(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】含窒素化合物及び含窒素化合物を含む有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 401/10 20060101AFI20220525BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20220525BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20220525BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20220525BHJP
C07F 7/30 20060101ALI20220525BHJP
C07F 9/6512 20060101ALI20220525BHJP
C07D 495/10 20060101ALI20220525BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20220525BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
C07D401/10 CSP
C07D401/14
C07D491/107
C07F7/10 S
C07F7/30 D
C07F9/6512
C07D495/10
C09K11/06 650
C09K11/06 655
H05B33/14 B
(21)【出願番号】P 2020140484
(22)【出願日】2020-08-21
(62)【分割の表示】P 2016112197の分割
【原出願日】2016-06-03
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2016-0065045
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朱里
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悦昌
(72)【発明者】
【氏名】赤司 信隆
(72)【発明者】
【氏名】安田 琢麿
(72)【発明者】
【氏名】パク インソプ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527022(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/10
C07D 401/14
C07D 491/107
C07F 7/10
C07F 7/30
C07F 9/6512
C07D 495/10
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化合物の中より選択されるいずれか1つであることを特徴とする含窒素化合物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項2】
第1の電極と、
前記第1の電極上に形成された正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域上に形成された発光層と、
前記発光層上に形成された電子輸送領域と、
前記電子輸送層上に提供された第2の電極と、を含み、
前記発光層は、請求項
1に記載の含窒素化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素化合物及びこれを含む有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が盛んに行われている。有機電界発光表示装置は、液晶表示装置等とは異なり、第1の電極及び第2の電極から注入された正孔及び電子を発光層において再結合させることにより、発光層において有機化合物を含む発光材料を発光させて表示を実現する、いわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子としては、例えば、第1の電極、第1の電極上に配置された正孔輸送層、正孔輸送層上に配置された発光層、発光層上に配置された電子輸送層、及び電子輸送層上に配置された第2の電極で構成された有機電界発光素子が知られている。第1の電極からは、正孔が注入され、注入された正孔は、正孔輸送層を移動して発光層に注入される。一方、第2の電極からは、電子が注入され、注入された電子は、電子輸送層を移動して発光層に注入される。発光層に注入された正孔と電子とが再結合することによって、発光層の内で励起子(exciton)が生成される。有機電界発光素子は、その励起子の発生する光を利用して発光する。また、有機電界発光素子は、以上に説明した構成に限定されなく、様々な変更が可能である。
【0004】
有機電界発光素子の表示装置への応用において、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化、及び長寿命化が求められ、これを実現することができる有機電界発光素子用の材料開発が求められている。
【0005】
有機電界発光素子の高効率化を実現するために次のような発光方式の利用が検討されてきた。例えば、三重項励起子の衝突によって一重項励起子が生成される現象(Triplet-triplet annihilation、TTA)に着目して蛍光素子の高効率化を図る技術が開示されている(特許文献1)。この技術は理論的には25%しか生成しない一重項励起子を約40%まで生成させるものであり、既存の蛍光素子に比べて約2倍まで向上させることができるが、三重項励起子のロスも含むものである。
【0006】
一方、熱活性遅延蛍光(Themally Activated Delayed Fluorescence、TADF)を利用した方式は、理論的な一重項励起子生成効率が約100%となるため飛躍的に有機電界発光素子の発光効率を高くすることができる方式として期待されている。赤色、緑色の発光色を示す高効率TADF材料は多数が提示されている。しかし、青色の発光色を示す高効率TADF材料は報告例が少ない。しかし、フルカラー表示装置等への応用を考える時、TADFを利用する青色発光素子の創出は必須不可欠であるので、積極的な開発が求められている。
【0007】
特許文献2では、窒素原子を含む多環構造を有するTADF材料が開示されているが、緑色発光に関するものであり、青色発光を示す材料に対する記載はない。特許文献3では、青色~緑色発光を示す材料が開示されているが、十分に高い効率を与えるものではない。特許文献4ではスカイブルー(sky blue)を発するTADF材料を利用した有機電界発光素子が開示されているが、ディスプレイに求められる480nm以下の短波長青色を発する材料ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2010/134350号
【文献】国際公開第2014/019658号
【文献】国際公開第2013/081088号
【文献】国際公開第2015/016200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
TADF特性を示す化合物に対しては多様な検討がなされ、有機電界発光素子への応用に関する研究が行っている。しかし、本発明のような青色発光を示すπ共役系が拡散されないピリジン(pyridine)、ピリミジン(pyrimidine)、ピリダジン(pyridazine)、ピラジン(pyrazine)系化合物に関する十分な研究が行われたとは言い難い。
【0010】
本発明は多様なピリジン(pyridine)、ピリミジン(pyrimidine)、ピリダジン(pyridamine)、ピラジン(pyrazine)系骨格を有する受容体(acceptor)に供与体(donor)を結合させた構造を鋭意検討して、高効率の青色発光効率を示す有機電界発光素子を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、含窒素化合物及びこれを含む有機電界発光素子を提供することを目的とする。詳細には、本発明は、発光効率が向上された含窒素化合物及びこれを含む有機電界発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、下記の化学式(1)で示される含窒素化合物を提供する。
【化1】
化学式(1)で、X
1~X
6は、各々独立的にCR
1又はNであり、X
1~X
6の中でNは、1個又は2個であり、R
1は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、複数のR
1は、互いに同一であるか、或いは異なり、Lは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基であり、nは、1又は2であり、Duは、下記の化学式(2)で示され、
【化2】
化学式(2)で、Yは、直接結合、O、S、CR
2R
3、Si、Ge、P又はP=Oであり、R
2~R
11は、各々独立的に水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、或いは隣接する基と互いに結合して環を形成する。
直接結合(direct linkage)は、例えば、単結合である。
【0013】
Lは、置換若しくは無置換のフェニレン基である。
【0014】
化学式(1)で示される含窒素化合物は、下記の化学式(3)で示されてもよい。
【化3】
化学式(3)で、L、Du、R
1、及びnは、前述と同様である。
【0015】
化学式(1)で示される含窒素化合物は、下記の化学式(4)で示されてもよい。
【化4】
化学式(4)で、L、Du、R
1及びnは、前述と同様である。
Yは、直接結合又はCR
2R
3であってもよく、R
2及びR
3は、前述と同様である。
【0016】
化学式(1)で示される含窒素化合物は、下記の化学式(5)で示されてもよい。
【化5】
化学式(5)で、L、Du、R1、及びnは前述と同様である。
【0017】
化学式(1)で示される含窒素化合物は、下記の化学式(6)で示されてもよい。
【化6】
化学式(6)で、R
12は、水素又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基であり、X
1~X
6は、前述と同様である。
【0018】
化学式(2)は、下記の化学式(7)~(16)の中の1つで示されてもよい。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0019】
本発明の一実施形態は、第1の電極、第1の電極上に提供された正孔輸送層、正孔輸送層上に提供された発光層、発光層上に提供された電子輸送層及び電子輸送層上に提供された第2の電極を含み、発光層が前述した本発明の一実施形態による含窒素化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【0020】
発光層に含まれる含窒素化合物は、一重項(singlet)のエネルギー準位及び三重項(triplet)のエネルギー準位差異の絶対値が0.3eV以下であってもよい。
【0021】
正孔輸送層は、単一または複数の正孔注入層及び正孔輸送層を有してもよく、電子輸送層は、単一または複数の電子注入層及び電子輸送層を有してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態による化合物は、有機電界発光素子用の材料として使用することができる。
【0023】
本発明の一実施形態による化合物は、TADF材料として使用することができる。
【0024】
本発明の一実施形態による化合物は、有機電界発光素子の発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以上で説明した本発明の目的および他の目的、特徴は、添付された図面及び以下の望ましい実施形態として示される。しかし、本発明は、本明細書で説明される実施例に限定されることはなく、他の形態を取ってもよい。
【0027】
第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素は、用語によって限定されない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない第1の構成要素は、第2の構成要素と称してもよく、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と称してもよい。単数の表現は、文脈の上に明確に記載しない限り、複数の表現を含む。
【0028】
本明細書で、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品又はそれらを組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないこととして理解しなければならない。また、層、膜、領域、板等の部分が他の部分の「上に」あるとは他の部分の「直上に」ある場合のみでなく、その中間にその他の部分がある場合も含む。反対に層、膜、領域、板等の部分が他の部分の「下に」あるとは、他の部分の「直下に」ある場合のみでなく、その中間にその他の部分がある場合も含む。
【0029】
【0030】
本明細書で、「置換若しくは無置換の」とは、重水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ホウ素基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、フルオレニル基、アリール基及びヘテロ環基を含む群から選択される1個以上の置換基で置換される又は置換されずに水素原子が結合することを意味する。また、例示された置換基の各々は、置換又は無置換のものでもよい。例えば、ビフェニル基は、アリール基として解釈することもでき、フェニル基で置換されたフェニル基として解釈することもできる。
【0031】
本明細書で、「隣接する基と互いに結合して環を形成する」とは、隣接する基と互いに結合して置換若しくは無置換の炭化水素環、又は置換若しくは無置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は、脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は、単環又は多環である。または、隣接する基と互いに結合して形成された環は、他の環と連結されてスピロ構造を形成してもよい。
【0032】
本明細書で、「隣接する基」とは、該当する置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、該当する置換基が置換された原子に置換された他の置換基又は該当する置換基と立体構造的に最も隣接した置換基を意味する。例えば、1、2-ジメチルベンゼン(1、2-dimethylbenzene)における2個のメチル基や、1、1-ジエチルシクロペンテン(1、1-diethylcyclopentene)における2個のエチル基は、互いに「隣接する基」として解釈される。
【0033】
本明細書で、ハロゲン原子の例としては、弗素、塩素、臭素、又はヨウ化物がある。
【0034】
本明細書で、アルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環形である。アルキル基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、又は1以上6以下である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3、3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘプチル基、2、2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3、7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルドデシル基、N-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、N-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基等を挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で、アリール基は、単環式アリール基又は多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は、6以上30以下、6以上20以下、又は6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、クウィンクフェニル基、セクシフェニル基、トリフェニレン基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基等を例示することができるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で、フルオレニル基は、置換基を有してもよく、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成する。
【0037】
本明細書で、ヘテロアリール基は、異種元素であり、O、N、及びSの中で1個以上を含むヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の環形成炭素数は、2以上30以下又は2以上20以下である。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロニル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ペノクサジル基、プタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、N-アリールカルバゾリル基、N-ヘテロアリールカルバゾリル基、N-アルキルカルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナンスロリニル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ペノチアジニル基及びジベンゾフラニル基等があるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で、アリーレン基は、2価の連結基であることを除いては前述したアリール基に関する説明が適用される。
【0039】
本明細書で、シリル基は、アルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基等があるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で、ホウ素基は、アルキルホウ素基及びアリールホウ素基を含む。ホウ素基の例としては、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、ジフェニルホウ素基、フェニルホウ素基等があるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で、アルケニル基は、直鎖又は分岐鎖である。炭素数は、特別に限定されないが、2以上30以下、2以上20以下,又は2以上10以下である。アルケニル基の例としては、ビニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、1、3-ブタジエニルアリール基、スチレニル基、スチルベニル基等があるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で、アミノ基の炭素数は、特別に限定されないが、1以上30以下である。アミノ基は、アルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含む。アミノ基の例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基等があるが、これらに限定されない。
【0043】
以下では、本発明の一実施形態による含窒素化合物について説明する。
【0044】
本発明の一実施形態による含窒素化合物は、下記の化学式(1)で示される。
【化17】
【0045】
化学式(1)で、X
1~X
6は、各々独立的にCR
1又はNであり、X
1~X
6の中でNは、1個又は2個であり、R
1は、水素原子、重水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、複数のR
1は、互いに同一であるか、或いは異なり、Lは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基であり、nは、1又は2であり、Duは、下記の化学式(2)で示される。
【化18】
【0046】
化学式(2)で、Yは、直接結合、O、S、CR2R3、Si、Ge、P又はP=Oであり、R2~R11は、各々独立的に水素、重水素、置換若しくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、或いは隣接する基と互いに結合して環を形成することができる。
【0047】
直接結合は、例えば、単一結合である。
【0048】
本発明の一実施形態による含窒素化合物は、電子受容体(electron acceptor)、連結基(linker)及び電子供与体(electron donor)を含む。具体的に、化学式(1)で示されるX1~X6を含む六員環は、電子受容体であり、Lは、連結基であり、化学式(2)で示されるDuは、電子供与体である。
【0049】
化学式(1)で示されるX1~X6を含む六員環は、Nを1個又は2個含む。トリアジン等のNを3個以上含むことは、除外される。
【0050】
化学式(1)で示されるX
1~X
6を含む六員環が2個のNを含む。この場合、含窒素化合物は、下記の化学式(3)~(5)の中でいずれか1つで示されてもよい。
【化19】
【化20】
【化21】
【0051】
化学式(3)~(5)で、L、Du、R1、及びnは、上述した置換基と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
X1~X6の中でNではないのは、CR1で示され、複数のR1は、互いに同一であるか、或いは異なる。即ち、X1~X6を含む六員環が2以上の置換基で置換される場合、置換基は、互いに同一であるか、或いは異なる。
【0053】
R1が複数個である場合、少なくとも1つは、水素原子である。
【0054】
R1は、置換若しくは無置換の炭素数1以上30以下のアルキル基であってもよい。R1は、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましい。R1は、より好ましくはメチル基又はエチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
【0055】
R1は、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基であってもよい。R1は、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上20以下のアリール基であることが好ましい。R1は、より好ましくはフェニル基又はナフチル基であり、さらに好ましくはフェニル基であり、さらに好ましくはナフチル基である。
【0056】
隣接する複数個のR1は、互いに結合して環を形成しない。即ち、X1~X6を含む六員環は、単環である。
【0057】
Lは、置換若しくは無置換のフェニレン基であってもよい。Lは、1、3-フェニレン基又は1、4-フェニレン基であることが好ましい。Lは、より好ましくは1、4-フェニレン基である。
【0058】
化学式(1)で示される化合物は、下記の化学式(6)で示される。
【化22】
【0059】
化学式(6)で、R12は、水素原子又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基であり、X1~X6は、上述した置換基と同様であるため、詳細な説明は省略する。化学式(6)で示される化合物は、低い電子受容性及び低い電子供与性を併せ持つため、TADF有機電界発光素子に利用される場合、ディープブルー(deep blue)を実現する効果がある。
【0060】
また、Yは、直接結合、又はCR2R3であることが好ましい。Yが直接結合である場合、化学式(2)で示されるDuは、置換若しくは無置換のカルバゾリル基になる。YがCR2R3である場合、R2及びR3は、各々独立的に置換若しくは無置換の炭素数2以上30以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリール基である。R2及びR3は、各々独立的にメチル基又はフェニル基であることが好ましい。R2及びR3は、互いに結合して環を形成してもよい。R2及びR3は、互いに結合してフルオレン環を形成してもよい。
【0061】
化学式(2)は、下記の化学式(7)~(16)の中でいずれか1つで表される。
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【0062】
化学式(9)~(16)の各々は、他の置換基を有することができ、置換基は、上述した「置換若しくは無置換の」定義に記載された置換基が適用される。例えば、化学式(9)~(16)の各々は、置換若しくは無置換のアルキル基であってもよいが、これに限定されることではない。化学式(2)で、R4~R11の各々は独立的に、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、弗素原子を含む置換基又は珪素原子を含む置換基であってもよい。弗素原子を含む置換基は例えば、弗素原子に1以上置換されたアルキル基又は弗素原子に1以上置換された環形成炭素数6以上30以下のアリール基である。弗素原子を含む置換基は例えば、CF3又はC6H5が好ましい。珪素原子を含む置換基は例えば、トリメチルシリル基である。
【0063】
nは、2であることが好ましい。nが2である場合、化学式(1)で示される化合物は、Duで示される電子供与体を2個含み、これを含む有機電界発光素子は、高効率を容易に実現することができる。
【0064】
nが2である場合、2個のLは、互いに同一であるか、或いは異なり、2個のDuは、互いに同一であるか、或いは異なってもよい。
【0065】
化学式(1)で示される含窒素化合物は、下記の化合物1~93で示された化合物の中より選択されるいずれか1つである。但し、これによって限定されない。
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【0066】
以下では、本発明の一実施形態による有機電界発光素子について説明する。以下では、先に説明した本発明の一実施形態による含窒素化合物との違いを主に具体的に説明し、説明されない部分は、先に説明した本発明の一実施形態による含窒素化合物に従う。
【0067】
図1は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
図2は、本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【0068】
図1及び
図2によれば、本発明の一実施形態による有機電界発光素子10は、第1の電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR及び第2の電極EL2を含む。
【0069】
第1の電極EL1は、導電性を有する。第1の電極EL1は、画素電極又は陽極である。第1の電極EL1は、透過型電極、半透過型の電極又は反射型電極である。第1の電極EL1が透過型電極である場合、第1の電極EL1は、透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等からなされる。第1の電極EL1が半透過型の電極又は反射型電極である場合、第1の電極EL1は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti又はこれらの化合物、或いは混合物(例えば、AgとMgとの混合物)を含むことができる。又は前記物質に形成された反射膜、或いは半透過膜及びITO(indium tin oxide)、I
ZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等に形成された透明導電膜を含む複数の層構造とすることができる。
【0070】
正孔輸送領域HTRは、第1の電極EL1上に形成される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層及び電子阻止層の中で少なくとも1つを含むことができる。正孔輸送領域HTRの厚さは、例えば、約200Å~約3000Åである。
【0071】
正孔輸送層HTLは、単一物質で構成された単一層、複数の互いに異なる物質で構成された単一層又は複数の互いに異なる物質で構成された複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0072】
例えば、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL又は正孔輸送層HTLの単一層の構造を有することができ、正孔注入物質と正孔輸送物質からなされた単一層の構造を有することもできる。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質から構成された単一層の構造を有するか、或いは、第1の電極ANから順に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層又は正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層の構造を有することができるが、これらに限定されることではない。
【0073】
電極上に形成されるすべての層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法、インクジェットプリンティング法、レーザープリンティング法、レーザー熱転写(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)法等のような多様な方法を利用して形成することができる。
【0074】
正孔注入層HILは、例えば、dipyrazino[2,3-f:2’,3’-h]quinoxaline-2,3,6,7,10,11-hexacarbonitrile(HAT-CN)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)等のフタロシアニン(phthalocyanine)化合物、DNTPD(N,N’-diphenyl-N,N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4’-diamine)、m-MTDATA(4,4’,4”-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)、TDATA(4,4’,4”-Tris(N,N-diphenylamino)triphenylamine)、2-TNATA(4,4’,4”-tris{N-(2-naphthyl)-N-phenylamino}-triphenylamine)、PEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、PANI/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、PANI/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)、PANI/PSS((Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate))、NPB(N,N’-di(naphthalene-l-yl)-N,N’-diplienyl-benzidine)、トリフェニルアミンを含むポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-Isopropyl-4’-methyldiphenyliodonium Tetrakis(pentafluorophenyl)borate]等を含むことができる。
【0075】
正孔輸送層HTLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール等
のカルバゾール系の誘導体、フルオレン(fluorine)系の誘導体、TPD(N、N’-bis(3-methylphenyl)-N,N’-diphenyl-[1、1-biphenyl]-4,4’-diamine)、TCTA(4,4’,4”-tris(N-carbazolyl)triphenylamine)等のようなトリフェニルアミン系の誘導体、NPB(N,N’-di(1-naphthyl)-N、N’-diphenylbenzidine)、TAPC(4,4’-Cyclohexylidene bis[N,N-bis(4-methylphenyl)benzenamine])、HMTPD(4,4’-Bis[N、N’-(3-tolyl)amino]-3、3’-dimethylbiphenyl)等を含むことができる。
【0076】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約100Å~約10000Å、例えば、約100Å~約1000Åであってもよい。正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを全て含めば、正孔注入層HILの厚さは、約100Å~約10000Å、例えば、約100Å~約1000Åであり、正孔輸送層HTLの厚さは、約30Å~約1000Åである。正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLの厚さが前述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇はなしに満足できる程度の正孔輸送特性を得ることができる。
【0077】
正孔輸送層HTLは、先に言及した物質以外に、導電性向上のために電荷生成物質をさらに含んでもよい。電荷生成物質は、正孔輸送層HTL内に均一に又は不均一に分散されていてもよい。電荷生成物質は、例えば、p-ドーパント(dopant)である。p-ドーパントは、キノン(quinone)誘導体、金属酸化物及びシアノ(cyano)基含有化合物の中で1つから選択することができるが、これらに限定されることはない。例えば、p-ドーパントの例としては、TCNQ(Tetracyanoquinodimethane)及びF4-TCNQ(2、3、5、6-tetrafluoro-tetracyanoquinodimethane)等のようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物等のような金属酸化物等を挙げられるが、これに限定されない。
【0078】
先に言及したように、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTL以外に、正孔バッファ層及び電子阻止層の中で少なくとも1つをさらに含んでもよい。正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光の放出効率を増加させる。正孔バッファ層に含まれる物質としては、例えば、正孔輸送層HTLに含まれる物質を使用することができる。電子阻止層は、電子輸送層ETLから正孔輸送層HTLへの電子注入を防止する役割をする層である。
【0079】
発光層EMLは、正孔輸送領域HTR上に形成される。発光層EMLの厚さは、例えば、約100Å~約1000Åである。発光層EMLは、単一物質からなされた単一層、複数の互いに異なる物質からなされた単一層又は複数の互いに異なる物質からなされた複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0080】
以下では、前述した本発明の一実施形態による含窒素化合物が発光層EMLに含まれることを例えて説明する。但し、これによって限定されることではなく、本発明の一実施形態による含窒素化合物は、第1の電極EL1及び第2の電極EL2の間に提供された1層以上の有機層の中で少なくとも1つ層を含む。例えば、本発明の一実施形態による含窒素化合物は、正孔輸送層HTLに含まれてもよい。
【0081】
発光層EMLは、前述した本発明の一実施形態による含窒素化合物を含む。具体的に、発光層EMLは、下記の化学式(1)で示される含窒素化合物を含む。
【化45】
【0082】
X1~X6、L、Du及びLに関する具体的な説明は上述したため、詳細な説明は省略する。
【0083】
発光層EMLは、化学式(1)で示される含窒素化合物を1種又は2種以上を含む。発光層EMLは、化学式(1)で示される含窒素化合物以外に公知の材料をさらに含む。例えば、スピロ-DPVBi(spiro-DPVBi)、スピロ-6P(spiro-6P)、DSB(distyryl-benzene)、DSA(distyryl-arylene)、PFO(Polyfluorene)系の高分子及びPPV(poly(p-phenylene vinylene)系の高分子からなされた群から選択されたいずれか1つを含む蛍光物質をさらに含むことができる。但し、これによって限定されることはない。
【0084】
本発明の一実施形態による含窒素化合物は、発光層EMLに含まれて遅延蛍光を放射する。即ち、化学式(1)で示される含窒素化合物は、遅延蛍光材料である。化学式(1)で示される含窒素化合物は、TADF材料である。
【0085】
本発明の一実施形態による含窒素化合物は、遅延蛍光を放射するため、電子受容体、連結基及び電子供与体を含む。具体的に、X1~X6を含む六員環は、電子受容体であり、Lは、連結基であり、化学式(2)で示されるDuは、電子供与体である。電子受容体及び電子供与体の間にリンカーを提供することで、電子受容体及び電子供与体の間に相互作用を弱めて、ディープブルー(deep blue)の素子を容易に具現することができる。また、電子受容体及び電子供与体およびその間に形成されたリンカーの選択によって、一重項(singlet)-三重項(triplet)間のエネルギーギャップを小さく調節することができ、結果的にTADFを効率的に放射することができる効果がある。
【0086】
本発明の一実施形態による含窒素化合物は、青色発光するTADF材料である。本発明の一実施形態による含窒素化合物は、深い青色(ディープブルー、deep blue)の光を発するTADFである。本発明の一実施形態による含窒素化合物は、約440nm~約480nm、好ましくは約440nm~約475nm、より好ましくは約440nm~約470nm、さらに好ましくは約440nm~約450nmの波長領域を有する青色光を発光する。
【0087】
本発明の一実施形態による化合物は、発光層のドーパント材料として含まれるが、本発明の化合物のみで発光層を形成してもよい。
【0088】
本発明の一実施形態による含窒素化合物は、一重項のエネルギー準位及び三重項のエネルギー準位の差の絶対値が0.2eV以下である。一重項-三重項のエネルギーギャップを小さく調節して、TADFを効率的に放射することができる。
【0089】
発光層EMLは、ホスト材料をさらに含んでもよい。ホスト材料は、特に限定しないが、例えば、Alq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)、CBP(4,4’-bis(N-carbazolyl)-1,1’-biphenyl)、PVK(poly(n-vinylcabazole)、ADN(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、TCTA(4,4’,4”-Tris(carbazol-9-yl)-triphenylamine)、TPBi(1,3,5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene)、TBADN(3-tert-butyl-9,10-di(naphth-2-yl)anthracene)、DSA(distyrylarylene)、CDBP(4,4’-bis(9-carbazolyl)-2,2’-dimethyl-biphenyl)、MADN(2-Methyl-9,10-bis(naphthalen-2-yl)anthracene)、DPEPO(bis[2-(diphenylphosphino)phenyl]ether oxide)、CP1(Hexaphenyl cyclotriphosphazene)、UGH2(1,4-Bis(triphenylsilyl)benzene)、DPSiO3(Hexaphenylcyclotrisiloxane)、DPSiO4(Octaphenylcyclotetra siloxane)、PPF(2,8-Bis(diphenylphosphoryl)dibenzofuran)等を使用することができる。
【0090】
発光層EMLは、例えば10nm以上100nm以下の厚さを有する。
【0091】
電子輸送領域ETRは、発光層EML上に形成される。電子輸送領域ETRは、電子阻止層、電子輸送層ETL及び電子注入層EILの中で少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されることではない。
【0092】
電子輸送領域ETRは、単一物質からなされた単一の層、複数の互いに異なる物質からなされた単一の層又は複数の互いに異なる物質からなされた複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0093】
例えば、電子輸送領域ETRは、電子注入層EIL又は電子輸送層ETLの単一の層の構造を有することができ、電子注入物質と電子輸送物質からなされた単一の層の構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互に異なる物質からなされた単一層の構造を有するか、或いは、第1の電極ANから順に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有することができるが、これに限定されない。電子輸送層ETLの厚さは、例えば、約1000Å~約1500Åである。
【0094】
電子輸送層は、Alq3(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum)、1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene、2,4,6-tris(3’-(pyridin-3-yl)biphenyl-3-yl)-1,3,5-triazine、2-(4-(N-phenylbenzoimidazolyl-1-ylphenyl)-9,10-dinaphthylanthracene、TPBi(1,3,5-Tri(1-phenyl-1H-benzo[d]imidazol-2-yl)phenyl)、BCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)、Bphen(4,7-Diphenyl-1,10-phenanthroline)、TAZ(3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole)、NTAZ(4-(Naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole)、tBu-PBD(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole)、BAlq(Bis(2-methyl-8-quinolinolato-N1,O8)-(1,1’-Bi
phenyl-4-olato)aluminum)、Bebq2(berylliumbis(benzoquinolin-10-olate)、ADN(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)及びこれらの混合物を含むことができるが、これに限定されることはない。電子輸送層ETLの厚さは、約100Å~約1000Å、例えば、約150Å~約500Åである。電子輸送層ETLの厚さが上述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしで満足できる程度の電子輸送特性を得ることができる。
【0095】
電子注入層には、LiF、LiQ(Lithium quinolate)、Li2O、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタノイド金属、又はRbCl、RbIのようなハロゲン化の金属等を使用することができるが、これらに限定されない。電子注入層EILは、また電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal salt)が混合された物質で構成することもできる。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy bandgap)が大略4eV以上の物質である。具体的に例えると、有機金属塩は、金属アセテート(metal acetate)、金属ベンゾエート(metal benzoate)、金属アセトアセテート(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)又は金属ステアレート(stearate)を含む。電子注入層EILの厚さは、約1Å~約100Å、好ましくは約3Å~約90Åである。電子注入層EILの厚さが前述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性を得ることができる。
【0096】
電子輸送領域ETRは、先に言及したことのように、正孔阻止層を含むことができる。正孔阻止層は、例えば、BCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)及びBphen(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)の中で少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されことではない。
【0097】
第2の電極EL2は、電子輸送領域ETR上に提供される。第2の電極EL2は、共通電極又は陰極である。第2の電極EL2は、透過型電極、半透過型の電極又は反射型電極である。第2の電極EL2が透過型電極である場合、第2の電極EL2は、透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等から構成される。
【0098】
第2の電極EL2が半透過型の電極又は反射型電極である場合、第2の電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti又はこれらの化合物、或いは混合物(例えば、AgとMgとの混合物)を含むことができる。又は前記物質に形成された反射膜、或いは半透過膜及びITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin
zinc oxide)等に形成された透明導電膜を含む複数の層構造である。
【0099】
図中には示していないが、第2の電極EL2は、補助電極と連結される。第2の電極EL2が補助電極と連結されれば、第2の電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0100】
有機電界発光素子10で、第1の電極EL1と第2の電極EL2に各々電圧が印加されることによって第1の電極EL1から注入された正孔(hole)は、正孔輸送層HTLを経て発光層EMLに移動され、第2の電極EL2から注入された電子が電子輸送層ETLを経て発光層EMLに移動される。電子と正孔は、発光層EMLで再結合して励起子を
生成し、励起子が励起状態で基底状態に遷移しながら発光する。
【0101】
有機電界発光素子10が前面発光型である場合、第1の電極EL1は、反射型電極であり、第2の電極EL2は、透過型電極又は半透過型の電極である。有機電界発光素子10が背面発光型である場合、第1の電極EL1は、透過型電極又は半透過型の電極であり、第2の電極EL2は、反射型電極である。
【0102】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、化学式(1)で示される含窒素化合物を含み、高い発光効率を得ることができる。具体的に、化学式(1)で示される含窒素化合物がTADFの過程を通じて発光する。このため、本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、高効率化を実現することができる。より具体的に、本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、TADFの過程を通じて青色発光することができ、高効率化を実現することができる。
【0103】
以下、具体的な実施例及び比較例を通じて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されることはない。
【0104】
(合成例)
1.化合物19の合成
本発明の一実施形態による含窒素化合物である化合物19は、例えば、下記の反応によって合成される。
【化46】
【0105】
アルゴン(Ar)雰囲気下で100mLの三口フラスコに化合物A 3.1g、化合物B1g、酢酸パラジウム(acetic acid palladium)0.1g、PH(tBu)3/BF4(Tri-tert-butylphosphonium tetrafluoroborate)0.25g、炭酸カリウム(K2CO3)1.77gを添加し、50mLのトルエン溶媒の中で(130℃)で6時間加熱還流した。
【0106】
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、トルエン/ヘキサンの混合溶媒で再結晶を行い、白色の固体化合物を2.77g(収率82%)得た。
【0107】
1H NMR測定で測定された白色の固体化合物のケミカルシフト値(δ)は、1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):8.92(d,J=8.7Hz,2H),8.88(d,J=8.1Hz,2H),8.28(s,2H),8.14(d,J=7.1Hz,2H),7.89Hz(d,J=8.7Hz,2H),7.76(d,J=8.7Hz,2H),7.66-7.63(m,2H),7.41-7.32(m,8H),
7.31-7.24(m,5H)であった。であった。また、FAB-MS測定によって白色の固体化合物の分子量は、651であった。前記結果を通じて、白色の固体化合物が化合物19であることを確認することができた。
【0108】
【0109】
窒素(N2)雰囲気下で、300mLの三口フラスコに化合物C2.00g、化合物D0.24g、Pd(PPh3)4[Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)]0.13gと脱水トルエン(toluene)80mLとを加えて撹拌した。そこに炭酸カリウム(K2CO3)水溶液(30mL、1.55g)を加えて48時間加熱還流した。得られた粗生成物をセライト(celite)濾過を実施してクロロホルム(chloroform)で抽出を行いNa2SO4(sodium solfate)で乾燥した。溶媒を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルアセテート/クロロホルム混合溶媒を使用)で精製して、薄い黄色の固体化合物を1.94g(収率57%)得た。
【0110】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz、DMSO-d6、δ):8.60(d,J=8.0Hz,5H)、7.37-7.25(m,16H)、7.12(t,J=7.2Hz,4H)、6.95-6.92(m,12H)、6.80(d,J=6.8Hz,4H)、6.44(d,J=8.4Hz,4H)、2.81(s,3H)であった。また、MALDI-TOF-MS測定によって測定された化合物の分子量は909.65であった。前記結果を通じて、薄い黄色の固体化合物が化合物53であることを確認した。
【0111】
【0112】
窒素(N2)雰囲気下で、300mLの三口フラスコに化合物C2.00g、化合物E0.25g、Pd(PPh3)40.10gと脱水トルエン80mLとを加えて撹拌した。そこに炭酸カリウム水溶液(30mL、0.93g)を加えて24時間加熱還流した。得られた粗生成物をセライト濾過した後に、クロロホルムで抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルアセテート/クロロホルム混合溶媒を使用)で精製し、薄黄色の固体化合物を2.70g(収率80%)得た。
【0113】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz,CDCl3,δ):9.07(s,2H)、8.33(d,J=8.4Hz,4H)、7.28-7.26(m,16H)、7.07-7.01(m,12H)、6
.92-6.91(m,8H)、6.51(d,J=8.1Hz,4H)であった。前記
結果を通じて、薄い黄色の固体化合物が化合物55であることを確認した。
【0114】
【0115】
窒素(N2)雰囲気下で、300mLの三口フラスコに化合物C2.00g、化合物F0.30g、Pd(PPh3)40.13gと脱水トルエン80mLとを加えて撹拌した。そこに炭酸カリウム水溶液(30mL、1.55g)を加えて48時間加熱還流した。得られた粗生成物をセライト濾過した後、クロロホルムで抽出を行い、Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルアセテート/クロロホルム混合溶媒を使用)で精製し、薄黄色の固体化合物を2.36g(収率65%)得た。
【0116】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz、DMSO-d6,δ):8.77(d,J=8.4Hz,4H)、8.74-8.71(m,3H)、7.64-7.61(m,3H)、7.38-7.28(m,16H)、7.13(t,J=8.0Hz,4H)、6.96-6.93(m,12H)、
6.81(d,J=8.0Hz,4H)、6.48(d,J=8.4Hz,4H)であった。また、MALDI-TOF-MS測定によって測定された化合物の分子量は971.51であった。前記結果を通じて、薄い黄色の固体化合物が化合物61であることを確認した。
【0117】
【0118】
窒素(N2)雰囲気下で100mLの三口フラスコに化合物G1.41g、化合物B1.0g、酢酸パラジウム(acetic acid palladium)0.01g、PH(tBu)3/BF4(Tri-tert-butylphosphonium tetrafluoroborate)0.01g炭酸カリウム1.76gを添加して30m
Lのトルエン溶媒(110℃)で12時間加熱還流した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、トルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶を行い、白色固体を1.8g(収率90%)得た。
【0119】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz,CDCl3,δ):8.90(d,J=4.8Hz,2H)、8.79(d,J=8.8Hz,2H)、7.79(d,J=7.3Hz,2H)、7.65(d,J=8.4Hz,2H)、7.46(d,J=8.5Hz,2H)、7.38(t,J=6.6Hz,2H)、7.30-7.26(m,3H)、6.92(t,J=7.0Hz,2H)、6.58(t,J=6.6Hz,2H)、6.43(t,8.8Hz,4H)であった。前記結果を通じて、白色の固体化合物が化合物66であることを確認した。
【0120】
【0121】
アルゴン(Ar)雰囲気下で100mLの三口フラスコに化合物H2.9g、化合物B
1.6g、酢酸パラジウム0.11g、PH(tBu)3/BF40.28g炭酸カリウム2.88gを添加して34mLのトルエン溶媒(110℃)で5時間加熱還流した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、トルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶を行い白色の固体化合物を3.4g(収率98%)得た。
【0122】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は、(300MHz,CDCl3,δ):8.90(d,J=5.1Hz,2H)、8.90(d,J=8.7Hz,2H)、7.83(d,J=1.2Hz,2H)、7.62(d,J=8.7Hz,2H)、7.46-7.41(m,3H)、7.39-7.30(m,4H)、6.72(d,J=6H)、6.33(d,J=8.7Hz,2H)、6.20-6.19(m,2H)、1.95(s,6H)であった。またFAB-MS測定によって測定された白色の固体化合物の分子量は、514であった。前記結果を通じて、白色の固体化合物が化合物67であることを確認することができた。
【0123】
【0124】
窒素(N2)雰囲気下で100mLの三口フラスコに化合物I 2.96g、化合物B
2.00g、酢酸パラジウム0.02g、PH(tBu)3/BF40.03g、炭酸カリウム3.53gを添加し、100mLのトルエン溶媒(110℃)で12時間加熱還流した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、トルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶を行い、白色固体を2.80g(収率66%)得た。
【0125】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(400MHz、CDCl3、δ)は、8.90(d,J=5.1Hz,2H)、8.77(d,J=8.4Hz,2H)、7.59(d,J=8.4Hz,2H)、7.29(d,J=4.8Hz,2H)、7.20-7.17(m,6H)、6.99-6.95(m,2H)、6.90-6.86(m,4H)、6.69(t,J=7.3Hz,2H)、6.36(d,J=8.8Hz,2H)であった。前記結果を通じて、白色の固体化合物が化合物69であることを確認した。
【0126】
【0127】
窒素(N2)雰囲気下で100mLの三口フラスコに化合物G 1.42g、化合物B
1.00g、酢酸パラジウム0.01g、PH(tBu)3/BF40.01g、炭酸カリウム1.40gを添加し、30mLのトルエン溶媒(110℃)で6時間加熱還流した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、トルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶を行い、白色固体を1.87g(収率90%)得た。
【0128】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(400MHz、CDCl3、δ)は、8.85(d,J=4.8Hz,2H)、8.60(d,J=8.4Hz,2H)、7.27-7.21(m,9H)、7.06-7.01(m,6H)、6.90-6.88(m,4H)、6.49(d,J=8.4Hz,2H)であった。前記結果を通じて、白色の固体化合物が化合物70であることを確認した。
【0129】
【0130】
アルゴン(Ar)雰囲気下で100mLの三口フラスコに化合物H 1.46g、化合物J 1.52g、酢酸パラジウム(acetic acid palladium)0.061g、PH(tBu)3/BF4(Tri-tert-butylphosphonium tetrafluoroborate)0.16g炭酸カリウム(K2CO3)1.64gを添加して77mLのトルエン溶媒(110℃)で4時間加熱して還流した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒を使用)に精製した後、トルエン/ヘキサン混合溶媒で再結晶を実施して白色固体の目的物を2.17g(収率84%)得た。
【0131】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(300MHz、CDCl3、δ)は、9.03(d,J=8.7Hz,2H)、8.37-8.35(m,4H)、8.11(s,1H)、7.83(d,J=8.7Hz,2H)、7.67-7.61(m,8H)、7.47(d,J=1.5Hz,2H)、7.40(t,J=12Hz,2H)、7.31-7.29(m,2H)、6.73(d,J=8.4Hz,2H)、6.39(d,J=8.4Hz,2H)、6.19(s,2H)、1.96(s,6H)であった。またFAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は、666であった。前記結果を通じて、白色の固体化合物が化合物71であることを確認することができた。
【0132】
(素子作成例)
上述した化合物53、55、59、67、68、及び71をドーパント材料として使用して実施例1~7の有機電界発光素子を製作した。
【化55】
【0133】
下記の比較例の化合物X-1およびX-2をドーパント材料として使用して比較例1および2の有機電界発光素子を製作した。
【化56】
【0134】
実施例1~5及び比較例1および2の有機電界発光素子は、次のように作製した。Glass基板上に膜厚150nmでITOを施したパターニング基板を超純水で洗浄し、UVオゾン処理を10分間行った。その後、HAT-CNで膜厚10nmの正孔注入層を形成し、NPBで膜厚80nmの正孔輸送層を形成し、DPEPOに化合物53、55、61、67、71を18%ドープした膜厚20nmの発光層を形成し、TPBiで膜厚30nmの電子輸送層を形成して、LiFで膜厚0.5nmの電子注入層を形成し、アルミニウムで膜厚100nmの第2の電極を形成した。各層および第2の電極EL2の形成はいずれも真空蒸着装置を用い、抵抗加熱法で行った。
【0135】
次に、製作した有機電界発光素子の最大発光波長及び外部量子収率を測定した。最大発光波長は、測定対象化合物を石英ガラス板上に蒸着した試料を用い、常温(約300K)における発光スペクトルの極大発光波長とした。有機電界発光素子の外部量子効率は、浜松ホトニクス社製の外部量子効率測定装置C9920-12を使用して測定した。測定結果を下記の表1に示した。また、一重項エネルギー準位と三重項エネルギー準位の差ΔE
STは、Gaussian09を用いて汎関数B3LYP、6-31G(d)により計算した。
【表1】
【0136】
実施例1及び比較例1を比較すると、供与体と受容体との間にリンカーを含まない比較例1に比べて、リンカーを含む実施例1の最大発光波長が約30nm短波化したことが分かる。また、電子供与体電子受容体の間にアルキル基を含む比較例2も、実施例1に比べて電子供与体の電子供与性が弱まって発光波長は大きく長波長化してしまう。リンカーの適切な選択によるHOMO-LUMOの軌道分離の調整が重要と考えられる。
【0137】
本発明は青色~深青色の発光を示す化合物を提供することを一目的とし、実施例1のように電子供与性を強化することによって、短波の青色発光材料を獲得するに至った。
【0138】
本発明の一実施形態による化学式(1)で示される化合物に置換基を適切に導入して青色発光を具現することと同時に高い外部量子効率を具現することを分かる。以上、添付された図面を参照して本発明の実施形態を説明した。したがって、以上で記述した実施形態
は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではない。
【符号の説明】
【0139】
10:有機電界発光素子
EL1:第1電極
HTR:正孔輸送領域
EML:発光層
ETR:電子輸送領域
EL2:第2電極