)で痛みに関する挙動に対するJM-20(10、20、40mg/Kg、p.o)の効果を研究した。(Dubuisson D, Dennis SG. The formalin test: a quantitative study of the analgesic effects of morphine, meperidine and brain-stem stimulation in rats and cats. Pain 1977;4:161-174)。
結果は、
図17A、
図17B及び
図18に示される。
【0130】
図17Aは、ラットの前足の足底表面上に5%ホルマリンを注入した後になめること/かむことの挙動に対するJM-20(10-40mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)、ジアゼパム10mg/Kg又はビヒクル(CMC、0.05%)の効果を示す。データは、フェーズI(0-5分)、待ち時間(5-15分)及びフェーズII(15-45分)又はホルマリン試験の間になめること/かむこと±EEMの時間の累積平均として示され、グループ当りn=7、
***p<0.001は、ビヒクルで処理された対照グループに関して有意な相違を表す(1つのルートではANOVA、その後にDunnett's a posteriori)。
【0131】
図17Bは、ラットの前足の足底表面上に5%ホルマリンを注入した後になめること/かむことの挙動に対するJM-20(10-40mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)、ジアゼパム10mg/Kg又はビヒクル(CMC、0.05%)の効果の時間経過を示す。データは、45分の試験の間になめること/かむことの時間(/5分/秒)±EEMの平均として示される、グループ当りn=7。
【0132】
図18は、5%ホルマリン試験のフェーズIIに関するJM-20の抗過剰侵害受容効果に対するフルマゼニル(10mg/Kg、i.p)での動物の前処理の影響を示す。各々のカラムは、平均±EEMとしてグループ当り6~10の動物の反応時間を表す、
*P<0.05、
***P<0.001は、処理グループと対照グループ(ビヒクルのみ)との間の統計的相違を表す,
・・・・P<0.05は、フルマゼニルの存在下又は不存在下でのジアゼパムで処理されたグループ間の統計的相違を表す、
≠P<0.05は、フルマゼニルの存在下又は不存在下でのJM-20で処理されたグループ間の統計的相違を表す。
【0133】
神経障害性疼痛
我々は、NPモデル、坐骨神経モデル(CCI)の慢性的な圧縮に対するJM-20の効果を研究した。(Bennett MI, Rayment C, Hjermstad M, Aass N, Caraceni A, Kaasa S. Prevalence and aetiology of neuropathic pain in cancer patients: A systematic review. Pain 2012; 153:359-365)
結果は、
図19~
図23に示される。
【0134】
図19は、Freyのフィラメント刺激での前足引っ込み応答を測定することによって決定された、外科後14日のCCIラットの同側の前足の機械的な異痛に対するJM-20(20mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)又はビヒクル(CMC、0.05%)の効果を示す。データは、反応閾値の50%の平均±EEMとして示される、グループ当りn=7。異なる文字は、グループ間の有意な相違を表す(1つのルートではANOVA、その後にBonferronni’s a posteriori)。
【0135】
図20は、Freyの電子で刺激された時の前足引っ込み応答を測定することによって決定されたCCIラットの同側の前足の機械的な過剰侵害受容の強度に対するJM-20(20/Kg、10mL/Kg、p.o.)又はビヒクル(CMC、0.5%)の効果を示す。データは、3つの時間測定の平均0から異なる時間間隔の3つの測定の平均を差し引くことを基準として計算されたグラムでの逃避の閾値相違(Δ)の平均±EEMとして示される、グループ当りn=7
**p<0.01は、ビヒクルで処理された対照グループに関して有意な相違を表す、
#p<0.05は、Sham CCIグループに関して有意な相違を表す(1つのルートではANOVA、その後にBonferronni’s a posteriori)。
【0136】
図21は、伝統的なRandal Selito or SH Ferreira試験を修正したものによって、前足上への定圧への機械的な過剰侵害受容に対するJM-20(20mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)又はビヒクル(CMC、0.05%)の効果を示す。データは、時間測定0から異なる時間間隔の測定を差し引くことによって計算された反応時間の相違(Δ)の平均±EEMとして示される、グループ当りn=7
*p<0.05は、ビヒクルで処理された対照グループに関して有意な相違を表す、
##p<0.01は、Sham CCIグループに関して有意な相違を表す(1つのルートではANOVA、その後にBonferronni’s a posteriori)。
【0137】
図22は、外科後14日でCCIによって誘発される組織学的変化(ワーラー変性)に関する7日後CCIでスタートする7日間で繰り返し用量でJM-20(20mg/Kg、p.o)での処理の効果を示す。A、B及びCは、それぞれ、CCI Shamラット、JM-20で処理したCCI及びビヒクルで処理したものの障害への坐骨神経5mm末端の縦のセクションを示す(H/E着色)。我々は、sham-CCIと比較してそれらのミエリン鞘に関連する軸索の整然とした配置の喪失及びマクロファージの侵入及びSchawann細胞の増殖の結果としてsham操作動物と相対的に比較されたCCI動物における細胞質の増加を観察できる。矢印は、ミエリンオボイドを含有するSchawann細胞の多くの消化チャンバーの1つを示す(赤みを帯びた楕円の塊)。D、E、Fは、同じ動物からのセクションを示すが、それらは、ミエリン色合い用の特定の技術であるルクソール・ファスト・ブルー(LFB)技術によって着色されている。B及びE:CCIによって誘発される神経線維の破壊の低減及び細胞の数の増加及びJM-20で処理された動物のミエリン鞘の劣化、特にこの最後の効果はEに特定される。
【0138】
図23は、酸化窒素濃度の指示薬としての硝酸塩の脊髄濃度に対するJM-20(20mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)又はビヒクル(CMC、0.05%)の効果を示す。平均±EEMとして示されたデータI、グループ当りn=7、
***p<0.001は、ビヒクルで処理された対照グループに関して有意な相違を表す、
###p<0.001は、Sham CCIグループに関して有意な相違を表す(1つのルートではANOVA、その後にBonferronni’s a posteriori)。
【0139】
カラギーナン誘発腹膜炎
その後、我々は、これらの状態でJM-20の潜在的な消炎活性を探究するために、齧歯動物におけるCA誘発腹膜炎モデルでの異なる実験を設計した。
結果は、
図24A-Eに示される。
【0140】
図24は、ラットにおいてカラギーナンによって誘発される腹膜炎症反応(500μg/空洞)に対するJM-20(20mg/Kg、10mL/Kg、p.o.)又はビヒクル(CMC、0.05%)の効果を示す。A.白血球ローリング及びB.腸間膜における血管系内皮細胞へのそれらの付着が、炎症の誘導後4時間生体内顕微鏡によって決定された。C.腹膜空洞に向かう白血球の移行及びD.血管系の浸透性(μg/mL)が、4時間後CAで決定された。E.カラギーナン注入後4時間で腹膜液における腫瘍壊死要因(TNFα)の濃度に対する効果。データは、平均±EEMとして示される、グループ当りn=6、
*p<0.05、
**p<0.01は、ビヒクルで処理された対照グループに関して有意な相違を表す、
###p<0.001、
##p<0.01は、腹腔内生理食塩水溶液での対照に関して有意な相違を表す(各々のそれぞれのケースで、1つのルートではANOVA、その後にNewman-Keuls or Bonferronni’s a posteriori)。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
薬剤として使用するための、式IIIの化合物、その塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、プロドラッグ。
【化1】
[2]
1種以上の医薬的に許容可能な賦形剤と組み合わせて、式IIIの化合物が、[1]に記載のその塩、水和物、結晶形、鏡像異性体、異性体、代謝産物、プロドラッグを含むことを特徴とする、医薬組成物。
[3]
中枢神経系及び脈管神経系の病気の治療用の、[2]に記載の医薬組成物。
[4]
中枢神経系及び脈管神経系の病気の治療用の薬剤の製造用の、[2]に記載の医薬組成物。
[5]
中枢神経系及び脈管神経系の病気の治療用の薬剤の製造用の、[1]に記載の式IIIの化合物の使用。
[6]
神経変性疾患の治療用の薬剤の製造用の、[3]に記載の式IIIの化合物の使用。
[7]
パーキンソン病の治療用の[4]に記載の薬剤の製造のための式IIIの化合物の使用。
[8]
神経障害性疼痛の治療用の[4]に記載の薬剤の製造のための式IIIの化合物の使用。
[9]
異なるタイプの認知症の治療用の[4]に記載の薬剤の製造のための式IIIの化合物の使用。
[10]
アルツハイマー病の治療用の[7]に記載の薬剤の製造のための式IIIの化合物の使用。
[11]
血管性認知症の治療用の[7]に記載の薬剤の製造のための式IIIの化合物の使用。