IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ラプラス・システムの特許一覧

特許7078965端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム
<>
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図1
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図2
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図3
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図4
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図5
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図6
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図7
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図8
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図9
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図10
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図11
  • 特許-端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】端子台型ユニット及びこれを用いた監視システム
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/24 20060101AFI20220525BHJP
   H01R 13/717 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
H01R9/24
H01R13/717
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022507447
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2021041722
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2021001106
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300023899
【氏名又は名称】株式会社ラプラス・システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】堀井 雅行
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0244107(US,A1)
【文献】米国特許第6175932(US,B1)
【文献】特開2016-143415(JP,A)
【文献】特開2012-13492(JP,A)
【文献】特開2006-309727(JP,A)
【文献】特開2013-36214(JP,A)
【文献】特表2009-525818(JP,A)
【文献】実開昭57-184014(JP,U)
【文献】特開2015-61103(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0254447(US,A1)
【文献】米国特許第9966714(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/22 -9/26
H01R 13/717
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーを用いた計測システム又はその計測システムを利用した監視及び/又は制御機器に対する制御システムを構築するための最小単位となる端子台型ユニットであって、
前記端子台型ユニットよりも下位に接続される前記センサー又は前記制御機器と
前記端子台型ユニットよりも上位に接続されるホスト機器との間に介在して用いられると共に、
複数の接点端子を具備し、前記接点端子を通じて前記センサー又は前記制御機器と電気的に接続され、
共通のバスを通じて前記端子台型ユニット間及び前記端子台型ユニットと前記ホスト機器とが、直接接続可能に構成された端子台型ユニット。
【請求項2】
前記端子台型ユニットは、共通のバスから給電されるように構成された請求項1記載の端子台型ユニット。
【請求項3】
前記端子台型ユニットは、各接点端子と一対一に対応する複数のインジケーターを具備する請求項1又は2記載の端子台型ユニット
【請求項4】
前記端子台型ユニットは、他の端子台型ユニットと配線を介することなく直接連結可能なコネクタを具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の端子台型ユニット。
【請求項5】
上位に接続されるホスト機器に対し、下位に接続されるセンサーの無電圧接点出力を受け、入力状態に応じたインジケーターを点灯すると共に、入力値をデジタル化したデータとして前記計測装置からの制御にしたがって前記バスによる通信により送信するための制御回路を具備する請求項1乃至4のいずれか1項記載の端子台型ユニット。
【請求項6】
上位に接続されるホスト機器に対して、
前記センサーの出力値を電流又は電圧のアナログ値として受信し、受信した入力値に応じた色又は照度のインジケーターを点灯する機能を具備すると共に、前記ホスト機器からの制御にしたがって前記入力値をデジタル化したデータに変換して前記バスによる通信により前記ホスト機器に送信するための制御回路を具備する請求項1乃至4のいずれか1項記載の端子台型ユニット。
【請求項7】
上位に接続されるホスト機器からの前記バスによる通信による制御により、前記制御機器に対してオープンドレインによる無電圧接点出力を行うと共に接点出力の状態に応じてインジケーターを点灯するための制御回路を具備する請求項1乃至4のいずれか1項記載の端子台型ユニット。
【請求項8】
1つ又は複数連結された請求項5又は6記載の端子台型ユニットと、
前記ホスト機器とを接続した収納盤であって、前記ホスト機器が、前記端子台型ユニットから出力されるデータを記録する機能を具備する計測端末であることを特徴とする収納盤。
【請求項9】
センサーにより遠隔地に設けられた電気回路の状態を取得し、前記電気回路の状態を一括表示するための監視システムであって、
前記センサー、請求項5又は6記載の端子台型ユニット及び前記ホスト機器が、監視対象領域に設置され、
前記ホスト機器に集約されたデータを電気通信回線を介して受信する監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ入出力装置(計測器)と端子台とを組み合わせた新規な端子台型ユニットと、これを用いた監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、計測システムでは、多数のセンサーにつながる信号線が、「端子台」を介して「信号入出力装置」に集められる構成が採用されている。「端子台」は、センサーにより取得したデータに基づいて制御対象機器(以下、「制御機器」という)に対して制御信号を送出するための接点端子(出力ポート)としても利用される。すなわち、センサーや制御機器に接続される多数の信号線は、多数の接点端子を設けた端子台に集められ、それらの信号線は端子台を介して信号入出力装置に接続される。信号入出力装置は、センサーが取得したデータを記録する計測器(データロガー)としての機能を有し、入出力インターフェースを介して、計測データを記録したり制御機器を制御したりするための小型の専用端末(計測端末)或いは記録したデータを処理するための計算機(データ処理プログラムをインストールした汎用的なコンピューターなど)に接続される。
【0003】
すなわち、計測システムの一般的な構成を「センサー又は制御機器」を下位側、計算機を上位側として、物理的接続構成を単純化すると、
(a)[センサー又は制御機器]-[端子台]-[信号入出力装置]-[計測端末]-[計算機]、又は
(b)[センサー又は制御機器]-[端子台]-[信号入出力装置]-[計算機]
と表される。
【0004】
図11(A)は、従来の信号入出力装置200の外観形状を示す図(写真)である。同図に示すように、信号入出力装置200は、装置本体部202と、多数の接点端子を有する複数の端子ユニット204とで構成されている。
図11(B)は、従来の信号入出力装置200が、端子ユニット204と端子台300との各接点端子同士が物理的な信号線によって電気的に接続される様子を模式的に示す図である。信号入出力装置200に接続された端子ユニット204の各端子と、端子台300における上位側の各端子302aとが電線によって順番に接続される。他方、端子台300における上位側の各端子302aは、下位側の各端子302bと対向して設置され、下位側の各端子302bは、図示しないセンサーや制御機器の各端子に電気的に接続される。
【0005】
図12(A)は、収納盤内の電気配線図の一例を示す図である。実際の接続作業においては、このような配線図に従って、各端子間を電線で接続する作業が必要となる。それぞれの端子に接続する信号線の1つ1つにラベルが貼り付けられ、全ての信号線を正しい端子に接続しなければならない。当然、端子台に接続される信号線の数が増えるほど、複雑になる。
図12(B)は、それぞれの端子に接続する信号線の1つ1つにラベルが貼り付けられた端子台を示す写真である。
【0006】
実験室などで小規模に実験するような場合には、端子台を省略して「むき出しの信号線」が信号入出力装置に直接接続される構成を採用することもあるが、メンテナンス作業などを含めて継続的な運用を前提とする場合、上記のとおり、信号線を先ず端子台に設けられた多数の端子に接続し、端子台の各端子をそれぞれ信号入出力装置の入力端子に配線する構成が一般的である。そして、上記のとおり、端子台や信号入出力装置には多数の信号線が接続され、配線が非常に複雑になりがちである。これらの機器には、例えば電源、遮断機、避雷器(SPD)、ACアダプターなど、システムの構成に応じた必要な機器が付随して用いられるため、収納盤と呼ばれる箱状の1つの筐体内に設置される構成が一般的である。
【0007】
図5(B)は、市販されている信号入出力装置(Mシステム社製R3シリーズ)を用いて構成した収納盤の内部を示す構成例として示す64点計測の収納盤の内部構成を表す図(写真)である。収納盤内で多数の配線が端子間を物理的に接続される様子が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開2020/203672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来の構成では、収納盤内で信号線がむき出しになっており、設置作業やメンテナンス作業、機器の増設や設置に伴う再構成の作業など、作業現場での労力を伴うものであった。
【0010】
また、従来の構成では、様々な用途に対応できる汎用的な機能を備えた信号入出力装置を用いていたため、用途によっては全く使用されない無駄な機能があった。すなわち、このようなオーバースペックが、設置や運用及びメンテナンスのコストを増大させる原因ともなっていた。
【0011】
例えば、センサーで計測した物理量(温度や発電量等)をモニタリングするだけで、制御は不要という用途であれば、入出力装置に必要な機能は、センサーが取得したデータを記録する計測器(データロガー)としての機能だけでよい。また、センサーで取得したデータが、「アナログ信号」か「デジタル信号」かによっても、計測器に必要な機能は異なる。アナログ信号であれば、用途に応じて必要な最低限のスペックを持つA/D変換器が必要となる。他方、デジタル信号であればそのまま計測器に取り込むことが可能である。さらに、従来の信号入出力装置では、上記の従来例のように端子ユニットを増設することで接点端子の数が増えてもある程度対応できるものもあるが、接続できる端子ユニットの数には上限がある。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、端子台における配線作業と配線ミスを削減し、設置作業を省力化する点と共に、必要な機能を柔軟に提供でき、かつ接点端子数が増えても拡張性が高く柔軟に必要な機能を提供できる端子台型ユニットを提供すること、及び、このような端子台型ユニットを用いた監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る端子台型ユニットは、
センサーを用いた計測システム又はその計測システムを利用した監視及び/又は制御機器に対する制御システムを構築するための最小単位となる端子台型ユニットであって、
前記端子台型ユニットよりも下位に接続される前記センサー又は前記制御機器と
前記端子台型ユニットよりも上位に接続されるホスト機器との間に介在して用いられると共に、
複数の接点端子を具備し、前記接点端子を通じて前記センサー又は前記制御機器と電気的に接続され、
共通のバスを通じて前記端子台型ユニット間及び前記端子台型ユニットと前記ホスト機器とが、直接接続可能に構成されたことを特徴とする。
【0014】
ここで、ホスト機器とは、センサーで取得した計測データを記録したり制御機器を制御したりするための小型の専用端末(計測端末)或いは記録したデータを処理するための計算機(データ処理プログラムをインストールした汎用的なコンピューターなど)である。
【0015】
本発明に係る端子台型ユニットは、少なくとも3種類の基本単位(後述の実施例における、タイプX、タイプY、タイプZ)で構成され、用途に応じて組み合わせて用いることを特徴とする。但し、さらに別の基本構成を設計すれば、それらを増設できる拡張性を備えている。それぞれの基本単位、用途に応じて組み合わせて使用することもできる。
【0016】
上記構成において、前記端子台型ユニットは、共通のバスから給電されるように構成されていてもよい。複数の端子台型ユニットを配電盤内に設置する場合でも、別途電源を準備する必要がなくなるためである。但し、連結する端子台型ユニットの数が多くなり、バスからの給電のみでは電力が不足する場合は、外部からACアダプターなどで電源を供給する構成としてもよい。
【0017】
上記構成において、前記端子台型ユニットは、各接点端子と一対一に対応する複数のインジケーターを具備するように構成してもよい。端子台型ユニットの各接点端子は、信号の入力端子と出力端子のいずれかの機能を具備するものであるため、各接点の状態がインジケーターで視覚的に把握できることで、より使い勝手がよくなるからである。
【0018】
上記構成において、前記端子台型ユニットは、他の端子台型ユニットと配線を介することなく直接連結可能なコネクタを具備するように構成してもよい。配線が不要となり、設置作業等がより簡素化できる利点があるからである。
【0019】
上記構成において、上位に接続されるホスト機器に対し、下位に接続されるセンサーの無電圧接点出力を受け、入力状態に応じたインジケーターを点灯すると共に、入力値をデジタル化したデータとして前記計測装置からの制御にしたがって前記バスによる通信により送信するための制御回路を具備する構成としてもよい。これは、センサーからの出力信号をデジタル信号として入力するタイプ(タイプX)の端子台型ユニットに適用される構成である。
【0020】
上記構成において、上位に接続されるホスト機器に対して、
前記センサーの出力値を電流又は電圧のアナログ値として受信し、受信した入力値に応じた色又は照度のインジケーターを点灯する機能を具備すると共に、前記ホスト機器からの制御にしたがって前記入力値をデジタル化したデータに変換して前記バスによる通信により前記ホスト機器に送信するための制御回路を具備する構成としてもよい。これは、センサーからの出力信号をアナログ信号として入力するタイプ(タイプY)の端子台型ユニットに適用される構成である。
【0021】
上記構成において、上位に接続されるホスト機器からの前記バスによる通信による制御により、前記制御機器に対してオープンドレインによる無電圧接点出力を行うと共に接点出力の状態に応じてインジケーターを点灯するための制御回路を具備するように構成してもよい。これは、ホスト機器からの制御信号を制御機器に対して出力するタイプ(タイプZ)の端子台型ユニットに適用される構成である。
【0022】
本発明に係る収納盤は、上記いずれかの1つ又は複数の端子台型ユニットと、
前記ホスト機器とを接続した収納盤であって、前記ホスト機器が、前記端子台型ユニットから出力されるデータを記録する機能を具備する計測端末であることを特徴とする。収納盤に設置することは必須ではないが、収納盤内に本発明に係る端子台型ユニットを用いると、従来の複雑な配線作業が不要となるため、見た目にもすっきりとした収納盤となる。
【0023】
本発明にかかる監視システムは、センサーにより遠隔地に設けられた電気回路の状態を取得し、前記電気回路の状態を一括表示するための監視システムであって、
前記センサー、上記端子台型ユニット及び前記ホスト機器が、監視対象領域に設置され、
前記ホスト機器に集約されたデータを電気通信回線を介して受信することを特徴とする。
【0024】
本発明の端子台型ユニットを利用すると、各拠点でのデータを効率良く収集できるため、様々な用途に適用可能な監視システムを容易に構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る端子台型信号入出力装置は、
(1)計測ユニット自体が安価であること
(2)計測ユニット以外のユニットが不要
(3)端子台を別途設ける必要がないこと
(4)収納盤がコンパクトになること
(5)配線労務費やケーブル費用を大幅削減すること
(6)パッケージ化によるコストダウンできること
といった多くのメリットを有する。余計な機能を省略しているため、オーバースペックで使用されることが多かった従来の信号入出力装置と比べて、大幅なコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1(A)~図1(C)は、端子台型ユニットの筐体の外観形状を示す図である。(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は背面図を示している。
図2図2(A)及び図2(B)は、いずれも、複数の端子台型ユニットを連結する様子を示している。
図3図3(A)及び図3(B)は、いずれも、端子台型ユニットに接続されたバスケーブル24の他端にホスト機器が接続される様子を示している。
図4図4は、インジケーター20の色の変化を表す図である。
図5図5(A)は、図11を参照して説明した信号入出力装置200と端子台300とで構成した64点計測の従来の配電盤(図5(B))を、測定点数を変えることなく本実施形態に示す端子台型ユニット10で構成した例を示している。図5(B)は、市販されている信号入出力装置(Mシステム社製R3シリーズ)を用いて構成した収納盤の内部を示す構成例として示す64点計測の収納盤の内部構成を表す図(写真)である。
図6図6は、接点入力(タイプX)の端子台を用いて構成した太陽光発電システムの遠隔監視に適用した系統図画面を示す図である。
図7図7は、本発明の端子台型ユニットを用いて構築した計測又は監視/制御システムを備えた計測機器一式を各地に配置して、各拠点から必要なデータをクラウドデータ管理サーバーに送信し、遠隔地からデータ閲覧を可能にするシステムとして構築した例を示す概念図である。
図8図8は、本実施形態の監視システムをビニールハウス内の監視システムに適用した例を示す図である。
図9図9(A)は、本実施形態の監視システムをビルの中央監視システムに適用した例を示す図である。図9(B)は、本実施形態の監視システムをトイレの使用状況監視システムに適用した例を示す図である。
図10図10(A)は、本実施形態の監視システムを腐食モニタリングシステムに適用した例を示す図である。図10(B)は、本実施形態の監視システムを在庫監視システムに適用した例を示す図である。
図11図11(A)は、従来の信号入出力装置200の外観形状を示す図(写真)である。図11(B)は、従来の信号入出力装置200が、端子ユニット204と端子台300との各接点端子同士が物理的な信号線によって電気的に接続される様子を模式的に示す図である。
図12図12(A)は、収納盤内の電気配線図の一例を示す図である。図12(B)は、それぞれの端子に接続する信号線の1つ1つにラベルが貼り付けられた端子台を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0028】
(実施形態1)
図1(A)~図1(C)は、端子台型ユニットの筐体の外観形状を示す図である。(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は背面図を示している。
この端子台型ユニット10は、正面に複数の接点端子12を有する。また、筐体の左右側面には共通のコネクタ14、16が設けられる。そして、上面側には通電を示す通電ランプ18と、各端子の状態を示す複数のインジケーター20が設けられる。接点端子の数は設計により変わるが、図1の例は、16個の接点端子を持つタイプである。
【0029】
端子台型ユニットにはその機能に応じて複数のタイプが存在するが、いずれも筐体は共通化して、同一の外観形状として構成することができ、製造コストを下げると共に複数の機能を有する端子台型ユニットを組み合わせて使用した際にも、全体としてスッキリと統一したデザインとなる。例えば、幅150mm(コネクタ部含まず)、奥行き60mm、高さ32mm程度の大きさとして構成することができる。
【0030】
図1(C)に示すように、筐体背面にはUSB-Cコネクタが設けられている。USB-Cは、通信速度が従来の他のUSBよりも高速であると共に給電制御機能にも優れている。このため、端子台型ユニット10の電源としても利用することが可能である。但し、USB-Cは一例であり、他のバスコネクタを排除するものではない。このバスコネクタ22は、所定のケーブルを介して上位のホスト機器に接続するために用いることができる。
【0031】
ここで、端子台型ユニット10の複数の種類について説明する。下記は、端子台型ユニット10のタイプを示す一覧である。
【0032】
[端子型ユニットの種類]
(I)タイプX: 接点信号16点計測タイプ
(II)タイプY: アナログ信号8点計測タイプ
(III)タイプX: 接点信号16点出力タイプ
【0033】
タイプXは、接点数である16点でデジタル信号(接点信号)の入力を受ける機能を有する。タイプYは、アナログ信号8点(電流又は電圧)を受ける機能を有する。タイプZは、接点数である16点で制御信号(接点信号)を出力する機能を有する。
【0034】
<I.接点入力タイプ(タイプX)>
タイプXは、上位に接続されるホスト機器に対し、下位に接続されるセンサーの無電圧接点出力を受け、入力状態に応じたインジケーターを点灯すると共に、入力値をデジタル化したデータとして前記計測装置からの制御にしたがって前記バスによる通信により送信するための制御回路を具備する構成される。これは、センサーからの出力信号をデジタル信号として入力するタイプ(タイプX)の端子台型ユニットに適用される構成である。
【0035】
デジタル入力信号を受け付ける「タイプX」は、制御回路として、例えば、32ビットのMCUが設けられ、16チャンネルのデジタル信号を受信することができる。各チャンネル間は非導通であり、共通端子が1つ設けられる。制御回路の入力信号は上記の通り無電圧接点入力であり、内部電源3,75V、3mA、閾値電流はオン電流0.3mA以上、オフ電流0.3mA以下、閾値電圧はオン電圧3V以下、オフ電圧4V以上、入力周期10msecのデジタル入力回路が用いられる。
【0036】
<II.アナログ入力タイプ(タイプY)>
タイプYは、上位に接続されるホスト機器に対して、前記センサーの出力値を電流又は電圧のアナログ値として受信し、受信した入力値に応じた色又は照度のインジケーターを点灯する機能を具備すると共に、前記ホスト機器からの制御にしたがって前記入力値をデジタル化したデータに変換して前記バスによる通信により前記ホスト機器に送信するための制御回路を具備する構成としてもよい。これは、センサーからの出力をアナログ信号として入力するタイプ(タイプY)の端子台型ユニットに適用される構成である。
【0037】
アナログ入力信号を受け付ける「タイプY」では、制御回路として、32ビットのMCUが設けられ、8チャンネルのA/D変換器が設けられる。アナログ値の入力は、4-20mAの電流又は1-5Vの電圧であれ、いずれも可能である。アナログ入力のタイプYでは、各端子に対応するインジケータ20に、信号の有無を点滅で表現するだけでなく、その大きさを色又は明るさで表現することも可能である。
【0038】
図4は、インジケーター20の色の変化を表す図である。この例では、電流又は電圧が下限(4mA/1V)に近いほど青色になり、電流又は電圧値が大きくなるにつれて紫から赤みを増して中間が赤色又は橙色、上限(20mA/5V)に近いほど黄色みをまして最大が白色になるように構成されている。色ではなく、電流又は電圧の大きさに応じて明るさ(照度)が変化するように構成してもよい。
【0039】
タイプYは、太陽光発電システムの場合、例えば、日射計や気温計などのアナログ値を出力するセンサー(計測装置)の値を取得する用途に用いることができる。太陽光発電の発電量等、タイプXで取得したデジタル値と併せて表示することで、日射に対して発電が妥当な値であるかどうか監視することができる。
【0040】
日射、気温の値は農業分野でも重要であるため、太陽光発電システムに限らず、他の産業分野においても利用可能である。その他、アナログ値として取得されるその他の代表的なセンサーとしては、湿度計、水温計、水位計、風向計、コンパス、ジャイロセンサ、ひずみゲージ、距離センサー、気圧計、感圧計、照度計、感雨計、雨量計、テンシオメーター、風速計、ガス濃度計測計、振動計、加速度計などが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0041】
<III.接点出力タイプ(タイプZ)>
タイプZは、上位に接続されるホスト機器からの前記バスによる通信による制御により、前記制御機器に対してオープンドレインによる無電圧接点出力を行うと共に接点出力の状態に応じてインジケーターを点灯するための制御回路を具備するように構成してもよい。これは、ホスト機器からの制御信号を制御機器に対して出力するタイプ(タイプZ)の端子台型ユニットに適用される構成である。
【0042】
デジタル信号を出力する「タイプZ」は、制御回路として、例えば、32ビットのMCUが設けられ、16チャンネルのデジタル信号を送信することができる。各チャンネル間は非導通であり、共通端子が1つ設けられる。制御回路の出力信号は上記の通りオープンドレイン出力(最大DC30V、トータル1.3W、最大出力定格24V、例えば0.005A以下、12V0.1A以下、5V0.26A以下)であり、オン抵抗は20mΩ以下のデジタル出力回路が用いられる。この例では、最大32台まで連結することが可能である。
【0043】
例えば、タイプZの端子台型ユニット10により、太陽光発電システムで用いられる発電制御装置(PCS)のオン・オフ制御を行うことができる。太陽光発電システムでは、電力会社の指示に従って発電電力を抑制する「出力制御ルール」が存在する。そのため、遠隔からPCSを制御するための機器としてタイプZの端子台型ユニット10を用いることができる。
【0044】
もちろん、接点信号により制御可能な機器であれば、どのような機器に対しても制御できる。また、他の種類の端子台型ユニットを開発してもよい。
【0045】
(実施形態2)
図2(A)及び図2(B)は、いずれも、複数の端子台型ユニットを連結する様子を示している。端子台型ユニットを連結する際には、異なるタイプの端子台型ユニットを連結部Cで連結することができる。なお、図中のType-は、「タイプ」の意である。これらの図に示すように、上位のホスト機器との連結は、適切なバスケーブル24を用いて行うことができる。
【0046】
連結数及び連結する機器のタイプや連結の順序に制限はなく、自由に接続することが可能である。また、配電盤内のスペースの都合により、横並びに連結できない場合は、図2(B)に示すように、隣り合う機器のコネクタ(図1のコネクタ14、16)間をコネクタ連結ケーブル26で接続してもよい。最大接続数はMCUのビット数などで決まるが、32ビットのMCUであれば32台まで接続可能である。デジタル入出力であれば16チャンネル×32台、アナログ入力であれば8チャンネル×32台まで接続できる。
【0047】
図3(A)及び図3(B)は、いずれも、端子台型ユニットに接続されたバスケーブル24の他端にホスト機器が接続される様子を示している。図3(A)は、計測端末28に接続され、その先にコンピューター30或いはスマートフォン32などが接続される様子を示している。なお、スマートフォンと計測端末の接続は無線LANやブルートゥース(登録商標)などの無線通信規格を通じて行う。
【0048】
計測端末は主に収納盤内のように計測拠点に近い場所で主にデータの記録などを行う機能に特化した小型端末であり、取得したデータの処理はさらに上位に接続したコンピュータ等で行うことが一般的である。但し、図3(B)に示すように、バスケーブル24は、計測端末ではなく、直接コンピューター30に接続することもできる。この場合、データ処理だけでなくデータの記録なども全てコンピュータ側で処理することになる。
【0049】
図5(A)は、図11を参照して説明した信号入出力装置200と端子台300とで構成した64点計測の従来の配電盤(図5(B))を、測定点数を変えることなく本実施形態に示す端子台型ユニット10で構成した例を示している。端子台型ユニット10は、タイプX(デジタル入力16点)を4台連結した。信号入出力装置200(データロガー)の機能のうち、デジタル計測に必要な機能のみを端子台型ユニット10が備えているため、信号入出力装置200は不要である。また、センサー機器からの信号線を接続する端子台としての機能も有するので、全体としてすっきりとコンパクトに構成され、従来よりも小さい収納盤に収納することも可能である。
【0050】
図6は、接点入力(タイプX)の端子台を用いて構成した太陽光発電システムの遠隔監視に適用した系統図画面を示す図である。電気回路を保護する構成部品である継電器及び遮断器の状態を取得して、電気回路の状態を一括表示するように構成されている。電気回路上、継電器は、過負荷・過電流・過電圧などを検出して遮断器で回路を遮断するという役割を担っている。これらを一括監視することで接点の数が膨大であっても、電気回路の状態を容易かつ一目瞭然に把握することができる。あたかも、鉄道の運行を監視するようなイメージである。
【0051】
また、電気回路の監視は太陽光発電システムに限らず、幅広い分野で需要があると考えられる。従って、センサーを用いて電気回路や系統全体の状態を監視するという観点でみれば、本実施形態の端子台型ユニットを用いて構成される監視システムは太陽光発電システム以外の他の技術分野に適用することも可能である。
【0052】
(実施形態3)
図7は、本発明の端子台型ユニットを用いて構築した計測又は監視/制御システムを備えた計測機器一式を各地に配置して、各拠点から必要なデータをクラウドデータ管理サーバーに送信し、遠隔地からデータ閲覧を可能にするシステムとして構築した例を示す概念図である。上記の通り、多数のセンサーで集められたデータは上位の計算機に集められるので、インターネットなどの電気通信回線を通じてクラウドデータ管理サーバーに送信することは容易である。
【0053】
(実施形態4)応用例
-応用例1(ビニールハウス内の監視システム)-
図8は、本実施形態の監視システムをビニールハウス内の監視システムに適用した例を示す図である。日射計、気温計(4台)、CO濃度計、土壌水分計(4台)、ECメータ(3台)を配置してアナログ入力の端子台型ユニット(タイプY)を2つ連結し、13点のアナログデータを計測し、計測端末を通じて遠隔地にある監視画面に表示させる監視システムとして構成した例を示している。
【0054】
-応用例2(ビルの中央監視)-
図9(A)は、本実施形態の監視システムをビルの中央監視システムに適用した例を示す図である。例えば、アナログ入力タイプ(タイプY)の端子台型ユニットを3台、接点入力タイプ(タイプZ)の端子台型ユニットを7台用いて構築したビルの中央監視システムを構築する。この例では、1階計測として接点監視は64点(ブレーカ40点、保安10点、ドア開閉14点)、アナログ監視16点(CT消費電力8点、室温監視8点)、2階計測として接点監視32点(ブレーカー20点、保安10点、ドア開閉2点、アナログ監視8点(CT消費電力4点、室温監視4点)を監視対象としている。
【0055】
-応用例3(トイレの混雑状況監視システム)-
図9(B)は、本実施形態の監視システムをトイレの使用状況監視システムに適用した例を示す図である。トイレに人感センサーを配置し、使用状況を視覚化することが可能である。
【0056】
-応用例4(腐食モニタリングシステム)-
図10(A)は、本実施形態の監視システムを腐食モニタリングシステムに適用した例を示す図である。橋梁などの構造物に埋没型センサを搭載することが行われている。このセンサーのデータを各拠点ごとに収集し、構造物の劣化が進展する前にインフラの整備等を行うことが可能である。
【0057】
-応用例5(店舗在庫の最適化)-
図10(B)は、本実施形態の監視システムを在庫監視システムに適用した例を示す図である。店舗内の商品棚にセンサーを配置し、商品在庫を常時監視すれば、棚卸作業の軽減につながる。
【符号の説明】
【0058】
10 端子台型ユニット10
12 接点端子
14 コネクタ
16 コネクタ
18 通電ランプ
20 インジケーター
22 バスコネクタ
24 バスケーブル
26 コネクタ連結ケーブル
28 計測端末
30 コンピューター
32 スマートフォン
【要約】
【課題】配線作業と配線ミスを削減し、設置作業を省力化する点と共に、必要な機能を柔軟に提供でき、かつ接点数が増えても拡張性が高く柔軟に必要な機能を提供できる端子台型ユニットを提供する。
【解決手段】
センサーを用いた計測システム又はその計測システムを利用した監視及び/又は制御機器に対する制御システムを構築するための最小単位となる端子台型ユニット10であって、端子台型ユニット10よりも下位に接続されるセンサー又は制御機器と端子台型ユニット10よりも上位に接続されるホスト機器28、30との間に介在して用いられると共に、
複数の接点端子12を具備し、接点端子12を通じてセンサー又は制御機器と電気的に接続され、
共通のバスを通じて端子台型ユニット10間及び端子台型ユニット10と前記ホスト機器28、30とが、直接接続可能になるように構成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12